特許第6695854号(P6695854)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6695854
(24)【登録日】2020年4月24日
(45)【発行日】2020年5月20日
(54)【発明の名称】組織を切断する装置および方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/3205 20060101AFI20200511BHJP
   A61B 17/56 20060101ALI20200511BHJP
【FI】
   A61B17/3205
   A61B17/56
【請求項の数】11
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2017-507738(P2017-507738)
(86)(22)【出願日】2015年8月6日
(65)【公表番号】特表2017-525459(P2017-525459A)
(43)【公表日】2017年9月7日
(86)【国際出願番号】US2015044034
(87)【国際公開番号】WO2016028507
(87)【国際公開日】20160225
【審査請求日】2018年7月12日
(31)【優先権主張番号】14/463,757
(32)【優先日】2014年8月20日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】512303149
【氏名又は名称】ジャイラス・エーシーエムアイ・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ケヴィン・シー・エドワーズ
(72)【発明者】
【氏名】ジェイ・エー・ケイシー
【審査官】 北川 大地
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2005/0090848(US,A1)
【文献】 特表2014−529426(JP,A)
【文献】 仏国特許出願公開第02662778(FR,A1)
【文献】 特開平06−327692(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/3205
A61B 17/56
A61B 17/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
遠位端部および近位端部を有する外管と、
前記外管内に回転可能に配置された内管であって、前記内管が、遠位端部と、近位端部と、前記遠位端部および前記近位端部の中間の領域と、を有し、前記領域が、前記内管の前記領域に柔軟性をもたせるように前記内管に形成された複数のスリットを有する、内管と、
前記内管の前記領域を液密にするために、前記複数のスリットに隣接して前記内管の外部の周りに配置されたベローズと、
を備え
前記ベローズの外面が、前記ベローズと前記外管との間に通路を提供するように部分的に除去されていることを特徴とする切断器具。
【請求項2】
前記ベローズが、遠位端部および近位端部を含み、更に、前記ベローズが、前記ベローズの前記遠位端部および前記ベローズの前記近位端部において前記内管に固定されている請求項に記載の切断器具。
【請求項3】
前記ベローズが、前記内管の外部にかつ前記外管の内部に配置され、更に、前記ベローズと前記外管との間に通路を提供するように、前記ベローズの外面が前記外管から離間されている請求項1または2に記載の切断器具。
【請求項4】
前記ベローズが、前記内管の外部にかつ前記外管の内部に配置され、更に、前記ベローズの外面が前記外管に接触している請求項1からのいずれか一項に記載の切断器具。
【請求項5】
前記ベローズが、前記内管の外部にかつ前記外管の内部に配置され、更に、前記ベローズが、前記ベローズと前記外管との間に螺線形の通路を提供するように、螺線形のベローズを含む請求項1からのいずれか一項に記載の切断器具。
【請求項6】
前記内管の前記近位端部に接続された吸引源を更に備える請求項1からのいずれか一項に記載の切断器具。
【請求項7】
前記外管の前記近位端部に接続された潅注源を更に備える請求項1からのいずれか一項に記載の切断器具。
【請求項8】
前記外管が湾曲している請求項1からのいずれか一項に記載の切断器具。
【請求項9】
前記外管は柔軟性がある請求項1からのいずれか一項に記載の切断器具。
【請求項10】
