特許第6695596号(P6695596)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6695596
(24)【登録日】2020年4月24日
(45)【発行日】2020年5月20日
(54)【発明の名称】陶磁器製装飾盤
(51)【国際特許分類】
   B44C 5/00 20060101AFI20200511BHJP
   A47J 47/16 20060101ALI20200511BHJP
【FI】
   B44C5/00 A
   A47J47/16 D
【請求項の数】4
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2018-234062(P2018-234062)
(22)【出願日】2018年12月14日
【審査請求日】2018年12月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】592087429
【氏名又は名称】明光陶器株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001977
【氏名又は名称】特許業務法人なじま特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大津 芳二
【審査官】 奥隅 隆
(56)【参考文献】
【文献】 実開平06−055540(JP,U)
【文献】 特開2016−047226(JP,A)
【文献】 鍋敷き 木製 トリベット マグネット付き M アカシア なべ敷き 鍋しき ケヴンハウン おしゃれ D−STYLE,FavoriteStyle,2019年 9月27日,[online], [2019年9月27日検索], インターネット<https://www.favoritestyle.jp/products/detail.php?product_id=2310>
【文献】 KEVNHAUN マグネット付 トリベットM DKS.203−M,Amazon.com,2019年 9月27日,[online], [2019年9月27日検索], インターネット<https://www.amazon.co.jp/ケヴンハウン-Kevnhaun-KEVNHAUN-マグネット付-KDS-203-M/dp/B01G1T16RY>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B44C 5/00
A47J 47/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
2枚の陶板をその裏面を重ね合わせて接合一体化し、その外周縁に壁掛け用の装飾紐を巻き付けた陶磁器製装飾盤であって、
前記2枚の陶板を左右対称形、かつ同一形状とするとともに双方の裏面に凹部を形成し、重ね合わせた2枚の陶板の同一位置で対向する凹部により形成される中空部に永久磁石を封入して陶板の表面を磁気吸着面とし、
また一方の陶板の表面を装飾面とし、他方の陶板の表面を緩衝材を接合した緩衝面としたことを特徴とする陶磁器製装飾盤。
【請求項2】
前記2枚の陶板の双方の裏面に複数の凹部を形成し、それぞれの凹部に永久磁石を封入したことを特徴とする請求項1に記載の陶磁器製装飾盤。
【請求項3】
前記永久磁石が板状の希土類ネオジウム磁石であることを特徴とする請求項1に記載の陶磁器製装飾盤。
【請求項4】
前記緩衝材が、着色されたパイル紙であることを特徴とする請求項1に記載の陶磁器製装飾盤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鍋敷きや壁掛けとして用いることができる陶磁器製装飾盤に関するものである。
【背景技術】
【0002】
2枚の陶板を接合一体化し、その外周縁に壁掛け用の装飾紐を巻き付けた陶磁器製装飾盤は、本発明者の特許文献1に記載されている通り従来から知られている。
【0003】
この特許文献1に記載の陶磁器製装飾盤は、陶板の中央部に窓穴を形成し、その裏面に裏板を嵌め込んだものであり、陶板の軽量化と、装飾効果の向上を図ったものである。この陶磁器製装飾盤は、陶板の表面に様々な図柄や模様を印刷したり焼き付けたりすることができるので、観光地や遊園地などで販売されるお土産品として好評を得ている。
【0004】
