特許第6695775号(P6695775)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6695775
(24)【登録日】2020年4月24日
(45)【発行日】2020年5月20日
(54)【発明の名称】オーディオモニタ
(51)【国際特許分類】
   H04R 3/00 20060101AFI20200511BHJP
【FI】
   H04R3/00
【請求項の数】2
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-208642(P2016-208642)
(22)【出願日】2016年10月25日
(65)【公開番号】特開2018-74241(P2018-74241A)
(43)【公開日】2018年5月10日
【審査請求日】2018年5月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】599052004
【氏名又は名称】株式会社コスミックエンジニアリング
(74)【代理人】
【識別番号】100086092
【弁理士】
【氏名又は名称】合志 元延
(72)【発明者】
【氏名】金井 正純
【審査官】 冨澤 直樹
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−072704(JP,A)
【文献】 特開平10−091156(JP,A)
【文献】 特開2011−114588(JP,A)
【文献】 特開2013−143728(JP,A)
【文献】 杉本 誠,(株)毎日放送 音声中継車音声卓更新,放送技術 7月号,日本,兼六館出版株式会社,2010年 7月 1日,第63巻、第7号,pp.146-150
【文献】 鈴木 鉄也,高性能マイクプリを内蔵したスタジオの中枢を担うコントローラー,サウンド&レコーディング・マガジン 3月号,日本,株式会社リットーミュージック,2011年 3月 1日,第30巻、第3号,pp.148-151
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04R 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数チャンネルの音声信号を入力する入力部と、入力された全ての上記複数チャンネルの音声入力信号の中から、右出力チャンネルの音声出力信号を、複数選択可能な右出力チャンネル用エンコーダ操作子と、
入力された全ての上記複数チャンネルの音声入力信号の中から、左出力チャンネルの音声出力信号を、複数選択可能な左出力チャンネル用エンコーダ操作子と、
上記右出力チャンネルの音声出力信号を出力する右スピーカと、上記左出力チャンネルの音声出力信号を出力する左スピーカと、を備えており、
左右の該エンコーダ操作子は、左右独立して設けられており、各該入力信号を受けて、各該入力信号を、左右のモニタリング用,該出力信号用に、左右自在に選択可能,選択により左右へ自動的に振り分け可能,そして左右でそれぞれ複数ミキシング可能であり、
該振り分けは、該入力信号を左右共通への振り分け、左右を完全に入替える振り分け、又は、左右いずれか一方は振り分け無しも含み、該ミキシングは、左右へ振り分けられた該入力信号について、左右それぞれ行われ、
該エンコーダ操作子は、ロータリーエンコーダ操作子よりなると共に、各該入力信号の入力チャンネル毎に、それぞれスイッチが付設されており、該スイッチは、各該入力信号の選択セット操作に用いられること、を特徴とするオーディオモニタ。
【請求項2】
請求項1において、該出力信号は、表示手段に向けても供給され、
該表示手段は、各該入力信号の入力チャンネル単位で、選択の有無、および選択有の場合の上記右出力チャンネル用か,上記左出力チャンネル用か,又は上記両出力チャンネル用かの表示を、少なくとも実施すること、を特徴とするオーディオモニタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オーディオモニタに関する。例えば放送局において、オーディオ音質等の確認や分析等に使用される、オーディオモニタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
《オーディオモニタ》
この種のオーディオモニタでは、複数の入力チャンネルINchの音声入力信号に基づき、右出力チャンネルRch用の音声出力信号、および左出力チャンネルLch用の音声出力信号を、それぞれ右左のスピーカ等に供給して、音声再生する。
【0003】
《従来技術》
