(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。なお、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。また、図面において、縮尺及び縦横の比率などは説明の便宜上示したものであり、適宜変更可能である。
【0012】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態における窓用光フィルターの模式的斜視図を示す図であり、
図2は、第1実施形態における窓用光フィルターの断面構造を示す図である。
以下、図面を用いて、詳述する。
【0013】
[光フィルター]
本実施形態の光フィルター100は、窓に貼着して用いられるものであって、これにより、太陽光を選択的に遮光できる。光フィルター100は、光透過性基材50と、複数の遮光層51とが交互に積層したものである。
図1には、遮光層51として、遮光層110、および遮光層120が示され、遮光層110、光透過性基材50、および遮光層120がこの順に積層した例が示されている。
【0014】
本実施形態の光フィルター100の厚みは、0.4mm以上、2.0mm以下であり、好ましくは0.5mm以上、0.8mm以下である。光フィルター100の厚みを、上記下限値以上とすることにより、光の遮光性が良好になり、上記上限値以下とすることにより、窓に貼着しやすくなる。
【0015】
[光透過基材]
光透過性基材50は、板状またはフィルム状である。光透過性基材50は、可視光透過率が80%以上のものが好ましく、90%以上のものがより好ましい。これにより、鮮明で、明るい視野を得ることができる。
光透過性基材50の材料としては、透明樹脂であることが好ましく、例えば、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、およびポリスチレンなどが挙げられる。これらは、光フィルター100の用途、目的に応じ、強度や屈折率などを考慮して、適宜選択することができる。効果的に回折現象を抑制する観点から、アクリル樹脂、またはポリエステル樹脂であることが好ましい。
【0016】
光透過性基材50の厚みは、好ましくは0.1mm以上、2.0mm以下であり、より好ましくは0.15mm以上、0.3mm以下である。光透過性基材50の厚みは、光フィルター100全体の厚みと、遮光性を鑑みて、適宜、設計される。
光透過性基材50の厚みを、上記下限値以上とすることにより、光透過の選択性を保持しつつ、後述する光透過帯11の幅を大きくすることができる。一方、光透過性基材50の厚みを、上記上限値以下とすることにより、光フィルター100全体の厚みを低くし、窓に貼着して使用しやすくなる。
【0017】
なお、光フィルター100の厚みとは、光透過性基材50が単数の場合は光透過性基材50そのものの厚みにほぼ等しい。光透過性基材50が複数の場合は、最外層となる一方の光透過性基材50の外面から他方の光透過性基材50の外面までの距離が総厚となる。複数の光透過性基材50が接着層を介して積層されている場合は、当該接着層の厚みを含む。
【0018】
[遮光層]
本実施形態において、遮光層110と遮光層120とは、光透過性基材50に対して、対称となっている。言いかえると、遮光層110と遮光層120とは、光透過性基材50を介して対向している。これにより、光透過性基材50に対して、正面方向からの光を透過し、斜め方向からの光を透過させないようにできる。遮光層110、および遮光層120は、同じ構成とすることができる。
以下、遮光層110について詳述する。
【0019】
図1に示すように、遮光層110は、光透過性基材50の表面に形成され所定のピッチで配置された実質的に平行な複数の遮光帯10と、隣接する遮光帯10の間に形成される光透過帯11とを備える。
【0020】
遮光帯10は、光を遮断するものである。本実施形態において、遮光帯10は、短冊状であり、互いに平行になっている。
遮光帯10は、可視光透過率が30%以下であることが好ましく、10%以下であることがより好ましい。これにより、透過させたくない光を効果的に遮断できる。
【0021】
