特許第6695588号(P6695588)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6695588
(24)【登録日】2020年4月24日
(45)【発行日】2020年5月20日
(54)【発明の名称】スキー場のゲレンデ照明装置
(51)【国際特許分類】
   F21V 25/04 20060101AFI20200511BHJP
   F21S 8/08 20060101ALI20200511BHJP
   F21S 2/00 20160101ALI20200511BHJP
   F21V 23/00 20150101ALI20200511BHJP
   F21S 9/04 20060101ALI20200511BHJP
   H02J 9/06 20060101ALI20200511BHJP
   F21W 131/10 20060101ALN20200511BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20200511BHJP
【FI】
   F21V25/04
   F21S8/08 410
   F21S2/00 612
   F21V23/00 150
   F21S9/04
   H02J9/06 150
   F21W131:10
   F21Y115:10
【請求項の数】3
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2016-120375(P2016-120375)
(22)【出願日】2016年6月17日
(65)【公開番号】特開2017-224545(P2017-224545A)
(43)【公開日】2017年12月21日
【審査請求日】2019年6月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】000228523
【氏名又は名称】日本ケーブル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104776
【弁理士】
【氏名又は名称】佐野 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100119194
【弁理士】
【氏名又は名称】石井 明夫
(72)【発明者】
【氏名】中村 元幸
【審査官】 田中 友章
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−211007(JP,A)
【文献】 特開2014−67726(JP,A)
【文献】 実開平1−100307(JP,U)
【文献】 特開2016−73010(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21V 25/04
F21S 2/00
F21S 8/08
F21S 9/04
F21V 23/00
H02J 9/06
F21W 131/10
F21Y 115/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スキー場のゲレンデにLED照明を配設し、商用電源から地中に埋設した電力線を介してコンバータに電力を供給し、該コンバーターから前記LED照明へ通電する電気回路を有するゲレンデ照明装置において、前記電気回路は、前記電力線の電力線埋設区間と前記コンバーターとの間に第2電磁接触器を備え、前記コンバーターと前記LED照明との間に第3電磁接触器とを備え、前記LED照明と該LED照明の接地との間に第4電磁接触器を備えたことを特徴とするスキー場のゲレンデ照明装置。
【請求項2】
請求項1に記載のLED照明に加え、スキー場のゲレンデにLED照明以外の照明を配設し、前記電力線埋設区間と前記LED照明以外の照明との間に第5電磁接触器を備え、前記LED照明以外の照明と該LED照明以外の照明の接地との間に第6電磁接触器を備えたことを特徴とする請求項1に記載のスキー場のゲレンデ照明装置。
【請求項3】
請求項2に記載の電気回路において、前記商用電源と前記電力線埋設区間との間に発電機を接続し、該発電機から前記電力線へ接続された接続点と前記商用電源との間に第1遮断器を備え、前記接続点と前記発電機との間に第2遮断器を備えたことを特徴とする請求項2に記載のスキー場のゲレンデ照明装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スキー場のナイター営業時に夜間照明として使用されるスキー場のゲレンデ照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ナイター営業を行うスキー場においては、スキーコースの両脇に支柱を立設するとともに、この上部に光源を備えてゲレンデを照射し、スキーヤーやスノーボーダーの視界を確保している(例えば、特許文献1参照)。上記の光源としては、一般的に水銀灯が用いられており、この水銀灯への電力供給は、ゲレンデの地中に埋設した電力線を介して行われている。
