特許第6695680号(P6695680)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6695680
(24)【登録日】2020年4月24日
(45)【発行日】2020年5月20日
(54)【発明の名称】バランスウェイト
(51)【国際特許分類】
   E06B 9/36 20060101AFI20200511BHJP
【FI】
   E06B9/36 H
【請求項の数】6
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2015-215266(P2015-215266)
(22)【出願日】2015年10月30日
(65)【公開番号】特開2017-82563(P2017-82563A)
(43)【公開日】2017年5月18日
【審査請求日】2018年9月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】000250672
【氏名又は名称】立川ブラインド工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】松尾 茂晴
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 孝幸
【審査官】 野尻 悠平
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−189965(JP,A)
【文献】 実公昭44−030384(JP,Y1)
【文献】 特開平09−137807(JP,A)
【文献】 実公昭56−003517(JP,Y2)
【文献】 実公平04−036398(JP,Y2)
【文献】 特開2006−249783(JP,A)
【文献】 米国特許第04922986(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 9/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
縦型ブラインドが備える複数のスラットの下端部に配置され、かつ、隣り合う前記スラットの間を繋ぐボトムコードが掛けられるバランスウェイトであって、
前記スラットの下端部に留められるように構成された支持体と、
前記支持体に対して回転可能に支持される移動体を備え、
前記支持体と前記移動体の何れか一方の部材は、穴部を含み、他方の部材は、前記穴部に挿入される軸部を含み、
前記移動体は、前記ボトムコードが掛けられる掛け止め部を含み、
前記掛け止め部に掛けられた前記ボトムコードが下方に引かれる引っ張り力を受けると、前記穴部に案内されて前記軸部が回転し、これによって、
前記掛け止め部が下方に変位し、前記支持体に対して前記移動体が分離し、
または、
上方を向いた前記掛け止め部が下方に変位する
バランスウェイト。
【請求項2】
前記支持体に対して前記移動体を仮止めする仮止め部をさらに備え、
前記仮止め部は、前記ボトムコードが前記引っ張り力を受けて仮止めが解除される
請求項1に記載のバランスウェイト。
【請求項3】
前記掛け止め部は、開口端を有する鈎部で構成され、
前記開口端は、前記引っ張り力を受ける前において、上側を向いている
請求項1または2に記載のバランスウェイト。
【請求項4】
前記仮止め部は、前記移動体と前記支持体のうちの何れか一方の部材に凸部を有し、何れか他方の部材に、前記凸部と係合する凹部を有し、
前記凸部と前記凹部が係合することで、前記支持体に対して前記移動体を仮止めする
請求項2に記載のバランスウェイト。
【請求項5】
縦型ブラインドが備える複数のスラットの下端部に配置され、かつ、隣り合う前記スラットの間を繋ぐボトムコードが掛けられるバランスウェイトであって、
前記スラットの下端部に留められるように構成された支持体と、
前記支持体の上下方向に延びる側縁部において、前記支持体の上端部に近い側から下端部の方向に向かって直線的に移動可能に支持される移動体を備え、
前記支持体は、前記上下方向に延び下端部が開口された穴部を含み、前記移動体は、前記穴部に挿入される軸部を含み、
前記移動体は、前記ボトムコードが掛けられる掛け止め部を含み、
前記掛け止め部に掛けられた前記ボトムコードが下方に引かれる引っ張り力を受けると、前記穴部に案内されて前記軸部が下方に変位し、これによって、
前記掛け止め部が下方に変位し、前記支持体の下端部から前記移動体が外れる
バランスウェイト。
【請求項6】
前記支持体は、一対の半体を突き合わせて構成され、
前記移動体は、前記一対の半体の間に構成された案内部に移動可能に配置される
