(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記センサ駆動制御部は、更に、前記センシング用に選択された前記共通電極の隣に位置する前記非センシング用に選択された前記他の共通電極に対して、前記センサ信号と同位相の前記ガード信号を供給する第2スイッチGSWを備えることを特徴とする、
請求項1記載の表示装置。
前記センサ駆動制御部は、前記センシング回路から出力される前記センサ信号と前記ガード信号の振幅を同じ振幅に設定している、ことを特徴とする請求項3に記載の表示装置。
前記センサ駆動制御部は、前記センシング回路から出力される前記センサ信号の振幅より前記ガード信号の振幅を小さい振幅に設定している、ことを特徴とする請求項3に記載の表示装置。
前記センシング回路は、前記センシング用に選択された前記共通電極に前記センサ信号を入力して当該センサ信号の変化を検出する自己容量方式の回路である、ことを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本発明の各実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、開示はあくまで一例にすぎず、当業者において、発明の主旨を保っての適宜変更について容易に想到し得るものについては、当然に本発明の範囲に含有されるものである。また、図面は構成を分かりやすくするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状、広さ、太さ、連続性等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号を付して、詳細な説明を適宜省略することがある。
【0014】
(自己容量方式によるタッチ検出)
はじめに、本発明の各実施の形態に係るタッチ検出機能付き表示装置において用いられる、自己容量方式によるタッチ検出の基本原理について説明する。
図1は自己容量方式(「セルフ検出方式」ともいう)によるタッチ検出の概略を示している。当該タッチ検出とは、検出電極を用いて当該センサ電極への被検出物の接触又は近接を検出することをいう。
図1に示す如く、自己容量方式によるタッチ検出は、センサ電極100にセンサ信号101を供給すると共に、ヒトの指やペン等の誘電体と見做せる被検出物(以下、これらを単に被検出物と称する)Oのセンサ電極100への接触又は近接に伴う当該センサ信号の変化を読取ることにより行われる。
当該自己容量方式によるタッチ検出は、センサ電極が有する容量Cx1を利用すると共に、センサ電極100に近接する被検出物Oにより生じる容量Cx2を利用する。
【0015】
図2の実線Aは、センサ電極100に被検出物Oが接触も近接もしていない状態を示している。このため、センサ電極SEと被検出物Oとの間に容量は生じておらず、Cx1のみの容量が生じ、センサ信号101のセンサ電極100への入力に応じて実線Aに示されるような時間変化を示す。
【0016】
この状態から被検出物Oがセンサ電極100に近接又は接触すると、センサ電極100と被検出物Oとの間に容量Cx2が生じることとなり、その分だけセンサ電極SEに多くの電流が流れることとなる。
図2の破線は、被検出物Oをセンサ電極100に近接させたときの電荷量の変化であり、被検出物Oが存在していないときよりもΔQだけ電荷量が大きくなる。かかる差分に基づくセンサ信号を検知回路102に認識させることにより、タッチの有無が判断されるのである。
【0017】
(第1の実施形態)
以下、図面を参照しながら第1の実施形態に係るタッチ機能付き表示装置及びその駆動方法について詳細に説明する。
【0018】
図3に示す如く、本実施形態に係るタッチ機能付き表示装置1は、アクティブマトリクス型の液晶表示パネル2と、液晶表示パネル2の背面側に設けられるバックライトユニット(図示省略)とを備えている。該タッチ機能付き表示装置1は、バックライトユニットが設けられる背面とは反対側の面となる面を表示面11としており、バックライトユニットからの出射光を用いて該表示面11に画像を表示する。
なお、以下では、表示面11の法線方向から該表示面11を視認する状態を平面視と称する。
【0019】
液晶表示パネル2は、第1基板3と、第1基板3に対向配置された第2基板4と、第1基板3と第2基板4との間に設けられた液晶層(後述する液晶層5)と、を備えている。第2基板4は二点鎖線で示されている。
また、液晶表示パネル2には、表示面11に画像を表示させる矩形状の表示領域12が設けられていると共に、平面視で当該表示領域12を包囲する非表示領域13が設けられている。
なお、本実施形態においては、表示領域12は矩形状とされているが、当該表示領域12はその他の多角形状や円形状、楕円形状等、他の形状を採用することも可能である。また、当該液晶表示パネル2も平面視で矩形状とされているが、表示面11に合わせてその他の多角形状や円形状、楕円形状等の形状を採用可能である。また、液晶表示パネル2と表示面11の形状は同じ種類の形状を呈している必要はなく、それぞれが別の形状を呈している構成も採用可能である。加えて、液晶表示パネル2を面外方向に変形させた曲面パネルとする構成も採用可能である。
【0020】
当該液晶表示パネル2は、表示面11に画像を表示させるだけではなく、当該表示面11への被検出部Oのタッチを検出するタッチ検出機能を備えている。これら2つの機能を実現すべく、当該液晶表示パネル2は例えば制御部54内に駆動制御部40を含む。さらに駆動制御部40は、表示駆動制御部50とセンサ駆動制御部60を含む。表示駆動制御部50は、表示面11に画像を表示させるための駆動を制御する。センサ駆動制御部60は、表示面11への被検出物Oのタッチの検出するための駆動を制御する。
なお、以下では、表示面11への被検出物の接触及び近接を含めてタッチと称する。またセンサ駆動制御部60は、
図3では、駆動制御部40内にあるように示されているが、この構成に限定されるものではない。センサ駆動制御部60は、駆動制御部50を内蔵している集積回路(IC)(つまり制御部54)内にその主要を形成してもよいし、これとは独立した別の電子回路として第1基板SUB1上に主要部を形成しても構わない。或いはセンサ駆動制御部60は、フレキシブルプリント基板(FPC)上に電子回路としてその主要部を形成してもよいし、FPCを介して接続される他のIC内にその一部が設けられていても構わない。このセンサ駆動制御部60は、後でも説明するがその一部が表示領域内にも形成されているし、またスイッチ駆動回路80をも含む。
以下、表示領域12、表示駆動制御部50及びセンサ駆動制御部60について順次説明する。
【0021】
第1基板3の内面側には、表示領域12と対応する位置にn本の第1配線(以下ゲート線と称する)20と、m本の第2配線(以下データ線と称する)21とが形成されると共に、複数の画素電極22及び共通電極26が形成されている。
ゲート線20は、第1方向Xに向けて延出し、該第1方向Xに直交する第2方向Yに間隔を空けて並べられている。
データ線21は、第2方向Yに向けて延出し、第1方向Xに間隔を空けて並べられており、これによって平面視で複数のゲート線20と交差する状態となっている。
複数の共通電極26は、表示領域12にマトリクス状に配置されている。各共通電極26に対して複数の画素電極22が対向している。
