(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記開閉操作部が設けられた部位に対して開口方向と反対側に、前記開閉操作部を支持する受け部が設けられていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の配線カバー。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の什器では、配線カバーを取り付けた状態において、配線カバーの上面を天板面と同じ平面として使用可能とするためには、配線カバーの側面とこれに相対して配置される天板の開口部の側面との間の隙間、および配線カバーの上面と天板上面との間の段差、つまり配線カバーの周囲の隙間や段差を小さくすることが求められていた。
一方で、上述した配線カバーの周囲の間隙や段差を小さく設定してしまうと、配線カバーを開閉する操作時において手掛部分が小さくなり、開閉操作がし難くなるという問題があった。そのため、配線カバーと天板面との平面性と開閉操作性とをバランスよく達成できることが求められており、その点で改善の余地があった。
【0006】
本発明は、上述する問題点に鑑みてなされたもので、開口部との間隙を小さくすることで作業面として使い勝手が良好となるうえ、開閉操作性を向上させることができる配線カバー、什器、及び天板付き什器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明に係る配線カバーは、配線を挿通させる開口部に開閉可能に設けられた配線カバーであって、前記開口部に隙間をあけて配置されるカバー本体と、前記カバー本体に連設され前記隙間を閉塞するとともに挿通される配線に応じて弾性変形可能な弾性閉塞部と、を備え、前記弾性閉塞部には、内方に凹状に窪んだ開閉操作部が形成されていることを特徴としている。
【0008】
また、本発明に係る什器は、上述した配線カバーを前記開口部に対して開閉可能に設けたことを特徴としている。
【0009】
また、本発明に係る天板付き什器は、上述した配線カバーが天板に設けられた天板付き什器であって、前記配線カバーは、前記天板に形成される前記開口部に対して開閉可能に設けられていることを特徴としている。
【0010】
本発明では、例えば什器の作業面等に形成された配線を挿通させる開口部が配線カバーで閉塞された状態において、カバー本体と開口部との間の隙間を覆うように弾性閉塞部が配置されているので、カバー本体と開口部との間の隙間や段差を小さく抑えることができ、平面性をもった作業面としての使い勝手を向上させることができる。さらに、カバー本体に連設される弾性閉塞部が弾性部材から形成され、その弾性閉塞部の一部を弾性変形させることが可能となるので、弾性変形させた弾性閉塞部の一部から配線を挿通させることができる。つまり、配線の挿通部分だけ部分的に弾性閉塞部を弾性変形させた状態となり、その挿通部分以外の部分は弾性閉塞部で閉塞された状態を維持できるので、無駄な隙間や段差が生じることを抑えることができる。そのため、外観が良好となり、意匠性を向上することができる。
【0011】
また、本発明では、弾性閉塞部の表面の一部に凹状に形成される開閉操作部が設けられ、この開閉操作部の凹状部分に指を掛けて配線カバーの開閉操作を容易に行うことが可能となり、開閉操作性が良好となる。そのため、配線カバーを開閉して配線の通線作業を容易に行うことができる。
【0012】
また、本発明に係る配線カバーは、前記開閉操作部は、該開閉操作部の少なくとも一部を覆う指掛け部に連設されていることが好ましい。
【0013】
この場合には、指掛け部と開閉操作部との間に空間を設けることができ、この空間に指を案内させることで指掛け部に指を掛け易くなることから、配線カバーの開閉操作をより容易に行うことができる。
【0014】
また、本発明に係る配線カバーは、前記開閉操作部は、前記カバー本体に接続されていることを特徴としていてもよい。
【0015】
この場合には、凹状の開閉操作部に挿入させた指をカバー本体の端縁に引っ掛けることが可能となるため、開閉操作性をより良好なものとすることができる。
【0016】
また、本発明に係る配線カバーは、前記開口部に沿って前記弾性閉塞部の複数個所に設けられていてもよい。
【0017】
このような配線カバーによれば、弾性閉塞部の複数箇所に設けられる開閉操作部のうち所望の開閉操作部を使用して配線カバーの開閉操作を行うことができることから、開閉操作性をより良好なものとすることができる。
【0018】
