特許第6695718号(P6695718)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6695718
(24)【登録日】2020年4月24日
(45)【発行日】2020年5月20日
(54)【発明の名称】シリンダ装置
(51)【国際特許分類】
   F16F 9/48 20060101AFI20200511BHJP
   F16F 9/34 20060101ALI20200511BHJP
   F16F 9/20 20060101ALI20200511BHJP
【FI】
   F16F9/48
   F16F9/34
   F16F9/20
【請求項の数】7
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2016-55250(P2016-55250)
(22)【出願日】2016年3月18日
(65)【公開番号】特開2017-166678(P2017-166678A)
(43)【公開日】2017年9月21日
【審査請求日】2019年2月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】000235543
【氏名又は名称】飛島建設株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】514315997
【氏名又は名称】株式会社E&CS
(73)【特許権者】
【識別番号】509186579
【氏名又は名称】日立オートモティブシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】久保田 雅春
(72)【発明者】
【氏名】名取 祥一
(72)【発明者】
【氏名】阿部 隆英
(72)【発明者】
【氏名】張 苓
(72)【発明者】
【氏名】中村 和明
(72)【発明者】
【氏名】河合 類斗
【審査官】 竹村 秀康
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭58−165349(JP,U)
【文献】 特開2000−027916(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16F9/00−9/58
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
作動流体が封入されたシリンダと、
該シリンダ内を第1室と第2室に画成し、当該シリンダ内を摺動するピストンと、
該ピストンに連結されたロッドと
前記ピストンに設けられ、前記第1室と前記第2室とを連通する連通路と、
前記ピストンの移動に伴う前記第1室と前記第2室との圧力差により開弁して作動流体の通過に伴う減衰力を発生する減衰弁と、
前記ピストンの中心軸から径方向に離間した位置に配置され、該ピストンがストロークエンドに近づいたときに、前記連通路の通路面積を大きくする弁部を有する弁機構と、
を備えたことを特徴とするシリンダ装置。
【請求項2】
作動流体が封入されたシリンダと、
該シリンダ内を第1室と第2室に画成し、当該シリンダ内を摺動するピストンと、
該ピストンに連結されたロッドと、
前記ピストンに設けられ、前記第1室と前記第2室とを連通する連通路と、
前記ピストンの移動に伴う前記第1室と前記第2室との圧力差により開弁して作動流体の通過に伴う減衰力を発生する減衰弁と、
前記ピストンの中心軸から径方向に離間した位置に配置され、該ピストンの軸方向位置により前記連通路の通路面積を変更する弁部と、前記ピストンの端面より軸方向に突出して前記弁部に連結された軸部材とを有する弁機構と、
を備えたことを特徴とするシリンダ装置。
【請求項3】
前記軸部材は、前記弁部と一体に設けられ、前記シリンダの内壁に当接した後の前記ピストンの移動に伴う相対変位によって前記弁部をピストン移動方向に移動させることを特徴とする請求項2に記載のシリンダ装置。
【請求項4】
前記弁部は、前記軸部材と同軸に設けられたスプールを有し、前記軸部材の移動位置に応じて前記連通路を閉止又は開放することを特徴とする請求項2又は3に記載のシリンダ装置。
【請求項5】
作動流体が封入されたシリンダと、
該シリンダ内を第1室と第2室に画成し、当該シリンダ内を摺動するピストンと、
該ピストンに連結されたロッドと、
前記ピストンに設けられ、前記第1室と前記第2室とを連通する連通路と、
前記ピストンの移動に伴う前記第1室と前記第2室との圧力差により開弁して作動流体の通過に伴う減衰力を発生する減衰弁と、
前記ピストンの中心軸から径方向に離間した位置に配置され、該ピストンの軸方向位置により前記連通路の通路面積を変更する弁部と、前記ピストンの外周面より径方向に突出し前記弁部に連結された軸部材とを有する弁機構と、
を備えたことを特徴とするシリンダ装置。
【請求項6】
前記軸部材を突出方向に付勢する付勢部材を設け、
前記弁部は、前記軸部材の先端が前記シリンダの端部内壁に当接して前記ピストン側に移動することで前記通路面積を前記軸部材の先端が前記シリンダの内壁に当接する前の通路面積より大きくすることを特徴とする請求項2から5の何れか一項に記載のシリンダ装置。
