特許第6695855号(P6695855)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニーの特許一覧

<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6695855
(24)【登録日】2020年4月24日
(45)【発行日】2020年5月20日
(54)【発明の名称】カチオン性ポリマーを含む洗剤組成物
(51)【国際特許分類】
   C11D 3/37 20060101AFI20200511BHJP
   C11D 1/83 20060101ALI20200511BHJP
   C11D 17/04 20060101ALI20200511BHJP
   D06M 13/188 20060101ALI20200511BHJP
   D06M 13/262 20060101ALI20200511BHJP
   D06M 15/227 20060101ALI20200511BHJP
   D06M 15/263 20060101ALI20200511BHJP
   D06M 15/267 20060101ALI20200511BHJP
   D06M 15/285 20060101ALI20200511BHJP
   D06M 15/63 20060101ALI20200511BHJP
   D06M 15/643 20060101ALI20200511BHJP
【FI】
   C11D3/37
   C11D1/83ZNM
   C11D17/04
   D06M13/188
   D06M13/262
   D06M15/227
   D06M15/263
   D06M15/267
   D06M15/285
   D06M15/63
   D06M15/643
【請求項の数】9
【全頁数】46
(21)【出願番号】特願2017-507797(P2017-507797)
(86)(22)【出願日】2015年8月25日
(65)【公表番号】特表2017-524786(P2017-524786A)
(43)【公表日】2017年8月31日
(86)【国際出願番号】US2015046630
(87)【国際公開番号】WO2016032994
(87)【国際公開日】20160303
【審査請求日】2017年2月10日
【審判番号】不服2018-15249(P2018-15249/J1)
【審判請求日】2018年11月16日
(31)【優先権主張番号】62/042,366
(32)【優先日】2014年8月27日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】590005058
【氏名又は名称】ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー
【氏名又は名称原語表記】THE PROCTER & GAMBLE COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100082991
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 泰和
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【弁理士】
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100137523
【弁理士】
【氏名又は名称】出口 智也
(74)【代理人】
【識別番号】100152423
【弁理士】
【氏名又は名称】小島 一真
(74)【代理人】
【識別番号】100187207
【弁理士】
【氏名又は名称】末盛 崇明
(72)【発明者】
【氏名】レネ、ダイアナ、フォッサム
(72)【発明者】
【氏名】ニコラス、デイビッド、ベッター
(72)【発明者】
【氏名】ベルナルド、エム.アギレラ−メルカド
(72)【発明者】
【氏名】カローラ、バレラ
【合議体】
【審判長】 冨士 良宏
【審判官】 瀬下 浩一
【審判官】 牟田 博一
(56)【参考文献】
【文献】 特表2014−500362(JP,A)
【文献】 特表2010−519365(JP,A)
【文献】 国際公開第2014/018815(WO,A1)
【文献】 特開2019−49000(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C11D 1/00-19/00
B06M13/00-15/715
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カチオン性ポリマーと、シリコーンと、界面活性剤系と、を含む液体洗濯洗剤組成物であって、
前記カチオン性ポリマーは、算出カチオン電荷密度が1meq/g以上であることを特徴とし、
前記カチオン性ポリマーは、分子量が800kダルトン〜2,000kダルトンであることを更に特徴とし、
前記カチオン性ポリマーが、アクリルアミド/MAPTACであり、
前記カチオン性ポリマーが、シリコーン由来構造単位を実質的に含まず、
前記界面活性剤系は、アニオン性界面活性剤と、非イオン性界面活性剤と、を、1.5:1〜2.5:1の重量比で含み、
前記アニオン性界面活性剤が、直鎖アルキルベンゼンサルフェート(LAS)及びアルキルエーテルサルフェート(AES)を含み、
前記LAS及び前記AESは、0.5:1〜2:1の重量比で存在し、
前記非イオン性界面活性剤は、1種以上のエトキシル化アルコールを含み、
マイクロカプセル、酵素、汚れ放出ポリマー、色調剤及びこれらの組み合わせから選択される補助剤を更に含む、液体洗濯洗剤組成物。
【請求項2】
前記カチオン性ポリマーが、5モル%〜98モル%の非イオン性構造単位を含む、請求項1に記載の液体洗濯洗剤組成物。
【請求項3】
前記カチオン性ポリマーが、5モル%〜95モル%のカチオン性構造単位を含む、請求項1または2に記載の液体洗濯洗剤組成物。
【請求項4】
前記シリコーンが、アミノシリコーンである、請求項1〜3のいずれか一項に記載の液体洗濯洗剤組成物。
【請求項5】
前記シリコーンが、ポリジメチルシロキサンである、請求項1〜3のいずれか一項に記載の液体洗濯洗剤組成物。
【請求項6】
前記シリコーンが、ナノエマルションとして存在し、前記ナノエマルションは、平均粒径が10nm〜500nmであることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載の液体洗濯洗剤組成物。
【請求項7】
前記アニオン性界面活性剤として、前記組成物の重量に対して、0.1%〜6%の脂肪酸及び/又はその塩を更に含む、請求項1〜6のいずれか一項に記載の液体洗濯洗剤組成物。
【請求項8】
前記洗剤組成物は、パウチに封入され、前記パウチは、水溶性フィルムを含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載の液体洗濯洗剤組成物。
【請求項9】
布地を処理する方法であって、前記布地を請求項1〜8のいずれか一項に記載の液体洗濯洗剤組成物に接触させる工程を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、カチオン性ポリマーと、シリコーンと、界面活性剤系と、を含む布地ケア組成物に関する。本開示は、更に、当該組成物の製造方法及び使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
消費者は、通常、洗濯後に軟らかい感触を衣類に求める。この要求を満たすために、洗剤メーカーは、洗剤組成物に公知の「感触効果」活性剤であるシリコーンを添加する場合がある。通常、布地をこのような組成物で洗濯した場合、少なくとも一部のシリコーンが、目的の布地に沈着する。高レベルのシリコーン沈着は、一般的には、改善された柔軟効果に関連する。
【0003】
しかしながら、シリコーンを含む洗剤組成物で布地を洗濯した場合、洗浄溶液中のシリコーンのいくらかは、洗濯した布地に沈着せず、その代りに、過剰の水とともに排水管を流れて、シリコーンが無駄になる場合がある。この課題は、シリコーンを含む従来の洗剤において特に重大である。理論に拘束されるものではないが、洗剤中の界面活性剤は、シリコーン沈着効率を低下させるのに関与すると考えられる。
【0004】
洗剤メーカーは、洗剤にカチオン性沈着ポリマーを配合することにより、シリコーンの沈着効率を改善しようとする場合がある。当該カチオン性沈着ポリマーは、目的の布地へのシリコーンの沈着を容易にする。しかしながら、カチオン性沈着ポリマーを使用しても、有意義な量のシリコーンを、目的の布地に沈着させることができない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記を考慮して、界面活性剤を含む洗剤組成物におけるシリコーン沈着効率を改善する必要性が存在する。驚くべきことに、特定のカチオン性沈着ポリマーも含む洗剤組成物中の界面活性剤の割合を注意深く選択することにより、シリコーン沈着が改善されることが見出された。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、カチオン性ポリマーと、シリコーンと、界面活性剤系と、を含む組成物に関する。
【0007】
一部の態様では、本開示は、非多糖類カチオン性ポリマーと、シリコーンと、界面活性剤系とを含む洗濯洗剤組成物であって、非多糖類カチオン性ポリマーは、算出カチオン電荷密度が約1meq/g〜約12meq/gであることを特徴とし、カチオン性ポリマーは、分子量が約200kダルトン〜約5,000kダルトンであることを更に特徴とし、界面活性剤系は、アニオン性界面活性剤と非イオン性界面活性剤とを、約1.1:1〜約2.5:1の比で含む洗濯洗剤組成物に関する。
【0008】
一部の態様では、本開示は、本明細書に開示の組成物で布地を処理する方法に関する。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本開示は、カチオン性ポリマーと、シリコーンと、界面活性剤系と、を含む布地処理組成物に関する。本開示の布地ケア組成物は、洗浄及び/又は白さの効果と、感触及び/又はシリコーン付着の効果の両方をもたらす単独製品であることが意図される。シリコーン含有組成物に使用するために、特定の低分子量のカチオン性沈着ポリマーと、特定の界面活性剤系とを選択することによって、これらの効果がもたらされる。これらの要素のそれぞれについて、以下でより詳細に記載する。
【0010】
定義
本明細書で使用するとき、用語「分子量」は、ポリマー組成物中のポリマー鎖の重量平均分子量を指す。更に、本明細書で使用するとき、「重量平均分子量」(「Mw」)は、以下の等式を使用して計算される:
Mw=(Σi Ni Mi)/(Σi Ni Mi)
(式中、Niは、分子量Miを有する分子の数である)。重量平均分子量は、試験方法の項に記載の方法によって測定されるものとする。
【0011】
本明細書で使用するとき、「モル%」は、ポリマー中の特定のモノマー構造単位の相対モル百分率を指す。本開示の意味の範囲において、カチオン性ポリマー中に存在する全てのモノマー構造単位の相対モル百分率を合算すると100モル%になることが理解される。
【0012】
本明細書で使用するとき、用語「由来する」は、化合物又は当該化合物の任意の誘導体(すなわち、1つ又は2つ以上の置換基を有するもの)から調製することができるポリマー中のモノマー構造単位を指す。好ましくは、かかる構造単位は、対象の化合物から直接調製される。例えば、用語「(メタ)アクリルアミドに由来する構造単位」は、(メタ)アクリルアミド又は1つ又は2つ以上の置換基を有する(メタ)アクリルアミドの任意の誘導体から調製することができるポリマー中のモノマー構造単位を指す。好ましくは、かかる構造単位は、(メタ)アクリルアミドから直接調製される。本明細書で使用するとき、用語「(メタ)アクリルアミド」は、アクリルアミド(「Aam」)又はメタクリルアミドのいずれかを指し、(メタ)アクリルアミドは、本明細書中、「(M)AAm」と略される。別の例として、用語「ジアリルジメチルアンモニウム塩に由来する構造単位」は、ジアリルジメチルアンモニウム塩(DADMAS)又は1つ又は2つ以上の置換基を有するDADMASの任意の誘導体から直接調製することができるポリマー中のモノマー構造単位を指す。好ましくは、かかる構造単位は、かかるジアリルジメチルアンモニウム塩から直接調製される。更に別の例として、用語「アクリル酸に由来する構造単位」は、アクリル酸(AA)又は1つ又は2つ以上の置換基を有するAAの任意の誘導体から調製することができるポリマー中のモノマー構造単位を指す。好ましくは、かかる構造単位は、アクリル酸から直接調製される。
【0013】
本明細書で使用するとき、用語「アンモニウム塩」又は「アンモニウム塩類」は、塩化アンモニウム、フッ化アンモニウム、臭化アンモニウム、ヨウ化アンモニウム、重硫酸アンモニウム、アルキル硫酸アンモニウム、リン酸二水素アンモニウム、水素アルキルリン酸アンモニウム、ジアルキルリン酸アンモニウムなどからなる群から選択される種々の化合物を指す。例えば、本明細書に記載されるジアリルジメチルアンモニウム塩類には、ジアリルジメチルアンモニウムクロリド(DADMAC)、ジアリルジメチルアンモニウムフロリド、ジアリルジメチルアンモニウムブロミド、ジアリルジメチルアンモニウムヨード、ジアリルジメチルアンモニウムビスルフェート、ジアリルジメチルアンモニウムアルキルサルフェート、ジアリルジメチルアンモニウム二水素ホスフェート、ジアリルジメチルアンモニウム水素アルキルホスフェート、ジアリルジメチルアンモニウムジアルキルホスフェート及びこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。必須ではないものの、好ましくは、アンモニウム塩は、塩化アンモニウムである。
【0014】
本明細書で使用するとき、請求項において使用される「a」及び「an」などの冠詞は、請求される又は記載される1つ又は2つ以上のものを意味すると理解される。
【0015】
本明細書で使用するとき、用語「含む(comprising、comprises)」、及び「含む、挙げられる(include、includes、including)」は、非限定であることを意味する。用語「からなる」又は「から本質的になる」は、限定することを意味し、すなわち、不純物として存在する場合を除いて、明示されていない任意の構成要素又は構成成分を除外するものである。本明細書で使用されるとき、用語「実質的に含まない」は、ある成分が全く存在しないこと、又は、単なる不純物若しくは意図的でない別の成分の副産物がごく僅かに存在すること、のいずれかを指す。一部の態様では、ある成分を「実質的に含まない」組成物とは、その組成物が、その組成物の重量を基準として、当該成分を、0.1重量%未満、又は0.01重量%未満、又は更には0重量%含むということを意味する。
【0016】
本明細書で使用するとき、用語「固体」は、顆粒、粉末、棒状、ビーズ状及び錠剤の製品形態を含む。
【0017】
本明細書で使用するとき、用語「流体」は、液体、ゲル、ペースト及び気体の製品形態を含む。
【0018】
本明細書で使用するとき、用語「液体」は、25℃及び剪断速度20秒−1で、約1〜約2000mPasの粘度を有する液体を有する流体を指す。いくつかの実施形態では、液体の粘度は、25℃、20秒−1の剪断速度で約200〜約1000mPasの範囲であり得る。いくつかの実施形態では、液体の粘度は、25℃、20秒−1の剪断速度で約200〜約500mPasの範囲であり得る。
【0019】
本明細書で使用するとき、用語「カチオン性ポリマー」は、正味カチオン電荷を有するポリマーを意味する。更に、本明細書に記載のカチオン性ポリマーは、一般に、ポリマー形成モノマー(例えば、(メタ)アクリルアミドモノマー、DADMASモノマーなど)から既知の方法に従って合成されることが理解される。本明細書で使用するとき、得られるポリマーは、カチオン性ポリマーの「重合部分」とみなされる。しかしながら、合成反応が完了した後、ポリマー形成モノマーの一部分は、未反応のままであるか、かつ/又はオリゴマーを形成し得る。本明細書で使用するとき、未反応モノマー及びオリゴマーは、カチオン性ポリマーの「非重合部分」とみなされる。本明細書で使用するとき、用語「カチオン性ポリマー」は、別段の指示がない限り、重合部分と非重合部分の両方を含む。いくつかの態様では、カチオン性ポリマーは、カチオン性ポリマーの非重合部分を含む。いくつかの態様では、カチオン性ポリマーは、カチオン性ポリマーの重量に対して、約50%未満、約35%未満、約20%未満、約15%未満、約10%未満、約5%未満、又は約2%未満の非重合部分を含む。非重合部分は、ポリマー形成モノマー、カチオン性ポリマー形成モノマー、DADMACモノマー及び/又はこれらのオリゴマーを含み得る。いくつかの態様では、カチオン性ポリマーは、カチオン性ポリマーの重量に対して、約50%超、約65%超、約80%超、約85%超、約90%超、約95%超、又は約98%超の重合部分を含む。更に、一度重合されたポリマー形成モノマーは、重合繰り返し/構造単位を形成するように変性され得ることは理解される。例えば、重合した酢酸ビニルを加水分解してビニルアルコールを形成することができる。
【0020】
本明細書で使用するとき、「電荷密度」は、ポリマー自体の正味電荷密度を指し、原料モノマーとは異なることがある。ホモポリマーの電荷密度は、繰り返し(構造)単位当たりの正味電荷数を、繰り返し単位の分子量で除することにより計算することができる。正電荷は、ポリマーの主鎖上及び/又はポリマーの側鎖上に位置してもよい。一部のポリマーに関して、例えば、アミン構造単位を有するポリマーでは、電荷密度はキャリアのpHに依存する。これらのポリマーについては、pH7でのモノマーの電荷に基づいて電荷密度を計算する。「CCD」はカチオン電荷密度を指し、「ACD」はアニオン電荷密度を指す。通常、電荷は、必ずしも親モノマーではなく、重合構造単位に基づいて決定される。
