(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6695852
(24)【登録日】2020年4月24日
(45)【発行日】2020年5月20日
(54)【発明の名称】安全バルブを有するパウチ
(51)【国際特許分類】
B65D 30/26 20060101AFI20200511BHJP
A47K 11/06 20060101ALI20200511BHJP
A61G 9/00 20060101ALI20200511BHJP
A61F 5/44 20060101ALI20200511BHJP
【FI】
B65D30/26 Z
A47K11/06
A61G9/00 Q
A61F5/44 Z
【請求項の数】8
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-504639(P2017-504639)
(86)(22)【出願日】2015年7月29日
(65)【公表番号】特表2017-530061(P2017-530061A)
(43)【公表日】2017年10月12日
(86)【国際出願番号】EP2015067362
(87)【国際公開番号】WO2016016296
(87)【国際公開日】20160204
【審査請求日】2018年7月9日
(31)【優先権主張番号】1457343
(32)【優先日】2014年7月29日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】515062854
【氏名又は名称】スイス セーフ コレクト ソシエテ アノニム
【氏名又は名称原語表記】Swiss Safe Collect SA
(74)【代理人】
【識別番号】110001841
【氏名又は名称】特許業務法人梶・須原特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】カイレトー ブノワ
【審査官】
西山 智宏
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2014/037246(WO,A1)
【文献】
特開平09−310770(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D30/24−30/26
A47K11/06
A61F5/44
A61F5/453−5/455
A61G9/00
F16K15/00−15/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端に袋口(12a)を有する可撓性袋(12)と、
袋(12)内に設けられて、袋(12)の中身が袋口(12a)を通じて流出するのを実質的に防ぐ安全バルブとを有するパウチ(10)であって、
前記安全バルブが、
各シートが、袋口(12a)の近傍で袋(12)の壁に固定された近位端と、袋の長軸(Dl)方向に基端と反対側の遠位端とを有する、第1シート対(22)と、
各シートが第1シート対(22)の内側で延在し、袋口(12a)の近傍に存在する基端と、前記長軸(Dl)方向に、第1シート対(22)の末端よりも袋口(12a)に近い末端(24a)とを有する、第2シート対(24)と、
各シートが第2シート対(24)の内側で延在し、袋口(12a)の近傍に存在する基端と、前記長軸(Dl)方向に、第2シート対(24)の末端よりも袋口(12a)に近い遠位端(26a)とを有する、第3シート対(26)とを有し、
第1シート対(22)のシートと第2シート対(24)のシートとは、シート対(24)のシートの末端(24a)近傍の複数の第1接合点(25)において、局所的に互いに対して接合され、且つ、第2シート対(24)のシート同士は、当該複数の第1接合点(25)において局所的に互いに対して接合されており、前記複数の第1接合点(25)は、互いに対して離隔していると共に、第3シート対(26)のシートと、第1シート対(22)または第2シート対(24)のシートとを接合せず、
第1シート対(22)、第2シート対(24)及び第3シート対(26)のシートは、互いに対して離隔した複数の第2接合点(27)において局所的に互いに対して接合され、且つ、第3シート対(26)のシート同士は、当該複数の第2接合点(27)において局所的に互いに対して接合されており、
前記複数の第1接合点(25)と第2シート対(24)のシートの末端との間の距離が、袋(12)の横軸(Dt)に沿って変化する、パウチ。
【請求項2】
前記複数の第1接合点が、
第2シート対(24)のシートの末端(24a)と平行に並ぶ、第1接合点(25a)の第1組と、
前記第1組の第1接合点(25a)よりさらに前記末端(24a)から遠い、第1接合点(25b)の第2組とを有する、請求項1に記載のパウチ。
