特許第6695773号(P6695773)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6695773
(24)【登録日】2020年4月24日
(45)【発行日】2020年5月20日
(54)【発明の名称】自動車のバンパーレインフォースメント
(51)【国際特許分類】
   B60R 19/04 20060101AFI20200511BHJP
【FI】
   B60R19/04 M
【請求項の数】3
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2016-200780(P2016-200780)
(22)【出願日】2016年10月12日
(65)【公開番号】特開2018-62224(P2018-62224A)
(43)【公開日】2018年4月19日
【審査請求日】2018年12月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】000201799
【氏名又は名称】双葉工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100074055
【弁理士】
【氏名又は名称】三原 靖雄
(74)【代理人】
【識別番号】100132964
【弁理士】
【氏名又は名称】信末 孝之
(72)【発明者】
【氏名】横林 宏喜
(72)【発明者】
【氏名】高津 直矢
(72)【発明者】
【氏名】吉本 充伸
【審査官】 マキロイ 寛済
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−264875(JP,A)
【文献】 特開2014−226995(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 19/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
間隔を有して互いに対向する第1縦壁部及び第2縦壁部と、該第1縦壁部及び第2縦壁部の上端同士を互いに一体に連結する上壁部と、前記第1縦壁部及び第2縦壁部の下端同士を互いに一体に連結する下壁部とで内部に中空部を有するように断面略矩形状に形成するとともに前記第2縦壁部に該縦壁部を上下に分断するように開口部が形成されて車幅方向に延びるようにプレス成形された長尺状のバンパーレインフォースメント本体と、前記開口部に一端が固着され、他端が前記第1縦壁部における前記開口部の対向部に接合されたリブプレートとで構成され、
前記対向部に前記バンパーレインフォースメント本体の長手方向に間隔を空けて設けられた複数の長孔と、前記リブプレートの他端に前記複数の長孔に対応するように間隔を空けて設けられた複数の突片とを有し、前記複数の長孔に前記複数の突片が嵌入されて接合されていることを特徴とする自動車のバンパーレインフォースメント。
【請求項2】
間隔を有して互いに対向する第1縦壁部及び第2縦壁部と、該第1縦壁部及び第2縦壁部の上端同士を互いに一体に連結する上壁部と、前記第1縦壁部及び第2縦壁部の下端同士を互いに一体に連結する下壁部とで内部に中空部を有するように断面略矩形状に形成するとともに前記第2縦壁部に該縦壁部を上下に分断するように開口部が形成されて車幅方向に延びるようにプレス成形された長尺状のバンパーレインフォースメント本体と、前記開口部に一端が固着され、他端が前記第1縦壁部における前記開口部の対向部に接合されたリブプレートとで構成され、
前記対向部に内面が外側に向けて膨出する凹条部を有し、該凹条部に前記リブプレートの他端が嵌入されて接合されていることを特徴とする自動車のバンパーレインフォースメント。
【請求項3】
