特許第6695853号(P6695853)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6695853
(24)【登録日】2020年4月24日
(45)【発行日】2020年5月20日
(54)【発明の名称】電動車両用の潤滑組成物
(51)【国際特許分類】
   C10M 107/34 20060101AFI20200511BHJP
   C10N 20/00 20060101ALN20200511BHJP
   C10N 20/02 20060101ALN20200511BHJP
   C10N 40/04 20060101ALN20200511BHJP
   C10N 40/25 20060101ALN20200511BHJP
【FI】
   C10M107/34
   C10N20:00 A
   C10N20:02
   C10N40:04
   C10N40:25
【請求項の数】12
【全頁数】27
(21)【出願番号】特願2017-504709(P2017-504709)
(86)(22)【出願日】2015年7月30日
(65)【公表番号】特表2017-522428(P2017-522428A)
(43)【公表日】2017年8月10日
(86)【国際出願番号】EP2015067492
(87)【国際公開番号】WO2016016362
(87)【国際公開日】20160204
【審査請求日】2018年6月29日
(31)【優先権主張番号】1457438
(32)【優先日】2014年7月31日
(33)【優先権主張国】FR
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】516357100
【氏名又は名称】トタル マルケティン セルビスス
(73)【特許権者】
【識別番号】502141050
【氏名又は名称】ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100173107
【弁理士】
【氏名又は名称】胡田 尚則
(72)【発明者】
【氏名】ジュリアン サンソン
(72)【発明者】
【氏名】アルデール ダ コスタ ダンブロ
(72)【発明者】
【氏名】ナジェット ケリジ
【審査官】 齊藤 光子
(56)【参考文献】
【文献】 特表2014−509684(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/164449(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C10M 101/00−177/00
C10N 10/00− 80/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)
【化1】
の少なくとも1つの油を含み、式中、
・Rが直鎖状又は分枝状のC1〜C30アルキル基を示し、
・mが2.5に等しい平均数を示し、nが2に等しい平均数を示すか、又は
・mが3.5に等しい平均数を示し、nが2.8に等しい平均数を示す、潤滑組成物。
【請求項2】
Rが、直鎖状C8アルキル基、分枝状C8アルキル基、直鎖状C9アルキル基、分枝状C9アルキル基、直鎖状C10アルキル基、分枝状C10アルキル基、直鎖状C11アルキル基、分枝状C11アルキル基、直鎖状C12アルキル基、分枝状C12アルキル基、直鎖状C13アルキル基、分枝状C13アルキル基、直鎖状C14アルキル基、分枝状C14アルキル基、直鎖状C15アルキル基、分枝状C15アルキル基の中から選択される基を示す、請求項1に記載の潤滑組成物。
【請求項3】
(a)ASTM D445標準に従って測定した100℃での動粘度が2.5〜4.5mm2・s-1の範囲であるか、又は
(b)粘度指数が160超であるか若しくは160〜210に含まれるか、又は
(c)流動点が−40℃未満であるか、又は
(d)ASTM D5293標準に従って測定した−35℃での絶対粘度(CCS)が1200mPa・s未満である
式(I)の少なくとも1つの油を含む、請求項1又は2に記載の潤滑組成物。
【請求項4】
(a)ASTM D445標準に従って測定した100℃での動粘度が2.5〜4.5mm2・s-1の範囲であり、
(b)粘度指数が160超である若しくは160〜210に含まれ、
(c)流動点が−40℃未満であり、
(d)ASTM D5293標準に従って測定した−35℃での絶対粘度(CCS)が1200mPa・s未満である
式(I)の少なくとも1つの油を含む、請求項1〜のいずれか1項に記載の潤滑組成物。
【請求項5】
mが2.5に等しい平均数を示し、nが2に等しい平均数を示し、
(a)ASTM D445標準に従って測定した100℃での動粘度が2.5〜3.5mm2・s-1の範囲であり、
(b)粘度指数が160〜180に含まれ、
(c)流動点が−40℃未満であり、
(d)ASTM D5293標準に従って測定した−35℃での絶対粘度(CCS)が500mPa・s未満である
式(I)の少なくとも1つの油を含む、請求項1〜のいずれか1項に記載の潤滑組成物。
【請求項6】
mが3.5に等しい平均数を示し、nが2.8に等しい平均数を示し、
(a)ASTM D445標準に従って測定した100℃での動粘度が3.5〜4.5mm2・s-1の範囲であり、
(b)粘度指数が180〜210に含まれ、
(c)流動点が−50℃未満であり、
(d)ASTM D5293標準に従って測定した−35℃での絶対粘度(CCS)が1200mPa・s未満である
式(I)の少なくとも1つの油を含む、請求項1〜のいずれか1項に記載の潤滑組成物。
【請求項7】
2〜60wt%の式(I)の少なくとも1つの油を含む、請求項1〜のいずれか1項に記載の潤滑組成物。
【請求項8】
5〜40wt%の式(I)の少なくとも1つの油を含む、請求項又はに記載の潤滑組成物。
【請求項9】
5〜35wt%の式(I)の少なくとも1つの油を含む、請求項又はに記載の潤滑組成物。
【請求項10】
・グループIIIの油、グループIVの油及びグループVの油から選択される少なくとも1つの他の基油、又は
・少なくとも1つの添加剤、又は
・グループIIIの油、グループIVの油及びグループVの油から選択される少なくとも1つの他の基油並びに少なくとも1つの添加剤
をまた含む、請求項1〜のいずれか1項に記載の潤滑組成物。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか1項に記載の少なくとも1つの潤滑組成物であって、
・エンジンの燃料消費を減らすため、又は
・この組成物によって潤滑された変速機を備えた車両の燃料消費を減らすための、潤滑組成物の使用。
【請求項12】
変速機油のトラクション係数を減らすための、請求項1〜10のいずれか1項に記載の少なくとも1つの潤滑組成物の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動車両用の潤滑組成物及び基油の分野に関する。本発明は、エンジン、ギアボックス又は車両ブリッジ用の潤滑組成物を提供する。この潤滑組成物は、特定のポリアルキルグリコール又は特定のポリアルキレン−グリコール(PAG)である油中で可溶なポリマーを含む。