【0021】
本明細書で使用するとき、用語「カチオン電荷密度」(CCD)は、ポリマー1g当たりに存在する正味正電荷の量を意味する。カチオン電荷密度(ポリマー1g当たりの電荷の当量単位)は、以下の等式に従って計算することができる。
【0022】
【数1】
式中、Qc、Qn及びQaはそれぞれ、(存在する場合の)カチオン性、非イオン性及びアニオン性の繰り返し単位の電荷のモル当量であり、モル%c、モル%n及びモル%aはそれぞれ、(存在する場合の)カチオン性、非イオン性及びアニオン性の繰り返し単位のモル比であり、MWc、MWn及びMWaはそれぞれ、(存在する場合の)カチオン性、非イオン性及びアニオン性の繰り返し単位の分子量である。1g当たりの電荷当量を1g当たりの電荷ミリ当量(meq/g)に変換するには、当量を1000倍する。ポリマーが複数種のカチオン性繰り返し単位、複数種の非イオン性繰り返し単位及び/又は複数種のアニオン性繰り返し単位を含む場合、当業者であれば、前記等式を適宜修正できるであろう。
【0023】
例として、161.67g/モルのモノマー分子量を有するカチオン性ホモポリマー(モル比=100%又は1.00)の場合、CCDは次のように計算される。ポリマー電荷密度は、(1)×(1.00)/(161.67)×1000=6.19meq/gである。161.67の分子量を有するカチオン性モノマーと、71.079の分子量を有する中性コモノマーとのモル比1:1のコポリマーは、(1×0.50)/[(0.50×161.67)+(0.50×71.079)]*1000=4.3meq/gとして計算される。161.67の分子量を有するカチオン性モノマーと、71.079の分子量を有する中性コモノマーと、94.04g/モルの中性分子量を有するアニオン性コモノマーとのモル比80.8:15.4:3.8のターポリマーは、5.3meq/gのカチオン電荷密度を有する。
【0024】
本明細書における全ての温度は、別段の指定がない限り、摂氏(℃)である。特に記載のない限り、本明細書中の全ての測定は、20℃及び大気圧下で実施される。
【0025】
本開示の全ての実施形態において、特に記載のない限り、全ての百分率は組成物の総重量を基準とする。特に記載のない限り、全ての比率は重量比である。
【0026】
本明細書にて記載し、特許請求する組成物及び方法の各パラメータ値を求めるには、本出願の試験方法の項で開示される試験方法を使用すべきであることが理解される。
【0027】
布地ケア組成物
本開示は、布地ケア組成物に関する。本明細書で使用するとき、語句「布地ケア組成物」は、布地を処理することを意図した組成物及び処方物を含む。このような組成物には、洗濯洗浄組成物及び洗剤、布地柔軟化組成物、布地向上組成物、布地フレッシュニング組成物、洗濯予洗液、洗濯前処理液、洗濯添加剤、スプレー製品、ドライクリーニング剤又は組成物、洗濯すすぎ添加剤、洗浄添加剤、すすぎ後布地処理剤、アイロン助剤、単位用量処方物、遅延送達処方物、多孔質基材又は不織布シートの上又は中に含まれる洗剤、並びに本明細書の教示を鑑みて当業者に明らかとなり得る他の好適な形態が挙げられるが、これらに限定されない。このような組成物は、洗濯前処理剤、洗濯後処理剤として使用されてもよく、あるいは、洗濯操作のすすぎ又は洗浄サイクル中に添加されてもよい。好ましくは、本組成物は、洗濯前処理剤として、又は洗浄サイクル中に使用される。この洗浄組成物は、液体、粉末、単相若しくは多相単位用量、パウチ、錠剤、ゲル、ペースト、棒状又はフレークから選択される形態を有してもよい。
【0028】
洗剤組成物は、好ましくは、液体洗濯洗剤である。液体洗濯洗剤組成物は、約1〜約2000センチポアズ(1〜2000mPa・s)、又は約200〜約800センチポアズ(200〜800mPa・s)の粘度を有することが好ましい。粘度は、Brookfield粘度計、スピンドル番号2を60RPM/sで用い、25℃で測定して求める。
【0029】
一実施形態では、洗濯洗剤組成物は、固体洗濯洗剤組成物、及び好ましくは流動性粒子状洗濯洗剤組成物(すなわち、粒状の洗剤製品)である。
【0030】
一部の態様では、布地ケア組成物は、単位用量形態である。単位用量物品は、物品内に含まれる組成物の特定用途のための用量を1回で簡単に使用できることが意図される。単位用量形態は、パウチ又は水溶性シートであってもよい。パウチは、少なくとも1つ、少なくとも2つ又は少なくとも3つの区画を備える。通常、組成物は、複数の区画のうちの少なくとも1つに収容される。区画は、重ねて配向された状態で配置されてもよく、すなわち、1つの区画が他の区画の上に配置され、共通の壁部を共有し得る。一態様において、少なくとも1つの区画が別の区画の上に重ねられる。あるいは、区画は、並べて配向された状態で配置されてもよく、すなわち、1つの区画が他の区画の隣に配置されてもよい。区画は、更に「タイヤ・リム」配列に配向されてもよく、すなわち、第1の区画が第2の区画の隣に位置し、第1の区画は少なくとも部分的に第2の区画を囲むが、第2の区画を完全に包んではいない。あるいは、1つの区画が別の区画内に完全に包まれていてもよい。
【0031】
一部の態様では、単位用量形態は、区画を形成し、洗剤組成物を封入する水溶性フィルムを備える。好ましいフィルム材料は、好ましくは、ポリマー材料であり、例えば、水溶性フィルムは、ポリビニルアルコールを含み得る。フィルム材料は、当該技術分野において既知であるように、例えば、ポリマー材料のキャスティング、吹込成形、押出成形、又は吹込押出成形により得ることができる。好適なフィルムは、Monosol(Merrillville、Indiana、USA)が商品照会名M8630、M8900、M8779及びM8310で供給するもの、米国特許第6166117号、米国特許第6787512号及び米国特許出願公開第2011/0188784号に記載のフィルム、並びに対応する溶解度及び変形特性を有するPVAフィルムである。
【0032】
布地ケア組成物が液体である場合、布地ケア組成物は、通常、水を含む。組成物は、組成物の重量に対して、約1%〜約80%の水を含み得る。組成物が液体組成物、例えば、重質の液体洗剤組成物である場合、組成物は、通常、約40%〜約80%の水を含む。組成物がコンパクト液体洗剤である場合、組成物は、通常、約20%〜約60%、又は約30%〜約50%の水を含む。組成物が、例えば、水溶性フィルム内に封入される単位用量形態である場合、組成物は、通常、20%未満、15%未満、12%未満、10%未満、8%未満、又は5%未満の水を含む。一部の態様では、組成物は、組成物重量に対して、約1%〜20%、又は約3%〜約15%、又は約5%〜約12%の水を含む。
【0033】
カチオン性ポリマー
本開示の洗剤組成物は、カチオン性ポリマーを含む。特定のカチオン性ポリマーが、感触効果をもたらし、又は、他の感触活性剤、例えば、シリコーンの沈着を容易にするために、洗剤組成物に使用され得る。本明細書に記載のカチオン性ポリマーは、特定の界面活性剤系との組み合わせにおいて、改善されたシリコーン沈着を提供する。
【0034】
一部の態様では、本明細書に記載のカチオン性ポリマーは、算出カチオン電荷密度が、約1meq/g又は約1.2meq/g又は約1.5meq/g又は約1.9meq/gから、約12meq/g又は約8meq/g又は約6meq/g又は約5meq/g又は約4meq/g又は約3meq/g又は約2.5meq/g又は約2meq/gであることを特徴とする。一部の態様では、本明細書に記載のカチオン性ポリマーは、カチオン電荷密度が約1meq/g〜約6meq/g又は約5meq/g又は約4meq/g又は約2.5meq/gでもあることを特徴とする。
【0035】
本明細書に記載のカチオン性ポリマーは、約200kダルトン〜約5000kダルトン、好ましくは約500kダルトン〜約5000kダルトン、より好ましくは約600kダルトン〜約5000kダルトン、より好ましくは約800kダルトン〜約2000kダルトンの重量平均分子量を有する。
【0036】
洗剤組成物は、通常、洗剤組成物の重量に対して、約0.01%〜約2%、〜約1.5%、〜約1%、〜約0.75%、〜約0.5%若しくは〜約0.3%まで、又は約0.05%〜約0.25%のカチオン性ポリマーを含む。
【0037】
一部の態様では、本明細書に記載のカチオン性ポリマーは、シリコーン由来構造単位を実質的に含んでいないか、又は、含んでいない。この限定は、洗剤組成物自体がシリコーンを含むことを除外するものではなく、また本明細書に記載のカチオン性ポリマーが当該洗剤組成物中又は洗浄溶液中に含まれるシリコーンと複合化することを除外するものでもないことが理解される。
【0038】
本開示の組成物は、特に組成物がアミラーゼ、リパーゼ及び/又はプロテアーゼなどの酵素を含む場合、カチオン性ヒドロキシエチレンセルロースなどの多糖系カチオン性ポリマーを実質的に含んでいなくてもよい。このような多糖系ポリマーは、通常、市販されている酵素中に微量に存在することが多いセルラーゼ酵素による分解を受けやすい。したがって、多糖系カチオン性ポリマーを含む組成物は、通常、セルラーゼが意図的に添加されない場合であっても、一般的に酵素とともには用いられない。このため、一部の態様では、本件の組成物は、非多糖類系カチオン性ポリマーである。
【0039】
一部の態様では、カチオン性ポリマーは、構造単位から構成される。構造単位は、非イオン性、カチオン性、アニオン性、又はこれらの混合物であり得る。本明細書に記載のポリマーは、非カチオン性構造単位を含み得るが、本ポリマーは、それでも正味カチオン電荷を有することを特徴とする。
【0040】
一部の態様では、カチオン性ポリマーは、1種類の構造単位のみからなる。すなわち、このポリマーは、ホモポリマーである。一部の態様では、カチオン性ポリマーは、2種類の構造単位からなる。すなわち、このポリマーは、コポリマーである。一部の態様では、カチオン性ポリマーは、3種類の構造単位からなる。すなわち、このポリマーは、ターポリマーである。一部の態様では、カチオン性ポリマーは、2種類以上の構造単位を含む。構造単位は、第1の構造単位、第2の構造単位、第3の構造単位などとして記載され得る。構造単位、すなわちモノマーは、ランダム型又はブロック型のカチオン性ポリマーで組み込まれ得る。
【0041】
一部の態様では、カチオン性ポリマーは、非イオン性構造単位を含む。一部の態様では、カチオン性ポリマーは、約5モル%〜約98モル%、又は約10モル%〜約95モル%、又は約15モル%〜約90モル%の非イオン性構造単位を含む。一部の態様では、カチオン性ポリマーは、(メタ)アクリルアミド、N,N−ジアルキルアクリルアミド、N,N−ジアルキルメタクリルアミド、C〜C12アルキルアクリレート、C〜C12ヒドロキシアルキルアクリレート、ポリアルキレングリコールアクリレート、C〜C12アルキルメタクリレート、C〜C12ヒドロキシアルキルメタクリレート、ポリアルキレングリコールメタクリレート、ビニルアセテート、ビニルアルコール、ビニルホルムアミド、ビニルアセトアミド、ビニルアルキルエーテル、ビニルピリジン、ビニルピロリドン、ビニルイミダゾール、ビニルカプロラクタム、及びそれらの混合物からなる群から選択されるモノマー由来の非イオン性構造単位を含む。
【0042】
一部の態様では、カチオン性ポリマーは、カチオン性構造単位を含む。一部の態様では、カチオン性ポリマーは、約2モル%〜約100モル%、又は約5モル%〜約95モル%、又は約10モル%〜約90モル%、又は約15モル%〜約85モル%、又は約20モル%〜約80モル%、又は約25モル%〜約75モル%のカチオン性構造単位を含む。
【0043】
一部の態様では、カチオン性ポリマーは、カチオン性モノマー由来のカチオン性構造単位を含む。一部の態様では、カチオン性モノマーは、N,N−ジアルキルアミノアルキルメタクリレート、N,N−ジアルキルアミノアルキルアクリレート、N,N−ジアルキルアミノアルキルアクリルアミド、N,N−ジアルキルアミノアルキルメタクリルアミド、四級化N,N−ジアルキルアミノアルキルアクリレート、四級化N,N−ジアルキルアミノアルキルメタクリレート、四級化N,N−ジアルキルアミノアルキルアクリルアミド、四級化N,N−ジアルキルアミノアルキルメタクリルアミド、メタクリルアミドアルキルトリアルキルアンモニウム塩、アクリルアミドアルキルトリアルキルアミニウム塩、ビニルアミン、ビニルイミン、ビニルイミダゾール、四級化ビニルイミダゾール、ジアリルジアルキルアンモニウム塩、及びそれらの混合物からなる群から選択される。
【0044】
好ましくは、カチオン性モノマーは、ジアリルジメチルアンモニウム塩(DADMAS)、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート(DMAM)、[2−(メタクリロイルアミノ)エチル]トリ−メチルアンモニウム塩、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド(DMAPA)、N,N−ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド(DMAPMA)、アクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウム塩(APTAS)、メタクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウム塩(MAPTAS)、四級化ビニルイミダゾール(QVi)、及びそれらの混合物からなる群から選択される。
【0045】
更により好ましくは、カチオン性ポリマーは、ジアリルジメチルアンモニウム塩(DADMAS)、アクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウム塩(APTAS)、メタクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウム塩(MAPTAS)、四級化ビニルイミダゾール(QVi)、及びこれらの混合物に由来するカチオン性モノマーを含む。通常、DADMAS、APTAS、及びMAPTASは、塩素を含む塩(すなわちDADMAC、APTAC、及び/又はMAPTAC)である。
【0046】
一部の態様では、カチオン性ポリマーは、アニオン性構造単位を含む。カチオン性ポリマーは、約0.01モル%〜約15モル%、又は約0.1モル%〜約10モル%、又は約1モル%〜約5モル%、又は約1.5モル%〜約4モル%のアニオン性構造単位を含み得る。一部の態様では、ポリマーは、0モル%のアニオン性構造単位を含む、すなわち、アニオン性構造単位を実質的に含まない。一部の態様では、アニオン性構造単位は、アクリル酸(AA)、メタクリル酸、マレイン酸、ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、アクリルアミドプロピルメタンスルホン酸(AMPS)及びそれらの塩、並びにそれらの混合物からなる群から選択されるアニオン性モノマーに由来する。
【0047】
一部の態様では、カチオン性ポリマーは、アクリルアミド/DADMAS、アクリルアミド/DADMAS/アクリル酸、アクリルアミド/APTAS、アクリルアミド/MAPTAS、アクリルアミド/QVi、ポリビニルホルムアミド/DADMAS、ポリ(DADMAS)、アクリルアミド/MAPTAS/アクリル酸、アクリルアミド/APTAS/アクリル酸、及びそれらの混合物から選択される。好ましくは、カチオン性ポリマーは、アクリルアミド/MAPTASであり、より好ましくは、アクリルアミド/MAPTACである。
【0048】
特に好ましい実施形態では、カチオン性ポリマーは、約1meq/g〜約2meq/gの算出カチオン電荷密度及び約800kダルトン〜約2000kダルトンの重量平均分子量を有するアクリルアミド/MAPTACポリマーである。
【0049】
カチオン性ポリマーは、カチオン性多糖類を含み得る。カチオン性多糖類としては、カチオン性セルロース誘導体、カチオン性グアーガム誘導体、キトサン及び誘導体、並びにカチオン性デンプンが挙げられる。好適なカチオン性多糖類としては、カチオン性変性セルロース、特にカチオン性ヒドロキシエチルセルロース及びカチオン性ヒドロキシプロピルセルロースが挙げられる。本明細書で用いるのに好ましいカチオン性セルロース類としては、50,000〜2,000,000、より好ましくは100,000〜1,000,000、及び最も好ましくは200,000〜800,000の分子量を有する、疎水変性されていても、されていなくてもよいもの、例えば、疎水性置換基を有するものが挙げられる。これらのカチオン性の物質は、以下の一般構造式Iに従う、置換型の無水グルコース繰り返し単位を有する。
【0050】
【化1】
式中、
a.mは、20〜10,000の整数であり、
b.各R4は、Hであり、R、R、Rは、それぞれ独立して、H、C〜C32アルキル、C〜C32置換アルキル、C〜C32若しくはC〜C32アリール、C〜C32若しくはC〜C32置換アリール、又はC〜C32アルキルアリール若しくはC〜C32置換アルキルアリール、並びに
【0051】
【化2】
からなる群から選択され、好ましくは、R、R、Rは、それぞれ独立して、H及びC〜Cアルキルからなる群から選択され、
ここで、
nは、0〜10から選択される整数であり、
Rxは、R
【0052】
【化3】
からなる群から選択され、
ここで、前記多糖類中の少なくとも1つのRxは、
【0053】
【化4】
からなる群から選択される構造を有し、
式中、Aは、適切なアニオンであり、好ましくは、Aは、Cl、Br、I、メチルサルフェート、エチルサルフェート、トルエンスルホネート、カルボキシレート、及びホスホネートからなる群から選択され、
Zは、カルボキシレート、ホスフェート、ホスホネート、及びサルフェートからなる群から選択され、
qは、1〜4から選択される整数であり、
