(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
エチレン性不飽和結合以外の官能基でありかつヒドロシリル基以外の反応性官能基(b1)を有し、かつポリオキシエチレン鎖を有する化合物(B)と第4級アンモニウム塩(A)とを含有してなり、前記第4級アンモニウム塩(A)が、トリメチルヘキサデシルアンモニウム、ジメチルジデシルアンモニウム、ジメチルドデシルベンジルアンモニウム及びジメチルテトラデシルベンジルアンモニウムからなる少なくとも1種の第4級アンモニウム基と、−11.93未満のHammett酸度関数(H0)を有する超強酸の共役塩基であるアニオンとからなるシリコーン粘着剤用帯電防止剤(D)、エチレン性不飽和結合及び/又はヒドロシリル基を有し、ポリオキシエチレン鎖を有さず、かつ上記(D)中に含有される化合物(B)が有する反応性官能基(b1)と反応可能な反応性官能基(b2)を有さないポリシロキサン(C1)、上記反応性官能基(b2)を有するポリシロキサン(C2)、並びに白金族金属系触媒(E)を含有する帯電防止性シリコーン粘着剤組成物(F)。
エチレン性不飽和結合以外の官能基でありかつヒドロシリル基以外の反応性官能基(b1)を有し、かつポリオキシエチレン鎖を有する化合物(B)と第4級アンモニウム塩(A)とを含有してなり、前記第4級アンモニウム塩(A)が、トリメチルヘキサデシルアンモニウム、ジメチルジデシルアンモニウム、ジメチルドデシルベンジルアンモニウム及びジメチルテトラデシルベンジルアンモニウムからなる少なくとも1種の第4級アンモニウム基と、−11.93未満のHammett酸度関数(H0)を有する超強酸の共役塩基であるアニオンとからなるシリコーン粘着剤用帯電防止剤(D)、エチレン性不飽和結合及び/又はヒドロシリル基を有し、ポリオキシエチレン鎖を有さず、かつ上記(D)中に含有される化合物(B)が有する反応性官能基(b1)と反応可能な反応性官能基(b2)を有さないポリシロキサン(C1)、上記反応性官能基(b2)を有するポリシロキサン(C2)、並びに有機過酸化物(H)を含有する帯電防止性シリコーン粘着剤組成物(F)。
反応性官能基(b1)が、グリシジル基、酸無水物基、カルボキシル基、ヒドロキシル基、アミノ基、チオール基、及びイソシアネート基からなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項1〜3のいずれか1項に記載の帯電防止性シリコーン粘着剤組成物(F)。
反応性官能基(b2)が、グリシジル基、酸無水物基、カルボキシル基、ヒドロキシル基、アミノ基、チオール基、及びイソシアネート基からなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項1〜4のいずれか1項に記載の帯電防止性シリコーン粘着剤組成物(F)。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明のシリコーン粘着剤用帯電防止剤は、エチレン性不飽和結合以外の官能基でありかつヒドロシリル基以外の反応性官能基(b1)を有し、かつポリオキシエチレン鎖を有する化合物(B)及び第4級アンモニウム塩(A)を含有する。(A)及び(B)は1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0010】
本発明における第4級アンモニウム塩(A)としては、下記一般式(1)で表される第4級アンモニウム塩(A1);アルキル(炭素数10〜24)アミドアルキル(炭素数2〜6)基及び/又は炭素数2〜4のヒドロキシアルキル基を有し、アニオンが超強酸の共役塩基である第4級アンモニウム塩(A2);並びにアニオンが超強酸の共役塩基である環状アミン(ピリジン及びモルホリン等)の第4級アンモニウム塩(A3)が挙げられる。
【0012】
一般式(1)におけるR
1及びR
2はそれぞれ独立に炭素数1〜22の直鎖又は分岐の脂肪族炭化水素基(アルキル基及びアルケニル基)を表す。
直鎖の脂肪族炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、ヤシ油由来のアルコールから水酸基を除いたアルキル基(以下、ヤシ油アルキル基と略記)及びオレイル基等が挙げられ、分岐の炭化水素基としては、イソプロピル基、2−エチルヘキシル基等が挙げられる。これらの内、シリコーンとの相溶性の観点から、好ましいのは炭素数1〜14の直鎖又は分岐の脂肪族炭化水素基、更に好ましいのは炭素数1〜8の直鎖又は分岐の脂肪族炭化水素基、特に好ましいのは炭素数1又は2脂肪族炭化水素基、最も好ましいのはメチル基である。また、R
1とR
2は同一であっても異なっていてもよいが、同一であることが好ましい。
【0013】
R
3は炭素数1〜22の直鎖若しくは分岐の脂肪族炭化水素基、炭素数7〜22のアリールアルキル又は炭素数7〜22のアリールアルケニル基を表す。
炭素数1〜22の直鎖又は分岐の脂肪族炭化水素基としては、R
1及びR
2として例示したものと同様のものが挙げられ、炭素数7〜22のアリールアルキル基としてはベンジル基及びフェネチル基等が挙げられ、炭素数7〜22のアリールアルケニル基としてはスチリル基及びシンナミル基等が挙げられる。
【0014】
R
3の内、耐汚染性の観点から好ましいのは炭素数1〜18の直鎖又は分岐の脂肪族炭化水素基、炭素数7〜15のアリールアルキル基及びアリールアルケニル基、更に好ましいのは炭素数6〜14の直鎖又は分岐の脂肪族炭化水素基である。
【0015】
R
4は炭素数8〜22の直鎖又は分岐の脂肪族炭化水素基(アルキル基、アルケニル基等)を表す。
直鎖の脂肪族炭化水素基としては、オクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、ヤシ油アルキル基及びオレイル基等が挙げられ、分岐の脂肪族炭化水素基としては、2−エチルヘキシル基等が挙げられる。
【0016】
R
4の内、耐汚染性の観点から好ましいのは炭素数8〜18の直鎖又は分岐の脂肪族炭化水素基、更に好ましいのは炭素数10〜16の直鎖又は分岐の脂肪族炭化水素基である。