前記リブプレートの板面に複数のビードが自動車の前後方向に延びるように前記バンパーレインフォースメント本体の長手方向に間隔を空けて設けられていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の自動車のバンパーレインフォースメント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車のバンパー内に取り付けられるバンパーレインフォースメントに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車のバンパー内には衝撃吸収部材としてバンパーレインフォースメントが取り付けられている。バンパーレインフォースメントは、特許文献1に開示されているように、衝撃を受ける側の正面板と、車体側の背面板を互いに距離を隔てて略平行に対向配置し、正面板と背面板とを一体に連結する複数枚の連結板からなる構造を有しており、断面は、主に、「日」字状又は「目」字状の閉断面形状を有している。そして、正面板に衝撃が加わると、荷重は、正面板から連結板、そして背面板へと伝わり、荷重が増加するにつれて連結板が座屈して車体側に加わる衝撃を緩和するものである。
【0003】
また、バンパーレインフォースメントは、特許文献1に開示されているように、車両の軽量化等の観点から、その材料としてアルミニウム合金を使用した押出成形部材が使用されている。
【0004】
また、特許文献2には、プレス成形により断面コ字形状に成形した2つのビーム部材の間にビーム補強板を介装して周縁接合部を溶接等により接合して「日」字状の閉断面形状としたバンパービームに関する発明が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−30535号公報
【特許文献2】特開平6−171441号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1のように、アルミニウム合金製の押出成形部材を使用した場合には、「日」字状や「目」字状の閉断面形状を容易に実現することができるので、高強度のバンパーレインフォースメントを製造しやすい。しかしながら、バンパーレインフォースメントには、取付用の穴あけやフランジ等の加工が必要であり、押出成形部材では押出成形後に機械加工する必要があるため、コストアップの要因となる。
【0007】
一方、特許文献2のように、プレス成形により製造する場合には、取付用の穴あけやフランジ等の加工はプレス成形時に容易に行うことができるものの、閉断面が「口」字状で単純であるため強度が低く、これを補うためにはバンパーレインフォースメント本体の板厚のアップが必要となり、重量及びコストアップの要因となる。
【0008】
本発明は、上記従来の課題を解決するものであり、穴あけやフランジ等の加工が容易で、かつ高強度のバンパーレインフォースメントを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、本発明の請求項1に係る自動車のバンパーレインフォースメントは、間隔を有して互いに対向する第1縦壁部及び第2縦壁部と、該第1縦壁部及び第2縦壁部の上端同士を互いに一体に連結する上壁部と、前記第1縦壁部及び第2縦壁部の下端同士を互いに一体に連結する下壁部とで内部に中空部を有するように断面略矩形状に形成するとともに前記第2縦壁部に該縦壁部を上下に分断するように開口部が形成されて車幅方向に延びるようにプレス成形された長尺状のバンパーレインフォースメント本体と、前記開口部に一端が固着され、他端が前記第1縦壁部における前記開口部の対向部に接合されたリブプレートとで構成され、前記対向部に前記バンパーレインフォースメント本体の長手方向に間隔を空けて設けられた複数の長孔と、前記リブプレートの他端に前記複数の長孔に対応するように間隔を空けて設けられた複数の突片とを有し、前記複数の長孔に前記複数の突片が嵌入されて接合されていることを特徴とする。
【0010】
また、本発明の請求項2に係る自動車のバンパーレインフォースメントは、間隔を有して互いに対向する第1縦壁部及び第2縦壁部と、該第1縦壁部及び第2縦壁部の上端同士を互いに一体に連結する上壁部と、前記第1縦壁部及び第2縦壁部の下端同士を互いに一体に連結する下壁部とで内部に中空部を有するように断面略矩形状に形成するとともに前記第2縦壁部に該縦壁部を上下に分断するように開口部が形成されて車幅方向に延びるようにプレス成形された長尺状のバンパーレインフォースメント本体と、前記開口部に一端が固着され、他端が前記第1縦壁部における前記開口部の対向部に接合されたリブプレートとで構成され、前記対向部に内面が外側に向けて膨出する凹条部を有し、該凹条部に前記リブプレートの他端が嵌入されて接合されていることを特徴とする。
【0011】