各Rは、独立して、H、C〜C32アルキル、C〜C32置換アルキル、C〜C32又はC〜C32アリール、C〜C32又はC〜C32置換アリール、C〜C32アルキルアリール、C〜C32置換アルキルアリール、及びOHからなる群から選択され、好ましくは、各Rは、H、C〜C32アルキル、及びC〜C32置換アルキルからなる群から選択され、より好ましくは、Rは、H、メチル、及びエチルからなる群から選択され、
各Rは、独立して、H、C〜C32アルキル、C〜C32置換アルキル、C〜C32又はC〜C32アリール、C〜C32又はC〜C32置換アリール、C〜C32アルキルアリール、及びC〜C32置換アルキルアリールからなる群から選択され、好ましくは、各Rは、H、C〜C32アルキル、及びC〜C32置換アルキルからなる群から選択され、
各Tは、独立して、H、
【0054】
【化5】
からなる群から選択され、
ここで、前記多糖類中の各vは、1〜10の整数であり、好ましくは、vは、1〜5の整数であり、前記多糖類中の各Rxにおける全てのv指数の合計は、1〜30、より好ましくは1〜20、更により好ましくは1〜10の整数であり、鎖中の最後の
【0055】
【化6】
基において、Tは、常に、Hである。
【0056】
ポリマーの無水グルコース環上のアルキル置換の範囲は、ポリマー物質のグルコース単位1個当り0.01%〜5%、より好ましくはグルコース単位1個当り0.05%〜2%である。
【0057】
環境温度で水に加えた際に、塊、団塊、又は他の凝集体の形成を防止するために、カチオン性セルロースは、ジアルデヒド、例えば、グリオキシルにより軽く架橋されていてもよい。
【0058】
構造式Iのカチオン性セルロースエーテルには、同様に、市販のものが包含され、市販物質から従来の化学修飾によって調製できる物質が更に包含される。構造式Iのタイプの市販のセルロースエーテル類としては、INCI名ポリクオタニウム10のもの、例えば、商標名:Ucare Polymer JR 30M、JR 400、JR 125、LR 400、及びLK 400 Polymerで販売されているもの;ポリクオタニウム67、例えば、商標名Softcat SK(商標)で販売されているもの(これらは全て、Amerchol Corporation(Edgewater NJ)により販売されている);並びにポリクオタニウム4、例えば、商標名:Celquat H200及びCelquat L−200で販売されているもの(National Starch and Chemical Company(Bridgewater,NJ)から入手可能である)が挙げられる。他の好適な多糖類としては、グリシジルC12〜C22アルキルジメチルアンモニウムクロリドで四級化されたヒドロキシエチルセルロース又はヒドロキシプロピルセルロースが挙げられる。このような多糖類の例としては、商標名Quaternium LM200でAmerchol Corporation(Edgewater NJ)から市販されている、INCI名ポリクオタニウム24のポリマーが挙げられる。カチオン性デンプンは、D.B.Solarek in Modified Starches,Properties and Uses(CRC Pressにより出版(1986))及び米国特許第7,135,451号、2段落33行〜4段落67行に記載されている。好適なカチオン性ガラクトマンナンとしては、カチオン性グアーガム又はカチオン性ローカストビーンガムが挙げられる。カチオン性グアーガムの例は、ヒドロキシプロピルグアーの第四級アンモニウム誘導体、例えば、商標名:Jaguar C13及びJaguar Excelで、Rhodia,Inc(Cranbury NJ)及びN−Hance by Aqualon(Wilmington、DE)から入手できるものである。
【0059】
シリコーン
本布地ケア組成物は、感触及び/又は色の効果を布地にもたらすことが知られている有益剤であるシリコーンを含み得る。出願人らは、驚くべきことに、シリコーンと、カチオン性ポリマーと、界面活性剤系と、を含む本開示に係る組成物が、柔軟性及び/又は白さの効果を改善することを見出した。
【0060】
布地ケア組成物は、組成物の重量に対して、約0.1%〜約30%、約0.1%〜約15%、約0.2%〜約12%、約0.5%〜約10%、約0.7%〜約9%、又は約1%〜約5%のシリコーンを含み得る。
【0061】
シリコーンは、Si−O部分を含むポリマーであるポリシロキサンであってもよい。シリコーンは、官能化シロキサン部分を含むシリコーンであってもよい。好適なシリコーンは、Si−O部分を含み得、(a)非官能化シロキサンポリマー、(b)官能化シロキサンポリマー及びこれらの組み合わせから選択することができる。官能化シロキサンポリマーは、アミノシリコーン、シリコーンポリエーテル、ポリジメチルシロキサン(PDMS)、カチオン性シリコーン、シリコーンポリウレタン、シリコーンポリ尿素又はこれらの混合物を含み得る。シリコーンは、環状シリコーンを含み得る。環状シリコーンは、式[(CHSiO](式中、nは、約3〜約7、又は約5〜約6の範囲であり得る整数である)のシクロメチコンを含み得る。
【0062】
シリコーンの分子量は、通常、材料の粘度に照らして示される。シリコーン類は、25℃で、約10〜約2,000,000平方ミリメートル毎秒(約10〜約2,000,000センチストークス)の粘度を備え得る。好適なシリコーンは、25℃で、約10〜約800,000平方ミリメートル毎秒(約10〜約800,000センチストークス)、又は約100〜約200,000平方ミリメートル毎秒(約100〜約200,000センチストークス)、又は約1000〜約100,000平方ミリメートル毎秒(約1000〜約100,000センチストークス)、又は約2000〜約50,000平方ミリメートル毎秒(約2000〜約50,000センチストークス)、又は約2500〜約10,000平方ミリメートル毎秒(約2500〜約10,000センチストークス)の粘度を有し得る。
【0063】
好適なシリコーンは、直鎖状、分岐状又は架橋型であってもよい。シリコーンは、シリコーン樹脂を含み得る。シリコーン樹脂は、高架橋ポリマーシロキサン系である。架橋は、シリコーン樹脂の製造中に、三官能性及び四官能性シランを一官能性又は二官能性又はこれら両方のシランとともに組み込むことによって導入される。本明細書で使用するとき、SiO「n」/2という命名法は、酸素のケイ素原子に対する比を表す。例えば、SiO1/2は、1つの酸素が2つのSi原子間で共有されていることを意味する。同様に、SiO2/2は、2つの酸素原子が2つのSi原子間で共有されていることを意味し、SiO3/2は、3つの酸素原子が2つのSi原子間で共有されていることを意味する。
【0064】
シリコーンは、非官能化シロキサンポリマーを含み得る。非官能化シロキサンポリマーは、ポリアルキル及び/又はフェニルシリコーンの流体、樹脂及び/又はゴムを含み得る。非官能化シロキサンポリマーは、以下の式(I)を有し得る。
【0065】
[RSiO1/2[RSiO2/2[RSiO3/2
式(I)
式中、
i)各R、R、R及びRは、独立して、H、−OH、C〜C20アルキル、C〜C20置換アルキル、C〜C20アリール、C〜C20置換アリール、アルキルアリール及び/又はC〜C20アルコキシ部分からなる群から選択することができ、
ii)nは、n=j+2となるように、約2〜約10、若しくは約2〜約6の整数、又は2であってもよく、
iii)mは、約5〜約8,000、約7〜約8,000、又は約15〜約4,000の整数であってもよく、
iv)jは、0〜約10、又は0〜約4の整数、又は0であってもよい。
【0066】
、R及びRは、メチル、エチル、プロピル、C〜C20アルキル、及び/又はC〜C20アリール部分を含み得る。R、R及びRのそれぞれは、メチルであってもよい。シリコーン鎖の末端をブロックするそれぞれのR部分は、水素、メチル、メトキシ、エトキシ、ヒドロキシ、プロポキシ、及び/又はアリールオキシからなる群から選択される部分を含み得る。
【0067】
シリコーンは、官能化シロキサンポリマーを含み得る。官能化シロキサンポリマーは、アミノ、アミド、アルコキシ、ヒドロキシ、ポリエーテル、カルボキシ、ヒドリド、メルカプト、サルフェート、ホスフェート、及び/又は第四級アンモニウム部分からなる群から選択される1つ又は2つ以上の官能化部分を含み得る。これらの部分は、二価アルキレンラジカルを通してシロキサン主鎖に直接結合してもよく(すなわち、「ペンダント」)、又は主鎖の一部であってもよい。好適な官能化シロキサンポリマーとしては、アミノシリコーン、アミドシリコーン、シリコーンポリエーテル、シリコーン−ウレタンポリマー、第4級ABnシリコーン、アミノABnシリコーン、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される材料が挙げられる。
【0068】
官能化シロキサンポリマーは、「ジメチコンコポリオール」とも呼ばれるシリコーンポリエーテルを含んでもよい。一般に、シリコーンポリエーテルは、1本又は2本以上のポリオキシアルキレン鎖を有するポリジメチルシロキサン主鎖を含む。ポリオキシアルキレン部分は、ペンダント鎖として、又は末端ブロックとしてポリマーに組み込まれ得る。かかるシリコーンは、米国特許出願公開第2005/0098759号、並びに米国特許第4,818,421号、及び同第3,299,112号に記載されている。例示的な商業的に入手可能なシリコーンポリエーテルとしては、DC 190、DC 193、FF400(いずれも、Dow Corning(登録商標)Corporationから入手可能である)、及び様々なSilwet(登録商標)界面活性剤(Momentive Siliconesから入手可能である)が挙げられる。
【0069】
シリコーンは、以下の式(II)を有するランダム型又はブロック型のシリコーンポリマーから選択することができる。
【0070】
[RSiO1/2(j+2)[(RSi(X−Z)O2/2[RSiO2/2[RSiO3/2
式(II)
式中、
jは、0〜約98の整数であり、一態様では、jは0〜約48の整数であり、一態様では、jは、0であり、
kは、0〜約200の整数であり、一態様では、kは、0〜約50、又は約2〜約20の整数であり、k=0のとき、R、R、又はRのうちの少なくとも1つは、−X−Zであり、
mは、4〜約5,000の整数であり、一態様において、mは、約10〜約4,000の整数であり、別の態様において、mは、約50〜約2,000の整数であり、
、R及びRは、それぞれ独立して、H、OH、C〜C32アルキル、C〜C32置換アルキル、C〜C32又はC〜C32アリール、C〜C32又はC〜C32置換アリール、C〜C32アルキルアリール、C〜C32置換アルキルアリール、C〜C32アルコキシ、C〜C32置換アルコキシ及びX−Zからなる群から選択され、
各Rは、独立して、H、OH、C〜C32アルキル、C〜C32置換アルキル、C〜C32又はC〜C32アリール、C〜C32又はC〜C32置換アリール、C〜C32アルキルアリール、C〜C32置換アルキルアリール、C〜C32アルコキシ及びC〜C32置換アルコキシからなる群から選択され、
前記アルキルシロキサンポリマー中の各Xは、2〜12個の炭素原子を含む置換又は無置換の二価アルキレンラジカルを含み、一態様では、それぞれの二価アルキレンラジカルは、独立して、−(CH−(式中、sは、約2〜約8、約2〜約4の整数である)からなる群から選択され、一態様では、前記アルキルシロキサンポリマー中の各Xは、−CH−CH(OH)−CH−、−CH−CH−CH(OH)−、及び
【0071】
【化7】
からなる群から選択される置換された二価アルキレンラジカルを含み、
各Zは、独立して、
【0072】
【化8】
からなる群から選択され、
ただし、Zが第四級アンモニウム化合物である場合、Qは、アミド、イミン、又は尿素部分ではあり得ず、
Zについて、An−は、好適な電荷平衡アニオンであり、例えば、An−は、Cl、Br、I、メチルサルフェート、トルエンスルホネート、カルボキシレート及びホスフェートからなる群から選択され得、前記シリコーン中の少なくとも1つのQは、独立して、H、
−CH−CH(OH)−CH−R
【0073】
【化9】
からなる群から選択され、
前記シリコーン中の各追加のQは、独立して、H、C〜C32アルキル、C〜C32置換アルキル、C〜C32又はC〜C32アリール、C〜C32又はC〜C32置換アリール、C〜C32アルキルアリール、C〜C32置換アルキルアリール、−CH−CH(OH)−CH−R
【0074】
【化10】
からなる群から選択され、
各Rは、独立して、H、C〜C32アルキル、C〜C32置換アルキル、C〜C32又はC〜C32アリール、C〜C32又はC〜C32置換アリール、C〜C32アルキルアリール、C〜C32置換アルキルアリール、−(CHR−CHR−O−)−L及びシロキシル残基からなる群から選択され、
各Rは、独立して、H、C〜C18アルキルから選択され、
各Lは、独立して、−C(O)−R又はRから選択され、
wは、0〜約500の整数であり、一態様では、wは、約1〜約200の整数であり、一態様において、wは、約1〜約50の整数であり、
各Rは、独立して、H、C〜C32アルキル、C〜C32置換アルキル、C〜C32又はC〜C32アリール、C〜C32又はC〜C32置換アリール、C〜C32アルキルアリール、C〜C32置換アルキルアリール、及びシロキシル残基からなる群から選択され、
各Tは、独立して、H、
【0075】
【化11】
から選択され、
前記シリコーン中の各vは、1〜約10の整数であり、一態様では、vは、1〜約5の整数であり、シリコーン中の各Qにおける全ての添え字vの合計は、1〜約30又は1〜約20更に又は1〜約10の整数である。
【0076】
は、−OHを含み得る。
【0077】
官能化シロキサンポリマーは、アミノシリコーンを含み得る。アミノシリコーンは、官能基を含み得る。官能基は、モノアミン、ジアミン又はこれらの組み合わせを含み得る。官能基は、一級アミン、二級アミン、三級アミン、四級化アミン又はこれらの組み合わせを含み得る。官能基は、一級アミン、二級アミン又はこれらの組み合わせを含み得る。
【0078】
例えば、官能化シロキサンポリマーは、式II(上述)の式を有するアミノシリコーンを含み得、式中、jは、0であり、kは、1〜約10の整数であり、mは、150〜約1000、又は約325〜約750、又は約400〜約600の整数であり、各R、R及びRは、独立して、C〜C32アルコキシ及びC〜C32アルキルから選択され、各Rは、C〜C32アルキルであり、各Xは、−(CH−(式中、sは、約2〜約8、又は約2〜約4の整数である)からなる群から選択され、各Zは、独立して、
【化12】
(式中、シリコーン中の各Qは、Hからなる群から選択される)からなる群から選択される。
【0079】
官能化シロキサンポリマーは、式II(上述)の式を有するアミノシリコーンを含み得、式中、jは、0であり、kは、1〜約10の整数であり、mは、150〜約1000、又は約325〜約750、又は約400〜約600の整数であり、各R、R及びRは、独立して、C〜C32アルコキシ及びC〜C32アルキルから選択され、各Rは、C〜C32アルキルであり、各Xは、−(CH−(式中、sは、約2〜約8、又は約2〜約4の整数である)からなる群から選択され、各Zは、独立して、
【0080】
【化13】
(式中、シリコーン中の各Qは、独立して、H、C1〜C32アルキル、C1〜C32置換アルキル、C6〜C32アリール、C5〜C32置換アリール、C6〜C32アルキルアリール及びC5〜C32置換アルキルアリールからなる群から選択されるが、両方のQがH原子ではあることはない)からなる群から選択される。
【0081】
他の好適なアミノシリコーンは、米国特許第7,335,630(B2)号及び同第4,911,852号、並びに米国特許出願公開第2005/0170994(A1)号に記載されている。アミノシリコーンは、米国特許仮出願公開第61/221,632号に記載されているものであってもよい。
【0082】
例示的な市販のアミノシリコーンには、Dow Corning(登録商標)Corporationから入手可能なDC 8822、2−8177及びDC−949、Shin−Etsu Silicones(Akron,OH)から入手可能なKF−873、並びにMomentive(Columbus,Ohio,USA)から入手可能なMagnasoft Plusが挙げられる。
【0083】
官能化シロキサンポリマーは、米国特許仮出願公開第61/170,150号に記載されているようなシリコーン−ウレタンを含み得る。これらは、Wacker Siliconesから商標名SLM−21200(登録商標)で市販されている。
【0084】
他の変性シリコーン又はシリコーンコポリマーも本明細書にて有用であり得る。これらの例には、米国特許第6,607,717号及び同第6,482,969号に開示されているシリコーン系第四級アンモニウム化合物(ケナン第四級化合物);末端四級シロキサン;米国特許第5,807,956号及び同第5,981,681号に開示されているシリコーンアミノポリアルキレンオキシドブロックコポリマー;米国特許第6,207,782号に開示されている親水性シリコーンエマルション;米国特許第7,465,439号に開示されている、1つ又は2つ以上の架橋した熊手又は櫛型シリコーンコポリマーセグメントから構成されるポリマーが挙げられる。本明細書にて有用な更なる変性シリコーン又はシリコーンコポリマーは、米国特許出願第2007/0286837(A1)号及び同第2005/0048549(A1)号に記載されている。
【0085】
上述のシリコーン系四級アンモニウム化合物は、米国特許第7,041,767号及び同第7,217,777号並びに米国特許出願第2007/0041929(A1)号に記載されているシリコーンポリマーと混ぜ合わせてもよい。
【0086】