また、本発明に係る配線カバーは、前記開閉操作部は、前記弾性閉塞部における前記開口部に沿う一方向の両端部に設けられていることを特徴としていてもよい。
【0019】
この場合には、開閉操作部が弾性閉塞部の両端部に配置されているので、開閉操作部の位置と配線の挿通部分が一致することが少なくなり、所望の位置に配線の挿通部分を設定することができる。
また、本発明では、弾性閉塞部の両端部に設けられた開閉操作部を持って開閉操作を行うことによって、よりスムーズに開閉操作を行うことができる。
【0020】
また、本発明に係る配線カバーは、前記開閉操作部が設けられた部位に対して開口方向と反対側に、前記開閉操作部を支持する受け部が設けられていることが好ましい。
【0021】
この場合には、開閉操作部に指を掛けたときに、開閉操作部が開口方向と反対側に押し込まれてしまうことを防ぐことができ、指掛けを確実に行うことができ、開閉操作性をより良好なものとすることができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明の配線カバー、什器、及び天板付き什器によれば、開口部との間隙を小さくすることで作業面として使い勝手が良好となるうえ、開閉操作性を向上させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施の形態による配線カバー、什器、及び天板付き什器について、図面に基づいて説明する。
【0025】
図1に示す本実施の形態によるデスク1(什器、天板付き什器)は、コンセント類を什器内に収容可能で、配線作業が容易に行うことができ、さらに什器内に収容したコンセントから接続される配線16(
図3参照)の取り出し部分を簡単な構造としたものである。
デスク1は、天板11と、床面F上に互いに間隔をあけて配置され、天板11を昇降可能に支持し、上下方向Dvに伸縮可能に構成された一対の天板支持脚12,12と、天板11の上面11aに開閉可能に設けられた配線カバー装置10と、を有している。
また、デスク1は、天板11の後端を室内の壁面やパーテーション等の壁面17(
図2参照)に当接させた状態で配置されている。
【0026】
ここで、本実施の形態では、床面F上に床面Fに対して平行な一方向に配置される一対の天板支持脚12,12の離間方向を幅方向Dhといい、上方から見た平面視で幅方向Dhに直交する方向を前後方向Dfという。また、デスク1の前後方向Dfにおいて、椅子に座ってデスク1に向かう側を前方、前側といい、その反対側を後方、後側という。
【0027】
天板支持脚12は、下部筒状体12Aと、上部筒状体12Bと、を有している。下部筒状体12A及び上部筒状体12Bは、それぞれ上下方向Dvに延びる四角形筒状に形成されている。下部筒状体12Aの内部に上部筒状体12Bが収納されている。天板支持脚12は、モータ等の駆動機構(不図示)を備えており、この駆動機構により下部筒状体12Aに対して上部筒状体12Bをそれぞれ上下方向Dvに移動させることで、天板支持脚12を上下方向Dvに伸縮させることができる。
【0028】
天板支持脚12の下端部には、下部支持体13が設けられている。下部支持体13は、床面F上に配置され、床面Fに平行で前方及び後方のそれぞれに延びている。下部支持体13の下面には、下部支持体13の高さ及びレベルの調整を行うアジャスター13aが設けられている。天板支持脚12は、下部支持体13において中央部分からやや後方側に配置されている。天板支持脚12の下部筒状体12Aは、下部支持体13の下面側からボルト等により固定されている。
天板支持脚12の上端部には、天板11を下方から支持する上部支持体14が設けられている。上部支持体14は、上部筒状体12Bの上端部に固定され、前後方向Dfに延びている。天板11は、上部支持体14の下方からボルト等により固定されている。
【0029】
天板11における幅方向Dhの中央部の後端には、後方に向けて開口する開口部15が形成されている。開口部15によって形成される開口は、前後方向Dfに比べて幅方向Dhが長い開口をなしている。この開口部15には配線カバー装置10が嵌め込まれ、開口部15によって形成される開口が後述する配線カバー2によって覆われた状態で配置されている。すなわち、天板11の下側に設けられ、配線収容部を構成するトレー4に例えばコンセントを配置して、このコンセントに接続した配線16を開口部15から天板11の上面11aに取り出し、天板11上で使用する図示しないOA機器等への配線が可能となっている。
【0030】
図2乃至