【0017】
(A1)を構成する第4級アンモニウム基の具体例としては、R
3が脂肪族炭化水素基の場合は、例えば、1つの長鎖アルキル基を有するもの(トリメチルドデシルアンモニウム、トリメチルテトラデシルアンモニウム、トリメチルヘキサデシルアンモニウム、トリメチルオクタデシルアンモニウム、トリメチルヤシ油アルキルアンモニウム、トリメチル−2−エチルヘキシルアンモニウム、ジメチルエチルドデシルアンモニウム、ジメチルエチルテトラデシルアンモニウム、ジメチルエチルヘキサデシルアンモニウム、ジメチルエチルオクタデシルアンモニウム、ジメチルエチルヤシ油アルキルアンモニウム、ジメチルエチル−2−エチルヘキシルアンモニウム、メチルジエチルドデシルアンモニウム、メチルジエチルテトラデシルアンモニウム、メチルジエチルヘキサデシルアンモニウム、メチルジエチルオクタデシルアンモニウム、メチルジエチルヤシ油アルキルアンモニウム及びメチルジエチル−2−エチルヘキシルアンモニウム、)、2つの長鎖アルキル基(炭素数6〜22)を有するもの(ジメチルジヘキシルアンモニウム、ジメチルジオクチルアンモニウム、ジメチルジデシルアンモニウム及びジメチルジドデシルアンモニウム)、1つの長鎖アルケニル基(炭素数8〜22)を有するもの(トリメチルオレイルアンモニウム、ジメチルエチルオレイルアンモニウム及びメチルジエチルオレイルアンモニウム)が挙げられる。
また、R
3がアリールアルキル基の場合は、例えば、ジメチルデシルベンジルアンモニウム、ジメチルドデシルベンジルアンモニウム、ジメチルテトラデシルベンジルアンモニウム、ジメチルヘキサデシルベンジルアンモニウム、ジメチルヤシ油アルキルベンジルアンモニウム、ジメチルオレイルベンジルアンモニウム及びジメチル−2−エチルヘキシルベンジルアンモニウムが挙げられる。
【0018】
これらの内、耐汚染性の観点から好ましいのは、トリメチルヘキサデシルアンモニウム、ジメチルジデシルアンモニウム、ジメチルドデシルベンジルアンモニウム及びジメチルテトラデシルベンジルアンモニウムである。
【0019】
一般式(1)におけるX
−は、−11.93未満のHammett酸度関数(H
0)を有する超強酸の共役塩基であるアニオンを表す。
【0020】
X
−の共役酸である超強酸は、100%硫酸より強い酸強度を有する酸(「超強酸・超強塩基」田部浩三、野依良治著、講談社サイエンティフィック刊、p1参照)であり、Hammettの酸度関数(H
0)が100%硫酸の−11.93未満のものであり、プロトン酸及びプロトン酸とルイス酸の組み合わせからなる酸が挙げられる。
【0021】
プロトン酸の超強酸の具体例としては、トリフルオロメタンスルホン酸(H
0=−14.10)、ペンタフルオロエタンスルホン酸(H
0=−14.00)等が挙げられる。
【0022】
プロトン酸とルイス酸の組み合わせに用いられるプロトン酸としては、ハロゲン化水素(フッ化水素、塩化水素、臭化水素及びヨウ化水素)が挙げられ、ルイス酸としては三フッ化硼素、五フッ化リン、五フッ化アンチモン、五フッ化砒素及び五フッ化タウリン等が挙げられる。
プロトン酸とルイス酸の組み合わせは任意であるが、組み合わせて得られる超強酸の具体例としては、四フッ化硼素酸、六フッ化リン酸、塩化フッ化硼素酸、六フッ化アンチモン酸、六フッ化砒酸及び六フッ化タウリン等が挙げられる。
【0023】
X
−として、一般式(1)で表される第4級アンモニウム塩(A1)の耐熱性の観点から好ましいのは、Hammettの酸度関数(H
0)が−12.00以下の超強酸の共役塩基、更に好ましいのはトリフルオロメタンスルホン酸、ペンタフルオロエタンスルホン酸、ビス(フルオロスルホニル)イミド、ビス(トリフルオロメタンスルホン)イミド、ビス(ノナフルオロブタンスルホニル)イミド、四フッ化硼素酸、六フッ化リン、塩化フッ化硼素酸、六フッ化アンチモン、六フッ化砒素又は六フッ化タウリンの共役塩基、特に好ましいのは、トリフルオロメタンスルホン酸、ビス(フルオロスルホニル)イミド、ビス(トリフルオロメタンスルホン)イミド、ビス(ノナフルオロブタンスルホニル)イミド、四フッ化硼素酸又は六フッ化リン酸の共役塩基、最も好ましいのはトリフルオロメタンスルホン酸、ビス(トリフルオロメタンスルホン)イミド、四フッ化硼素酸の共役塩基である。
【0024】
アルキル(炭素数10〜24)アミドアルキル(炭素数2〜6)基及び/又は炭素数2〜4のヒドロキシアルキル基を有し、アニオンが超強酸の共役塩基である第4級アンモニウム塩(A2)を構成する第4級アンモニウム基としては、例えばオレアミドエチルジエチルメチルアンモニウム、ステアラミドエチルジエチルベンジルアンモニウム及びステアラミドプロピルジメチルヒドロキシエチルアンモニウム基等が挙げられる。
【0025】
(A2)を構成するアニオンとしては、前記(A1)におけるX
−として例示した超強酸の共役塩基と同様のものが挙げられ、好ましいものも同様である。
【0026】
(A3)を構成する第4級アンモニウム基をしては、アルキロキシ(炭素数8〜24)メチルピリジニウム基(例えばステアリロキシメチルピリジニウム基)、アルキル(炭素数8〜24)オキシメチルピリジニウム基(例えば、ヘキサデシルオキシメチルピリジニウム基)及びアルキル(炭素数10〜24)ピリジニウム基(例えば、テトラデシルピリジニウム基)等が挙げられる。
【0027】
(A3)を構成するアニオンとしては、前記(A1)におけるX
−として例示した超強酸の共役塩基と同様のものが挙げられ、好ましいものも同様である。
【0028】
第4級アンモニウム塩(A)として、耐熱性、耐汚染性、シリコーンとの相溶性及び粘着力の観点から好ましいのは(A1)であり、更に好ましいのはジメチルジデシルアンモニウム四フッ化硼素酸塩、ジデシルジメチルアンモニウムトリフルオロメタンスルホン酸塩、ジデシルジメチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホン)イミド、トリメチルヘキサデシルアンモニウム四フッ化硼素酸塩、ジメチルヤシ油アルキルベンジルアンモニウム四フッ化硼素酸塩及びジメチルヤシ油アルキルベンジルアンモニウムトリフルオロメタンスルホン酸である。