【請求項7】
前記軸部材は、前記弁部の移動方向両側に設けられ、前記シリンダの両側の端部内壁に当接することを特徴とする請求項2から4の何れか一項に記載のシリンダ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シリンダ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、構造物の震動を減衰する減衰手段として構造物に取り付けられたシリンダ装置、あるいは鉄道車両などの走行中の車輪の上下動作を減衰する減衰手段として用いられるシリンダ装置では、シリンダ内に封入された作動流体(作動油)がピストンの往復移動に伴ってピストン内に設けられた減衰機構(絞り)の微小流路を通過する際の流路抵抗によって減衰力を発生させている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このようなシリンダ装置においては、設計上シリンダ内におけるピストンの摺動行程(ストローク)が決められており、その範囲内でのピストン速度に対する減衰が得られるように構成されている。
【0004】
また、シリンダ装置においては、ピストンが所定の摺動行程を超える位置まで移動した場合、すぐにピストン移動方向におけるシリンダ端部内壁にピストンが衝突しないように所定寸法のクリアランスが設けられ、且つシリンダ端部内壁にストッパが設けられている。しかしながら、シリンダ装置に想定以上の過大な加速度が入力された場合には、ピストンが摺動行程を超える位置まで移動してストッパに衝突することになる。
【0005】
このような状況では、入力された加速度(ピストン速度)に対する減衰力が十分に得られないため、ピストンがストッパに衝突する直前にシリンダ内からシリンダの外側に平行に形成されたリザーバ室に連通されたオリフィスを遮断し、減衰力を増大させて衝撃を抑制している。
【0006】
ところが、上記のようにピストンがストッパに衝突する直前にシリンダとリザーバ室とを連通するオリフィスを遮断すると、ピストンの移動に伴う作動流体がピストン内に設けられた減衰機構の微小流路のみを通過させることになる。そのため、ピストンが摺動行程のストロークエンド直前位置に達した時点で減衰力が増大するようにした場合、当該シリンダ装置の両端が連結される構造物あるいは車両の各支持部に過大な力が作用してしまい、当該支持部が変形又は破損してしまうおそれがある。
【0007】
そのため、従来のシリンダ装置においては、例えば特許文献1に記載されているようにピストンのストロークエンドより内側のシリンダ内周壁にピストン移動方向を中心とする軸周りの螺旋状溝を形成している。これにより、ピストンがストッパに衝突する直前にピストンの両端面が螺旋状溝をまたぐことになり、ピストンにより加圧されたシリンダ室(第1室)の作動流体が螺旋状溝を通過して非加圧側のシリンダ室(第2室)に流通して減衰力が低下する。これにより、シリンダ装置のピストンロッドの端部、及びシリンダ本体の端部が連結された支持機構に過大な力が作用せず、支持機構の損傷を抑制することが可能になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2000−18308号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上記従来のシリンダ装置では、螺旋状溝をシリンダ内周壁に正確に加工することが難しい上、ピストンの外周がシリンダ内を往復動する際に螺旋状溝の角部に摺接することになる。そのため、従来は、ピストン外周面に螺旋状溝の縁部との擦れによる傷がついたり、ピストン外周に設けられたリング状のシール部材が摩耗しやすくなって耐久性が低下するという問題があった。
【0010】
そこで、本発明は上記事情に鑑み、上記課題を解決したシリンダ装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するため、本発明は以下のような手段を有する。
【0012】
本発明は、作動流体が封入されたシリンダと、該シリンダ内を第1室と第2室に画成し、当該シリンダ内を摺動するピストンと、該ピストンに連結されたロッドと 前記ピストンに設けられ、前記第1室と前記第2室とを連通する連通路と、前記ピストンの移動に伴う前記第1室と前記第2室との圧力差により開弁して作動流体の通過に伴う減衰力を発生する減衰弁と、前記ピストンの中心軸から径方向に離間した位置に配置され、該ピストンがストロークエンドに近づいたときに、前記連通路の通路面積を大きくする弁部を有する弁機構と、を備えたことを特徴とする。

【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、ピストンの損傷やピストンの外周に設けられたシール部材の摩耗を抑制して耐久性の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の第1の実施形態におけるシリンダ装置の内部構造を示すA−A断面図である。
図2】本発明の第1の実施形態におけるシリンダ装置の内部構造を示すB−B断面図である。
図3】本発明の第1の実施形態における減衰力切替機構を拡大して示す断面図である。