図4に示すように、配線カバー装置10は、配線カバー2と、配線カバー2を回転可能、かつ前後方向Dfにスライド自在に支持する枠部材3と、開口部15の下方に配置されたトレー4と、を有している。
【0031】
配線カバー2は、
図4及び
図5に示すように、天板11の後端部の開口部15を開閉可能に塞ぐものであり、カバー本体20と、蓋本体50と、弾性閉塞カバー60(弾性閉塞部)と、を備えている。配線カバー2は、蓋本体50の少なくとも上面を覆うようにカバー本体20が外嵌され、カバー本体20及び蓋本体50の前端部から前方に向けて突出する弾性閉塞カバー60が装着された構成となっている。
【0032】
図6乃至
図9に示すように、配線カバー2のカバー本体20は、カバー天面板21と、蓋本体50の後端部を覆うカバー後面板22と、カバー天面板21の前端下面に設けられるカバー係合片23と、を有している。
カバー天面板21は、配線カバー2で前記空間を閉塞した状態でデスク1の天板11の上面11aに連続した面を形成する。カバー後面板22は、配線カバー2で前記空間を閉塞した状態(さらに、前方に向けてスライドしていない状態)でデスク1の天板11の後端に位置するように配置される。
また、本実施の形態では、カバー本体20の部材としてスチール等の剛性を有する金属製の部材が採用されている。カバー後面板22は、蓋本体50の後端下面を覆う後方係止壁24がカバー後面板22の下端から前方に延びている。後方係止壁24には、蓋本体50の後方下面に形成される爪部が係止される係止穴24aが形成されている。
【0033】
図10に示すように、カバー係合片23は、配線カバー2を閉塞した状態において、カバー天面板21の下面から下方に延びる縦壁231と、縦壁231の下端から前方に延び先端に上向きのカバー爪部233を形成した張出し壁232と、を有している。カバー係合片23は、カバー天面板21の幅方向Dhの全体にわたって設けられている。カバー係合片23は、カバー天面板21の前端が下面側に向けて折り返して形成された折返し部21aと、カバー係合片23の縦壁231の上端から前方に延びる延出部234と、が突き合わせ溶接により固着されている。
【0034】
図11及び
図12に示すように、蓋本体50は、外嵌されたカバー本体20のカバー天面板21の下方に平行に配置される底壁51と、底壁51の後端から下方に延びる後壁部52と、底壁51の幅方向Dhの両側に位置する側壁部53,53と、一対の側壁部53の前端部同士を連結する蓋係合部54と、側壁部53の後端側に設けられる回動被支持部55と、を有している。
底壁51は、上面から立ち上がり、幅方向Dhに沿って延びる複数のリブ51a,51aが設けられ、カバー本体20のカバー天面板21との間に間隔をあけて配置される。後壁部52と両側壁部53との上端は、蓋本体50に外嵌されたカバー本体20のカバー天面板21の下面に当接される(
図6及び
図8参照)。
【0035】
図10に示すように、蓋係合部54は、幅方向Dhに延び互いに前後方向Dfに離間して設けられる前リブ541、後リブ542と、前リブ541及び後リブ542の上端同士を全長にわたって連結する連結壁543と、を有している。
後リブ542は、底壁51の前端との間に上下方向Dvに所定間隔dをあけて配置されている。この所定間隔dは、カバー本体20におけるカバー係合片23のカバー爪部233を有する張出し壁232が進入でき、かつ縦壁231の厚さ寸法に略一致する寸法に設定されている。
【0036】
蓋係合部54における前リブ541、後リブ542、及び連結壁543によって囲まれて形成される嵌合凹部54Aには、弾性閉塞カバー60の後端部分(後述する嵌合凸部61A)が嵌め込まれることで、弾性閉塞カバー60が蓋本体50に取り付けられる。
そして、嵌合凹部54Aには、後述する弾性閉塞カバー60の装着基部61に形成される嵌合凸部61Aが嵌合される。なお、嵌合凸部61Aの寸法は、前リブ541の下端541bとカバー本体20の張出し壁232の張出先端232aとの離間寸法よりも大きくなるように設定されている。
【0037】
また、蓋係合部54には、カバー本体20のカバー係合片23が外側から嵌め込まれるようになっている。具体的には、蓋係合部54にカバー係合片23が外嵌した状態において、連結壁543にカバー係合片23の延出部234が上方から当接するとともに、後リブ542にカバー係合片23の縦壁231が後方から当接し、後リブ542の下端にカバー係合片23のカバー爪部233が係止する。このとき、カバー爪部233を有する張出し壁232は、弾性閉塞カバー60の後端部分(後述する装着基部61の一部)によって下方から挟み込まれており、カバー爪部233が後リブ542の下端から外れにくくなっている。