上記のように、複数のゲート線20とデータ線21とが平面視で互いに交差した状態で配置されることにより、表示領域12には、これらゲート線20とデータ線21によって区画される複数の画素領域27が形成される。複数の画素領域27は、表示領域12内で第1方向Xと第2方向Yに沿ってマトリクス状に設けられる。したがって、当該表示領域12には、m×n個の画素領域27が形成される(但し、m及びnは正の整数である)。
なお、当該第1方向Xと第2方向Yとは互いに交差していればよく、上述の如き直交状態のみならず、略直交等、直交以外の状態で交差している場合も含む。
また、上述の如く、本実施形態では画素領域27がマトリクス状に配置されている点に鑑み、以下では当該第1方向Xを行方向、第2方向Yを列方向とも称する。
また、ゲート線20やデータ線21は、本実施形態はそれぞれの方向に直線状に延出して形成されているが、画素領域27単位で波型に折れ曲がっている等、一部又は複数個所で屈曲している構成を採用することも可能である。
【0022】
図4に示す如く、各画素領域27には、画素電極22と、該画素電極22とデータ線21とを接続する画素スイッチング素子28とが設けられている。また、各共通電極26は、複数の画素電極22に対向した状態で設けられている。
図4では、代表となる1つの画素領域の画素電極22に符合を付している。
画素スイッチング素子28は、薄膜トランジスタ(TFT)により形成されており、該薄膜トランジスタのベースがゲート線20に接続され、ソース側がデータ線21に接続され、ドレイン側が画素電極22に接続されている。
【0023】
図5は、液晶表示パネル2の層構成を概略的に示す断面図である。
図5は
図4の層構成をX−X’の一点破線に沿って示す断面図である。
図5に示す如く、第1基板3と第2基板4とは所定のセルギャップGを設けた状態でシール材(図示省略)を介して貼り合わされている。シール材は、非表示領域13にて表示領域12に沿って矩形状に周回して設けられている。液晶層5は、これら第1基板3、第2基板4及びシール材で囲われた空間に封入されている。また、液晶層5には、これら一対の基板3、4のセルギャップGを一定に保つ複数のスペーサ7が設けられている。
【0024】
第1基板3は、ガラス基板や樹脂基板などの光透過性を有する第1絶縁基板3aを用いて形成されている。第1絶縁基板3a上には、第2基板4に対向する側の面(内面)に、金属からなる複数の遮光層31が島状に設けられている。
図4では遮光層31は、画素スイッチング素子28に対応する遮光層として示し、遮光層84は、後述する選択スイッチング素子81a、81bに対応する遮光層として示している。
図4では、選択スイッチング素子81aの層構成が現れている。第1基板3の内面及び複数の遮光層31などを覆って第1絶縁層32が形成されている。
【0025】
第1絶縁層32上には、遮光層31と対向する位置にチャネル層となる半導体層33が形成されると共に、該半導体層33を覆ってゲート絶縁膜34が形成されている。そして、該ゲート絶縁膜34上には、半導体層33と対向する位置にゲート線20がそれぞれ形成される。
第1基板3の内面上には、さらに、ゲート線20及びゲート絶縁膜34を覆って第2絶縁層35が設けられており、該第2絶縁層35の上に複数のデータ線21が形成されている。また、当該データ線21と同層には、半導体層33と対向する位置に一対の電極部36(36a,36b)が形成されており、当該一対の電極部36が第2絶縁層35及びゲート絶縁膜34を介して半導体層33とコンタクトしている。これらゲート線20、半導体層33及び一対の電極部36によって、画素スイッチング素子28が形成される。
なお、本実施形態では、画素スイッチング素子28として、所謂トップゲート型TFTが採用されているが、半導体層33とゲート線20の上下関係を入れ替えたボトムゲート型TFTを採用することも可能である。また、画素スイッチング素子28の半導体層33は、ポリシリコンによって形成されているが、アモルファスシリコンによって形成されていても良い。
【0026】
データ線21、画素スイッチング素子28の一対の電極部36及び第2絶縁層35を覆って平坦化膜37が設けられ、該平坦化膜37上にさらに第3絶縁層38が設けられ、当該第3絶縁層38上に共通電極26が設けられている。
図3に示す如く、共通電極26は、表示領域12内において、複数(例えば20画素領域×20画素領域)の画素領域27に対向可能な大きさを有する四角形状に形成されており、第1方向X及び第2方向Yに向かってマトリクス状に並べられている。
本実施形態では、このように複数の共通電極26をマトリクス状に並べた配置とすることにより、当該共通電極26をタッチ検出のセンサ電極としても用いる。タッチ検出ための具体的構成については後述する。
【0027】
さらに第4絶縁層39がタイル状に敷設された複数の共通電極26及び第3絶縁層38の上に形成されており、該第4絶縁層39上に画素電極22が形成されている。
画素電極22は、平面視でゲート線20とデータ線21とで区画される画素領域27ごとに設けられており、第4絶縁層39を介して共通電極26と対向している。また、画素電極22は、複数のライン部25の間にスリット24を形成した櫛歯状(
図4の平面視を参照)に形成されており、第3絶縁層38と共通電極26の開口部を介して画素スイッチング素子28の電極部36aにコンタクトしている。
共通電極26及び画素電極22は、例えば、ITOやIZOなどの透明な導電材料によって形成されている。また、上記複数種の絶縁層32、35、38、39やゲート絶縁膜34、平坦化膜37は、いずれもポリイミド樹脂などの有機絶縁材料、窒化珪素、酸化珪素等の無機絶縁材料等で形成されている。
さらに、液晶層5を構成する液晶分子のプレチルト角を規定する第1配向膜(図示省略)が、画素電極22及び第4絶縁層39を覆って設けられている。
【0028】
一方、第2基板4は、ガラス基板や樹脂基板などの光透過性を有する第2絶縁基板4aを用いて形成されている。第2絶縁基板4aは、第1基板3に対向する側に、ゲート線20やデータ線21と対向する位置に設けられるブラックマトリクス8、カラーフィルタ10、オーバーコート層や第2配向膜(いずれも図示省略)などを備えている。
【0029】
かかる画素構成においては、画素電極22と共通電極26との間に電界を発生させることにより、スリット24を介してこれら間にフリンジ電界が発生する。当該フリンジ電界の影響を受けることで、液晶層5の液晶分子は初期配向状態から向きを変化させ、これによって液晶層5の光学特性が画素領域27ごとに変化する。かかる光学特性を変化させた画素領域にバックライトからの光が透過することにより、表示面11での画像の表示が実現される。なお、かかるフリンジ電界を利用した表示モードをFFSモード(Fringe Field Switching)と称する。
【0030】
図3に示す如く、第1基板3には、ゲート線20を駆動させるゲート線駆動回路51と、データ線21へ送信される画像信号を制御するマルチプレクサ53と、これらゲート線駆動回路51やマルチプレクサ53を制御するメイン制御部54が設けられている。これらの回路のうち、ゲート線駆動回路51とマルチプレクサ53とは第1基板3に形成されており、メイン制御部54はICチップとして形成され、第1基板3上に実装されている。ゲート線駆動回路51及びマルチプレクサ53は、制御線56a、制御線56bを介してメイン制御部54に電気的に接続されている。