また、本発明の請求項3に係る自動車のバンパーレインフォースメントは、請求項1又は請求項2に係る発明において、前記リブプレートの板面に複数のビードが自動車の前後方向に延びるように前記バンパーレインフォースメント本体の長手方向に間隔を空けて設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明の請求項1に係るバンパーレインフォースメントは、プレス成形された断面略矩形状のバンパーレインフォースメント本体を使用しているので、該本体の成形時に穴あけやフランジ等の加工をプレスにより容易に行うことができる。また、リブプレートの一端を前記本体の開口部に固着し、他端を開口部の対向部に接合しているので、リブプレートにより第1縦壁部又は第2縦壁部の外面に対する略直交方向からの衝突力等の外力に対する強度を高めることができる。さらに、リブプレートは前記本体の開口部から内部に挿入するので、リブプレートの位置決めも容易である。また、前記本体の前記対向部に間隔を空けて複数の長孔が設けられる一方、リブプレートの他端に間隔を空けて複数の突片が設けられて、対向部の複数の長孔にリブプレートの複数の突片が嵌入されて接合されているので、前記本体の対向部とリブプレートの他端とを確実かつ容易に接合することができる。
【0014】
本発明の請求項2に係るバンパーレインフォースメントは、プレス成形された断面略矩形状のバンパーレインフォースメント本体を使用しているので、該本体の成形時に穴あけやフランジ等の加工をプレスにより容易に行うことができる。また、リブプレートの一端を前記本体の開口部に固着し、他端を開口部の対向部に接合しているので、リブプレートにより第1縦壁部又は第2縦壁部の外面に対する略直交方向からの衝突力等の外力に対する強度を高めることができる。さらに、リブプレートは前記本体の開口部から内部に挿入するので、リブプレートの位置決めも容易である。また、前記本体の対向部に凹条部が設けられて、該凹条部にリブプレートの他端を嵌入できるので、前記本体における前記対向部とリブプレートの他端とを確実かつ容易に接合することができる。
【0015】
また、本発明の請求項3に係るバンパーレインフォースメントは、請求項1又は請求項2に係る前記発明の効果に加えて、リブプレートに複数のビードが形成されているので、バンパーレインフォースメントの前後方向の強度をより一層高めることができる。
【0017】
このように、本発明によれば、穴あけやフランジ等の加工が容易で、かつ高強度のバンパーレインフォースメントを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の実施形態1に係るバンパーレインフォースメントの取付位置を示す自動車の斜視図である。
図2】本発明の実施形態1に係るバンパーレインフォースメントを示し、(A)は図3におけるA−A線断面図、(B)は(A)におけるX−X線断面図である。
図3】本発明の実施形態1に係るバンパーレインフォースメントの組立方法を示し、(A)はバンパーレインフォースメントの分解斜視図、(B)は組立完了の斜視図である。
図4】本発明の実施形態2に係るバンパーレインフォースメントを示し、(A)は図2(A)相当図、(B)は図2(B)相当図である。
図5】本発明の実施形態3に係るバンパーレインフォースメントを示し、(A)は図2(A)相当図、(B)は図2(B)相当図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
次に、図1乃至図5を参照して、本発明の実施形態に係るバンパーレインフォースメントについて説明する。本実施形態に係るバンパーレインフォースメントは、断面が略矩形状でアルミニウム合金製の長尺状部材である。
【0020】
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態1に係るバンパーレインフォースメントの取付位置を示す自動車の斜視図である。図1に示すように、バンパー100内にはバンパーレインフォースメント10が取り付けられており、バンパーレインフォースメント10にバンパーフェイス110が取り付けられている。図2は、本発明の実施形態1に係るバンパーレインフォースメント10を示す断面図である。このうち図2(A)は図3のA−A線断面図、図2(B)は図2(A)のX−X線断面図を示している。また図3は、バンパーレインフォースメント10の組立方法を示し、(A)はバンパーレインフォースメント10の分解斜視図、(B)は組立完了の斜視図である。バンパーレインフォースメント10は、バンパーレインフォースメント本体(以下、「レインフォース本体」という。)11及びリブプレート12から構成されている。