【0038】
このようにカバー係合片23が蓋係合部54を外側から嵌め込むことで、カバー本体20が蓋本体50に取り付けられる。そして、弾性閉塞カバー60の後端部分を嵌合させる蓋係合部54がカバー本体20によって外周側から挟み込まれることで、弾性閉塞カバー60が蓋本体50の前端部に強固に取り付けられる。このとき、弾性閉塞カバー60の後端部分は、前リブ541と後リブ542とによって前後方向Dfに挟み込まれ、前後方向Dfの移動が規制され、かつ連結壁543と張出し壁232とによって上下方向Dvに挟み込まれ、上下方向Dvの移動が規制された状態で保持されている。
【0039】
また、前リブ541の前下端には、幅方向Dhに延びる段部541aが形成されている。
なお、蓋本体50に取り付けられるカバー本体20は、カバー天面板21の前端部21bが、蓋本体50の蓋係合部54の前リブ541よりも前方に突出している。
【0040】
図11に示すように、側壁部53に設けられる回動被支持部55は、幅方向Dhに沿う方向を中心(以下、回動軸Oという)とした円形状の第1凹陥部55Aと、この第1凹陥部55Aより小さな円形状で同軸に配置される第2凹陥部55Bと、を有している。第2凹陥部55Bの底部には、全周にわたって拡径された環状係止溝55aが形成されている。
【0041】
図12乃至
図15に示すように、回動支持部材70は、枠部材3に前後方向Dfにスライド自在に支持され、配線カバー2を回動軸O回りに回動させつつ、前後方向Dfに移動させるための部材である。具体的に回動支持部材70は、摺動部71と、摺動部71の一端面に設けられた回動部72と、を有している。
摺動部71は、前後方向Dfに長い板状をなし、上面及び下面のそれぞれに前後方向Dfに延びる凸条73が形成されている。凸条73は、後述する枠部材3のスライド凹溝35に形成される案内溝35cに嵌め込まれ、案内溝35cに沿って前後方向Dfに案内される。
【0042】
回動部72は、幅方向Dhに沿う方向を中心(上述した回動軸O)とした円板状の回転支持部72Aと、この回転支持部72Aより小径で同軸に突出する突出筒72Bと、を有している。回転支持部72Aは、回動被支持部55の第1凹陥部55Aに回動軸O回りに回転自在に嵌合される。突出筒72Bは、突出先端における径方向に対向する位置に径方向外側に付勢する一対の係止爪74,74が設けられ、回動被支持部55の第2凹陥部55Bに回動軸O回りに回転自在に嵌合される。突出筒72Bの係止爪74,74は、突出筒72Bが第2凹陥部55Bに嵌合した状態で、第2凹陥部55Bに形成される環状係止溝55aに係合される。つまり、一対の係止爪74,74は、環状係止溝55a内で回動軸O回りに回転可能となっている。
これにより、回動被支持部55を備えた蓋本体50(配線カバー2)と回動支持部材70とは相対的に回動軸O回りに回転することになり、回動支持部材70は枠部材3に対してスライド可能で、且つ非回転の状態で支持されるため、配線カバー2が回動する。
【0043】
弾性閉塞カバー60は、
図10、
図16、及び
図17に示すように、全体がゴム等の弾性部材から形成され、配線カバー2がデスク1の開口部15(
図2及び
図3参照)を閉塞した状態において、カバー本体20の前端部と開口部15の前端面との間の隙間を覆うように配置されている。
弾性閉塞カバー60は、幅方向Dhに延びるとともに後端側で蓋本体50の蓋係合部54に係合される装着基部61と、装着基部61の前端部61aから前方に突出してブラシ状に形成される複数の弾性腕材62,62,…と、装着基部61の幅方向Dhの両端部分のそれぞれの前端部61aに連設する開閉操作部63と、を備えている。
【0044】
装着基部61は、基部本体611と、基部本体611の上面に形成され蓋本体50の蓋係合部54の前リブ541に係合する上凹溝612(第一凹部)と、基部本体611の後端に形成されカバー本体20の張出し壁232に係合する後凹溝613(第二凹部)と、基部本体611の幅方向Dhの両端部のそれぞれにおける後端から下方に延びる垂下係止片614と、を有している(
図8参照)。そして、装着基部61における上凹溝612と後凹溝613との間に位置には、蓋係合部54の嵌合凹部54Aの内側に嵌め込まれる嵌合凸部61Aが形成されている。
【0045】
上凹溝612は、蓋本体50の蓋係合部54の前リブ541に形成された段部541aに係止する段差部612aが形成されている。そして、上凹溝612が蓋本体50の蓋係合部54の前リブ541に係合した状態で、上凹溝612の凹底が前リブ541の下端に当接している。
