(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6695689
(24)【登録日】2020年4月24日
(45)【発行日】2020年5月20日
(54)【発明の名称】メトキシフラボン含有茶飲料
(51)【国際特許分類】
A23L 2/00 20060101AFI20200511BHJP
A23F 3/14 20060101ALI20200511BHJP
A23F 3/40 20060101ALI20200511BHJP
【FI】
A23L2/00 B
A23F3/14
A23F3/40
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-253890(P2015-253890)
(22)【出願日】2015年12月25日
(65)【公開番号】特開2017-112951(P2017-112951A)
(43)【公開日】2017年6月29日
【審査請求日】2018年7月31日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】309007911
【氏名又は名称】サントリーホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100120112
【弁理士】
【氏名又は名称】中西 基晴
(74)【代理人】
【識別番号】100129458
【弁理士】
【氏名又は名称】梶田 剛
(72)【発明者】
【氏名】中尾 優希
(72)【発明者】
【氏名】松林 秀貴
【審査官】
北村 悠美子
(56)【参考文献】
【文献】
特開2013−192513(JP,A)
【文献】
国際公開第2015/170681(WO,A1)
【文献】
特開2009−067731(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L 2/00−2/84
A23F 3/00−5/50
C12G 1/00−3/08
A23L 33/00−33/29
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS/FSTA/WPIDS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)
【化1】
(式中、R
1、R
4、及びR
5は、各々独立して水素原子又はメトキシ基であり、R
2は
ヒドロキシ基又はメトキシ基であり、R
3はメトキシ基である)で表される構造を有する
少なくとも1種のメトキシフラボンを1.0〜15mg/100mL含み、グルコースと
マルトースとを[グルコース]/[マルトース](重量比)が0.01〜0.5となるよ
うに含
み、当該メトキシフラボンと、グルコース及びマルトースとの重量比([前記メトキシフラボンの総重量]/[グルコース及びマルトースの合計重量])が0.0001〜0.003である、飲料。
【請求項2】
前記少なくとも1種のメトキシフラボンが、5,7,3’,4’−テトラメトキシフラ
ボン、3,5,7,3’,4’−ペンタメトキシフラボン、5,7−ジメトキシフラボン
、5,7,4’−トリメトキシフラボン、3,5,7−トリメトキシフラボン、3,5,
7,4’−テトラメトキシフラボン、5−ヒドロキシ−3,7,3’,4’−テトラメト
キシフラボン、5−ヒドロキシ−7−メトキシフラボン、5−ヒドロキシ−7,4’−ジ
メトキシフラボン、5−ヒドロキシ−3,7−ジメトキシフラボン、及び5−ヒドロキシ
−3,7,4’−トリメトキシフラボンからなる群から選択される、請求項1に記載の飲
料。
【請求項3】
前記飲料が茶飲料である、請求項1又は2に記載の飲料。
【請求項4】
式(I)
【化2】
(式中、R
1、R
4、及びR
5は、各々独立して水素原子又はメトキシ基であり、R
2は
ヒドロキシ基又はメトキシ基であり、R
3はメトキシ基である)で表される構造を有する
少なくとも1種のメトキシフラボンを1.0〜15mg/100mL含む飲料の香味を改
善する方法であって、
当該飲料中の[グルコース]/[マルトース](重量比)を0.01〜0.5に調整する工程
、及び
当該飲料中の当該メトキシフラボンと、グルコース及びマルトースとの重量比([前記メトキシフラボンの総重量]/[グルコース及びマルトースの合計重量])を0.0001〜0.003に調整する工程
を含む、前記方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特定の構造を有するメトキシフラボンを配合した飲料に関する。
【背景技術】
【0002】
黒ショウガ(Kaempferia parviflora)は、ショウガ科に属する植物の一種であり、日本では黒ウコンとも呼ばれている。黒ショウガは東南アジアを中心に自生しており、タイではクラチャイダム(Kra chai dahm)とも呼ばれる伝統的なハーブの一種である。
【0003】