【0029】
(A)の製造方法としては特に限定はなく、公知の方法、例えば下記の[I]及び[II]の方法等が挙げられ、好ましいのは[II]の方法である。
【0030】
[I] 第4級アンモニウム塩(例えば、クロルアニオンからなる塩)の水溶液(20〜70重量%)に前記超強酸のアルカリ金属塩(ナトリウム塩又はカリウム塩等)を加え(第4級アンモニウム塩/超強酸塩の当量比は好ましくは1/1〜1/1.5、好ましくは1/1.05〜1/1.3)、室温で約2時間撹拌混合して、70〜80℃で約1時間撹拌後、静置して分液した下層(水層)を除去し、上層中の水分を減圧留去して、目的の第4級アンモニウム塩を得る。
【0031】
[II] 第3級アミンと同当量以上(好ましくは1.1〜5.0当量)の炭酸ジアルキルエステル(アルキル基の炭素数1〜5)を、例えば第3級アミンの重量に基づいて10〜1,000重量%の量の有機溶媒(例えば、メタノール)の存在下又は非存在下に、反応温度80〜200℃、好ましくは100〜150℃で反応させて第4級アンモニウム塩を形成し、更に前記超強酸を添加(第4級アンモニウムの当量に基づいて1.0〜1.2当量)し、10〜50℃で1時間撹拌して塩交換する。有機溶媒を80〜120℃で減圧留去して、目的の第4級アンモニウム塩を得る。
【0032】
本発明において、化合物(B)におけるエチレン性不飽和結合以外の官能基でありかつヒドロシリル基以外の反応性官能基(b1)としては、グリシジル基、酸無水物基、カルボキシル基、カルボニル基、ヒドロキシル基、アミノ基、アミド基、イソシアネート基、マレイミド基、イタコンイミド基、スクシンイミド基、スルホ基、リン酸基、アルコキシ基、アルコキシシリル基、チオール基、ホウ酸基、エーテル基、チオエーテル基、ジスルフィド基等が挙げられるが、これに特に限定されるものではない。このような反応性官能基は、1種のみ含有していてもよく、2種以上が含有されていてもよい。前記反応性官能基の中では、グリシジル基、酸無水物基、カルボキシル基、ヒドロキシル基、アミノ基、チオール基、イソシアネート基が好ましい。
【0033】
化合物(B)におけるポリオキシエチレン鎖のオキシエチレン基の繰り返し単位数は、帯電防止性能の観点から、2〜100であることが好ましく、更に好ましくは3〜70、より好ましくは4〜60、特に好ましくは4〜50である。
【0034】
化合物(B)としては、反応性官能基(b1)の種類別に以下の化合物があげられるが、これに限定されるわけではない。
グリシジル基:ポリエチレングリコールモノグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル
酸無水物基:末端酸無水物基変性ポリエチレングリコール(ポリエチレングリコールを無水ピロメリット酸等でハーフエステル化した化合物など)
カルボキシル基:末端カルボキシル基変性ポリエチレングリコール(ポリエチレングリコールのクロロ酢酸エステル化物。下記の一般式(2)で示される化合物。)
【化2】
ヒドロキシル基:ポリエチレングリコール、アリルアルコールのエチレンオキサイド付加物等
アミノ基:1,14−ジアミノ−3,6,9,12−テトラオキサテトラデカン
イソシアネート基:末端イソシアネート基変性ポリエチレングリコール(ポリエチレングリコールのヘキサメチレンジイソシアネートを用いたウレタン化物。下記の一般式(3)で示される化合物。)
【化3】
チオール基:末端チオール基変性ポリエチレングリコール(末端カルボキシル基変性ポリエチレングリコールとジチオール化合物のエステル化物)
等が挙げられる。
【0035】
シリコーン粘着剤用帯電防止剤(D)における第4級アンモニウム塩(A)の含有量は、帯電防止性能及び耐汚染性の観点から、(A)と化合物(B)の合計重量に基づき、好ましくは0.1〜50重量%、更に好ましくは1〜45重量%、特に好ましくは5〜40重量%である。
【0036】
本発明のシリコーン粘着剤用帯電防止剤(D)は、本発明の効果を阻害しない範囲で、必要に応じて有機溶媒、粘着性付与樹脂、可塑剤、充填剤、顔料、紫外線吸収剤、酸化防止剤、シランカップリング剤及び架橋剤等を更に含有することができる。
【0037】
有機溶媒としては、炭素数2〜8のエステル(例えばギ酸メチル、酢酸エチル及び酢酸ブチル)、炭素数1〜8のアルコール(例えばイソプロパノール)、炭素数4〜8の炭化水素(例えばヘキサン、シクロヘキサン、トルエン及びキシレン)、炭素数3〜9のケトン(例えばアセトン、メチルエチルケトン及びシクロヘキサノン)等が挙げられる。
【0038】
有機溶媒の使用量は、帯電防止剤の取り扱い易さの観点から、帯電防止剤の有機溶媒を除く構成成分の全重量に基づいて好ましくは0.01〜900重量%、更に好ましくは5〜400重量%である。
有機溶媒を用いた帯電防止剤の粘度(25℃)は、塗工上の観点から好ましくは100〜50,000mPa・s、更に好ましくは200〜30,000mPa・sである。
【0039】
粘着性付与樹脂としては、例えばテルペン樹脂、テルペンフェノール樹脂、フェノール樹脂、芳香族炭化水素変性テルペン樹脂、ロジン樹脂、変性ロジン樹脂、合成石油樹脂(脂肪族、芳香族又は脂環式合成石油樹脂等)、クマロン−インデン樹脂、キシレン樹脂、スチレン系樹脂、ジシクロペンタジエン樹脂、及びこれらの中で水素添加可能な不飽和二重結合を有するものの水素添加物が挙げられる。粘着性付与樹脂は1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
粘着性付与樹脂の使用量は、(A)と(B)の合計重量に基づいて、好ましくは100重量%以下、粘着剤の粘着力観点からさらに好ましくは0.01〜50重量%である。
【0040】