【0002】
本発明はまた、この組成物又はこの特定のPAGによって潤滑されたエンジンを備えた車両、ブリッジ、又はギアボックスの燃料の消費を減らすための、この潤滑組成物の使用に関する。
【背景技術】
【0003】
エンジンの発展とエンジン用の潤滑組成物の性能の発展とは、どういうわけか関連している。エンジンがより複雑な設計を有するほど、生産量及び消費の最適化がより高くなり、エンジン用の潤滑組成物は需要が多くなり、その性能を改善すべきである。
【0004】
エンジン内の極めて高い圧縮、より高いピストン温度、特に上側ピストン部分の領域においては、メンテナンス不要な油圧(液圧)プッシャーを持つ最新の弁制御、並びにエンジン空間内の極めて高い温度は、最新エンジン用の潤滑剤をますます要請する。
【0005】
ガソリンエンジン及びディーゼルエンジンの使用の条件は、極めて短い対象ルート及び長尺路の両方を含む。実際に、西欧では車の経路の80%は12キロメートル未満であるのに対して、車両は1年で300000kmまでの範囲の距離に及ぶ。
【0006】
油交換の間隔はまた、大きく変化するものであり、幾つかの小さいディーゼルエンジンについては5000kmから、最新の多用車(ユーティリティビークル)のディーゼルエンジンに関しては100000kmまでの範囲であることがある。
【0007】
したがって、電動車両用の潤滑組成物は改善した性質及び性能を有さなければならない。
【0008】
したがって、エンジン用の潤滑組成物は、時々両立しない多くの目標を達成すべきである。これらの目標はエンジン用の潤滑組成物の5つの主要な機能から生じ、それらは、潤滑、冷却、無漏洩、耐食保護、及び圧力伝達である。
【0009】
互いにスライドする部品の潤滑は、特に、燃料節約を可能とする、特に、摩擦及び摩耗を減らすために、決まった役割を果たす。
【0010】
エンジン用の潤滑組成物の別の重要な要請は、環境に関連する側面に関する。実際に、特に、CO2排出を減らす目的と共に、油消費並びに燃料消費を減らすことが重要になっている。例えば、油を配合することによって、燃焼ガスの排出を減らして、触媒がその寿命全体の間で完全に機能しているままであることがまた重要である。例えば、再処理によって又は燃焼によって、それらの除去を減らす又は制限するために、毒性の添加剤の使用を制限又は防止することがまた重要である。
【0011】
自動車用エンジン用の潤滑組成物の性質は、汚染物質の排出及び燃料消費に影響を与える。自動車用エンジン用の潤滑組成物は、時々「燃料節約(fuel−eco)」(FE)と称されるエネルギー節約を可能とする。そのような「燃料節約」の油は、これらの新規のニーズを満たすために発展した。
【0012】
したがって、エネルギー損失を減らすことは自動車用の潤滑剤の分野における継続的な研究である。
【0013】
それらについて、ギアボックス用又はブリッジ用の油、より一般的にはギア用の油は、多くの要請、特に、乗り心地(完全なギアチェンジ、静かな運転、問題のない運転、優れた信頼性)、組立体の寿命(低温条件下での運転中の摩耗の低減、堆積物がないこと及び優れた熱安定性、高温での給脂安全性、安定な粘度状況及びせん断損失、長寿命)、並びに環境的側面(より低い燃料消費、油消費の低減、低い騒音発生、簡単な排出)を考慮することの要請に関する。
【0014】
これらは、手動制御下のギアボックス用及びアクセルギア用の油に課された要請である。自動ギアボックスの油(ATF(自動車変速機流体用)油)に課された要請に関しては、それらの使用のため、高温エンジン及び低温エンジンで完璧な運転を保証するため、並びに、膨張しない、収縮しない、及び脆くならないように、変速機ガスケットで使用される異なるエラストマーへの十分なシール相溶性を保証するために、極めて特別な要求がATF油に対して現れ、その要求とは、最適なギアチェンジに対する全体の滞留時間(dwelling time)の間での摩擦係数の優れた不変性、長い油交換間隔の時間経過(エージング)に対する優れた安定性、良好な粘度−温度強度である。
【0015】
さらに、自動車の分野においては、CO2排出の低減を求めることは、ギアボックス及びブリッジの差動での摩擦を減らす可能性を与える製品の発展を強いる。ギアボックス及びブリッジの差動でのこの摩擦低減は、異なる運転条件に対して得られなければならない。摩擦低減は、潤滑剤の内部の摩擦だけでなく、ギアボックス又はブリッジの差動で作られた部材、特に、金属部材の摩擦にも関連すべきである。
【0016】
車両の変速機油としては、精製した石油製品、水素化分解油又は合成流体を使用することが可能であり、これらはポリアルファオレフィンか又はエステルである。幾つかの場合では、ポリグリコールがまた使用され、それは、一般的に、他のベース流体と混和しない又はあまり混和しない欠点を有する。
【0017】
十分な性能を得るために、車両変速機油はまた、質的要求に応じた添加剤、特に、高圧用の添加剤で完成されなければならない。
【0018】
車両エンジンの潤滑剤のための使用に関しては、添加剤がまた使用される。
【0019】
摩擦係数を改質する添加剤としては、例えば、モリブデン、特に硫化モリブデンを含む有機金属化合物が最近使用される。モリブデンの過半の源として、モリブデンジチオカルバメート(MoDTC)を言及することができる。さらに、潤滑組成物中の粘度指数を改善する異なるポリマー又はコポリマーがまた公知である。
【0020】
国際公開第2013−164449号では、酸化ブチレンと酸化プロピレンとのコポリマー化から生じたPAGタイプの油を開示する。この油は、100〜120の程度の粘度指数を有する。
【0021】
米国特許出願公開第2014−018273号明細書では、モル質量が高い又はアルキルエーテル基を含むメチル化PAG油を開示する。
【0022】
代替的な基油、特に、高い粘度指数(VI)及び低いトラクション係数を有する油を提供することが必要である。
【0023】
求められる潤滑組成物は、摩擦が理由での低温条件下におけるエネルギー損失を避けるためだけでなく、高温条件下において、潤滑された部材上で潤滑剤の十分な膜を維持するためにも、高い粘度指数を有するべきである。
【0024】
したがって、高い粘度指数は、温度が上昇した場合、より少ない粘度低下を保証する。
【0025】
公知の方法においては、車両エンジン用の潤滑組成物として、合成流体、例えば、ポリアルファオレフィン(PAO)油、エステル及びポリグリコール、非従来型鉱油、例えば、水素化分解生成物、従来型鉱油、並びに、それらの異なる混合物が使用される。
【0026】
したがって、車両エンジン用の潤滑組成物のような、高いVIを持ち、低いトラクション係数を持つベースの分野においては、例えば、約10%のエステルの質量割合を持つ、PAO油とエステルとの混合物、PAO油と水素化分解及び水素異性化した油(グループIII又はGpIII)との混合物、又は添加剤若しくは追加の基油GTL(例えば、フィッシャー・トロプシュ法によって天然液化ガスから得られた油又はガス液化油)を含むPAO油と水素化分解及び水素異性化した油との混合物、が慣例的に使用される。
