特許第6695587号(P6695587)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6695587
(24)【登録日】2020年4月24日
(45)【発行日】2020年5月20日
(54)【発明の名称】電着塗装用ハンガー
(51)【国際特許分類】
   C25D 13/00 20060101AFI20200511BHJP
【FI】
   C25D13/00 303C
【請求項の数】3
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2016-1083(P2016-1083)
(22)【出願日】2016年1月6日
(65)【公開番号】特開2017-122258(P2017-122258A)
(43)【公開日】2017年7月13日
【審査請求日】2018年11月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】516006998
【氏名又は名称】株式会社光陽
(74)【代理人】
【識別番号】110001977
【氏名又は名称】特許業務法人なじま特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】武田 多賀男
【審査官】 萩原 周治
(56)【参考文献】
【文献】 特開平08−176892(JP,A)
【文献】 特開2006−193806(JP,A)
【文献】 実開昭50−055282(JP,U)
【文献】 特開2003−213497(JP,A)
【文献】 実開平06−006455(JP,U)
【文献】 特開平07−243095(JP,A)
【文献】 米国特許第04740284(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C25D 13/00−15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送装置に吊り下げられて移送される電着塗装用ハンガーの横長な長方形状の側面に設けた取付部に、被塗装体を着脱自在に吸着可能な永久磁石を複数配置するとともに、前記取付部の両端には、被塗装体の下端位置を揃えるための治具が係合する突起を形成したことを特徴とする電着塗装用ハンガー。
【請求項2】
前記搬送装置に吊下げられるハンガー本体と、
このハンガー本体の側面に設けられ、前記永久磁石が複数埋め込まれる板状の取付部とを有し、
さらにこの取付部は非磁性体により構成されていることを特徴とする請求項1記載の電着塗装用ハンガー。
【請求項3】
前記取付部の下端には、被塗装体をハンガー本体の長手方向に沿って等間隔で取付けるためのガイド孔が複数形成されていることを特徴とする請求項2記載の電着塗装用ハンガー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電着塗装される被塗装体を取付ける電着塗装用ハンガーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
電着塗装は、被塗装体の表面処理を行う前処理工程と、被塗装体を電着槽内で搬送しつつ、被塗装体と電着槽との間に直流電圧を印加することによってその表面に塗料を電着させる電着工程と、被塗装体を洗浄する洗浄工程とを順に行い、被塗装体に塗膜を形成するものである。ここで、被塗装体はコンベア等の搬送装置により移送されて各工程を経るが、搬送装置に吊下げられる導電性の電着塗装用ハンガーに複数の爪部を形成し、これら爪部に被塗装体を係止することが通常である(特許文献1)。
【0003】
上記の技術においては、電着工程で、爪部に係止された被塗装体の全体が電着塗料に浸かることとなるが、客先のニーズによっては被塗装体の一部にのみ塗膜を形成することが求められることがある。この場合、従来は塗膜を形成したくない箇所に絶縁性のキャップを取付けることによりマスキングをし、マスキングされない部分にのみ塗膜を形成するものとしていた。しかしながら、被塗装体の種類によっては、形状が複雑である等の理由により前記のキャップを取付けることができない場合があった。
【0004】
