【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成26年度、独立行政法人科学技術振興機構、研究成果展開事業 センター・オブ・イノベーション(COI)プログラム COI拠点「スマートライフケア社会への変革を先導するものづくりオープンイノベーション拠点」、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
超音波を用いるHIFUでは、放射線療法で懸念される放射線被曝の恐れがない。また、超音波を癌病巣へピンポイントで照射するHIFUは、外科手術よりも組織侵襲が小さい。
しかしながら、超音波の照射強度によっては、病巣部以外の組織の損傷(例えば、皮膚の熱傷)といった副作用が生じることがある。
また抗癌剤療法においても、用量によっては副作用が生じることがある。
そこで、副作用を抑制しつつ癌を治療できる新しい治療法の開発が望まれていた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者等は上記の課題を解決するために鋭意研究した結果、HIFUと抗癌剤療法との併用療法(以下、単に「併用療法」ともいう)において、特定の照射強度を用いたHIFUと、特定の抗癌剤を特定の用量で用いる抗癌剤治療とを組み合わせると、副作用を抑制しつつ癌を治療できることを見いだし、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、下記に関するものである。
1.320〜700W/cm
2の照射強度での高密度焦点式超音波治療法と抗癌剤療法との併用療法において、0.5〜7.5mg/kg体重の用量でアントラサイクリンが癌患者に投与されるように用いられることを特徴とする、アントラサイクリンを含有する抗癌剤。
2.アントラサイクリンがミセル化ナノ粒子内に封入されている、前記1に記載の抗癌剤。
3.アントラサイクリンがエピルビシンである、前記1又は2に記載の抗癌剤。
4.癌患者がヒトである、前記1〜3のいずれかに記載の抗癌剤。
5.抗癌剤が、高密度焦点式超音波治療法の前後に癌患者へ投与される、前記1〜4のいずれかに記載の抗癌剤。
6.前記1に記載の抗癌剤と共に用いられる、320〜700W/cm
2の照射強度で超音波を照射可能なHIFU治療装置であって、
超音波画像を表示可能なモニターと、
このモニターに表示されている超音波画像に基づいて超音波の照射を停止させる安全装置とを備える、HIFU治療装置。
7.正常運転時に、前記モニターには、当該モニター上に表示されているフォーカスポイントに向けて収束する超音波を示す超音波領域と、超音波領域の両側に隣接し、実質的に超音波が照射されていない無音波領域とが表示され、
前記安全装置は、前記無音波領域内に2000W/cm
2以上の超音波が照射されたときに、前記超音波の照射を停止させる、前記6に記載のHIFU治療装置。
【発明の効果】
【0006】
後述の実施例で示されるように、本発明の抗癌剤は、HIFUと抗癌剤療法との併用療法へ用いたときに、副作用を抑制しつつ癌を治療することができる。したがって、本発明は、患者に対する侵襲性が低い優れた癌治療方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
アントラサイクリンを含有する抗癌剤
本発明の抗癌剤は有効成分としてアントラサイクリンを含有する。
アントラサイクリン(anthracycline)は、ストレプトマイセス属微生物(Streptomyces peucetius)に由来する抗腫瘍性抗生物質である。アントラサイクリンはアントラサイクリン系抗癌剤とも称される物質である。
アントラサイクリンは、DNA及びRNAの生合成阻害、DNAの転写及び複製の阻害や酸素ラジカル発生によるDNA損傷等により抗癌作用を発揮する。
一方、アントラサイクリンには、心毒性や嘔吐等の副作用があることも知られている。