黒ショウガに含まれる主な成分は、アントシアニジンやメトキシフラボノイドを中心とするポリフェノール類であることがこれまでの研究で明らかにされており、ショウガに含まれるジンゲオールやショウガオール、ウコンに含まれるクルクミンは含まれていない。また、その効能としては抗肥満作用、血流改善作用など、様々なものが知られており、黒ショウガは、わが国においてもサプリメントや飲料に広く利用されている。それらの効能をもたらす成分は、特定の構造を有するメトキシフラボンであると考えられている。
【0004】
黒ショウガからメトキシフラボンを抽出する方法が知られている。例えば、特許文献1には、主に熱水又は含水アルコール抽出によってメトキシフラボン抽出物を製造する方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2013−192513号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した通り、黒ショウガ抽出物に含まれる特定の構造を有するメトキシフラボンは抗肥満作用や血流改善作用などを有する非常に有用な素材である。しかしながら、前記特定の構造を有するメトキシフラボンには、特有のイモ様の味や臭いがあるために、飲料中に配合すると、飲料の嗜好性が著しく低下するという問題がある。
【0007】
そのため、本発明の課題は、黒ショウガ由来の特定の構造を有するメトキシフラボンを含有しながらも飲みやすい飲料を提供することにある。
【0008】
また、本発明は、黒ショウガ由来の特定の構造を有するメトキシフラボンを含有した飲料において特有のイモ様の味や臭いを低減し、すっきりとした甘みに改善する方法を提供することを目的とする。
【0009】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、黒ショウガ由来の特定の構造を有するメトキシフラボンを含有する飲料に対し、グルコースとマルトースとを含有させ、その比率を特定の範囲に調整することにより、前記特定の構造を有するメトキシフラボン特有の好ましくない香味(具体的には、イモ様の味や臭い)を改善できることを見出し、本発明を完成するに至った。本発明は、これに限定されるものではないが、以下に関する。
1.式(I)
【化1】
(式中、R
1、R
4、及びR
5は、各々独立して水素原子又はメトキシ基であり、R
2はヒドロキシ基又はメトキシ基であり、R
3はメトキシ基である)で表される構造を有する少なくとも1種のメトキシフラボンを1.0〜50mg/100mL含み、グルコースとマルトースとを[グルコース]/[マルトース](重量比)が0.001〜1となるように含む、飲料。
2.前記少なくとも1種のメトキシフラボンが、5,7,3’,4’−テトラメトキシフラボン、3,5,7,3’,4’−ペンタメトキシフラボン、5,7−ジメトキシフラボン、5,7,4’−トリメトキシフラボン、3,5,7−トリメトキシフラボン、3,5,7,4’−テトラメトキシフラボン、5−ヒドロキシ−3,7,3’,4’−テトラメトキシフラボン、5−ヒドロキシ−7−メトキシフラボン、5−ヒドロキシ−7,4’−ジメトキシフラボン、5−ヒドロキシ−3,7−ジメトキシフラボン、及び5−ヒドロキシ−3,7,4’−トリメトキシフラボンからなる群から選択される、1に記載の飲料。
3.前記メトキシフラボンと、グルコース及びマルトースとの重量比([前記メトキシフラボンの総重量]/[グルコース及びマルトースの合計重量])が0.0001〜0.005である、1又は2に記載の飲料。
4.前記飲料が茶飲料である、1〜3のいずれか一項に記載の飲料。
5.式(I)
【化2】
(式中、R
1、R
4、及びR
5は、各々独立して水素原子又はメトキシ基であり、R
2はヒドロキシ基又はメトキシ基であり、R
3はメトキシ基である)で表される構造を有する少なくとも1種のメトキシフラボンを1.0〜50mg/100mL含む飲料の香味を改善する方法であって、飲料中の[グルコース]/[マルトース](重量比)を0.001〜1に調整する工程を含む、前記方法。
【発明の効果】
【0010】
本発明によって、黒ショウガ由来の特定の構造を有するメトキシフラボンを含有していながらも、前記特定の構造を有するメトキシフラボン特有のイモ様の味や臭いなどの好ましくない香味が改善され、すっきりとした甘みを有する飲料を提供することができる。本発明の飲料はまた、肥満の抑制や血流の改善にも有用である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明は、特定の構造を有するメトキシフラボンを含み、グルコースとマルトースとをさらに含む飲料である。
【0012】
(メトキシフラボン)
本発明の飲料は、式(I)
【化3】
(式中、R
1、R
4、及びR
5は、各々独立して水素原子又はメトキシ基であり、R
2はヒドロキシ基又はメトキシ基であり、R
3はメトキシ基である)で表される構造を有する少なくとも1種のメトキシフラボンを含有する。
【0013】
