(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6695576
(24)【登録日】2020年4月24日
(45)【発行日】2020年5月20日
(54)【発明の名称】可撓性樹脂部品の運搬台車
(51)【国際特許分類】
B62B 3/00 20060101AFI20200511BHJP
B65D 19/10 20060101ALI20200511BHJP
B65D 19/44 20060101ALI20200511BHJP
B65D 85/68 20060101ALI20200511BHJP
【FI】
B62B3/00 D
B65D19/10
B65D19/44 D
B65D85/68 W
【請求項の数】10
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2019-83056(P2019-83056)
(22)【出願日】2019年4月24日
【審査請求日】2019年10月11日
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 2018年10月22日に西川ゴム工業株式会社に可撓性樹脂部品の運搬台車を販売した。
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】505200312
【氏名又は名称】株式会社岩井商会
(74)【代理人】
【識別番号】100121795
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴亀 國康
(72)【発明者】
【氏名】岩井 肇
(72)【発明者】
【氏名】橋原 一志
(72)【発明者】
【氏名】向井 秀二
【審査官】
川村 健一
(56)【参考文献】
【文献】
特開2018−188099(JP,A)
【文献】
特開平11−198817(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62B 1/00 − 5/08
B65D 19/00 − 19/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
線状の基体、その基体の一側面の上部及び下部からそれぞれ延伸する上側枝及び下側枝を有してなる可撓性樹脂部品を搬送する運搬台車であって、
矩形状の床枠の四隅から立設して四面を形成する支柱を有し、その四面の各面には、
前記支柱の上部に掛け渡され、前記可撓性樹脂部品を配列させて吊り下げる吊部材と、
前記支柱の上部に掛け渡され、前記可撓性樹脂部品の上側枝を支持する上側枝支持部材と、
前記支柱の下部に掛け渡され、前記可撓性樹脂部品の基体の下部を挟持する基体挟持部材と、
前記支柱の下部に掛け渡され、前記可撓性樹脂部品の下側枝を支持する下側枝支持部材と、を有し、
前記四面の対向する面に配設される前記吊部材、基体挟持部材、上側枝支持部材及び下側枝支持部材は、前記床枠からそれぞれ同じ高さ位置に設けられ、隣接する面に配設される前記吊部材、基体挟持部材、上側枝支持部材及び下側枝支持部材は、それぞれずれた高さ位置に設けられてなる運搬台車。
【請求項2】
線状の基体、その基体の一側面の上部及び下部からそれぞれ延伸する上側枝及び下側枝を有してなる可撓性樹脂部品を搬送する運搬台車であって、
矩形状の床枠の四隅から立設して四面を形成する支柱を有し、その四面の各面には、
前記支柱の上部に掛け渡され、前記可撓性樹脂部品を配列させて吊り下げる吊部材と、
前記支柱の上部に掛け渡され、前記可撓性樹脂部品の上側枝を支持する上側枝支持部材と、
前記支柱の下部に掛け渡され、前記可撓性樹脂部品の基体の下部を挟持する基体挟持部材と、
前記支柱の下部に掛け渡され、前記可撓性樹脂部品の下側枝を支持する下側枝支持部材と、を有し、
前記吊部材及び上側枝支持部材は、前記四面のうち一面を前面とし、その面に配設される吊部材及び上側枝支持部材の前記床枠からの高さ位置を基準高とすると、
後面に配設される吊部材及び上側枝支持部材は(基準高+Δh1)の高さ位置、左側面又は右側面に配設される吊部材及び上側枝支持部材は(基準高+Δh1+Δh2)の高さ位置、右側面又は左側面に配設される吊部材及び上側枝支持部材は(基準高+2×Δh1+Δh2)の高さ位置、に設けられ、