購入者はこれを鍋敷きとしたり、自宅の壁などに飾ったりして楽しむことができるが、この陶磁器製装飾盤は主として装飾品としての機能を備えるものであり、家庭において便利な付加的機能を備えたものではなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3805615号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って本発明の目的は上記した従来の問題点を解決し、装飾品としての機能を損なうことなく、家庭において便利な付加的機能を備えた陶磁器製装飾盤を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するためになされた本発明は、2枚の陶板をその裏面を重ね合わせて接合一体化し、その外周縁に壁掛け用の装飾紐を巻き付けた陶磁器製装飾盤であって、前記2枚の陶板を左右対称形、かつ同一形状とするとともに双方の裏面に凹部を形成し、重ね合わせた2枚の陶板の同一位置で対向する凹部により形成される中空部に永久磁石を封入して陶板の表面を磁気吸着面とし、また一方の陶板の表面を装飾面とし、他方の陶板の表面を緩衝材を接合した緩衝面としたことを特徴とするものである。
【0008】
好ましい実施形態においては、前記2枚の陶板の双方の裏面に複数の凹部を形成し、それぞれの凹部に永久磁石を封入した構造とすることができる。また好ましい実施形態においては、前記永久磁石を板状の希土類ネオジウム磁石とすることができる。さらに好ましい実施形態においては、前記緩衝材を着色されたパイル紙とすることができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明の陶磁器製装飾盤は、2枚の陶板をその裏面を重ね合わせて接合一体化し、その外周縁に壁掛け用の装飾紐を巻き付けた構造であるので、陶板の表面に様々な図柄や模様を印刷したり焼き付けて装飾面とすることができ、従来と同様に鍋敷きとして用いたり、壁掛けとするなど、装飾品としての機能がある。
【0010】
また本発明の陶磁器製装飾盤は、2枚の陶板の一方又は双方の裏面に凹部を形成し、これらの凹部に永久磁石を封入して陶板の表面を磁気吸着面としたものであるから、鉄やその他の強磁性体を吸着させることができる。鍋敷きとして用いた場合には、鉄製鍋の底面に鍋敷きを吸着させることができる。また壁掛けとして用いた場合には、強磁性体からなる鍵や鋏、ヘアピン等の小物を陶板の表面に吸着保持させておくことができる。特に家庭の誰もがわかる場所に置いておきたい鍵その他の小物の置き場として、便利である。また、鉄製のクリップを用いれば、伝言用のメモなどを張り付けたりすることもできる。永久磁石は陶板の内部に封入されているため、劣化することもない。
【0011】
また本発明の陶磁器製装飾盤は、一方の陶板の表面を装飾面とし、他方の陶板の表面を緩衝材を接合した緩衝面とした構造であるから、鍋敷きとして用いてもテーブル面を疵付けることがなく、壁面に掛けても壁面を疵付けるおそれがない。また、着色された緩衝材を用いることにより全体としての意匠性を高めることができる。
【0012】
なお、2枚の陶板の双方の裏面に凹部を形成した構造とすれば、同一の型を用いて同一形状の陶板を量産することができる利点がある。また、複数の永久磁石を封入した構造とすれば、陶板の表面の広い範囲を磁気吸着面とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】実施形態の陶磁器製装飾盤を示す正面図である。
図2図1のA−A断面図である。
図3】陶板の裏面の説明図である。
図4】鍋敷きとして使用する状態の説明図である。
図5】壁掛けとして使用する状態の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に本発明の実施形態を説明する。
図1は本発明の実施形態の陶磁器製装飾盤を示す正面図、図2はそのA−A断面図である。本発明の陶磁器製装飾盤は、2枚の陶板10、10を接着剤により接合一体化したものである。各陶板10は表面が平割面であり、裏面には図3に示されるように凹部11が形成されている。軽量にするために、各陶板10の厚さは10mm以下とすることが好ましい。
【0015】
各陶板10は左右対称形であり、かつ同一形状である。このため同一のモールドを用いて量産することができる。このような同一形状の陶板10の一方を裏返し、裏面を重ね合わせて接合一体化されている。このため両側の陶板10の裏面の凹部11は同一位置で対向し、内部に中空の凹部が形成される。後述するように、この中空の凹部内に永久磁石12が封入される。
【0016】
この実施形態では、3つの凹部11が形成されているが、その数は任意である。
【0017】
図2に示すように、各陶板10の裏面側の外周縁は全周にわたり斜めに面取りされている。このため2枚の陶板10、10を接合一体化すると、外周縁に連続した凹溝が形成され、この凹溝に壁掛け用の装飾紐13が巻き付けられている。装飾紐13を着色して意匠効果を持たせることが好ましい。また図1に示すように、装飾紐13の上部をクリップ14で止め、吊り掛け部15を形成することができる。