そこでキャップによるマスキングに代わり、電着塗装用ハンガーに形成された爪部の仕様をクリップに変更し、電着塗料に対する被塗装体の浸漬量が適切なものとなるよう被塗装体の取付高さを調整した上で、被塗装体をクリップで挟む方法が考えられる。しかしながら、この方法では被塗装体の取付高さを都度確認しながら一つずつクリップで挟む必要があるため非常に作業性が悪く、また隣り合う被塗装体の取付位置にバラつきが生じ易いという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平8−232095号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は前記した従来の問題点を解決し、被塗装体の形状に関わらず被塗装体の一部にのみ電着塗装を施すことができ、かつ被塗装体の取付作業性が高い電着塗装用ハンガーを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するためになされた本発明は、搬送装置に吊り下げられて移送される電着塗装用ハンガーの横長な長方形状の側面に設けた取付部に、被塗装体を着脱自在に吸着可能な永久磁石を複数配置するとともに、前記取付部の両端には、被塗装体の下端位置を揃えるための治具が係合する突起を形成したことを特徴とするものである。
【0008】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の電着塗装用ハンガーにおいて、前記搬送装置に吊下げられるハンガー本体と、このハンガー本体の側面に設けられ、前記永久磁石が複数埋め込まれる板状の取付部とを有し、さらにこの取付部は非磁性体により構成されていることを特徴とするものである。
【0009】
請求項3記載の発明は、請求項2記載の電着塗装用ハンガーにおいて、前記取付部の下端には、被塗装体をハンガー本体の長手方向に沿って等間隔で取付けるためのガイド孔が複数形成されていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る電着塗装用ハンガーは、被塗装体を着脱自在に吸着可能な永久磁石を、横長な長方形状の側面に複数配置したものである。このように永久磁石を採用したことで、被塗装体の取付高さの微調整が容易となるため、従来のようなクリップを用いる技術と比較して、被塗装体の取付作業性が格段に向上する。さらに、例えば側面の長手方向に沿って延びる一本の金属板を永久磁石に吸着させておけば、被塗装体の取付時に、この金属板が被塗装体の上端と当接することで位置決め部材として機能することとなる。これにより、隣り合う被塗装体の取付位置にバラつきが生じやすいという従来の問題も解決することができる。また、永久磁石を採用したことで、被塗装体の取付高さを調整して電着塗料に対する被塗装体の浸漬量を細かく調整することができるため、被塗装体の形状に関わらず被塗装体の一部にのみ電着塗装を施すことができる。さらに、永久磁石に取付けられる被塗装体の下端位置を揃えるための治具を取り付けることができる。
【0012】
請求項2に係る発明のように、板状の取付部を非磁性体により構成するものとした。これにより、永久磁石が埋め込まれた箇所に被塗装体が近接した際に、磁力が作用して被塗装体が固定されるものとなるため、仮に取付部を磁性体により構成した場合と比較して、被塗装体の取付が容易となる。
【0013】
請求項3に係る発明のように、取付部の下端にガイド孔を形成することで、被塗装体の取付がさらに容易となると同時に、被塗装体の取付位置がハンガー本体の長手方向、即ち電着塗装用ハンガーの進行方向に沿って均等となるため、電着塗料に浸漬される時間も均等となり、結果、形成される塗膜の厚さも均一となる効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の電着塗装用ハンガーを示す斜視図である。
図2】本発明の電着塗装用ハンガーを示す側面図である。
図3】本発明の電着塗装用ハンガーを示す正面図である。
図4】電着工程を示す図である。
図5】位置決め部材を取付けた状態を示す側面図である。
図6】治具を示す側面図である。
図7】治具の係合部を広げた状態を示す側面図である。
図8】治具を突起に係合させた状態を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に本発明の好ましい実施形態を示す。