シリコーンは、アミンABnシリコーン及び第四級ABnシリコーンを含み得る。このようなシリコーンは、一般に、ジアミンとエポキシドとの反応によって生成される。これらは、例えば、米国特許第6,903,061(B2)号、同第5,981,681号、同第5,807,956号、同第6,903,061号及び同第7,273,837号に記載されている。これらは、商標名Magnasoft(登録商標)Prime、Magnasoft(登録商標)JSS、Silsoft(登録商標)A−858(全てMomentive Silicones製)として市販されている。
【0087】
アミンABnシリコーン及び/又は第四級ABnシリコーンを含むシリコーンは、以下の式(III)の構造を有し得る。
−(E−B)−A−(B−E)−D 式(III)
式中、
各添え字xは、独立して、1〜20、1〜12、1〜8、又は2〜6の整数であり、
各zは、独立して、0又は1であり、
Aは、以下の構造を有し、
【0088】
【化14】
式中、
各Rは、独立して、H、−OH若しくはC〜C22アルキル基、一態様では、H、−OH若しくはC〜C12アルキル基、H、−OH若しくはC〜Cアルキル基又は−CHであり、
各Rは、独立して、二価のC〜C22アルキレンラジカル、二価のC〜C12アルキレンラジカル、二価の直鎖C〜Cアルキレンラジカル、又は二価の直鎖C〜Cアルキレンラジカルから選択され、
添え字nは、1〜約5,000、約10〜約1,000、約25〜約700、約100〜約500、又は約450〜約500の整数であり、
各Bは、独立して、以下の部分から選択され:
【0089】
【化15】
(式中、各構造に関して、Yは、O、P、S、N及びこれらの組み合わせからなる群から選択される1つ又は2つ以上のヘテロ原子が介在していてもよい二価のC〜C22アルキレンラジカル又は二価のC〜C22アリールアルキレンラジカルであり、一態様では、O、P、S、N及びこれらの組み合わせからなる群から選択される1つ又は2つ以上のヘテロ原子が介在していてもよい二価のC〜Cアルキレンラジカル又は二価のC〜C16アリールアルキレンラジカルであり、一態様では、O、N及びこれらの組み合わせからなる群から選択される1つ又は2つ以上のヘテロ原子が介在していてもよい二価のC〜Cアルキレンラジカル又は二価のC〜C12アリールアルキレンラジカルである)、であり、
各Eは、独立して、以下の部分から選択され:
【0090】
【化16】
式中、
各R及び各Qは、独立して、O、P、S、N及びこれらの組み合わせからなる群から選択される1つ又は2つ以上のヘテロ原子が介在していてもよい二価のC〜C12直鎖又は分岐鎖の脂肪族炭化水素ラジカル、一態様では、O、P、S、N及びこれらの組み合わせからなる群から選択される1つ又は2つ以上のヘテロ原子が介在していてもよい二価のC〜C直鎖又は分岐鎖の脂肪族炭化水素ラジカル、一態様では、O、N及びこれらの組み合わせからなる群から選択される1つ又は2つ以上のヘテロ原子が介在していてもよい二価のC〜C直鎖又は分岐鎖の脂肪族炭化水素ラジカルから選択され、
各R及びRは、独立して、H、C〜C20アルキル、C〜C20置換アルキル、C〜C20アリール及びC〜C20置換アリール、一態様では、H、C〜C12アルキル、C〜C12置換アルキル、C〜C12アリール、及びC〜C12置換アリール、H、一態様では、C〜Cアルキル、C〜C置換アルキル、Cアリール、及びC置換アリール又はHから選択されるが、ただし、各窒素原子上の少なくとも1つのRは、Hであり、
Eが、
【0091】
【化17】
から選択され、
zが1である場合、各Dは、H、−CH、又はRから選択され、Eが
【0092】
【化18】
である場合、zは0であり、Bは
【0093】
【化19】
である。
【0094】
シリコーンの試料を分析すると、かかる試料の指数が、平均では上式(I)〜(III)に対して整数とならないことがあるが、こうした平均指数値は、上式(I)〜(III)の指数の範囲内であることは当業者には認識される。
【0095】
シリコーンエマルション
シリコーンは、エマルションとして又は更にナノエマルションとして、組成物に添加してもよいし、組成物中に存在してもよい。シリコーンエマルションの調製は、当業者には周知であり、例えば米国特許第7,683,119号及び米国特許出願第2007/0203263(A1)号を参照されたい。
【0096】
シリコーンエマルションは、平均粒径が約10nm〜約1000nm、約20nm〜約800nm、約40nm〜約500nm、約75nm〜約250nm、又は約100nm〜約150nmであることを特徴とし得る。エマルションの粒径は、Horibaのレーザ散乱式粒子径分布分析装置モデルLA−930(Horiba Instruments,Inc.)を製造者の説明書に従って用いて、レーザ光散乱技術によって測定される。
【0097】
本開示のシリコーンエマルションは、上述した種類のシリコーンポリマーのいずれかを含み得る。エマルションを含み得るシリコーンの好適な例には、本明細書に記載したものなどのアミノシリコーンが挙げられる。
【0098】
本開示のシリコーン含有エマルションは、エマルションの重量に対して、約1%〜約60%、約5%〜約40%、又は約10%〜約30%のシリコーン化合物を含み得る。
【0099】
シリコーンエマルションは、1種類又は2種類以上の溶媒を含み得る。本開示のシリコーンエマルションは、シリコーンの重量に対して、約0.1%〜約20%、〜約12%又は〜約5%の1種類又は2種類以上の溶媒を含み得るが、ただし、このシリコーンエマルションは、溶媒と界面活性剤を合わせると、シリコーンの重量に対して、約50%未満、約45%未満、約40%未満、約35%未満、約32%未満が含まれ得る。シリコーンエマルションは、シリコーンの重量に対して、約1%〜約5%又は約2%〜約5%の1種類又は2種類以上の溶媒を含み得る。
【0100】
溶媒は、モノアルコール、ポリアルコール、モノアルコールのエーテル、ポリアルコールのエーテル又はこれらの混合物から選択することができる。典型的には、溶媒は、約6〜約14の範囲の親水性−親油性バランス(HLB)を有する。より典型的には、溶媒のHLBは、約8〜約12の範囲であり、最も典型的には約11である。1種類の溶媒を単独で使用してもよく、2種類又は3種類以上の溶媒を組み合わせて使用してもよい。溶媒は、グリコールエーテル、アルキルエーテル、アルコール、アルデヒド、ケトン、エステル又はこれらの混合物を含み得る。溶媒は、4〜12個の炭素原子を有するアルキル基を含むモノエチレングリコールモノアルキルエーテル、4〜12個の炭素原子を有するアルキル基を含むジエチレングリコールモノアルキルエーテル又はこれらの混合物から選択され得る。
【0101】
本開示のシリコーンエマルションは、シリコーンの重量に対して、約1%〜約40%、〜約30%、〜約25%又は〜約20%の1種類又は2種類以上の界面活性剤を含み得るが、ただし、界面活性剤と溶媒を足し合わせた重量は、シリコーンの重量に対して、約50%未満、約45%未満、約40%未満、約35%未満、約32%未満である。シリコーンエマルションは、シリコーンの重量に対して、約5%〜約20%又は約10%〜約20%の1種類又は2種類以上の界面活性剤を含み得る。界面活性剤は、アニオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、双極性イオン界面活性剤、両性界面活性剤、両性電解質界面活性剤又はこれらの混合物から選択することができるが、好ましくは非イオン性界面活性剤である。界面活性剤、特に非イオン性界面活性剤は、シリコーン流体化合物及び溶媒の水中での均一な分散を促進すると考えられている。
【0102】
本明細書において有用な好適な非イオン性界面活性剤は、任意の従来の非イオン性界面活性剤を含むことができる。典型的には、使用される非イオン性界面活性剤の総HLB(親水性親油性バランス)は、約8〜16の範囲、より典型的には10〜15の範囲である。好適な非イオン性界面活性剤は、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルフェノールエーテル、アルキルポリグルコシド、ポリビニルアルコール及びグルコースアミド界面活性剤から選択することができる。特に好ましいものは、二級アルキルポリオキシアルキレンアルキルエーテルである。好適な非イオン性界面活性剤の例としては、C11〜15二級アルキルエトキシレート、例えば、Dow Chemical Company(Midland Michigan)から商標名Tergitol 15−S−5、Tergitol 15−S−12で販売されているもの、又はBASF,AG(Ludwigschaefen,Germany)から商標名Lutensol XL−100及びLutensol XL−50で販売されているものが挙げられる。他の好ましい非イオン性界面活性剤としては、C12〜C18アルキルエトキシレート、例えばShell製のNEODOL(登録商標)非イオン性界面活性剤、例えば、NEODOL(登録商標)23−5及びNEODOL(登録商標)26−9が挙げられる。分岐状ポリオキシアルキレンアルキルエーテルの例としては、アルキル鎖上に1つ又は2つ以上の分岐を有するものが挙げられ、例えば、Dow Chemicals(Midland,MI)から商標名Tergitol TMN−6及びTergiotol TMN−3として入手可能なものなどである。他の好ましい界面活性剤は、米国特許第7,683,119号に列挙されている。
【0103】
本開示のシリコーンエマルションは、約0.01%〜約2%、約0.1%〜約1.5%、約0.2%〜約1%、又は約0.5%〜約0.75%のプロトン化剤を含み得る。プロトン化剤は、概して、一塩基酸又は多塩基酸の、水溶性又は水不溶性、有機酸又は無機酸である。好適なプロトン化剤には、例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、マロン酸、クエン酸、塩酸、硫酸、リン酸、硝酸又はこれらの混合物が挙げられるが、好ましくは酢酸である。概して、酸は、酸性水溶液の形態で添加される。プロトン化剤は、通常、エマルションのpHを約3.5〜約7.0にするのに必要な量で添加される。
【0104】
界面活性剤系
本開示の組成物は、界面活性剤系を含む。界面活性剤系は、洗浄効果をもたらすことが知られている。しかしながら、特定の界面活性剤系を慎重に選択すると、特定の沈着ポリマーとシリコーンと組み合わせて使用したとき、感触及び/又は付着の効果も得ることができることが判明した。
【0105】
通常、本開示の洗剤組成物は、所望の洗浄特性をもたらすのに十分な量の界面活性剤系を含む。一部の実施形態では、洗剤組成物は、組成物の重量に対して、約1%〜約70%の界面活性剤系を含む。他の実施形態では、洗浄組成物は、組成物の重量に対して、約2%〜約60%の界面活性剤系を含む。更なる実施形態では、洗浄組成物は、組成物の重量に対して、約5%〜約30%の界面活性剤系を含む。一部の実施形態では、洗浄組成物は、組成物の重量に対して、約20%〜約60%、又は約35%〜約50%の界面活性剤系を含む。
【0106】
界面活性剤系は、アニオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、双極性イオン界面活性剤、両性界面活性剤、両性電解質界面活性剤、及びその混合物から選択される洗浄性界面活性剤を含んでもよい。当業者であれば、洗浄性界面活性剤は、汚れた布地に洗浄、染み除去、又は洗濯効果をもたらす、任意の界面活性剤又は界面活性剤混合物を包含することを理解するであろう。本明細書で使用するとき、脂肪酸類及びこれらの塩類は、界面活性剤系の一部であると理解される。
【0107】
アニオン性界面活性剤/非イオン性界面活性剤の組み合わせ
界面活性剤系は、通常、アニオン性界面活性剤と非イオン性界面活性剤とをある重量比で含む。アニオン性界面活性剤と非イオン性界面活性剤の重量比を慎重に選択することは、所望の水準の感触及び洗浄の効果をもたらす本開示の組成物に重要である。
【0108】
一部の態様では、アニオン性界面活性剤と非イオン性界面活性剤との重量比は、約1.1:1〜約4:1、又は約1.1:1〜約2.5:1、又は約1.5:1〜約2.5:1、又は約1.8:1〜約2.2:1、又は約2:1である。アニオン性界面活性剤及び非イオン性界面活性剤について、以下により詳細に記載する。
【0109】
アニオン性界面活性剤
界面活性剤系は、アニオン性界面活性剤を含む。一部の例では、洗浄組成物の界面活性剤系は、界面活性剤系の重量に対して、約1%〜約70%の1種類又は2種類以上のアニオン性界面活性剤を含んでもよい。他の例では、洗浄組成物の界面活性剤系は、界面活性剤系の重量に対して、約2%〜約60%の1種類又は2種類以上のアニオン性界面活性剤を含んでもよい。更なる例では、洗浄組成物の界面活性剤系は、界面活性剤系の重量に対して、約5%〜約30%の1種類又は2種類以上のアニオン性界面活性剤を含んでもよい。好適なアニオン性界面活性剤の具体的な非限定例には、任意の従来のアニオン性界面活性剤が挙げられる。これには、硫酸系洗浄性界面活性剤、例えば、アルコキシル化及び/若しくは非アルコキシル化アルキルサルフェート物質、並びに/又はスルホン酸系洗浄性界面活性剤、例えば、アルキルベンゼンスルホン酸塩を挙げることができる。いくつかの態様では、界面活性剤系のアニオン性界面活性剤は、スルホン酸系洗浄性界面活性剤及び硫酸系洗浄性界面活性剤、好ましくは直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩(LAS)及びアルキルエトキシル化サルフェート(AES)をある重量比で含む。一部の態様では、スルホン酸系洗浄性界面活性剤(例えばLAS)の硫酸系洗浄性界面活性剤(例えばAES)に対する重量比は、約1:9〜約9:1、又は約1:6〜約6:1、又は約1:4〜約4:1、又は約1:2〜約2:1、又は約0.5:1〜約2:1、又は約0.5:1〜約1.5:1、又は約1:1である。一部の態様では、スルホン酸系洗浄性界面活性剤(例えばLAS)の硫酸系洗浄性界面活性剤(例えばAES)に対する重量比は、約1:9、又は約1:6、又は約1:4、又は約1:2〜約1:1である。一部の態様では、LASの濃度と比較してAESの濃度を上げると、シリコーン沈着の改善が促進される。
【0110】
アルコキシル化アルキルサルフェート物質には、アルキルエーテルサルフェート又はアルキルポリエトキシレートサルフェートとしても知られるエトキシル化アルキルサルフェート界面活性剤を含む。エトキシル化アルキルサルフェートの例としては、水溶性塩、特にその分子構造中に、約8〜約30個の炭素原子を含有するアルキル基並びにスルホン酸及びその塩を有する有機イオウ反応生成物のアルカリ金属塩、アンモニウム塩及びアルキロールアンモニウム塩が挙げられる。用語「アルキル」には、アシル基のアルキル部分が含まれる。一部の例では、アルキル基は、約15個の炭素原子〜約30個の炭素原子を含有する。他の例では、アルキルエーテルサルフェート界面活性剤は、アルキルエーテルサルフェートの混合物であってもよく、前記混合物は、約12〜30個の炭素原子の範囲内である平均(相加平均)炭素鎖長を有し、かつ、一部の例では、約25個の炭素原子の平均炭素鎖長であり、エチレンオキシド約1モル〜4モルの平均(相加平均)エトキシル化度であり、かつ、一部の例では、エチレンオキシド1.8モルの平均(相加平均)エトキシル化度である。更なる例では、アルキルエーテルサルフェート界面活性剤は、約10個の炭素原子〜約18個の炭素原子の炭素鎖長、及びエチレンオキシド約1〜約6モルのエトキシル化度を有し得る。
【0111】
非エトキシル化アルキルサルフェートもまた、本開示の洗浄組成物に添加し、アニオン性界面活性剤構成成分として使用してもよい。非アルコキシル化、例えば非エトキシル化アルキルサルフェート界面活性剤の例としては、高級C〜C20脂肪アルコールのサルフェート化により生成されるものが挙げられる。一部の例では、一級アルキルサルフェート界面活性剤は、一般式:ROSOを有し得、式中、Rは、直鎖又は分岐鎖であってもよい、一般に直鎖C〜C20ヒドロカルビル基であり、Mは、水溶性化カチオンである。一部の例では、Rは、C10〜C15アルキルであり、Mは、アルカリ金属である。他の例では、Rは、C12〜C14アルキルであり、Mは、ナトリウムである。
【0112】
他の有用なアニオン性界面活性剤は、アルキル基が約9〜約15個の炭素原子を直鎖状(線状)又は分岐鎖状の配置で含有するアルキルベンゼンスルホネートのアルカリ金属塩、例えば米国特許第2,220,099号及び同第2,477,383号に記載されている種類のものを含むことができる。一部の例では、アルキル基は、直鎖状である。このような直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩は、「LAS」として知られている。他の例では、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩は、アルキル基中の平均炭素原子数が約11〜14であり得る。具体的な例では、線状直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩は、アルキル基中の平均炭素原子数が約11.8個の炭素原子であり得、C11.8 LASと略すことがある。このような界面活性剤類及びそれらの調製は、例えば、米国特許第2,220,099号及び同第2,477,383号に記載されている。
【0113】
本明細書で有用な他のアニオン性界面活性剤は、約8〜約24(いくつかの例では約12〜18)個の炭素原子を含有するパラフィンスルホネート及び二級アルカンスルホネート;アルキルグリセリルエーテルスルホネート、特にC8〜18アルコールのエーテル(例えば、タロー及びココヤシ油に由来するもの)の水溶性塩である。アルキルベンゼンスルホネートと上述のパラフィンスルホネート、二級アルカンスルホネート及びアルキルグリセリルエーテルスルホネートとの混合物も有用である。本明細書で有用な、更に好適なアニオン性界面活性剤は、米国特許第4,285,841号(Barrat et al.、1981年8月25日公開)、及び米国特許第3,919,678号(Laughlin et al.、1975年12月30日公開)に見出だすことができ、これらの両方は参照により本明細書に組み込まれる。