可塑剤としては、例えば炭化水素系可塑剤[プロセスオイル、液状ポリブタジエン、液状ポリイソブチレン、液状ポリイソプレン、流動パラフィン、パラフィンワックス、エチレンとα−オレフィン(炭素数3〜20)の共重合(重量比99.9/0.1〜0.1/99.9)オリゴマー(Mw5,000〜100,000)及びプロピレンと、エチレンを除くα−オレフィン(炭素数4〜20)の共重合(重量比99.9/0.1〜0.1/99.9)オリゴマー(Mw5,000〜100,000)等];塩素化パラフィン;エステル系可塑剤、例えばフタル酸エステル(ジエチルフタレート、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレート、ジデシルフタレート、ジラウリルフタレート、ジステアリルフタレート及びジイソノニルフタレート等)、アジピン酸エステル(ジオクチルアジペート等)、セバチン酸エステル(ジオクチルセバケート等)及び動植物油脂(例えばリノール酸及びリノレン酸);並びにこれらの中で水素添加可能な不飽和二重結合を有するものの水素添加物が挙げられる。可塑剤は1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
可塑剤の使用量は、(A)と(B)の合計重量に基づいて、好ましくは50重量%以下、粘着剤の粘着力と凝集力の観点からさらに好ましくは0.01〜30重量%である。
【0041】
充填剤としては、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、硫酸アルミニウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、亜硫酸カルシウム、二硫化モリブデン、けい酸アルミニウム、けい酸カルシウム、珪藻土、珪石粉、タルク、シリカ及びゼオライト等が挙げられる。
充填剤は、体積平均粒子径が好ましくは0.01〜5μm程度の微粒子であり、1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
充填剤の使用量は、(A)と(B)の合計重量に基づいて、好ましくは50重量%以下、粘着剤の粘着力と凝集力の観点からさらに好ましくは0.01〜30重量%である。
【0042】
顔料としては、無機顔料(アルミナホワイト、グラファイト、酸化チタン(超微粒子酸化チタン等)、亜鉛華、黒色酸化鉄、雲母状酸化鉄、鉛白、ホワイトカーボン、モリブデンホワイト、カーボンブラック、リサージ、リトポン、バライト、カドミウム赤、カドミウム水銀赤、ベンガラ、モリブデン赤、鉛丹、黄鉛、カドミウム黄、バリウム黄、ストロンチウム黄、チタン黄、チタンブラック、酸化クロム緑、酸化コバルト、コバルト緑、コバルト・クロム緑、群青、紺青、コバルト青、セルリアン青、マンガン紫及びコバルト紫等)及び有機顔料(シェラック、不溶性アゾ顔料、溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、フタロシアニンブルー及び染色レーキ等)が挙げられる。
顔料は、体積平均粒子径が好ましくは0.01〜5μm程度の微粒子であり、1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
顔料の使用量は、(A)と(B)の合計重量に基づいて、好ましくは20重量%以下、粘着剤の粘着力と凝集力の観点からさらに好ましくは0.01〜10重量%である。
【0043】
紫外線吸収剤としては、サリチル酸誘導体(サリチル酸フェニル、サリチル酸−p−オクチルフェニル及びサリチル酸−p−tert−ブチルフェニル等)、ベンゾフェノン化合物[2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシ−5−スルホベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−2’−カルボキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−5−スルホベンゾフェノン・トリヒドレート、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクタデシロキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、4−ドデシロキシ−2−ヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−(2−ヒドロキシ−3−メタクリロキシ)プロポキシベンゾフェノン及びビス(2−メトキシ−4−ヒドロキシ−5−ベンゾイルフェニル)メタン等]、ベンゾトリアゾール化合物{2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチル−フェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−tert−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾ−ル、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−4’−n−オクトキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−アミルフェニル)ベンゾトリアゾ―ル、2−[2’−ヒドロキシ−3’−(3”,4”,5”,6”−テトラヒドロフタルイミドメチル)−5’−メチルフェニル]ベンゾトリアゾール及び2,2−メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール]等}、シアノアクリレート化合物(2−エチルヘキシル−2−シアノ−3,3’−ジフェニルアクリレート及びエチル−2−シアノ−3,3’−ジフェニルアクリレート等)等が挙げられる。これらの紫外線吸収剤は、1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
紫外線吸収剤の使用量は、(A)と(B)の合計重量に基づいて、好ましくは5重量%以下、粘着剤の粘着力の観点からさらに好ましくは0.01〜1重量%である。
【0044】