好ましくは、式(I)の化合物は、以下の表1に記載の5,7,3’,4’−テトラメトキシフラボン、3,5,7,3’,4’−ペンタメトキシフラボン、5,7−ジメトキシフラボン、5,7,4’−トリメトキシフラボン、3,5,7−トリメトキシフラボン、3,5,7,4’−テトラメトキシフラボン、5−ヒドロキシ−3,7,3’,4’−テトラメトキシフラボン、5−ヒドロキシ−7−メトキシフラボン、5−ヒドロキシ−7,4’−ジメトキシフラボン、5−ヒドロキシ−3,7−ジメトキシフラボン、及び5−ヒドロキシ−3,7,4’−トリメトキシフラボンから選択される。
【表1】
【0014】
本発明の飲料は、好ましくは、上記表1に示された化合物1〜11の内の、少なくとも1種を含む。当該飲料は、化合物1〜11の内の、より好ましくは少なくとも2種、より好ましくは少なくとも3種、より好ましくは少なくとも4種、より好ましくは少なくとも5種、より好ましくは少なくとも6種、より好ましくは少なくとも7種、より好ましくは少なくとも8種、より好ましくは少なくとも9種、より好ましくは少なくとも10種、より好ましくは11種を含む。
【0015】
特定の構造を有するメトキシフラボンを含有する黒ショウガ抽出物を配合した飲料では、イモ様の味や臭いなどの好ましくない香味が感じられる。本発明の飲料における当該メトキシフラボンの総含有量は、飲料に含まれるグルコース及びマルトースの重量比([グルコース]/[マルトース])を特定の範囲にすることにより前記イモ様の味や臭いを改善できる量であれば特に限定されないが、典型的には1.0〜50mg/100mL、3.0〜50mg/100mL、3.0〜30mg/100mL、又は3.0〜15mg/100mLである。メトキシフラボンの含有量は、例えば、飲料製造時に使用するメトキシフラボン又はそれを含む原料の量を制御することにより調整することができる。メトキシフラボンの含有量は公知の方法によって測定及び定量することができ、例えば、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)などを用いることができる。
【0016】
当該メトキシフラボンは黒ショウガの特徴的な成分であると考えられ、典型的には、黒ショウガから抽出等により得ることができるが、その由来は特に限定されない。
【0017】
黒ショウガ(Kaempferia parviflora)は、ショウガ科に属する植物の一種であり、東南アジアを中心に自生もしくは栽培されているため、容易に入手できる。抽出のためには、黒ショウガのどの部位を用いてもよい。例えば、葉部、花部、根茎部などが挙げられるが、これらの中でも、根茎部が好ましい。
【0018】
黒ショウガからメトキシフラボンを抽出する方法は、例えば、特許文献1に記載されている。また、本発明においては、黒ショウガから、式(I)のメトキシフラボンを含む油脂抽出物を得て利用することもできる。当該抽出物は、メトキシフラボンを含有し、そして黒ショウガ抽出物に特有の黒紫色の強度が低減されているので好ましい。油脂抽出物の典型的な製造方法を以下に簡単に記載する。
【0019】
先ず、黒ショウガの植物体を準備する。当該植物体又はその部位を、必要に応じて、乾燥し、粉砕する。次いで、当該植物体又はその部位を、中鎖脂肪酸トリグリセリド等の油脂と接触させて、抽出を行う。抽出条件は、メトキシフラボンを抽出できる限り特に限定されない。使用される油脂の容量は、典型的には、黒ショウガの重量の0.1〜30倍、又は0.5〜15倍である。
【0020】
次いで、抽出を行った後には、必要に応じて、当該抽出により得られた油脂含有抽出物から濾過又は遠心分離により不溶性固形物を除く。得られた抽出物は、さらなる精製をすることなく使用してもよいが、必要に応じて精製してもよい。例えば、当該油脂含有抽出物をさらなる抽出工程に付して、油脂を除去してもよい。具体的には、当該油脂含有抽出物に、水、親水性溶媒、又はそれらの混合物を接触させて、1種以上のメトキシフラボンを抽出する。油脂から分離された抽出物は、メトキシフラボンを含み、そして溶媒を含む液の形態にある。この液をそのまま飲料の成分として利用してもよいし、溶媒を除去して、メトキシフラボンを含む粉末形態の抽出物を得て、それを利用してもよい。
【0021】
(グルコース、マルトース)
本発明の飲料におけるグルコースとマルトースの重量比([グルコース]/[マルトース])は、黒ショウガ抽出物に起因するイモ様の味や臭いを改善できる量であれば特に限定されないが、典型的には0.001〜1、好ましくは0.01〜0.5であり、より好ましくは0.01〜0.25、さらにより好ましくは0.025〜0.2である。前記メトキシフラボンを含有する飲料におけるグルコースとマルトースとの比(重量比)が上記の特定の範囲内にあれば、前記メトキシフラボンに起因する好ましくない香味が改善される。
【0022】