【0018】
図1に示すように、表側の陶板10の表面には任意の図柄がプリントされて焼き付けられており、装飾面16となっている。しかし陶板10の表面に凹凸模様を形成することも可能である。観光地で販売される土産物とする場合には、それぞれの観光地に特有の風景や文字、マスコットなどが装飾面16に形成される。装飾面16には陶板に特有の様々な意匠的効果を付与することができる。しかし陶板10の表面に焼き付けられた模様は半永久的に劣化することがない。
【0019】
図2に示されるように、他方の陶板10の表面は、緩衝材17を接合した緩衝面となっている。緩衝材17は本発明の陶磁器製装飾盤を鍋敷きや壁掛けとして使用したときに、テーブル面や壁面を疵付けたりしないようにする目的のものである。用いられる緩衝材17の種類は特に限定されるものではなく、コルク板、不織布、厚紙など任意である。しかしこの実施形態では、着色されたパイル紙を用いている。
【0020】
このパイル紙はヴィペールの商品名で市販されており、紙を裏貼りしたベルベットのような感触のパイル紙である。様々な着色がなされているので、装飾面16の図柄や装飾紐13の色彩に対応させたものを選択することにより、陶磁器製装飾盤の裏面にも色彩的な一体感を与えることができる。またこのパイル紙は滑りにくい特性を持つため、壁掛け用の裏面材として適している。
【0021】
前記した中空の凹部内には永久磁石12が封入されている。永久磁石12としては陶板10を透過する磁力を備え、陶板10の表面を磁気吸着面とすることができる性能を持つものが使用される。この実施形態ではネオジウムと鉄とホウ素を主成分とした正方晶構造を有する希土類ネオジウム磁石を用いた。この磁石は比重が小さくかつ強力な磁力を有するもので、例えば直径15mm、厚み5mmの丸形磁石の場合、磁束密度が330mTであり、4.5kgの吸着力を示す。またこの磁石は耐食性に優れるため、陶磁器製装飾盤の内部に封入したまま永年放置されても、磁力が低下するおそれはない。永久磁石12の形状は角型よりも丸型の方が、封入時の位置ずれが生じにくいので好ましい。
【0022】
図4に示すように、本発明の陶磁器製装飾盤は、陶板10の断熱性を生かして鍋敷きとして使用することができる。しかもこの場合には、永久磁石12の磁力によって鉄製鍋18の底面に鍋敷きを吸着させることができる。このため鉄製鍋18を両手で持って鍋敷きとともに移動させることができる利点がある。鉄製鍋18の底面の温度は多くの場合、100℃以下であるから、この温度によって永久磁石12が酸化したり、その磁力が低下することがないように、最大温度が100℃以上の希土類ネオジウム磁石を選択することが好ましい。なお、稀に200℃近くまで加熱されたフライパンが置かれることもある。陶板10の断熱効果によりその温度がそのまま永久磁石12に伝わるわけではないが、最大温度が200℃の希土類ネオジウム磁石を選択すれば、なお好ましい。
【0023】
図5に示すように、本発明の陶磁器製装飾盤を壁掛家として使用した場合には、鉄等の強磁性体からなる家庭用小物19を陶板10の装飾面16に吸着保持させておくことができる。図5では鍵を吸着させた状態が示されているが、その他の様々なものを吸着させることができる。例えば鉄製のクリップを用いれば、伝言用のメモや写真なども張り付けることができる。
【0024】
以上に説明したように、本発明の陶磁器製装飾盤は、装飾品としての機能を損なうことなく、鍋敷きや壁掛けとして用いられるものであり、内部に収納した永久磁石12によって、家庭において便利な付加的機能を備えた利点がある。
【符号の説明】
【0025】
10 陶板
11 凹部
12 永久磁石
13 装飾紐
14 クリップ
15 吊り掛け部
16 装飾面
17 緩衝材
18 鉄製鍋
19 家庭用小物
【要約】
【課題】装飾品としての機能を損なうことなく、家庭において便利な付加的機能を備えた陶磁器製装飾盤を提供する。
【解決手段】本発明の陶磁器製装飾盤は、2枚の陶板10をその裏面を重ね合わせて接合一体化し、その外周縁に壁掛け用の装飾紐13を巻き付けたものである。2枚の陶板10の一方又は双方の裏面に凹部を形成し、この凹部に永久磁石を封入して陶板の表面を磁気吸着面とした。また一方の陶板の表面を装飾面16とし、他方の陶板の表面に緩衝材を接合した緩衝面とした。本発明の陶磁器製装飾盤は、鍋敷きとして使用するに適したものである。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5