【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の課題は、特に、独立請求項の特徴によって解決される。
【0012】
好ましくは、本発明は、内燃機関で記録される燃焼室信号を検出および選択的にフィルタリングすることにより、少なくとも部分的に障害除去された出力データ流を形成する方法に関する。本方法は、
・燃焼室センサにより燃焼室信号を記録し、この燃焼室信号の時間同期ディジタル化によって燃焼室信号データ流を形成するステップ、
・同時にクランク角度信号を記録し、このクランク角度信号の時間同期ディジタル化によってクランク角度信号データ流を形成するステップ、
・燃焼室信号データ流を、第1の燃焼室信号データ流と第2の燃焼室信号データ流とに分割または複製するステップ、
・第1のフィルタにおいて第1の燃焼室信号データ流をフィルタリングすることにより、フィルタリングされた第1の燃焼室信号データ流を形成するステップ、
・第2のフィルタにおいて第2の燃焼室信号データ流をフィルタリングすることにより、場合によりフィルタリングされた第2の燃焼室信号データ流を形成するステップ、
・記録されたクランク角度信号データ流を用いて、フィルタリングされた第1の燃焼室信号データ流を時間ベースからクランク角度ベースへ変換することにより、変換された第1の燃焼室信号データ流を形成し、記録されたクランク角度信号データ流を用いて、場合によりフィルタリングされた第2の燃焼室信号データ流を時間ベースからクランク角度ベースへ変換することにより、変換された第2の燃焼室信号データ流を形成するステップ、
・変換された各燃焼室信号データ流を組み合わせ、これにより、出力データ流が、変換された第1の燃焼室信号データ流を第1のクランク角度領域に含み、変換された第2の燃焼室信号データ流を第2のクランク角度領域に含むようにするステップ、
を含む。
【0013】
場合により、変換された第1の燃焼室信号データ流が、基本信号として用いられ、決定されたまたは選択可能なクランク角度間で、変換された第2の燃焼室信号データ流によって置換されるように構成可能である。
【0014】
場合により、変換された第1の燃焼室信号データ流が変換された第2の燃焼室信号データ流によって置換されるクランク角度が任意に選択可能であり、かつ/または変換された第1の燃焼室信号データ流が基本信号として用いられ、変換された第2の燃焼室信号データ流からの値が、任意に選択可能なクランク角度間で、基本信号に取り入れられるように構成可能である。
【0015】
場合により、第1の燃焼室信号データ流につき、クランク角度ベースへの変換の前に、第1のフィルタにおいてフィルタリングおよび/または数値的な平滑化が行われ、かつ/または第2の燃焼室信号データ流につき、クランク角度ベースへの変換の前に、第2のフィルタにおいてフィルタリングおよび/または数値的な平滑化が行われるように構成可能である。
【0016】
場合により、第1のクランク角度領域、特に上死点前方100°から50°の燃焼プロセスの低圧部分において、熱力学的ゼロ点補正が行われるように構成可能である。
【0017】
場合により、第2のクランク角度領域が、燃焼プロセスの高圧部分の少なくとも一部または燃焼プロセスの高圧部分の全体を含み、
・かつ/または第2のクランク角度領域が、燃焼プロセスの高圧部分の上死点前方30°から燃焼プロセスの高圧部分の上死点後方120°までを含むように構成可能である。
【0018】
場合により、出力データ流が、第1のクランク角度領域と第2のクランク角度領域との間の移行領域に移行データ流を含み、または移行データ流によって形成され、この移行データ流により、変換された第1の燃焼室信号データ流と変換された第2の燃焼室信号データ流との間での連続的かつ/または平滑な移行が形成され、移行データ流は、融合関数、例えば特にガウス積分曲線または線形関数により形成されるように構成可能である。
【0019】
場合により、第1のフィルタおよび第2のフィルタは相互に独立であり、任意にパラメータ化可能であるように構成可能である。
【0020】
場合により、第1のフィルタが、燃焼プロセスの低圧部分において、燃焼室信号または第1の燃焼室信号データ流の基礎平滑化を行うべく構成されるように、かつ/または第1のフィルタが、関連の障害、例えば機械的障害、または弁の閉鎖によって生じる固体伝播振動をフィルタリングすべく構成されるように構成可能である。
【0021】
場合により、第2のフィルタが、燃焼プロセスの高圧部分において、特にセンサの取り付けによって生じる障害をフィルタリングし、ただし他の振動、例えばノッキング振動は通過させるべく構成されるように構成可能である。
【0022】
場合により、1つまたは複数のフィルタが、ローパスフィルタ、バンドパスフィルタ、バンドストップフィルタまたは数値的な平滑化のためのフィルタとして構成されるように構成可能である。
【0023】
場合により、第1のフィルタはローパスフィルタであり、または第1のフィルタは1kHzから5kHzまでの限界周波数を有するローパスフィルタであるように構成可能である。