後凹溝613の溝幅は、カバー本体20の張出し壁232の厚みに相当する寸法に設定されている。後凹溝613は、後リブ542に係止されるカバー本体20の張出し壁232を係合し、張出し壁232の張出先端232aが後凹溝613の凹底に当接している。
【0046】
図4及び
図10に示すように、蓋本体50、カバー本体20、及び弾性閉塞カバー60をそれぞれ組み付ける際には、先に蓋本体50に弾性閉塞カバー60を配置しておき、その後で蓋本体50及び弾性閉塞カバー60に対してカバー本体20を組み付ける。つまり、先ず蓋本体50の蓋係合部54の嵌合凹部54Aに弾性閉塞カバー60における弾性部材からなる装着基部61の嵌合凸部61Aを嵌め込む。なお、弾性閉塞カバー60は樹脂製であり比較的変形しやすいため、このような蓋本体50への嵌め込みを容易に行うことができる。
その後、カバー本体20におけるカバー係合片23の張出し壁232を、蓋本体50の上方から蓋本体50の蓋係合部54と底壁51の前端との間を通過させて後凹溝613に嵌め込み、張出し壁232の前端のカバー爪部233が後凹溝613に係止することで、蓋本体50、カバー本体20、及び弾性閉塞カバー60のそれぞれが互いに係合し合った状態で組み付けることができる。なお、このとき、蓋本体50の前リブ541が上凹溝612に係合することで、互いの前後方向Dfの相対移動が規制された状態となる。また、蓋本体50の後リブ542及びカバー本体20におけるカバー係合片23(張出し壁232)が後凹溝613に係合することで、蓋本体50及びカバー本体20と弾性閉塞カバー60との上下方向Dvの相対移動が規制された状態となる。
【0047】
装着基部61の垂下係止片614は、弾性部材により基部本体611と一体的に形成されている。この垂下係止片614には、下端から前方に向けて突出する係止突部614Aが形成されている。係止突部614Aは、下面が幅方向Dhから見た側面視で下に凸となる円弧状当接面614aをなしている。この垂下係止片614は、配線カバー2を閉じる際に弾性変形し、係止突部614Aが後述する枠部材3の垂下当接ガイド部34B(後述)の下端34dに係止する。これにより、配線カバー2が開閉操作なしで開蓋することを防ぐことができる。
【0048】
また、係止突部614Aの下面が円弧状当接面614aとなっているので、上述した垂下当接ガイド部34Bに対して滑らかに当接しつつ下方に移動することになり、配線カバー2が閉じる動作を円滑にすることができる。また、枠部材3の垂下当接ガイド部34Bの下端34dに対する係止突部614Aの係止状態を解除する際には、垂下係止片614が弾性部材であるから、配線カバー2を持ち上げて開蓋する操作をすることで、垂下係止片614が弾性変形し係止突部614Aが垂下当接ガイド部34Bの下端34dから外れる。
【0049】
複数の弾性腕材62,62,…は、
図16及び
図17に示すように、幅方向Dhの両側に配置される開閉操作部63,63の間で幅方向Dhに沿って所定の間隔をあけて配列されている。複数の弾性腕材62,62,…のそれぞれの前部62aは、カバー閉塞時において開閉操作部63,63とともに枠部材3の受け鍔部33(
図6、
図7、及び
図10参照)に上方から載置される。弾性腕材62は、弾性腕材62の突出方向(前後方向Df)から見た断面視で、縦楕円形状をなし、幅方向Dhの横寸法d1が上下方向Dvの縦寸法d2よりも小さくなるように設定されている。そして、各弾性腕材62は、前後方向Dfに断面変化はなく、同一の断面で延びている。このように弾性腕材62の断面形状を縦長とすることで、上方からの荷重に強い構造となり、例えば弾性閉塞カバー60上に物品を置いても変形しにくく、平面性を維持することができる。
また、幅方向Dhに隣り合う弾性腕材62,62同士の間の離間寸法d3は、弾性腕材62の横寸法d1よりも小さくなっている。そのため、斜め幅方向から複数の弾性腕材62,62,…を見たときに、その視線(例えば、
図17の矢印E)を弾性腕材62によって遮ることができ、これら弾性腕材62,62,…の下方が見えにくくなる。
【0050】
開閉操作部63は、弾性閉塞カバー60の上面から内方に凹状に窪んだ形状をなし、装着基部61の前端部61aに連設している。具体的に開閉操作部63の上面63aは、幅方向Dhの内端部分63Aにおいて外側から内側に向かうに従い漸次上方に突出する湾曲面63bが形成されている。開閉操作部63は、内端部分63Aの上端63cが複数の弾性腕材62、62、…と同じ高さに設定され、外端部分63Bが装着基部61の上面よりも低い位置に配置されている。