【0021】
レインフォース本体11は、車幅方向に延びるようにプレス成形された長尺状のアルミニウム合金製部材であり、第1縦壁部11a、第2縦壁部11b、上壁部11c及び下壁部11dから構成されている。第1縦壁部11a及び第2縦壁部11bは、自動車(車体)の前後方向に間隔を有して互いに対向するように配置されている。そして、上壁部11cが第1縦壁部11a及び第2縦壁部11bの上端同士を折り曲げて互いに一体に連結する一方、下壁部11dが第1縦壁部11a及び第2縦壁部11bの下端同士を折り曲げて互いに一体に連結している。これにより、レインフォース本体11は、内部に中空部13を有するように断面略矩形状に形成されている。また、中空部13はリブプレート12により上側中空部13aと下側中空部13bとに上下に分断されている。
【0022】
フロントバンパー内においてバンパーレインフォースメント10は、第1縦壁部11aが自動車の前側、第2縦壁部11bが後側となるように配置されて、図2における符号Pに示すような自動車の前方から加わる衝突力を吸収する。
【0023】
レインフォース本体11の第2縦壁部11bには、該第2縦壁部11bを上側第2縦壁部2aと下側第2縦壁部2bとに上下に分断するように開口部14が形成されている。開口部14は、レインフォース本体11の長手方向(車幅方向)に沿って延びるように連続して形成されており、その開口幅(上下方向の幅)はリブプレート12が挿入できる幅で、リブプレート12の板厚よりも若干大きく形成されている。
【0024】
ここで、レインフォース本体11の第1縦壁部11aにおける、第2縦壁部11bの開口部14に対向する位置を、対向部15とする。対向部15には、レインフォース本体11の長手方向に間隔を空けて複数の長孔16が設けられている。複数の長孔16の加工は、レインフォース本体11のプレス成形時に行われる。長孔16の開口幅(図2(A)の上下方向の幅)はリブプレート12の突片12cが挿入できる幅で、該突片12c(リブプレート12)の板厚よりも若干大きく形成されている。
【0025】
リブプレート12は、肉厚が均一の板状のアルミニウム合金製長尺状部材である。図2における右側(車体後側)を一端12a、左側(車体前側)を他端12bとすると、他端12bには、長手方向に間隔を空けて複数の突片12cが設けられている。複数の突片12cの間隔は、レインフォース本体11の第1縦壁部11aの対向部15に設けられた複数の長孔16の間隔に対応するように形成されている。リブプレート12の左右方向の幅(図2の左右方向)は、レインフォース本体11の左右方向の幅(図2の左右方向)より若干長く設定され、複数の突片12cが第1縦壁部11aから外側に突出するとともに一端12aが第2縦壁部11bから外側に突出している。この突出は溶接1を確実にするためである。
【0026】
リブプレート12の板面には、レインフォース本体11の上壁部11c側に向けて膨出するビード17がプレス成形により複数設けられている。ビード17は、バンパーレインフォースメント10の前後方向の強度をより一層高めるためのものであり、自動車の前後方向(図2の左右方向)に延びるように、レインフォース本体11の長手方向に間隔を空けて設けられている。
【0027】
また、ビード17は、突片12cの長手方向(リブプレート12の長手方向)中間部と、隣接する突片12c、12cの中間部とに形成されている。さらに、ビード17は、リブプレート12の一端12aからリブプレート12の他端12bに亘って連続して形成されているが、突片12cには形成されていない。そして、レインフォース本体11における上側第2縦壁部2aの開口部14側(開口縁)には、図3に示すようにビード17に対応し、該ビード17が嵌合する凹部3が形成されている。
【0028】