【0024】
場合により、第2のフィルタはローパスフィルタであり、または第2のフィルタは20kHzから100kHzまでの限界周波数を有するローパスフィルタであるように構成可能である。
【0025】
場合により、1つまたは複数のフィルタが、各燃焼室信号データ流をリアルタイムでフィルタリングすべく構成されるように構成可能である。
【0026】
場合により、燃焼室信号は、燃焼室のシリンダ圧力信号または図示機関の燃焼室圧力センサの圧力信号であるように構成可能である。
【0027】
場合によりフィルタリングされた1つまたは複数の燃焼室信号データ流のフィルタ実行時間が補償され、かつ/またはクランク角度ベースへの変換およびフィルタ実行時間の補償が1つのステップで、特には同時に行われるように構成可能である。
【0028】
場合により、クランク角度信号は、クランク角度ピックアップによって記録されたクランク角度特性に相当するように構成可能である。
【0029】
場合により、時間同期ディジタル化は、それぞれ、特に2MHzのサンプリングレートを有する18ビット変換器であるA/D変換器によって行われるように構成可能である。
【0030】
場合により、1つまたは複数のフィルタは、ディジタルフィルタ段、特にFIR(有限インパルス応答フィルタ)タイプのディジタルフィルタ段であるように構成可能である。
【0031】
場合により、出力データ流の形成が、リアルタイムで、ただし特に補償すべきフィルタ実行時間の遅延をともなうリアルタイムで行われるように構成可能である。
【0032】
場合により、出力データ流の形成が、リアルタイムで、特には補償すべきフィルタ実行時間の遅延をともなうリアルタイムで行われ、変換された各燃焼室信号データ流を組み合わせて出力データ流とするために、ディジタルシグナルプロセッサまたはFPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)が使用されるように構成可能である。
【0033】
場合により、本方法が、
・燃焼室信号データ流を、第1の燃焼室信号データ流、第2の燃焼室信号データ流および第3の燃焼室信号データ流または別の燃焼室信号データ流へ分割または多重化するステップ、
・場合により、第3の燃焼室信号データ流または別の燃焼室信号データ流を、第3のフィルタまたは別のフィルタにおいてフィルタリングするステップ、
・記録されたクランク角度信号データ流を用いて、場合によりフィルタリングされた第3の燃焼室信号データ流または場合によりフィルタリングされた別の燃焼室信号データ流を時間ベースからクランク角度ベースへ変換することにより、変換された第3の燃焼室信号データ流または変換された別の燃焼室信号データ流を形成するステップ、
・変換された各燃焼室信号データ流を組み合わせ、これにより、出力データ流を、第1のクランク角度領域では変換された第1の燃焼室信号データ流によって、第2のクランク角度領域では変換された第2の燃焼室信号データ流によって、第3のクランク角度領域または別のクランク角度領域では変換された第3の燃焼室信号データ流または変換された別の燃焼室信号データ流によって形成するステップ、
を含むように構成可能である。
【0034】
場合により、変換された第1の燃焼室信号データ流(p1(phi))と少なくとも1つの変換された別の燃焼室信号データ流(pn(phi))の値との間の移行のために、任意に設定可能なクランク角度ウィンドウ(z)が定められ、当該移行が、
phi<phi1のときpr(phi)=p1(phi)
phi1≦phi≦phi1+zのときpr(phi)=p1(phi)×(1−u(phi−phi1))+pn(phi)×u(phi−phi1)
phi1+z<phi<phinのときpr(phi)=pn(phi)
phin≦phi≦phin+mのときpr(phi)=pn(phi)×(1−u(phi−phin))+p1(phi)×(u(phi−phin))
phin+m<phiのときpr(phi)=p1(phi)
の規定にしたがって行われ、
ここで、phiはクランク角度であり、phi1は任意に設定可能な第1のクランク角度であり、phinは任意に設定可能な別のクランク角度であり、p1(phi)は変換された第1の燃焼室信号データ流であり、pn(phi)は変換された別の燃焼室信号データ流であり、uは移行データ流を形成する融合関数であり、zは任意に設定可能な第1のクランク角度ウィンドウであり、mは任意に設定可能な別のクランク角度ウィンドウであり、prは出力データ流であるように構成可能である。
【0035】