本発明では、後述する用量で用いることにより、副作用を抑制しつつ、治療効果を発揮することができる。
【0009】
アントラサイクリンの具体例としては、エピルビシン、ダウノルビシンやドキソルビシン等が挙げられる。これらの中では、エピルビシンが特に好ましい。
【0010】
エピルビシンは下記の構造を有する化合物である。
【化1】
【0011】
本発明では、1種類のアントラサイクリンを単独で用いてもよく、複数種類のアントラサイクリンを組み合わせて用いてもよい。
【0012】
アントラサイクリンは医薬的に許容できる塩(例えば、エピルビシン塩酸塩)であってもよい。
アントラサイクリンは天然物であってもよく、合成物であってもよい。
アントラサイクリンは公知物質であり、市場において容易に入手することができるか、又は、調製可能である。
【0013】
本発明の抗癌剤では、アントラサイクリンはミセル化ナノ粒子内に封入されていることが好ましい。ミセル化ナノ粒子内に封入すると、アントラサイクリンを癌病巣へ局所的に送達することができ、結果として、副作用をより抑制しつつ、より強力な抗癌効果を発揮させることができる。
ミセル化ナノ粒子の平均直径は、好ましくは50nm〜200nm、より好ましくは80〜120nmである。平均直径が50〜200nmであると、アントラサイクリンを癌病巣へより局在化させることができる(腫瘍組織は正常組織よりも血管透過性が著しく亢進しているため(EPR効果)、前記直径のミセル化ナノ粒子は癌組織に蓄積しやすくなる)。
アントラサイクリンをミセル化ナノ粒子内へ封入する方法は公知であり、例えば、国際公開第WO2008/047948号や国際公開第WO2006/115293号に記載の方法を用いることができる。
【0014】
本発明の抗癌剤におけるアントラサイクリンの含量は、後述する高密度焦点式超音波治療法と抗癌剤療法との併用療法において、0.5〜7.5mg/kg体重のアントラサイクリンを癌患者に投与することができる量であれば特に制限されない。
【0015】
本発明の抗癌剤は、有効成分であるアントラサイクリンの他、医薬的に許容しうる担体を含んでいてもよい。医薬的に許容しうる担体は、アントラサイクリンを含む抗癌剤に使用可なものであれば特に制限されない。医薬的に許容しうる担体としては、例えばPBS、蒸留水や生理食塩水等が挙げられる。
【0016】
本発明の抗癌剤の剤型は、後述する本発明の併用療法へ適用可能なものを特に制限なく用いることができる。例えば、液剤、油剤、エマルジョン剤、ソフトカプセル剤、ハードカプセル剤、錠剤、顆粒剤や、固形剤等を任意に選択可能である。
ミセル化ナノ粒子内に封入したアントラサイクリンを用いる場合には、エマルジョン剤であることが好ましい。
製剤化は、製薬分野で公知の方法を用いて行うことができる。
【0017】
高密度焦点式超音波治療法と抗癌剤療法との併用療法
本発明の抗癌剤は、高密度焦点式超音波治療法と抗癌剤療法との併用療法で使用する。
(1)高密度焦点式超音波治療法
高密度焦点式超音波治療法(HIFU)は、超音波を癌病巣へピンポイントに照射することにより高温(90℃程度)を発生させ癌病巣を破壊する公知の癌治療法である。
超音波を用いるHIFUでは、放射線療法で懸念される放射線被曝の恐れがない。また、超音波を癌病巣へピンポイントで照射するHIFUは、外科手術よりも組織侵襲が小さい。
一方、超音波の照射強度によっては、病巣部以外の組織における損傷(例えば、皮膚の熱傷)といった副作用が生じることがある。
本発明では、後述する照射強度で超音波照射を行うことにより、副作用を抑制しつつ治療効果を発揮することができる。
【0018】
本発明のHIFUで用いる超音波の照射強度は、320〜700W/cm
2、好ましくは320〜500W/cm
2、より好ましくは350〜450W/cm
2である。照射強度が320〜700W/cm
2であると、副作用を抑制しつつ癌治療効果を得ることができる。
なお、320〜700W/cm
2という照射強度は、HIFU単独で治療を行う場合に用いられている照射強度の約1/5〜約1/2である。そして、320〜700W/cm