【0027】
さらに、技術水準のPAGの使用中に溶解性の問題に直面することがしばしばある。したがって、技術水準のPAGsの使用は、一般的に、幾つかの用途、例えば、産業油であり、エンジン用又は車両変速機用でない用途に限定される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0028】
したがって、技術水準の油又は潤滑組成物の問題の全て又は一部に対する解決策を提供する可能性を与える、エンジン用又は車両変速機用の油及び潤滑組成物を提供するためのニーズが存在する。
【課題を解決するための手段】
【0029】
したがって、本発明は、式(I)
【化1】
の少なくとも1つの油を含む潤滑組成物を提供し、式中、
・Rが直鎖状又は分枝状C1〜C30アルキル基を示し、
・m及びnが、独立して、1〜5の範囲の平均数を示す。
【0030】
好ましくは、本発明に係る潤滑組成物は、式(I)の少なくとも1つの油を含み、式中、Rが、直鎖状C8アルキル基、分枝状C8アルキル基、直鎖状C9アルキル基、分枝状C9アルキル基、直鎖状C10アルキル基、分枝状C10アルキル基、直鎖状C11アルキル基、分枝状C11アルキル基、直鎖状C12アルキル基、分枝状C12アルキル基、直鎖状C13アルキル基、分枝状C13アルキル基、直鎖状C14アルキル基、分枝状C14アルキル基、直鎖状C15アルキル基、分枝状C15アルキル基を示す。
【0031】
より好ましくは、本発明に係る潤滑組成物は、式(I)の少なくとも1つの油を含み、式中、Rが分枝状C8アルキル基又は直鎖状C12アルキル基を示す。
【0032】
さらにより好ましくは、本発明に係る潤滑組成物は、式(I)の少なくとも1つの油を含み、式中、Rが直鎖状C12アルキル基を示す。
【0033】
また好ましくは、本発明に係る潤滑組成物は、式(I)の少なくとも1つの油を含み、式中、
・mがn以上であるか、又は
・mが2〜4.5の範囲の平均数を示すか、又は
・nが1.5〜4の範囲の平均数を示す。
【0034】
本発明係る好ましい潤滑組成物の例として、式(I)の少なくとも1つの油を含み、式中、
・mが2.5〜3.5の範囲の平均数を示すか、又は
・nが2〜3の範囲の平均数を示す、
潤滑組成物を言及することができる。
【0035】
本発明係るより好ましい潤滑組成物の例として、式(I)の少なくとも1つの油を含み、式中、
・mが2.5に等しい平均数を示し、nが2に等しい平均数を示すか、又は
・mが3.5に等しい平均数を示し、nが2.8に等しい平均数を示す、
潤滑組成物を言及することができる。
【0036】
本発明係る好ましい潤滑組成物の別の例として、式(I)の少なくとも1つの油を含み、式中、
・Rが分枝状C8アルキル基を示し、mが2〜4.5の範囲の平均数を示し、nが1.5〜4の範囲の平均数を示すか、又は
・Rが分枝状C8アルキル基を示し、mが2.5〜3.5の範囲の平均数を示し、nが2〜3の範囲の平均数を示す、
潤滑組成物を言及することができる。
【0037】
本発明係るより好ましい潤滑組成物の別の例として、式(I)の少なくとも1つの油を含み、式中、
・Rが直鎖状C12アルキル基を示し、mが2〜4.5の範囲の平均数を示し、nが1.5〜4の範囲の平均数を示すか、又は
・Rが直鎖状C12アルキル基を示し、mが2.5〜3.5の範囲の平均数を示し、nが2〜3の範囲の平均数を示す、
潤滑組成物を言及することができる。
【0038】
本発明係るまた好ましい潤滑組成物の例として、式(I)の少なくとも1つの油を含み、式中、
・Rが分枝状C8アルキル基を示し、mが2.5に等しい平均数を示し、nが2に等しい平均数を示すか、又は
・Rが分枝状C8アルキル基を示し、mが3.5に等しい平均数を示し、nが2.8に等しい平均数を示す、
潤滑組成物を言及することができる。
【0039】
本発明係る最も好ましい潤滑組成物の例として、式(I)の少なくとも1つの油を含み、式中、
・Rが直鎖状C12アルキル基を示し、mが2.5に等しい平均数を示し、nが2に等しい平均数を示すか、又は
・Rが直鎖状C12アルキル基を示し、mが3.5に等しい平均数を示し、nが2.8に等しい平均数を示す、
潤滑組成物を言及することができる。
【0040】
好ましくは、本発明に係る潤滑組成物は、式(I)の少なくとも1つの油を含み、
(a)ASTM D445標準に従って測定した100℃での動粘度が2.5〜4.5mm2・s-1の範囲であるか、又は
(b)粘度指数が160超であるか若しくは160〜210に含まれるか、又は
(c)流動点が−40℃未満であるか、又は
(d)ASTM D5293標準に従って測定した−35℃での絶対粘度(粘度)(CCS)が1200mPa・s未満である。
【0041】
一般的に、本発明によれば、粘度指数はASTM D2270標準に従って計算され、流動点はEN ISO3016標準に従って測定される。
【0042】
より好ましくは、本発明に係る潤滑組成物は、式(I)の少なくとも1つの油を含み、
(a)ASTM D445標準に従って測定した100℃での動粘度が2.5〜4.5mm2・s-1の範囲であり、
(b)粘度指数が160超であるか又は160〜210に含まれ、
(c)流動点が−40℃未満であり、
(d)ASTM D5293標準に従って測定した−35℃での絶対粘度(CCS)が1200mPa・s未満である。
【0043】
より好ましくは、本発明に係る潤滑組成物は、式(I)の少なくとも1つの油を含み、式中、mが2.5に等しい平均数を示し、nが2に等しい平均数を示し、
(a)ASTM D445標準に従って測定した100℃での動粘度が2.5〜3.5mm2・s-1の範囲であるか、又は
(b)粘度指数が160〜180に含まれるか、又は
(c)流動点が−40℃未満であるか、又は
(d)ASTM D5293標準に従って測定した−35℃での絶対粘度(CCS)が500mPa・s未満である。
【0044】
またより好ましくは、本発明に係る潤滑組成物は、式(I)の少なくとも1つの油を含み、式中、mが2.5に等しい平均数を示し、nが2に等しい平均数を示し、
(a)ASTM D445標準に従って測定した100℃での動粘度が2.5〜3.5mm2・s-1の範囲であり、
(b)粘度指数が160〜180に含まれ、
(c)流動点が−40℃未満であり、
(d)ASTM D5293標準に従って測定した−35℃での絶対粘度(CCS)が500mPa・s未満である。
【0045】
またより好ましくは、本発明に係る潤滑組成物は、式(I)の少なくとも1つの油を含み、式中、mが3.5に等しい平均数を示し、nが2.8に等しい平均数を示し、
(a)ASTM D445標準に従って測定した100℃での動粘度が3.5〜4.5mm2・s-1の範囲であるか、又は
(b)粘度指数が180〜210に含まれるか、又は
(c)流動点が−50℃未満であるか、又は