【請求項3】
前記第2組の第1接合点(25b)が、前記第1組の第1接合点(25a)に対して千鳥配置されている、請求項2に記載のパウチ。
【請求項4】
前記複数の第2接合点(27)といずれかのシート対のシートの末端との間の距離が、前記横軸(Dt)に沿って変化する、請求項1〜3のいずれか1項に記載のパウチ。
【請求項5】
前記複数の第2接合点(27)が、
いずれかのシート対のシートの末端と平行に並ぶ、第2接合点(27a)の第1組と、
前記第1組の第2接合点(27a)よりさらに前記末端から遠い、第2接合点(27b)の第2組とを有する、請求項4に記載のパウチ。
【請求項6】
前記第2組の第2接合点(27b)が、前記第1組の第2接合点(27a)に対して千鳥配置されている、請求項5に記載のパウチ。
【請求項7】
二つの隣り合う第1接合点(25)の間隔(e1、e2、e3)と、二つの隣り合う第2接合点(27)の間隔(e1’、e2’、e3’)とが、前記横軸(Dt)に沿って同じ方向に増加する、請求項1〜6のいずれか1項に記載のパウチ。
【請求項8】
第1シート対(22)、第2シート対(24)及び第3シート対(26)のシートは、ポリエチレンのシートである、請求項1〜7のいずれか1項に記載のパウチ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一方端に袋口を有する可撓性袋と、袋内に設けられて袋の中身が袋口を通じて流出することを防ぐ安全バルブとを有するパウチに関する。
【背景技術】
【0002】
この種のパウチは、例えば欧州特許第0748620号または第0847742号に記載されている。このようなパウチは、一般的に液体状の物質、特に尿や吐瀉物などの人間や動物に由来する廃棄物を入れるために用いられる。
【0003】
パウチは、プラスチック素材(ポリエチレン等)や他の可撓性素材からなる薄いシートによって形成されることが多い。前記パウチは、袋内に設けられ、例えばパウチが誤って上下反対になった時などに、袋の中身が袋口を通じて流出することを実質的に防ぐ、安全バルブを有する。
【0004】
このようなバルブは、(直線状または略直線上の)末端の一つに平行かつその近傍に設けられた複数の接合点において局所的に接合され、互いに対して等距離の、少なくとも二枚のシートを、入れ子状に複数対有する。例えば、前記シートはプラスチック素材の薄いシートであり、前記接合点はプラスチック素材を局所的に溶かすことで設けられる。
【0005】
この構成により、袋の中の液体は、原理的には、袋の複数の壁とバルブの外側のシート対との間の空間を出ることはない。さらに、バルブが複数の重なり合ったシート対を有することから、少量の液体が外側のシート対と、その内側で入れ子状になったシート対との間を貫通しても、液体は通常これら二つのシート対の間に留まる。
【0006】
接合点の構成に関する多くの試験を経て、本発明の発明者は、接合点間の間隔が、バルブの動作に決定的な影響を及ぼすことを見出した。
【0007】
特に、接合点の構成は、以下の二つの互いに矛盾した目的の間で良好な妥協点が得られるように決定される。これら二つの目的の一つは、液体がパウチに注入される際の流路を良好に確保することであり、もう一つは、液体が袋に入った後で液体の流路を阻害するまたは塞ぐことである。
【0008】
本発明の発明者は、袋内の液体の流路を阻害するまたは塞ぐバルブの能力が、袋口と平行な方向、すなわち液体がパウチに注入される方向に直交する方向における、接合点間の間隔に依存することを見出した。
【0009】
しかし、前記のようなタイプのパウチでは、接合点は単にシートの末端に平行な方向に並んでいて、液体がパウチに注入される方向に直交する方向における接合点間の間隔は狭く、これによって袋内の液体の漏れを防いでいる。
【0010】
この構成には以下のような欠点がある。
【0011】
接合点間の間隔が狭いと、液体がパウチに挿入される際の流路を限定してしまい、パウチの正しい使用を阻害する。
【0012】