これにより、配線カバー2が開口部15を閉じた状態で、開閉操作部63の上面63aが配線カバー2の上面及びデスク1の天板11よりも低く凹んで配置されているので、この凹状部分に指が挿入して指掛かりがし易くなっている。
【0051】
次に、デスク1の天板11に形成された開口部15に嵌着され、配線カバー2を装着するための枠部材3の構成について詳細に説明する。
図18乃至
図20に示すように、枠部材3は、幅方向Dhに延びる前枠31と、前枠31の両端のそれぞれに連設される側枠32,32と、からコの字状の枠体に形成され、
図20に示す天板11の開口部15に不図示のボルトやねじによって組み付けられている。枠部材3の側枠32,32には、回動支持部材70を介して配線カバー2が回転可能、且つスライド可能に装着されている。枠部材3は、例えばABS、ポリアセタール、ポリプロピレン又はポリエチレンテレフタレート等の樹脂の射出成形により製作することができる。
【0052】
枠部材3には、前枠31及び一対の側枠32,32の上端から天板11の板面方向に向けて張り出すとともに、一対の側枠32,32の後端から天板11の後面方向に向けて張り出す枠鍔部3aが形成されている。これにより枠鍔部3aは、枠部材3がデスク1の開口部15に装着されたときに、開口部15の端縁に上方から重なって配置されるので、枠部材3と天板11との隙間をなくすことができる。
【0053】
前枠31には、後面31aにおける上下方向Dvの中間部から後方に向けて突出し、長さ方向の全体にわたって延びる受け鍔部33(受け部)が設けられている(
図21及び
図22参照)。この受け鍔部33の上面33aには、
図6に示すように、上方から配線カバー2の複数の弾性腕材62、62、…の前部62a及び一対の開閉操作部63、63の前部が載置される。
受け鍔部33の上下方向Dvの位置は、弾性腕材62と開閉操作部63が略水平に配置され、かつ少なくとも枠部材3の上端から上方に張り出さない位置に設定される。つまり、配線カバー2は、弾性腕材62と開閉操作部63が受け鍔部33の上面33aに載置された位置が閉塞位置となり、配線カバー2における閉じるための回動が停止する位置となる。
【0054】
図10、
図18、及び
図20に示すように、側枠32には、内面32aにおける前方部分に設けられ、弾性閉塞カバー60の垂下係止片614を案内する案内ガイド34と、内面32aにおける後方部分に設けられ、配線カバー2の回動被支持部55に装着される回動支持部材70を前後方向Dfにスライド自在に支持するスライド凹溝35と、を有している。
【0055】
案内ガイド34は、側枠32の内面32aに連設するとともに、前枠31の受け鍔部33に連設して後方に延びるスライドガイド部34Aと、スライドガイド部34Aの後端から当接傾斜面34cを介して下方に垂下する垂下当接ガイド部34Bと、を有している。スライドガイド部34Aの後端は、側枠32の前後方向Dfの略中間部であり、スライド凹溝35に重ならない位置となっている。スライドガイド部34Aには、後部分において後方に向けて下向きとなる下向き傾斜面34bが形成されている。
【0056】
図10及び
図22に示すように、スライドガイド部34Aは、その上面のガイド面34aで配線カバー2を前後方向Dfにスライドさせる際に、弾性閉塞カバー60の垂下係止片614の係止突部614Aを案内させる構成となっている。本実施の形態では、配線カバー2を開きながら最も後方のスライド後端位置P1から前方に移動させると、垂下係止片614がスライドガイド部34Aの上面のガイド面34aに沿って前方に移動するとともに、下向き傾斜面34bの段部に沿って上り上側に案内されて移動するため、配線カバー2の天板11の上面11aに対する開きを大きくできる。つまり、配線カバー2を前方に移動させると、ガイド面34a上に垂下係止片614が起立した状態となるので、配線カバー2が所定の回動角度で開いた状態を保持することができる。
一方で、配線カバー2をスライド前端位置P2から
図6及び
図8に示すスライド後端位置P1に移動させる場合には、垂下係止片614がスライドガイド部34Aのガイド面34aに沿って後方に移動するとともに、下向き傾斜面34bの段部に沿って案内されて滑らかに下って下側に移動するため、配線カバー2の天板11の上面11aに対する開きを小さくできる。
【0057】
また、垂下当接ガイド部34Bの上端に位置する当接傾斜面34cは、円弧状に形成され、配線カバー2が前後方向Dfで最も後方側に位置した状態で閉蓋したときに、弾性閉塞カバー60の垂下係止片614の円弧状当接面614aが上方から当接するように設定されている。そして垂下当接ガイド部34Bの下端34dには、配線カバー2が閉塞した位置で弾性閉塞カバー60の垂下係止片614の下端の係止突部614Aが係止される。