遮光帯10は薄層である。遮光帯10の厚みは、光吸収を充分に行う観点からは2μm以上であることが好ましく、一方、遮光帯10の厚みによりななめ方向からの光が反射して良好な視界が妨げられることを抑制する点からは、30μm以下であることが好ましく、10μm以下であることがより好ましい。
【0022】
遮光帯10は、印刷層であることが好ましい。印刷層とは、印刷により形成された層である。これにより、遮光帯10の厚みを小さくでき、遮光帯10の厚みにより光が反射することによる良好な視界が妨げられることを低減できる。また、簡便な方法で遮光帯10を形成できると共に、遮光帯10の設計の自由度を増すことができる。
遮光帯10の印刷方法としては、スクリーン印刷法、グラビア印刷法、厚膜印刷法など、公知の方法を用いることができる。その際、黒色インキ、または黒色顔料を使用することが好ましい。
光透過性基材50は、一方の面に遮光帯10を有したものであってもよく、両面に遮光帯10を有したものであってもよいが、遮光帯10の位置精度を向上させ、遮光性の選択性を良好にしつつ、良好な視界を得る観点から、一方の面に遮光帯10を有することが好ましい。この場合、光フィルターは、一方の面に遮光帯10を有した光透過性基材50が少なくとも2層以上積層した構造となる。
【0023】
光透過帯11は、遮光層110の遮光帯10が配置されていない領域に相当する。光透過帯11により、光フィルター100の光透過性を保持できる。
光透過帯11の平均幅は、光フィルター100の厚みに応じて設計されるものであり、本実施形態においては、150μm以上、500μm以下であり、170μm以上、300μm以下であることが好ましく、190μm以上、250μm以下であることがより好ましい。
光透過帯11の平均幅を、上記下限値以上とすることにより、光透過性を良好にし、視界を良好にできる。一方、光透過帯11の平均幅を、上記上限値以下とすることにより、遮光効果が得られる。
なお、幅とは、平行する遮光帯10に対し直交する方向における光透過帯11の長さを意図する。
【0024】
また、光透過帯11の平均幅は、光フィルター100の総厚の0.2倍〜0.6倍であることが好ましく、0.3倍〜0.4倍であることがより好ましい。光透過帯11の平均幅を、上記下限値以上とすることにより、光透過性を良好にし、視界を良好にできる。一方、光透過帯11の平均幅を、上記上限値以下とすることにより、遮光効果が得られる。
【0025】
一方、遮光帯10の幅は、遮光層51の数Nによって設計され、遮光層51の数が増えるにしたがい、遮光帯10の幅の下限値を小さくすることができる。
ここで、実際に、光フィルター100中を進行する光線の光透過性基材50(境界面)への入射角は、臨界角(θth)を超えることはない。そこで、光フィルター100の総厚みをTとすると、遮光帯10の幅は、以下の式(1)により設定される。
遮光帯11の幅>T/(N−1)× Tan(θth) (1)
例えば、光透過性基材50の屈折率が1.5であるとき、臨界角θthはおおよそ42°となるので、遮光帯11の幅は、光フィルター100の総厚Tに対して、N=2の場合0.87倍以上、N=3であれば0.44倍以上、N=4であれば0.29倍以上とするのが好ましい。
【0026】
[光フィルターの作用]
本実施形態の光フィルター100は、窓に貼着して使用されるため、光透過帯11、光透過帯12の平均幅が150μm以上、500μm以下であり、光フィルター100の厚みが0.4mm以上、2.0mm以下であるという一体の構成を備える。これにより、窓の外からの太陽光を選択的に透過できるとともに、光の回折現象を低減し、窓の外観を良好にできる。
【0027】
まず、本発明による光の選択作用について説明する。
図2は、本実施形態における光フィルター100の断面構造を示す図である。
図2に示すように、光フィルター100は、一方の面上に遮光層110、他方の面上に遮光層120を備え、遮光層110は、遮光帯10および光透過帯11を、遮光層120は、遮光帯20および光透過帯21を、それぞれ有している。
【0028】
図2に示すように、光フィルター100の一方の面へ入射した光は、一部のみが光透過性基材50に入射し光透過性基材50を透過して光フィルター100の他方の面側から出射されるが、他の部分は、遮光帯10に吸収されたり、遮光帯20に吸収される。これにより、光を選択的に透過させることができる。