前記外管が、窓縁部を有する窓を備え、前記内管が、開口縁部を有する開口部を備え、前記内管の前記開口部が、前記外管の前記窓と長手方向に位置合わせされ、
更に、前記内管が前記外管に対して回転するとき、(i)前記外管に対する前記内管の回転の第一フェーズ中に、前記開口部は、物体が前記内管内に延在することを可能にするように前記窓に回転可能に位置合わせされ、(ii)前記外管に対する前記内管の回転の第二フェーズ中に、前記開口縁部が、前記内管内に延在する物体を切断するように前記窓縁部のそばを通過する請求項1からのいずれか一項に記載の切断器具。
【請求項11】
前記外管および前記内管のうちの少なくとも一方が切断面を含む請求項から10のいずれか一項に記載の切断器具
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2014年8月20日に出願された、米国特許出願第14/463,757号の利益を主張し、この米国特許出願の内容全体が、参照により本明細書に援用される。
【0002】
本発明は、一般に、外科用装置および方法に関し、より詳細には、組織を切断する外科用装置および方法に関する。
【背景技術】
【0003】
多くの状況において、組織は、遠隔の手術部位においてアクセスされ、隣接する解剖学的組織から摘出され、次に切除された組織が遠隔手術部位から除去される必要がある場合がある。限定ではなく例として、関節鏡視下手術、内視鏡下手術、ENT手術等の間、比較的小さな可視化デバイス(例えば、「スコープ」)および比較的小さな手術具(例えば、把持具、切断具、焼灼具等)が人体の制限された部分(例えば、関節内部、腹部内部、鼻腔内部等)に導入され、その後、その場所において、特定の外科的処置(例えば、関節内の半月板の軟骨の切除、腹部の組織塊の摘出、鼻腔内の組織塊の摘出等)のために用いられることが可能である。
【0004】
多くのそのような手術において、より良好なアクセスおよび/もしくは可視化のために解剖学的組織を拡張し(例えば、より良好なアクセスおよび/もしくは可視化のために膝関節を拡張し)、かつ/または可視性を改善し(例えば、血液を洗い流し)、かつ/または組織片を除去する(例えば、分断した組織を吸引によって除去する)ように、手術部位に液体を導入する(その後、手術部位から除去する)ことができる。
【0005】
そのような手術において頻繁に用いられる手術具のうちの1つは、いわゆる「電動シェーバ」である。「電動シェーバ」は、通常、窓を有する外管と、外管内に回転可能に配置され、開口部を有する内管と、を備え、外管内の内管の回転によって、内管の開口部が、外管の窓を反復的に掃引し、それによって、外管の窓内および内管の開口部内に延在する組織をせん断する。吸引は、通常、電動シェーバによって切り落とされた組織を除去するように、内管の内部に対して適用される。
【0006】
理想的には、上述した切断動作を提供することに加えて、電動シェーバは、外科医が所望するように、遠隔の手術部位に対して潅注もしくは吸引のいずれかを提供するか、または遠隔の手術部位に対して潅注および吸引を同時に提供することもできる。
【0007】
1つの構造では、潅注液は、外管の内部と内管の外部との間の間隙に供給され、それによって、潅注液を用いて、解剖学的組織を拡張し、かつ/または血液および/もしくは細胞片を洗い流すことができ、潅注液(および/または血液および/または細胞片)は内管の内部に適用される吸引によって手術部位から除去される。このようにして、電動シェーバは、単一のデバイスにおいて、潅注、切断および吸引を提供することができる。
【0008】
不都合なことに、多くの状況において、湾曲した(すなわち、非線形の)構造を用いて電動シェーバを形成することが望ましい場合がある。この状況では、内管は、湾曲した軸(すなわち、外管の湾曲した軸)の周りを回転することができるように、柔軟性がなくてはならないが、切断を可能にするようにその長さ方向にトルクを伝達することも可能でなくてはならない。
【0009】
電動シェーバのための柔軟性のある、トルクを伝達する内管を形成するための1つの手法は、内管の側壁を通って延在する複数のスリットを有する内管を形成することであり、これらのスリットは、内管が湾曲した軸の周りを回転するときに撓むことを可能にする一方で、依然として、内管の長さ方向にトルクが伝達されることを可能にする。
【0010】