図1に示す電着塗装用ハンガー1は、鋼鉄製である断面略コ字状のハンガー本体2と、ハンガー本体2の側面に設けられ、横長な長方形状に形成された板状の取付部3とから構成されている。また図2及び図3のように、ハンガー本体2の上部にはフック4が形成されている。なお、このフック4は図4に示す導電性の吊り金具20に引っ掛けられる。この吊り金具20は、従来技術と同様に搬送装置であるコンベア21に取付けられて図4の矢印に示すように移送されるものであり、また吊り金具20が電着槽22の上方を通る際には、吊り金具20に設けられた図示しない集電子が、コンベア21に沿って設けられた図示しない給電レールに接触した状態で移送される。これにより、被塗装体5を陰極とし、電着塗料23または電着槽22を陽極とした上で直流電圧を印加して、被塗装体5の表面に塗料を電着させることができるものとしている(電着工程)。
【0016】
図1のように、取付部3の長手方向に沿って、被塗装体5を着脱自在に吸着可能な複数の永久磁石6が等間隔で埋め込まれるようにして配置されている。なお、永久磁石6は上下方向にも2つ並べて配置するものとしているが、この数に限定されるものではない。このように永久磁石6を採用したことで、被塗装体5の取付高さの微調整が容易となるため、従来のようなクリップを用いる技術と比較して、被塗装体5の取付作業性が格段に向上する。さらに、例えば図5に示すように、取付部3の長手方向に沿って延びる一本の金属板により構成される位置決め部材15を永久磁石6に吸着させておけば、被塗装体5の取付時に、この位置決め部材15が被塗装体5の上端と当接して被塗装体5の取付位置を揃えることができるため、隣り合う被塗装体5の取付位置にバラつきが生じやすいという従来の問題も解決することができる。また、永久磁石6を採用したことで、被塗装体5の取付高さを調整して電着塗料23に対する被塗装体5の浸漬量を細かく調整することができるため、図1中に示すような複雑な形状を有する鉤状の被塗装体5であっても、その一部にのみ塗膜(図中黒色塗りつぶし箇所)を形成することができる。
【0017】
また、取付部3は、非磁性体であるステンレスにより構成するものとしている。これにより、永久磁石6が埋め込まれた箇所に被塗装体5が近接した際に、磁力が作用して被塗装体5が固定されるものとなるため、仮に取付部3を磁性体により構成した場合と比較して、被塗装体5の取付が容易となる。なお、ステンレスに限定されず、非磁性体であればその他の材質により構成しても差し支えない。
【0018】
図1のように、取付部3の下端には、被塗装体5をハンガー本体2の長手方向に沿って等間隔で取付けるための複数のガイド孔7が形成されている。なお、このガイド孔7の形成位置は、永久磁石6の埋め込み位置と対応させるものとしている。このようにガイド孔7を永久磁石6の埋め込み位置に形成することで、被塗装体5の取付がさらに容易となると同時に、被塗装体5の取付位置がハンガー本体2の長手方向、即ち電着塗装用ハンガー1の進行方向に沿って均等となるため、電着塗料に浸漬される時間も均等となり、結果、形成される塗膜の厚さも均一となる。
【0019】
図6には、永久磁石6に取付けられる被塗装体5の下端位置を揃えるための治具8を示す。この治具8は、被塗装体5の下端が当接する当接部9と、図2中の取付部3の両端に形成した突起10に係合される凹部11及びハンドル12を備えた2つの係合部13とにより構成される。この両係合部13は、図6中の紙面左右方向にそれぞれスライド可能としてある。これにより、図7に示すように両係合部13を広げた状態で治具8を電着塗装用ハンガー1の下方から設置し、両係合部13をそれぞれ中央側にスライドさせて突起10に凹部11を係合させる。この状態で、図8に示すように被塗装体5を永久磁石6に取付けていくこととなるが、被塗装体5の下端が当接部9に当接するため、その下端位置を図8のように均一に揃えることができるものとなる。なお被塗装体5をすべて取付けた後には、再び両係合部13をスライドさせて広げ、治具8を取外せば良い。また、凹部11から当接部9までの距離が異なる治具8を複数種類用意しておくことにより、被塗装体5の下端位置を細かく調整することもできる。
【0020】
このような治具8を用いて被塗装体5の下端位置を揃えるか、または前述のように位置決め部材15を用いて被塗装体5の上端位置を揃えるかは、被塗装体5のサイズや形状等に合わせて適宜選択することができる。
【符号の説明】
【0021】
1 電着塗装用ハンガー
2 ハンガー本体
3 取付部
4 フック
5 被塗装体
6 永久磁石
7 ガイド孔
8 治具
9 当接部
10 突起
11 凹部
12 ハンドル
13 係合部
15 位置決め部材
20 吊り金具
21 コンベア
22 電着槽
23 電着塗料
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8