(d)ASTM D5293標準に従って測定した−35℃での絶対粘度(CCS)が1200mPa・s未満である。
【0046】
またより好ましくは、本発明に係る潤滑組成物は、式(I)の少なくとも1つの油を含み、式中、mが3.5に等しい平均数を示し、nが2.8に等しい平均数を示し、
(a)ASTM D445標準に従って測定した100℃での動粘度が3.5〜4.5mm2・s-1の範囲であり、
(b)粘度指数が180〜210に含まれ、
(c)流動点が−50℃未満であり、
(d)ASTM D5293標準に従って測定した−35℃での絶対粘度(CCS)が1200mPa・s未満である。
【0047】
有利には、本発明に係る潤滑組成物は、
・2〜60wt%の式(I)の少なくとも1つの油、又は
・2〜50wt%の式(I)の少なくとも1つの油、又は
・5〜40wt%の式(I)の少なくとも1つの油、又は
・5〜30wt%の式(I)の少なくとも1つの油、を含む。
【0048】
本発明に係る潤滑組成物の好ましい例は、5〜40wt%、好ましくは10〜35wt%又は15〜25wt%の式(I)の少なくとも1つの油を含み、式中、mが2.5に等しい平均数を示し、nが2に等しい平均数を示し、
・ASTM D445標準に従って測定した100℃での動粘度が2.5〜3.5mm2・s-1で範囲であり、
・粘度指数が160〜180に含まれ、
・流動点が−40℃未満であり、
・ASTM D5293標準に従って測定した−35℃での絶対粘度(CCS)が500mPa・s未満である。
【0049】
本発明に係る潤滑組成物の別の好ましい例は、5〜35wt%、好ましくは8〜30wt%又は10wt%、20wt%若しくは30wt%の式(I)の少なくとも1つの油を含み、式中、mが3.5に等しい平均数を示し、nが2.8に等しい平均数を示し、
(a)ASTM D445標準に従って測定した100℃での動粘度が3.5〜4.5mm2・s-1の範囲であり、
(b)粘度指数が180〜210に含まれ、
(c)流動点が−50℃未満であり、
(d)ASTM D5293標準に従って測定した−35℃での絶対粘度(CCS)が1200mPa・s未満である。
【0050】
有利には、本発明に係る潤滑組成物はまた、
・グループIIIの油、グループIVの油、及びグループVの油から選択される少なくとも1つの他の油、又は
・少なくとも1つの添加剤、又は
・グループIIIの油、グループIVの油、及びグループVの油の中から選択される少なくとも1つの他の油並びに少なくとも1つの添加剤、を含む。
【発明を実施するための形態】
【0051】
一般的に、本発明に係る潤滑組成物は、それらの使用に合わせて、任意の種類の鉱物、合成又は天然、動物性又は植物性の潤滑基油を含むことができる。
【0052】
本発明に係る潤滑組成物で使用される基油は、API分類(又はATIEL分類に従ったそれらの同等物)(表A)で規定された分類に係るグループI〜Vに属する鉱物若しくは合成起源の油、又はそれらの混合物であることができる。
【0053】
【表1】
【0054】
本発明に係る鉱物基油は、原油の常圧蒸留及び真空蒸留、その後の精製作業、例えば、溶媒での抽出、脱歴、溶媒での脱ろう、水素化処理、水素化分解、水素異性化及び水素化仕上げによって得られた、全種類のベースを含む。
【0055】
合成油と鉱油との混合物をまた使用することができる。
【0056】
一般的に、それらが、有用なエンジン又は車両変速機に適応した性質、特に、粘度、粘度指数、硫黄含有率、酸化強度、を有さなければならないことを除いて、本発明に係る潤滑組成物を製造するための異なる潤滑ベースの使用について、制限は存在しない。
【0057】
本発明に係る潤滑組成物の基油はまた、合成油、例えば、カルボン酸及びアルコールの幾つかのエステルの中から、並びにポリアルファオレフィンの中から選択することができる。基油として使用されるポリアルファオレフィンは、例えば、4〜32個の炭素原子を含むモノマーから、例えば、オクテン又はデセンから得られ、ASTM D445標準に従った100℃での粘度が、1.5〜15mm2・s-1に含まれる。それらの平均分子量は、一般的に、ASTM D5296標準に従って、250〜3000に含まれる。
【0058】
有利には、本発明に係る潤滑組成物は、組成物の全体質量に対して、50mass%以上の基油を含む。
【0059】
より有利には、本発明に係る潤滑組成物は、組成物の全体質量に対して、60mass%以上、又はさらに70mass%以上の基油を含む。
【0060】
より特別に有利な方法では、本発明に係る潤滑組成物は、組成物の全体質量に対して、75〜99.9mass%の基油を含む。
【0061】
本発明はまた、本発明に係る少なくとも1つの潤滑組成物と、少なくとも1つの基油と、少なくとも1つの添加剤とを含む電動車両用の潤滑組成物を提供する。
【0062】
多くの添加剤を、本発明に係るこの潤滑組成物のために使用することができる。
【0063】
本発明に係る潤滑組成物用の好ましい添加剤は、洗剤添加剤、耐摩耗添加剤、摩擦改質添加剤、極圧添加剤、分散剤、流動点を改善する薬剤、消泡剤、増粘剤及びそれらの混合物の中から選択される。
【0064】
好ましくは、本発明に係る潤滑組成物は、少なくとも1つの耐摩耗添加剤、少なくとも1つの極圧添加剤又はそれらの混合物を含む。
【0065】
耐摩耗添加剤及び極圧添加剤は、これらの表面上に吸着した保護膜を形成することによって摩擦表面を保護する。
【0066】
多くの種類の耐摩耗添加剤が存在する。好ましくは、本発明に係る潤滑組成物のために、耐摩耗添加剤は、アルキルチオリン酸金属、特に、アルキルチオリン酸亜鉛、より具体的にはジアルキルジチオリン酸亜鉛又はZnDTPのようなリン−硫黄添加剤の中から選択される。好ましい化合物は、式Zn((SP(S)(OR1)(OR2))2であり、式中、R1及びR2は、同一か又は非同一のいずれかであり、独立してアルキル基、好ましくは1〜18個の炭素原子を含むアルキル基を示す。
【0067】
リン酸アミンはまた、本発明に係る潤滑組成物中で使用することができる耐摩耗添加剤である。しかしながら、これらの添加剤によってもたらされるリンは、これらの添加剤が灰を生成するため、自動車の触媒システムに対する毒として作用することがある。リン酸アミンを、リンを提供しない添加剤、例えば、ポリスルフィド、特に、硫黄含有オレフィンと、部分的に置換することでこれらの影響を最小化することが可能である。
【0068】
有利には、本発明に係る潤滑組成物は、潤滑組成物の全体質量に対して、0.01〜6mass%、好ましくは0.05〜4mass%、より好ましくは0.1〜2mass%の耐摩耗添加剤及び極圧添加剤を含むことができる。
【0069】