図4】本発明の第1の実施形態における減衰力切替機構のストロークエンドにおける動作を拡大して示す断面図である。
図5】本発明の第1の実施形態におけるピストンの一側端面を軸方向からみた図である。
図6】本発明の第1の実施形態におけるシリンダ装置のピストンストロークと減衰力との関係を示すグラフである。
図7】本発明の第2の実施形態におけるシリンダ装置の内部構造を示す断面図である。
図8】本発明の第3の実施形態におけるシリンダ装置の内部構造を示す断面図である。
図9】本発明の第4の実施形態におけるシリンダ装置の内部構造を示す断面図である。
図10】本発明の第4の実施形態における減衰力切替機構を拡大して示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して本発明を実施するための形態について説明する。
【0016】
〔シリンダ装置の構成〕
図1は本発明の第1の実施形態におけるシリンダ装置の内部構造を示す断面図である。尚、図1は、図5中に示すA−A線に沿う変則断面図を示している。図1図5に示されるように、シリンダ装置10は、シリンダ内部に作動油(作動流体)Fが封入された油圧緩衝器である。また、シリンダ装置10は、作動油が封入されたシリンダ20と、当該シリンダ20内を摺動するピストン30と、ピストン30に連結されたピストンロッド40とを有する。
【0017】
シリンダ20は、内部にシリンダ室22を有し、当該シリンダ室22がピストン30により第1室24と第2室26とに画成されている。第1室24及び第2室26には、作動油が充填されている。また、シリンダ20のシリンダ本体21の両端には、第1、第2蓋部材25、27が固定されており、第1、第2蓋部材25、27の内側には、第1、第2ガイド部材28、29が配置されている。また、第2蓋部材27には、後述するアキュームレータ160を覆うように形成された円筒形状の中空ロッド151が固定されている。第1の実施形態では、ピストンロッド40のX1方向に延在する端部、及び中空ロッド151のX2方向に延在する端部が、例えば構造物の支持部に連結されている。
【0018】
ピストン30は、減衰力切替機構50、60以外に温度補償弁機構90と、第1、第2リリーフ弁100、110と、第1、第2調圧弁120、130とを有する。
【0019】
第1の実施形態においては、減衰力発生機構は、第1、第2リリーフ弁100、110及び、第1、第2調圧弁120、130を有する。尚、各リリーフ弁及び各調圧弁は、第1室24、第2室26の圧力変化に応じて開弁するように設定されており、各リリーフ弁及び調圧弁の設置数は、要求される減衰特性が得られるように配置することが望ましい。
【0020】
図1においては、温度補償弁機構90とピストン30がX1方向に摺動したときに動作する、第1リリーフ弁100を示しており、図5に示されるように、ピストン30がX1方向に摺動したときに動作する第1調圧弁120及びピストン30がX2方向に摺動したときに動作する第2リリーフ弁110、第2調圧弁130は周方向にずれた位置に配置されている。尚、第2リリーフ弁110及び第1、第2調圧弁120、130の構造は、第1リリーフ弁100と同様であるので説明は省略する。
【0021】
ピストンロッド40は、ピストン30の一側(X1方向側)に設けられた第1ピストンロッド42と、ピストン30の他側(X2方向側)に設けられた第2ピストンロッド44とを有する。第1ピストンロッド42は、ピストン30の一側(X1方向側)に延在する大径部42aと、ピストン30の中央穴32を貫通する小径部42bとを有する。第2ピストンロッド44は、中空円筒形状に形成されており、第1ピストンロッド42の小径部42bが挿通される内径部44aと、第1ピストンロッド42の外径と同径とされた外径部44bとを有する。
【0022】
このように、ピストンロッド40は、ピストン30の一側及び他側における外径が同径であるので、ピストン30がX1、X2方向に往復動する際、ピストンロッド40の移動に伴う第1室24及び第2室26における作動油の流入量・流出量に差が生じない。また、ピストンロッド40は、シリンダ20の軸方向に設けられた第1、第2ガイド部材28、29の中央穴28a、29aによりX1、X2方向に摺動可能に支持されている。さらに、第1、第2ガイド部材28、29の内側端部には、ピストン30のX1、X2方向のストロークを所定の摺動範囲に規制する第1、第2ストッパ部28b、29bが軸方向にシリンダ室に向けて突出している。
【0023】
さらに、ピストン30は、温度補償経路140と、リリーフ経路150とを有する。温度補償経路140は、第1ピストンロッド42の小径部42bを貫通する連通孔146を有し、連通孔146はアキュームレータ160に連通されている。
【0024】