【0114】
脂肪酸
本明細書で有用な他のアニオン性界面活性剤は、脂肪酸類及び/又はそれらの塩類である。したがって、一部の態様では、洗剤組成物は、脂肪酸及び/又はその塩を含む。理論に束縛されるものではないが、本組成物中にて、脂肪酸類及び/又はそれらの塩類は、ビルダーとして作用するか、かつ布地柔軟性に寄与するものと考えられる。しかしながら、脂肪酸は、本組成物中に必要ではなく、脂肪酸を抑えること又は更に完全に脂肪酸を除くことは、加工、費用及び安定性の利点となり得る。
【0115】
組成物は、約0.1重量%、約0.5重量%又は約1重量%から、約40重量%、約30重量%、約20重量%、約10重量%、約8重量%、約5重量%、約4重量%、又は約3.5重量%の脂肪酸又はその塩を含み得る。一部の態様では、洗剤組成物は、脂肪酸類及びそれらの塩類を実質的に含まない(又は0%を含む)。
【0116】
好適な脂肪酸及び塩には、式R1COOMを有するものが挙げられ、式中、R1は、4〜30個の炭素原子を有する一級又は二級アルキル基であり、Mは、水素カチオン又は別の可溶化カチオンである。酸形態の場合、Mは、水素カチオンであり、塩形態の場合、Mは、水素でない可溶化カチオンである。酸(すなわち、Mが水素カチオンである場合)は好適であるものの、カチオン性ポリマーとの親和力がより大きいことから、通常、塩が好ましい。したがって、脂肪酸又は塩は、好ましくは、脂肪酸又は塩のpKaが非水性液体組成物のpHを下回るように選択される。一部の態様では、組成物は、好ましくは6〜10.5、より好ましくは6.5〜9、最も好ましくは7〜8のpHを有する。
【0117】
R1で表されるアルキル基は、複数の鎖長の組み合わせを表し得、また、飽和でも不飽和でもよいが、少なくともR1基の3分の2が炭素原子8〜18個の鎖長を有するのが好ましい。好適なアルキル基源の非限定的な例としては、ココヤシ油、タロー、トール油、菜種由来油、オレイン酸、脂肪族アルキルコハク酸、パーム核油及びこれらの混合物に由来する脂肪酸が挙げられる。しかしながら、匂いを最小限に抑えるために、多くの場合、一級飽和カルボン酸の使用が望ましい。
【0118】
可溶化カチオンM(Mが水素カチオンでない場合)は、製品への水溶性を付与する任意のカチオンであってよいが、一価部分が通常好ましい。本開示で使用するのに好適な可溶化カチオンの例には、ナトリウム及びカリウムなどのアルカリ金属(これらは特に好ましい)、モノエタノールアミン、トリエタノールアンモニウム、アンモニウム及びモルホリニウムなどのアミンが挙げられる。脂肪酸を用いる場合、その大部分を中和された塩形態で組成物に組み込まなければならないが、多くの場合、組成物中に、ある量の遊離脂肪酸を残すのが好ましい。これは、特に、組成物の含水量が低くなったとき(例えば20%未満)、組成物の粘度の維持に役立ち得る。
【0119】
分岐界面活性剤
アニオン性界面活性剤は、アニオン性分岐界面活性剤を含み得る。好適なアニオン性分岐界面活性剤は、分岐状硫酸系又は分岐状スルホン酸系界面活性剤、例えば、1つ又は2つ以上のランダムアルキル分岐鎖、例えば、C1〜4アルキル基(通常はメチル基及び/又はエチル基)を含む、分岐状アルキルサルフェート、分岐状アルキルアルコキシル化サルフェート及び分岐状アルキルベンゼンスルホネートから選択することができる。
【0120】
一部の態様では、分岐状洗浄性界面活性剤は、中鎖分岐状洗浄性界面活性剤、通常は中鎖分岐状アニオン性洗浄界面活性剤、例えば、中鎖分岐状アルキルサルフェート及び/又は中鎖分岐状アルキルベンゼンスルホネートである。一部の態様では、洗浄性界面活性剤は、中鎖分岐状アルキルサルフェートである。一部の態様では、中鎖分枝は、C1〜4アルキル基、通常は、メチル基及び/又はエチル基である。
【0121】
一部の態様では、分岐界面活性剤は、下式のより長いアルキル鎖、中鎖分岐状界面活性剤化合物を含む。
−X−B
式中、
(a)Aは、疎水性のC9〜C22(この部分の炭素の合計)、通常、約C12〜約C18の中鎖分岐状アルキル部分であり、(1)8〜21個の炭素原子の範囲内の、−X−B部分に結合した最長直鎖炭素鎖と、(2)この最長直鎖炭素鎖から分枝している1つ又は2つ以上のC1〜C3アルキル部分と、を有し、(3)分枝状アルキル部分の少なくとも1つは、−X−B部分に結合している1番の炭素から数えて位置2の炭素から、末端炭素から2個の炭素を引いた位置ω−2炭素(すなわち最長直鎖炭素鎖の末端から3番目の炭素)までの範囲内の位置で最長直鎖炭素鎖の炭素に直接結合し、(4)界面活性剤組成物は、上の式中のA−X部分における炭素原子の平均総数が14.5超〜約17.5(通常約15〜約17)の範囲内であり、
b)Bは、サルフェート、スルホネート、アミンオキシド、ポリオキシアルキレン(ポリオキシエチレン及びポリオキシプロピレンなど)、アルコキシル化サルフェート、ポリヒドロキシ部分、リン酸エステル、グリセロールスルホネート、ポリグルコネート、ポリリン酸エステル、ホスホネート、スルホスクシネート、スルホサッカミネート、ポリアルコキシル化カルボキシレート、グルカミド、タウリネート、サルコシネート、グリシネート、イセチオネート、ジアルカノールアミド、モノアルカノールアミド、モノアルカノールアミドサルフェート、ジグリコールアミド、ジグリコールアミドサルフェート、グリセロールエステル、グリセロールエステルサルフェート、グリセロールエーテル、グリセロールエーテルサルフェート、ポリグリセロールエーテル、ポリグリセロールエーテルサルフェート、ソルビタンエステル、ポリアルコキシル化ソルビタンエステル、アンモニオアルカンスルホネート、アミドプロピルベタイン、アルキル化四級化合物、アルキル化/ポリヒドロキシアルキル化オキシプロピル四級化合物、アルキル化/ポリヒドロキシル化四級化合物、イミダゾリン、2−イル−スクシネート、スルホン化アルキルエステル及びスルホン化脂肪酸から選択される親水性部分であり(例えば(A−X)−Bにおいて、2以上の疎水性部分がBに結合してジメチル四級化合物を与え得ることに留意されたい)、
(c)Xは、−CH2−及び−C(O)−から選択される。
【0122】
一般に、上記の式において、A部分は、いずれの第四級置換炭素原子(すなわち、1つの炭素原子に直接結合している4つの炭素原子)も有さない。得られる界面活性剤は、どの親水性部分(B)を選択するかに応じて、アニオン性、非イオン性、陽イオン性、双極イオン性、両性、又は両性電解質であってもよい。いくつかの態様では、Bはサルフェートであり、得られる界面活性剤はアニオン性である。
【0123】
一部の態様では、分枝状界面活性剤は、より長いアルキル鎖の上式の中鎖分岐界面活性剤化合物を含み、式中、A部分は、次式を有する分岐状一級アルキル部分であり、
【0124】
【化20】
この式の分岐状一級アルキル部分中の炭素原子の総数は(R、R、及びR分岐を含む)、13〜19であり、R、R1及びR2は、それぞれ独立して、水素及びC1〜C3アルキル(通常メチル)から選択され、ただし、R、R1及びR2は、全てが水素ではなく、zが0であるとき、少なくともR又はR1は、水素ではなく、wは、0〜13の整数であり、xは、0〜13の整数であり、yは、0〜13の整数であり、zは、0〜13の整数であり、w+x+y+zは、7〜13である。
【0125】
特定の態様において、分岐界面活性剤は、より長いアルキル鎖の上式の中鎖分岐界面活性剤化合物を含み、式中、A部分は、
【0126】
【化21】
又はこれらの組み合わせから選択される式を有する分枝状一級アルキル部分であり、式中、a、b、d及びeは、整数であり、a+bは、10〜16であり、d+eは、8〜14であり、更に、
a+b=10の場合、aは、2〜9の整数であり、bは、1〜8の整数であり、
a+b=11の場合、aは、2〜10の整数であり、bは、1〜9の整数であり、
a+b=12の場合、aは、2〜11の整数であり、bは、1〜10の整数であり、
a+b=13の場合、aは、2〜12の整数であり、bは、1〜11の整数であり、
a+b=14の場合、aは、2〜13の整数であり、bは、1〜12の整数であり、
a+b=15の場合、aは、2〜14の整数であり、bは、1〜13の整数であり、
a+b=16の場合、aは、2〜15の整数であり、bは、1〜14の整数であり、
d+e=8の場合、dは、2〜7の整数であり、eは、1〜6の整数であり、
d+e=9の場合、dは、2〜8の整数であり、eは、1〜7の整数であり、
d+e=10の場合、dは、2〜9の整数であり、eは、1〜8の整数であり、
d+e=11の場合、dは、2〜10の整数であり、eは、1〜9の整数であり、
d+e=12の場合、dは、2〜11の整数であり、eは、1〜10の整数であり、
d+e=13の場合、dは、2〜12の整数であり、eは、1〜11の整数であり、
d+e=14の場合、dは、2〜13の整数であり、eは、1〜12の整数である。
【0127】
上述の中鎖分岐界面活性剤化合物において、特定の分岐点(例えば、上記式中のR、R及び/又はR部分の鎖に沿った位置)が、界面活性剤の主鎖に沿った他の分岐点よりも好ましい。以下の式は、モノ−メチル分岐状アルキルA部分に関して、中鎖分岐範囲(すなわち、分岐点が生じる場所)、好ましい中鎖分岐範囲、及びより好ましい中鎖分岐範囲を示す。
【0128】
【化22】
【0129】
モノ−メチル置換界面活性剤では、これらの範囲からは、鎖の2つの末端炭素原子及び−X−B基に直接隣接した炭素原子が除外される。
【0130】
以下の式は、ジメチル置換直鎖アルキルA部分の中鎖分岐範囲、好ましい中鎖分岐範囲、及びより好ましい中鎖分岐範囲を示す。
【0131】
【化23】
【0132】
追加の好適な分岐界面活性剤は、米国特許第6008181号、同第6060443号、同第6020303号、同第6153577号、同第6093856号、同第6015781号、同第6133222号、同第6326348号、同第6482789号、同第6677289号、同第6903059号、同第6660711号、同第6335312号、及び国際公開第9918929号に開示されている。更に他の好適な分岐界面活性剤は、国際公開第9738956号、同第9738957号、及び同第0102451号に記載されているものを含む。
【0133】
一部の態様では、分岐状アニオン性界面活性剤は、国際公開第99/05243号、同第99/05242号、同第99/05244号、同第99/05082号、同第99/05084号、同第99/05241号、同第99/07656号、同第00/23549号及び同第00/23548号に記載されているような分岐変性アルキルベンゼンスルホン酸塩(MLAS)を含む。
【0134】
一部の態様では、分岐状アニオン性界面活性剤は、疎水性鎖に沿ってランダムに分布したメチル分岐鎖を含む、C12/13アルコール系界面活性剤、例えば、Sasolから入手可能なSafol(登録商標)、Marlipal(登録商標)を含む。
【0135】
更に好適な分岐状アニオン性洗浄界面活性剤には、2−アルキル位置で分岐したアルコールに由来する界面活性剤、例えば、商標名Isalchem(登録商標)123、Isalchem(登録商標)125、Isalchem(登録商標)145、Isalchem(登録商標)167(いずれもオキソ法誘導)にて販売されているものなどが挙げられる。オキソ法によるために、分岐は、2−アルキル位置に位置している。これらの2−アルキル分岐状アルコールは、典型的には、C11〜C14/C15の範囲の長さであり、2−アルキル位置で全て分岐する構造異性体が含まれる。これらの分岐アルコール及び界面活性剤は、米国特許出願公開第20110033413号に記載されている。
【0136】
他の好適な分岐界面活性剤には、米国特許第6037313号(P&G)、国際公開第9521233号(P&G)、米国特許第3480556号(Atlantic Richfield)、米国特許第6683224号(Cognis)、米国特許出願公開第20030225304(A1)号(Kao)、米国特許出願公開第2004236158(A1)号(R&H)、米国特許第6818700号(Atofina)、米国特許出願公開第2004154640号(Smith et al.)、欧州特許第1280746号(Shell)、欧州特許第1025839号(L’Oreal)、米国特許第6765119号(BASF)、欧州特許第1080084号(Dow)、米国特許第6723867号(Cognis)、欧州特許第1401792(A1)号(Shell)、欧州特許第1401797(A2)号(Degussa AG)、米国特許出願公開第2004048766号(Raths et al.)、米国特許第6596675号(L’Oreal)、欧州特許第1136471号(Kao)、欧州特許第961765号(Albemarle)、米国特許第6580009号(BASF)、米国特許出願公開第2003105352号(Dado et al.)、米国特許第6573345号(Cryovac)、独国特許第10155520号(BASF)、米国特許第6534691号(du Pont)、米国特許第6407279号(ExxonMobil)、米国特許第5831134号(Peroxid−Chemie)、米国特許第5811617号(Amoco)、米国特許第5463143号(Shell)、米国特許第5304675号(Mobil)、米国特許第5227544号(BASF)、米国特許第5446213(A)号(MITSUBISHI KASEI CORPORATION)、欧州特許第1230200(A2)号(BASF)、欧州特許第1159237(B1)号(BASF)、米国特許出願公開第20040006250(A1)号(NONE)、欧州特許第1230200(B1)号(BASF)、国際公開第2004014826(A1)号(SHELL)、米国特許第6703535(B2)号(CHEVRON)、欧州特許第1140741(B1)号(BASF)、国際公開第2003095402(A1)号(OXENO)、米国特許第6765106(B2)号(SHELL)、米国特許出願公開第20040167355(A1)号(NONE)、米国特許第6700027(B1)号(CHEVRON)、米国特許出願公開第20040242946(A1)号(NONE)、国際公開第2005037751(A2)(SHELL)、国際公開第2005037752(A1)号(SHELL)、米国特許第6906230(B1)号(BASF)、国際公開第2005037747(A2)号(SHELL)OIL COMPANYに記載のものが挙げられる。
【0137】
更なる好適な分岐状アニオン性洗浄界面活性剤には、米国特許出願公開第2010/0137649号に記載されているようなイソプレノイド系多分岐状洗剤アルコールの界面活性剤誘導体が挙げられる。またイソプレノイド系界面活性剤及びイソプレノイド誘導体は、本の名称「Comprehensive Natural Products Chemistry:Isoprenoids Including Carotenoids and Steroids(第2巻)」、Barton及びNakanishi、(著作権)1999、Elsevier Science Ltdに記載され、構造Eに含まれ、参照により本明細書に組み込まれる。
【0138】
更に好適な分岐状アニオン性洗浄界面活性剤には、アンテイソ及びイソアルコールに由来するものが挙げられる。そのような界面活性剤は、国際公開第2012009525号に開示されている。
【0139】
更なる好適な分岐状アニオン性洗浄界面活性剤には、米国特許出願第2011/0171155(A1)号及び同第2011/0166370(A1)号に記載のものが挙げられる。
【0140】
好適な分岐状アニオン性界面活性剤には、Guerbetアルコール系界面活性剤も含まれる。Guerbetアルコールは、2つの線状炭素鎖を有し、分岐点が必ず2番目の炭素位置にある分岐一級単官能性アルコールである。Guerbetアルコールは、化学的に記述すると、2−アルキル−1−アルカノールである。Guerbetアルコールは、一般に、12個の炭素原子〜36個の炭素原子を有する。Guerbetアルコールは、次式:(R1)(R2)CHCHOHにより表すことができ、式中、R1は、直鎖アルキル基であり、R2は、直鎖アルキル基であり、R1及びR2中の炭素原子の合計は、10〜34であり、R1及びR2の両方が存在する。Guerbetアルコールは、SasolからIsofol(登録商標)アルコールとして販売され、CognisからGuerbetolとして販売されている。
【0141】
本明細書に開示される界面活性剤系は、上述の分岐界面活性剤の任意のものを独立に含んでもよく、あるいは、界面活性剤系は、上述の分岐界面活性剤の混合物を含んでもよい。更に、上述の分岐界面活性剤それぞれが、バイオベース含有成分を含み得る。いくつかの態様において、分岐界面活性剤は、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約97%、又は約100%のバイオベース含有成分を有する。
【0142】
非イオン性界面活性剤
洗浄組成物の界面活性剤系は、典型的に、非イオン性界面活性剤を含む。一部の例では、界面活性剤系は、界面活性剤系の重量に対して、最大約50%の1種類又は2種類以上の非イオン性界面活性剤を、例えば、共界面活性剤として含む。一部の態様では、界面活性剤系は、界面活性剤系の重量に対して、約5%〜約50%、約10%〜約50%、又は約20%〜約50%の非イオン性界面活性剤を含む。
【0143】