酸化防止剤としては、フェノール系(ヒンダードフェノール)、例えば2,6−ジ−t−ブチル−p −クレゾール(BHT)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t −ブチルフェノール)及びトリエチレングリコール−ビス[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]ペンタエリスリチル−テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート];硫黄系、例えばジラウリル3,3’−チオジプロピオネート(DLTDP)及びジステアリル3,3’−チオジプロピオネート(DSTDP);リン系(ハロゲンを有していてもよい有機ホスファイト)、例えばトリフェニルホスファイト(TPP)、トリイソデシルホスファイト(TDP)、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)オクチルホスファイト及びそれらのハロ置換体;アミン系(ヒンダード芳香族アミン)、例えばオクチルジフェニルアミン、N−n−ブチル−p−アミノフェノール及びN,N−ジイソプロピル−p−フェニレンジアミン等が挙げられる。これらの酸化防止剤は、1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
酸化防止剤の使用量は、(A)と(B)の合計重量に基づいて、好ましくは5重量%以下、粘着剤の粘着力及び耐汚染性の観点からさらに好ましくは0.01〜1重量%である。
【0045】
シランカップリング剤としては、ビニル基含有アルコキシシラン化合物[ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン及びp−スチリルトリメトキシシラン等]、(メタ)アクリロイルオキシ基含有アルコキシシラン化合物(3−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン及び3−アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン等)、エポキシ基含有アルコキシシラン化合物[3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン及び2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等]、イソシアネート基含有アルコキシシラン化合物(3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン等)、アミノ基含有アルコキシシラン化合物[3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン及びN−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン等]、ウレイド基含有アルコキシシラン化合物(3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン等)、メルカプト基含有アルコキシシラン化合物(3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン等)、スルフィド基含有アルコキシシラン化合物[ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド等]等が挙げられる。これらの内、粘着剤の硬化性の観点から好ましいのは、エポキシ基含有アルコキシシラン化合物である。シランカップリング剤は1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0046】
シランカップリング剤の使用量は、(A)と(B)の合計重量に基づいて、好ましくは5重量%以下、粘着剤の粘着力及び耐汚染性の観点からさらに好ましくは0.01〜1重量%である。
【0047】
架橋剤としては、メチルハイドロジェンシロキサン等が挙げられる。
【0048】
架橋剤の使用量は、(A)と(B)の合計重量に基づいて、好ましくは5重量%以下、粘着剤の粘着力及び耐汚染性の観点からさらに好ましくは0.01〜1重量%である。
【0049】
(A)と(B)の合計重量に基づく各種添加剤の合計含量は、好ましくは230重量%以下、粘着剤の粘着力の観点からより好ましくは150重量%以下、更に好ましくは0.1〜120重量%である。
【0050】
本発明のシリコーン粘着剤用帯電防止剤は、(A)、(B)及び必要によりその他の成分を好ましくは混合装置(撹拌機を備えた混合槽及びスタティックミキサー等)で均一に混合することにより製造できる。
【0051】
本発明のシリコーン粘着剤用帯電防止剤(D)は、帯電防止性シリコーン粘着剤組成物(F)に含有される帯電防止剤として使用される。
帯電防止性シリコーン粘着剤組成物(F)としては、下記の(F1)、(F2)等がある。
(1)シリコーン粘着剤用帯電防止剤(D)、エチレン性不飽和結合及び/又はヒドロシリル基を有し、ポリオキシエチレン鎖を有さず、かつ上記(D)中に含有される化合物(B)が有する反応性官能基(b1)と反応可能な反応性官能基(b2)を有さないポリシロキサン(C1)、上記反応性官能基(b2)を有するポリシロキサン(C2)、及び白金族金属系触媒(E)を含有する帯電防止性シリコーン粘着剤組成物(F1)
(2)シリコーン粘着剤用帯電防止剤(D)、エチレン性不飽和結合及び/又はヒドロシリル基を有し、ポリオキシエチレン鎖を有さず、かつ上記(D)中に含有される化合物(B)が有する反応性官能基(b1)と反応可能な反応性官能基(b2)を有さないポリシロキサン(C1)、上記反応性官能基(b2)を有するポリシロキサン(C2)、及び有機過酸化物(H)を含有する帯電防止性シリコーン粘着剤組成物(F2)
【0052】