不都合なことに、電動シェーバの内管にスリットを設けることは、潅注液が、外管の内部と内管の外部との間の間隙を通じて手術部位に供給される場合、かつ内管の内部を通じて吸引が手術部位に適用される場合に問題である。なぜなら、内管のスリットは、潅注線と吸引線との間に効果的に「短絡」を作成し、それによって潅注機能および吸引機能を弱体化させるためである。したがって、単一のデバイスにおいて、潅注、切断および吸引を提供することができ、かつ湾曲した(すなわち、非線形の)構成を有する電動シェーバを提供することは問題となる可能性がある。
【0011】
また、外管の内部と内管の外部との間の間隙を通じて潅注液を手術部位に供給することなく、吸引が内管の内部を通じて手術部位に適用される状況では、内管にスリットを設けることにより、手術部位における吸引効率が損なわれる場合がある(すなわち、内管のスリットにより、吸引源が、外管の内部と内管の外部との間の間隙から内管壁を通じて引き出すことが可能になるため、内管の遠位端部における吸引力が低減される)。
【0012】
外管の内部と内管の外部との間の間隙に吸引を適用することなく内管の内部を通じて手術部位に潅注液が適用される場合に、同様の問題が生じる。
【0013】
このため、単一のデバイスにおいて、潅注、切断および/または吸引を独立してまたは同時に提供することができ、湾曲した(すなわち、非線形の)構成を有することができる新たな電動シェーバを提供することが有利であろう。更に、湾曲した(すなわち、非線形の)構成を有することができ、外管と、外管内で回転可能に配置された内管と、を備え、内管の管腔が内管の外部と外管の内部との間の間隙から液体封止されている、新たな電動シェーバを提供することが有利であろう。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、単一デバイスにおいて、潅注、切断および/または吸引を独立してまたは同時に提供することができ、湾曲した(すなわち、非線形の)構成を有することができる新規の電動シェーバの提供および使用を含む。
【0015】
本発明は、湾曲した(すなわち、非線形の)構成を有することができる新たな電動シェーバであって、外管と、外管内で回転可能に配置された内管と、を備え、内管の管腔が、内管の外部と外管の内部との間の間隙から液体封止されている、電動シェーバの提供および使用も含む。
【0016】
本発明の1つの形態において、
遠位端部および近位端部を有する外管と、
前記外管内に回転可能に配置された内管であって、前記内管が、遠位端部と、近位端部と、前記遠位端部および前記近位端部の中間の領域と、を有し、前記領域が、前記内管の前記領域に柔軟性をもたせるように前記内管に形成された複数のスリットを有する、内管と、
前記内管の前記領域を液密にするために、前記複数のスリットに隣接して配置されたベローズと、
を備える切断器具が提供される。
【0017】
本発明の別の形態では、物体を切断する方法であって、
切断器具を設けるステップであって、切断器具が、
遠位端部および近位端部を有する外管と、
前記外管内に回転可能に配置された内管であって、前記内管が、遠位端部と、近位端部と、前記遠位端部および前記近位端部の中間の領域と、を有し、前記領域が、前記内管の前記領域に柔軟性をもたせるように前記内管に形成された複数のスリットを有する、内管と、
前記内管の前記領域を液密にするために、前記複数のスリットに隣接して配置されたベローズと、
を含む、切断器具を設けるステップと、
物体を切断するために、前記外管に対して前記内管を回転させるステップと、
を備える方法が提供される。
【0018】
本発明のこれらのおよび他の目的および特徴は、類似の符号が類似の部品を指す添付の図面と共に説明される、本発明の好ましい実施形態の以下の詳細な説明によって、より詳細に開示され、明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1図1は、本発明に従って構成された新規の電動シェーバを示す概略図である。
図2図1に示した電動シェーバの切削刃アセンブリを示す概略図である。
図3図1に示した電動シェーバの切削刃アセンブリを示す概略図である。
図4図1図3に示した切削刃アセンブリの外管を示す概略図である。
図4A図4の切削刃アセンブリの外管の遠位端部を示す概略図であるが、外管が、図4に示した位置から長手軸周りに90度回転されている。
図5図1図3に示した切削刃アセンブリの外管を示す概略図である。
図6図1図3に示した切削刃アセンブリの内管サブアセンブリを示す概略図である。
図6A図6の内管サブアセンブリの遠位端部を示す概略図であるが、内管サブアセンブリが、図6に示した位置から長手軸周りに90度回転されている。