本明細書で有用な、好適な非イオン性界面活性剤は、任意の従来の非イオン性界面活性剤を含んでもよい。これらには、例えば、アルコキシル化脂肪族アルコール、及びアミンオキシド界面活性剤が含まれ得る。いくつかの例では、クリーニング組成物は、エトキシル化非イオン性界面活性剤を含有してもよい。これらの材料は、米国特許第4,285,841号(Barrat et al.、1981年8月25日公開)に記載されている。非イオン性界面活性剤は、式R(OCOHのエトキシル化アルコール及びエトキシル化アルキルフェノールから選択することができ、式中、Rは、約8個〜約15個の炭素原子を含有する脂肪族炭化水素ラジカル及びアルキル基が約8個〜約12個の炭素原子を含有するアルキルフェニルラジカルからなる群から選択され、nの平均値は、約5〜約15である。これらの界面活性剤は、米国特許第4,284,532号(Leikhim et al.、1981年8月18日公開)中でより充分に説明される。一例では、非イオン性界面活性剤は、平均約24個の炭素原子をアルコール内に有し、かつ平均エトキシル化度がアルコール1モル当たり約9モルのエチレンオキシドであるエトキシ化アルコールから選択される。
【0144】
本明細書で有用な非イオン性界面活性剤の他の非限定的な例としては、C12〜C18アルキルエトキシレート、例えばShellのNEODOL(登録商標)非イオン性界面活性剤;C〜C12アルキルフェノールアルコキシレート(ここで、アルコキシレート単位はエチレンオキシ単位とプロピレンオキシ単位が組み合わさったものである);例えばBASFのPluronic(登録商標)などのエチレンオキシド/プロピレンオキシドブロックポリマーとのC12〜C18アルコール縮合物及びC〜C12アルキルフェノール縮合物;米国特許第6,150,322号において議論されるようなC14〜C22中鎖分岐状アルコール(BA);米国特許第6,153,577号、同第6,020,303号及び同第6,093,856号において議論されているようなC14〜C22中鎖分岐状アルキルアルコキシレートであるBAE(式中xは1〜30);米国特許第4,565,647号(Llenado、1986年1月26日公開)で議論されているようなアルキル多糖;特に、米国特許第4,483,780号及び同第4,483,779号で議論されているようなアルキルポリグリコシド;米国特許第5,332,528号、国際公開第92/06162号、同第93/19146号、同第93/19038号、及び同第94/09099号で議論されているようなポリヒドロキシ脂肪酸アミド;並びに米国特許第6,482,994号及び国際公開第01/42408号において議論されているようなエーテル末端保護ポリ(オキシアルキル化)アルコール界面活性剤が挙げられる。
【0145】
カチオン性界面活性剤
界面活性剤系は、カチオン性界面活性剤を含んでもよい。一部の態様では、界面活性剤系は、界面活性剤系の重量に対して、約0%〜約7%、約0.1%〜約5%、又は約1%〜約4%のカチオン性界面活性剤を、例えば補助界面活性剤として含む。カチオン性の非限定的な例には、最大26個の炭素原子を有し得る四級アンモニウム界面活性剤が挙げられ、米国特許第6,136,769号において議論されているようなアルコキシレート四級アンモニウム(AQA)界面活性剤、第6,004,922号で議論されているようなジメチルヒドロキシエチル四級アンモニウム;ジメチルヒドロキシエチルラウリルアンモニウムクロリド;国際公開第98/35002号、同第98/35003号、同第98/35004号、同第98/35005号、及び同第98/35006号で議論されるようなポリアミンカチオン性界面活性剤;米国特許第4,228,042号、同第4,239,660号、同第4,260,529号、及び米国特許第6,022,844号で議論されるようなカチオン性エステル界面活性剤;米国特許第6,221,825号及び国際公開第00/47708号で議論されているようなアミノ界面活性剤、特にアミドプロピルジメチルアミン(APA)が挙げられる。
【0146】
一部の態様では、本開示の洗浄組成物は、カチオン性界面活性剤及び/又はpH7を下回る若しくはpH6を下回るカチオン性の界面活性剤を実質的に含まない。
【0147】
双極性イオン界面活性剤
一部の態様では、界面活性剤系は、双極性イオン界面活性剤を含む。双極性イオン界面活性剤の例としては、二級及び三級アミン誘導体、複素環式二級及び三級アミン誘導体、又は四級アンモニウム化合物、四級ホスホニウム化合物若しくは三級スルホニウム化合物の誘導体が挙げられる。双極性イオン界面活性剤の例については、米国特許第3,929,678号の第19段38行目〜第22段48行目を参照されたいが、アルキルジメチルベタイン及びココジメチルアミドプロピルベタイン、C〜C18(例えば、C12〜C18)アミンオキシド並びにスルホベタイン及びヒドロキシベタイン、例えば、N−アルキル−N,N−ジメチルアミノ−1−プロパンスルホネート(アルキル基はC〜C18、特定の実施形態では、C10〜C14であり得る)を含むベタインが挙げられる。
【0148】
両性電解質界面活性剤
一部の態様では、界面活性剤系は、両性電解質界面活性剤を含む。両性電解質界面活性剤の具体的な非限定例としては、二級若しくは三級アミンの脂肪族誘導体、又は複素環式二級及び三級アミンの脂肪族誘導体が挙げられ、ここで、脂肪族ラジカルは、直鎖又は分岐鎖であってもよい。脂肪族置換基のうち1つは、少なくとも約8個の炭素原子、例えば約8個〜約18個の炭素原子を含有してもよく、少なくとも1つは、水溶化アニオン基、例えば、カルボキシ基、スルホネート基、サルフェート基を含有する。両性電解質界面活性剤の好適な例については、米国特許第3,929,678号、19段18〜35行を参照のこと。
【0149】
両性界面活性剤
一部の態様では、界面活性剤系は、両性界面活性剤を含む。両性界面活性剤類の例としては、二級若しくは三級アミンの脂肪族誘導体、又は複素環式二級及び三級アミンの脂肪族誘導体が挙げられ、ここで、脂肪族ラジカルは、直鎖又は分岐鎖であってもよい。脂肪族置換基の1つは、少なくとも約8個の炭素原子、典型的には約8個〜約18個の炭素原子を含有し、そして少なくとも1つが、アニオン性水溶化基、例えば、カルボキシ、スルホネート、サルフェートを含有する。この定義の範疇に入る化合物の例は、ナトリウム3−(ドデシルアミノ)プロピオネート、ナトリウム3−(ドデシルアミノ)プロパン−1−スルホネート、ナトリウム2−(ドデシルアミノ)エチルサルフェート、ナトリウム2−(ジメチルアミノ)オクタデカノエート、二ナトリウム3−(N−カルボキシメチルドデシルアミノ)プロパン1−スルホネート、二ナトリウムオクタデシル−イミノジアセテート、ナトリウム1−カルボキシメチル−2−ウンデシルイミダゾール、及び、ナトリウムN,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−2−スルファト−3−ドデコキシプロピルアミンである。両性界面活性剤の例には、米国特許第3,929,678号(Laughlin et al.、1975年12月30日公開)19段18〜35行を参照されたい。いくつかの態様では、界面活性剤系は、両性界面活性剤を実質的に含まない。
【0150】
一態様では、界面活性剤系は、アニオン性界面活性剤と、補助界面活性剤として、非イオン性界面活性剤(例えば、C12〜C18アルキルエトキシレートを含む。別の態様において、界面活性剤系はC10〜C15アルキルベンゼンスルホン酸塩(LAS)と、補助界面活性剤として、アニオン性界面活性剤(例えば、C10〜C18アルキルアルコキシサルフェート(AES)、xは1〜30である)と、を含み得る。別の態様では、界面活性剤系は、アニオン性界面活性剤と、補助界面活性剤として、カチオン性界面活性剤(例えば、ジメチルヒドロキシエチルラウリルアンモニウムクロリド)を含む。
【0151】
洗濯補助剤
本明細書に記載の洗濯洗剤組成物は、外部構造化系、酵素、香料マイクロカプセルなどのマイクロカプセル、汚れ放出ポリマー、色調剤及びこれらの混合物を含めた他の洗濯補助剤を含み得る。
【0152】
外部構造化系
洗剤組成物が液体組成物である場合、洗剤組成物は、外部構造化系を含み得る。外部構造化系は、組成物に、例えば、好適な注入粘度、相安定性、及び/又は懸濁性をもたらすような十分な粘度をもたらすために、使用することができる。
【0153】
本開示の組成物は、0.01重量%〜5重量%又は更に0.1重量%〜1重量%の外部構造化系を含み得る。外部構造化系は、
(i)非高分子系結晶質のヒドロキシ官能性構造化剤及び/又は
(ii)高分子系構造化剤、からなる群から選択されてもよい。
【0154】
このような外部構造化系は、組成物の洗浄性界面活性剤の任意の構造化効果とは独立して、すなわちこのような効果とは無関係に、流体洗濯洗剤組成物を安定化させるのに十分な降伏応力又は低剪断粘度を付与することができるようなものであってもよい。これらは、流体洗濯洗剤組成物に、21℃、20s−1にて1〜1500cpsの高剪断粘度及び5000cpsを超える低剪断粘度(21℃、0.05s−1にて)を付与することができる。粘度は、直径40mm及び間隙サイズ500μmの平板の鋼製スピンドルを用いるTA instruments製のAR 550レオメーターを使用して測定される。20s−1での高剪断粘度、及び0.5s−1での低剪断粘度は、21℃で3分間の0.1s−1〜25s−1の対数剪断速度掃引から得ることができる。
【0155】
一実施形態において、組成物は、約0.01重量%〜約1重量%の非高分子系結晶質ヒドロキシル官能性構造化剤を含み得る。このような非高分子系結晶質ヒドロキシル官能性構造化剤は、結晶化可能なグリセリドを含んでもよく、洗濯洗剤組成物の最終的な1回容量への分散を補助するためにこのグリセリドを前乳化することもできる。好適な結晶化可能なグリセリドとしては、液体洗剤組成物内で結晶化させることができるという条件で、硬化ヒマシ油又は「HCO」又はこれらの誘導体が挙げられる。
【0156】
洗剤組成物は、約0.01重量%〜5重量%の天然由来及び/又は合成の高分子系構造化剤を含み得る。好適な天然に誘導された高分子系構造化剤としては、ヒドロキシエチルセルロース、疎水変性ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、多糖誘導体、及びこれらの混合物が挙げられる。好適な多糖誘導体としては、ペクチン、アルジネート、アラビノガラクタン(アラビアゴム)、カラギーナン、ジェランガム、キサンタンガム、グアーガム及びこれらの混合物が挙げられる。好適な合成高分子系構造化剤としては、ポリカルボキシレート、ポリアクリレート、疎水変性エトキシル化ウレタン、疎水変性非イオン性ポリオール、及びこれらの混合物が挙げられる。一態様では、ポリカルボキシレートポリマーは、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、又はこれらの混合物であってもよい。別の態様では、ポリアクリレートは、不飽和モノ−又はジ−カルボン酸と(メタ)アクリル酸のC〜C30アルキルエステルとのコポリマーであってもよい。このようなコポリマーは、商品名Carbopol(登録商標)Aqua 30でNoveon incから入手可能である。
【0157】
好適な構造化剤及びその製造方法は、米国特許第6,855,680号及び国際公開第2010/034736号に開示されている。
【0158】
酵素
本開示の洗浄組成物は、酵素を含み得る。酵素は、タンパク質由来、炭水化物由来又はトリグリセリド由来の染みを基材から除去すること、を含む様々な目的のため、布地の洗濯の際に遊離する染料移行を防止するため、並びに布地を修復するために、洗浄組成物に含められてもよい。好適な酵素には、任意の好適な起源(例えば、植物、動物、細菌、真菌及び酵母起源など)のプロテアーゼ、アミラーゼ、リパーゼ、カルボヒドラーゼ、セルラーゼ、オキシダーゼ、ペルオキシダーゼ、マンナナーゼ及びこれらの混合物が挙げられる。本明細書に記載の洗浄組成物で使用することができる他の酵素には、ヘミセルラーゼ、グルコアミラーゼ、キシラナーゼ、エステラーゼ、クチナーゼ、ペクチナーゼ、ケラタナーゼ、レダクターゼ、オキシダーゼ、フェノールオキシダーゼ、リポキシゲナーゼ、リグニナーゼ、プルラナーゼ、タンナーゼ、ペントサナーゼ、マラナーゼ、β−グルカナーゼ、アラビノシダーゼ、ヒアルロニダーゼ、コンドロイチナーゼ、ラッカーゼ又はこれらの混合物が挙げられる。酵素の選択は、pH活性及び/又は安定性の最適条件、熱安定性、及び活性洗剤、ビルダーなどに対する安定性などの要因に影響される。
【0159】
いくつかの態様では、リパーゼが含まれてもよい。特定の態様にて使用することができる更なる酵素には、マンナナーゼ、プロテアーゼ及びセルラーゼが挙げられる。マンナナーゼ、プロテアーゼ及びセルラーゼは、Novozymes(Denmark)からそれぞれMannaway、Savinase及びCellucleanの商標名で購入することができ、それぞれ1グラム当たり、4mg、15.8mg、及び15.6mgの活性酵素が得られる。
【0160】
いくつかの態様では、組成物は、少なくとも2つ、少なくとも3つ又は少なくとも4つの酵素を含む。いくつかの態様では、組成物は、少なくともアミラーゼ及びプロテアーゼを含む。
【0161】
酵素は、通常、「洗浄に有効な量」を提供するのに十分な濃度で洗浄組成物中に組み込まれる。語句「洗浄に有効な量」とは、布地、硬い表面などの汚れた材料に対して、洗浄、染み除去、汚れ除去、増白、脱臭又は洗い立て感の改善効果をもたらすことが可能な任意の量を指す。いくつかの態様では、洗剤組成物は、洗浄組成物の重量に対して、約0.0001%〜約5%、約0005%〜約3%、又は約0.001%〜約2%の活性酵素を含み得る。酵素は、個別の単一構成成分として又は2種類以上の酵素の混合物として添加することができる。
【0162】
広範な酵素物質及び酵素物質を合成洗浄組成物に組み込むための手段については、国際公開第9307263(A)号、国際公開第9307260(A)号、国際公開第8908694(A)号、米国特許第3,553,139号、同第4,101,457号及び米国特許第4,507,219号に開示されている。液体洗浄組成物に有用な酵素物質、及び当該組成物への組み込みについては、米国特許第4,261,868号に開示されている。
【0163】
マイクロカプセル及び送達系
いくつかの態様では、本明細書に開示の組成物は、マイクロカプセルを含み得る。マイクロカプセルは、香料原材料、シリコーンオイル、ろう、炭化水素、高級脂肪酸、精油、脂質、皮膚冷却剤、ビタミン、日焼け止め剤、酸化防止剤、グリセリン、触媒、漂白剤粒子、二酸化ケイ素粒子、悪臭軽減剤、臭気抑制物質、キレート化剤、静電気防止剤、柔軟化剤、昆虫類及び蛾類忌避剤、着色剤、酸化防止剤、キレート剤、増粘剤、ドレープ及び形状制御剤、スムージング剤、しわ制御剤、浄化剤、消毒剤、細菌抑制剤、カビ制御剤、白カビ制御剤、抗ウイルス剤、乾燥剤、染み防止剤、汚れ遊離剤、布地リフレッシュ剤及び洗い立て感増強剤、塩素漂白臭気抑制剤、染料固定剤、移染防止剤、色保全剤、蛍光増白剤、色回復/再生剤、退色防止剤、白色度増強剤、抗摩擦剤、耐摩耗剤、布地保全剤、磨耗防止剤、けば立ち防止剤、消泡剤、起泡防止剤、紫外線保護剤、太陽光劣化阻害剤、抗アレルギー剤、酵素、防水加工剤、布地調整剤、防縮剤、伸び防止剤、伸び回復剤、スキンケア剤、グリセリン、及び天然活性物質、抗菌活性物質、制汗活性物質、カチオン性ポリマー、染料、並びにこれらの混合物などの好適な有益剤を含み得る。いくつかの態様では、マイクロカプセルは、以下に記載する香料マイクロカプセルである。
【0164】
いくつかの態様では、本明細書に開示の組成物は、香料送達系を含み得る。好適な香料送達系、特定の香料送達系を製造する方法、及び該香料送達系の使用法は、米国特許出願公開第2007/0275866(A1)号に開示されている。このような香料送達系は、香料マイクロカプセルであってもよい。香料マイクロカプセルは、香料及びシェルを含むコアを含んでもよく、シェルは、コアを封入する。シェルは、アミノ樹脂コポリマー、アクリル、アクリレート、及びこれらの混合物からなる群から選択される物質を含んでもよい。アミノ樹脂コポリマーは、メラミン−ホルムアルデヒド、尿素−ホルムアルデヒド、架橋メラミンホルムアルデヒド、又はこれらの混合物であってもよい。いくつかの態様では、シェルは、ポリアクリレート、ポリエチレングリコールアクリレート、ポリウレタンアクリレート、エポキシアクリレート、ポリメタクリレート、ポリエチレングリコールメタクリレート、ポリウレタンメタクリレート、エポキシメタクリレート及びこれらの混合物からなる群から選択される物質を含む。香料マイクロカプセルのシェルは、本明細書で開示した組成物で処理された部位における、香料マイクロカプセルの付着及び/又は保持に役立つ、1種類又は2種類以上の材料、例えばポリマーでコーティングされ得る。ポリマーは、多糖類、カチオン変性デンプン、カチオン変性グアー、ポリシロキサン、ポリジアリルジメチルアンモニウムハライド、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロリドとビニルピロリドンのコポリマー、アクリルアミド、イミダゾール、イミダゾリニウムハライド、イミダゾリウムハライド、ポリビニルアミン、ポリビニルアミンとN−ビニルホルムアミドのコポリマー、及びこれらの混合物からなる群から選択されるカチオン性ポリマーであってもよい。通常、コアは、未精製香油を含む。香料マイクロカプセルは、砕けやすくてもよく、かつ/又は約10マイクロメートル〜約500マイクロメートル又は約20マイクロメートル〜約200マイクロメートルの平均粒径であってもよい。いくつかの態様では、組成物には、全組成物重量に対して、約0.01%〜約80%、又は約0.1%〜約50%、又は約1.0%〜約25%、又は約1.0%〜約10%の香料マイクロカプセルが含まれる。好適なカプセルは、Appleton Papers Inc.、(Appleton、Wisconsin USA)から入手してもよい。
【0165】