さらに、液体が固体要素(吐瀉物内の固体要素、尿内の血餅等)を含んでいる場合、接合点がそのような固体要素の通過を阻害するまたは阻止してしまう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、前記の欠点を解消するためになされたものである。本発明の目的は、接合点間を固体要素がより容易に通過できる安全バルブを有するパウチを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の目的は、一端に袋口を有する可撓性袋と、袋内に設けられて、袋の中身が袋口を通じて流出するのを実質的に防ぐ安全バルブとを有するパウチであって、前記安全バルブが、各シートが、袋口の近傍で袋の壁に固定された基端と、袋の長軸方向に基端と反対側の末端とを有する第1シート対と、各シートが第1シート対の内側で延在し、袋口の近傍に存在する基端と、前記長軸方向に、第1シート対の末端よりも袋口に近い末端とを有する第2シート対と、各シートが第2シート対の内側で延在し、袋口の近傍に存在する基端と、前記長軸方向に、第2シート対の末端よりも袋口に近い末端とを有する第3シート対とを有し、第1シート対のシートと第2シート対のシートとは、シート対のシートの末端近傍の複数の第1接合点において、局所的に互いに対して接合され、前記複数の第1接合点は、互いに対して離隔していると共に、第3シート対のシートと、第1シート対または第2シート対のシートとを接合せず、第1シート対、第2シート対及び第3シート対のシートは、互いに対して離隔した複数の第2接合点において局所的に互いに対して接合され、前記複数の第1接合点と第2シート対のシートの末端との間の距離が、袋の横軸に沿って変化する、パウチによって達成される。
【0015】
この構成により、横軸方向(すなわち物質のパウチに挿入する方向に直交する方向)に沿った第1接合点の間隔を狭く保って、パウチ内の液体の通過を阻害または阻止しつつ、第1接合点の間隔を広くして、固体要素の通過を容易にすることができる。本記載において、二つの隣り合う接合点の「間隔」または「距離」とは、それら二つの接合点の間の直線の線分の長さを意味する。前記パウチは、吐瀉物や結石を含む尿などの固体要素を含む液体混合物一般を入れる際に、より衛生的に使用することが可能である。さらに、血液や血餅を含む尿などの濃度の高い液体と別の液体とからなる乳状液を入れるのにパウチを用いる場合、濃度の高い液体の通過が容易なことから、パウチをより衛生的に使用することが可能である。
【0016】
一可能性として、前記第1接合点が、第2シート対のシートの末端と平行に並ぶ、第1接合点の第1組と、第1組の第1接合点よりさらに前記末端から遠い、第1接合点の第2組とを有する。
【0017】
それぞれが第2シート対のシートの末端と平行に並ぶ第1組と第2組とをそれぞれ形成するように、第1接合点の二つの列を互いに対してずれて設ければよいので、パウチの作成を簡単に行うことができる。
【0018】
さらに、シートの末端近傍に全ての第1接合点が平行に並ぶ場合と比較して、バルブの液密性の低下を引き起こす、第1接合点の存在による素材の望ましくない変形や収縮が低減される。
【0019】
一可能性として、第2組の第1接合点が、第1組の第1接合点に対して千鳥配置されている。
【0020】
この構成により、シートの素材の変形が均等に分散される。よって、バルブの液密性と強度とが向上する。
【0021】
本発明において、前記バルブは、各シートが第2シート対の内側で延在し、袋口の近傍に存在する基端と、前記長軸方向に、第2シート対の末端よりも袋口に近い末端とを有する、第3シート対を有する。
【0022】
第3シート対と複数の第2接合点の存在により、第3シート対と複数の第2接合点とが袋内の液体の流路の形成をさらに阻害することで、バルブの液密性がさらに向上する。
【0023】
本発明において、第1接合点は、第1及び第2シート対のシートを局所的に互いに対して接合し、第2接合点は、第1、第2及び第3シート対のシートを局所的に互いに対して接合する。
【0024】
このようにして、バルブの液密性がさらに向上する。
【0025】
一可能性として、複数の第2接合点といずれかのシート対のシートの末端との間の距離が、前記横軸に沿って変化する。
【0026】
一可能性として、前記複数の第2接合点が、いずれかのシート対のシートの末端と平行に並ぶ、第2接合点の第1組と、第1組の第2接合点よりさらに前記末端から遠い、第2接合点の第2組とを有する。
【0027】
一可能性として、第2組の第2接合点が、第1組の第2接合点に対して千鳥配置されている。
【0028】
第1接合点に関する前記利点は、第2接合点についても同様である。
【0029】
一可能性として、二つの隣り合う第1接合点の間隔と、二つの隣り合う第2接合点の間隔とが、前記横軸に沿って同じ方向に増加する。
【0030】
前記の様々な実施形態により定義された本発明のパウチは、下記の効果を奏する。
【0031】
第1接合点間に広い空間があるため、固体要素の通過が非常に容易になる。さらに、血液又は血餅を含む尿などの濃度の高い液体と別の液体とからなる乳状液を入れるのにパウチを用いる場合、濃度の高い液体の通過が容易である。これによって、パウチを衛生的に使用することができる。
【0032】