【0058】
スライド凹溝35は、
図12、
図18、及び
図19に示すように、側枠32の内面32aにおいて前後方向Dfに延びて形成されている。スライド凹溝35の前後方向Dfに延び上下に対向する溝下面35a及び溝上面35bには、それぞれ前後方向Dfに延在する案内溝35cが形成されている。スライド凹溝35には、回動支持部材70の摺動部71がスライド自在に嵌入され、このとき案内溝35cに摺動部71の凸条71aが嵌め込まれた状態となる。スライド凹溝35において、回動支持部材70が最も後方に位置したときに配線カバー2がスライド後端位置P1となり、回動支持部材70が最も前方に位置したときに配線カバー2がスライド前端位置P2となる。なお、配線カバー2がスライド前端位置P2にあるとき、弾性閉塞カバー60の前端が開口よりも前方に位置している。
なお、スライド凹溝35は、側枠32の外面32b(
図18参照)に膨出しているので、この膨出部に対応するように、天板11の開口部15の側面には凹状に凹んだ受け部(図示省略)が設けられている。
【0059】
図4、
図20乃至
図23に示すように、トレー4は、底板41、前板42、及び後板43を備え、幅方向Dhの両側は解放されている。底板41には、スリット状の挿通開口41aが形成されている。前板42は、板面を上下方向に向けて配置され、上端42aがデスク1の天板11の下面11cに不図示のボルトやビス等で固定されている。
また、後板43は、上方に向かうに従い前方から後方に向けて傾斜する傾斜面となっており、後板43の上端43aがスライド後端位置P1で全開した配線カバー2よりも前方に位置するようにデスク1の天板11の下面11cに不図示のボルトやビス等で固定されている。これにより、
図21に示すように、後板43はデスク1の後端に配置される壁面17から前方に退避した位置となり、壁面17とトレー4の後板43との間には所定の大きさのスペースKが形成されることとなる。
なお、
図22では、天板11の後端にオプション部材(不図示)等を取り付けるためのクランプCを把持させた状態でデスク1を壁面17の前面に配置させている。
【0060】
次に、上述した配線カバー、什器、及び天板付き什器の作用について、図面に基づいて詳細に説明する。
図2及び
図3に示すように、本実施の形態の構成によれば、デスク1の天板11の上面11aに形成された配線を挿通させる開口部15が配線カバー2で閉塞された状態において、カバー本体20と開口部15との間の隙間を覆うように弾性閉塞カバー60が配置されているので、カバー本体20と開口部15との間の隙間や段差を小さく抑えることができ、平面性をもった作業面としての使い勝手を向上させることができる。
さらに、カバー本体20に連設される弾性閉塞カバー60が弾性部材から形成され、その弾性閉塞カバー60の弾性腕材62を弾性変形させることが可能となるので、弾性変形させた弾性腕材62から配線16を挿通させることができる。
つまり、配線16の挿通部分だけ部分的に弾性閉塞カバー60を弾性変形させた状態となり、その挿通部分以外の部分は弾性閉塞カバーで閉塞された状態を維持できるので、無駄な隙間や段差が生じることを抑えることができる。そのため、外観が良好となり、意匠性を向上することができる。
【0061】
また、本実施の形態では、弾性閉塞カバー60の表面の一部に凹状に形成される開閉操作部63が設けられ、この開閉操作部63の凹状部分に指を掛けて配線カバー2の開閉操作を容易に行うことが可能となり、開閉操作性が良好となる。そのため、配線カバー2を開閉して配線16の通線作業を容易に行うことができる。
【0062】
さらに、本実施の形態では、開閉操作部63がカバー本体20に接続されているので、開閉操作部63に挿入させた指をカバー本体20の前端部21bに引っ掛けることが可能となるため、開閉操作性をより良好なものとすることができる。
【0063】
さらにまた、本実施の形態では、開閉操作部63が弾性閉塞カバー60の両端部に配置されているので、開閉操作部63の位置と配線16の挿通部分が一致することが少なくなり、所望の位置に配線16の挿通部分を設定することができる。また、この場合には、弾性閉塞カバー60の両端部に設けられた開閉操作部63,63を持って開閉操作を行うことによって、よりスムーズに開閉操作を行うことができる。
【0064】