図6Aに示す如く、メイン制御部54は、マルチプレクサ53を介してデータ線21を駆動するためのデータ線駆動回路55を備える。またメイン制御部54は、これらデータ線駆動回路55、ゲート線駆動回路51、及びマルチプレクサ53を制御するためのタイミングコントローラ(又は制御部)57を備えている。
図6Aは、本実施形態の構成を分かり易くするために、表示に寄与する構成要素を主として示している。後で説明するように、
図6Bは、タッチ検出に寄与する構成要素を主として示している。実際の装置は、
図6Aと
図6Bに示す構成要素が一体となっている。
【0031】
図6Aに示すように、表示領域12に形成されている複数のゲート線20は非表示領域13まで引き出され、ゲート線駆動回路51に接続されている。該ゲート線駆動回路51は、互いに電気的に接続された複数のゲート用シフトレジスタ52を備え、各ゲート線20は、ゲート用シフトレジスタ52に一対一で接続されている。
図6Aでは、ゲート線駆動回路51が、表示領域12の左右方向(矢印X方向)の両側にそれぞれ設けられているが、片側だけに設けられてもよい。
また、複数のデータ線21は、表示領域12の外側まで引き出され、マルチプレクサ53に接続されている。
図6Aには、後で説明するようにタッチ検出のときに利用される第3配線77a、77bが示されている。この第3配線77a、77bは、第2配線であるデータ線21に対して絶縁層を介して重なる位置に形成されている。
【0032】
また、
図3に示す如く、第1基板3には、メイン制御部54と対向する位置に、外付けのアプリケーションプロセッサなどの外部制御モジュール(図示省略)とメイン制御部54とを接続するフレキシブル配線58が設けられている。
【0033】
本実施形態に係る液晶表示パネル2は、さらに、被検出物Oが表示面11へタッチしたことを検出するためのセンサ駆動制御部60が形成されている。より具体的には、表示に寄与する共通電極26をセンサ電極SEとして用いるものであって、当該共通電極26をセンサ電極SEとして機能させる構成が表示領域12と非表示領域13に亘って形成されている。
【0034】
図3、
図6A、
図6B及び
図7Aに示す如く、該センサ駆動制御部60は、非表示領域13に設けられて共通電極26をセンサ電極SEとして機能させるべく、共通電極26に対してセンサ信号を供給する。また該センサ駆動制御部60は、当該センサ信号に基づいてタッチの有無を検出するセンシング回路(或いは検出回路)61と、表示領域12上に設けられた複数の共通電極26のいずれかをセンサ電極SEとして選択する選択回路62とを備えている。さらには、メイン制御部54は、センシング回路61とは別に共通電極26に信号を供給するための共通電極駆動回路73が設けられている。
【0035】
図7は、共通電極26をセンサ電極SEとして動作させるための選択回路62を示している。
図7は、
図6Bの1つのセンサ電極SE(共通電極26)を代表して取り出して示している。選択回路62は、共通電極26に対向して設けられる一対の第3配線77a、77bと、該一対の第3配線77a、77bと共通電極26とを接続する選択スイッチング素子81a、81bで構成されるスイッチ部81と、該スイッチ部81に接続されたスイッチ線79a、79bとを備える。該スイッチ線79a、79bは、非表示領域13でスイッチ駆動回路80に接続される。かかるスイッチ部81は、共通電極26ごとに形成される。
【0036】
ここで、
図4及び
図6Bに示す如く、表示領域12には、データ線21と同じ第2方向Yに向かって延出すると共に第1方向Xに所定の間隔を有して複数の第3配線77(77a、77b)が配置されている。本実施形態においては、第3配線77は、平面視でデータ線21に対して絶縁層を介して重なる位置或いはほとんど重なる位置に設けられている。このように第3配線77をデータ線21と重ねて配置すべく、当該第3配線77(77a、77b)は、平坦化膜37上に形成され、当該平坦化膜37と共に第3絶縁層38に覆われている(
図5参照)。
なお、第3配線77(77a、77b)は、上記構成に限定されず、共通電極26に対して少なくとも一対の第3配線77a、77bが設けられる構成であれば、いかなる数の第3配線77が設けられていてもよい。例えば第3配線77がすべてのデータ線21と重ねて配置されることにより、各共通電極26は、データ線21と同じ数(同じペア)だけの第3配線77(77a、77b)と対向してもよい。この場合、第3配線77は、ダミー配線として利用される場合がある。
【0037】
スイッチ部81は、一対の第3配線77a、77bと共通電極26との間に形成される一対の選択スイッチング素子81a、81bを備えている。そして各選択スイッチング素子81a、81bは、それぞれスイッチ線79a、79bからの制御電圧によりオン又はオフすることができる。当該選択スイッチング素子81a、81bが設けられる各画素領域27は、その分だけ画素電極22の大きさが小さなものとなっている。より具体的には、選択スイッチング素子81a、81bに対応する部分の各ライン部25が短小化されて形成されており、これによって生じた各スペースに選択スイッチング素子81a、81bがそれぞれ形成されるものとなっている。
このように、当該選択スイッチング素子81(81a、81b)が設けられる画素領域27は、その分だけ表示に供する開口率が低下し、ひいては輝度が低下する。かかる観点から、当該選択スイッチング素子81(81a、81b)が設けられる画素としては、青(B)に対応した画素領域27が好ましい。
【0038】
図5に示す如く、各選択スイッチング素子(
図5は81aを代表して示す)は、上記画素電極22とデータ線21とを接続する画素スイッチング素子28と同じような構成を有する薄膜トランジスタ(TFT)により形成されている。
具体的には、選択スイッチング素子81aは、画素スイッチング素子28の半導体層33と同層に形成された半導体層82を備えると共に、当該画素スイッチング素子28の一対の電極部36a、36bと同層に一対の電極部83a、83bを備えている。これら一対の電極部83a、83bは、ゲート絶縁膜34を介して半導体層82にコンタクトされている。また、当該選択スイッチング素子81aの半導体層82と対向する位置にも、遮光層84が設けられている。当該遮光層84は、画素スイッチング素子28の遮光層31と同層に形成されている。
なお、本実施形態では、選択スイッチング素子81の遮光層84、半導体層82、一対の電極部83a、83bを画素スイッチング素子28の各対応する構成要素と同層に形成している。これにより、画素スイッチング素子28を形成する工程でかかる選択スイッチング素子81a、81bを形成することができ、当該選択スイッチング素子81a、81bを形成することによる工程の増加を抑制することができる。一方、当該選択スイッチング素子81a、81bの各構成を画素スイッチング素子28の各構成とは異なる層に形成する構成や別途設ける構成を採用することも可能である。
【0039】