さらに、血液又は血餅を含む尿などの液体と別の液体とからなる乳状液を入れるのにパウチを用いる場合、二種類の液体を分けることが容易である。特に、これらの液体の濃度が著しく異なる場合、パウチが平行な方向に対して傾いたとき(すなわち、横軸が垂直方向に対して約30度から60度の角度を形成するように)、最も離れた接合点が下になったとき、液体は重力によって分離される。
【0033】
本発明とその利点は、非限定的な例示によって提示される下記実施形態の詳細な説明によって、よりよく理解されるであろう。この説明は下記に示す添付の図面を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【
図1】
図1は、平坦状態にある第1実施形態のパウチを示す。
【
図2】
図2は
図1のゾーンIIの拡大図であって、バルブをより明確に示す。
【
図3】
図3は、平坦状態にある第2実施形態のパウチを示す。
【
図4】
図4は
図3のゾーンIVの拡大図であって、バルブをより明確に示す。
【
図5】
図5は同じゾーンの拡大図であって、第3実施形態のバルブを示す。
【発明を実施するための形態】
【0035】
図1に記載のパウチ10は可撓性袋12を有する。特に、この袋は、適切に切り出され、溶着線14でその輪郭のほぼ全体で互いに対して溶着された、プラスチック素材製の二枚の薄いシートからなる。袋12は、袋内の空間が外部と連通するように溶着線14を中断することで形成された袋口12aを有する。
【0036】
図示の例では、この袋口は、袋の幅が狭まった部分である、袋の首部16の自由端に形成される。
【0037】
袋12は、保管の容易な平坦状態から、廃棄物を受容可能な使用状態に変わることができる。
【0038】
一例として、袋を形成するシートは、ポリエチレンなどの可撓性プラスチック素材からなる。
【0039】
前記パウチは、袋口12aを通して固定され、袋の外に突出した補強カラー18を有する。
【0040】
カラー18は、袋口12aを通じて袋12に固定され、平坦状態から使用状態への変形が可能で、廃棄物を挿入する経路を形成可能なものであれば、いかなる形状でもよい。一例として、これらの目的に沿ったカラーは、欧州特許第0847742号またはフランス特許第2995210号に記載されている。
【0041】
図1からさらに分かるように、袋口に対向する部分において、溶着線14は、ドット状の複数の微小穴からなる脆弱線15aを有する。この脆弱線は溶着線を超えるところまで延びるが、袋内のスペースには達しない。パウチが廃棄物で一杯になると、裂け目が袋内の空間に達するのに十分な力で袋を脆弱線15aに沿って裂いて、パウチを空にする。
【0042】
さらに、袋口に近い辺の一つにおいて、溶着線14は、不連続な穴からなる別の脆弱線15bを有する。この線は袋の内部空間から離れており、この線に沿って形成した裂け目が袋の内側に達しないような方向に設けられている。よって、パウチが満杯になったがパウチを空にする前に保管しておく必要がある場合、線15bに沿って裂け目を形成することで、パウチをフック等にかけておくことができるようなスロットを設けることができる。
【0043】
図1から分かるように、パウチは、パウチの各壁に対向するように設けられたいくつかの内側シートからなる安全バルブを有する。
【0044】
図示の例では、バルブは、袋12の長軸Dlに沿って袋口12aからパウチの中間部まで延びる第1シート対22と、第1シート対22の内部で延在する第2シート対24とを有し、第2シート対24は第1シート対22より短い。
【0045】
袋が使用状態になると、液体が袋12の長軸Dlと略平行な方向に注入される。
【0046】
前記シートは、それらが存在し、互いに対しておよび袋の壁に対して溶着線14で溶着される部分において、パウチの幅全体に渡って延在する。
【0047】
特に、第1、第2シート対22、24の各シートの基端(袋口12aに近い端)は、溶着線14によって、袋12の袋口12a近傍の壁に固定される。
【0048】
図1に示すように、第1シート対22のシートと第2シート対24のシートとは、シート対24のシートの(略直線状の)末端24a近傍の複数の第1接合点25において、局所的に互いに対して接合される。
【0049】
第1、第2シート対22、24のシートは、プラスチック素材からなるものであってもよい(例えばポリエチレン製の薄いシート)。この場合、第1接合点25はプラスチック素材を局所的に溶かすことで設けられる。
【0050】
本発明は、第1接合点25の構成に最も関連する。
【0051】
よって、
図2に明確に示すように、複数の第1接合点25は、第1接合点25とシート対24の各シートの末端24aとの距離が、袋の横軸Dtに沿って変化するように構成されている。
【0052】