前記基体挟持部材及び下側枝支持部材は、前記可撓性樹脂部品の形状に合わせて、その基体の下部が前記基体挟持部材に挟持され、その下側枝が前記下側枝支持部材に支持されるように設けられてなる運搬台車。
ここで、Δh1及びΔh2は、運搬台車の四面からそれぞれに吊り下げられる可撓性樹脂部品の上側枝又は下側枝が相互に接触して損傷しないように設定される。
【請求項3】
吊部材は、可撓性樹脂部品の基体の上部を挟持する区画が連続的に配設された挟持部材と、可撓性樹脂部品の上側枝の基端部を挟持する区画が連続的に配設された支持部材と、を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の運搬台車。
【請求項4】
挟持部材は、帯状の弾性部材に平行する溝が配設され、その溝は懐を形成するように、溝底から左右の溝壁が次第に接近するように傾斜してなることを特徴とする請求項3に記載の運搬台車。
【請求項5】
吊部材及び上側枝支持部材は、支柱に固定されて延伸するアームに脱着可能に取付けられ、前記吊部材は前後位置が調整可能になっており、前記上側枝支持部材は高さ位置が調整可能になっていることを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載の運搬台車。
【請求項6】
基体挟持部材は、支柱に固定されて延伸するアームに脱着可能に取り付けられ、前後位置が調整可能になっており、下側枝支持部材は、支柱に固定されて延伸するアームに脱着可能に取り付けられて、高さ位置が調整可能になっていることを特徴とする請求項1〜5の何れか一項に記載の運搬台車。
【請求項7】
アームは、支柱に併設され、または前記支柱の一部を形成してなるアーム取付部材を介して前記支柱の所定の高さ位置に脱着可能に固定されるようになっていることを特徴とする請求項1〜6の何れか一項に記載の運搬台車。
【請求項8】
アームは、先端部の支柱取付部と、吊部材及び上側枝支持部材が脱着可能に固定される取付穴を有する本体と、尾端部の上側枝支持部材が脱着可能に固定される支持プレートを有し、
前記支柱取付部は、アーム取付部材に設けられた鍵穴に係合する突起を有する爪部と、前記本体の向きが運搬台車の一面に平行になるようにするターン部とを有し、
前記アーム取付部材に設けられる鍵穴は、その長手方向に所定間隔で設けられてなることを特徴とする請求項7に記載の運搬台車。
【請求項9】
支持プレートは、その高さ方向に沿って上側枝支持部材取付穴が複数設けられ、その上側枝支持部材に支持された可撓性樹脂部品の上側枝が運搬台車の四面から外部に飛び出すのを防止することができる程度の板幅と長さを有することを特徴とする請求項8に記載の運搬台車。
【請求項10】
運搬台車の四面から可撓性樹脂部品の基体が外部に飛び出すのを防止する飛出防止部材を有することを特徴とする請求項1〜9の何れか一項に記載の運搬台車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、線状の基体、その基体の一側面の上部及び下部からそれぞれ延伸する上側枝及び下側枝を有してなる可撓性樹脂部品を効率的に搬送する運搬台車に関する。
【背景技術】
【0002】
ウィンドウモールやウェザーストリップなどの自動車部品は、一般的にプラスチッケースなどの箱内に屈曲させ、積層・収納した状態で搬送されている。しかしながら、自動車部品の機能性又は経済性の向上、あるいは自動車のドア回りの外観品質の向上又はデザイン性を図るため、ヒドゥンタイプのグラスランのような、長尺で一部に剛性のない部分を有するとともに外観品質が重要視される可撓性樹脂部品の製品化が進められている。かかる物品は、外観品質が重要視されるため折り曲げや積層が禁止され、一物品毎の収納、運搬が可能な搬送方法が求められている。
【0003】