【0029】
さらに、回折現象を抑制する作用について説明する。
光の回折現象は、一般に、互いに平行な光透過帯と遮光帯が交互に配列された回折格子に単色光が垂直方向に入射されると、光は回折格子と直交する方向に、複数の回折光に分かれて進むことによって生じる現象である。複数の回折光は、進行方向の角度がわずかに異なり、入射光の中心軸に近い方から0次光、±1次光、±2次光、(以下、高次光)と順序づけて呼ばれる。
また、光の強度は、かかる0次光、±1次光、±2次光の順に低くなると同時に波長に応じて変化する。
そのため、0次光の周りには、光透過帯から生じた多数の高次光(回折光)が波長ごとにその進行方向が角度的にずれながら連なり合うために、物体の周りに虹色のぼやけた輪郭線(回折像)が見られる。
光透過帯の幅を大きくすることで各高次光の進行方向の角度が小さくなることはよく知られているが、本発明者によれば、この幅を150μm以上にすることによって、高次光の出射角度が零次光のごく近傍に収斂し、零次光の裾野となり、物体の周りに出現する虹色の回折像が視認されにくくなることが知見された。
一方、本実施形態の光フィルター100においては、光の選択性は、光フィルター100の厚み、光透過帯11および遮光帯10の幅によって制御される。そこで、本発明においては、光フィルター100は、窓に貼着使用されるため、光透過帯11、光透過帯12の平均幅を150μm以上、500μm以下としつつ、光フィルター100の厚みを0.4mm以上、2.0mm以下とすることによって、光の選択性、すなわち遮光性を得つつも、回折像を見えにくくすることができることが見出された。
【0030】
さらに本発明は、以下の構成を備えることで、光の回折現象を効果的に抑制できる。
図3に示すように、本実施形態において、光透過帯11aの両辺は櫛形形状となっている。すなわち、連続した凹凸部を有している。また両辺の櫛型は左右対称であり、凸部同士、凹部同士が対向している。言い換えると、光透過帯11aの側辺には、スリットが周期的に形成されている。すなわち、光透過帯11aは光フィルター100のX方向の回折スリットであるのに対し、光透過帯11aの側辺に着目すると、光透過帯11aの側辺は光フィルター100のY方向の回折スリットとなっている。
なお、光フィルター100のY方向の回折スリットは、厳密な意味において、周期的なものでなくてもよい。周期性を低減させることで、後述する回折像の振幅分布が干渉しやすくなる。
【0031】
図4に示すように、光透過帯11aは、第1の幅P1と、長さが異なる第2の幅P2とを有する。すなわち、光透過帯11aの左右の側辺のうち少なくとも一方の側辺が非直線部を有するものとなっている。
第1の幅P1は、光透過帯11aの一方の凸部の頂点から対向する凸部の頂点までの距離であり、光透過帯11aの幅の最小値となる。第2の幅P2は、光透過帯11aの一方の凹部の底部から対向する凹部の底部までの距離であり、光透過帯11aの幅の最大値となる。
光透過帯11aの最大幅(第2の幅P2)が、光透過帯11aの平均幅に対して、1.0以上、1.35以下であることが好ましく、1.05以上、1.34以下であることがより好ましい。一方、光透過帯11aの最小幅(第1の幅P1)が、光透過帯11aの平均幅に対して、0.65以上、1.0以下であることが好ましく、光透過帯11aの平均幅に対して、0.66以上、0.95以下であることがより好ましい。これにより、1次光以降の高次光の強度を効果的に低くすることができ、回折現象をより効果的に低減することができる。
また、
図4(b)には、凸部の幅T1と、凹部の幅T2がそれぞれ示されている。T1、T2はそれぞれ、2μm以上、1mm以下であることが好ましく、5μm以上、100μm以下であることがより好ましい。これにより、1次光の強度を効果的に低下することができるようになる。
また、T1とT2は、同じ長さであってもよく、異なる長さであってもよい。すなわち、P1、P2に対し、T1、T2は垂直関係にあり、P1、P2は光透過帯11のX方向の幅を示すのに対し、T1、T2は光フィルター100のY方向の光透過帯11の側辺に形成された回折スリットの幅を示す。
【0032】