請求項に記載のバランスウェイト。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、縦型ブラインドの複数のスラットの下端部に取り付けられるバランスウェイトに関する。
【背景技術】
【0002】
縦型ブラインドは、ハンガーレールから吊下支持された複数のスラットをハンガーレールに沿って移動することが可能であり、かつ、各スラットをハンガーレールの長手方向に対して直交する回動軸を中心に回動することができる。各スラットの下端部には、バランスウェイトが取着され、各バランスウェイトは、ボトムコードで連結されている。各スラットは、バランスウェイトがボトムコードで連結されることによって、揺動が抑制されている(特許文献1参照)。
【0003】
各バランスウェイトは、ボトムコードが掛け止められる掛け止め部を備えている。掛け止め部は、鉤部で構成されており、バランスウェイトに対して一体に設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−249783号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の縦型ブラインドでは、掛け止め部がバランスウェイトに対して一体に設けられているため、居住者が誤ってボトムコードを踏みつけた場合のように、大きな引っ張り力が掛け止め部に加わった場合に、掛け止め部が破損してしまうおそれがある。
【0006】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、掛け止め部に大きな引っ張り力が加わった際にも掛け止め部の破損を抑制することを可能とした縦型ブラインドのバランスウェイトを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するためのバランスウェイトは、縦型ブラインドが備える複数のスラットの下端部に配置され、かつ、隣り合う前記スラットの間を繋ぐボトムコードが掛けられるバランスウェイトであって、前記スラットの下端部に留められるように構成された支持体と、前記支持体に対して移動可能に支持される移動体を備える。前記支持体と前記移動体の何れか一方の部材は、穴部を含み、他方の部材は、前記穴部に挿入される軸部を含む。前記移動体は、前記ボトムコードが掛けられる掛け止め部とを含む。前記掛け止め部に掛けられた前記ボトムコードが下方に引かれる引っ張り力を受けると、前記穴部に案内されて前記軸部が変位し、これによって、前記掛け止め部が下方に変位し、前記支持体に対して前記移動体が分離し、または、上方を向いた前記掛け止め部が下方に変位する。
【0008】
上記バランスウェイトにおいて、前記支持体に対して前記移動体を仮止めする仮止め部をさらに備え、前記仮止め部は、前記ボトムコードが前記引っ張り力を受けて仮止めが解除る構成としてもよい。
【0009】
上記バランスウェイトにおいて、前記掛け止め部は、開口端を有する鈎部で構成され、前記開口端は、前記引っ張り力を受ける前において、上側を向いているようにしてもよい。
【0010】
上記バランスウェイトにおいて、前記仮止め部は、前記移動体と前記支持体のうちの何れか一方の部材に凸部を有し、何れか他方の部材に、前記凸部と係合する凹部を有し、前記凸部と前記凹部が係合することで、前記支持体に対して前記移動体を仮止めするようにしてもよい。
【0011】
上記バランスウェイトにおいて、前記移動体は、前記支持体に対して回転可能な状態で取り付けられ、前記引っ張り力を受けて回転するようにしてもよい。
【0012】
上記バランスウェイトにおいて、前記支持体は、一対の半体を突き合わせて構成され、前記移動体は、前記一対の半体の間に構成された案内部に移動可能に配置されるようにしてもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、掛け止め部に大きな引っ張り力が加わった際にも掛け止め部の破損を抑制することを可能とした縦型ブラインドのバランスウェイトを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】第一実施形態における縦型ブラインドの正面図。
図2】第一実施形態におけるバランスウェイトの分解斜視図。
図3】支持体の支持突部と移動体の案内突部とスラットの下端部との関係を拡大して示した分解斜視図。
図4】支持体と移動体の向きが揃った状態を示す平面図。
図5】支持体に対して移動体が回転した状態を示す平面図。
図6】支持体に対して移動体が外れる状態を示す平面図。
図7】第二実施形態におけるバランスウェイトとスラットの下端部との関係を示した斜視図。
図8】第二実施形態における支持体と移動体との関係を拡大して示した分解斜視図。
図9】第二実施形態における移動体の動作を説明する平面図。