本発明において、ポリシロキサン(C2)における反応性官能基(b2)は反応性官能基(b1)と反応する官能基であれば特に限定はなく、例えばグリシジル基、酸無水物基、カルボキシル基、カルボニル基、ヒドロキシル基、アミノ基、アミド基、イソシアネート基、マレイミド基、イタコンイミド基、スクシンイミド基、スルホ基、リン酸基、イソシアネート基、アルコキシ基、アルコキシシリル基、チオール基、ホウ酸基、エーテル基、チオエーテル基、ジスルフィド基等が挙げられるが、これに特に限定されるものではない。このような反応性官能基は、1種のみ含有していてもよく、2種以上が含有されていてもよい。前記官能基の中では、グリシジル基、酸無水物基、カルボキシル基、ヒドロキシル基、アミノ基、チオール基、イソシアネート基が好ましい。
【0053】
(b1)と反応可能な(b2)の組み合わせ[(b1)/(b2)]は、(b1)がグリシジル基の場合、(b2)は酸無水物基、カルボキシル基、ヒドロキシル基、アミノ基、チオール基が挙げられる。(b1)が酸無水物基の場合、グリシジル基、ヒドロキシル基、アミノ基、チオール基が挙げられる。(b1)がカルボキシ基の場合、(b2)はグリシジル基、ヒドロキシル基、アミノ基、チオール基、イソシアネート基が挙げられる。(b1)がヒドロキシ基の場合、(b2)はグリシジル基、酸無水物基、カルボキシル基、イソシアネート基が挙げられる。(b1)がアミノ基の場合、(b2)はグリシジル基、酸無水物基、カルボキシル基、イソシアネート基が挙げられる。(b1)がチオール基の場合、(b2)はグリシジル基、酸無水物基、イソシアネート基が挙げられる。(b1)がイソシアネート基の場合、(b2)はカルボキシル基、ヒドロキシル基、アミノ基、チオール基が挙げられる。
【0054】
反応性官能基(b2)を有するポリシロキサン(C2)としては、ポリシロキサンの側
鎖、両末端、片末端、側鎖両末端等の位置に、反応性官能基(b2)が結合した反応性シリコーンオイル等が挙げられる。ポリシロキサン(C2)としては、以下の化合物があげられるが、これに限定されるわけではない。
末端及び/又は側鎖グリシジル基変性ポリシロキサン、末端及び/又は側鎖ヒドロキシ基変性ポリシロキサン、末端及び/又は側鎖酸無水物基変性ポリシロキサン、末端及び/又は側鎖カルボキシル基変性ポリシロキサン、末端及び/又は側鎖アミノ基変性ポリシロキサン、末端及び/又は側鎖チオール基変性ポリシロキサン、片末端イソシアネート基変性ポリシロキサン等が挙げられる。
【0055】
帯電防止性シリコーン粘着剤組成物(F1)において、(C1)と(D)の合計重量に基づき、シリコーン粘着剤用帯電防止剤(D)の含有量は、好ましくは0.01〜50重量%、更に好ましくは0.1〜30重量%、特に好ましくは1〜10重量%である。(C2)の使用量は、(B)が有する反応性基のモル数に対する(C2)が有する反応性基のモル数が、0.1〜2倍となる量が好ましく、さらに好ましくは0.5〜1.5倍となる量である。(C1)と(D)の合計重量に対して(E)の含有量は金属として0.1〜10,000ppmとすることが好ましい。
また、帯電防止性シリコーン粘着剤組成物(F2)において、(C1)と(D)の合計重量に基づき、シリコーン粘着剤用帯電防止剤(D)の含有量は、好ましくは0.01〜50重量%、更に好ましくは0.1〜30重量%、特に好ましくは1〜10重量%である。(C2)の使用量は、(B)が有する反応性基のモル数に対する(C2)が有する反応性基のモル数が、0.1〜2倍となる量が好ましく、さらに好ましくは0.5〜1.5倍となる量である。(H)の含有量は(C1)と(D)の合計重量に対して0.1〜10重量%とすることが好ましい。
【0056】
帯電防止性シリコーン粘着剤組成物(F1)は、テープ又はシート等の基材上に塗布した後、加熱(50〜150℃、1分〜10分)、光照射等を行なって反応させ、帯電防止性シリコーン粘着剤(G1)とすることができる。
また、帯電防止性シリコーン粘着剤組成物(F2)は、テープ又はシート等の基材上に塗布した後、加熱(80〜200℃、1分〜10分)、光照射等を行なって反応させ、帯電防止性シリコーン粘着剤(G2)とすることができる。
(G1)、(G2)は基材の少なくとも片面の少なくとも一部に塗布して粘着テープ又は粘着シートとして使用され、また粘着フィルムとして使用されるのが好ましい。
【0057】
本発明の帯電防止性シリコーン粘着剤におけるエチレン性不飽和結合及び/又はヒドロシリル基を有し、ポリオキシエチレン鎖を有さず、かつ上記(D)中に含有される化合物(B)が有する反応性官能基(b1)と反応可能な反応性官能基(b2)を有さないポリシロキサン(C1)としては、一般的にシリコーン粘着剤として使用されているシリコーン系化合物が挙げられ、これが帯電防止性シリコーン粘着剤の主成分となる。前記シリコーン系化合物としては、例えばSiO
2単位と(CH
3)
3SiO
0.5単位の共重合体及びシラノール基含有ポリジメチルシロキサンとの混合物又は反応物を主成分とするものが使用され、必要によりこれらのシロキサン単位の置換基がメチル基以外のもの、例えばフェニル基、ビニル基、アクリロイル基等で置換されたものが使用される。
【0058】
シリコーン粘着剤組成物は、基材等に塗布された後、有機溶媒を使用している場合は更に有機溶媒を揮発させ、塗布されたシリコーン粘着剤の凝集力を高め、良好な粘着性が得られることから、架橋させて使用することが好ましい。ポリシロキサン(C)はこの架橋の方法により、白金付加硬化型と過酸化物硬化型に分けられる。
【0059】
本発明に用いられるシリコーン粘着剤としては、比較的低温で硬化できる白金付加硬化型であることが好ましい。
【0060】
過酸化物硬化型ポリシロキサンは、R
3SiO
0.5単位(式中、Rは1価の炭化水素基)とSi O
2単位からなる有機溶媒可溶性の共重合体及び末端シラノールのポリオルガノシロキサンとの縮合反応物又は混合物を、過酸化ベンゾイル等の有機過酸化物で架橋させるものである。過酸化物硬化型のシリコーン粘着剤としては、市販の「KR−100」[信越化学工業社製]及び「KR−130」[信越化学工業社製]等が挙げられる。
【0061】
白金付加硬化型ポリシロキサンは、一般にR
3SiO
0.5単位と(式中、Rは1価炭化水素基)とSiO