すなわち、本発明者によれば、異なる幅を持つ光透過帯とすることで、ある幅の光透過帯を透過した光の回折光の進行角度と、それとは異なる幅の光透過帯を透過した同一波長(同一色)の光の回折光の進行角度が異なるため、それぞれの回折像の振幅分布が干渉し、打ち消し合うことで、1次光以上の回折光の強度を著しく低下させることができることが回折現象のシミュレーション計算を行うことによって見出された。ただし、それぞれの回折像が干渉しあうためには、異なる幅を持つ光透過帯の段の高さ(後述する幅T1,T2など)が十分に小さくかつその組合せが光透過帯の長手方向に沿って連続することが必要である。このように、特に強度が高い1次光の強度を低下させることでより一層、回折光による輪郭線を見えにくくすることができる。言い換えると、高次光は、もともと光の強度が小さいため、たとえ干渉が十分でなくても、高次光自体は視認されにくく、回折現象として観察されにくい。
【0033】
[使用方法]
本実施形態の光フィルター100は、遮光帯20が水平方向になるように窓に貼着して使用されることが好ましい。これにより、窓の上方からの太陽光を効果的に遮光することができる。
【0034】
なお、本発明は、上記実施形態以外の他の構成を採用することもできる。
上記の実施形態では、光透過帯11aの両辺は櫛形形状となっている例について説明したが、光透過帯11の左右の側辺のうち少なくとも一方の側辺が非直線部を有するものとなっていればよい。例えば、光透過帯11の両辺が複数の段からなる凸部を有する凹凸形状であってもよい。この場合も、光透過帯11は、長さが異なる複数の幅を有することになるため、回折現象をより効果的に低減することができる。
具体的には、
図5に示すように、光透過帯11bは、左右が2段のピラミッド状であって連続する凸部を有している。この場合も、第1の幅P1は、光透過帯11aの一方の凸部の頂点から対向する凸部の頂点までの距離であり、光透過帯11aの幅の最小値となる。また、左右対称であり、凸部同士、凹部同士が対向している。第2の幅P2は、光透過帯11aの一方の凹部の底部から対向する凹部の底部までの距離であり、光透過帯11aの幅の最大値となる。
また、
図5(b)には、凸部の幅T1と、段の幅T2と、凹部の幅T3がそれぞれ示されている。幅T1〜T3はそれぞれ、2μm以上、1mm以下であることが好ましく、5μm以上、100μm以下であることがより好ましい。また、幅T1〜T3は、同じ長さであってもよく、異なる長さであってもよい。すなわち、P1、P2に対し、T1、T2は垂直関係にあり、P1、P2は光透過帯11のX方向の幅を示すのに対し、T1、T2は光フィルター100のY方向の光透過帯11の側辺に形成された回折スリットの幅を示す。
【0035】
また、例えば、光透過帯11の両辺が波状であったり、曲線部を有すものであってもよく、この場合も、光透過帯11は、長さが異なる複数の幅を有することになるため、回折現象をより効果的に低減することができる。
【0036】
また、上記の実施形態では、遮光層51として、遮光層110、および遮光層120を有する例について説明したが、遮光層51は、3層以上であってもよい。これにより、隠蔽性を高めることができる。さらに、遮光帯10の配置を各層ごとに設計できるため、光の選択の幅を広げることができる。たとえば、
図6に示すように、3つの光透過性基材50と、4つの遮光層51が交互に積層したものであってもよい。遮光層51はそれぞれ遮光帯10および光透過帯11を有する。この場合も、光フィルター101の一方の面から入射した光は、遮光帯10を透過し、光フィルター101の他方の面から出射できる。なお、3つの光透過性基材50と、3つの遮光層51が交互に積層したものであってもよい。
【0037】
なお、複数の光透過性基材50は、例えば、接着層を介して積層されてもよい。接着層としては、例えば、接着剤、接着テープ等であって、光透過性を阻害するものでなければ、特に限定されず用いることができる。接着層の厚みは、35〜45μmとすることが好ましい。
【0038】
また、上記実施形態では、遮光層110と遮光層120が光透過性基材50に対して対称である例について説明したが、遮光層110と遮光層120は、光透過性基材50に対して、非対称としてもよい。例えば、