有利には、本発明に係る潤滑組成物は、少なくとも1つの摩擦改質添加剤を含むことができる。摩擦改質添加剤は、金属元素を提供する化合物及び灰を含まない化合物の中から選択することができる。金属元素を提供する化合物の中で、遷移金属、例えば、Mo、Sb、Sn、Fe、Cu、Znの複合体を言及することができ、その配位子は、酸素、窒素、硫黄又はリン原子を含む炭化水素化合物であることができる。灰を含まない摩擦改質添加剤は一般的に有機源であり、脂肪酸及びポリオールモノエステル、アルコキシル化アミン、アルコキシル化脂肪族アミン、脂肪族エポキシド、ボレート化脂肪族エポキシド、脂肪族アミン又は脂肪酸のグリセロールエステルの中から選択することができる。本発明によれば、脂肪族化合物は、10〜24個の炭素原子を含む少なくとも1つの炭化水素基を含む。
【0070】
有利には、本発明に係る潤滑組成物は、潤滑組成物の全体質量に対して、0.01〜2mass%又は0.01〜5mass%、好ましくは0.1〜1.5mass%又は0.1〜2mass%の摩擦改質添加剤を含むことができる。
【0071】
有利には、本発明に係る潤滑組成物は、少なくとも1つの抗酸化添加剤を含むことができる。
【0072】
抗酸化添加剤は、一般的に、作用する潤滑組成物の劣化を遅らせる可能性を与える。この劣化は、特に、堆積物の形成によって、泥の存在によって、又は潤滑組成物の粘度の増加によって表現することができる。
【0073】
抗酸化添加剤は、特に、ラジカル防止剤又はヒドロペルオキシドデストラクターとして作用する。現在使用される抗酸化添加剤の中から、フェノールタイプの抗酸化添加剤、アミンタイプの抗酸化添加剤、リン−硫黄含有抗酸化添加剤を言及することができる。幾つかのこれらの抗酸化添加剤、例えば、リン−硫黄含有抗酸化添加剤は灰を生成するものであることがある。フェノール性抗酸化添加剤は、灰がないことがあるか、或いは中性又は塩基性の金属塩の形態であることがある。抗酸化添加剤は、特に、立体障害型フェノール、立体障害型フェノールエステル、及びチオエーテル架橋を含む立体障害型フェノール、ジフェニルアミン、少なくとも1つのC1〜C12アルキル基で置換されたジフェニルアミン、N,N’−ジアルキル−アリール−ジアミン、並びにそれらの混合物の中から選択することができる。
【0074】
好ましくは、本発明によれば、立体障害型フェノールは、フェノール基、少なくとも1つのC1〜C10アルキル基、好ましくはC1〜C6アルキル基、好ましくはC4アルキル基、好ましくはter−ブチル基で置換されたアルコール機能を含む炭素に隣接する少なくとも1つの炭素を含む化合物の中から選択される。
【0075】
アミン化合物は、任意選択でフェノール性抗酸化添加剤と組み合わせて使用することができる別分類の抗酸化添加剤である。アミン化合物の例は、例えば、式NR123であって、式中、R1が、任意選択で置換された脂肪族基又は芳香族基を示し、R2が、任意選択で置換された芳香族基を示し、R3が、水素原子、アルキル基、アリール基又は式R4S(O)z5の基(式中、R4がアルキレン基又はアルケニレン基を示し、R5がアルキル基、アルケニル基又はアリール基を示し、Zが0、1又は2を示す)である、芳香族アミンである。
【0076】
硫化アルキルフェノール又はそれらのアルカリ及びアルカリ土類金属塩をまた、抗酸化添加剤として使用することができる。
【0077】
抗酸化添加剤の別の分類は、銅含有化合物、例えば、銅チオ−又は銅ジチオ−ホスフェート、銅塩、及びカルボン酸、ジチオカルバメート、スルホネート、フェネート、銅アセチルアセトネートである。
【0078】
本発明に係る潤滑組成物は、当業者に公知である任意の種類の抗酸化添加剤を含有することができる。
【0079】
有利には、潤滑組成物は、灰を含まない少なくとも1つの抗酸化添加剤を含む。
【0080】
また有利には、本発明に係る潤滑組成物は、組成物の全体質量に対して、0.5〜2wt%の少なくとも1つの抗酸化添加剤を含む。
【0081】
本発明に係る潤滑組成物はまた、少なくとも1つの洗剤添加剤を含むことができる。
【0082】
洗剤添加剤は、一般的に、二次酸化及び燃焼の生成物の溶解によって、金属部分の表面で堆積物の形成を減らす可能性を与える。本発明に係る潤滑組成物中で使用される洗剤添加剤は、当業者に一般的に公知である。洗剤添加剤は、長い親油性炭化水素鎖及び親水性の頭部を含むアニオン性化合物であることができる。関連するカチオンはアルカリ又はアルカリ土類金属の金属カチオンであることができる。
【0083】
洗剤添加剤は、好ましくは、カルボン酸を含むアルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩、スルホネート、サリチレート、ナフテナート、並びにフェネート塩の中から選択される。アルカリ及びアルカリ土類金属は、好ましくは、カルシウム、マグネシウム、ナトリウム又はバリウムである。
【0084】
これらの金属塩は、一般的に、化学量論量或いは超過、したがって、化学量論量より多い量で金属を含む。次いで、これらは過塩基洗剤添加剤であり、次いで、洗剤添加剤に対して過塩基な性質を提供する過剰な金属は、一般的に、油不溶金属塩、例えば、カルボネート、ヒドロキシド、オキサレート、アセテート、グルタメートの形態であり、好ましくはカルボネートの形態である。
【0085】
有利には、本発明に係る潤滑組成物は、潤滑組成物の全体質量に対して、2〜4wt%の洗剤添加剤を含むことができる。
【0086】
また有利には、本発明に係る潤滑組成物はまた、少なくとも1つの流動点低下添加剤を含むことができる。
【0087】
パラフィン結晶の形成を遅くすることで、流動点低下添加剤は、一般的に、本発明に係る潤滑組成物の低温挙動を改善する。
【0088】
流動点低下添加剤の例として、アルキルポリメタクリレート、ポリアクリレート、ポリアリールアミド、ポリアルキルフェノール、ポリアルキルナフタレン、アルキル化ポリスチレンを言及することができる。
【0089】
有利には、本発明に係る潤滑組成物はまた、少なくとも1つの分散剤を含むことができる。
【0090】
分散剤は、マンニッヒ塩基、スクシンイミド及びそれらの誘導体から選択することができる。
【0091】
また有利には、本発明に係る潤滑組成物は、潤滑組成物の全体質量に対して、0.2〜10mass%の分散剤を含むことができる。
【0092】
有利には、潤滑組成物はまた、粘度指数を改善する少なくとも1つの追加のポリマーを含むことができる。この追加のポリマーは、一般的に、ポリアルキレングリコール(PAG)の中から選択される油可溶ポリマーとは異なる。
【0093】
粘度指数を改善する追加のポリマーの例として、ポリマーエステル、水素化又は非水素化のスチレン、ブタジエン、及びイソプレンのホモポリマー又はコポリマー、ポリメタクリレート(PMA)を言及することができる。
【0094】
また有利には、本発明に係る潤滑組成物は、潤滑組成物の全体質量に対して、1〜15mass%の、ポリアルキレングリコール(PAG)の中から選択される油中で可溶なポリマー及び粘度指数を改善するこの追加のポリマーを含むことができる。
【0095】
本発明に係る潤滑組成物は、異なる形態で生じることができる。本発明に係る潤滑組成物は、特に、無水組成物であることができる。好ましくは、この潤滑組成物はエマルジョンではない。
【0096】
本発明はまた、エンジン、特に車両エンジンの燃料消費を減らすための、本発明に係る潤滑組成物の使用に関する。