図10】第三実施形態のバランスウェイトの平面図。
図11】第四実施形態のバランスウェイトの斜視図。
図12】第二実施形態の変形例を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、一実施形態における縦型ブラインドについて図面を参照して説明する。
〔第一実施形態〕
図1に示すように、縦型ブラインドは、ハンガーレール1内に多数のランナー2がハンガーレール1の長手方向に沿って移動可能に支持され、各ランナー2からスラット3が垂下されている。各スラット3は、各ランナー2に備えられたハンガーレール1に対して垂下する方向の回転軸に回動可能に取り付けられている。
【0016】
前記ハンガーレール1の長手方向の一端部には、操作コード4,5が垂下されている。操作コード4の操作に基づいてハンガーレール1内の駆動軸6が回転されると、先頭ランナー2aがハンガーレール1内を移動する。そして、先頭ランナー2aの移動にともなって後続のランナー2が移動して、各スラット3の引き出し操作と畳み込み操作が行われる。また、操作コード5の操作に基づいて、ハンガーレール1内の角度調節軸(図示しない)が回転され、各ランナー2内のギヤ機構を介して各スラット3が同位相で角度調節される。
【0017】
各スラット3の下端部3aには、それぞれバランスウェイト7が取着され、各バランスウェイト7は、ボトムコード8によって等間隔に連結されている。これにより、スラット3が移動する際にも、スラット3の揺動が抑制される。図2に示すように、バランスウェイト7は、全体が矩形板形状を有しており、支持体11と移動体21とで、スラット3の下端部3aを挟み込むように構成されている。支持体11および移動体21は、対をなし、ほぼ同じ形状および大きさの矩形形状を有している。また、バランスウェイト7は、その長手方向の寸法がスラット3の幅方向の寸法とほぼ一致している。支持体11と移動体21は、共に、合成樹脂で形成されており、例えば、支持体11および移動体21の少なくとも何れか一方に、おもり部材となる鉄板等が備えられている。例えば、支持体11と移動体21の両方に鉄板を配置してもよいし、支持体11と移動体21の何れか一方に鉄板を配置し、他方にマグネットを配置して、支持体11と移動体とが磁気吸引されるようにしてもよい。
【0018】
支持体11の移動体21と対向する内面は、支持体11をスラット3の下端部3aに留めるための支持突部12を備えている。支持突部12は、少なくとも2つの半円弧形状を有し、移動体21と対向する内面に対して突出した突部であって、支持体11の内面の中央部分に設けられている。2つの支持突部12で構成される仮想円の内側は、移動体21の回転を案内する穴部となる。2つの支持突部12は、互いに離間し、間に、2つの間隙部13を構成している。2つの間隙部13は、対向しており、ここでは、短手方向において対向して配置されている。この短手方向は、バランスウェイト7がスラット3の下端部3aに取り付けられたとき、スラット3が垂下された上下方向となる。間隙部13は、少なくとも1つであればよく、その1つの間隙部13が上下方向において下側に配置されていればよい。間隙部13を構成する支持突部12間の幅W1は、移動体21の案内突部22の短辺方向の幅W2より広く、案内突部22が通過できる寸法とされる。間隙部13は、少なくとも、矢印D1方向の引っ張り力によって案内突部22が抜け落ちる方向に設けられていればよい。
【0019】
一方、スラット3の下端部3aは、支持体11を留めるための支持孔14を備えている。支持孔14は、2つの支持突部12で構成される仮想円とほぼ同じ大きさを有しており、2つの支持突部12が嵌合される。2つの支持突部12の内周面は、移動体21の回転を案内する案内面15を構成している。各支持突部12の案内面15は、支持体11に対する移動体21の脱落を防止する案内溝15aを備えている。案内溝15aは、例えば、支持突部12の半分程度の高さの位置に周回方向に沿って配置されている。案内溝15aは、周回方向の中間位置に、凸部16を備えている。
【0020】
移動体21の支持体11と対向する内面は、支持体11に対する回転を案内する軸部としての案内突部22を備えている。案内突部22は、内面に対して突出した突部であって、細長い矩形形状を有する。案内突部22の長辺の寸法は、穴部を構成する2つの支持突部12によって構成される仮想円の内径と一致される。案内突部22は、移動体21の短手方向の中央であって、かつ、長手方向の中央部に、長手方向に対して平行となるように設けられている。また、案内突部22の短辺方向の幅W2は、間隙部13を通過できる寸法に設定されている。案内突部22の短辺の各側面は、支持突部12の案内面15に対応した円弧状面で構成され、さらに、案内溝15aに係合される係合突起23を備えている。図3に示すように、係合突起23は、凸部16と係合される凹部24を備えている。凸部16と凹部24は、仮止め部を構成する。凸部16と凹部24とが係合する仮止め位置は、支持体11と移動体21の向きが揃った位置である。