この一物品毎の収納、運搬が可能な搬送方法として、特許文献1に、基体の上端部に上側枝、下端部に下側枝が張り出してなる線状の可撓性樹脂部品を搬送する運搬台車であって、前記運搬台車の床枠の一縁に離隔して立設する支柱の上部に掛け渡され、前記可撓性樹脂部品の上側枝付根部を挟持する上挟持区画が連接して設けられてなる吊棒と、前記支柱の下部に掛け渡され、前記可撓性樹脂部品の基体下部を挟持する下挟持区画が連接して設けられてなる整列棒と、前記吊棒に併設されて前記可撓性樹脂部品の上側枝が載置される上受板と、前記整理棒に併設されて前記可撓性樹脂部品の下側枝が載置される下受板と、を有する運搬台車が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2018-188099号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の運搬台車は、ヒドゥンタイプのグラスランのように基体の上部に上側枝、下部に下側枝が張り出してなる線状の可撓性樹脂部品の搬送を、外観品質を保持して効率的に行うことができる。しかし、かかる可撓性樹脂部品の採用が進んでおり、さらに大量の可撓性樹脂部品を安全にトラック搬送することができる運搬台車が求められている。
【0006】
本発明は、このような従来の問題点、要請に鑑み、ヒドゥンタイプのグラスランのように長尺で一部に剛性のない部分を有し外観品質が重要視される可撓性樹脂部品を、安全かつ効率的にトラック搬送することができる運搬台車を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る運搬台車は、線状の基体、その基体の一側面の上部及び下部からそれぞれ延伸する上側枝及び下側枝を有してなる可撓性樹脂部品を搬送する運搬台車であって、矩形状の床枠の四隅から立設して四面を形成する支柱を有し、その四面の各面には、前記支柱の上部に掛け渡され、前記可撓性樹脂部品を配列させて吊り下げる吊部材と、前記支柱の上部に掛け渡され、前記可撓性樹脂部品の上側枝を支持する上側枝支持部材と、前記支柱の下部に掛け渡され、前記可撓性樹脂部品の基体の下部を挟持する基体挟持部材と、前記支柱の下部に掛け渡され、前記可撓性樹脂部品の下側枝を支持する下側枝支持部材と、を有し、前記四面の対向する面に配設される前記吊部材、基体挟持部材、上側枝支持部材及び下側枝支持部材は、前記床枠からそれぞれ同じ高さ位置に設けられ、隣接する面に配設される前記吊部材、基体挟持部材、上側枝支持部材及び下側枝支持部材は、それぞれずれた高さ位置に設けられてなる。
【0008】
また、本発明に係る運搬台車は、線状の基体、その基体の一側面の上部及び下部からそれぞれ延伸する上側枝及び下側枝を有してなる可撓性樹脂部品を搬送する運搬台車であって、矩形状の床枠の四隅から立設して四面を形成する支柱を有し、その四面の各面には、前記支柱の上部に掛け渡され、前記可撓性樹脂部品を配列させて吊り下げる吊部材と、前記支柱の上部に掛け渡され、前記可撓性樹脂部品の上側枝を支持する上側枝支持部材と、前記支柱の下部に掛け渡され、前記可撓性樹脂部品の基体の下部を挟持する基体挟持部材と、前記支柱の下部に掛け渡され、前記可撓性樹脂部品の下側枝を支持する下側枝支持部材と、を有し、前記吊部材及び上側枝支持部材は、前記四面のうち一面を前面とし、その面に配設される吊部材及び上側枝支持部材の前記床枠からの高さ位置を基準高とすると、後面に配設される吊部材及び上側枝支持部材は(基準高+Δh1)の高さ位置、左側面又は右側面に配設される吊部材及び上側枝支持部材は(基準高+Δh1+Δh2)の高さ位置、右側面又は左側面に配設される吊部材及び上側枝支持部材は(基準高+2×Δh1+Δh2)の高さ位置、に設けられ、前記基体挟持部材及び下側枝支持部材は、前記可撓性樹脂部品の形状に合わせて、その基体の下部が前記基体挟持部材に挟持され、その下側枝が前記下側枝支持部材に支持されるように設けられてなる。ここで、Δh1及びΔh2は、運搬台車の四面からそれぞれに吊り下げられる可撓性樹脂部品の上側枝又は下側枝が相互に接触して損傷しないように設定される。
【0009】
上記発明において、吊部材は、可撓性樹脂部品の基体の上部を挟持する区画が連続的に配設された挟持部材と、可撓性樹脂部品の上側枝の基端部を挟持する区画が連続的に配設された挟持部材と、を有するものとすることができる。この挟持部材は、帯状の弾性部材に平行する溝が配設され、その溝は懐を形成するように、溝底から左右の溝壁が次第に接近するように傾斜してなるものが好ましい。
【0010】