2単位からなる有機溶媒可溶性の共重合体及び末端シラノールのアルケニル基含有ポリオルガノシロキサンとの縮合反応物あるいは混合物を、ポリオルガノハイドロジェンシロキサンと付加反応させるものである。白金付加硬化型のシリコーン粘着剤としては、市販の「KR−3700」[信越化学工業社製]及び「KR−3704」[信越化学工業社製]等が挙げられる。
【0062】
本発明のシリコーン粘着剤においては、エチレン性不飽和結合以外の官能基でありかつヒドロシリル基以外の反応性官能基(b1)を有し、かつポリオキシエチレン鎖を有する化合物(B)と官能基(b1)と反応する官能基(b2)を有するポリシロキサン(C2)を用いることで、(B)と(C2)が共有結合を形成して耐汚染性、耐熱性が向上するという効果を奏する。
【0063】
本発明のシリコーン粘着剤用帯電防止剤(D)においては、エチレン性不飽和結合以外の官能基でありかつヒドロシリル基以外の反応性官能基(b1)を有し、かつポリオキシエチレン鎖を有する化合物(B)と第4級アンモニウム塩(A)を併用することで、優れた帯電防止性能、耐汚染性を発揮するという効果を奏する。
【0064】
本発明の帯電防止性シリコーン粘着剤組成物、及び帯電防止性シリコーン粘着剤は、本発明の効果を阻害しない範囲で、必要に応じて本発明のシリコーン粘着剤用帯電防止剤の説明で例示したものと同様の有機溶媒、粘着性付与樹脂、可塑剤、充填剤、顔料、紫外線吸収剤、酸化防止剤及びシランカップリング剤等を更に含有することができる。
【0065】
本発明の粘着テープ及び粘着シートは、本発明の帯電防止性シリコーン粘着剤組成物を種々の塗工装置を用いて基材の少なくとも片面の少なくとも一部に直接塗布し、加熱して有機溶媒あるいは分散媒の乾燥を行うとともに、硬化させる方法、又は離型フィルム等に粘着剤組成物を同様に塗布した後、乾燥し、硬化させて得られた粘着剤を、基材の少なくとも片面に転写する方法等により製造することができる。
基材としては、各種プラスチック[ポリオレフィン(ポリエチレン及びポリプロピレン等)、ポリウレタン、ポリエチレンテレフタレート、ポリ塩化ビニル、レーヨン及びポリアミド等]のフィルム、シート、フォーム及びフラットヤーン並びに紙(和紙及びクレープ紙等)、金属板、金属箔、織布、不織布及び木材等が挙げられる。
これらの基材の内、帯電しやすいものについては、本発明の帯電防止剤(D)の他に、種々の帯電防止剤を添加又は塗布することにより帯電防止性を付与したものであってもよい。
【0066】
本発明の粘着フィルムは、本発明の帯電防止性シリコーン粘着剤組成物を種々の塗工装置を用いて離型フィルム等の離型性を有する基材の少なくとも片面の少なくとも一部に直接塗布し、加熱して必要に応じて有機溶媒あるいは分散媒の乾燥を行うとともに、硬化させる方法等により製造することができる。
【0067】
白金族金属系触媒(E)は(C1)をヒドロシリル化付加して硬化させるために添加する。
【0068】
白金族金属系触媒(E)としては、白金族金属系触媒であり、中心金属としては、白金、パラジウム、イリジウム、ロジウム、オスミウム、ルテニウムなどが例として挙げられ、中でも白金が好適である。白金触媒としては、塩化白金酸、塩化白金酸のアルコール溶液、塩化白金酸とアルコールとの反応物、塩化白金酸とオレフィン化合物との反応物、塩化白金酸とビニル基含有シロキサンとの反応物などが挙げられる。
【0069】
有機過酸化物(H)は、本組成物を所望の形状に成形した後に、加熱処理を加えて架橋反応により硬化させるために配合される成分である。
【0070】
有機過酸化物(H)としては、ラジカル重合反応等に用いられる公知のものを全て用いることができ、具体的には、ジアシルパーオキサイド、ジアルキルパーオキサイド、パーオキシジカーボネート、パーオキシエステル、パーオキシケタール、ハイドロパーオキサイド及シリルパーオキサイドからなる群より選ばれる1種以上が用いられる。
【0071】
前記塗工装置としては、グラビアコータ、ロールコータ、リバースコータ、ドクターブレード、バーコータ、コンマコータ、ファウンテンダイコータ、リップコータ及びナイフコータ等が挙げられる。
【0072】
本発明の粘着テープ、粘着シート及び粘着フィルムのそれぞれの粘着層の厚さは、好ましくは1〜250μm、粘着剤の接着力、乾燥及び硬化性の観点からさらに好ましくは10〜100μmである。
【実施例】
【0073】
以下実施例により本発明を更に説明するが本発明はこれに限定されるものではない。以下において部は重量部を示す。
【0074】
[第4級アンモニウム塩(A)の製造例]
製造例1
加熱冷却装置、攪拌機及び滴下ロートを備えたガラス製反応容器に、メタノール56部、メチルジn−デシルアミン163部(0.88モル部)及び炭酸ジメチルエステル144部(1.6モル部)を仕込み、120℃で20時間反応させた後、メタノールと炭酸ジメチルの一部を留去してジメチルジn−デシルアンモニウムメチルカーボネートの83%メタノール溶液250部(0.52モル部)を得た。更に、30〜60℃に昇温したのち、その温度に保ちながら42%四フッ化硼素酸水溶液114部(0.55モル部)を2時間で徐々に加えた。その後、更に、同温度で1時間攪拌した後、静置分液した上層を分取し、他のガラス製反応容器に移し、メタノールと水を減圧下、80〜100℃で留去して粗生成物−1を得た。更に水を9部(0.50モル部)加え、減圧ストリッピング(減圧度−0.09MPaG、105℃×3時間)した。その後、80℃で溶融状態にして、析出した塩を200メッシュ金網で濾過して除き、常温で固体のジメチルジn−デシルアンモニウム四フッ化硼素酸塩(A−1)206部を得た。
【0075】
製造例2
製造例1と同様にして得られたジメチルジn−デシルアンモニウムメチルカーボネートの83%メタノール溶液250部(0.52モル部)に、室温でトリフルオロメタンスルホン酸79.5部(0.53モル部)を加え、2時間攪拌した。この反応溶液に粒状苛性カリを添加して中和(pH:6〜8)し、析出する塩を濾過後、濾液のメタノールを留去し、更に水を9部(0.50モル部)加え、減圧ストリッピング(前記条件に同じ)して120℃で溶融状態にして取り出し、常温で固体のジメチルジn−デシルアンモニウムトリフルオロメタンスルホン酸塩(A−2)250部を得た。