バンパーレインフォースメント10を組み立てる際には、図3(A)に示すように、予めプレス成形されたリブプレート12のビード17と、予めプレス成形されたレインフォース本体11における上側第2縦壁部2aの凹部3とを対応させて、レインフォース本体11の開口部14にリブプレート12の他端12bを挿入した後、複数の長孔16に複数の突片12cを嵌入する。そして、図3(B)に示すように、リブプレート12の一端12aを、開口部14に溶接1により固着する。また、リブプレート12の複数の突片12cを、レインフォース本体11の複数の長孔16に溶接1により固着する。これにより、バンパーレインフォースメント10の組立てが完了する。なお、突片12cと長孔16とは、溶接1以外にも、例えば長孔16の開口幅を突片12c(リブプレート12)の板厚よりも小さくして突片12cを長孔16に圧入するなどの方法により接合するようにしてもよい。
【0029】
実施形態1に係るバンパーレインフォースメント10は、プレス成形された断面略矩形状のレインフォース本体11を使用しているので、該レインフォース本体11のプレス成形時に長孔16や凹部3等の加工を容易に行うことができる。なお、本実施形態1には示していないが、レインフォース本体11にバンパーフェイス110を組み付ける取付用フランジをレインフォース本体11に形成する場合、該フランジをレインフォース本体11のプレス成型時に形成できる。
【0030】
また、リブプレート12の一端12aをレインフォース本体11の開口部14に固着し、他端12bを開口部14の対向部15に接合しているので、リブプレート12により第1縦壁部11a又は第2縦壁部11bの外面に対する略直交方向からの衝突力等の外力に対する強度を高めることができる。さらに、リブプレート12は前記本体11の開口部14から内部に挿入するので、リブプレート12の位置決めも容易である。
【0031】
また、レインフォース本体11の前記対向部15に間隔を空けて複数の長孔16を設ける一方、リブプレート12の他端12bに間隔を空けて複数の突片12cを設けて、対向部15における複数の長孔16にリブプレート12の複数の突片12cを嵌入するようにしたので、レインフォース本体11の対向部15とリブプレート12の他端12bとを突片12cを介して確実かつ容易に接合することができる。
【0032】
また、リブプレート12に複数のビード17を形成したので、バンパーレインフォースメント10の車体前後方向の強度をより一層高めることができる。なお、リブプレート12のビード17は、レインフォース本体11の上壁部11c側に向けて膨出するように車体前後方向に連続して形成したが、レインフォース本体11の下壁部11dに向けて膨出するように形成したり、不連続に形成してもよい。また、リブプレート12の複数のビード17のうち、突片12cの長手方向中間に位置するビード17は該突片12cには形成されていないが、該ビード17を突片12cまで延長して形成するようにしてもよい。この場合、凹部3と同様な形状を長孔16に形成することが好ましい。
【0033】
また、リブプレート12は、レインフォース本体11の長手方向に連続した1枚のアルミニウム製部材で形成したが、当該長手方向に連続することなく、分割し、該分割したリブプレートを長手方向に間隙を空けて配設するようにしてもよい。この場合、バンパーレインフォースメント10の強度アップの観点から、リブプレート12が配設されていない第2縦壁部11bの開口部14は、上側第2縦壁部2aの端縁部と下側第2縦壁部2bの端縁部とが互いに当接するようにして溶接等により接合することが好ましい。また、分割し長手方向に間隙を空けて配設したリブプレートの板厚を配設位置によって変化させることにより、バンパーレインフォースメント10の強度を長手方向の位置によって変化させることもできる。
【0034】
また、レインフォース本体11及びリブプレート12は、アルミニウム合金に限定することなく、鉄、ジュラルミン等のプレス成形可能な他の材料であってもよい。また、バンパーレインフォースメント10は、自動車のフロントバンパーに取り付けられる形態を示したが、リヤバンパーに取り付けられるものであってもよい。
【0035】
(実施形態2)
図4は、本発明の実施形態2に係るバンパーレインフォースメント20を示す断面図である。このうち図4(A)は図2(A)相当図、図4(B)は図2(B)相当図である。バンパーレインフォースメント20は、レインフォース本体21及びリブプレート22から構成されている。
【0036】