【0097】
本発明はまた、車両エンジン用の油のトラクション係数を減らすための、本発明に係る潤滑組成物の使用に関する。
【0098】
本発明はまた、この組成物によって潤滑されたブリッジ又はギアボックスを備えた車両の燃料消費を減らすための、本発明に係る潤滑組成物の使用に関する。
【0099】
本発明はまた、この組成物によって潤滑された変速機を備えた車両の燃料消費を減らすための、本発明に係る潤滑組成物の使用に関する。
【0100】
本発明はまた、変速機油、特にギアボックス油又はブリッジ油のトラクション係数を減らすための、本発明に係る潤滑組成物の使用に関する。
【0101】
本発明はまた、潤滑剤の燃料節約(FE)を改善するための、本発明に係る式(I)の少なくとも1つの油の使用に関する。
【0102】
本発明はまた、エンジン、特に車両エンジンの燃料消費を減らすための、本発明に係る式(I)の少なくとも1つの油の使用に関する。
【0103】
本発明はまた、車両エンジン用の油のトラクション係数を減らすための、本発明に係る式(I)の少なくとも1つの油の使用に関する。
【0104】
本発明はまた、この油によってブリッジ又はギアボックスを備えた車両の燃料消費を減らすための、本発明に係る式(I)の少なくとも1つの油の使用に関する。
【0105】
本発明はまた、この油よって潤滑された変速機を備えた車両の燃料消費を減らすための、本発明に係る式(I)の少なくとも1つの油の使用に関する。
【0106】
本発明はまた、変速機油、特にギアボックス油又はブリッジ油のトラクション係数を減らすための、本発明に係る式(I)の少なくとも1つの油の使用に関する。
【0107】
本発明によれば、式(I)の油及び潤滑組成物は、車両エンジンを潤滑するために使用することができる。
【0108】
本発明に係る潤滑組成物又は式(I)の油のこれらの使用は、エンジン、変速機、特に、ギアボックス又はブリッジの少なくとも1つの部材を、本発明に係る潤滑組成物又は式(I)の油と接触させることを含む。
【0109】
類推によって、本発明に係る式(I)の油又は本発明に係る潤滑組成物の特定の、有利な又は好ましい特性は、本発明に係る特定の、有利な又は好ましい使用を規定する。
【0110】
本発明はまた、式(I)
【化2】
の少なくとも1つの油から本発明に係る潤滑組成物を調製するための方法に関し、式中、
・Rが直鎖状又は分枝状C1〜C30アルキル基を示し、
・m及びnが、独立して、1〜5の範囲の平均数を示す。
【0111】
式(I)の油は、一般的に、アルカリ又はアルカリ土類金属の水酸化物の溶液と混合されて、式R−OHの開始剤アルコールから調製される。
【0112】
開始剤アルコールとして、2−エチルヘキサノール及びドデカノールが好ましい。アルカリ又はアルカリ土類金属の水酸化物として、水酸化カリウムが好ましい。
【0113】
不活性雰囲気下で、少なくとも1つの開始剤アルコールと少なくとも1つのアルカリ土類金属水酸化物の混合物を、80〜130℃の範囲であることがある、例えば、約115℃である温度に加熱する。
【0114】
次に、水の存在を制限するために、例えば、フラッシュ蒸発で媒体中に存在する水を、例えば、0.1wt%未満の濃度まで除去する。
【0115】
次に、1,2−プロピレンオキシドと1,2−ブチレンオキシドとを、90〜150℃の範囲であることがある、例えば、130℃の温度で、350〜550kPaの範囲であることがある圧力で入れる。混合物は、撹拌されて5〜25時間作用させられる。
【0116】
次に、残留触媒が、例えば、ケイ酸マグネシウムを通じて濾過によって分離される。
【0117】
式(II)
【化3】
の中間生成物が得られ、式中、
・Rが直鎖状又は分枝状C1〜C30アルキル基を示し、
・m及びnが、独立して、1〜5の範囲の平均数を示す。
【0118】
次に、式(II)の中間生成物は、アルコール(例えば、メタノール)中で、アルカリ又はアルカリ土類金属のアルコキシド溶液の溶液存在下で、80〜140℃の範囲であることがある温度、例えば、120℃の温度と、例えば、1kPa未満の減圧下において、不活性雰囲気下で反応する。アルカリ又はアルカリ土類金属のアルコキシドとして、ナトリウムメトキシドが好ましい。
【0119】
ハロゲン化アルキルを加えて、50〜130℃の範囲であることがある温度、例えば、80℃の温度で、120〜350kPaの範囲であることがある圧力、例えば、260kPaの圧力で、5〜25時間作用させる。ハロゲン化アルキルとして、塩化メチルが好ましい。
【0120】
混合物は撹拌されて、50〜130℃の範囲であることがある温度、例えば、80℃の温度で、15分間〜15時間、例えば、1.5時間作用させられる。
【0121】
次に、形成されたアルキルエーテルと未反応のハロゲン化アルキルを、例えば、フラッシュ蒸発によって分離する。アルカリ又はアルカリ土類金属のハロゲン化物は、例えば、水で洗浄される。
【0122】
塩水相を、例えば、デカンテーションで分離する。次に、残留水を、例えば、ケイ酸マグネシウム及びフラッシュ蒸発で分離する。本発明に係る式(I)の油を得るために、混合物を冷却させて、次いで、例えば、ケイ酸マグネシウムでそれを濾過させることが可能である。
【0123】
本発明に係る式(I)は、本発明に係る潤滑組成物を形成するために、1つ又は複数の他の基油及び1つ又は複数の添加剤を組み込むことができる。
【0124】
本発明の異なる態様を、以下の例で例示する。
【実施例】
【0125】
例1:本発明に係る式(I)のPAG油の調製−油(1)
【化4】
平均値:m=3.53、n=2.84
オートクレーブステンレス鋼反応器中に、ドデカノール(2647g)を開始剤として入れて、その後、45mass%の水酸化カリウムの溶液(28.2g)を入れた。混合物を、窒素雰囲気下で115℃に加熱した。
【0126】
次に、水を、0.1wt%未満の水濃度まで、フラッシュ蒸発(115℃、3MPa)によって除去した。
【0127】
1,2−プロピレンオキシド(2910g)と1,2−ブチレンオキシド(2910g)との混合物を、130℃の温度かつ490kPaの圧力で反応器中に入れた。混合物を撹拌して、130℃で14時間反応させた。
【0128】
残留触媒を50℃でケイ酸マグネシウムを通じて濾過することで分離して、ASTM D445標準で従って測定した40℃での動粘度が22.4mm2・s-1であり、ASTM 445標準に従って測定した100℃での動粘度が4.76mm2・s-1であり、粘度指数が137であり、流動点が−48℃である、中間生成物(A)を得た。
【0129】
ステンレス鋼のオートクレーブ反応器中に、生成物(A)(8266g)を入れた。メタノール中で25mass%のナトリウムメトキシドの溶液(3060g)を加えて、120℃で12時間、窒素流(200mL/分)で、減圧(1kPa未満)で撹拌した(180回転/分)。
【0130】
塩化メチル(751g)を、80℃かつ圧力(260kPa)下で加えた。
【0131】
混合物を撹拌して、80℃で1.5時間反応させた。