【0021】
また、移動体21は、一方の長辺と当該長辺に隣接する2つの短辺とで構成される2つのコーナ部に、ボトムコード8が掛け止められる掛け止め部25を備えている。掛け止め部25は、開口端25aを有した鈎部によって構成されている。開口端25aは、スラット3の下端部3aに取り付けられた状態において、上側を向いている。掛け止め部25の先端部と開口端25aを介して対向する位置には、ボトムコード8の抜け止めとなる係止部25bが配置されている。係止部25bは、例えば開口端25aに向かって突出した突起によって構成されている。ボトムコード8は、取付リング44(図1参照)が固定されており、掛け止め部25には、取付リング44が掛け止められる。
【0022】
スラット3の下端部3aにバランスウェイト7を取り付けるには、支持体11と移動体21とが分離された状態において、支持体11の支持突部12がスラット3の下端部3aの支持孔14に嵌合される。次いで、移動体21は、支持体11に対して直交する状態に配置し、2つの支持突部12の間に位置し上下に対向した2つの間隙部13に、案内突部22を配置する。そして、移動体21を支持体11に対して平行な状態で回転させる。すると、係合突起23は、案内溝15aに係合し、案内面15に案内されながら回転する。そして、90°回転したところで、凸部16が凹部24に係合する。図4に示すように、これにより、移動体21は、支持体11に対して向きが揃った状態で仮止めされ、スラット3の下端部3aを挟持する。この状態において、移動体21の掛け止め部25は、開口端25aが上側を向いており、ボトムコード8の取付リング44が掛け止められる。そして、移動体21は、係合突起23が案内溝15aに係合されていることで、スラット3を移動させる際に、支持体11に対して移動体21が離間する方向に分離されることが抑制されている。また、凸部16が凹部24に係合することで、支持体11に対して移動体21が回転してしまうことが抑制されている。
【0023】
次に、以上のように構成された縦型ブラインドの作用について説明する。
ボトムコード8は、スラット3の下端部3aに配置されているので、利用者が誤って踏んでしまい、または、足が引っかかってしまうことがある。図5に示すように、このような場合には、ボトムコード8が引っ張られることで、掛け止め部25に対して引っ張り力が加わる。すると、ボトムコード8の引っ張り力を受けて、移動体21は、支持体11に対して、案内突部22が支持突部12の案内面15に案内されながら回転する。これにより、掛け止め部25は、開口端25aが上を向いた状態から横を向いた状態に変位し、掛け止め部25に対してボトムコード8から加わる引っ張り力が和らげられる。ここで、支持体11に対する移動体21の向きを元に戻すには、改めて、手動で、移動体21を支持体11と向きが揃うように回転させればよい。
【0024】
図6に示すように、移動体21が支持体11に対してさらに回転したときには、案内突部22の係合突起23が間隙部13に位置することによって案内溝15aから外れる。これにより、下側に位置する間隙部13から案内突部22が抜けるようにして、支持体11に対して移動体21が離れる。これにより、ボトムコード8から掛け止め部25に加わる引っ張り力がほぼ無くなる。移動体21を支持体11に対して元に戻すには、再度、上述したように支持体11に対して移動体21を取り付ければよい。
【0025】
以上のような縦型ブラインドは、以下のように列挙する効果を得ることができる。
(1)ボトムコード8から掛け止め部25に引っ張り力が加わったときには、支持体11に対して移動体21が回転し、掛け止め部25が上下方向において下方に変位する。これにより、掛け止め部25に加わる力を和らげることができ、掛け止め部25が引っ張り力によって破損することを抑制することができる。
(2)案内突部22の係合突起23が間隙部13に位置したときには、支持体11に対して移動体21が外れる。これにより、掛け止め部25が破損することを抑制することができる。
(3)(1)および(2)により掛け止め部25の破損が抑制されることによって、移動体21が破損することが少なくなり、移動体21の部品交換の頻度を少なくすることができる。
【0026】
(4)支持体11に対する移動体21と取付構造は簡素な構造であり、支持体11に対しては、移動体21を容易に取り付けることができる。