吊部材及び上側枝支持部材は、支柱に固定されて延伸するアームに脱着可能に取付けられ、前記吊部材は、前後位置が調整可能になっており、前記上側枝支持部材は高さ位置が調整可能になっているものが好ましい。
【0011】
アームは、支柱に設けられたアーム取付部材の所定の高さ位置に脱着可能に固定されるようになっており、前記アームは、先端部の支柱取付部と、吊部材及び上側枝支持部材が脱着可能に固定される取付穴を有する本体と、尾端部の上側枝支持部材が脱着可能に固定される支持プレートを有し、前記支柱取付部は、前記アーム取付部材に設けられた鍵穴に係合する突起を有する爪部と、前記本体の向きが運搬台車の一面に平行になるようにするターン部とを有し、前記アーム取付部材に設けられる鍵穴は、その長手方向に所定間隔で設けられてなるものとすることができる。
【0012】
支持プレートは、その高さ方向に沿って上側枝支持部材取付穴が複数設けられ、その上側枝支持部材に支持された可撓性樹脂部品の上側枝が運搬台車の四面から外部に飛び出すのを防止することができる程度の板幅と長さを有するものがよい。
【0013】
運搬台車の四面から可撓性樹脂部品の基体が外部に飛び出すのを防止する飛出防止部材を設けるのがよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明にかかる運搬台車は、長尺で一部に剛性のない部分を有し外観品質が重要視される可撓性樹脂部品を吊り下げて整列収納するようになっているため、可撓性樹脂部品同士の接触、擦れ又は重なりによる擦りきず、圧痕、折れ曲り又は変形を防止することができ、外観品質を保持しつつ効率的にトラック搬送をすることができる。運搬台車に可撓性樹脂部品を収納し又は取り出す際に、作業者は可撓性樹脂部品に正対して立ち位のまま作業をすることができ作業性が高い。また、本発明にかかる運搬台車は、そのまま自動車の組立ライン脇に置き、部品ストックとして使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明に係る運搬台車の可撓性樹脂部品の収納状態を示す模式図である。
【
図2】本発明に係る運搬台車の構成を示す説明図である。
【
図3】
図2に示す運搬台車の吊部材を示す説明図である。
【
図4】
図3に示す吊部材の挟持部材、アーム部分の詳細を示す説明図である。
【
図7】本発明に係る運搬台車のアームと支柱に設けられたアーム取付部材の構造を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を実施するための形態について図面を基に説明する。
図1は本発明に係る運搬台車に可撓性樹脂部品を収納した状態を示し、
図2は本発明に係る運搬台車の構成を示す。
図1に示すように、可撓性樹脂部品60は、線状の基体61、その基体61の一側面の上部及び下部からそれぞれ延伸する上側枝62及び下側枝63を有している。可撓性樹脂部品60の形状は、車種等に異なり、必ずしも一定ではない。例えば、基体61は、多くは直線状のものであるが彎曲状のものもあり、その長さも種々である。また、上側枝62又は下側枝63の取付高さ位置は、基体61の端部に近いものからややはなれたものがあり、下側枝63は直線状のものに限らず、屈曲したものもある。基体61、上側枝62及び下側枝63は必ずしも同一平面上になく、基体平面に対して上側枝平面又は下側枝平面が傾斜しているものもある。すなわち、
図1において基体平面が紙面上にある場合に、上側枝平面又は下側枝平面が本紙面と交差した平面上にあるものがある。
【0017】
かかる可撓性樹脂部品60は、
図1に示すように、運搬台車の吊部材10に配列して吊り下げられる。吊部材10は、基体61の上部が挟持されるように吊り下げるのが好ましく、これにより可撓性樹脂部品60の位置を固定して配列させることができる。そして、可撓性樹脂部品60の上側枝62は、上側枝支持部材20に支持され、下側枝63は下側枝支持部材40に支持される。また、可撓性樹脂部品60が搬送中に移動して配列を乱すことがないように、基体61の下部を挟持する基体挟持部材30が設けられる。しかしながら、基体61の長さが短い場合は、基体挟持部材30を省くことができる場合がある。かかる場合であって、下側枝63が屈曲している場合には、屈曲箇所を挟んで2つの下側枝支持部材40を設けることにより、可撓性樹脂部品60を挟持することができる場合がある。
