(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6695904
(24)【登録日】2020年4月24日
(45)【発行日】2020年5月20日
(54)【発明の名称】吊り下げ用装置
(51)【国際特許分類】
A47G 29/00 20060101AFI20200511BHJP
A47G 25/34 20060101ALI20200511BHJP
A47G 25/32 20060101ALI20200511BHJP
F16B 45/00 20060101ALI20200511BHJP
【FI】
A47G29/00 C
A47G29/00 M
A47G25/34
A47G25/32 C
F16B45/00 Z
F16B45/00 F
【請求項の数】1
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-561655(P2017-561655)
(86)(22)【出願日】2015年6月10日
(65)【公表番号】特表2018-521723(P2018-521723A)
(43)【公表日】2018年8月9日
(86)【国際出願番号】CN2015000397
(87)【国際公開番号】WO2016197261
(87)【国際公開日】20161215
【審査請求日】2017年11月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】511283804
【氏名又は名称】沈政憲
(74)【代理人】
【識別番号】110001151
【氏名又は名称】あいわ特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】沈 政憲
(72)【発明者】
【氏名】許 可欣
(72)【発明者】
【氏名】陳 星翰
(72)【発明者】
【氏名】陳 品書
【審査官】
山内 康明
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2006/0179618(US,A1)
【文献】
実開昭55−053094(JP,U)
【文献】
登録実用新案第3080651(JP,U)
【文献】
実開昭50−085432(JP,U)
【文献】
特開2000−192936(JP,A)
【文献】
特開2000−237498(JP,A)
【文献】
英国特許出願公開第02035439(GB,A)
【文献】
実開昭49−008221(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47G 29/00
A47G 25/32
A47G 25/34
F16B 45/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を吊り下げるための吊り下げ装置であって、
所定箇所に一部を固定することにより略垂直に設置されている垂直ラインと、フック体とから成り、
前記フック体は、連結部と、前記連結部の一端部において、前記連結部に対して略垂直方向に第1係合部及び第2係合部を備える第1フック部と、前記連結部の他端部において、前記連結部に対して略垂直方向に第3係合部及び第4係合部を備える第2フック部とで構成され、
前記第1係合部、前記第2係合部、前記第3係合部、及び前記第4係合部に、それぞれ突出するストッパー部を備え、
前記垂直ラインは、その一区間において、交差させて重ねてループ部を形成してあり、
前記連結部の一端部において、前記第1フック部を前記ループ部に貫通させ、前記一端部が前記ループ部で囲まれ交差させて重ねた部分が前記一端部の奥側に位置する状態において、前記垂直ラインの前記ループ部の両側の隣接部分がそれぞれ前記第1係合部及び前記第2係合部の手前側になるようにかけ、前記ループ部が前記ストッパー部と前記一端部との間に位置することにより、前記フック体を前記垂直ライン上に位置決めし、前記第2フック部に前記物品を吊り下げることを可能とする、または、前記連結部の他端部において、前記第2フック部を前記ループ部に貫通させ、前記他端部が前記ループ部で囲まれ交差させて重ねた部分が前記他端部の奥側に位置する状態において、前記垂直ラインの前記ループ部の両側の隣接部分がそれぞれ前記第3係合部及び前記第4係合部の手前側になるようにかけ、前記ループ部が前記ストッパー部と前記他端部との間に位置することにより、前記フック体を前記垂直ライン上に位置決めし、前記第1フック部に前記物品を吊り下げることを可能とすることを特徴とする、吊り下げ用装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、
垂直ラインに両側フックを固定して、物品を掛けることができる、
吊り下げ用装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、
図1に示すようなS字フック1がある。
このS字フック1は、上下に相反する側へ開口した掛止部11が設置されており、これらの異なる開口の掛止部11を利用して物品を掛けることができる。
S字フック1は、例えば洗濯物干し、キャンプ、広告懸垂幕等、非常に幅広く使用されているが、S字フック1を紐12に掛けたとき、S字フック1には着力点がないため、紐12上で任意に摺動し、紐12そのものが一端に傾斜していると、S字フック1全体が傾斜している端に偏ってしまい、S字フック1を一定点上に固定することができず、使用上面倒である。
【0003】
また、S字フック1の欠点を改善するために、市場ではクリップ13が販売されている。
図1に示すように、このクリップ13はばねの弾性を利用して両側の保持片131を中央に向かって付勢し、衣類や物品を挟持するものであるため、クリップ13は紐12の定点上に固定することができる。
しかし、使用時はまず保持片131を外側に開かせた後、衣類または物品を保持片131の中央に挟む必要があるため、手間と時間がかかり、かつ挟まれた衣類または物品に回復が困難な挟み跡が付き、衣類または物品が損傷を受けてしまう。
加えてクリップ13は通常プラスチック材質であり、長い間使用していると、ばねが脱落したり、保持片131が脆くなって断裂しやすくなったりするため、使用寿命が比較的短い。
【0004】
このために金属(鉄)材質のクリップ13が市販されているが、脆くなることはないものの、保持片131にさびが発生し、挟んだ衣類または物品に影響することがあり、使用上やはり理想的ではない。
金属(鉄)材質のさびの発生を回避するために、ステンレス製のクリップ13が開発されているが、保持片131のさびの発生を防止することはできるものの、ステンレス製のクリップ13はコストが比較的高く、重量も重いため、あまり経済便益があるとはいえない。