(5)凸部16が凹部24に係合することで、スラット3を移動させる際に、支持体11に対して移動体21が回転してしまうことを抑制することができる。
(6)支持体11に対して移動体21が回転したとき、掛け止め部25の開口端25aが横を向くことで、ボトムコード8が掛け止め部25から外れやすくなり、掛け止め部25が破損することを抑制することができる。
【0027】
〔第二実施形態〕
図7に示すように、第二実施形態のバランスウェイト7は、それぞれが矩形板形状を有する一対の第1半体31aと第2半体31bとを突き合わせて構成される支持体31を備えている。第1半体31aと第2半体31bとは、下端部の長辺に沿った直線状の薄肉部32を介して回動可能に連結されている。第1半体31aと第2半体31bとが薄肉部32を回動支点として折り畳まれたとき、スラット3の下端部3aを挟み込む。第1半体31aと第2半体31bは、合成樹脂で形成され、その上端部には、スラット3の下端部3aを挿通するための挿通孔33が形成されている。そして、挿通孔33に挿通した下端部3aで支持体31の外面を覆い、スラット3の下端部3aの更に先端部を第1半体31aと第2半体31bの間に挟み込むことにより、バランスウェイト7が下端部3aに保持されている。
【0028】
支持体31の上端部の両コーナ部には、移動体34が回転可能に取り付けられる。図8に示すように、支持体31を構成する第1半体31aは、外側に突出した部分に、移動体34を支持する軸部としての支軸35を備えた配置部36を備えている。また、第2半体31bは、支軸35および配置部36を外部に臨ませる切欠部37を備えている。移動体34は、扇形形状を有する回転部41と、回転部41と一体で構成された掛け止め部42とを備えている。回転部41は、支軸35が挿入される穴部としての軸孔43を備えている。
【0029】
また、切欠部37の側面は、配置部36に配置された移動体34が回転するように円弧状面であり、移動体34の回転を案内する案内面37aが構成されている。案内面37aは、配置部36に対する移動体34の脱落を防止する案内溝37bを備えている。案内溝37bは、例えば、案内面37aの半分程度の高さの位置に周回方向に沿って配置されている。案内溝37bは、周回方向に、凹部37cを備えている。
【0030】
一方、案内面37aと対向する回転部41の外側面は、案内面37aの円弧状面に対応した円弧状面を有しており回転案内面41aを構成している。回転案内面41aには、周回方向に、係合突起41bを備えている。係合突起41bは、凹部37cと係合される凸部41cを備えている。凸部41cと凹部37cとは、仮止め部を構成する。凸部41cと凹部37cとが係合した仮止め位置は、回転部41が配置部36に収まり、凸部41cと凹部37cとが係合して仮止めされる位置である。
【0031】
回転部41は、移動体34が仮止め状態にあるとき、配置部36から外部にはみ出すように、ボトムコード8の取付リング44が掛け止められる掛け止め部42を備えている。掛け止め部42は、開口端42aを有した鈎部によって構成されている。開口端42aは、仮止め状態において、上側を向いている。掛け止め部42の先端部と開口端42aを介して対向する位置には、ボトムコード8の抜け止めとなる係止部42bが突設されている。
【0032】
支持体31に対して移動体34を取り付けるには、支持体31の配置部36に配置された支軸35を移動体34の軸孔43に挿入する。これと共に、移動体34の係合突起41bを切欠部37の側面に配置された案内溝37bに係合させ、移動体34を支持体31に対して、凸部41cと凹部37cとが係合するまで回転させる。これにより、移動体34は、配置部36に収まった状態に仮止めされる。この状態において、移動体34の掛け止め部42は、開口端42aが上側を向いており、掛け止め部42には、ボトムコード8の取付リング44が掛け止められる。
【0033】
次に、以上のように構成された第二実施形態のバランスウェイト7の作用について説明する。図9に示すように、移動体34は、係合突起41bが案内溝37bに係合されていることで、スラット3を移動させる際に、支持体31に対して移動体34が離間する方向に分離されることが抑制されている。また、凸部41cが凹部37cに係合することで、スラット3を移動させる際に、支持体31に対して移動体34が回転してしまうことが抑制されている。
【0034】