【0018】
上記可撓性樹脂部品60は、例えば、
図2に示す運搬台車50に収納されてトラック等により搬送される。
図2に示す運搬台車50は、矩形状の床枠51の四隅から立設して四面を形成する支柱52(52A〜52D)を有し、その各四面に、以下の部材を有している。すなわち、支柱52の上部に掛け渡され、可撓性樹脂部品60を配列させて吊り下げる吊部材10(10A〜10D)と、支柱52の上部に掛け渡され、可撓性樹脂部品60の上側枝62を支持する上側枝支持部材20(20A〜20D)と、支柱52の下部に掛け渡され、可撓性樹脂部品60の基体61の下部を挟持する基体挟持部材30(30A〜30D)と、支柱52の下部に掛け渡され、可撓性樹脂部品60の下側枝63を支持する下側枝支持部材40(40A〜40D)と、を有している。そして、上記運搬台車50の床枠51の上に形成される四面において、例えば、前面と後面の対向する面に配設される吊部材10Aと10C、基体挟持部材30Aと30C、上側枝支持部材20Aと20C及び下側枝支持部材40Aと40Cは、床枠51からそれぞれ同じ高さ位置に設けられる。一方、上記前後面に隣接する左側面又は右側面に配設される吊部材10Bと10D、基体挟持部材30Bと30D、上側枝支持部材20Bと20D、及び下側枝支持部材40Bと40Dは、前後面に配設されるものとはそれぞれずれた高さ位置に設けられる。なお、左側面と右側面の対向する面においては、上記前面と後面と同様に、各部材は同じ高さ位置に設けられる。これにより、四方から収納される可撓性樹脂部品60の相互の接触や重なりにより収納できないという不都合や、上側枝62又は下側枝63の相互の接触による損傷(外観品質の毀損、折れ曲がりなど)を防止することができる。また、本運搬台車50においては、可撓性樹脂部品60の基体61部分が、運搬台車50の四面に近接する位置に吊り下げられる。このため、可撓性樹脂部品60が運搬台車50から外部に飛び出さないように、飛出防止部材57を設けるのがよい。飛出防止部材57は必要に応じて設けられ、脱着容易であるとともに、紛失防止のため不要時においても運搬台車50に付着されているのが好ましい。なお、
図2には、運搬台車50の左側面に配設される飛出防止部材57のみを示す。
【0019】
上記吊部材部分の詳細を
図3に示す。本例の吊部材は、可撓性樹脂部品60が基体平面に対して上側枝平面が傾斜している場合に使用される。吊部材10は、挟持部材11と支持部材12とがアーム15に取り付けられて、運搬台車50の支柱52に掛け渡される。挟持部材11は可撓性樹脂部品60の基体61の上部を連続的に配設された区画により挟持することができる。挟持部材11は、
図3及び
図4に示すように、凸条111の間に平行する溝113が配設された帯状の弾性部材110がケース115に収納されて一体になった形態をしている。凸条112は端部に設けられる凸条である。弾性部材110に配設された溝部分は、懐を形成し、溝底から左右の溝壁が次第に接近するように傾斜した形態をしているものが好ましい。これにより、
図4(a)に示すように(一点鎖線部分)、可撓性樹脂部品60に左右部品があって基体61(61A、61B)が垂直面に対して傾いた形状をしているものであっても確実に挟持することができる。弾性部材110は、その材質を樹脂、例えばポリエチレンフォームを使用することができる。
【0020】
支持部材12は、可撓性樹脂部品60の上側枝62の基端部を連続的に配設された区画により支持することができる。支持部材12は、
図3に示すように、山形の凸条121が連続的に配設されて山谷が形成されており、この谷部分によって可撓性樹脂部品60の上側枝62の基端部が支持される。本例の吊部材10は、挟持部材11が可撓性樹脂部品60の基体61の上部を挟持し、支持部材12が可撓性樹脂部品60の荷重を支えることにより可撓性樹脂部品60を配列させて吊り下げることができる。なお、可撓性樹脂部品60の基体61の上部及び上側枝62の基端部を一体に挟持できるものであれば、1つの挟持部材からなるものであってもよい。また、可撓性樹脂部品60が全体的に平板状である場合には、支持部材を挟持部材11と同等のものとすることができる。
【0021】
ケース115は、