【0132】
次に、反応しなかったジメチルエーテルと塩化メチルとを分離するために、フラッシュ蒸発(10分間、80℃、減圧下)を行った。
【0133】
混合物から塩化ナトリウムを洗浄するために、水(2555g)を加えて、次いで、80℃で40分間撹拌した。撹拌をやめて、混合物を80℃で1時間、静止状態で放置した。
【0134】
塩水相(3283g)を、デカンテーションによって分離して、ケイ酸マグネシウム(50g)を残りの混合物に加えて、フラッシュ蒸発を、残留水を分離するために、窒素流(200mL/分)下で、撹拌(180回転/分)しながら行った(1時間、100℃、1kPa未満の圧力)。
【0135】
混合物を60℃で冷却させて、次いで、油(1)(8359g)を分離するために、50℃でケイ酸マグネシウム上で濾過した。メチル化工程の収率は98.6mass%であった。
【0136】
この油(1)については、ASTM D445標準で従って測定した40℃での動粘度が14.4mm2・s-1であり、ASTM D445標準に従って測定した100℃での動粘度が3.98mm2・s-1であり、ISO3016標準に従って測定した流動点が−54℃であった。
【0137】
この油の粘度指数は194であり、ASTM D5293標準に従って測定した−35℃でのその絶対粘度(CCS)は1120mPa・sであった。
【0138】
例2:本発明に係る式(I)のPAG油の調製−油(2)
【化5】
平均値:m=2.45、n=1.97
オートクレーブステンレス反応器中に、ドデカノール(2369g)を開始剤として入れて、次いで、45mass%の水酸化カリウムの溶液(20.02g)を入れた。混合物を、窒素雰囲気下で115℃に加熱した。フラッシュ蒸発を、水を分離するために混合物で行った(115℃、3MPa)。混合物の水濃度を0.1mass%未満に下げた。
【0139】
1,2−プロピレンオキシド(1808.5g)と1,2−ブチレンオキシド(1808.5g)との混合物を、130℃の温度かつ490kPaの圧力で反応器中に入れた。混合物を撹拌して、130℃で14時間反応させた。
【0140】
残留触媒を、50℃でケイ酸マグネシウムを通じて濾過することで分離して、ASTM D445標準に従って測定した40℃での動粘度が16.1mm2・s-1であり、ASTM D445標準に従って測定した100℃での動粘度が3.7mm2・s-1であり、流動点が−39℃である、中間生成物(B)を得た。
【0141】
オートクレーブステンレス鋼反応器中に、一部の生成物(B)(5797g)を入れた。メタノール中で25mass%のナトリウムメトキシドの溶液(2765g)を加えて、120℃で12時間、窒素流(200mL/分)で、減圧(1kPa未満)で撹拌した(180回転/分)。
【0142】
反応器の混合物の一部(3825g)を空にした。
【0143】
次に、反応器中に残っていた混合物の残りの部分(2264g)に、塩化メチル(252g)を、80℃かつ圧力(260kPa)下で加えた。
【0144】
混合物を撹拌して、80℃で1.5時間作用させた。
【0145】
次に、フラッシュ蒸発を、ジメチルエーテルと未反応の塩化メチルとを分離するために行った(10分間、80℃、減圧下)。
【0146】
混合物の塩化ナトリウムを洗浄するために、水(796g)を加えて、次いで、80℃で40分間撹拌した。撹拌をやめて、混合物を80℃で1時間、静止状態で放置した。
【0147】
塩水相(961g)を、デカンテーションによって分離して、ケイ酸マグネシウム(50g)を残りの混合物に加えて、フラッシュ蒸発を、窒素流(200mL/分)下で、撹拌(180回転/分)しながら行った(1時間、100℃、1kPa未満の圧力)。
【0148】
混合物を60℃で冷却させて、次いで、油(2)(2218g)を分離するために、50℃でケイ酸マグネシウム上で濾過した。メチル化工程の収率は93.7mass%であった。
【0149】
この油(2)については、ASTM D445標準に従って測定した40℃での動粘度が9.827mm2・s-1であり、ASTM D445標準に従って測定した100℃での動粘度が2.97mm2・s-1であり、ISO3016標準に従って測定した流動点が−48℃であった。
【0150】
この油の粘度指数は172であり、ASTM D5293標準に従って測定した−35℃での絶対粘度(CCS)は450mPa・sであった。
【0151】
比較例3:公知のPAG油の調製−比較の油(1)
【化6】
平均値:m=1.76、n=1.42
オートクレーブステンレス鋼反応器中に、ドデカノール(4364g)を開始剤として入れて、その後、45mass%の水酸化カリウムの溶液(39.68g)を入れた。混合物を、窒素雰囲気下で115℃に加熱した。
【0152】
フラッシュ蒸発を、水を分離するために混合物で行った(115℃、3MPa)。混合物の水濃度を0.1mass%未満に下げた。
【0153】
1,2−プロピレンオキシド(2276g)と1,2−ブチレンオキシド(2276g)とを、130℃の温度かつ370kPaの圧力で反応器中に入れた。混合物を撹拌して、130℃で12時間作用させた。
【0154】
残留触媒を、50℃でケイ酸マグネシウムを通じて濾過することで分離して、ASTM D445標準に従って測定した40℃での動粘度が12.2mm2・s-1であり、ASTM D445標準に従って測定した100℃での動粘度が3.0mm2・s-1であり、流動点が−29℃である、比較の油(1)を得た。
【0155】
この油の粘度指数は60であり、ASTM D5293標準に従って測定した−35℃での絶対粘度(CCS)は4090mPa・sであった。
【0156】
比較例4:公知のPAG油の調製−比較の油(2)
【化7】
平均値:m=2.79、n=2.25
オートクレーブステンレス鋼反応器中に、ドデカノール(3141g)を開始剤として入れて、その後、45mass%の水酸化カリウムの溶液(38.4g)を入れた。混合物を、窒素雰囲気下で115℃に加熱した。フラッシュ蒸発を、水を分離するために混合物で行った(115℃、3MPa)。混合物の水濃度を0.1mass%未満に下げた。
【0157】
1,2−プロピレンオキシド(2735.5g)と1,2−ブチレンオキシド(2735.5g)との混合物を、130℃の温度かつ370kPaの圧力で反応器中に入れた。混合物を撹拌して、130℃で12時間反応させた。
【0158】
残留触媒を、50℃でケイ酸マグネシウムを通じて濾過することで分離して、ASTM D445標準に従って測定した40℃での動粘度が18.0mm2・s-1であり、ASTM D445標準に従って測定した100℃での動粘度が4.0mm2・s-1であり、流動点が−41℃である、比較の油(2)を得た。
【0159】
この比較の油(2)の粘度指数は116であり、ASTM D5293標準に従って測定した−35℃での絶対粘度(CCS)は3250mPa・sであった。
【0160】
例5:本発明に係る潤滑組成物、比較の潤滑組成物の調製と、電動車両の変速機の潤滑用のこれらの組成物の性質の評価