そして、当該選択スイッチング素子81aに対し、第3配線77aが平坦化膜37を介してソース側の電極部83aにコンタクトされ、共通電極26が第3絶縁層38及び平坦化膜37を介してドレイン側の電極部83bにコンタクトされている。これにより、各共通電極26に接続される選択スイッチング素子81aが形成される。他方の選択スイッチング素子81bも、選択スイッチング素子81aと同じ工程で形成される。そして、一方の選択スイッチング素子81aが一方の第3配線77aに接続され、他方の選択スイッチング素子81bが他方の第3配線77bに接続される。ここで、選択スイッチング素子81aは、スイッチ線79aからの制御電圧によりオン又はオフ制御され、選択スイッチング素子81bは、スイッチ線79bからの制御電圧によりオン又はオフ制御される。
【0040】
選択スイッチング素子81aと81bは、例えばn-TFTとして形成される。なお半導体チャンネルは限定されるものではなく、選択スイッチング素子81aと81bがp-TFTとして形成されてもよい。同じチャンネルで形成されることは、製造上で利便性がある。
上記スイッチ線79a、79bは、ゲート線20と同層に形成されており、ゲート線20と同じく第2絶縁層35に覆われている(
図4、
図5ではスイッチ線79aが現れている)。
また、
図3、
図4、
図6Bに示す如く、スイッチ線79a、79bは、ゲート線20と同じく第1方向Xに向けて延出する共に、第2方向Yに向けて所定の間隔を有して設けられている。より具体的には、スイッチ線79a、79bが、行方向に並ぶ複数の共通電極26ごとに2本ずつ設けられている。
【0041】
かかる構成により、スイッチ部81は以下のように第3配線77と共通電極26との接続状態を切り替える。
例えば、スイッチ線79aにスイッチ信号が入力されると、選択スイッチング素子81aは当該信号を受けてオン状態となり、共通電極26と一方の第3配線77aとが接続状態となる。当該スイッチ線79aにスイッチ信号が供給されていない状態では選択スイッチング素子81aはオフ状態となり、共通電極26と一方の第3配線77aとが非接続状態となる。また、スイッチ線79bにスイッチ信号が入力されると、選択スイッチング素子81bはオン状態となり、共通電極26と一方の第3配線77bとが接続状態となる。当該スイッチ線79bにスイッチ信号が供給されていない状態では選択スイッチング素子81bはオフ状態となり、共通電極26と一方の第3配線77bとが非接続状態となる。
したがって、1つの共通電極26と、第3配線77a又は77bとの接続状態をON,非接続状態をOFFとして表すと、スイッチ線79aと79bからのスイッチ信号の有無により、以下のセンシング状態、ガード状態、及びフローティング状態を得ることができる。
<センシング状態>
スイッチ線79aからのスイッチ信号「有」・・・選択スイッチング素子81a「ON」
スイッチ線79bからのスイッチ信号「無」・・・選択スイッチング素子81b「OFF」
なお「有」は例えばハイレベル、「無」は例えばローレベルである。
このセンシング状態にある共通電極26は、センシング(又はセンサ)電極と称してもよい。
<ガード状態>
スイッチ線79aからのスイッチ信号「無」・・・選択スイッチング素子81a「OFF」
スイッチ線79bからのスイッチ信号「有」・・・選択スイッチング素子81b「ON」
このガード状態にある共通電極26は、非センシング電極又はガード電極と称してもよい。
<フローティング状態>
スイッチ線79aからのスイッチ信号「無」・・・選択スイッチング素子81a「OFF」
スイッチ線79bからのスイッチ信号「無」・・・選択スイッチング素子81b「OFF」
このフローティング状態にある共通電極26は、非センシング電極又はフローティング電極と称してもよい。
図6Bにおいて、26Lは、複数の共通電極26で形成されるX方向の各行を示している。ここで共通電極26の各行は、上記したスイッチ線79a、79bからのスイッチ信号の有無の組み合わせに応じて、上記した各種の状態を得ることができる。
図6Bは、タッチ検出が行われる期間の一例を示している。当該タッチ検出では、所定の行に属する共通電極26をセンサ電極26(SE)として選択するものであり、当該所定の行を行26ALとする。このとき、行26ALがセンシング状態となる。この行26ALに隣接する上下の行は、それぞれガード状態として制御される。即ち、センシング状態にあるセンサ電極行26ALの隣の行でガード状態となる一対の行26GLは、センサ電極26(SE)に生じる電界が当該センサ電極よりも外方に発散してしまうのを抑制すべく、ガード信号が入力されるものとなっているのである。
また、行26FLは、センサ電極26(SE)として選択された共通電極26の行から少なくとも1行離れた行であり、フローティング状態に制御されている。フローティング状態の行には、いずれの信号も入力されていない状態となるので、ガード信号が入力される場合よりも消費電力が低減される。
図6Bでは、センシング状態である共通電極26(SE)の行は1行であり、その上下の行がガード状態の行であるが、当該ガード状態の行をセンシング状態の行に対し上下に複数行ずつ設ける構成も採用である。
【0042】
また、センサ駆動制御部60は、上記のセンシング回路61と選択回路62に加え、スイッチ線駆動回路80と、共通電極駆動回路73とを備えている。スイッチ線駆動回路80は、ゲート線駆動回路51に沿って非表示領域13に形成されている。また、共通電極駆動回路73とセンシング回路61とは、メイン制御部54たるICチップに組み込まれて形成されている。
【0043】
スイッチ線駆動回路80は、制御線86を介してメイン制御部54に接続されている。また、表示領域12に形成されているスイッチ線79は非表示領域13まで引き出されており、スイッチ線駆動回路80に接続されている。
【0044】
また、
図6Bに示すように、一対の第3配線77a、77bは、メイン制御部54まで引き出され、メイン制御部54内の共通電極駆動回路73、センシング回路61などに接続されている。
【0045】
図7Aに示す如く、共通電極駆動回路73は、ガード信号ラインGSLと、共通電圧ラインCVLを含む。ガード信号ラインGSLは、ガード信号発生部75に接続されている。またガード信号ラインGSLは、ガード信号スイッチGSWを介して第3配線77bに接続することができる。ガード信号スイッチGSWは、タイミングコントローラ57からのスイッチ制御信号xSW1によりオン又はオフ制御される。共通電圧ラインCVLは、メイン制御部54内に形成されている定電圧回路、例えば共通電圧発生部74に接続されている。共通電圧ラインCVLは、共通電圧スイッチCSWを介して、
図8に示す表示期間(Display)に、第3配線77bと接続することができる。
次に
図7Aにおいて、表示期間における共通電極26の動作状態と、タッチ期間における動作状態を得るための回路動作を説明する。
(a)表示期間における共通電極26・・・この期間はスイッチ線79bからのスイッチ信号により選択スイッチング素子81bがオン、スイッチ線79aからのスイッチ信号により選択スイッチング素子81aがオフされる。また、タイミングコントローラ57からのスイッチ制御信号SW1により、スイッチCSWがオンされる。この結果、表示期間の共通電極26には、共通電圧発生部74からの共通電圧が印加される。