【0003】
近時、省エネルギーや二酸化炭素削減の観点から、照明としてLED照明を採用することが普及してきており、ゴルフ場や野球場などの大型施設においてもナイター設備にLED照明を採用することが増えてきている。このため、スキー場における既設のナイター設備においても、従来の水銀灯に替えてLED照明を使用したいという要望がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開平1−100307号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、LED照明及びこれを制御する制御機器は、多数の半導体を使用した電気機器であって、落雷によって発生する雷サージの影響を受けやすいという難点がある。すなわち、スキー場は標高が高い山岳地帯に位置するため、平地に比べて雷の発生が多く、また落雷も起きやすい。上記したように、ゲレンデの照明への電力供給は、地中に埋設した電力線を介して行われるため、地面や木に落雷した場合には、電力線に誘導雷サージが生じ易く、また、接地からの雷サージも進入し易いため、雷サージによりLED照明や制御機器が損傷してしまう虞がある。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、雷サージの影響を極力受けないようにするスキー場のゲレンデ照明装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1記載の発明は、スキー場のゲレンデにLED照明を配設し、商用電源から地中に埋設した電力線を介してコンバータに電力を供給し、該コンバーターから前記LED照明へ通電する電気回路を有するゲレンデ照明装置において、前記電気回路は、前記電力線の電力線埋設区間と前記コンバーターとの間に第2電磁接触器を備え、前記コンバーターと前記LED照明との間に第3電磁接触器とを備え、前記LED照明と該LED照明の接地との間に第4電磁接触器を備えたことを特徴としている。
【0008】
請求項2記載の発明は、請求項1に記載のLED照明に加え、スキー場のゲレンデにLED照明以外の照明を配設し、前記電力線埋設区間と前記LED照明以外の照明との間に第5電磁接触器を備え、前記LED照明以外の照明と該LED照明以外の照明の接地との間に第6電磁接触器を備えたことを特徴としている。
【0009】
請求項3記載の発明は、請求項2に記載の電気回路において、前記商用電源と前記電力線埋設区間との間に発電機を接続し、該発電機から前記電力線へ接続された接続点と前記商用電源との間に第1遮断器を備え、前記接続点と前記発電機との間に第2遮断器を備えたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、照明を使用しないとき、及び雷が発生したときには、コンバーター及びLED照明が電気回路から切り離されるので、電力線に発生した雷サージや接地からの雷サージからコンバーター及びLED照明を保護することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】スキー場のゲレンデを示した図
図2】第1の実施形態を示す電源とLED照明との間の単線結線図
図3】第2の実施形態を示す電源とLED照明との間の単線結線図
図4】第3の実施形態を示す電源とLED照明との間の単線結線図
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の具体的な実施の形態を図面を参照して説明する。図1は、スキー場のゲレンデ40を示した図である。ゲレンデ40には、滑走コース10の両脇に沿って複数の支柱11が立設されており、この支柱11の上部には、1又は複数のLED照明12を備えている。各LED照明12への電力供給は、管理棟13から各支柱11に向けて地中に埋設して配線された電力線14により行われる。管理棟13では、電力の供給又は遮断の操作が係員によって行われ、昼間は電力を遮断してLED照明12を消灯し、夜間には電力を供給してLED照明12を点灯させてナイター営業を行う。
【0013】
図2は、第1の実施形態を示す電源とLED照明との間の単線結線図である。図において、20は商用電源、21は第1遮断器、22は第1電磁接触器、23は第2電磁接触器、24は交流電源を直流に変換するコンバーター、25は第3電磁接触器、26は第4電磁接触器、27は接地、28は電力線埋設区間である。第1電磁接触器22は商用電源20側と電力埋設区間28との間の回路を開閉するようになっており、第2電磁接触器23は、電力線埋設区間28を経た後の電力線14とコンバーター24との間の回路を開閉するようになっている。また、第3電磁接触器25は、コンバーター24とLED照明12との間の回路を開閉するようになっており、第4電磁接触器26は、LED照明12と接地27との間の回路を開閉するようになっている。第2電磁接触器23から接地27までの回路は、各支柱11毎に同様に構成されている。