また、本実施の形態では、配線カバー2を閉じた状態において、開閉操作部63の前端部分が枠部材3の受け鍔部33に載置され、受け鍔部33によって開閉操作部63が下方から支持された構成となっているので、開閉操作部63に指を掛けたときに、開閉操作部63が下方(開口方向と反対側)に押し込まれてしまうことを防ぐことができる。そのため、指掛けを確実に行うことができ、開閉操作性をより良好なものとすることができる。
【0065】
上述のように本実施の形態による配線カバー、什器、及び天板付き什器では、デスク1の天板11との間隙を小さくすることで、天板上面を作業面として使い勝手が良好となるうえ、開閉操作性を向上させることができる。
【0066】
以上、本発明による配線カバー、什器、及び天板付き什器の実施の形態について説明したが、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【0067】
例えば、本実施の形態では、ブラシ状に配列される複数の弾性腕材62、62、…を備えた構成としているが、弾性閉塞カバー60の形状等の構成は、これに限定されることはなく、他の構成とすることが可能である。
【0068】
例えば、
図24及び
図25に示す第1変形例による配線カバー2は、幅方向Dhに沿って隙間なく連続して形成される弾性部材からなる弾性閉塞カバー60Aを備えたものである。具体的に弾性閉塞カバー60Aは、上面に複数の凸条64aが形成された板状弾性部材64と、この板状弾性部材64の幅方向Dhの両側に配置される上記実施の形態と同様の開閉操作部63、63と、を備えて構成されている。
この場合も、配線の挿通部分のみ板状弾性部材64の一部を弾性変形させて配線することができ、その挿通部分以外は板状弾性部材64でカバー本体20と天板11の開口部15との隙間を閉塞することができる。そして、上述した実施の形態と同様に、開閉操作部63の凹状部分に指を掛けて配線カバー2の開閉操作を容易に行うことが可能となり、開閉操作性が良好となる。
【0069】
また、
図26に示す第2変形例による配線カバー2は、開閉操作部63には、開閉操作部63の少なくとも一部を上方から覆う指掛け部65が連設された構成とすることも可能である。この指掛け部65は、開閉操作部63と同じ部材でゴム等の弾性部材からなり、開閉操作部63と一体的に成形される。この場合には、指掛け部65と開閉操作部63との間に凹部65aが設けられ、この凹部65aによって形成される空間に指を案内させることで指掛け部65に指を掛け易くなることから、配線カバー2の開閉操作をより容易に行うことができる。
【0070】
さらに、第2変形例のような指掛け部65は、開閉操作部63と一体的かつ連続的に形成される構成に制限されることはなく、分離されていても良い。さらにまた、指掛け部が弾性部材であることに制限されず、金属製等の剛性のあるものであってもよい。
【0071】
また、本実施の形態では、開閉操作部63が幅方向Dhに複数配列される弾性腕材62、62、…の両側に配置された構成としているが、このような配置、数量であることに限定されることはない。
例えば、幅方向Dhに沿って3箇所以上に開閉操作部63を設けることも可能である。この場合には、弾性閉塞部の複数箇所に設けられる開閉操作部63のうち所望の開閉操作部63を使用して配線カバー2の開閉操作を行うことができることから、開閉操作性をより良好なものとすることができる。
また、開閉操作部63が一箇所であってもよく、例えば開閉操作部63を幅方向Dhにおける中央位置に一箇所設けることも可能である。
【0072】
本実施の形態では、配線カバーとして、カバー本体20の前端部20aのみに弾性閉塞カバー60(弾性閉塞部)を備えた構成としているが、カバー本体20に対する弾性閉塞カバー60の位置は、前側などの片側であることに限定されない。例えば、カバー本体20の前端部と後端部のそれぞれに弾性閉塞部を設けたものであっても構わない。
【0073】
また、本実施の形態では、配線カバー2を備える適用対象がデスク1の天板11(作業面)としているが、デスク1であることに制限されず、作業面を備えた他の什器であってもよい。
さらに、什器であることに限定されることはなく、かつ配線カバー2の取付け面が天板のような水平面であることにも限定されることはない。例えば、上下方向に延在する壁面(板面)に設けられる配線収容部の配線カバーに適用することも可能である。
【0074】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記した実施の形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能である。