(b)タッチ期間における共通電極26・・・この期間では、共通電極26は、タッチ走査位置に応じて、センシング状態、又はガード状態又はフローティング状態の3つの状態のいずれかを取り得る。
(b−1)センシング状態となる場合・・・この場合は、スイッチ線79bからのスイッチ信号により選択スイッチング素子81bがオフ、スイッチ線79aからのスイッチ信号により選択スイッチング素子81aがオンされる。このために、センシング回路61から所定のパルス波のセンシング信号が第3配線77aを介して共通電極26に印加されるようになる。このとき、共通電極26に対して被検出物が接触していか接触していないかの検出が、センシング回路61内で行われる。センシング回路61についてはさらに後で詳しく説明する。
(b−2)ガード状態となる場合・・・この場合は、それぞれのスイッチング信号により選択スイッチング素子81bがオン、選択スイッチング素子81aがオフされる。但し、タイミングコントローラ57からのスイッチ制御信号xSW1により、スイッチGSWがオンされる。一方スイッチCSWは、オフされる。この結果、共通電極26には、ガード信号発生部75からのガード信号が印加される。
(b−3)フローティング状態となる場合・・・この場合は、それぞれのスイッチング信号により選択スイッチング素子81bがオフ、選択スイッチング素子81aがオフされる。また、スイッチGSWと、スイッチCSWは、オフされる。この結果、共通電極26には、信号及び電圧が印加されることがなく、フローティング状態となる。
【0046】
上記センシング回路61についてさらに説明する。センシング回路61は、自己容量方式によりタッチ検出を実現する回路であって、センサ信号発生部64と、ミラー回路65と、検知回路66とを備えている。センサ信号発生部64は、センサ信号として所定のパルス波を発生させる。当該パルス波は、ガード信号発生部75のパルス波と同じ波形を有し、同相である。
ミラー回路(カレントミラー回路)65は、上流側がセンサ信号発生部64に接続され、下流側が一方の第3配線77aに接続されると共に、検知回路66に接続されている。当該ミラー回路65がかかる接続状態にあることにより、センサ信号発生部64から一方の第3配線77aに向けてセンサ信号が供給されると、当該センサ信号と同じ信号がそのまま検知回路66にも入力される。
【0047】
検知回路66は、スイッチ70aと、比較器67と、A/D変換器68と、フィルタ69とを備えている。
比較器67は、ミラー回路65を介してセンサ信号を受信し、当該ミラー回路65からの信号を受信して閾値Vefとの差分を出力する。比較器67はその前段に配置されたスイッチ70aによりセンサ電極SEとして選択される共通電極26との接続が切り替えられる。また、比較器67には、コンデンサ67とスイッチ70bとが並列に接続されている。比較器67の出力はスイッチ70bを切り替えることによりリセットされる。スイッチ70aおよびスイッチ70bの切り替えはタイミングコントローラ57により制御される。
A/D変換器68は、比較器67から出力された値をデジタル信号に変換した後に外部の処理回路(図示省略)へ出力する。処理回路にて各検出回路66からのデータに基づいて演算処理がなされ、タッチの位置が特定される。タッチ検出原理は、
図1、
図2で説明した通りである。
【0048】
上述の如く、センシング回路61内の検知回路66は、選択回路62に対して1個設けられる。より具体的には、当該一対の第3配線77a、77bに接続されることとなる1列の共通電極(或いは共通電極群)26に対して1個の検知回路66が設けられる。すなわち、複数の共通電極26が表示領域12にマトリクス状に配置されるものの、各列に対して少なくとも1個の検知回路66が設けられていればよく、当該検知回路66の数は共通電極26の数よりも格段と少ないものとなる。
このために本表示装置によると、センシング回路(検出回路)61或いは当該センシング回路(検出回路)61を含むIC回路のためのスペースの小型化が図れ、電力節約及び製造上も有利な装置となる。
図7Bは、上記したセンサ信号電圧と、ガード信号電圧とフローティング電圧との関係の一例を示す図である。センサ信号振幅(電圧)(Vf±Vdet1)と、ガード信号振幅(電圧)(Vf±Vg)とは基準電圧Vfを中心とする±振幅が同じであってもよいが、好ましくは、センサ信号の振幅に比べてガード信号の振幅が小さい方が好ましい。例えば、フローティング電圧Vfとセンサ信号の最大電圧との中間(例えば1/2)に、ガード信号の電圧が設定される。該設定は、ガード信号発生部75の出力電圧調整、及びセンサ信号発生部64の出力電圧調整により実施される。
上記のように駆動制御部40は、センシング状態のセンサ電極に供給する交流センシング信号とガード状態のガード電極に供給する交流ガード信号との位相は同じ位相に設定する。また駆動制御部40は、交流センシング信号の振幅(電圧)より、交流ガード信号の振幅(電圧)を小さく設定する、つまりフローティング電圧に近づくように交流ガード信号の振幅(電圧)を設定する。これにより、ガード信号が与えられる行の電力消耗を抑制できる。ガード信号とセンシング信号の振幅が同じの場合に比べて、ガード信号が与えられているガード電極とセンサ信号が与えられているセンサ電極との間の電位差、及びフローティング電極とセンサ電極との間の電位差を小さくすることができる。またガード信号が与えられる行は、1行に限らず、複数行でもよいことは勿論である。
【0049】
次に、
図6A、
図6B、
図7及び
図8を参照しながら、当該タッチ機能付き表示装置1の駆動方法をさらに説明する。
図8に示す如く、本実施形態に係るタッチ機能付き表示装置1は、駆動制御部40に制御されることにより、表示面11に画像を表示させる表示期間(Display)と表示面11のタッチを検出するセンサ期間(Touch)とが交互に設けられる。これらの制御は駆動制御部40のタイミングコントローラ57からのクロック信号に基づいて順次実行される。
【0050】
表示期間(Display)においては、先ず、スイッチ駆動回路80からすべてのスイッチ線79bに接続された選択スイッチング素子81bをオンするためのスイッチ信号を出力し、すべてのスイッチ線79aに接続された選択スイッチング素子81aをオフするためのスイッチ信号を出力する。したがってこのときは、すべての共通電極26は、一定の共通電圧(VCOM)に維持される。つまり、
図7Aに示す共通電極駆動回路73内のスイッチCSWがオンされる。
また、表示期間(Display)においては、表示駆動制御部50のゲート線駆動回路51の複数のゲート用シフトレジスタ52(
図6A参照)に信号が時分割で入力される。これによって、ゲート信号がゲート線20を介して各表示領域12の画素スイッチング素子28に供給され、当該画素スイッチング素子28がオン状態となる。このタイミングで、画像信号がデータ線駆動回路55及びマルチプレクサ53を介して時分割でこれらオン状態の画素電極22に供給され、当該画像信号が画素電極22に書き込まれる。
これによって、共通電極26とオン状態の画素電極22との間にフリンジ電界が発生することとなり、当該フリンジ電界により液晶層5の光学特性が変化し、当該画素領域27における画像の表示が実現される。