図4の(1)図は、従来のオーディオモニタ1の回路構成を示す。デジタル放送の音声チャンネルは現在、代表的には最大16チャンネルまで使用することができる。そして、従来のオーディオモニタ1では、右出力チャンネルRchや左出力チャンネルLchに供給可能な音声出力信号は、それぞれ予め決められ限定されていた。
すなわち、従来のオーディオモニタ1では、音声出力信号の元となる入力チャンネルINchが、右用グループと左用グループとに、予めグループ分けされていた。
→そして、グループ分けされた右用グループの入力チャンネルINch中から、→モニタリングしたい何れか1つのチャンネルの音声入力信号が選択され、→右出力チャンネルRchの音声出力信号として、アンプ4を介し右スピーカ2に供給されていた。
同様に、グループ分けされた左用グループの入力チャンネルINch中から、→モニタリングしたい何れか1つのチャンネルの音声入力信号が選択され、→左出力チャンネルLchの音声出力信号として、アンプ4を介し左スピーカ3に供給されていた。
【0004】
なお第1に、図中5は、右出力チャンネルRch用のチャンネルセレクタ、6は、左出力チャンネルLch用のチャンネルセレクタである。そして、それぞれ切換スイッチ7,8を備えており、モニタリングしたい入力チャンネルINchの選択セット操作が行われる。
第2に、図示従来例では、入力チャンネルINchの右左グループ分けについて、8チャンネルずつで奇数ナンバーや偶数ナンバーが用いられているが、これによらず、チャンネル数やナンバーは自在に変更設定可能であった。
第3に、図2の(2)図は、右出力チャンネルRchと左出力チャンネルLchとの組み合わせの一例を示す。勿論、図示例によらず、その他各種のチャンネル組み合わせも可能。例えば1と4や、1と6、1と8等。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
オーディオモニタ1としては、例えば次の特許文献1に示されたものが挙げられる。
【特許文献1】特開2011−166471号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、このような従来技術については、次の課題が問題として指摘されていた。
《第1の問題点》
第1に、従来のオーディオモニタ1では、右左出力チャンネルRch,Lchについて、選択可能な入力チャンネルINchは、右左それぞれグループ分けされ、設定時に予め決められ限定され固定されていた。使用時,操作時において、グループ中の右左入替えはできなかった。
図4の(1)図の図示従来例では、右出力チャンネルRchの音声出力信号は、計8チャンネルの偶数ナンバーグループの入力チャンネルINchの音声入力信号中から、選択されていた。奇数ナンバーグループの入力チャンネルINch中からの選択は、不能であった。
同様に、左出力チャンネルLchの音声出力信号は、計8チャンネルの奇数ナンバーグループの入力チャンネルINchの音声入力信号中から、選択されていた。偶数ナンバーグループの入力チャンネルINch中からの選択は、不能であった。
このように従来のオーディオモニタ1では、全ての(図示例では計16チャンネルの)入力チャンネルINchの音声を、自在に右左に振り分けてモニタリングすることはできなかった。これに対し、全入力チャンネルINchの音声を、右左スピーカ2,3間で適宜入替えてモニタリングしたい、というニーズ,要望が強かった。
【0007】
《第2の問題点》
第2に、従来のオーディオモニタ1では、右左出力チャンネルRch,Lchについて、選択可能な入力チャンネルInchは、それぞれ1つのチャンネルのみとなっていた。複数チャンネルのミキシングはできなかった。
図4の(1)図の例では、右出力チャンネルRchの音声出力信号は、偶数ナンバーの入力チャンネルINchの音声入力信号中から、1チャンネル分のみ選択されていた。複数チャンネル分の選択は、不能であった。
同様に、左出力チャンネルLchの音声出力信号は、奇数ナンバーの入力チャンネルINchの音声入力信号中から、1チャンネル分のみ選択されていた。複数チャンネル分の選択は、不能であった。
このように従来は、右左それぞれ、複数の入力チャンネルINchの音声を、ミキシングすることはできなかった。これに対し、複数の入力チャンネルINchの音声を右左スピーカ2,3から、それぞれ同時にミキシングしてモニタリングしたい、というニーズが強かった。更にその際、ミキシング数を増減したい、という要望も根強かった。
【0008】
《本発明について》
本発明のオーディオモニタは、このような実情に鑑み、上記従来技術の課題を解決すべくなされたものである。