ホルムアルデヒド捕捉剤は、こうした香料マイクロカプセルの中で用いることも、こうした香料マイクロカプセルと併せて用いることもできる。好適なホルムアルデヒド捕捉剤には、重亜硫酸ナトリウム、尿素、システイン、システアミン、リシン、グリシン、セリン、カルノシン、ヒスチジン、グルタチオン、3,4−ジアミノ安息香酸、アラントイン、グリコウリル、アントラニル酸、アントラニル酸メチル、4−アミノ安息香酸メチル、アセト酢酸エチル、アセトアセトアミド、マロンアミド、アスコルビン酸、1,3−ジヒドロキシアセトン二量体、ビウレット、オキサミド、ベンゾグアナミン、ピログルタミン酸、ピロガロール、没食子酸メチル、没食子酸エチル、没食子酸プロピル、トリエタノールアミン、スクシンアミド、チアベンダゾール、ベンゾトリアゾール、トリアゾール、インドリン、スルファニル酸、オキサミド、ソルビトール、グルコース、セルロース、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(ビニルアミン)、ヘキサンジオール、エチレンジアミン−N,N’−ビスアセトアセトアミド、N−(2−エチルヘキシル)アセトアセトアミド、N−(3−フェニルプロピル)アセトアセトアミド、リリアール、ヘリオナール、メロナール、トリプラール、5,5−ジメチル−1,3−シクロヘキサンジオン、2,4−ジメチル−3−シクロヘキセンカルボキシアルデヒド、2,2−ジメチル−1,3−ジオキサン−4,6−ジオン、2−ペンタノン、ジブチルアミン、トリエチレンテトラミン、ベンジルアミン、ヒドロキシシトロネロール、シクロヘキサノン、2−ブタノン、ペンタンジオン、デヒドロ酢酸、キトサン又はこれらの混合物を挙げることができる。
【0166】
好適なカプセル及び有益剤は、米国特許出願公開第2008/0118568(A1)号、同第2011/026880号、同第2011/011999号、同第2011/0268802(A1)号及び同第20130296211号(それぞれThe Procter & Gamble Companyに譲渡)に更に議論されており、これらは参照により本明細書に組み込まれる。
【0167】
汚れ放出ポリマー(SRP)
本開示の洗剤組成物は、汚れ放出ポリマーを含み得る。いくつかの態様では、洗剤組成物は、以下の構造(I)、(II)又は(III)のうちの1つによって定義される構造を有する、1種類又は2種類以上の汚れ放出ポリマーを含み得る。
(I)−[(OCHR−CHR−O−OC−Ar−CO−]
(II)−[(OCHR−CHR−O−OC−sAr−CO−]
(III)−[(OCHR−CHR−OR
式中、
a、b、及びcは、1〜200であり、
d、e、及びfは、1〜50であり、
Arは、1,4−置換フェニレンであり、
sArは、5位がSOMeにより置換されている1,3−置換フェニレンであり、
Meは、Li、K、Mg/2、Ca/2、Al/3、アンモニウム、モノ−、ジ−、トリ−若しくはテトラ−アルキルアンモニウム(アルキル基は、C〜C18アルキル又はC〜C10ヒドロキシアルキルである)、又はこれらの混合物であり、
、R、R、R、R、及びRは、独立して、H、又はC〜C18n−若しくはイソ−アルキルから選択され、
は、直鎖若しくは分枝鎖C〜C18アルキル、又は直鎖若しくは分枝鎖C〜C30アルケニル、又は5〜9個の炭素原子を有するシクロアルキル基、又はC〜C30アリール基、又はC〜C30アリールアルキル基である。
【0168】
好適な汚れ放出ポリマーは、Repel−o−texポリマー(例えば、Rhodiaにより供給されているRepel−o−tex SF、SF−2及びSRP6)などのポリエステル汚れ放出ポリマーである。他の好適な汚れ放出ポリマーとしては、Texcareポリマー(例えば、Clariantにより供給されているTexcare SRA100、SRA300、SRN100、SRN170、SRN240、SRN300及びSRN325など)が挙げられる。他の好適な汚れ放出ポリマーは、Marloquestポリマー(例えば、Sasolにより供給されているMarloquest SLなど)である。
【0169】
色調剤
組成物は、布地色調剤(時には、色合い剤、青味剤、又は増白剤と称される場合もある)を含んでもよい。典型的には、色調剤は布地に青又は紫の色合いをもたらす。色調剤は単独で又は組み合わせて使用して、特定の色合いを作り出すことができ、かつ/又は異なる種類の布地に色合いをつけることができる。これは、例えば赤と緑−青の染料とを混合して青又は紫の色合いを生じさせることにより提供され得る。色調剤は、アクリジン、アントラキノン(多環式キノンを含む)、アジン、前金属化した(premetallized)アゾを含むアゾ(例えば、モノアゾ、ジアゾ、トリスアゾ、テトラキスアゾ、ポリアゾ)、ベンゾジフラン及びベンゾジフラノン、カロテノイド、クマリン、シアニン、ジアザヘミシアニン、ジフェニルメタン、ホルマザン、ヘミシアニン、インジゴイド、メタン、ナフタルイミド、ナフトキノン、ニトロ及びニトロソ、オキサジン、フタロシアニン、ピラゾール、スチルベン、スチリル、トリアリールメタン、トリフェニルメタン、キサンテン、並びにこれらの混合物を含むが、これらに限定されない任意の既知の染料の化学分類から選択され得る。
【0170】
好適な布地色調剤としては、染料、染料−粘土共役体(dye-clay conjugate)、並びに有機及び無機顔料が挙げられる。好適な染料としては、小分子染料及びポリマー染料が挙げられる。好適な小分子染料としては、例えば、青、バイオレット、赤、緑、又は黒に分類され、単独で又は組み合わせで所望の色合いをもたらす、直接染料、塩基性染料、反応染料若しくは加水分解した反応性染料、溶剤染料又は分散染料の色指数(C.I.)分類に分類される染料からなる群から選択される小分子染料が挙げられる。別の態様では、好適な小分子染料としては、カラーインデックス(染色業者及びカラーリスト協会(Society of Dyers and Colourists),Bradford,UK)番号が、ダイレクトバイオレット染料9、35、48、51、66、及び99など、ダイレクトブルー染料1、71、80、及び279など、アシッドレッド染料17、73、52、88、及び150など、アシッドバイオレット染料15、17、24、43、49、及び50など、アシッドブルー染料15、17、25、29、40、45、75、80、83、90、及び113など、アシッドブラック染料1など、ベーシックバイオレット染料1、3、4、10、及び35など、ベーシックブルー染料3、16、22、47、66、75、及び159など、欧州特許第1794275号又は同第1794276号に記載されるものなどの分散又は溶剤染料、あるいは米国特許第7,208,459(B2)号に開示されている染料、並びにこれらの混合物からなる群から選択される小分子染料が挙げられる。別の態様では、好適な小分子染料としては、C.I.番号が、アシッドバイオレット17、ダイレクトブルー71、ダイレクトバイオレット51、ダイレクトブルー1、アシッドレッド88、アシッドレッド150、アシッドブルー29、アシッドブルー113又はこれらの混合物からなる群から選択される小分子染料が挙げられる。
【0171】
好適なポリマー染料としては、例えばポリマーと色原体とを共重合してポリマーの主鎖にしたものなどの、共有結合した(共役したと呼ばれることもある)色原体を含有するポリマー(染料−ポリマー共役体)、及びこれらの混合物からなる群から選択されるポリマー染料が挙げられる。高分子染料には、国際公開第2011/98355号、国際公開第2011/47987号、米国特許出願公開第2012/090102号、国際公開第2010/145887号、国際公開第2006/055787号及び国際公開第2010/142503号に記載のものが挙げられる。
【0172】
別の態様では、好適なポリマー染料としては、Liquitint(登録商標)(Milliken(Spartanburg,South Carolina,USA))の名称で販売されている布地直接着色剤、及び少なくとも1つの反応染料と、ヒドロキシル部分、一級アミン部分、二級アミン部分、チオール部分及びこれらの混合物からなる群から選択される部分を含む高分子からなる群から選択される高分子と、から形成される染料−高分子共役体からなる群から選択される高分子染料が挙げられる。更に別の態様では、好適な高分子染料としては、Liquitint(登録商標)バイオレットCT、Megazyme(Wicklow,Ireland)から商品名AZO−CM−セルロース、商品コードS−ACMCで販売されているC.I.リアクティブブルー19と共役しているCMCなどのリアクティブブルー、リアクティブバイオレット、又はリアクティブレッドの染料に共有結合しているカルボキシメチルセルロース(CMC)、アルコキシル化トリフェニール−メタン高分子着色料、アルコキシル化チオフェン高分子着色料、及びこれらの混合物からなる群から選択される高分子染料が挙げられる。
【0173】
好ましい色調染料には、国際公開第08/87497(A1)号、国際公開第2011/011799号及び国際公開第2012/054835号に認められる増白剤が挙げられる。本開示の使用に好ましい色調剤は、これらの参考文献に開示されている好ましい染料であってよく、国際公開第2011/011799号の表5中の実施例1〜42から選択されるものが挙げられる。他の好ましい染料は、米国特許第8,138,222号に開示されている。他の好ましい染料は、国際公開第2009/069077号に開示されている。
【0174】
好適な染料粘土共役体としては、少なくとも1つのカチオン性/塩基性染料及びスメクタイト粘土、並びにこれらの混合物を含む群から選択される染料粘土共役体が挙げられる。別の態様では、好適な染料粘土共役体としては、C.I.ベーシックイエロー1〜108、C.I.ベーシックオレンジ1〜69、C.I.ベーシックレッド1〜118、C.I.ベーシックバイオレット1〜51、C.I.ベーシックブルー1〜164、C.I.ベーシックグリーン1〜14、C.I.ベーシックブラウン1〜23、CIベーシックブラック1〜11からなる群から選択される1種類のカチオン性/塩基性染料と、モンモリロナイト粘土、ヘクトライト粘土、サポナイト粘土及びこれらの組み合わせからなる群から選択される粘土とからなる群から選択される染料粘土共役体が挙げられる。更に別の態様では、好適な染料粘土共役体としては、モンモリロナイトベーシックブルーB7 C.I.42595共役体、モンモリロナイトベーシックブルーB9 C.I.52015共役体、モンモリロナイトベーシックバイオレットV3 C.I.42555共役体、モンモリロナイトベーシックグリーンG1 C.I.42040共役体、モンモリロナイトベーシックレッドR1 C.I.45160共役体、モンモリロナイトC.I.ベーシックブラック2共役体、ヘクトライトベーシックブルーB7 C.I.42595共役体、ヘクトライトベーシックブルーB9 C.I.52015共役体、ヘクトライトベーシックバイオレットV3 C.I.42555共役体、ヘクトライトベーシックグリーンG1 C.I.42040共役体、ヘクトライトベーシックレッドR1 C.I.45160共役体、ヘクトライトC.I.ベーシックブラック2共役体、サポナイトベーシックブルーB7 C.I.42595共役体、サポナイトベーシックブルーB9 C.I.52015共役体、サポナイトベーシックバイオレットV3 C.I.42555共役体、サポナイトベーシックグリーンG1 C.I.42040共役体、サポナイトベーシックレッドR1 C.I.45160共役体、サポナイトC.I.ベーシックブラック2共役体、及びこれらの混合物からなる群から選択される染料粘土共役体が挙げられる。
【0175】
好適な顔料としては、フラバントロン、インダントロン、1〜4個の塩素原子を含む塩素化インダントロン、ピラントロン、ジクロロピラントロン、モノブロモジクロロピラントロン、ジブロモジクロロピラントロン、テトラブロモピラントロン、ペリレン−3,4,9,10−テトラカルボン酸ジイミド(そのイミド基は、非置換であっても、C1〜C3−アルキルラジカル又はフェニルラジカル又は複素環式ラジカルによって置換されていてもよく、そのフェニルラジカル及び複素環式ラジカルは、水溶性を付与しない置換基を更に有してもよい)、アントラピリミジンカルボン酸アミド、ビオラントロン、イソビオラントロン、ジオキサジン顔料、1分子当たり最大2個の塩素原子を含んでよい銅フタロシアニン、1分子当たり最大14個の臭素原子を含むポリクロロ−銅フタロシアニン又はポリブロモクロロ−銅フタロシアニン、並びにこれらの混合物からなる群から選択される顔料が挙げられる。
【0176】
別の態様では、好適な顔料としては、ウルトラマリンブルー(C.I.ピグメントブルー29)、ウルトラマリンバイオレット(C.I.ピグメントバイオレット15)、及びこれらの混合物からなる群から選択される顔料が挙げられる。
【0177】
上記の布地色調剤は、組み合わせて用いることができる(布地色調剤のいずれの混合物も用いることができる)。
【0178】
他の洗濯補助剤
本明細書に記載の洗剤組成物は、他の従来の洗濯補助剤を含み得る。好適な洗濯補助剤には、ビルダー、キレート剤、移染防止剤、分散剤、酵素安定剤、触媒物質、漂白剤、漂白触媒、漂白活性化剤、ポリマー分散剤、粘土汚れ除去/再付着防止剤、例えばPEI600 EO20(例えばBASF)、ポリマー汚れ放出剤、ポリマー分散剤、ポリマーグリース洗浄剤、増白剤、泡抑制剤、染料、香料、構造伸縮性付与剤、布地柔軟剤、キャリア、充填剤、向水性物質、溶媒、抗菌剤及び/又は防腐剤、中和剤及び/又はpH調整剤、加工助剤、乳白剤、パールエッセンス剤、顔料又はこれらの混合物が挙げられる。通常の使用量は、蛍光増白剤及び日焼け止め剤などの補助剤に関しては組成物の僅か0.001重量%から、ビルダーに関しては組成物の50重量%までの範囲である。好適な補助剤は、米国特許出願第14/226,878号並びに米国特許第5,705,464号、同第5,710,115号、同第5,698,504号、同第5,695,679号、同第5,686,014号及び同第5,646,101号に記載されており、このそれぞれは参照により本明細書に組み込まれる。
【0179】
洗浄又は洗濯洗剤組成物の製造方法
本明細書にて上述したカチオン性ポリマー及び他の様々な成分を本開示の洗浄組成物又は洗濯洗剤組成物に組み込むことは、任意の好適な手法で行うことができ、一般に、あらゆる順序の混合又は添加を含み得る。
【0180】
例えば、カチオン性ポリマーは、製造者から入手したままで、最終組成物の他の構成成分のうちの2つ以上の、予め形成した混合物に直接導入してもよい。これは、処方プロセスの最終時点を含めた、最終組成物の調製プロセスの任意の時点で行うことができる。すなわち、カチオン性ポリマーを予め形成した液体洗濯洗剤に加えて、本開示の最終組成物を形成することができる。
【0181】
別の例では、カチオン性ポリマーは、乳化剤、分散剤、又は懸濁剤と事前に混合してエマルション、ラテックス、分散液、懸濁液などを形成してもよく、次いで、これを最終組成物の他の構成成分(例えば、シリコーン、洗浄性界面活性剤など)と混合することができる。これらの構成成分は、最終組成物の調製プロセスにて任意の順序及び任意の時点で添加することができる。いくつかの態様では、シリコーン(例えばシリコーンエマルション)は、カチオン性ポリマーが添加される前に、ベース洗剤に添加される。いくつかの態様では、カチオン性ポリマーは、シリコーンが添加される前に、ベース洗剤に添加される。
【0182】
第3の例は、カチオン性ポリマーを、最終組成物の1種類又は2種類以上の補助剤と混合し、このプレミックスを残りの補助剤の混合物に添加することに関連する。
【0183】
本開示に係る液体組成物は、従来の方法に従って、例えば、バッチプロセス又は連続ループプロセスにて製造することができる。乾燥(例えば、粉末又は顆粒)組成物は、従来の方法に従って、例えば、本明細書に記載の構成成分を含むスラリーを噴霧乾燥又は吹付乾燥することによって製造することができる。
【0184】
本明細書に記載の洗剤組成物は、パウチ、好ましくは水溶性フィルムからなるパウチ内に封入され、布地を処理するのに使用することができる単位用量物品を形成することができる。
【0185】
洗濯洗剤組成物の使用方法
本開示は、布地を処理する方法に関し、この方法は、布地を本明細書に記載の洗剤組成物に接触させる工程を含む。方法は、洗濯操作又は洗浄操作を実施する工程を更に含んでもよい。洗浄溶液を形成するために、接触工程の前、途中又は後に水を追加してもよい。
【0186】
本開示はまた、本開示に係る組成物を用いた、例えば機械による布地(好ましくは汚れた布地)の洗浄に関するプロセスに関し、本開示に係る洗剤組成物を洗濯する布地に接触させる工程と、洗濯操作又は洗浄操作を実施する工程と、を含む。
【0187】
任意の好適な洗濯機、例えば、トップローディング式又はフロントローディング式自動洗濯機を使用することができる。当業者であれば、適切な洗濯操作に好適な機械が認識できるであろう。本開示の物品は、他の構成成分、例えば、布地添加剤、布地柔軟剤、すすぎ補助剤などと組み合わせて使用してもよい。更に、本開示の洗剤組成物は、既知の手洗い法にも用いることができる。
【0188】
一部の態様では、本開示は、布地を処理する方法に関し、この方法は、布地を本明細書に記載の洗剤組成物に接触させる工程と、洗濯工程を実施する工程と、次いで、布地を布地柔軟化組成物に接触させる工程と、を含む。方法全般又は少なくとも洗濯工程は、手で実施してもよいし、機械補助でもよいし、自動洗濯機で行ってもよい。布地を布地柔軟化組成物と接触させる工程は、例えば自動洗濯機のすすぎサイクル中に、水の存在下で実施され得る。
【0189】
試験方法
以下の項では、本開示で使用する試験方法について記載する。
【0190】
重量平均分子量の決定