2という照射強度は、HIFU単独で治療を行った場合に、副作用は発生しないが、治療効果もほとんどないことが当該技術分野で認識されている照射強度である。
【0019】
上述の照射強度を除く照射条件、例えば周波数や照射時間等は、公知のHIFUで採用されているものを特に制限なく本発明に用いることができる。
HIFUでは、超音波の照射強度を瞬間的に挙げるトリガー照射を行ってもよい。トリガー照射の条件、例えばトリガー強度、トリガー時間及びトリガーデューティ比等は、例えば、後述の実施例に記載される条件を用いることができる。
【0020】
なお、本発明におけるHIFUの実施は、公知のHIFU治療装置を用いて行うことができるが、以下に説明する、安全装置を備えたHIFU治療装置を用いることにより、より治療の安全性を高めることができる。
【0021】
図1は、HIFU治療装置の概要を示す図である。HIFU治療装置は、高密度焦点式超音波治療法において用いられるような、収束性を有する超音波を、治療箇所と重なる焦点に向けて照射する超音波照射装置1と、超音波照射装置1から照射されている超音波をモニタリングするための超音波モニタリング装置3とを備えている。超音波モニタリング装置3は、プローブ5から照射された超音波をモニタリング対象物7に当て、プローブ5によって超音波の反射を検出して検出結果を画像化する装置によって構成されている。超音波モニタリング装置3は、プローブ5の検出結果を画像化する画像化処理装置9と、画像化処理装置9で作成された画像をリアルタイムで表示するためのモニター11とを備えている。
【0022】
図2は、超音波照射装置1を作動させているときに、超音波モニタリング装置3のモニター11に表示される画面の一例を示す。
図2に示すように、超音波照射装置1によって対象物7に超音波を照射すると、モニター11には、超音波照射装置1から照射されている超音波が可視化されて表示される。
【0023】
図2は、モニター11に表示される画像の一例を示す。例えばコンベックス型のプローブ5を用いた場合、モニター11には、扇型の全体領域13内に、超音波を可視化した超音波領域15が示される。超音波領域15は、全体領域13の上下方向に延びる無数の線によって構成されており、超音波照射装置1から照射された超音波が、患部と重複するように調整されているフォーカスポイント17に収束していることを示す。そして、超音波照射装置1が正常に稼働し、適正な量の超音波がプローブ5から照射されている場合には、超音波領域15の両側に、実質的に超音波が照射されていない無音波領域19が表示される。この無音波領域19は、適正な量の超音波がプローブ5から照射されている場合には、上方に向けて先細る台形状又は三角形状であり、無音波領域19内には、実質的に超音波が存在しないか、存在したとしても30W/cm
2以下となる。
【0024】
また、超音波モニタリング装置3は、無音波領域19内に2000W/cm
2以上の超音波が照射されたときに、プローブ5からの超音波の照射を停止させるように構成されている。即ち、超音波照射装置1が正常に稼働している場合には、無音波領域19内では、実質的に超音波が検出されないが、超音波照射装置1に何らかのトラブルが生じ、超音波照射装置1から照射される超音波の量が増えた場合には、
図3に示すように、無音波領域19内でも超音波が検出されるようになる。従って、超音波モニタリング装置3は、超音波照射装置1に何らかのトラブルが生じて超音波照射装置1から照射される超音波の量が増えたときに、モニター11の超音波画像に基づいて無音波領域19内の超音波の増加を検出し、超音波照射装置1からの超音波の照射を停止させるように構成されている。
【0025】
無音波領域19内での超音波の増加を検出するための手段としては、例えば、画像解析の手段を用いることができる。
【0026】
(2)抗癌剤療法
本発明の併用療法における抗癌剤治療は、前述の抗癌剤を用いて行われる。