温度補償経路140には、アキュームレータ160から第1室24へ向けての流れに対し開弁し、常時連通するオリフィス142aが設けられた第1弁142と、アキュームレータ160から第2室26へ向けての流れに対し開弁し、常時連通するオリフィス144aが設けられた第2弁144とが設けられている。そして、第1、第2室24、26内の油液が熱膨張した際に、オリフィス142a、144aを介して作動流体を回収し、また、温度低下による作動流体の収縮量や何等かの原因で第1、第2室24、26が負圧になった際に油液を補給する温度補償弁機構90を構成する。また、アキュームレータ160は、作動流体が貯留された貯留室162と、アキュームレータピストン164の動作により温度上昇に伴う熱膨張分の作動流体を吸収するとともに、温度低下に伴う収縮分の作動流体を供給するものである。
【0025】
また、ピストン30が往復動する際に第1室24及び第2室26の圧力上昇が生じた場合、第1、第2弁142、144は、開弁状態を維持してピストン30によって加圧された作動流体がアキュームレータ160に供給されないようにしている。
【0026】
リリーフ経路150には、ピストン30の移動に伴う第1室24と第2室26との圧力差により開弁して作動流体の通過に伴う減衰力を発生させる第1リリーフ弁100が設けられている。また、第1リリーフ弁100は、ピストン30の動作に伴う第1室24で加圧された作動流体の圧力変化に応じて開弁又は閉弁する弁体100aを有する。すなわち、第1室24の圧力が第2室26の圧力よりも所定圧力以上に大きくなると、弁体100aが開弁動作して、第1室24の作動流体が第1リリーフ弁100を通過して第2室26に移動する。その際、第1リリーフ弁100においては、作動流体が通過する過程で粘性抵抗による減衰力が発生し、入力された振動エネルギを熱に変換して減衰する減衰弁として機能する。
【0027】
尚、第2リリーフ弁110及び第1、第2調圧弁120、130は、上記第1リリーフ弁100と同様に減衰弁として設けられ、ピストン30の動作に伴う圧力差によって適宜開弁して減衰力を発生する減衰弁である。尚、第1リリーフ弁100及び第1調圧弁120は、ピストン30がX1方向に移動した際に開弁して減衰力を発生し、第2リリーフ弁110及び第2調圧弁130は、ピストン30がX2方向に移動した際に開弁して減衰力を発生するように設けられている。
【0028】
また、第1、第2リリーフ弁100、110と、第1、第2調圧弁120、130との開弁するタイミングがずれるように弁体を付勢するバネのバネ定数を異なる値に設定してある。また、第1、第2リリーフ弁100、110及び、第1、第2調圧弁120、130のそれぞれがほぼ同時に開弁するように設定することも可能である。
【0029】
図2は本発明の第1の実施形態におけるシリンダ装置の内部構造を示す断面図である。尚、図2は、図5中に示すB−B線に沿う断面図を示している。
【0030】
尚、第1の実施形態のシリンダ20は、複数の部品が組み合わせられた円筒形状の組立体であるが、各部品形状や分割数はこれに限るものではないので、各部品の説明は省略する。
【0031】
ピストン30は、第1、第2ストッパ部28b、29bに当接した場合に減衰力を低下させるように切り替える第1、第2減衰力切替機構(弁機構)50、60を有する。
【0032】
第1減衰力切替機構50は、ピストン30の内部に形成された第1連通路34に設けられている。また、第2減衰力切替機構60は、ピストン30の内部に形成された第2連通路36に設けられている。各連通路34、36は、ピストン30の内部で第1、第2減衰力切替機構50、60と交差するように形成され、それぞれ別経路で第1室24と第2室26とを連通している。また、各連通路34、36には、後述する第1、第2逆止弁70、80が設けられている。
【0033】
〔減衰力切替機構の構成〕
図3は本発明の第1の実施形態における減衰力切替機構を拡大して示す断面図である。図3に示されるように、第1減衰力切替機構50は、ピストン30のX1方向側端面が第1ストッパ部28bに当接する直前の所定位置に達したとき、第1連通路34における通路面積を大きく変更する構成であり、第1弁部52と、第1軸部材54と、第1バネ部材(付勢部材)56とを有する。第1弁部52及び第1軸部材54は、第1バネ部材によりピストン30の端面より突出する方向(X1方向)に付勢されている。
【0034】
第1軸部材54は、X1方向側の端面30aより軸方向に突出する長さによってピストン位置に対する減衰力低下のタイミングを所定位置に設定する。この第1軸部材54は、内部を軸方向に貫通する小径な小流路54aを有し、基端部が第1弁部52に結合されている。そのため、第1弁部52と第1軸部材54とは、軸方向に移動可能なため、第1軸部材54の端部が第1ストッパ部28bの端部に当接すると、ピストン30の相対変位により第1弁部52が開弁動作する。
【0035】
第1の実施形態では、第1弁部52には、両端部分より小径に構成されたスプール52aと、スプール52aより大径なシール部52bとが設けられている。また、第1弁部52は、第1バネ部材56によりX1方向に付勢されている。そのため、第1弁部52のスプール52aは、第1連通路34から離間した位置にあり、大径なシール部52bが第1連通路34を閉止している。
【0036】