【0076】
製造例3
製造例1と同様にして得られたジメチルジn−デシルアンモニウムメチルカーボネートの83%メタノール溶液250部(0.52モル部)に、室温でビス(トリフルオロメタンスルホン)イミド149部(0.53モル部)を加え、2時間攪拌した。この反応溶液に粒状苛性カリを添加して中和(pH:6〜8)し、析出する塩を濾過後、濾液のメタノールを留去し、更に水を9部(0.50モル部)加え、減圧ストリッピング(前記条件に同じ)して120℃で溶融状態にして取り出し、常温で液体のジメチルジn−デシルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホン)イミド塩(A−3)250部を得た。
【0077】
[(B1)の製造例]
製造例4
撹拌装置、温度制御装置付きのステンレス製耐圧反応容器に、数平均分子量が1000のポリエチレングリコール(三洋化成工業社製「PEG1000」)500部(0.5モル)と水素化ホウ素ナトリウム0.1部とクロロ酢酸94.5部(1.0モル)を仕込み、窒素雰囲気下、反応槽内の温度を40℃に調整する。温度調整後、水酸化ナトリウム60.0部を、釜内温度が60℃以下に保つように制御しながら、2時間かけて投入した後、85℃で4時間熟成した。次に、粗精製物を70℃に調整した後、イオン交換水を331.4部加え、30分間攪拌して粗精製物中の残存アルカリと生成塩を溶解した。塩を溶解した後、反応槽内温度を70℃に維持したまま30分間静置し、分離した下層の水を抜き取った。次いで上層に対して3部のKW−600(協和化学工業製)と2部のKW−700(協和化学工業製)を加え混合した。混合後、液中に窒素を通気しながら70〜80℃で4時間減圧脱水し、40℃まで冷却してから窒素加圧濾過してPEG1000のジカルボキシル化合物(B−1)540部を得た。
(B−1)の反応性官能基(b1)はカルボキシル基である。
【0078】
製造例5
撹拌装置、温度制御装置付きのステンレス製耐圧反応容器に、数平均分子量が600のポリエチレングリコール(三洋化成工業社製「PEG600」)300部(0.5モル)ジフェニルメタンジイソシアネート500.5部(1.0モル)を仕込み、窒素雰囲気下、反応槽内の温度を70℃に調整し、5時間反応を行い、PEG600とヘキサメチレンジイソシアネートのウレタン化物(B−2)450部を得た。
(B−2)の反応性官能基(b1)はイソシアネート基である。
【0079】
粘着フィルムの実施例
実施例1
付加硬化型ポリシロキサン(C1−1)(「KR−3700」、信越化学工業社製)100部に、ジメチルジn−デシルアンモニウム四フッ化硼素酸塩(A−1)0.3部、PEG1000のジカルボキシル化合物(B−1)5部、ポリシロキサン(C2−1)(グリシジル基変性シリコーン「KF−105」、信越化学工業社製)5部、白金族金属系触媒(「CAT−PL−50T」、信越化学工業社製)0.5部及びトルエン110部を混合し、乾燥後の膜厚が30μmとなるようにポリイミドフィルム(25μm)上にアプリケーターを使用して塗布し、130℃で10分間乾燥・硬化させ、粘着フィルムを作製した。
【0080】
実施例2〜12及び比較例1〜6
表1に記載の配合処方(単位は「部」)で各成分を混合後、実施例1と同様の手順で粘着フィルムを作製した。得られた粘着フィルムを用いて以下の試験方法により表面固有抵抗値、被着体表面への汚染性及び粘着力を測定又は評価した結果を表2に示す。
尚、表1中の各成分の組成・商品名は以下の通りである。
・(A’−1):リチウムビストリフルオロメタンスルホニルイミド(東京化成工業社製)
・(B−3):PEG−1000(三洋化成工業社製):分子量1000のポリエチレングリコール
・(B−4):デナコール EX−830(ナガセケムテックス社製):ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル
・(B−5):1,14−ジアミノ−3,6,9,12−テトラオキサテトラデカン:(東京化成工業社製)
・(C1−1):シリコーン粘着剤:「KR−3700」(信越化学工業社製)
・(C1−2):シリコーン粘着剤:「KR−100」(信越化学工業社製)
・(C2−2):カルボキシル変性シリコーン:「X−22−162C」(信越化学工業社製)
・(C2−3):カルボン酸無水物変性シリコーン:「X−22−168AS」(信越化学工業社製)
・(C2−4):アミン変性シリコーン:「KF−8010」(信越化学工業社製)
・(C2−5):シラノール変性シリコーン:「X−21−5841」(信越化学工業社製)
・(E−1)白金族金属系触媒:「CAT−PL−50T」(信越化学工業社製)
・(H−1)有機過酸化物:「ナイパーBMT−K40」(日油社製)
・酸化防止剤:「アデカスタブ AO−60G」(ADEKA社製)
【0081】
【表1】
【0082】
[性能試験方法]
(1)帯電防止性(表面固有抵抗)
耐熱試験前及び耐熱試験後(200℃×10分)の粘着剤フィルム試験片を23℃×65%RHの条件で12時間静置した後に、JIS−K6911に記載の方法で表面固有抵抗値を測定した。
【0083】
(2)被着体表面への汚染性
ステンレス板に50×100mmの面積の粘着フィルム試験片を貼り付け、耐熱試験前のサンプルと耐熱試験(200℃×10分)後のサンプルを、60℃×90%RHの条件で1週間静置した後、試験片を剥がしステンレス板の表面の曇り、糊残り等の汚染の有無を肉眼で観察し、下記の基準で評価した。
○ :曇り及び糊残りともになし
△ :曇り又は糊残りがわずかにあり
× :曇り又は糊残りが顕著にあり
【0084】
(3)粘着力
ステンレス板(SUS304、以下同じ)に貼り付け面積が幅25mm×長さ100mmとなるように粘着フィルム試験片を貼り付け[2kg荷重のローラーで1往復、以下同じ。]、貼り付け30分後のものについて、JIS−Z−0237に従い常温(23℃)での粘着力(単位:N/25mm)を評価した。
【0085】
【表2】