図7図1図3および図6に示した内管サブアセンブリの詳細を示す概略図である。
図7A図1図3および図6に示した内管サブアセンブリの詳細を示す概略図である。
図8図1図3および図6に示した内管サブアセンブリの詳細を示す概略図である。
図8A図1図3および図6に示した内管サブアセンブリと共に用いることができる代替的な内管を示す概略図である。
図8B図1図3および図6に示した内管サブアセンブリと共に用いることができる代替的な内管を示す概略図である。
図9】本発明の内管サブアセンブリで利用することができるベローズの代替形態を示す概略図である。
図10】本発明の内管サブアセンブリで利用することができるベローズの代替形態を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明は、単一デバイスにおいて、潅注、切断および/または吸引を独立してまたは同時に提供することができ、湾曲した(すなわち、非線形の)構成を有することができる新規の電動シェーバの提供および使用を含む。
【0021】
本発明は、湾曲した(すなわち、非線形の)構成を有する新規の電動シェーバの提供および使用も含む。新たな電動シェーバは、外管と、外管内で回転可能に配置された内管と、を備え、内管の管腔は、内管の外部と外管の内部との間の間隙から液体封止されている。
【0022】
より詳細には、ここで図1を参照すると、本発明に従って構成された新規の電動シェーバ5が示されている。新規の電動シェーバ5は、全体として、切削刃アセンブリ10と、ハンドルアセンブリ15と、を含む。以下で更に詳細に説明されるように、切削刃アセンブリ10は、使用時にハンドルアセンブリ15(または別のハンドルアセンブリ)に嵌合され、使用後に、(例えば、清掃および滅菌、修復または交換等のために)ハンドルアセンブリ15(または別のハンドルアセンブリ)から取り外されるように意図される。代替的には、切削刃アセンブリ10は、例えば、一体型使い捨てシステムの場合等では、製造時にハンドルアセンブリ15(または別のハンドルアセンブリ)に嵌合することができる。
【0023】
切削刃アセンブリ10は、図2図8により詳細に示される。切削刃アセンブリ10は、全体として、外管20と、外管20内で回転可能に配置される内管サブアセンブリ25と、を備える。
【0024】
外管20は、図2図5においてより詳細に示される。外管20は、全体として、遠位端部35と、近位端部40と、遠位端部35から近位端部40に延在する管腔45と、を備える。本発明の1つの好ましい形態では、外管20は遠位端面48を備えることが好ましい。
【0025】
外管20は、遠位縁部55と、近位縁部60と、第一側縁部65と、第二側縁部70と、を有する窓50(図4A)を含む。
【0026】
本発明によれば、例えば、図3および図5に示すように、外管20は湾曲していてもよい。
【0027】
内管サブアセンブリ25は、図2図3図6図7図7Aおよび図8により詳細に示される。内管サブアセンブリ25は、全体として、内管71およびベローズ72を備える。
【0028】
内管71は、遠位端部75と、近位端部80と、遠位端部75から近位端部80に延在する管腔83と、を備える。本発明の好ましい形態では、内管71は、遠位端面84を備えることが好ましい。
【0029】
内管71は、遠位端部90と、近位縁部95と、第一側縁部96と、第二側縁部97と、を有する開口部85(図6A)を備える。
【0030】
内管71は、外管20内の内管71の回転によって、内管71の開口部85が外管20の窓50を繰返し掃引し、それによって、外管の窓50および内管71の開口部85内に延在する組織をせん断するように、外管20内に回転可能に配置される(図2および図3)。より詳細には、内管71が外管20内で回転されるとき、内管71の第一側縁部96および第二側縁部97のうちの一方または他方が、外管20に対する内管71の回転方向に依拠して、外管20の第一側縁部65および第二側縁部70のうちの一方または他方にわたって掃引され、それによって、内管71および外管20の重複する側縁部の界面においてせん断動作が生じる。このせん断動作は、外管20の窓50および内管71の開口部85内に延在する組織を切り取る役割を果たす。
【0031】
本発明によれば、内管71が湾曲した外管20内で回転することを可能にし、また、上述した切断動作を可能にするようにその長さ方向にトルクを伝達することも可能にするために、内管71は、内管71の側壁を通って延在する複数のスリット100(図7および図7A)も含むことが好ましい。スリット100は、少なくとも、湾曲した外管20内の内管71の回転中に撓む内管71の領域内に設けられる。