さらに、第1弁部52は、軸心を貫通する微小な通路面積を有する小流路52cを有する。この小流路52cは、前述した第1軸部材54の小流路54aと連通されている。そのため、第1弁部52は、第1連通路34を閉止している場合でも、ピストン30の移動により加圧された第1室24の作動流体は、小流路54a、52cを通過して挿入孔内の圧力を第1室24の圧力と同圧にしている。そのため、第1弁部52は、第1室24の作動流体の圧力により開弁しないように設けられている。
【0037】
また、第1軸部材54は、第1バネ部材56のバネ力によりピストン30のX1方向側の端面30aより軸方向に所定長さ分突出している。第1軸部材54の突出長さは、ピストンストロークエンドに対する減圧開始位置に応じて適宜設定される。すなわち、ピストン30がピストンストロークエンドに近づいた場合、減衰力を低下させるタイミングをピストンストロークに対してどの位置にするかによって決まる。
【0038】
〔減衰力切替機構の動作〕
図4は本発明の第1の実施形態における減衰力切替機構のストロークエンドにおける動作を拡大して示す断面図である。図4に示されるように、ピストン30がX1方向に移動すると、第1軸部材54は、先端部が第1ガイド部材28の第1ストッパ部28bの端部に接近する。このピストン30の動作過程においては、第1室24の圧力が増大して第1室24と第2室26との間で圧力差が生じる。従って、ピストン30がシリンダ20内を往復移動する際は、後述する第1、第2リリーフ弁100、110及び、第1、第2調圧弁120、130(図1参照)の開閉動作に伴って減衰力が発生する。そのため、シリンダ装置10は振動エネルギが入力された場合、ピストン30の移動方向に応じた第1、第2リリーフ弁100、110及び、第1、第2調圧弁120、130(図1参照)の何れかを作動流体が通過する際の粘性抵抗による減衰力が発生して入力された振動エネルギを減衰させることができる。
【0039】
さらに、ピストン30がシリンダ20内のストロークエンドに近づくと、第1軸部材54の先端部が第1ガイド部材28の第1ストッパ部28bの端部に当接する。これにより、ピストン30がX1方向に移動するとともに、第1軸部材54が第1弁部52を相対的にX2方向に移動させることが可能になる。さらにピストン30がX1方向に移動して第1ガイド部材28に当接する直前位置に達したとき、第1軸部材54及び第1弁部52がピストン移動方向とは逆方向となるX2方向に押圧される。これにより、第1弁部52のスプール52aは、第1連通路34と交差する減衰力切替位置に達する。
【0040】
そして、第1連通路34を流れる作動流体の流量が増大されるとともに、第1逆止弁70が作動流体の圧力により開弁するため、第1室24の加圧された作動流体は、第1連通路34を介して第1連通路34を通過して第2室26に流出される。これにより、ピストン30が第1ストッパ部28bに当接する直前において、ピストン30の移動に伴う第1室24で加圧された作動流体の一部が第2室26へ移動する。その結果、第1室24における圧力が低下するため、当該シリンダ装置10が取り付けられた構造物などの支持部に過大な力が作用することを抑制できる。
【0041】
第2減衰力切替機構60は、ピストン30のX2方向側端面30bが第2ガイド部材29の第2ストッパ部29bに当接する直前の所定位置に達したとき、第2連通路36における通路面積を大きくする構成であり、第2弁部62と、第2軸部材64と、第2バネ部材66とを有する。すなわち、第2減衰力切替機構60は、上記第1減衰力切替機構50と同様な構成であり、軸方向上第1減衰力切替機構50と180度反転した向きで設けられている。また、ピストン30がX2方向に移動したときの第2弁部62及び第2軸部材64の動作は、前述した第1減衰力切替機構50の場合と同様である。
【0042】
〔減衰力の変化パターン〕
ここで、上記のように構成されたシリンダ装置10における減衰力の変化について説明する。図6は本発明の第1の実施形態におけるシリンダ装置のピストンストロークと減衰力との関係を示すグラフである。
【0043】
図6に示すグラフGは、直交座標系における横軸で示すピストンストロークと、ピストンストロークに応じた縦軸で示す減衰力との関係を示している。なお、変位は正弦波で作動した場合である。第1象限と第3象限において、ピストン30のストロークエンド付近における減衰力の低下を示す急激な傾きα、βが現れている。また、それ以外の第2象限及び第4象限においては、ストロークエンド付近における減衰力は増加しており、ほぼ同じ半径による円形パターンで変化している。
【0044】
例えば、図2図4に示す第1減衰力切替機構50が無い場合、第1象限と第3象限において、ピストン30のストロークエンド付近における減衰力は、破線で示すように円形パターンになる。この場合、減衰弁としての第1、第2リリーフ弁100、110及び、第1、第2調圧弁120、130における減衰力は、ピストン30がストロークエンドに達するまで発生していることが分かる。また、円形パターンによる減衰力の変化は、ストロークエンドに達するまで、比較的高い減衰力が維持されるため、その反作用としてシリンダ装置10の両端部が連結される構造物の支持部が受ける力が強いことが分かる。
【0045】