第1の例示的実施形態によれば、求められた設定可能なクランク角度領域においてのみ適用されるフィルタ、特にディジタルフィルタの使用が提案される。弁の閉鎖による障害振動は、例えばOT(上死点)前方120°の領域で発生する。障害のないデータにとって必要な熱力学的ゼロ点補正に対しては、典型的に、OT前方100°から50°までの領域が用いられる。これに対して、最大圧力勾配およびノッキング振動は、最初、OTの周囲およびその後方で発生する。したがって、ローパスフィルタはOT前方約30°までのみで作用するようにされ、その後遮断されると有利である。ただし、フィルタを急に不活性化すると、典型的には、信号特性に不連続性が生じる。このことを回避するために、フィルタリングされた信号とフィルタリングされない信号との間の連続的なまたは平滑な移行が行われる。このために、いわゆる融合関数(例えばガウス積分曲線)が使用され、当該移行のためのクランク角度領域が定義される。すなわち、
圧力が関数p(phi)で与えられ、ローパスフィルタリングされた圧力曲線がpfilt(phi)で与えられ、融合関数がu(x)で与えられ、ここでu(0)=0かつu(z)=1でなければならない場合、補正された圧力曲線pk(phi)に対して、
phi<phi1のときpk(phi)=pfilt(phi)
phi1≦phi≦phi1+zのときpk(phi)=pfilt(phi)×(1−u(phi−phi1))+p(phi)×u(phi−phi1)
phi1+z<phiのときpk(phi)=p(phi)
が該当する。
【0036】
第1の実施形態または別の例示的実施形態によれば、A/D変換器から送出された高周波データ流(例えば2MHzのサンプリングレートを有する18ビット)は、測定システムのエンドユーザが任意に定義可能なタイプおよび限界周波数を有する、相互に独立した(例えばFIRタイプの)2つのディジタルフィルタ段へ導通される。ここでは、これは例えばローパス段またはバンドストップ段であってよい。後者は例えば、シリンダ圧力曲線の高圧部分でセンサの取り付けに依存する狭帯域の共振が発生する場合に有利である。当該フィルタリングに続き、クランク角度ピックアップの信号を使用して、データがクランク角度へ変換される。当該ステップでは、ディジタルフィルタのリアルタイム計算に基づく不可避のフィルタ実行時間が考慮および補償されるので、回転数が種々に異なる場合にも、フィルタによる、クランク角度軸線に関する信号オフセットが発生しない。これに続いて、クランク角度に依存するフィルタリングを経て形成された2つの信号特性が再び唯一の特性へと組み合わされる。この場合、基本特性として、好ましくは、第1のフィルタ、特にベースフィルタによってフィルタリングされた曲線が用いられる。ユーザが任意に定義可能な所定のクランク角度phi1から、結果信号に対して、第2の曲線の値が取り入れられ、同様に任意に定義可能な別のクランク角度phi2からは、再び第1の曲線が取り入れられる。
【0037】
しかし、移行部での不連続性を回避するために、好ましくは硬性の切り替えは行われず、第1のフィルタによりフィルタリングされた曲線と第2のフィルタによりフィルタリングされた曲線との間での平滑な移行が行われる。このために、融合関数(例えばガウス積分曲線)が用いられ、当該移行に対するクランク角度ウィンドウ(n)が定義される。すなわち、
フィルタ1によりフィルタリングされた圧力曲線が関数p1(phi)で与えられ、フィルタ2によりフィルタリングされた圧力曲線が関数p2(phi)で与えられ、融合関数がu(x)で与えられ、ここでu(0)=0かつu(z)=1でなければならない場合、得られる圧力曲線pr(phi)に対して、
phi<phi1のときpr(phi)=p1(phi)
phi1≦phi≦phi1+zのときpr(phi)=p1(phi)×(1−u(phi−phi1))+p2(phi)×u(phi−phi1)
phi1+z<phi<phi2のときpr(phi)=p2(phi)
phi2≦phi≦phi2+zのときpr(phi)=p2(phi)×(1−u(phi−phi2))+p1(phi)×(u(phi−phi2))
phi2+z<phiのときpr(phi)=p1(phi)
が該当する。
【0038】
可能な融合関数u(phi)の例は、例えば線形関数またはガウス積分曲線でありうる。
【0039】
シリンダ圧曲線のフィルタリングされた特性を形成する方法は、場合により、ディジタル化された圧力曲線を、タイプおよび限界周波数の点で任意にパラメータ化可能な2つのディジタルフィルタ段を通して導通し、続いてフィルタ段の出力特性を、得られた新たな圧力曲線にさらに組み合わせるステップを含み、ここで、定義可能なクランク角度の前方では第1のフィルタの出力特性の値が用いられ、その後方では第2のフィルタの出力特性の値が用いられ、さらにその後方では第1のフィルタの出力特性の値が用いられる。
【0040】
好ましくは、ディジタルフィルタの出力曲線間の平滑な切り替えが融合関数を用いて行われるように構成される。この場合、好ましくは、フィルタリングされたデータを時間ベースからクランク角度へ変換し、ディジタルシグナルプロセッサまたはFPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)において、出力曲線を、得られたクランク角度に依存する特性にリアルタイムで組み合わせるディジタルフィルタリングが行われる。
【0041】
以下では、本発明の例示的な実施形態を図に即して詳細に説明する。