図9中二点鎖線で示すように、掛け止め部42に対して引っ張り力が加わったときには、ボトムコード8の引っ張り力を受けて、移動体34が、支持体31の配置部36に対して、回転案内面41aが案内面37aに案内されながら回転する。これにより、掛け止め部42は、開口端42aが上を向いた状態から下方を向いた状態に変位し、掛け止め部42に対してボトムコード8から加わる引っ張り力を和らげられる。また、開口端42aが下方を向くことで、ボトムコード8が掛け止め部42から抜けやすくなる。これにより、掛け止め部42は、引っ張り力によって破損することを抑制される。ここで、支持体31に対する移動体34の向きを元に戻すには、手動で、移動体34を支持体31と向きが揃うように回転させればよい。なお、第二実施形態では、引っ張り力によって、移動体34が回転したときにも、係合突起41bが案内溝37bから外れることはない。
【0035】
以上のようなバランスウェイト7は、上記(1)などに記載された効果と同様の効果を得ることができることに加え、さらに以下のような効果を得ることができる。
(7)移動体34は、支持体31の上端部の両コーナ部の配置部36に配置されているので、掛け止め部42が下方に回転したときにも、掛け止め部42が床に当たり傷を付けることを抑制することができる。
(8)支持体31の上端部の両コーナ部の配置部36に配置された移動体34は、それぞれ部屋内側と部屋外側に位置することになる。このような場合でも、移動体34と配置部36は、バランスウェイト7の上端部の両コーナ部において独立した構成であるため、部屋内側において移動体34が配置部36を移動することがあっても部屋外側に位置する移動体34に対しては、その影響を少なくすることができる。すなわち、部屋外側に位置する移動体34が部屋内側の移動体34の影響を受けて移動してしまうことを抑制できる。
(9)移動体34をバランスウェイト7の上端部の両コーナ部で共通部品とすることができる。
【0036】
〔第三実施形態〕
第三実施形態は第二実施形態の変形例である。図10に示すように、第三実施形態は、仮止め部を構成する凸部41cが穴部としての軸孔43の内周面に備えられ、凸部41cと係合する凹部37cが軸部としての支軸35の外周面に備えられている。このような構成によっても、移動体34を支持体31の配置部36に収まった仮止め位置に仮止めすることができる。
【0037】
また、第三実施形態では、移動体34が支持体31に対して外れるように、係合突起41bの周回方向の長さが第二実施形態の場合に対して短くなっており、掛け止め部42が下方に変位したとき、係合突起41bが案内溝37bから外れる構成となっている。
【0038】
移動体34が支持体31に対して分離されたときには、移動体34が紛失するおそれがある。そこで、支持体31と移動体34とは、紐などの連結部材45によって連結してもよい。例えば、連結部材45の一端部を移動体34に接着剤などの固定手段で固定し、他端部を同様に支持体31に固定する。これにより、移動体34は支持体31から分離されたときにも、紛失することを抑制することができる。
【0039】
〔第四実施形態〕
第四実施形態は、支持体に対して移動体が直線的に変位する。図11に示すように、支持体51は、全体が矩形板形状を有しており、上下方向である短手方向に沿った両側の側縁部52の内部に移動可能に移動体61が配置されている。支持体51は、第二実施形態のように、一対の第1半体51aと第2半体51bとを突き合わせて構成され、第1半体51aと第2半体51bとの間に、スラット3の下端部3aを挟み込むと共に、移動体61の移動空間となる案内部53が構成されている。案内部53は、移動体61を第1半体51aと第2半体51bの互いに相対する内面で挟み込むと共に、移動体61の直線的な移動を案内する。また、案内部53には、穴部としての案内孔54が移動体61の移動方向に沿って、すなわち直線状に配置されている。案内孔54は、好ましくは支持体51の各面に配置される。案内部53および案内孔54は、下端部が開口されており、移動体61が落下可能に構成されており、下端部には、仮止め部となる凸部56が相対するようにして配置されている。また、支持体51の短手方向に沿った側縁部には、露出孔55が配置されている。なお、凸部56は、移動体61を引っ張り力で変位する前の初期位置で仮止めできるように、図中実線で示した移動体61における案内軸62の直下に配置してもよい。
【0040】
移動体61は、案内部53に配置される。移動体61は、案内孔54に係合する軸部としての案内軸62が備えられている。案内軸62は、凸部56に係合することで、移動体61が案内部53から落下することが抑制され、強い引っ張り力が加わったときに、相対する2つの凸部56の間を通過する。また、移動体61は、露出孔55から露出され、ボトムコード8の取付リング44が掛け止められる掛け止め部63を備えている。掛け止め部63は、上下方向に直線的に移動するので開口端は上側を向いている。なお、掛け止め部63は、上述した掛け止め部25,42とほぼ同様な構成を有している。
【0041】