本発明において、「第1接合点25と末端24aとの距離」は、「第1接合点25と末端24aとの最短距離」を意味する。
【0053】
図示の例において、複数の第1接合点25は、シート対24のシートの末端24aに平行な方向に並び、末端24aから距離d
aだけ離れた、第1接合点25aの第1組と、末端24aから距離d
aより長い距離d
bだけ離れた第1接合点25bの第2組とを有する。
【0054】
この構成により、
図2に符号eで示す、横軸Dt(すなわち液体挿入軸に略直交する方向)に平行な第1接合点25間の間隔が、バルブの良好な液密性を保証できる程度の短さに保たれる一方、第1接合点25aと第1接合点25bとの間の距離lが、固体要素が通過可能な程度に広くなる。言い換えると、前記構成により、バルブの液密性を担保しつつ、第1接合点25aと第1接合点25bとの間に、固体要素が通過するのに十分な空間を確保することができる。
【0055】
さらに、第1接合点25が、第1組よりさらに末端24aから遠い第1接合点25bの第2組を有することで、末端は接合点の存在によって変形しにくく、略直線状の形状を維持する。このようにして、バルブの液密性が向上する。
【0056】
図示の例では、接合点25bは末端24aと平行に並ぶ。これ以外にも、接合点25bが末端24aに平行でない方向に並ぶ構成や、接合点が並ばない構成なども可能である。図示の例では、接合点25bは接合点25aに対して千鳥配置されている。換言すると、接合点25bは、末端24aに平行に並び、接合点25aに対してずれて配置される。この場合、任意の隣り合う接合点25a間の横軸Dtに平行な間隔と、任意の隣り合う接合点25b間の横軸Dtに平行な間隔とは同じである。
【0057】
この構成により、第1、第2対22、24のシートの素材のいかなる変形も均等に分散する。よって、バルブの液密性と強度とが向上する。
【0058】
前記間隔は、本発明の範囲内において異なる構成であってもよい。
【0059】
第2実施形態において、
図3に示すように、バルブは、その存在領域においてパウチの幅全体に延在し、溶着線14で袋の壁に溶着される、第3シート対26を有する。特に、シート対26のシートの(袋口12aに近い)基端は、溶着線14によって、袋口12a近傍の袋の壁に固定される。
【0060】
第3シート対26はシート対24の内部で延在し、第3シート対26のシートはシート対24のシートより短い。第1、第2シート対22、24のシートは、前記のように、第1接合点25で局所的に互いに対して接合される。
【0061】
シート対26の末端26a近傍の複数の第2接合点27において、第1、第2、第3シート対22、24、26は局所的に互いに対して接合される。
【0062】
第3シート対26のシートは、プラスチック素材からなるものであってもよい(例えばポリエチレン製の薄いシート)。この場合、第2接合点27はプラスチック素材を局所的に溶かすことで設けられる。
【0063】
第3シート対26のシートは、第2シート対24のシートによって規定される袋12の内部容積内で延在する。
【0064】
このように、第1接合点25は、第1、第2シート対22、24のシートのみを局所的に互いに対して接合し、第2接合点27は、第1、第2、第3シート対22、24、26のシートを局所的に互いに対して接合することが分かる。第1接合点25は、第3シート対26のシートと、第1シート対22または第2シート対24のシートとを互いに対して接合しない。第1接合点25は、第1、第2シート対22、24のシートを互いに固定するが、第3シート対26のシートは第1接合点25によって第1、第2シート対22、24のシートに固定されない。さらに、第1接合点25とシート対24のシートの末端24aとの間の距離が、袋の横軸Dtに沿って変化することから、前記のように、バルブを通る固体要素の流路が良好に確保される。
【0065】
第2接合点27は、第1、第2、第3シート対22、24、26のシートを互いに対して固定している。
【0066】
図4により明確に示されるように、複数の第2接合点27は、第2接合点27とシート対26のシートの末端26aとの間の距離が袋12の横軸Dtに沿って変化するように構成されている。
【0067】
本発明において、「接合点27と末端26aとの距離」は、「接合点27と末端26aとの最短距離」を意味する。
【0068】
複数の第2接合点27は、シート対のいずれかのシートの末端と平行に並ぶ第2接合点27aの第1組と、第2接合点27aよりも末端から遠い第2接合点27bの第2組とを含む。例えば、
図4に示すように、第2接合点27aは、シート対26のシートの末端26aから距離d’
aだけ離れて設けられ、第2接合点27bは、末端26aから距離d’
bだけ離れて設けられ、距離d’
bは距離d’