図4(a)に示すように、取付部116を有し、例えば穴117を介してボルト及びナットによりアーム15に脱着可能に固定することができる。そして、ケース115は穴117の中心回りに揺動させ、可撓性樹脂部品60を挟持部材11の溝113及び支持部材12の谷部分にフィットさせることができる。
【0022】
アーム15は、
図4(b)に示すように、先端部に支柱取付部152、尾端部に支持プレート153を有し、本体151には挟持部材11及び支持部材12を取り付ける取付穴155が設けられている。アーム15は、支柱取付部152を介して支柱52に脱着可能に固定されるようになっている。支持プレート153には、上側枝支持部材20が取り付けられるようになっており、上側枝支持部材20の取付け高さが調整でき、脱着可能に固定できるように複数の取付穴156が設けられている。また、この支持プレート153は、上側枝支持部材20に支持された上側枝62が運搬台車の四面から外部に飛び出すのを防止する飛出防止部として機能するようになっている。
【0023】
上側枝支持部材20は、上述のように、アーム15の支持プレート153に固定し、支柱間に掛け渡すことができる。
図1に示す上側枝支持部材20は丸パイプを使用しているが、上側枝支持部材20は丸状又は角状のパイプ、棒又は板を使用することができる。
【0024】
基体挟持部材30は、
図5に示すように、支柱52に脱着可能に固定されるアーム35を介して運搬台車50の支柱間に掛け渡されるようになっている。基体挟持部材30は挟持部材11と同等のものを使用することができる。アーム35の支柱取付部35aは、アーム15の支柱取付部152と同等形状にすることができる。
【0025】
下側枝支持部材40は、
図6に示すように、支柱52に脱着可能に固定されるアーム45を介して運搬台車50の支柱間に掛け渡されるようになっている。下側枝支持部材40は、上側枝支持部材20と同等のものを使用することができる。アーム45の支柱取付部45aは、アーム15の支柱取付部152と同等形状にすることができる。アーム45の支持プレート45bは、アーム15の支持プレート153と同等形状にすることができる。
【0026】
上述のように、
図2に示す運搬台車50は、その四面に掛け渡される吊部材10等について、前後面に配設される吊部材10(10A、10C)等は同じ高さ位置、左右面に配設される吊部材10(10B、10D)等はずれた高さ位置に配設される。しかしながら、可撓性樹脂部品60の形状や大きさは上記のように種々であり、この一方、トラック搬送を考慮すると運搬台車のサイズは所定のサイズに限定される。このため、運搬台車50に配設される吊部材10等が上記のように配設される場合においては、上側枝62又は下側枝63が相互に接触又は折り重なる場合を生ずる。
【0027】
運搬台車50に種々の形状や大きさを有する可撓性樹脂部品60を収納するには、吊部材10等を以下の様に配設するのがよい。すなわち、運搬台車50の四面のうち一面を前面とし、その面に配設される吊部材10(10A)及び上側枝支持部材20(20A)の床枠51からの高さ位置を基準高とすると、後面に配設される吊部材10(10C)及び上側枝支持部材20(20C)は(基準高+Δh1)の高さ位置、左側面又は右側面に配設される吊部材10(10B又は10D)及び上側枝支持部材20(20B又は20D)は(基準高+Δh1+Δh2)の高さ位置、右側面又は左側面に配設される吊部材10(10D又は10B)及び上側枝支持部材20(20D又は20B)は(基準高+2×Δh1+Δh2)の高さ位置、に設ける。そして、基体挟持部材30及び下側枝支持部材40は、可撓性樹脂部品60の形状に合わせて、その基体61の下部が基体挟持部材30に挟持され、その下側枝63が下側枝支持部材40に支持されるように設ける。ここで、Δh1及びΔh2は、運搬台車50の四面からそれぞれに吊り下げられる可撓性樹脂部品60の上側枝62又は下側枝63が相互に接触して損傷しないように設定される。Δh1は0〜100mm、Δh2は0〜200mmとすることができる。
【0028】
上記の様に、種々の可撓性樹脂部品60の搬送を考慮すると、運搬台車50に配設する吊部材10等は、高さ位置が調整できるようになっているのがよい。以下に、運搬台車50の高さ位置調整が可能な吊部材10等の支柱52への取付構造を示す。