当該表示期間においては、上下に隣り合うゲート用シフトレジスタ52が上から順に動作することにより、マトリクス状に配置される画素領域27のうち、数十行〜数百行の画素領域27が線順次で走査され、画像が順次表示されることになる。
【0051】
かかる表示期間(Display)が終了した後、センサ期間(Touch)が開始される。タッチを検出するセンサ期間(Touch)においては、
図6Bで例を説明した如く、複数の共通電極26で形成される各行が、タッチ検出を行うセンシング状態に順次制御される。
図8は、第N行、第(N+1)行、第(N+2)行、第(N+3)行、・・・が順次センシング状態に制御された場合、スイッチ線79b、79aによって制御される選択スイッチング素子81bと81aのオン(ON)オフ(OFF)の変化を示している。
今、例えば第(N+1)行がセンシング状態に制御されたとする(
図8に示す期間t11を参照)。このときは、スイッチ線79aからのスイッチ信号(例えばハイレベル)に基づき選択スイッチング素子81aがON,スイッチ線79bからのスイッチ信号(例えばローレベル)に基づき選択スイッチング素子81bがOFFに制御される。これにより、第(N+1)行の共通電極26(センシング行の共通電極)には、ミラー回路65を介して、パルス信号発生器64からのパルス信号が供給されると共に、ミラー回路65を介して検知回路66にも当該パルス信号と同じ信号が入力される。
ここで被検出物Oがセンサ電極SEに対向する表示面11をタッチしているとすると、当該被検出物Oの影響を受けてセンサ信号発生部64からのパルス信号が変化する。かかるパルス信号の変化は、検知回路66の比較器67に入力された後、A/D変換器68でデジタルデータに変換されて以降の処理回路に送信される。
【0052】
上記のセンサ期間(Touch)においては、第3配線77aに対してミラー回路65からパルス信号が供給されるが、複数の共通電極26の他の行(非センシング行)においては、それぞれの行のスイッチ線79aからのスイッチ信号(例えばローレベル)に基づき、対応する選択スイッチング素子81aがすべてOFFとなる(
図8の第N行、第N+2行、第N+3行を参照)。このために非センシング行にセンシング用のパルス信号が供給されることはない。
一方、第3配線77bとスイッチ線79bとの関係は以下のように説明される。センサ期間(Touch)においてはガード信号スイッチGSWがオンされるために、第3配線77bには、ガード信号ラインGSL及びガード信号スイッチGSWを介してガード信号が供給される。しかしこのガード信号は、現在センシング状態の共通電極26に対しては、供給されない。これは、センシング行の共通電極26に接続されている選択スイッチング素子81bがスイッチ線79bからのスイッチ信号によりオフされるからである。一方、センシング行に隣接する上下の非センシング行の共通電極26に接続されている選択スイッチング素子81bは、対応するスイッチ線79bからのスイッチ信号によりオンされる。このために、該上下の非センシング行の共通電極26にはガード信号が印加される。さらに残りの他の非センシング行の共通電極26に接続されている選択スイッチング素子81bは、すべてオフされる。このために残りの他の非センシング行の共通電極26は、フローティング状態となる。即ち、センシング状態にあるセンシング行及び該上下の非センシング行を除く位置の共通電極26は、スイッチ駆動回路80に接続されているスイッチ線79aと79bのスイッチ信号がローレベルに制御されるので、フローティング状態となる。より具体的には、フローティング状態にある共通電極26に対応する選択スイッチング素子81a、81bは、オフであり、センサ期間(Touch)において、電力を消費しないことなる。即ち、フローティング状態の行は、ガード状態の行に比べて消費電力が低減される。
【0053】
上記したように、センシング行のセンサ電極SE(共通電極26)にてタッチ検出が実行されている間、該センシング行の少なくとも上下の一対の非センシング行の共通電極26には、ガード信号発生部75からのガード信号が入力される。
当該ガード信号は、センサ信号発生部64で生成されたパルス信号と同じ波形を有するパルス信号で、当該センサ信号が特定の共通電極26に書き込まれるのと同じタイミングで(同期して)センシング行に対して上下に隣り合う一対の非センシング行の共通電極26に書き込まれる。
したがって、これら一対の非センシング行の共通電極26には、センシング回路61に接続されていない状態でセンシング回路61のセンサ信号と同じ信号が供給されるものとなる。これによって、センサ電極SEと当該センサ電極SEと該一対の非センシング行の共通電極26との間での不要な容量発生を可及的抑制することができる。
自己容量方式によるタッチ検出はセンサ電極SEの容量変化に伴う電荷量の変化を検出することによりなされるが、かかる容量変化は、タッチ検出に必要な被検出物Oとセンサ電極SEの間の容量変化のみならず、タッチ検出に不要なセンサ電極SEと周囲の他の電極等の間の容量変化も含まれてしまう。そこで、上述の如くセンサ電極SE以外の共通電極26にガード信号を入力することで、かかる不要な容量変化の発生を可及的抑制し、タッチ検出の容量変化に含まれる不要な容量変化の割合を低減させることができる。これにより、検知回路66には、不要な容量変化の混入を可及的抑制された信号が入力されるものとなる。結果として検知精度がより向上するものとなる。
【0054】
また、このようにセンサ電極SEと該上下の非センシング行の共通電極26とに同じパルス波が同じタイミングで書き込まれることにより、いずれの共通電極26からも同じ大きさの電気力線が各共通電極26の上方に向けて形成される。
電気力線は互いに斥力を有しているので、これによって、センサ電極SEからの電気力線を、該上下の非センシング行の共通電極26から同じパルス波が発生されていない場合よりもより上方にまで及ぼすことができ、これによって、比較的遠い位置にある被検出物Oの検出も可能となるのである。結果として、当該液晶表示パネル2の上方にカバーガラス等を設けることでセンサ電極SEと被検出物Oとがある程度離間してしまう場合でも、十分な検知精度が維持される。或いは、かかるセンサ電極SEを表示面11に対してより奥方(バックライト側)に設ける場合でも、十分な検知精度が維持される。
【0055】
本実施形態に係るタッチ機能付き表示装置1においては、選択回路62が設けられることにより、センサ期間ごとに特定の共通電極26がセンサ電極SEとして選択されると共に、当該センサ電極SEとセンシング回路61とが接続されるものとなっている。これにより、共通電極26の数と同じ数だけの検知回路66を設ける必要がなく、共通電極26よりも少ない数の検知回路66を設ければよい。この結果、タッチ検出の高精度化や表示領域12の大型化に伴う共通電極26の数の増大や、非表示領域13の幅を小さくする狭額縁化に柔軟に対応できる。
【0056】
また、かかる共通電極26とセンシング回路61との切り替えは選択回路62のスイッチ部81にてなされるが、当該スイッチ部81を表示領域12内に設けることで、当該スイッチ部81の存在による非表示領域13の大型化が回避される。また、当該スイッチ部81は、通常の表示領域12を形成していく工程の中で形成されるので、スイッチ部81の形成に伴う製造工程の増大も抑制される。
【0057】