aより長い。
【0069】
この構成により、
図4に示すように、横軸Dt(すなわち液体挿入軸に略直交する方向)に平行な第2接合点27間の間隔が、バルブの良好な液密性を保証できる程度の短さに保たれる一方、第2接合点27aと第2接合点27bとの間の距離l’が、固体要素が通過可能な程度に広くなる。
【0070】
よって、前記のように、固体要素は、第2接合点27aと27bとの間(間隔e’と距離l’)、次いで第1接合点25aと25bとの間(間隔eと距離l)を通過可能である。
【0071】
言い換えると、前記構成により、バルブの液密性をさらに担保しつつ、接合点の間に、固体要素が通過するのに十分な空間を確保することができる。
【0072】
一つの可能性として、
図4に示すように、間隔e’は間隔eと略同じでもよい。
【0073】
一方で、間隔e’を間隔eと異ならせることにも利点がある。例えば、間隔e’を間隔eより多少長く設定する。この場合、液体が挿入されると、第2接合点27同士がより離れているため、液体は第2接合点27によって逆流することなく、さらに下の第1接合点25に進み、次いで袋12内に入る。さらに、袋に液体が挿入された後、袋12の外に向かう液体の流路は、まず間隔の狭い第1接合点25によって阻害される。これにより、液体漏れをより強力に阻害することができる。
【0074】
第2接合点27にバルブの液密性を保たせるためには、間隔e’を長くしすぎない、または間隔eよりも長すぎないようにするのが自然である。
【0075】
間隔e’を間隔eより多少短く設定することも可能である。これにより、パウチに液体が挿入された後、袋12の外に向かう液体の流路は、まず間隔の狭い第1接合点25によって阻害され、次に、第3シート対26と、互いに対する近さによって液体漏れを強力に阻害する第2接合点27とによって阻害される。
【0076】
さらに、第2接合点27が、第1組よりさらに末端26aから遠い第2接合点27bの第2組を有することで、末端は接合点の存在によって変形しにくく、略直線状の形状を維持する。このようにして、パウチの液密性が向上する。
【0077】
図示の例では、接合点27bは末端26aと平行に並ぶ。これ以外にも、接合点27bが末端26aに平行でない方向に並ぶ構成や、接合点が並ばない構成なども可能である。
【0078】
図示の例では、接合点27bは接合点27aに対して千鳥配置されている。換言すると、接合点27bは、末端26aに平行に並び、接合点27aに対してずれて配置される。この場合、任意の隣り合う接合点27a間の横軸Dtに平行な間隔と、任意の隣り合う接合点27b間の横軸Dtに平行な間隔とは同じである。
【0079】
この構成により、第1、第2、第3シート対22、24、26のシートの素材のいかなる変形も均等に分散する。よって、バルブの液密性と強度とが向上する。
【0080】
前記間隔は、本発明の範囲内において異なる構成であってもよい。
【0081】
第3実施形態において、
図5に示すように、複数の接合点25、27は、二つの連続して隣り合う第1接合点25の間隔が、横軸Dtに沿った、脆弱線15b近傍の溶着線14によって形成された袋12の縁d’から溶着線14によって形成された袋12の反対の縁に向かう方向に増加し、二つの連続して隣り合う第2接合点27の間隔が、横軸Dtに沿った同じ方向に増加するように、構成されている。
【0082】
より正確には、
図5に示すように、連続して隣り合う第1接合点25の連続する間隔e
1、e
2、e
3、...は、以下のように構成される。
e
1 ≦ e
2 ≦ e
3≦ ...
【0083】
同様に、連続して隣り合う第2接合点27の連続する間隔e’
1、e’
2、e’
3、...は、以下のように構成される。
e’
1 ≦ e’
2 ≦ e’
3 ≦ ...
【0084】
この構成により、パウチ10が平行な方向に対して傾き(すなわち、横軸Dtが垂直方向に対して約30度から60度の角度を形成するように)、最も離れた接合点25、27が下になったとき、またパウチ10を異なる濃度の液体を入れるのに用いるとき、液体は重力によって分離され、これによって液体の分離が促進される。
【0085】
第1接合点25のみ、または第2接合点27のみを、二つの連続して隣り合う接合点の間隔が横軸Dtに沿った方向に増加するように構成することも、本発明の範囲内の変形例として考えられる。
【0086】
以上、本発明を特定の実施形態に基づいて説明したが、請求項が規定する本発明の範囲を超えることなくこれらの実施形態を様々に変形、変更可能であることは明らかである。さらに、実施形態において示された個々の特徴は、さらなる実施形態において接合可能である。前記説明および図面は、限定的ではなく説明的に捉えられるべきものである。