次に、以上のように構成された第四実施形態のバランスウェイト7の作用について説明する。スラット3を移動させる状態において、移動体61は、案内部53の相対する内面に圧接され、その圧接力によって、案内部53の上端部に保持される。掛け止め部63に対して引っ張り力が加わったときには、ボトムコード8の引っ張り力を受けて、移動体61が、案内部53を下方に変位し、掛け止め部63も同方向に変位する。これにより、掛け止め部63は、ボトムコード8から加わる引っ張り力が和らげられ、引っ張り力によって破損することを抑制される。ここで、支持体51に対する移動体61の位置を元に戻すには、改めて、手動で、移動体61を案内部53の上端部にまで変位させればよい。
【0042】
ボトムコード8によって移動体61がさらに引っ張られた場合、案内軸62が相対する凸部56の間を通過し、これにより、移動体61は、案内部53から外れる。これにより、ボトムコード8から掛け止め部63に加わる引っ張り力がほぼ無くなり、掛け止め部63が破損することを抑制される。移動体61が支持体51に対して外れた後は、再度、上述したように支持体51の案内部53の下端部の開口より移動体61を挿入すればよい。以上のようなバランスウェイト7によっても、上記(1)などに記載された効果と同様の効果を得ることができる。
【0043】
なお、以上のようなバランスウェイト7は、さらに、以下のように適宜変更して実施することもできる。
〔その他の変形例〕
・掛け止め部は、上述した第一実施形態から第四実施形態の何れにおいても、開口端が上側を向いていたが、開口端は、下側を向いていてもよいし、それ以外の方向を向いていてもよい。開口端が下側を向く場合、容易にボトムコード8が外れないように、掛け止め部内にボトムコード8を係止したり開口端の幅を狭めたりする突起などの係止部を設けるとよい。
・掛け止め部の形状は、ボトムコード8を掛け止めることができる形状であれば特に限定されるものではない。例えば、係止部25b,42bを割愛してもよい。
・掛け止め部が引っ張られて下方に変位する際の移動体が支持体から外れるまでの変位量は、特に限定されるものではないが、大きいほど、移動体が支持体に対して外れにくくなり、移動体を支持体に取り付ける煩わしさを減らすことができる。
・掛け止め部が引っ張られて下方に変位した際の開口端の向きも、特に限定されるものではない。すなわち、掛け止め部が引っ張られて下方に変位した際に、掛け止め部の開口端は、斜め上を向いていてもよいし、横を向いていてもよいし、斜め下方を向いてもよい。
【0044】
・第一実施形態において、仮止め部を構成する凸部16を移動体21の係合突起23に設け、凹部24を支持体11の案内溝15aに設けてもよい。また、第二実施形態において、凹部37cを移動体21の係合突起41bに設け、凸部41cを支持体11の案内溝37bに設けてもよい。さらに、第三実施形態において、凸部41cを支軸35の外周面に設け、凹部37cを軸孔43の内周面に設けてもよい。
【0045】
・仮止め部は、第一実施形態から第三実施形態のように、移動体が引っ張り力で変位する前の初期位置で移動体を仮止めしてもよいし、第四実施形態のように、支持体から外れる直前で仮止めするようにしてもよい。また、仮止め部は、移動体の変位する範囲において複数個所に設けるようにしてもよい。
・上述した第一実施形態から第四実施形態で説明したように、凹部と凸部とで構成した仮止め部を設けなくてもよい。
この場合、例えば、第一実施形態では、案内突部22の短辺の各側面の円弧状面と案内面15との圧接力を、スラット3を移動させるといった通常の使用では案内突部22が支持突部12に対して回転しない程度の圧接力に設定することで仮止め部の代わりとすることができる。
第二実施形態および第三実施形態においても、案内面37aと回転案内面41aとの圧接力を、通常の使用では移動体34が支持体31に対して回転しない程度の圧接力に設定することで仮止め部の代わりとすることができる。圧接力は、支軸35の外周面と軸孔43の内周面との摩擦で調整してもよい。
さらに、第四実施形態においても、第1半体と第2半体とで移動体61を挟み込む圧接力を通常の使用では移動体34が支持体31に対して移動しない程度に設定することで仮止め部の代わりとすることができる。
【0046】
・バランスウェイト7は、スラット3の下端部3aに縫い合わせてもよく、また、接着剤などで固定してもよい。すなわち、バランスウェイト7は、スラット3の下端部3aに対してどのような構成で固定されていてもよい。
・移動体は、支持体に対して、第二実施形態のように、最終的に外れなくてもよい。掛け止め部が下方に移動するだけで、引っ張り力を和らげることができ、掛け止め部が破損する可能性が低くなるからである。