そして本発明は、第1に、全ての入力チャンネルを、右左自在にチャンネル選択可能,振り分け可能であり、第2に、チャンネルミキシングも可能、増減も可能であり、第3に、更に操作性にも優れた、オーディオモニタを提案することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
《各請求項について》
このような課題を解決する本発明の技術的手段は、特許請求の範囲に記載したように、次のとおりである。
請求項1については、次のとおり。
請求項1のオーディオモニタは、複数チャンネルの音声信号を入力する入力部と、入力された全ての上記複数チャンネルの音声入力信号の中から、右出力チャンネルの音声出力信号を、複数選択可能な右出力チャンネル用エンコーダ操作子と、入力された全ての上記複数チャンネルの音声入力信号の中から、左出力チャンネルの音声出力信号を、複数選択可能な左出力チャンネル用エンコーダ操作子と、上記右出力チャンネルの音声出力信号を出力する右スピーカと、上記左出力チャンネルの音声出力信号を出力する左スピーカと、を備えている。
そして、左右の該エンコーダ操作子は、左右独立して設けられており、各該入力信号を受けて、各該入力信号を、左右のモニタリング用,該出力信号用に、左右自在に選択可能,選択により左右へ自動的に振り分け可能,そして左右でそれぞれ複数ミキシング可能である。
該振り分けは、該入力信号を左右共通への振り分け、左右を完全に入替える振り分け、又は、左右いずれか一方は振り分け無しも含む。該ミキシングは、左右へ振り分けられた該入力信号について、左右それぞれ行われる。
そして該エンコーダ操作子は、ロータリーエンコーダ操作子よりなると共に、各該入力信号の入力チャンネル毎に、それぞれスイッチが付設されている。該スイッチは、各該入力信号の選択セット操作に用いられること、を特徴とする。
【0010】
請求項2については、次のとおり。
請求項2のオーディオモニタでは、請求項1において、該出力信号は、表示手段に向けても供給される。そして該表示手段は、各該入力信号の入力チャンネル単位で、選択の有無、および選択有の場合の上記右出力チャンネル用か,上記左出力チャンネル用か,又は上記両出力チャンネル用かの表示を、少なくとも実施すること、を特徴とする。
【0011】
《作用等について》
本発明は、このような手段よりなるので、次のようになる。
(1)まず、複数の入力チャンネルの音声入力信号が、入力部から入力される。
(2)そして、右左のエンコーダ操作子、代表的にはロータリーエンコーダ操作子にて、入力された複数の入力チャンネルの音声入力信号の中から、右左出力チャンネルの音声出力信号が、右左のモニタリング用,出力信号用に選択される。複数選択も可能である。すなわち、操作ツマミ等により、入力チャンネルの選択セット操作が行われ、選択されたチャンネルのスイッチがオンされる。
(3)このような選択により、入力チャンネルの入力信号は、右左出力チャンネルの出力信号用として、右左に自動的に振り分けられる。そして、容易に組み合わされミキシングされる。
この振り分けは、入力信号を右左共通への振り分け、右左を完全に入替える振り分け、又は、右左いずれか一方は振り分け無し、も含む。又、ミキシングは、右左へ振り分けられた入力信号について、右左それぞれ行われる。
(4)このようなモニタリングのチャンネル選択,右左振り分け,ミキシング状況は、表示手段にて表示される。
(5)そして、このように生成された出力信号が、右左出力チャンネルにより右左スピーカに供給され、もってモニタリングに供される。
(6)さて、本発明のオーディオモニタは、上述したように、全入力チャンネルの入力信号を、右左出力チャンネルの出力信号用として選択可能,右左振り分け可能である等、モニタリング性能に優れている。
(7)更に、選択され振り分けられた各入力信号は、右左それぞれ、出力信号用としてミキシングされ同時にモニタリングすることができ、この面からもモニタリング性能に優れている。
(8)そこで、本発明に係るオーディオモニタは、次の効果を発揮する。
【発明の効果】
【0012】
《第1の効果》
第1に、全ての入力チャンネルを、右左自在にチャンネル選択可能,振り分け可能である。
本発明のオーディオモニタでは、全入力チャンネルの各音声入力信号を、右左出力チャンネルの音声出力信号用として、自在にチャンネル選択可能であり、右左へ自在に振り分けて音声モニタリング可能である。
前述したこの種従来技術のように、右左出力チャンネル用に選択,振り分け可能な入力チャンネルが、予め決められ限定され固定されており、全ての入力チャンネルに及ばない事態は解消される。