表1の量(mass%)に従って潤滑組成物を調製するために、潤滑組成物を、例2に係る油(2)及び公知の油を、他の基油及び添加剤と混合することで調製した。
【0161】
【表2】
【0162】
調製した潤滑組成物の特性を評価して、得られた結果を表2に示した。
【0163】
【表3】
【0164】
エネルギー収率を、グループIIIの油に基づくギアボックス用の商用油(KV100=7.46mm2・s-1、KV40=33.97mm2・s-1、VI=196)と比較して評価した。評価した組成物とこの商用油の間のエネルギー収率の偏差(ずれ)を測定した。
【0165】
したがって、この試験は、出力トルクを入力トルクと比較することで、エネルギー収率を評価する可能性と、使用したギアボックスの収率を測定する可能性とを与えた。
【0166】
それによって、適用したギアボックス用の油の燃料節約の性質を評価することができた。
【0167】
この試験中に、5つのギアを持つ手動ギアボックスを使用した。油の温度は20℃及び50℃であった。それらは、特に、低温条件(20℃)下で、それらの燃料節約の性質を持つ油を良好に差別化する可能性を与えた。入力トルクを30Nmに、次いで90Nmに設定した。入力条件を1000rpmに、次いで3000rpmに設定した。各油の温度及び各ギア比について、使用条件を表Bに示す。
【0168】
【表4】
【0169】
この試験は、NEDC欧州試験をシミュレーションする可能性と、特定の油により潤滑されたギアボックスのCO2排出及び燃料消費を決定する可能性とを与えた。収率値が高いほど、燃料消費の低減が良好になる。
【0170】
したがって、技術水準のグループIIIの2つの油を含む潤滑組成物と比較して、本発明に係る油(2)を含む潤滑組成物は改善した性質を有した。
【0171】
粘度指数が極めて優れていた。トラクション係数は少なくとも7%に下がった。エネルギー収率はまた大きく改善し、グループIIIの油に基づく商用油に基づく組成物と比較して3倍超の向上を可能とした。したがって、これらのパラメータは、本発明に係る組成物の燃料節約の向上を示す可能性を与えることが確かめられた。
【0172】
本発明に係る潤滑組成物はまた、技術水準に係る潤滑組成物と比べて同一レベルか又は大きい酸化耐性を有した。異なるエラストマーへのそれらの相溶性は、それらが接触している変速機ガスケットで使用されることがあり、それはまた、技術水準の潤滑組成物と比べて同一レベルか又は良好であった。
【0173】
さらに、本発明に係る組成物は、自動車用の変速機の機械部品の摩耗に対する良好な耐性を可能とした。
【0174】
最後に、本発明に係る油(2)の20%を含む潤滑組成物の性質における改善は、本発明に係る油(2)の38.45%を含む潤滑組成物に比べ同程度か又は大きいことが確かめられた。
【0175】
例6:本発明に係る潤滑組成物、比較の潤滑組成物の調製と、車両エンジンの潤滑用のこれらの組成物の性質の評価
潤滑組成物を、表3の量(mass%)に従って潤滑組成物を調製するために、例1に係る油(1)及び公知の油を、他の基油及び添加剤と混合することによって調製した。
【0176】
【表5】
【0177】
調製した潤滑組成物の特性を評価して、得られた結果を表4に示した。
【0178】
【表6】
【0179】
技術水準のグループIIIの2つの油とグループIVの油とを含む潤滑組成物と比較して、本発明に係る油(1)を含む潤滑組成物は改善した性質を有した。
【0180】
粘度指数が優れるか又は極めて優れ、ノアック揮発性が改善された。したがって、これらのパラメータは、本発明に係る組成物の「燃料節約」の向上を示す可能性を与えた。
【0181】
本発明に係る潤滑組成物はまた、技術水準の潤滑組成物より大きい酸化耐性を有した。本発明に係る潤滑組成物の洗浄力は、技術水準の潤滑組成物と比べて同一レベルか又は良好であった。
【0182】
本発明に係る潤滑組成物の異なるエラストマーへの相溶性は、それらが接触している変速機ガスケットで使用されることがあり、それはまた、技術水準の潤滑組成物と比べて同一レベルか又は良好であった。
【0183】
最後に、本発明に係る油(1)の8%を含む潤滑組成物の性質における改善は、本発明に係る油(1)の27.7%を含む潤滑組成物に比べ同程度か又は優れていることが確かめられた。
【0184】
例7:本発明に係る潤滑組成物、比較の潤滑組成物の調製と、車両エンジンの潤滑用のこれらの組成物の性質の評価
潤滑組成物を、表5の量(mass%)に従って、例1に係る油(1)及び公知の油を、他の基油と混合することによって調製した。比較の潤滑組成物(3)をまた、比較例(3)に係る比較の油(2)から調製した。
【0185】
【表7】
【0186】
調製した潤滑組成物の特性を評価して、得られた結果を表6に示した。
【0187】
【表8】
【0188】
技術水準のグループIIIの2つの油と比較の油(2)とを含む潤滑組成物と比較して、本発明に係る油(1)を含む潤滑組成物は改善した性質を有した。
【0189】
測定した100℃での動粘度はより低かった。絶対粘度(−35℃でのCCS)はより低く、それは、本発明に係る組成物の低温挙動における改善を示した。
【0190】
さらに、粘度指数は極めて優れ、ノアック揮発性は大きく改善された。したがって、これらのパラメータは、本発明に係る組成物の「燃料節約」の向上を示す可能性を与えた。
【0191】
例8:本発明に係る潤滑組成物、比較の潤滑組成物の調製と、車両エンジンの潤滑用のこれらの組成物の性質の評価
潤滑組成物を、表7の量(mass%)に従って潤滑組成物を調製するために、例1に係る油(1)及び公知の油を別の基油及び添加剤と混合することによって調製した。
【0192】
【表9】
【0193】
調製した潤滑組成物の特性を評価して、得られた結果を表8に示した。
【0194】
【表10】
【0195】
技術水準のグループIIIの油と、グループIVの油と、比較の油(2)とを含む潤滑組成物と比較して、本発明に係る油(1)を含む潤滑組成物は改善した性質、より具体的には「燃料節約」の向上を有した。
【0196】
粘度指数は優れていた。絶対粘度(−35℃でのCCS)は劣っていた。
【0197】
酸化耐性は改善した。
【0198】
例9:本発明に係る潤滑組成物、比較の潤滑組成物の調製と、電動車両の変速機の潤滑用のこれらの組成物の性質の評価
潤滑組成物を、表9の量(mass%)に従って潤滑組成物を調製するために、例2に係る油(2)及び公知の油を別の基油及び添加剤と混合することによって調製した。
【0199】
【表11】
【0200】
調製した潤滑組成物の特性を評価して、得られた結果を表10に示した。
【0201】
【表12】
【0202】
技術水準のグループIVの油と比較の油(1)とを含む潤滑組成物と比較して、本発明に係る油(2)を含む潤滑組成物は改善した性質を有した。
【0203】
粘度指数は極めて優れ、トラクション係数は12%超下がった。したがって、これらのパラメータは、本発明に係る組成物の「燃料節約」の向上を示す可能性を与えた。