一方、第1の実施形態の第1減衰力切替機構50を有する場合、ピストン30がX1方向に移動して第1ガイド部材28に当接する直前位置に達したとき、第1軸部材54及び第1弁部52がピストン移動方向とは逆方向となるX2方向に押圧される。これにより、第1弁部52のスプール52aは、第1連通路34と交差する減衰力切替位置に達する(図4参照)。すなわち、ピストン30が第1ストッパ部28bに当接する直前において、ピストン30の移動に伴う第1室24で加圧された作動流体の一部が第1連通路34を介して第2室26へ移動する。その結果、第1室24における圧力が低下するため、第1、第2リリーフ弁100、110及び、第1、第2調圧弁120、130による減衰力も傾きα、βで示すように急速に低下する。そのため、当該シリンダ装置10が取り付けられた構造物などの支持部に過大な力が作用することを抑制できる。
【0046】
尚、図6においては、例えば第1象限における傾きαが第1減衰力切替機構50によるものとした場合、第3象限における傾きβが第2減衰力切替機構60によるものとなる。
【0047】
このように、第1の実施形態では、ピストン30に第1、第2減衰力切替機構50、60を設けることにより、シリンダ20内を往復移動するピストン30の両ストロークエンドにおける減衰力低下を生じさせて、シリンダ装置10が取り付けられた構造物などの各支持部に過大な力が作用することを抑制できる。
【0048】
また、第1の実施形態では、ピストン30の端面30a、30bに第1、第2減衰力切替機構50、60の各軸部材54、64が軸方向(X1、X2方向)に突出しているため、ピストン30の外周やピストン30の外周をシールするシール部材などが損傷することを抑制できる。
【0049】
尚、上記した第1の実施形態においては、第1弁部52がスプールを有する場合を一例としてあげたが、これに限らず、他の弁構造のものを用いても良いのは勿論である。
【0050】
また、上記した第1の実施形態においては、第1軸部材54の先端部が第1ガイド部材28の第1ストッパ部28bに当接する場合について説明したが、これに限らず、第1ガイド部材28の代わりに第1軸部材54の先端部が蓋部材25の内壁に当接するようにしても良い。
【0051】
次に、本発明の第2の実施形態を図7に基づいて説明する。なお、第1の実施形態と同様の構成は、第1の実施形態と同様の番号を付し、説明は省略する。また、実質的に同様の働きをする部材は、第1の実施形態における符号に200を加えた番号を付す。
【0052】
シリンダ220は、シリンダ本体21と、その端部を閉塞する第1、第2蓋部材225、227とから大略構成されている。
【0053】
シリンダ220内には、ピストン230が摺動可能に嵌挿されている。ピストン230には、第1ピストンロッド242と、第2ピストンロッド244とからなるピストンロッド240が取り付けられている。
【0054】
ピストン230には、第1の実施形態と同様に他の断面に第1、第2のリリーフ弁100、110と、第1、第2調圧弁120、130が設けられている。
【0055】
また、ピストン230には、第1の実施形態と同様に温度補償経路140が設けられている。温度補償経路140は、第1ピストンロッド242の小径部242bを貫通する連通孔146を有し、連通孔146はアキュームレータ260に連通されている。
【0056】
温度補償経路140には、アキュームレータ260から第1室24へ向けての流れに対し開弁し、常時連通するオリフィス142aが設けられた第1弁142と、アキュームレータ160から第2室26へ向けての流れに対し開弁し、常時連通するオリフィス144aが設けられた第2弁144とが設けられている。そして、第1、第2室24、26内の油液が熱膨張した際に、オリフィス142a、144aを介して作動流体を回収し、また、温度低下による作動流体の収縮量や何等か原因で第1、第2室24、26が負圧になった際に油液を補給する温度補償弁機構90を構成する。
【0057】
次に、第2の実施形態における特徴的構成である減衰力切替機構250について説明する。
【0058】
ピストン230には、軸方向に貫通する貫通孔201が設けられている。この貫通孔201には、ピン202が挿通されている。このピン202の両端は、第1、第2蓋部材225、227と接触しており、固定はされていない。これにより、ピストンロッド240が回転してもピン202には負荷がかからないようにしている。
【0059】
ピン202は、その両端が小径部202a、202cとなっており、中央部が略貫通孔の内径と同様の外径を有する大径部202bとなっている。この小径部202a、202cが本発明の軸部となっており、小径部202a、202cから大径部202bに拡径する部分が弁部となっている。なお、小径部202a、202cは、全体を小径にするのではなく、大径部202bと同径として、スリットを入れる構造として、外周を部分的に小径としてもよい。
【0060】
ピストン230内には、貫通孔201の第1室24側の途中に接続する第1接続路203と、第2室26側の途中に接続する第2接続路204とが形成され、この第1接続路203と第2接続路204は、連通路205を介して接続され、さらには、温度補償経路140と接続されている。なお、第1接続路203の第1室24側には、第1シール206が設けられ、第2接続路204の第1室26側には、第2シール207が設けられ大径部202bがこれらのシール206、207と接触しているときは、作動流体の流れを遮断し、小径部202a、202cが対向するときは、作動流体の流れを許容する。