・軸部を支持体に配置し穴部を移動体に配置するのではなく、穴部を支持体に配置し、軸部を移動体に配置してもよい。例えば、第一実施形態では、支持体11に軸部としての案内突部22を配置し、移動体21に穴部としての支持突部12を配置するようにしてもよい。また、第二実施形態および第三実施形態では、支持体31に穴部としての軸孔43を配置し、移動体34に軸部としての支軸35を配置するようにしてもよい。第四実施形態では、支持体51に軸部としての案内軸62を配置し、移動体61に穴部としての案内孔54を配置してもよい。
・第一実施形態において、案内突部22の形状は、細長い矩形形状に限定されるものではなく、例えば係合突起23を設ける部分だけ移動体21の内面に対して突部とし、2つの突部の間は、内面と同一平面の平坦部としてもよい。また、中間部分が幅広な樽形状であってもよい。すなわち、係合突起23は、軸部として機能し得る形状であれば特に限定されない。
・第一実施形態において、スラット3の下端部3aに配置された支持孔14を、2つの支持突部12で構成される仮想円に対してがたつきを有する程度に大きな穴部や、スラット3の下端部3aの縁部が開口されたコ字状の切欠部で構成してもよい。このような場合は、支持突部12がスラット3の下端部3aに留める機能を備えないようになり、スラット3の下端部3aがバランスウェイト7に対して正確に位置が決まらなくなってしまう。このため、支持体11の移動体21と対向する内面であって、上記仮想円の周囲には、突起を複数配置し、複数の突起にスラット3の下端部3aを引っかけ、支持体11をスラット3の下端部3aに留めるように構成してもよい。
・第二実施形態および第三実施形態において、支軸35が軸孔43に挿通された際、支軸35をカシメたり、支軸35に抜け止め部材を取り付けることによって、移動体34が配置部36から外れることを抑制する構成としてもよい。
【0047】
・第二実施形態において、移動体34を配置する配置部36を、支持体31の上下方向の側縁部から突出しない構成としてもよい。図12に示すように、この場合、第1半体31aと第2半体31bとを突き合わせ結合してなる支持体31の上端部の両コーナ部には、移動体34が回転可能に取り付けられる空間部である案内部38が構成されている。第1半体31aにおいて、案内部38を構成する部分は、支軸35が配置されており、移動体34が回転可能に配置される配置部36となる。移動体34は、回転部41と掛け止め部42を備えており、回転部41の軸孔43に支軸35が挿入される。また、支持体31の短手方向の側面部には、掛け止め部42を外部に露出させる露出孔46が配置される。露出孔46は、側面部の上下方向に掛け止め部42の移動範囲に亘って設けられている。掛け止め部42は、初期位置において、露出孔46の上端部に位置しており、ボトムコード8によって引っ張られると、掛け止め部42が下端部の方向に変位する。このようなバランスウェイトは、全体形状が矩形形状となり、配置部が矩形形状に対して突出することもなくなり、形状を簡素化することができる。
・第二実施形態において、移動体34は、配置部36から落下する構成としてもよい。この場合、掛け止め部42が最も下まで変位したときに、案内溝37bから係合突起41bが外れる構成とすればよい。
・第一実施形態、第二実施形態、および、第四実施形態においても、支持体から分離した移動体が紛失しないように、支持体と移動体とを紐などの連結部材で連結してもよい。
・ボトムコード8は、取付リング44を備えていなくてもよい。この場合、ボトムコード8が直接掛け止め部に掛け止められる。
【符号の説明】
【0048】
1…ハンガーレール、2…ランナー、2a…先頭ランナー、3…スラット、3a…下端部、4,5…操作コード、6…駆動軸、7…バランスウェイト、8…ボトムコード、11…支持体、12…支持突部、13…間隙部、14…支持孔、15…案内面、15a…案内溝、16…凸部、21…移動体、22…案内突部、23…係合突起、24…凹部、25…掛け止め部、25a…開口端、25b…係止部、31…支持体、31a…第1半体、31b…第2半体、32…薄肉部、33…挿通孔、34…移動体、35…支軸、36…配置部、37…切欠部、37a…案内面、37b…案内溝、37c…凹部、38…案内部、41…回転部、41a…回転案内面、41b…係合突起、41c…凸部、42…掛け止め部、42a…開口端、42b…係止部、43…軸孔、44…取付リング、45…連結部材、46…露出孔、51…支持体、51a…第1半体、51b…第2半体、52…側縁部、53…案内部、54…案内孔、55…露出孔、56…凸部、61…移動体、62…案内軸、63…掛け止め部。
図1
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