抗癌剤療法における抗癌剤の投与は、アントラサイクリンの癌患者への用量(投与量)が0.5〜7.5mg/kg体重、好ましくは1.0〜5.0mg/kg体重、より好ましくは2.0〜4.0mg/kg体重となるように行われる。用量が0.5〜7.5mg/kg体重であると、副作用を抑制しつつ癌治療効果を得ることができる。
なお、0.5〜7.5mg/kg体重という用量は、抗癌剤療法単独で治療を行う場合に用いられている用量の約1/30〜1/6である。そして、0.5〜7.5mg/kg体重という用量は、抗癌剤療法単独で治療を行った場合に、副作用は発生しないが、治療効果も発揮しないことが当該技術分野で認識されている用量である。
【0027】
抗癌剤の投与回数及び投与間隔は、前述のアントラサイクリン用量を達成できるものであれば特に制限されるものではなく、治療対象となる癌の種類、癌病巣の位置や患者の状態等に応じて適宜設定することができる。
【0028】
抗癌剤の投与時期は、HIFUの前、HIFUの間、HIFUの後のいずれであってもよい。HIFUの前に抗癌剤を投与しておくと、HIFUの超音波照射によりアントラサイクリンからの酸素ラジカル(酸素ラジカルはがん病巣を破壊する)の発生が多くなり、より高い治療効果が得られるので好ましい。また、抗癌剤の投与前にHIFUを行った場合も、HIFUにより癌組織(腫瘍組織)の血管透過性(EPR効果)が高まり、抗癌剤が癌組織へより蓄積しやすくなり、より高い治療効果が得られるので好ましい。
【0029】
抗癌剤の投与経路は、アントラサイクリンを含有する抗癌剤の投与に適用可能なものを特に制限なく用いることができる。具体例としては、全身投与(例えば、経口投与、腹腔内投与、静脈内投与、動脈内投与、筋肉内投与、皮下投与等)や、癌病巣への局所投与等が挙げられる。
投与経路は、治療対象となる癌の種類、癌病巣の位置や患者の状態等に応じて適宜設定することができる。
【0030】
(3)適応疾患
本発明の適応疾患は癌である。適応となる癌には、HIFU及びアントラサイクリンによる抗癌剤治療が適用可能なあらゆる癌が含まれる。具体例としては、直腸癌、膵臓癌、乳癌や肝臓癌等が挙げられる。これらの中でも、乳癌や膵臓癌に対して本発明を好適に適用することができる。
【0031】
(4)適応対象
本発明の併用療法の対象となる患者は、癌に罹患しているあらゆる動物が含むが、好ましくは哺乳動物、特に好ましくはヒトである。
【実施例】
【0032】
次に、実施例により本発明の効果を具体的に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
本実施例では、腫瘍皮下移植マウスモデルを用いて、腫瘍体積を指標に、高密度焦点式超音波治療法(HIFU)におけるエピルビシンの併用効果の検討を行った。
【0033】
試験方法
マウス直腸癌由来細胞株であるColon-26(分譲元:RIKEN Bio Resource Center。登録番号:RCB2657)を、6週齢の雄CD2F1/Crljマウス(日本チャールス・リバー株式会社)の腹側部皮下に移植した(細胞移植量: 1×10
6 cells/100 μL/animal)。
移植の15日後に、マウスを1群8匹の6群に群分けした。
各群に、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)又はエピルビシンを内包したエピルビシンミセル化ナノ粒子(平均直径:91nm)をPBSで希釈した薬剤(エピルビシン含量:4.25 mg/mL))を単回静脈内投与(i.v.)した(用量:2.5mg/kg体重)。
続いて投与の約24時間後に腫瘍部への集束超音波照射を実施した(照射強度:0(照射なし)、270 W/cm
2又は360 W/cm
2)。腫瘍部への照射は複数回(13回)行った。1回の照射時間は30秒であった。複数回照射は照射終了直後に照射位置をずらし次の照射を行った(1回の照射における照射領域の直径は2.5mm)。照射条件の詳細は以下の通りである。