本発明のポリマー材料の重量平均分子量(Mw)は、示差屈折率検出器(RI)を備えたサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)により決定する。1つの好適な機器は、Agilent(登録商標)GPC/SECソフトウェア第1.2版を用いるAgilent(登録商標)GPC−MDSシステム(Agilent,Santa Clara,USA)である。互いに一列に直接連結させた3つの親水性のヒドロキシル化ポリメチルメタクリレートゲルカラム(Waters(Milford,USA)製のUltrahydrogel 2000−250−120)及び孔径0.22μmのGVWPメンブレンフィルター(MILLIPORE,Massachusetts,USA)を通して濾過したDI水中の0.1M塩化ナトリウム及び0.3%トリフルオロ酢酸の溶液を用いて、SEC分離を実施する。RI検出器は、ベースライン変動を回避するために、周囲温度を約5〜10℃上回る一定温度に保つ必要がある。35℃に設定する。SECの注入量は、100μLである。流量は、0.8mL/分に設定する。試験ポリマー測定の計算及び校正は、Polymer Standard Service(PSS,Mainz Germany)から得た、Mp=1110g/モル、Mp=3140g/モル、Mp=4810g/モル、Mp=11.5kg/モル、Mp=22kg/モル、Mp=42.8kg/モル、Mp=118kg/モル、Mp=256kg/モル、Mp=446kg/モル、及びMp=1060kg/モルのピーク分子量を有する、10個の分布の狭いポリ(2−ビニルピリジン)標準からなるセットに対して行う。
【0191】
DI水中の0.1M塩化ナトリウム及び0.3%トリフルオロ酢酸の上記溶液に濃縮ポリマー溶液を溶解することによって各試験用サンプルを調製し、1〜2mg/mLのポリマー濃度を有する試験用サンプルを得る。サンプル溶液を12時間静置して完全に溶解し、次いで十分攪拌し、5mLのシリンジを用いて、孔径0.45μmのナイロンメンブレン(WHATMAN(UK)製)を通して、オートサンプラーバイアル中に濾過する。ポリマー標準のサンプルを同様の方法で調製する。各試験用ポリマーについて、2つのサンプル溶液を調製する。各溶液を1回測定する。2つの測定結果を平均して、試験用ポリマーのMwを算出する。
【0192】
各測定にて、DI水中の0.1M塩化ナトリウム及び0.3%トリフルオロ酢酸の溶液をバックグラウンドとして最初にカラムに注入する。系の再現性及び正確度を検証するために、他のサンプル測定の前に、校正用サンプル(Mp=111.3kg/モルを有するポリエチレンオキシド1mg/mLの溶液)を6回分析する。
【0193】
機器に付属のソフトウェアを用い、ナロー標準校正モデリングに適切なメニューオプションを選択して、試験用サンプルポリマーの重量平均分子量(Mw)を算出する。三次多項式曲線を用いて、ポリ(2−ビニルピリジン)標準から測定されたデータポイントに校正曲線をフィッティングする。重量平均分子量の計算に用いるデータ領域を、RI検出器によって検出された信号強度に基づいて選択する。対応するベースラインノイズのレベルよりも3倍を超えて大きいRI信号のデータ領域を選択し、Mw計算に含める。他の全てのデータ領域を破棄し、Mw計算から排除する。校正領域から外れるこれらの領域については、校正曲線をMw計算に外挿する。
【0194】
異なる分子量のポリマー混合物を含有する試験用サンプルの平均分子量を測定するために、選択したデータ領域を多数の均等間隔スライスに分ける。選択した領域から得た各スライスの高さ又はY値は、特定のポリマー(i)の存在量(Ni)を表し、選択した領域から得た各スライスのX値は、特定のポリマー(i)の分子量(Mi)を表す。試験用サンプルの重量平均分子量(Mw)を本明細書にて上述した等式、すなわち、Mw=(Σi Ni Mi2)/(Σi Ni Mi)に基づいて算出する。
【0195】
布地ストリッピング
布地の処理及び試験(例えば、シリコーン付着、摩擦及び/又は白色度)の前に、通常、存在し得る製造者のあらゆる加工を布地から「ストリッピング」し、乾燥させ、次いで、洗剤組成物で処理する。
【0196】
ストリッピングは、Milnorモデル番号30022X8Jなどのフロントローディング式洗濯機で新しい布地を数回洗浄することによって達成し得る。ストリッピングに関して、各洗濯物は、20〜23キログラム(45〜50ポンド)の布地を含み、各洗浄サイクルは、炭酸カルシウム0mg/Lに相当する硬度を有する約95リットル(25ガロン)の水及び60℃の水温度を用いる。合計1420リットル(375ガロン)の水を15回投入及び排出するように洗濯機をプログラムする。1回目及び2回目の洗浄サイクルは、175gの増白剤を含まないAATCC液体洗濯洗剤(2003標準参照液体洗剤WOB(蛍光増白剤なし)、例えばTestfabrics Inc.、(West Pittston,Pennsylvania,USA)によるものなど)を含む。各洗浄サイクルに続いて2回のすすぎを行い、2回目の洗浄サイクルの後に3回の追加の洗浄サイクルを洗剤なし又は石鹸泡が認められなくなるまで行う。次いで、布地をタンブラー乾燥機で完全に乾燥するまで乾燥させ、布地処理/試験方法に用いる。
【0197】
シリコーン付着試験法
布地上へのシリコーン付着は、以下の試験方法に従って測定する。通常、シリコーン付着が多くなると、より柔らかな感触の布地になるという相関がある。シリコーン付着は、木綿100%のテリータオル(例えば、Calderon(Indianapolis,IN,USA))又はポリエステル/木綿50%/50%のジャージーニット(例えば、Test Fabrics(West Pittston,PA,USA)、147g/m)を、以下に記載する手順に従って準備し、本開示の洗剤組成物で処理して、特定する。
【0198】
布地の処理
a.北米トップローディング式洗濯機
トップローディング式Kenmore 80シリーズなどの洗濯機の洗浄サイクルに洗剤を投入することによって、ストリッピングした布地を本開示の組成物で処理する。各洗濯機は、木綿100%のテリータオル(Calderon Textiles,LLC(6131 W 80th St Indianapolis IN 46278)から入手可能なRN37002LLである30.5cm×30.5cmの約12枚の布地)と、ポリエステル/木綿50/50のジャージーニット布地#7422(Test Fabrics(415 Delaware Ave,West Pittston PA 18643)から入手可能な30.5cm×30.5cmの約10枚の布地見本)と、2枚の木綿100% Tシャツ(Gildan、Lサイズ)と、を含む2.5kgの布地を含む。半投入量である64リットル(17ガロン)を用いて、32℃(90°F)洗浄及び16℃(60°F)すすぎに設定し、水1リットル当たり0.09グラム(1ガロン当たり6グレーン)を用いて、Kenmore 80シリーズのヘビーデューティサイクルを用いて、洗浄することによって、ストリッピングした布地を本開示の組成物で処理する。サイクルの開始時に洗剤組成物(64.5g)を水に加え、布地を入れる。布地を、例えば、Kenmoreシリーズ乾燥機を木綿/高で50分間に設定して用いて乾燥させる。布地を合計3サイクルの洗浄−乾燥サイクルで処理して、次いで、シリコーン付着について分析する。
【0199】
b.北米フロントローディング式洗濯機
Whirlpool Duet Model 9200(Whirlpool,Benton Harbor,Michigan,USA)などのフロントローディング式洗濯機の洗浄サイクルに洗剤を投入することによって、ストリッピングした布地を本開示の組成物で処理する。各洗濯機は、5枚の32cm×32cmの木綿100%のテリー洗面用タオル(例えば、Calderon Textiles(Indianapolis,Indiana,USA)のRN37002LLなど)の他に、概算で9枚の成人男性用Lサイズ木綿100%の極めて重いジャージーTシャツ(Hanesブランドなど)、9枚のポリエステル50%/木綿50%の枕カバー(例えば、Standard Textile Co.、(Cincinnati,Ohio,USA)の品目03716100番など)、及び9枚のポリエステル14%/木綿86%のテリーハンドタオル(例えば、Standard Textile Co.、(Cincinnati,Ohio,USA)の品目40822301番など)からなる布地洗濯物を含む。バラスト布地の量は、テリー洗面用タオルを含む全布地洗濯物の乾燥重量が3.6〜3.9kgになるように調整する。66gの試験製品(又は対照洗剤)を洗濯機の投入引き出しに添加する。炭酸カルシウム当量120mg/Lを含む18.9Lの水、洗浄温度32℃及びすすぎ温度16℃である通常サイクルを選択する。洗浄/すすぎサイクルの最後に、任意の標準米国式タンブラー乾燥機を用いて、布地洗濯物を完全に乾くまで乾燥させる。洗浄サイクルで用いたものと同じ水条件を用いて、水で洗濯機をすすいで洗浄する。布地洗濯物を用いて、洗浄、すすぎ、乾燥及び洗濯機洗浄の手順を合計3サイクル繰り返す。
【0200】
c.西欧フロントローディング式洗濯機
Miele 1724などのフロントローディング式洗濯機の洗浄サイクルに洗剤を投入することによって、ストリッピングした布地を本開示の組成物で処理する。各洗濯機は、木綿100%のテリー洗面用タオル(例えば、Calderon Textiles(Indianapolis,Indiana,USA)のRN37002LLなどの32cm×32cmである約18枚の布地)と、ポリエステル/木綿50/50のジャージーニット布地#7422(Test Fabrics(415 Delaware Ave,West Pittston PA 18643)から入手可能な30.5cm×30.5cmの約7枚の布地見本)の他に、概算で7枚の成人男性用Lサイズ木綿100%の極めて重いジャージーTシャツ(Gildanブランドなど)、及び2枚のポリエステル14%/木綿86%のテリーハンドタオル(例えば、Standard Textile Co.、(Cincinnati,Ohio,USA)の品目40822301番など)の更なるバラストからなる布地洗濯物3kgを含む。バラスト布地の量は、テリー洗面用タオルを含む全布地洗濯物の乾燥重量が3kgになるように調整する。73gの試験製品(又は対照洗剤)を洗濯機の投入引き出しに添加する。0.21g/L(15gpg)水を有する12Lの水、洗浄温度30℃及びすすぎ温度15℃である木綿短サイクルを選択する。洗浄/すすぎサイクルの最後に、任意の標準米国式タンブラー乾燥機を用いて、布地洗濯物を完全に乾くまで乾燥させる。洗浄サイクルで用いたものと同じ水条件を用いて、水で洗濯機をすすいで洗浄する。布地洗濯物を用いて、洗浄、すすぎ、乾燥及び洗濯機洗浄の手順を合計3サイクル繰り返す。
【0201】
シリコーン付着分析
処理した布地(試験処理当たりの最小値n=3)を直径4cmの円形に打ち抜き、各円形を20mLのシンチレーションバイアル瓶(例えば、VWR#66021−533)に加え、布地重量を記録する。このバイアル瓶に12mLの50%トルエン/50%メチルイソブチルケトン溶媒混合液を加えて非極性シリコーン(例えば、PDMS)を抽出するか、あるいは9mLの15%エタノール/85%メチルイソブチルケトン溶媒混合液を用いて極性シリコーン(例えば、アミノ官能化シリコーン)を抽出する。布地及び溶媒を含むバイアル瓶を再計量し、次いで、パルスボルテックスミキサー(DVX−2500,VWR#14005−826)上で30分間攪拌する。
【0202】
抽出物中のシリコーンを、誘導結合プラズマ発光分光分析法(ICP−OES,Perkin Elmer Optima 5300DV)を用いて校正曲線と比較して定量化し、布地1グラム当たりのシリコーンをマイクログラム単位で記録する。校正曲線は、試験対象の製品と同一種類又は構造的に類似した種類のシリコーン原材料を用いて調製した既知のシリコーン濃度を有するICP校正標準を用いて作成する。本方法の作動範囲は、布地1グラム当たり8〜2300μgのシリコーンである。消費者が認識するとみなされるには、通常、少なくとも80マイクログラム/グラムのシリコーン付着が求められる。
【実施例】
【0203】
以下に示す非限定的な実施例は、本開示に係る組成物の例示である。
【0204】
実施例1A〜1G:液体洗剤布地ケア組成物。
液体洗剤布地ケア組成物を、表1に示す成分を指定の割合で混合することによって調製する。実施例1Gは、比較処方である。
【0205】
【表1】
【0206】
実施例2A〜F:液体洗剤又はゲル洗剤。
液体又はゲル洗剤布地ケア組成物を、表2に示す成分を指定の割合で混合することによって調製する。
【0207】
【表2】
【0208】
実施例3A−E:単位用量洗剤
単一又は複数区画の可溶性単位用量の形態であってもよい液体洗剤又はゲル洗剤(例えば、MonoSol,LLC(Merrillville,Indiana,USA)から入手可能なM8630などのポリビニルアルコールフィルム又は米国特許出願第2011/0188784(A1)号に開示されているようなものによるフィルムに囲まれた液体洗剤)を、表3に示す成分を指定の割合で混合することによって調製する。
【0209】
【表3】
【0210】
表1、2及び3に関する成分符号
Shell Chemicals(Houston,TX)から入手可能。
Huntsman Chemicals(Salt Lake City,UT)から入手可能。
Sasol Chemicals(Johannesburg,South Africa)から入手可能。
The Procter & Gamble Company(Cincinnati,OH)から入手可能。
Sigma Aldrich chemicals(Milwaukee,WI)から入手可能。
DuPont−Genencor(Palo Alto,CA)から入手可能。
Novozymes(Copenhagen,Denmark)から入手可能。
Ciba Specialty Chemicals(High Point,NC)から入手可能。
Milliken Chemical(Spartanburg,SC)から入手可能。
10BASF(Ludwigshafen,Germany)から入手した、−NH当たり20のエトキシレート基を有する分子量600g/モルのポリエチレンイミンコア。
11−NH当たり24のエトキシレート基と、−NH当たり16のプロポキシレート基とを有する、分子量600g/モルのポリエチレンイミンコア。BASF(Ludwigshafen,Germany)より入手。
12国際公開第01/05874号に記載。BASF(Ludwigshafen,Germany)より入手。
13商標名ThixinRとしてElementis Specialties(Highstown,NJ)から入手可能。
14Nalco Chemicals(Naperville,IL)から入手した、重量平均分子量1500kDaを有する、アクリルアミド88%及びメタクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロリド12%のモル比のコポリマー。
15Nalco Chemicals(Naperville,IL)から入手した、供給元により報告されている重量平均分子量1800kDaを有する、アクリルアミド90%、メタクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロリド5%及びアクリル酸5%のモル比のターポリマー。
16Appleton Paper(Appleton,WI)から入手可能。
17Momentive Performance Materials(Waterford,New York)から入手可能なMagnasoft Plus。
18Dow−Corning(Midland,MI)のシリコーンポリエーテル。
19Dow−Corning(Midland,MI)から入手可能なPDMS、DC349。
20Gelest(Morrisville,PA)から入手可能なPDMS、1000mm/s(1000cSt)。
【0211】
実施例4.シリコーン付着及び界面活性剤比率の選択
実施例4A〜4Cは、上述のシリコーン付着試験方法に従った北米トップローディング式自動洗濯機でのマルチサイクル試験における種々の布地へのシリコーン付着に対する、アニオン性:非イオン性界面活性剤の比率の選択効果を示すものである。以下の表4に示す処方1G、1E及び1Fに従った洗剤で布地をそれぞれ処理した。
【0212】
【表4】
【0213】
本明細書に開示されている寸法及び値は、記載された正確な数値に厳密に限定されるものと理解すべきではない。むしろ、特に断らない限り、そのような各寸法は、記載された値及びその値の周辺の機能的に同等の範囲の両方を意味するものとする。例えば、「40mm」として開示されている寸法は、「約40mm」を意味することを意図している。
【0214】
相互参照されるか又は関連する全ての特許又は特許出願、及び本願が優先権又はその利益を主張する任意の特許出願又は特許を含む、本明細書に引用される全ての文書は、明示的に除外されるか、又は別途制限されない限り、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。いずれの文献の引用も、その文献が本願で開示又は特許請求されるいずれかの発明に対する先行技術であることを認めるものではなく、又はその文献が単独で、あるいは任意のその他の参照文献との任意の組み合わせにおいて、かかる発明のいずれかを参照、教示、示唆又は開示することを認めるものでもない。更には、本文書における用語のいずれかの意味又は定義が、組み込まれた文献における同一の用語のいずれかの意味又は定義と相反する限りにおいては、本文書においてその用語に与えられた意味又は定義が優先するものとする。
【0215】
以上、本発明の特定の実施形態を図示、説明したが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく他の様々な変更及び改変を実施することが可能である点は当業者には自明であろう。したがって、本発明の範囲内に含まれるそのような全ての変更及び修正が、添付の特許請求の範囲内に網羅されることが意図される。