図9は第1の実施形態に示した表示装置1に使用されるスイッチ線駆動回路80の構成例とその動作説明図である。スイッチ駆動回路80は種々の実施形態が可能であるが、図は一例を示している。スイッチ駆動回路80は、スイッチ線79b、79aにそれぞれスイッチ信号を出力するためのスイッチswb、swaを備える。
【0058】
スイッチswb、swaは、レジスタ801とレジスタ802から、例えば1タッチ期間ごとに交互に与えられる制御信号に応じて、論理”1”又は論理”0”のスイッチ信号をそれぞれが選択して出力することができる。このスイッチ信号に応じて、共通電極26に接続している選択スイッチング素子81b、81aが各タッチ期間にオン又はオフ制御される。
そしてタッチ期間(Touch)における選択スイッチング素子81b、81aの状態と、先に説明したカード信号スイッチGSWの状態により、共通電極26の動作状態(センシング状態、非センシング状態(ガード状態、フローティング状態を含む))が設定される。選択スイッチング素子81bがOFF、選択スイッチング素子81aがONと示されている共通電極はセンシング状態である。選択スイッチング素子81bがON、選択スイッチング素子81aがOFFと示されている共通電極はガード状態である。また、選択スイッチング素子81bがOFF、選択スイッチング素子81aがOFFと示されている共通電極は、フローティング状態である。
図9は、説明を分かり易くするために、複数の共通電極の6行分を示し、この6行分を1フレームとして想定している。そして時間の経過とともに、各タッチ期間(Touch)に各行の共通電極26が、3つのセンシング状態、ガード状態、フローティング状態に変遷していく様子を示している。この変遷を得るために、スイッチswb、swaは、レジスタ801又は802からの制御信号に応じて、論理”1”のスイッチ信号若しくは論理”0”のスイッチ信号をタッチ期間毎に選択する。第1タッチ期間(Touch)にレジスタ801から第1制御信号が出力されるときに、レジスタ802には、次の第2タッチ期間(Touch)に必要な第2制御信号が準備される。次の第2タッチ期間(Touch)にはレジスタ802から第2制御信号が出力されるときに、レジスタ801には、次の第3タッチ期間(Touch)に必要な第3制御信号が準備される。これにより、センシング行は、順次変化(走査)される。
【0059】
(第2の実施形態)
図10は、第2の実施形態を示している。
図6Bと同一部分には同じ符号を付して説明する。この実施形態は、
図6Bに示した実施形態に比べて第3配線77bが削除され、またスイッチ線79bが削除されている。そして、第3配線77aは共通電圧スイッチCSWを介して、共通電圧ラインCVLに接続可能である。この接続は、タイミングコントローラ57からのスイッチ制御信号SW1によりオフ又はオン制御される。さらにまた第3配線77aは駆動スイッチDSWを介して、センシング回路61と接続可能である。駆動スイッチDSWは、タイミングコントローラ57からのスイッチ制御信号xSW1によりオフ又はオン制御される。
図11には、
図10に示した実施形態の動作を説明するためのタイミング図を示している。この実施形態では、表示期間(Display)に第3配線77aが共通電圧スイッチCSWを介して共通電圧ラインCVLに接続される。したがって表示期間(Display)では、センサ電極SEが共通電極26として機能し、表示に寄与する。
これに対して、タッチ期間(Touch)では、第3配線77aが、駆動スイッチDSWを介してセンシング回路61に接続される。一方、スイッチ線79aは、所定の行(
図10の例では、センシング行26AL)のスイッチ線79aからのスイッチ信号のみが例えばハイレベルであり、対応するスイッチング素子81aをオンにし、行26ALのセンサ電極SEをセンシング状態にする。このときは、他の行(非センシング行)のスイッチ線79aからのスイッチ信号は、ローベルであり、対応するスイッチング素子81aをオフにし、これにより対応するセンサ電極SEは、フローティング状態となる。
【0060】
図12は、第2の実施形態に示した表示装置1に使用されるスイッチ線駆動回路80の構成例とその動作説明図である。スイッチswaは、レジスタ801とレジスタ802から、例えば1フレーム期間ごとに交互に与えられる制御信号に応じて、論理”1”又は論理”0”のスイッチ信号を選択して出力することができる。このスイッチ信号に応じて、共通電極26に接続している選択スイッチング素子81a、81bがタッチ期間にオン又はオフ制御される。
そしてタッチ期間(Touch)におけるスイッチ81aの状態と、
図9に説明した駆動スイッチDSWにより、共通電極26の動作状態(センシング状態、フローティング状態)が設定される。
図12は、説明を分かり易くするために、複数の共通電極の6行分を示し、この6行分を1フレームとして想定している。そして時間の経過とともに、タッチ期間(Touch)に各行の共通電極26が、センシング状態、フローティング状態に変遷していく様子を示している。この変遷を得るために、スイッチswaは、レジスタ801又は802からの制御信号に応じて、論理“1”のスイッチ信号若しくは論理“0”のスイッチ信号を選択する。第1タッチ期間(Touch)にレジスタ801から第1制御信号が出力されるときに、レジスタ802には、次の第2タッチ期間(Touch)に必要な第2制御信号が準備される。次の第2タッチ期間(Touch)にはレジスタ802から第2制御信号が出力されるときに、レジスタ801には、次の第3タッチ期間(Touch)に必要な第3制御信号が準備される。これにより、センシング行は、順次変化(走査)される。
【0061】
上記した実施形態では、センシング状態にあるセンシング行を除く他の行の共通電極26は、フローティング状態になる。このため、非センシング行の共通電極26が常に一定電圧に維持される場合に比べて、センシング行のセンサ電極SEと当該センサ電極SEの行の上下に位置する各非センシング行の共通電極との間で不要な容量が発生するのを抑制することができる。またこの実施形態によると、センシング行のスイッチング素子81aのみがオンし、他の非センシング行のスイッチング素子81aはすべてオフされるので、電力消耗を抑制することができる。また、ガード信号を使用しない点からも先の実施形態に比べて電力消費を抑制できる。また第2の実施形態は、第3配線77bは不要となり、またスイッチ線79bも不要となり、配線数が第1の実施形態に比べて少ないために、制御及び製造が容易である。
【0062】
(第3の実施形態)
図13は、本実施形態に係るタッチ機能付き液晶表示装置1の第3の実施形態を示すもので、その一部を概略的に示す平面図である。このタッチ検出機能付き表示装置1は、スイッチ線79a、79bと共通電極26との接続構成、及びスイッチ線駆動回路80等が第1の実施形態と異なるものの、その他の構成は第1の実施形態(
図6B)と同じである。したがって、当該第1実施形態と同じ構成のものは、第1の実施形態と同じ符号を付してその説明を省略する。
図13に示す如く、本実施形態においては、第2方向Yに隣り合う一対のスイッチ線79aが互いに連結され、また第2方向Yに隣り合う一対のスイッチ線79bも互いに連結されている。より具体的には、スイッチ線駆動回路80からスイッチ線79aの一方の端部が表示領域の第1の行を介して非表示領域13まで引き出され、次に表示領域の第2の行を介してスイッチ線駆動回路80側の表示領域に戻っている。かかるスイッチ線は、夫々の共通電極に設けられたスイッチ部に接続されている。