本発明によると、全入力チャンネルの各音声を自由にチャンネル選択して、右左スピーカから、音声モニタリングすることが出来る。右左を入替えてのモニタリングも、適宜容易に出来る。
もって、従来は不可能とされていたニーズ,要望に応えることが可能となり、モニタリング性能が大きく向上する。
【0013】
《第2の効果》
第2に、チャンネルミキシングが可能、増減も可能である。
本発明のオーディオモニタでは、選択され振り分けられた各入力チャンネルの音声入力信号は、右出力チャンネルおよび左出力チャンネルの音声出力信号用として、チャンネルミキシングされる。
前述したこの種従来技術のように、右左出力チャンネル用として選択され振り分けられる入力チャンネルが、それぞれ、1つのチャンネルのみとされていた事態は、解消される。複数チャンネルのミキシングが不能とされていた事態は、解消される。
本発明によると、全入力チャンネルの複数音声を、同時に組合わせ混合しミキシングして、同時に右左スピーカの再生手段から音声モニタリングすることが出来る。そして、ミキシング数の増減も適宜容易に出来る等、従来不可能とされていたニーズ,要望にも応えることが可能となり、この面からもモニタリング性能が大きく向上する。
【0014】
《第3の効果》
第3に、操作性にも優れている。
本発明のオーディオモニタでは、モニタリングのチャンネル選択状況,右左振り分け状況,ミキシング状況等の情報が、表示手段にて表示される。
もって、モニタリング状況が常時一目で認識,確認出来るので、誤操作なく迅速にモニタリング出来る等、操作性にも優れている。
このように、この種従来技術に存した課題がすべて解決される等、本発明の発揮する効果は、顕著にして大なるものがある。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明に係るオーディオモニタについて、発明を実施するための形態の説明に供し、回路の構成ブロック図である。
図2】同発明を実施するための形態の説明に供し、全体の斜視説明図である。
図3】同発明を実施するための形態の説明に供し、(1)図は、ロータリーエンコーダ操作子用のツマミの斜視図、(2)図は、液晶ディスプレイの正面図である。
図4】従来例に係るオーディオモニタの説明に供し、(1)図は、回路の構成ブロック図、(2)図は、チャンネル組み合わせの一例の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を実施するための形態について、図面を参照して詳細に説明する。
《オーディオモニタ1,9について》
まず、オーディオモニタ1,9について、図1の本発明および図4の(1)図の従来例を参照して、一般的に説明しておく。
オーディオモニタ1,9は、複数の入力チャンネルINchの音声入力信号に基づき、右出力チャンネルRchの音声出力信号および左出力チャンネルLchの音声出力信号を、それぞれ右左の再生手段10に供給して音声再生する。
すなわちオーディオモニタ1,9は、例えば放送局の調整室において、対象オーディオの音質等の確認,監視,チェック,分析,指示等に使用される。
デジタル放送の音声チャンネルは現在、代表的には最大16チャンネルまで使用することができ、図示例では16チャンネル使用となっているが、勿論8チャンネル使用の場合もあり、可能性としては32チャンネルや64チャンネルも考えられる。
そして、このような複数・多数の入力チャンネルINchの音声入力信号(デジタル又はアナログ信号)に基づき、従来例では右左用のチャンネルセレクタ5,6により、本発明では右左用のロータリーエンコーダ操作子11,12により、モニタリングしたい音声入力信号が選択される。
もって、右左の出力チャンネルRch,Lchの音声出力信号(デジタルやアナログ信号)が、それぞれアンプ4を介し増幅されて、右左スピーカ2,3やヘッドホン等の再生手段10に供給されて、音声再生される。
オーディオモニタ1,9については、以上のとおり。
【0017】
《本発明の概要》
以下、本発明について、図1図3を参照して説明する。まず、本発明の概要については、次のとおり。
本発明のオーディオモニタ9では、右出力チャンネルRch用のロータリーエンコーダ11操作子等のエンコーダ操作子、および、左出力チャンネルLch用のロータリーエンコーダ操作子12等のエンコーダ操作子は、入力された複数の入力チャンネルINchの音声入力信号を受けて、モニタリング用,音声出力信号用に、自在に選択可能,右左振り分け可能,そしてミキシング可能である。
本発明の概要については、以上のとおり。以下、このような本発明について、更に詳述する。