【0032】
また、本発明によれば、新規の電動シェーバ5は、潅注および/または吸引を手術部位に対し独立してまたは同時に提供することが可能である。本発明の好ましい形態では、潅注は、外管20の内部と内管71の外部との間の間隙73を通じて手術部位に供給され、吸引は、内管71の内部を通じて(すなわち、管腔83を通じて)手術部位に適用される。代替的に、吸引は、間隙73(すなわち、外管20の内部と内管71の外部との間の間隙)を通じて手術部位に供給することができ、潅注は、内管71の内部を通じて(すなわち、管腔83を通じて)手術部位に適用することができる。
【0033】
内管71内のスリット100が、潅注線と吸引線との間に「短絡」を作成し、それによって潅注機能および吸引機能を弱体化させることを防ぐために、内管サブアセンブリ25は、スリット100を効果的に覆い、それによって内管71の外部の領域から内管71の内部を隔離するためのベローズ72を備える。
【0034】
より詳細には、ここで、図2図3図6図7および図8を参照すると、本発明の1つの形態において、ベローズ72は、遠位端部105と、近位端部110と、それらの間に延在する管腔115と、を有する細長い構造を備える。ベローズ72は、内管71にわたって同軸で搭載され、その遠位端部105および近位端部110は内管71に封止するように固定され、それによって、内管71におけるスリット100は、ベローズ72によって覆われる。結果として、ベローズ72は、内管71の管腔83を外管20の管腔45から封止するように分離する。同時に、ベローズ72は、外管20内の内管71の回転と干渉しない。ベローズ72は、スリット100を含む内管71の少なくとも一部分を覆うような大きさにされる。
【0035】
このため、間隙73(すなわち、外管20の内部と内管71の外部との間の間隙)が、潅注および吸引のうちの一方のために用いられる場合、ならびに/または内管71の内部(すなわち、管腔83)が潅注および吸引のうちの他方のために用いられる場合、ベローズ72は、内管71におけるスリット100が、潅注線と吸引線との間の「短絡」を生成することを防ぐ。同時に、ベローズ72が外管20内の内管71の回転と干渉しない限り、ベローズ72は新規の電動シェーバ5の切断動作を弱体化させない。
【0036】
本発明の1つの好ましい形態において、ベローズ72は、複数の山部120および谷部125を含み、山部120および谷部125は、ベローズ72の軸に対し垂直に延在する(図6)。山部120は、外管20の内面に(例えば、滑り嵌めにより)接触するような大きさにされることが好ましい。山部120と外管20の内面との間の接触は、封止、実質的に封止、または非封止のいずれかとすることができることに留意されたい。代替的に、所望に応じて、ベローズ72の山部120は、外管20の内部に接近するがそこから離間することができる。
【0037】
本発明の1つの好ましい形態では、山部120は、以下で説明されるように、ベローズ72の外部と外管20の内部との間を液体が容易に通過することを可能にするためのノッチ130(図8)を備えることが好ましい。ノッチ130は、山部120が外管20の内面に接触するか否かに関わらず提供することができることに留意されたい。
【0038】
図1に示すように、切削刃アセンブリ10は、使用時に、ハンドルアセンブリ15(または別のハンドルアセンブリ)に嵌合し、使用後に、(例えば、清掃および滅菌、修復または交換等のために)ハンドルアセンブリ15(または別のハンドルアセンブリ)から取り外されるように意図される。代替的には、切削刃アセンブリ10は、例えば、一体型使い捨てシステムの場合等では、製造時にハンドルアセンブリ15(または別のハンドルアセンブリ)に嵌合することができる。
【0039】
ハンドルアセンブリ15には、外管20の遠位端部40を固定して搭載するためのハウジング135と、駆動軸140を内管71に結合するための手段、例えば、内管71に固定され、それによって、内管71(および図1に示していないその関連付けられたベローズ72)を駆動により回転させるコネクタ145と、が設けられる。好ましくは、コネクタ145には、内管71の内部がポート150と流体連通し、それによって潅注または吸引源151から内管71の管腔83を介して切削刃アセンブリ10に潅注または吸引を送達するように適切なポートが設けられる。本発明の1つの好ましい形態では、ポート150は、内管71の管腔83を介して切削刃アセンブリ10に吸引を提供する。