飲料中のグルコース及びマルトースの含有量は、グルコースとマルトースとの比が上記の範囲内であればよく、特に制限されない。飲料の種類によって、所望される甘味などを考慮して決定すればよい。例えば、茶飲料であれば、ほとんど甘味を感じない(ほとんど茶葉由来のスクロースである)20〜3000mg/kg程度のスクロースであってもよいし、例えば有糖茶のように甘味を付与した飲料では、3000〜100000mg/kg程度のスクロースであってもよい。したがって、飲料におけるスクロースの含有量は、これに限定されないが、飲料の甘味の設計によって、20mg/kg以上、例えば、20〜100000mg/kg程度となりうる。グルコースの含有量は、このスクロースの含有量に準じて設定してもよいし、これとは異なる含有量に設定してもよい。そして、マルトースの含有量は、グルコースの含有量と上記の比(重量比)から決定すればよい。本発明の飲料におけるグルコースの含有量は、例えば50〜2500mg/100mLであり、好ましくは100〜2000mg/100mL、より好ましくは120〜1000mg/100mLである。また、本発明の飲料におけるマルトースの含有量は、例えば200〜5000mg/100mLであり、好ましくは3000〜4950mg/100mL、より好ましくは4000〜4900mg/100mLである。
【0023】
グルコース及びマルトースはまた、前記メトキシフラボンとこれらの合計量(即ち、グルコース及びマルトースの合計重量)との重量比([前記メトキシフラボンの総重量]/[グルコース及びマルトースの合計重量])が0.0001〜0.005、好ましくは0.00012〜0.002、より好ましくは0.00014〜0.001となるように含有させることもできる。
【0024】
飲料中のグルコース及びマルトースの含有量は、当業者に公知の高速液体クロマトグラフィー(HPLC)等を利用して測定することができる。
【0025】
本発明は、別の観点からは、前記メトキシフラボンを1.0〜50mg/100mL含む飲料の香味を改善する方法であって、飲料中のグルコースとマルトースとの重量比([グルコース]/[マルトース])を0.001〜1となるように調整する工程を含む、前記方法に関する。
【0026】
(飲料)
本発明の飲料における、飲料の種類は特に限定されず、炭酸飲料、非炭酸飲料、アルコール飲料、非アルコール飲料、茶飲料、栄養飲料、機能性飲料などいずれであってもよい。本発明において好ましい飲料としては、例えば、緑茶、ほうじ茶、ブレンド茶、麦茶、マテ茶、ジャスミン茶、紅茶、ウーロン茶、杜仲茶などの茶飲料などが含まれる。
【0027】
本発明の飲料は、上記に示した各種成分のほか、飲料の種類に応じて、各種添加剤等が配合されていてもよい。各種添加剤としては、例えば、上記以外の糖類等の甘味料、酸味料、香料、ビタミン、色素類、酸化防止剤、乳化剤、保存料、エキス類、食物繊維、pH調整剤、品質安定剤等が挙げられる。
【0028】
本発明の飲料は、上述した成分を適宜配合することにより製造することができる。本発明の飲料を茶飲料とする場合は、茶葉又はその抽出物等を配合して製造することができる。また、本発明の飲料は、必要に応じて殺菌等の工程を経て、容器詰め飲料とされる。例えば、飲料を容器に充填した後に加熱殺菌等を行う方法や、飲料を殺菌してから無菌環境下で容器に充填する方法により、殺菌された容器詰め飲料を製造することができる。
【0029】
容器の種類は特に限定されず、PETボトル、缶、瓶、紙パックなどを挙げることができる。特に、無色透明のPETボトルは、容器中の飲料の色味が外部から視認しやすく、且つ充填後の飲料の取り扱いも容易であるため、好ましい。
【実施例】
【0030】
以下、実験例及び実施例を示して本発明の詳細を具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。また、本明細書において、特に記載しない限り、数値範囲はその端点を含むものとして記載される。
【0031】
黒ショウガ抽出物としてブラックジンジャーエキス末D(丸善製薬社)を用いて、評価用の飲料(サンプル1〜28)を作製した。具体的には、前記黒ショウガ抽出物及びカフェイン(白鳥製薬社)を、ポリメトキシフラボン(PMF:本発明のメトキシフラボン)、グルコース及びマルトースの含有量が下記の表2に記載の量(濃度)となるように溶解して各飲料を調製した。尚、前記黒ショウガ抽出物にはポリメトキシフラボンが10%(w/w)含まれているものとして、ポリメトキシフラボンの量を計算した。
【0032】
得られた飲料について、十分に訓練を受けた3名の専門パネリストにより香味の官能評価を行った。評価用の飲料は、室温にて調製された飲料をそのまま使用した。香味については、主にイモ様の味わいと甘みの観点から評価した。具体的には、下記の通りとし、官能評価点3点以上が好ましい飲料とした。結果を表2に示す。
1点:イモ様の味が強すぎる。
2点:イモ様の味が強い、もしくは甘さのバランスがよくない。
3点:イモ様の味が改善され、甘さのバランスがとれている。
4点:イモ様の味の改善効果がより好ましく、甘さのバランスがさらによい。
5点:イモ様の味がボディ感として好適に感じられ、かつ甘さが最も好ましく感じられる。
【0033】
実験の結果、グルコース/マルトース比を特定の範囲にすると、黒ショウガ由来の特定の構造を有するメトキシフラボン特有のイモ様の味が改善され、甘さのバランスが良くなることがわかった。
【0034】
【表2】