図7に、吊部材10のアーム15を支柱55に固定する取付構造の例を示す。
図7(a)は、角形鋼管に沿ってアーム取付部材55が設けられた支柱52と、そのアーム取付部材55に脱着可能に固定されるアーム15を示す。アーム15は、アーム取付部材55に係合する支柱取付部152を有し、支柱取付部152はアーム取付部材55に設けられた鍵穴55aに係合する爪部152aを有する。鍵穴55aは、角形で、正面から側面部にわたる角形をしており、鍵穴55aの側面部にもアームが取り付けられるようになっている。また、アーム15は、本体151の向きが運搬台車50の一面に平行になるようにするターン部152bを有する。ターン部152bは、可撓性樹脂部品60を吊り下げるために充分な強度を有するとともにコンパクトであるのが好ましい。運搬台車50の可撓性樹脂部品60を収納する有効スペースに影響し収納数量が増減するからである。なお、アーム15とアーム取付部材55の係合をさらに強固にするためにピン158を用いた結合機構を設けることができる。
【0029】
支柱52は山形鋼を用いて構成することができ、この場合は、
図7(b)に示すように、アーム取付部材55が補強部材になった支柱52とすることができる。この例のアーム15は、
図7(a)と同等形状であるが、アーム取付部材55の鍵穴55aは正面側のみの角形になっている。支柱取付部152の突起152cが鍵穴55a上部に引っかかるようになっている。
【0030】
図7(c)、(d)は、アーム取付部材55の鍵穴55aとこれに係合する支柱取付部152の突起152cの形状が上記角形の鍵穴55aの場合と異なる例である。
図7(c)は、穴の下方が狭くなった電球形の鍵穴55aにきのこ状の突起152cが係合するようになっている。
図7(d)は、駒形の鍵穴55aにくさび状の突起152cが係合するようになっている。
【0031】
以上、本発明に係る運搬台車について説明した。本発明に係る運搬台車は、ヒドゥンタイプのグラスランなど外観品質が重要視される可撓性樹脂部品をトラック搬送する場合に、外観品質を保持しつつ効率的に搬送することができる。しかしながら、本発明に係る運搬台車は、可撓性樹脂部品に限らず、長尺で一部に剛性のない部分を有するとともに外観品質が重要視されるものであれば、ゴム製部品の搬送などにおいても好適に使用することができる。また、可撓性樹脂部品60が特定の形状のものに限定される場合は、運搬台車50は、アーム15が支柱52に溶接接合されたものとすることができる。この場合は、運搬台車50の収納効率を高くすることができる。
【符号の説明】
【0032】
10、10A、10B、10C、10D 吊部材
11 挟持部材
110 弾性部材
111、112 凸条
113 溝
115 ケース
116 取付部
117 穴
12 支持部材
121 凸条
15 アーム
151 本体
152 支柱取付部
153 支持プレート
155 取付穴
156 穴
158 ピン
20、20A、20B、20C、20D 上側枝支持部材
30、30A、30B、30C、30D 基体挟持部材
35 アーム
40、40A、40B、40C、40D 下側枝支持部材
45 アーム
50 運搬台車
51 床枠
52、52A、52B、52C、52D 支柱
54 天枠
55 アーム取付部材
57 飛出防止部材
60 可撓性樹脂部材
61 基体
62 上側枝
63 下側枝
【要約】
【課題】長尺で一部に剛性のない部分を有し外観品質が重要視される可撓性樹脂部品を、安全かつ効率的にトラック搬送することができる運搬台車を提供する。
【解決手段】本発明に係る運搬台車は、直線状の基体、その基体の一側面の上部及び下部からそれぞれ延伸する上側枝及び下側枝を有してなる可撓性樹脂部品を搬送する運搬台車であって、矩形状の床枠の四隅から立設して四面を形成する支柱を有し、その四面の各面には、前記支柱の上部に掛け渡され、前記可撓性樹脂部品を配列させて吊り下げる吊部材と、前記支柱の上部に掛け渡され、前記可撓性樹脂部品の上側枝を支持する上側枝支持部材と、前記支柱の下部に掛け渡され、前記可撓性樹脂部品の基体の下部を挟持する基体挟持部材と、前記支柱の下部に掛け渡され、前記可撓性樹脂部品の下側枝を支持する下側枝支持部材と、を有してなる。
【選択図】
図1