【0061】
このように構成された第2の実施形態にあっては、ピストン230がX1方向に移動し、シール206が小径部202aと対向するストロークエンド付近では、第1室24の作動流体は、小径部202aと貫通孔201の間、第1接続路203、温度補償経路140、第2弁144を介して第2室26に流れる。このとき、第2弁144は、第1のリリーフ弁100や第1調圧弁120より開弁圧が低いので、低い減衰力が発生する。
【0062】
また、ピストン230がX2方向に移動し、シール207が小径部202cと対向するストロークエンド付近では、第2室26の作動流体は、小径部202cと貫通孔201の間、第2接続路204、温度補償経路140、第1弁142を介して第1室24に流れる。このとき、第1弁142は、第2のリリーフ弁110や第2調圧弁130より開弁圧が低いので、低い減衰力が発生する。
【0063】
さらに、ピストン230が中間ストロークにあるときは、貫通孔201は、ピン202により閉塞され、第1、第2のリリーフ弁100、110や第1、第2調圧弁120、130により高い減衰力が発生する。
【0064】
よって、第2の実施形態においても第1の実施形態と同様に図6に示す減衰特性が発生する。
【0065】
次に、本発明の第3の実施形態を図8に基づいて説明する。なお、第1及び第2の実施形態と同様の構成は、第1及び第2の実施形態と同様の番号を付し、説明は省略する。また、実質的に同様の働きをする部材は、第1実施形態における符号に300を加えた番号を付す。
【0066】
第3の実施形態は、第2の実施形態のピン202を2本に分散したことにあり、その他は同様である。
【0067】
シリンダ320は、シリンダ本体21と、その端部を閉塞する第1、第2蓋部材225、227とから大略構成されている。
【0068】
ピストン330には、第1の実施形態と同様に他の断面に第1、第2のリリーフ弁100、110と、第1、第2調圧弁120、130が設けられている。
【0069】
また、ピストン330には、第1の実施形態と同様に温度補償経路140とが設けられている。温度補償経路140は、第1ピストンロッド242の小径部242bを貫通する連通孔146を有し、連通孔146はアキュームレータ260に連通されている。
【0070】
温度補償経路140には、図8と異なる断面に設けられたアキュームレータ260から第1室24へ向けての流れに対し開弁し、常時連通するオリフィス142aが設けられた第1弁142と、アキュームレータ260から第2室26へ向けての流れに対し開弁し、常時連通するオリフィス144aが設けられた第2弁144とが設けられている。そして、第1、第2室24、26内の油液が熱膨張した際に、オリフィス142a、144aを介して作動流体を回収し、また、温度低下による作動流体の収縮量や何等か原因で第1、第2室24、26が負圧になった際に油液を補給する温度補償弁機構90を構成する。
【0071】
次に、第3の実施形態における特徴的構成である減衰力切替機構350について説明する。
【0072】
ピストン330には、軸方向に貫通する第1貫通孔301aと第2貫通孔301bが設けられている。この貫通孔301a、301bには、それぞれピン302a、302bが挿通されている。
【0073】
ピン302aの第1蓋部材225側は、小径部302aaとなっており、逆側は、大径部302abとなっている。また、ピン302bの第2蓋部材227側は、小径部302baとなっており、逆側は、大径部302bbとなっている。この小径部302aa、302baが本発明の軸部となっており、小径部から大径部に拡径する部分が弁部となっている。
【0074】
ピストン330内には、貫通孔301aの第1室24側の途中に接続する第1接続路303が形成され、この第1接続路303は温度補償経路140と接続されている。
【0075】
また、貫通孔301bの第2室26側の途中に接続する第2接続路304と、が形成され、温度補償経路140と接続されている。
【0076】
このように構成された第3の実施形態にあっては、ピストン330がX1方向に移動し、シール206が小径部302aaと対向するストロークエンド付近では、第1室24の作動流体は、小径部302aaと貫通孔301aの間、第1接続路303、温度補償経路140、第2弁144を介して第2室26に流れる。このとき、第2弁144は、第1のリリーフ弁100や第1調圧弁120より開弁圧が低いので、低い減衰力が発生する。
【0077】
また、ピストン330がX2方向に移動し、シール207が小径部302baと対向するストロークエンド付近では、第2室26の作動流体は、小径部302baと貫通孔301bの間、第2接続路304、温度補償経路140、第2弁144を介して第2室26に流れる。このとき、第2弁144は、第2のリリーフ弁110や第2調圧弁130より開弁圧が低いので、低い減衰力が発生する。
【0078】