集束超音波照射条件1(照射強度270W/cm
2)
周波数:1.09MHz
照射強度:270W/cm
2
照射時間:30秒間/回
トリガー強度:2kW/cm
2
トリガー時間:20msec/s
トリガーデューティ比:2%
集束超音波照射条件2(照射強度360W/cm
2)
周波数:1.09MHz
照射強度:360W/cm
2
照射時間:30秒間/回
トリガー強度:2kW/cm
2
トリガー時間:20msec/s
トリガーデューティ比:2%
【0034】
各試験群の処置内容を表1に示す。
【0035】
表1
【0036】
超音波照射実施後、経日的に腫瘍体積を測定した。
腫瘍体積の測定は、動物にイソフルラン麻酔を施した後、腫瘍の長径及び短径を電子ノギス(株式会社ミツトヨ、#CD67-S15PM)を用いて測定し、次の式を用いて腫瘍体積を算出した。
腫瘍体積(mm
3)=長径(mm)×短径(mm)
2×0.5
【0037】
試験結果
(1)腫瘍体積
物質投与開始日以降の各測定日の腫瘍体積について、各群の平均値と標準誤差を計算した。
有意差検定は、下記群間で、One-way ANOVA with Dunnett's post tests(多群間)或いはStudent's t-test(2群間)により実施した。検定にはGraphPad Prism 5を使用し、有意水準は5%(両側)とした。
第1群 vs 第2群
第1群 vs 第3、5群
第2群 vs 第4、6群
第3群 vs 第4群
第5群 vs 第6群
各測定日における各群の平均値及び標準誤差を表2に示す。表3に統計解析(検定)結果を示す。また、表2の結果を
図4に示す。
【0038】
表2.腫瘍体積の平均値の経日変化
【0039】
表3.統計解析(検定)
*p<0.05, **p<0.01, ***p<0.001
【0040】
第1群(コントロール群)
観察期間を通じて腫瘍増殖がみられ、物質投与10日後(移植25日後)には投与開始時(移植15日後)して約4.6倍に増殖した。
第2群(エピルビシン投与あり、HIFUなし)
コントロール群(第1群)と比較して、腫瘍増殖の抑制は全くみられなかった。
第3群(エピルビシン投与なし、HIFUあり(照射強度:270W/cm2))
コントロール群(第1群)と比較して、照射後から腫瘍増殖の抑制傾向がみられたものの、有意差は示されなかった。
第4群(エピルビシン投与あり、HIFUあり(照射強度:270W/cm2))
コントロール群(第1群)と比較すると、投与開始後から腫瘍増殖の抑制傾向がみられた。しかしながら、第2群との間にも、また第3群との間にも有意差は認められなかった。
第5群(エピルビシン投与なし、HIFUあり(照射強度:360W/cm2))
コントロール群(第1群)と比較して、照射後から腫瘍増殖の抑制傾向がみられたものの、有意差は示されなかった。
第6群(エピルビシン投与あり、HIFUあり(照射強度:360W/cm2))
コントロール群(第1群)と比較して、投与・照射後から腫瘍増殖の抑制がみられ、物質投与6日後(移植21日後)には腫瘍の退縮傾向もみられた。第2群との間にも、また第5群との間にも有意差が認められた。
【0041】
(2)体重
マウスの体重を指標に、HIFUとエピルビシンの併用による副作用の検討を行った。
体重測定は、プリンター接続電子天秤(メトラートレド社、XP6002SDR)を用いて行った。物質投与日は投与前に測定した。
第6群(エピルビシン投与あり、HIFUあり(照射強度:360W/cm
2))の平均体重の経時変化を以下に示す。
表4.第6群の平均体重(g)の経時変化
【0042】
第6群では、超音波照射の2日後(物質投与3日後)まで体重減少がみられたが、その後、体重は増加傾向であった。体重減少は一過性であったので、HIFUとエピルビシンの併用による重篤な副作用は生じなかったと判断した。
【0043】
上記の試験結果は、本発明の抗癌剤が、HIFUと抗癌剤療法との併用療法において副作用を抑制しつつ癌を治療できることを示している。