レインフォース本体21は、車幅方向に延びるようにプレス成形された長尺状のアルミニウム製部材であり、第1縦壁部21a、第2縦壁部21b、上壁部21c及び下壁部21dから構成されている。第1縦壁部21a及び第2縦壁部21bは、間隔を有して互いに対向するように配置されている。そして、上壁部21cが第1縦壁部21a及び第2縦壁部21bの上端同士を折り曲げて互いに一体に連結する一方、下壁部21dが第1縦壁部21a及び第2縦壁部21bの下端同士を折り曲げて互いに一体に連結している。これにより、レインフォース本体21は、内部に中空部23を有するように断面略矩形状に形成されている。また、中空部23はリブプレート22の上側プレート部22a及び下側プレート部22bにより、上側中空部23aと、中間中空部23bと、下側中空部23cとに上下方向3つに分断されている。
【0037】
レインフォース本体21の第2縦壁部21bには、該第2縦壁部21bを上側第2縦壁部2cと下側第2縦壁部2dとに上下に分断するように開口部24が形成されている。開口部24は、レインフォース本体21の長手方向(車幅方向)に沿って延びるように形成されており、その幅(上下方向の幅)は実施形態1に係るレインフォース本体11の開口部14よりも広く、リブプレート22を構成する後述の連結プレート部22cの上下方向の幅よりも若干大きく、リブプレート22が挿入できる幅に形成されている。
【0038】
ここで、レインフォース本体21の第1縦壁部21aにおける、第2縦壁部21bの開口部24に対向する位置を、対向部25とする。該対向部25の上縁側25a及び下縁側25bには、レインフォース本体21の長手方向に間隔を空けて複数の長孔26a及び26bが、長手方向に1列ずつに設けられている。複数の長孔26a、26bの加工は、レインフォース本体21のプレス成形時に行われる。長孔26の上下方向の幅は、リブプレート22の板厚よりも若干大きく、リブプレート22が挿入できる幅に設定されている。
【0039】
リブプレート22は、断面コ字状で車幅方向に延びるアルミニウム合金製の長尺状部材であり、上側プレート部22aと、下側プレート部22bと、連結プレート部22cとで構成されている。上側プレート部22a及び下側プレート部22bの一方の端部(図4における右側)は、上下に立設する連結プレート部22cの上端部及び下端部にプレス成形により折り曲げて互いに一体に連結した形状となっている。上側プレート部22a及び下側プレート部22bの他方の端部、即ち反連結プレート部22c側(図4における左側)端部には、レインフォース本体21における複数の長孔26a、26bに対応するように長手方向に間隔を空けて複数の突片22d及び22eが設けられている。
【0040】
上側プレート部22a及び下側プレート部22bの車体前後方向の幅(図4の左右方向)は、レインフォース本体21の車体前後方向の幅よりも若干長くして、連結プレート部22cと上側プレート部22a及び下側プレート部22bとの連結部周縁を第2縦壁部21bの板面から外側(車体後方)に突出させて、レインフォース本体21にリブプレート22を組付ける際に、リブプレート22の連結プレート部22c側がレインフォース本体21の開口部24周縁に確実に溶接1により固着(溶着)できるように形成している。また、同様に突片22d、22eも第1縦壁部21aから外側(車体前方)に突出させて、突片22d、22eが長孔26a、26b周縁に確実に溶接1により固着(溶着)できるようにしている。
【0041】
バンパーレインフォースメント20を組み立てる際には、予めプレス成形されたレインフォース本体21の開口部24にリブプレート22の他端側の突片22d、22eを挿入し、複数の長孔26a、26bに複数の突片22d、22eを嵌入する。そして、リブプレート22の連結プレート部22c側の一端と、開口部24周縁とを溶接1により固着する。また、リブプレート22の複数の突片22d、22eを、レインフォース本体21の複数の長孔26a、26b周縁に溶接1により固着する。これにより、バンパーレインフォースメント20の組立てが完了する。なお、突片22d、22eと長孔26a、26bとは、溶接以外にも、例えば長孔26a、26bの上下方向の幅をリブプレート22の板厚よりも小さくして突片22d、22eを圧入するなどの方法により接合するようにしてもよい。