【0014】
以上の電気回路により、第1遮断器21及び各電磁接触器22、23、25、26を閉とすることにより、商用電源20から各LED照明12へ通電されてLED照明12が点灯する。次ぎに、昼間やスキーシーズン以外のときにゲレンデ40の照明を使用しない場合には、図2に示したように第1遮断器21及び各電磁接触器22、23、25、26を開とする。これにより、コンバーター24とLED照明12は、電力線14及び接地27から回路を切り離されて、照明不使用時に雷や落雷が発生しても電力線14側及び接地27側からの雷サージの影響を受けづらくなる。
【0015】
図3は、第2の実施形態を示す電源とLED照明及び水銀灯との間の単線結線図である。第2の実施形態は、第1の実施形態に加えて水銀灯やメタルハライドランプなどのLED照明以外の照明も使用する実施形態である。この実施形態は、例えば水銀灯などを用いた従来の照明設備をLED照明設備に改修する場合に従来の照明設備を撤去せず、一部又は全部の従来設備とLED照明設備とを混在させる場合等に採用することができる。
【0016】
図3において、LED照明12側の回路構成は第1の実施形態と同一であって同一符号を付してあり、これに加えて電力線14には、第5電磁接触器29を介して水銀灯30が接続されるとともに、水銀灯30は第6電磁接触器31を介して接地32へ接続される。この構成により通常のナイター営業時には、第1遮断器21及び第1電磁接触器22、第2電磁接触器23、第3電磁接触器25、第4電磁接触器26を閉としてLED照明12に通電し、第5電磁接触器29と第6電磁接触器31を開として水銀灯30は消灯しておく。このようにして通常のナイター営業時には、消費電力が少ないLED照明12で営業を行う。
【0017】
次ぎに、ナイター営業中に雷の発生を検知したり雷警報を受けた場合には、第2電磁接触器23、第3電磁接触器25、第4電磁接触器26を開としてLED照明12を消灯するとともに、第5電磁接触器29及び第6電磁接触器31を閉として水銀灯30を点灯させる。このようにすることで、雷サージがLED照明12及びコンバーター24へ影響を及ぼす可能性を減少させるとともに、水銀灯30によってゲレンデ40の照明を確保することができる。次ぎに、昼間やスキーシーズン以外のときにゲレンデ40の照明を使用しない場合には、第1の実施形態と同様に第1遮断器21、及び各電磁接触器22、23、25、26、29、31を開として、LED照明12とコンバーター24及び水銀灯30を雷サージから保護する。
【0018】
図4は、第3の実施形態を示す電源とLED照明と水銀灯との間の単線結線図である。第3の実施形態は、第2の実施形態の回路構成に加えて電源側に発電機33を備えた構成である。発電機33は、内燃機関等の駆動力によって発電を行うものであり、第2遮断器34を介して電力線14に接続されている。通常の照明点灯時には、第1遮断器21及び各電磁接触器22、23、25、26を閉として商用電源20からLED照明12又は水銀灯30へ電力を供給する。
【0019】
商用電源20が停電した場合には、発電機33を起動するとともに、商用電源20側の第1遮断器21を開とし、発電機33側の第2遮断器34を閉とする。ここで、第1遮断器21と電力線埋設区間28との間に第1電磁接触器22を備え、これにより電路を遮断するようにしてもよい。次いで、発電機33からの電力により各電磁接触器23、25、26を閉とすることで、発電機33により電力が供給されてLED照明12及び水銀灯30を点灯することができる。この場合、雷が発生している場合には、LED照明12側の回路を開として水銀灯30のみで照明を行えばよいが、雷が発生していない場合には、水銀灯30側の回路を開としてLED照明12で照明した方が、消費電力の削減や瞬時点灯の観点において好ましい。
【0020】
上記説明した各電気回路パターンの切換は、管理棟13内に操作盤を設け、これにスイッチやキー等を設けて各電気回路パターンを切換えるように回路構成する。また、雷検知装置を設け、これからの信号により雷発生時に自動的に各電気回路パターンが切換わるようにすることもできる。
【符号の説明】
【0021】
10 滑走コース
11 支柱
12 LED照明
13 管理棟
14 電力線
20 商用電源
21 第1遮断器
22 第1電磁接触器
23 第2電磁接触器
24 コンバーター
25 第3電磁接触器
26 第4電磁接触器
27 接地
28 電力線埋設区間
29 第5電磁接触器
30 水銀灯
31 第6電磁接触器
32 接地
33 発電機
34 第2遮断器
40 ゲレンデ
図1
図2
図3
図4