【0018】
《チャンネル選択について》
まず、チャンネル選択について、図1等を参照して説明する。
このオーディオモニタ9では、右左のエンコーダ操作子が採用されている。右左のエンコーダ操作子としては、ロータリーエンコーダ操作子11,12が代表的に使用される(以下、エンコーダ操作子として、ロータリーエンコーダ操作子11,12について説明する)。
そして、各入力信号の入力チャンネルINch毎に、それぞれスイッチ13,14が付設されており、スイッチ13,14は、各入力信号の選択セット操作に用いられる。
これらについて詳述する。右出力チャンネルRch用のロータリーエンコーダ操作子11は、全入力チャンネルINch(図示例では1〜16チャンネル)の各入力信号を、その入力部11’を介して受ける。
もってまず、全入力チャンネルINchの入力信号が、右出力チャンネルRchでのモニタリング用,出力信号用として、選択可能となる。
同様に、左出力チャンネルLch用のロータリーエンコーダ操作子12は、全入力チャンネルINch(1〜16チャンネル)の各入力信号を、その入力部12’を介して受ける。もってまず、全入力チャンネルINchの入力信号が、左出力チャンネルLchでのモニタリング用,出力信号用として、選択可能となる。
【0019】
この選択セット操作は、スイッチ部16,17によって実施される。すなわち、右左のロータリーエンコーダ操作子11,12には、それぞれ、スイッチ部16,17が付設されている。
そして、この右左のスイッチ部16,17には、各入力信号の入力チャンネルINch毎に、スイッチ13,14(図示例ではそれぞれ16個)が設けられている。
そこで、モニタリングしたい入力チャンネルINchのスイッチ13,14を、スイッチオンすることにより、その入力チャンネルINchの入力信号が、右左の出力チャンネルRch,Lchの出力信号用として、選択される。すなわち、チャンネル選択有にセット操作され、その旨の出力信号が、選択される。
これに対し選択を取消す場合は、そのオンのスイッチ13,14を、スイッチオフすることにより、チャンネル選択無に切換えセット操作される。
チャンネル選択については、以上のとおり。
【0020】
《チャンネル振り分けやチャンネルミキシングについて》
次に、チャンネル振り分け,チャンネルミキシングについて、図1等を参照して説明する。
このオーディオモニタ9では、上述したように、右左のロータリーエンコーダ操作子11,12と、付設されたスイッチ13,14との組み合わせにより、チャンネル選択が行われる。すなわち、全入力チャンネルINchの各入力信号を受け、選択セット操作により、モニタリング用,出力信号用に選択される。
そして、このような右左のロータリーエンコーダ操作子11,12とスイッチ13,14による選択により、全入力チャンネル(図示例では1〜16チャンネル)の各入力信号が、自動的に右左に振り分けられる。選択により、右左出力チャンネルRch,Lchの出力信号用として、振り分けられる。
振り分けの各例については、次のとおり。まず例えば、入力チャンネルINchの入力信号を、右左両出力チャンネルRch,Lchの出力信号用として、両方共通に振り分けられこともできる。例えば、途中で右左を完全に入替える振り分けも可能である。又例えば、いずれか一方の右左出力チャンネルRch,Lchについて、振り分け無しも可能である。
このオーディオモニタ9では、このように右左自在に、まずチャンネル振り分け可能である。
【0021】
そして、チャンネルミキシングが可能である。右左に振り分けられた各入力信号は、それぞれ、ミキシングされた出力信号とされて、右左出力チャンネルRch,Lchに供給される。
すなわち、全入力チャンネルINchの各入力信号は、右左のロータリーエンコーダ操作子11,12とスイッチ13,14との組み合わせにより、束に組み合わされ混合化,複合化,ミックス化されたミキシング出力信号とされて、右左出力チャンネルRch,Lchへと供給される。
このオーディオモニタ9では、このように右左それぞれ、全入力チャンネルINch(図示例では1〜16チャンネル)について、モニタリング用,出力信号用に選択,振り分け,そしてミキシング可能となっている。
チャンネル振り分け,チャンネルミキシングについては、以上のとおり。
【0022】
《フロントパネル18の概略》
次に、図2図3等により、フロンパネル18の概略について、説明する。
オーディオモニタ9のユニットケース19のフロントパネル18には、右左スピーカ2,3や、右左操作ツマミ20,21や、右左ボリューム調整ツマミ22,23や、中央の液晶ディスプレイ15、等が配されている。