【0042】
実施形態2に係るバンパーレインフォースメント20は、プレス成形された断面略矩形状のレインフォース本体21を使用しているので、該レインフォース本体21のプレス成形時に長孔26a、26bや開口部24等の加工を容易に行うことができる。また、リブプレート22の上側プレート部22a及び下側プレート部22bの一端(連結プレート部22c側)をレインフォース本体21の開口部24の周縁、つまり第2縦壁部21bに固着するとともに、リブプレート22の他端(反連結プレート部22c側)を開口部24の対向部25における長孔26a、26b周縁、つまりレインフォース本体21の第1縦壁部21aに溶接により接合しているので、リブプレート22により第1縦壁部21a又は第2縦壁部21bの外面に対する略直交方向からの衝突力等の外力に対する強度を高めることができる。さらに、リブプレート22はレインフォース本体21の開口部24から内部に挿入するので、リブプレート22の位置決めも容易である。
【0043】
また、レインフォース本体21の対向部25の上縁側25a及び下縁側25bに間隔を空けて複数の長孔26a、26bが長手方向に2列設けられる一方、リブプレート22の上側プレート部22a及び下側プレート部22bの他端(反連結プレート部22c側)に間隔を空けて複数の突片22d、22eが2列に設けられて、対向部25における複数の長孔26a、26bにリブプレート22の複数の突片22d、22eが嵌入されて接合されているので、レインフォース本体21の対向部25、つまり第1縦壁部21aとリブプレート22の他端とを突片22d、22eを介して、確実かつ容易に接合することができる。
【0044】
また、リブプレート22が、1枚の板状部材をプレス成形により断面コ字状に形成した長尺状部材であるので、リブプレート22のレインフォース本体21への組付けが容易であるとともに、バンパーレインフォースメント20の車体前後方向の強度をより一層高めることができる。
【0045】
なお、リブプレート22の上側プレート部22a及び下側プレート22bの板面に実施形態1と同様のビードを形成してもよい。また、リブプレート22は長手方向に分割し、同方向に間隔を空けて配設してもよい。この場合、リブプレート22が配設されていない第2縦壁部21bの開口部24は、上側第2縦壁部2cの端縁部と下側第2縦壁部2dの端縁部とが互いに当接するようにして溶接等により接合することが好ましい。また、分割し長手方向に間隙を空けて配設したリブプレートの板厚を配設位置によって変化させることにより、バンパーレインフォースメント20の強度を長手方向の位置によって変化させることもできる。
【0046】
また、レインフォース本体21及びリブプレート22は、アルミニウム合金に限定することなく、鉄、ジュラルミン等のプレス成形可能な他の材料であってもよい。また、バンパーレインフォースメント20は、自動車のフロントバンパーとリヤバンパーのいずれに取り付けられるものであってもよい。
【0047】
(実施形態3)
図5は、本発明の実施形態3に係るバンパーレインフォースメント30を示す断面図である。このうち図5(A)は図2(A)相当図、図5(B)は図2(B)相当図である。バンパーレインフォースメント30は、レインフォース本体31及びリブプレート32から構成されている。
【0048】
レインフォース本体31は、車幅方向に延びるようにプレス成形された長尺状のアルミニウム合金製部材であり、第1縦壁部31a、第2縦壁部31b、上壁部31c及び下壁部31dから構成されている。第1縦壁部31a及び第2縦壁部31bは、間隔を有して互いに対向するように配置されている。そして、上壁部31cが第1縦壁部31a及び第2縦壁部31bの上端同士を折り曲げて互いに一体に連結し、下壁部31dが第1縦壁部31a及び第2縦壁部31bの下端同士を折り曲げて互いに一体に連結している。これにより、レインフォース本体31は、内部に中空部33を有するように断面略矩形状に形成されている。また、中空部33はリブプレート32により上側中空部33aと下側中空部33bとに上下に分断されている。
【0049】
レインフォース本体31の第2縦壁部31bには、該第2縦壁部31bを上下に分断するように開口部34が形成されている。開口部34は、レインフォース本体31の長手方向(車幅方向)に沿って延びるように形成されており、その上下方向の幅は、リブプレート32が挿入できるようにリブプレート32の板厚よりも若干大きく設定されている。