さらに、ピストン330が中間ストロークにあるときは、貫通孔301a、301bは、ピン302a、302bにより閉塞され、第1、第2のリリーフ弁100、110や第1、第2調圧弁120、130により高い減衰力が発生する。
【0079】
よって、第3の実施形態においても第1の実施形態と同様に図6に示す減衰特性が発生する。
【0080】
次に、本発明の第4の実施形態を図9、10に基づいて説明する。なお、第1の実施形態と同様の構成は、同様の番号を付し、説明は省略する。また、実質的に同様の働きをする部材は、第1の実施形態における符号に400を加えた番号を付す。
【0081】
シリンダ420は、シリンダ本体421と、その端部を閉塞する第1、第2蓋部材425、427とから大略構成されている。
【0082】
シリンダ420内には、ピストン430が摺動可能に嵌挿されている。ピストン430には、第1ピストンロッド442と、第2ピストンロッド444とからなるピストンロッド440が取り付けられている。
【0083】
ピストン430には、第1の実施形態と同様に他の断面に第1、第2のリリーフ弁100、110と、第1、第2調圧弁120、130が設けられている。
【0084】
また、ピストン430には、第1実施形態と同様に温度補償経路140とが設けられている。温度補償経路140は、第1ピストンロッド442の小径部442bを貫通する連通孔146を有し、連通孔146はアキュームレータ460に連通されている。
【0085】
温度補償経路140には、アキュームレータ460から第1室24へ向けての流れに対し開弁し、常時連通するオリフィス142aが設けられた第1弁142と、アキュームレータ160から第2室26へ向けての流れに対し開弁し、常時連通するオリフィス144aが設けられた第2弁144とが設けられている。そして、第1、第2室24、26内の油液が熱膨張した際に、オリフィス142a、144aを介して作動流体を回収し、また、温度低下による作動流体の収縮量や何等か原因で第1、第2室24、26が負圧になった際に油液を補給する温度補償弁機構90を構成する。
【0086】
次に、第4の実施形態における特徴的構成である減衰力切替機構450について説明する。
【0087】
ピストン430には、軸方向に貫通する貫通孔401が設けられている。この貫通孔401は、温度補償経路140と連通している。
【0088】
ピストン430には、その外周から貫通孔401に向かって径方向に延びる弁孔402a、402bが第1室24側と第2室26側に設けられている。
【0089】
弁孔402a、402bには、それぞれ、弁体403a、403bが摺動可能に挿入されている。この弁体403a、403bは、ばね404a、404bにより径方向外側に向けて付勢されている。また、この弁体403a、403bが径方向内側に移動したときには、貫通孔401を遮断する。
【0090】
シリンダ420の両端側の内周面には、内径が拡径された拡径部405a、405cが形成され、中間付近は、ピストン430の外径と略同径の小径部405bとなっている。
【0091】
このように構成された第4の実施形態にあっては、ピストン430がX1方向に移動し、弁体403aが拡径部405aに対向すると、ばね404aにより、弁体403aが径方向外側に移動し、貫通孔401が図10のように連通状態となる。
【0092】
このような状態にあっては、第1室24の作動流体は、貫通孔401、温度補償経路140、第2弁144を介して第2室26に流れる。このとき、第2弁144は、第1のリリーフ弁100や第1調圧弁120より開弁圧が低いので、低い減衰力が発生する。
【0093】
また、ピストン430がX2方向に移動し、弁体403bが拡径部405cに対向すると、ばね404bにより、弁体403bが径方向外側に移動し、貫通孔401が連通状態となる。このような状態にあっては、第2室26の作動流体は、貫通孔401、温度補償経路140、第1弁142を介して第1室24に流れる。このとき、第2弁144は、第1のリリーフ弁100や第1調圧弁120より開弁圧が低いので、低い減衰力が発生する。
【0094】
さらに、ピストン430が中間ストロークにあるときは、貫通孔401は、弁体403a、403bにより閉塞され、第1、第2のリリーフ弁100、110や第1、第2調圧弁120、130により高い減衰力が発生する。
【0095】
よって、第4の実施形態においても第1の実施形態と同様に図6に示す減衰特性が発生する。
【符号の説明】
【0096】
10 シリンダ装置
20 シリンダ
22 シリンダ室
24、26 第1、第2室
25、27 第1、第2蓋部材
28、29 第1、第2ガイド部材
28b、29b 第1、第2ストッパ部
30 ピストン
34、36 第1、第2連通路
40 ピストンロッド
42、44 第1、第2ピストンロッド
50、60 第1、第2減衰力切替機構
52、62 第1、第2弁部
54、64 第1、第2軸部材
56、66 第1、第2バネ部材
70、80 第1、第2逆止弁
90 温度補償弁機構
100、110 第1、第2リリーフ弁
120、130 第1、第2調圧弁
140 温度補償経路
150 リリーフ経路
160 アキュームレータ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10