液晶ディスプレイ15は、情報表示手段の代表例であり、ロータリーエンコーダ操作子11,12からの出力信号は、グラフィックプロセッサ(画像描画処理器)26を介し、この液晶ディスプレイ15に向けても供給される。
そして液晶ディスプレイ15は、各入力信号の入力チャンネルINch単位で、選択の有無、および選択有の場合の右出力チャンネルRch用か,左出力チャンネルLch用か,又は右左両出力チャンネルRch,Lch用かの表示を、少なくとも実施する。
【0023】
液晶ディスプレイLCD15は、下欄に、各入力信号の入力チャンネルINchの表示27(図示例では1〜16チャンネル)が、配されている。
上欄には、各入力チャンネル表示27毎に、右出力チャンネルRchへの選択表示28、左出力チャンネルLchへの選択表示29、右左両出力チャンネルRch,Lchへの選択表示30等が、絵表示点灯可能となっている。無表示は、選択無の状態を示す。
右左操作ツマミ20,21は、チャンネル表示用、および、右左のロータリーエンコーダ操作子11,12や各スイッチ13,14の操作用である。
フロントパネル18の概略については、以上のとおり。
【0024】
《フロンパネル18の操作について》
次に、フロントパネル18の操作等について、図2図3等を参照して説明する。
まず、右操作ツマミ20や左操作ツマミ21を回すと、全入力信号の入力チャンネルINch(図示例で1〜16チャンネル)が、液晶ディスプレイ15のチャンネル表示27に、ランプ点灯により順次表示される。
このように、まず選択用のチャンネル表示27が、順次実施されるが、このチャンネル表示27は、ロータリーエンコーダ操作子11,12の入力部11’,12’からの各入力信号に基づいて、行われる。
そして、モニタリングしたい入力チャンネルINchが、点灯表示された時点で、右操作ツマミ20や左操作ツマミ21を押下すると、押下された該入力チャンネルINchの入力信号が、右左の出力チャンネルRch,Lchの出力信号用に、選択セット操作される。
【0025】
このような右操作ツマミ20や左操作ツマミ21の押下により、選択セット操作された該入力チャンネルINchのスイッチ13,14が、連動してスイッチオンされる。右操作ツマミ20や左操作ツマミ21の軸、右左ロータリーエンコーダ操作子11、12の軸、付設された右左の各スイッチ13,14等は、右左それぞれ連動用に接続されている。
このようにして、次々とチャンネルの選択セット操作が行われ、対応したスイッチ13,14がスイッチオンされて行くことにより、ロータリーエンコーダ操作子11,12にてミキシングされた各出力信号が、右左の出力チャンネルRch,Lchに供給される。
これと共に液晶ディスプレイ15では、入力チャンネル表示27単位で、選択表示28,29,30が実施される。選択の有無,右出力チャンネルRch用選択か,左出力チャンネルLch用選択か、右左両出力チャンネルRch,Lch用選択か等が表示される。
【0026】
なお、チャンネル選択を取消す場合については、次のとおり。右操作ツマミ20や左操作ツマミ21を回し、モニタリング選択を取消したい入力チャンネルINchが点灯表示された時点で、右操作ツマミ20や左操作ツマミ21を押下すると(2回目の押下であり、選択セット操作時が1回目の押下)、選択セット取消操作となる。
もって、該入力チャンネルINchに対応したスイッチ13又は14が、連動してオフに切換わる。これと共に、液晶ディスプレイ15において、対応するチャンネル表示27の選択表示28,29,30が取消されて消灯される。
フロントパネル18の操作等については、以上のとおり。
【0027】
《作用等》
本発明のオーディオモニタ9は、以上説明したように構成されている。そこで以下のようになる。
(1)まず、各種の入力チャンネルINchの音声入力信号が、右左独立して設けられたロータリーエンコーダ操作子11,12に入力される。
すなわち、複数(例えば、アナウンス,音楽,所定室,その他)の音声信号源から出力された各入力チャンネルINchの音声入力信号が、右出力チャンネルRch用のロータリーエンコーダ操作子11と、左出力チャンネルLch用のロータリーエンコーダ操作子12とに、それぞれの入力部11’,12’を介し、入力される(図1を参照)。
図示例では、1〜16チャンネルのデジタル入力信号のHD−SD1,SD−SD1エンベデット信号が入力される。
【0028】
これと共に各入力信号は、右左の入力部11’,12’から右左それぞれ、フロントパネル18の液晶ディスプレイ15に入力される(図1を参照)。