【0050】
ここで、レインフォース本体31の第1縦壁部31aにおける、第2縦壁部31bの開口部34に対向する位置を、対向部35とする。対向部35には、内面が外側に向けて膨出する凹条部36が、レインフォース本体31の長手方向に設けられている。凹条部36の加工は、レインフォース本体31のプレス成形時に行われる。凹条部36の上下方向の幅は、リブプレート32の板厚よりも若干小さく設定され、当該リブプレート32の他端(図5の左側)32bが凹条部36に圧入されている。
【0051】
リブプレート32は、板状のアルミニウム合金製長尺状部材であって、実施形態1に係るリブプレート12と異なり、他端32bには突片は設けられていない。リブプレート32の左右方向の幅(図5の左右方向)は、レインフォース本体31の左右方向の幅(図5の左右方向)より若干長くなっている。
【0052】
バンパーレインフォースメント30の組立ての際には、レインフォース本体31の開口部34からリブプレート32の他端32bを挿入し、該他端32bをレインフォース本体31の凹条部36に圧入して接合する。そして、リブプレート32の一端(図5の右側)32aを、開口部34に溶接1により固着する。これにより、バンパーレインフォースメント30の組立てが完了する。
【0053】
実施形態3に係るバンパーレインフォースメント30は、プレス成形された断面略矩形状のレインフォース本体31を使用しているので、該レインフォース本体31のプレス成形時に凹条部36、開口部34等の加工を容易に行うことができる。また、リブプレート32の一端32aを前記本体31の開口部34に固着し、他端32bを開口部34の対向部35に設けられた凹条部36に圧入しているので、リブプレート32により第1縦壁部31a又は第2縦壁部31bの外面に対する略直交方向からの衝突力等の外力に対する強度を高めることができる。さらに、リブプレート32はレインフォース本体31の開口部34から内部に挿入するので、リブプレート32の位置決めも容易である。
【0054】
また、レインフォース本体31の対向部35に凹条部36が設けられて、該凹条部36にリブプレート32の他端32bを圧入できるので、レインフォース本体31における前記対向部35とリブプレート32の他端32bとを確実かつ容易に接合することができる。
【0055】
なお、リブプレート32の板面に実施形態1と同様のビードを形成してもよい。また、リブプレート32は長手方向に分割し、同方向に間隔を空けて配設してもよい。この場合、リブプレート32が配設されていない第2縦壁部31bの開口部34は、上側の端縁部と下側の端縁部とが互いに当接するようにして溶接等により接合することが好ましい。また、分割し長手方向に間隙を空けて配設したリブプレートの板厚を配設位置によって変化させることにより、バンパーレインフォースメント30の強度を長手方向の位置によって変化させることもできる。
【0056】
また、レインフォース本体31及びリブプレート32は、アルミニウム合金に限定することなく、鉄、ジュラルミン等のプレス成形可能な他の材料であってもよい。また、バンパーレインフォースメント30は、自動車のフロントバンパーとリヤバンパーのいずれに取り付けられるものであってもよい。
【0057】
このように、実施形態1乃至3に係るバンパーレインフォースメントは、レインフォース本体のプレス成形時に長孔、開口部、凹条部等の加工を容易に行うことができ、製造コスト安価となり、かつレインフォース本体の中空部にリブプレートを配設したので高強度のものとなる。
【符号の説明】
【0058】
1 溶接
10、20、30 バンパーレインフォースメント
11、21、31 バンパーレインフォースメント本体(レインフォース本体)
11a、21a、31a 第1縦壁部
11b、21b、31b 第2縦壁部
11c、21c、31c 上壁部
11d、21d、31d 下壁部
12、22、32 リブプレート
12a、32a 一端
12b、32b 他端
12c、22d、22e 突片
13、23、33 中空部
14、24、34 開口部
15、25、35 対向部
16、26a、26b 長孔
17 ビード
36 凹条部
図1
図2
図3
図4
図5