図7に示すように、光フィルター102において、遮光層110に対して、平行な方向に移動させた位置に遮光層120が形成されている。
光透過帯11を介して光透過性基材50に入射した光は、光透過帯21を介して出射し、かつ、遮光帯10および遮光帯20により光透過性基材50に入射した光を吸収し、遮光している。これにより、光透過性基材50の正面からの光が制限され、斜め方向からの光を選択的に透過させることができる。
また、遮光層110と遮光層120の位置は、目的に応じて適宜調整することができる。
【0039】
以上、図面を参照して本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
以下、本発明の参考形態の一例を示す。
<1>
光透過性基材と、複数の遮光層とが交互に積層し、窓に貼着して使用される窓用光フィルターであって、
前記遮光層が、前記光透過性基材の表面に形成され所定のピッチで配置された実質的に平行な複数の遮光帯と、隣接する当該遮光帯の間に形成される光透過帯とを備え、
前記光透過帯の平均幅が150μm以上、500μm以下であり、
前記窓用光フィルターの厚みが0.4mm以上、2.0mm以下である、窓用光フィルター。
<2>
前記光透過帯の左右の側辺のうち少なくとも一方の側辺が非直線部を有する、<1>に記載の窓用光フィルター。
<3>
前記光透過帯の最大幅が、前記平均幅に対して、1.0以上、1.35以下であり、
前記光透過帯の最小幅が、前記平均幅に対して、0.65以上、1.0以下である、<1>または<2>に記載の窓用光フィルター。
<4>
前記光透過帯の左右の側辺のうち少なくとも一方の側辺が凹凸形状である、<1>乃至<3>いずれか一つに記載の窓用光フィルター。
<5>
前記光透過帯の両辺が櫛形形状である、<1>乃至<4>いずれか一つに記載の窓用光フィルター。
<6>
前記光透過帯の両辺が複数の段からなる凸部を有する凹凸形状である、<1>乃至<4>いずれか一つに記載の窓用光フィルター。
<7>
前記遮光帯が印刷層である、<1>乃至<6>いずれか一つに記載の窓用光フィルター。
<8>
前記遮光層を3層以上有する、<1>乃至<7>いずれか一つに記載の窓用光フィルター。
<9>
前記複数の前記遮光層が、前記光透過性基材に対して対称である、<1>乃至<8>いずれか一つに記載の窓用光フィルター。
<10>
<1>乃至<9>いずれか一つに記載の窓用光フィルターを、前記遮光帯が水平方向になるように窓に貼着して使用する、窓用光フィルターの使用方法。
【実施例】
【0040】
次に、実施例により本発明を詳しく説明するが、本発明の内容は実施例に限られるものではない。
【0041】
<実施例>
光透過性透明基材(ポリエステル:「コスモシャイン(登録商標)A4300」、厚さ188μm、東洋紡社製、無色透明)の一方の表面に、ピッチ900μmで、互いに平行な複数の黒色の直線(幅700μm)を印刷し、これを3枚用意した。このとき、光透過帯の平均幅は200μmであった。
続けて、得られた3枚の印刷済み光透過性透明基材を接着剤で貼り合わせた。このとき、印刷面がいずれも同じ側となるようにするともに、複数の黒色の直線同士が重なり合うように積層した。得られた光フィルターの厚みは、650μmであった。
黒色の直線が水平方向となるようにして光フィルターを持ち、顔の正面になるように保持した。その状態で、太陽光の下、光フィルター越しに対象物を目視にて観察した。
対象物は、光フィルターから至近距離の物体とした場合と、光フィルターから遠方の景色とした場合の2通りとした。
その結果、いずれの場合であっても、太陽光を遮断しつつ、正面方向において良好な視野を得ることができた。また、明瞭な像が観察でき、回折現象はほとんど視認されず、気にならないレベルまで低減することができた。
【解決手段】光フィルター100は、光透過性基材50と、複数の遮光層51とが交互に積層し、窓に貼着して使用されるものであって、遮光層51が、光透過性基材50の表面に形成され所定のピッチで配置された実質的に平行な複数の遮光帯10と、隣接する遮光帯10の間に形成される光透過帯11とを備え、光透過帯11の平均幅が150μm以上、500μm以下であり、光フィルター100の厚みが0.4mm以上、2.0mm以下である。