そして、右左操作ツマミ20,21を回すことにより、各入力信号の入力チャンネルINch(図示例では1〜16チャンネル)が、ランプ点灯等により順次表示される。このようにして、選択用の入力チャンネル表示が、実施される(図2図3の(2)図を、参照)。
【0029】
(2)もって、モニタリングしたい音声信号源の入力チャンネルINchが表示された時点で、右左操作ツマミ20,21を押下することにより(図3の(1)図を参照)、入力チャンネルINchの選択セット操作が実施される。
そして、このようなチャンネルの選択セット操作に連動して、選択された該入力チャンネルINchに対応したスイッチ13,14がオンされ、右左のロータリーエンコーダ操作子11,12にて、全入力チャンネルINchの入力信号の中から、右左の出力チャンネルの出力信号が、右左のモニタリング用,出力信号用に選択され、複数選択も可能である(図1を参照)。
【0030】
(3)このように、全入力チャンネルINchの各入力信号は、右左のロータリーエンコーダ操作子11,12とスイッチ13,14との組み合わせにより、選択される。そして、このような選択により、右左の出力チャンネルRch,Lchの出力信号用として、右左自在に自動的に振り分けられる(図1を参照)。
これと共に、出力信号用に右左に振り分けられた各入力信号は、ロータリーエンコーダ操作子11,12にて、右左でそれぞれ容易にミキシングされる。右左でそれぞれ1組に組み合わされ、混合化され複合化される。
そして、この振り分けは、入力信号を右左共通への振り分け、右左を完全に入替える振り分け、又は、右左いずれか一方は振り分け無しも含む。又、ミキシングは、右左へ振り分けられた入力信号について、右左それぞれ行われる。
【0031】
(4)ところで、このようなモニタリングのチャンネル選択状況,右左振り分け状況,ミキシング状況等の情報が、表示手段の液晶ディスプレイ15において、選択表示28,29,30に(図3の(2)図を参照)表示される。
もって例えば、どの入力チャンネルINchが、右左どちらに選択されミキシングされているか等、モニタリング状態が一目で分かるように表示されており、容易に確認,認識される。
【0032】
(5)さて、このようにして変換生成された右左両出力信号が、右左出力チャンネルRch,Lchにより、右左スピーカ2,3の再生手段10に供給される。そして、モニタリング用に音声再生される(図1を参照)。
もって、対象オーディオの音質等の確認,監視,チェック,分析,指示等に供される。
【0033】
(6)さて、本発明のオーディオモニタ9では、全ての入力チャンネルINchの各入力信号を、ロータリーエンコーダ操作子11,12とスイッチ13,14にてチャンネル選択する。
そこで、右左出力チャンネルRch,Lchの出力信号用として、全ての入力チャンネルINchの各入力信号を、自在に選択して音声モニタリング可能そして右左へ自在に振り分けて音声モニタリング可能であり、右左入替も容易である。もって、これらによりモニタリング性能が向上する。
【0034】
(7)更に、このオーディオモニタ9では、右左のロータリーエンコーダ操作子11,12とスイッチ13,14のオンオフにて選択され,振り分けられた各入力信号は、右左それぞれ出力信号用にミキシングされる。
全入力チャンネルの複数の音声を組み合わせて混合化,複合化し、チャンネルミキシングされたものとして、右左それぞれ同時に音声モニタリングすることが可能となる。右左で自在かつ同時に、多チャンネルをモニタリングすることができる。もって、この面からもモニタリング性能が向上する。
作用等については、以上のとおり。
【符号の説明】
【0035】
1 オーディオモニタ(従来例)
2 右スピーカ
3 左スピーカ
4 アンプ
5 チャンネルセレクタ
6 チャンネルセレクタ
7 切換スイッチ
8 切換スイッチ
9 オーディオモニタ(本発明)
10 再生手段
11 ロータリーエンコーダ操作子(右出力チャンネル用)
11’ 入力部
12 ロータリーエンコーダ操作子(左出力チャンネル用)
12’ 入力部
13 スイッチ
14 スイッチ
15 液晶ディスプレイ(表示手段)
16 スイッチ部
17 スイッチ部
18 フロントパネル
19 ユニットケース
20 右操作ツマミ
21 左操作ツマミ
22 右ボリュームツマミ
23 左ボリュームツマミ
26 グラフィックプロセッサ
27 入力信号のチャンネル表示
28 右出力チャンネル選択表示
29 左出力チャンネル選択表示
30 両出力チャンネル選択表示
INch 入力チャンネル
Rch 右出力チャンネル
Lch 左出力チャンネル

図1
図2
図3
図4