【0063】
本実施形態によれば、センサ期間においては、互いに接続された2行の共通電極26をまとめてセンサ電極SEとして選択することができ、結果としてセンサ期間を半分にすることができる。なお、本実施形態では互いに隣り合う2本のスイッチ線79を接続する構成を採用したが、3本以上のスイッチ線79を接続する構成を採用することができる。
【0064】
(第4の実施形態)
図14は、本実施形態に係るタッチ機能付き液晶表示装置1の第4の実施形態を示すもので、その一部を概略的に示す平面図である。このタッチ検出機能付き表示装置1は、スイッチ線79aと共通電極26との接続構成、及びスイッチ線駆動回路80等が第1の実施形態と異なるものの、その他の構成は第2の実施形態(
図10)と同じである。したがって、当該第1実施形態と同じ構成のものは、第2の実施形態と同じ符号を付してその説明を省略する。
図14に示す如く、本実施形態においては、第2方向Yに隣り合う一対のスイッチ線79aが互いに連結され、また第2方向Yに隣り合う一対のスイッチ線79bも互いに連結されている。より具体的には、スイッチ線駆動回路80からスイッチ線79aの一方の端部が表示領域の第1の行を介して非表示領域13まで引き出され、次に表示領域の第2の行を介してスイッチ線駆動回路80側の表示領域に戻っている。かかるスイッチ線は、夫々の共通電極に設けられたスイッチ部に接続されている。
【0065】
本実施形態においても、センサ期間においては、互いに接続された2行の共通電極26をまとめてセンサ電極SEとして選択することができ、結果としてセンサ期間を半分にすることができる。なお、本実施形態では互いに隣り合う2本のスイッチ線79aを接続する構成を採用したが、3本以上のスイッチ線79aを接続する構成を採用することができる。
【0066】
(第5の実施形態)
図15は、本実施形態に係るタッチ機能付き液晶表示装置1の第5の実施形態を示すもので、その一部を概略的に示す平面図である。このタッチ検出機能付き表示装置1は、スイッチ線79a、79bと共通電極26との接続構成、及びスイッチ線駆動回路80等が第1の実施形態と異なるものの、その他の構成は第1の実施形態(
図6B)と同じである。したがって、当該第1実施形態と同じ構成のものは、第2の実施形態と同じ符号を付してその説明を省略する。
【0067】
図15に示す如く、本実施形態に係る表示装置1は、スイッチ線駆動回路80からの第1出力端子が、共通電極26の隣り合う行(第1の行と第2の行)のスイッチ線79a,79aに接続されている。また同様にスイッチ線駆動回路80からの第2出力端子が、共通電極26の隣り合う行(第1の行と第2の行)のスイッチ線79b,79bに接続されている。
本実施形態においても、センサ期間においては、互いに接続された2行の共通電極26をまとめてセンサ電極SEとして選択することができ、結果としてセンサ期間を半分にすることができる。なお、本実施形態では互いに隣り合う2本のスイッチ線79aを接続する構成を採用したが、3本以上のスイッチ線79aを接続する構成を採用することができる。
【0068】
(第6の実施形態)
図16は、本実施形態に係るタッチ機能付き液晶表示装置1の第6の実施形態を示すもので、その一部を概略的に示す平面図である。このタッチ検出機能付き表示装置1は、スイッチ線79aと共通電極26との接続構成、及びスイッチ線駆動回路80等が第2の実施形態と異なるものの、その他の構成は第2の実施形態(
図10)と同じである。したがって、当該第1実施形態と同じ構成のものは、第2の実施形態と同じ符号を付してその説明を省略する。
【0069】
図16に示す如く、本実施形態に係る表示装置1は、スイッチ線駆動回路80からの第1出力端子が、共通電極26の隣り合う行(第1の行と第2の行)のスイッチ線79a,79aに接続されている。
本実施形態においても、センサ期間においては、互いに接続された2行の共通電極26をまとめてセンサ電極SEとして選択することができ、結果としてセンサ期間を半分にすることができる。なお、本実施形態では互いに隣り合う2本のスイッチ線79aを接続する構成を採用したが、3本以上のスイッチ線79aを接続する構成を採用することができる。
【0070】
なお
図6B、
図7、
図10、
図13−
図16は、センサ機能を分かり易くするために、表示に関係する構成要素は省略して示している。実際には、
図3、
図6Aで説明したような表示を行うために必要な構成要素が存在する。
【0071】
次に、
図17を参照して、上記した各実施形態で利用可能なブラックマトリックス8及び遮蔽部9の構成例を説明する。該タッチ検出機能付き表示装置1は、第1基板3側の構成は第1の実施形態と同じである。したがって、当該第1実施形態と同じ構成のものは、当該第1の実施形態と同じ符号を付してその説明を省略する。第2基板4は、全体を省略し、ブラックマトリックス8を取り出して示している。
【0072】
図17に示す如く、本実施形態においては、平面視で選択スイッチング素子81aと重なる位置にスペーサ7が設けられている。
また、第2基板4に設けられているブラックマトリクス8は、スイッチ線79a、ゲート線20及びデータ線21等を遮光すべく、これらと重なる位置に設けられることで格子状に形成されている。また、当該ブラックマトリクス8は、スペーサ7と対応する位置も遮蔽部9が設けられている。当該スペーサ7と対応する遮蔽部9は、当該スペーサ7の形状よりも一回り大きい形状に形成されている。
【0073】
本実施形態においては、選択スイッチング素子81がスペーサ7に重なり、当該スペーサ7がブラックマトリクス8の遮蔽部9に覆われることとなるので、当該選択スイッチング素子81もブラックマトリクス8により遮光される。この結果、選択スイッチング素子81を表示領域11に設けるものの、その視認性を低下させるものとなる。
【0074】
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0075】
例えば、本実施形態では、マトリクス状に配置された複数の共通電極26の全てを選択回路62に接続し、これによっていずれの共通電極26もセンサ電極SEとして選択可能な構成を採用したが、いずれかの共通電極26には選択回路62を設けず、当該共通電極26をあえてセンサ電極SEとして選択できない構成を採用することも可能である。
【0076】
また、本実施形態では、1期間のセンサ期間に一行の共通電極26のみをセンサ電極SEとして選択する構成を採用しているが、当該センサ期間に複数行或いはすべての行の共通電極26を順次センサ電極SEとして選択する構成を採用することも可能である。
【0077】
上述した実施形態では、表示装置1及びその駆動方法として、液晶表示装置1及びその駆動方法を例に開示した。しかし、実施形態に係る表示装置1としては、有機EL(electro-luminescent)表示装置1、その他の自発光型表示装置1、あるいは電気泳動素子等を有する電子ペーパ型表示装置1等、あらゆるフラットパネル型の表示装置1が挙げられる。また、中小型から大型まで、特に限定することなく適用が可能であることは言うまでもない。