【0040】
ハンドルアセンブリ15には、外管20の内部と内管サブアセンブリ25の外部との間の間隙にアクセスし、それによって潅注または吸引源156から外管20の内部と内管サブアセンブリ25の外部との間の間隙73を介して切削刃アセンブリ10に潅注または吸引を送達するためのポート155も設けられる。本発明の1つの好ましい形態では、ポート155は、外管20の内部と内管サブアセンブリ25の外部との間の間隙73を介して切削刃アセンブリ10に潅注を提供するように潅注源156に接続される。上述したように、本発明の1つの好ましい形態では、ベローズ72は、ベローズ72の外部と外管20の内部との間を流体が容易に通過することを可能にするためのノッチ130を備える。
【0041】
図1に示すハンドルアセンブリ15は限定ではなく例として提供され、他のハンドルアセンブリを切削刃アセンブリ10と併せて用いることができることが理解されるべきである。
【0042】
図7および図7Aにおいて、内管71のスリット100は、螺線形の経路を辿るように示される。一方、所望の場合、他のスリット構成を利用することができる。限定ではなく例として、スリット100は、内管71の長軸に対して実質的に垂直に延在することができる。このため、例えば、図8Aは、内管71の長軸に対し実質的に垂直に延在するスリット100を示し、これらのスリットは、円周方向に互い違いに配置されている。図8Bは、内管71の長軸に対し実質的に垂直に延在するスリット100を示し、これらのスリットは、円周方向に互いに並んで配置されている。更に他の構成は、本開示に鑑みて当業者には明らかであろう。
【0043】
本発明の別の好ましい形態では、ここで図9および図10を参照すると、ベローズ72の山部120および谷部125は、ベローズ72の軸周りに螺線形経路を辿る。本発明のこの形態において、ベローズ72の谷部125の螺線形経路を辿ることによって、ベローズ72の外部と外管20の内部との間を流体が通過することができる限り、ノッチ130は省くことができる。
【0044】
山部120と谷部125との間のベローズ72の長さ方向に螺線形経路を形成することによって、ベローズ72はねじポンプとして、すなわち機械的輸送部として動作することもできることが理解されるべきである。より詳細には、第一方向における内管71の回転(このため、ベローズ72の回転)は、螺線形経路内に配置された材料(固体または液体)の遠位方向の動きを容易にする。反対の第二方向における内管71の回転(このため、ベローズ72の回転)は、螺線形経路内に配置された材料(固体または液体)の近位方向の動きを容易にする。いずれかの方向における材料(固体または液体)のこの動きは、潅注または吸引源156によって間隙73に提供することができる任意の潅注または吸引と独立している(またはそれらに追加される)ことに留意されたい。
【0045】
本発明の新規の電動シェーバ5は、単一のデバイスにおいて、潅注、切断および吸引を独立してまたは同時に提供することができ、そのデバイスは湾曲した(すなわち、非線形の)構成を有することができるため、当該技術分野における大きな改善である。
【0046】
本発明の新規の電動シェーバ5は、湾曲した(すなわち、非線形の)構成を有するデバイスであって、外管と、外管内で回転可能に配置された内管と、を備え、内管の管腔は、内管の外部と外管の内部との間の間隙から液体封止されている、デバイスも提供する。
【0047】
好ましい実施形態の変形形態
当業者であれば、本発明の原理および範囲内に依然として留まりながら、本発明の特性を説明するために本明細書において説明され示された部品の詳細、材料、ステップおよび構成における多くの追加の変更を行うことができることが理解されるべきである。
【符号の説明】
【0048】
5 電動シェーバ
10 切削刃アセンブリ
15 ハンドルアセンブリ
20 外管
25 内管サブアセンブリ
35 遠位端部
40 近位端部
45 管腔
48 遠位端面
71 内管
72 ベローズ
75 遠位端部
80 近位端部
83 管腔
84 遠位端面
85 開口部
90 遠位端部
95 近位縁部
96 第一側縁部
97 第二側縁部
120 山部
125 谷部
130 ノッチ
135 ハウジング
140 駆動軸
145 コネクタ
155 ポート
156 吸引源/潅注源
図1
図2
図3
図4
図4A
図5
図6
図6A
図7
図7A
図8
図8A
図8B
図9
図10