さらに、クリップ13は紐12上に位置決めすることはできるが、使用上空間と場所の制限を受けやすく、随意に衣類または物品を挟むことができない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、
垂直ラインに両側フックを固定して、物品を掛けることができる、
吊り下げ用装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の吊り下げ用装置は、
物品を吊り下げるための吊り下げ装置であって、所定箇所に一部を固定することにより略垂直に設置されている垂直ラインと
、フック
体とから成り、前
記フック
体は、
連結部と、前記連結部の一端部において、前記連結部に対して略垂直方向に第1係合部及び第2係合部を備える第1フック部と
、前記連結部の他端部において、前記連結部に対して略垂直方向に第3係合部及び第4係合部を備える第2フック部と
で構成
され、
前記第1係合部、前記第2係合部、前記第3係合部、及び前記第4係合部に、それぞれ突出するストッパー部を備え、前記垂直ラインは、その一区間において、交差させて重ねてループ部を形成してあり
、前記連結部の一端部において、前記第1フック部を前記ループ部
に貫通させ、前記一端部が前記ループ部で囲まれ交差させて重ねた部分が前記一端部の奥側に位置する状態において、前記垂直ラインの前記ループ部の
両側の隣接部分がそれぞれ前記第1係合部及び前記第2係合部の手前側になるようにかけ、前記ループ部が前記ストッパー部と前記一端部との間に位置することにより、前記フック体を前記垂直ライン上に位置決めし
、前記第2フック部に前記物品を吊り下げることを可能とする、または、前記連結部の他端部において、前記第2フック部を前記ループ部に貫通させ、前記他端部が前記ループ部で囲まれ交差させて重ねた部分が前記他端部の奥側に位置する状態において、前記垂直ラインの前記ループ部の両側の隣接部分がそれぞれ前記第3係合部及び前記第4係合部の手前側になるようにかけ、前記ループ部が前記ストッパー部と前記他端部との間に位置することにより、前記フック体を前記垂直ライン上に位置決めし、前記第1フック部に前記物品を吊り下げることを可能としている。
【0007】
【発明の効果】
【0009】
前記フック体は垂直のライン上に位置決めすること
ができ、先に紐の任意の一区間を交差させて重ねてループ部を形成し、その後フック体の一方のフック部を上に向け、フック部をループ部内に入れてから、続いてループ部の両端を
前に曲げて両側の位置決めフック部内に挟入させることで、同様にフック体を垂直ライン上に固定することがで
き、衣類または物品を掛けることができる。
フック体は例えばキャンプ、野営、アウトドア活動、家庭用品を掛けたりするなど、幅広く、柔軟に使用でき、またフック体は体積が小さく、携帯に便利であり、積載性に優れており、さらに使用寿命が長く、製造コストも低いため、全体的な経済便益が非常に高く、理想的な多用途の両側フックとなっている。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】従来のフックの使用状態における斜視図である。
【
図2】本発明の実施例
に係る両側フックの斜視図である。
【
図3】
参考例を示す両側フックの紐への取付途中における斜視図である。
【
図4】本発明の別の実施例
に係る両側フックの斜視図である。
【
図5】
参考例を示す両側フックの紐への取付状態における斜視図である。
【
図6】
参考例を示す両側フックの傾斜状紐への取付状態における斜視図である。
【
図7】
参考例を示す両側フックの使用状態における斜視図である。
【
図8】本発明の実施例を示す
吊り下げ用装置の両側フックと垂直状紐の取付途中における斜視図である。
【
図9】本発明の実施例を示す
吊り下げ用装置の正面図である。
【
図10】本発明の実施例を示す
吊り下げ用装置の使用状態における斜視図である。
【
図12】
参考例を示す両側フックの紐への取付状態における斜視図である。
【
図13】
さらに別の参考例を示す両側フックの斜視図である。
【
図14】
参考例を示す両側フックの相互に掛合した状態における斜視図である。
【
図16】
参考例を示すハンガーの使用状態における斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。
本発明の吊り下げ装置は、図8および図9に示すように、垂直ライン4と、両側フックとから成る。
図2に示すように、両側フックは、主に位置決めフック部21とフック部22でフック体2が構成されたものであって、前記フック体2の上端の左右に前記位置決めフック部21が形成され、フック体2の下端の左右に前記フック部22が形成される。
また、前記フック体2の位置決めフック部21及びフック部22の端部に、それぞれ前後両面へ突出するストッパー部210、220が設けられる。前記ストッパー部210、220はフック体2の端部から滑落しないように紐を掛止し、紐がストッパー部210、220内に保持され、弛まないようにすることで、紐を掛止する効果を達することができる。
このほか、前記フック体2にはその他の装置を設置してもよく、簡単な造形で紐を掛止する効果を達することができさえすればよい。
【0012】
図3に示す
参考例では、紐3を前記フック体2の両側の対称な位置決めフック部21またはフック部22にそれぞれ通すことで、位置決めフック部21またはフック部22を利用して紐3を拘持し、フック体2を紐3の定点上に固定し(
図5参照)、任意に摺動しないようにすることができる。
また
図4に示すように、両側の位置決めフック部21の端部において、外壁面211の対応する位置に凹溝212を設け、紐3を凹溝212内に配置して(図示しない)、紐3がよりしっかりとフック体2上に固定されるようにしてもよい。
前記位置決めフック部21とフック部22は、同じ大きさであってもよいが、異なる大きさに設計することができるため、紐3または細長い形状の物体の太さの違いに応じて互換的に使用でき、使用者が適した大きさの位置決めフック部21またはフック部22を選択してフック体2を位置決めすることができ、使用上非常に簡易かつ便利である。
【0013】
使用時、前記紐3は通常あらかじめ横方向に2つの固定点間に設置する必要があり、
図3及び
図5に示すように、先に紐3を一方の位置決めフック部21に通してから、他方の位置決めフック部21を紐3の後方に回り込ませ、紐3をフック部22の後方に拘持し、フック体2と紐3を相互に拘持させてフック体2を紐3上に位置決めすることができる。
【0014】
フック体2を紐3上に設置したとき、しっかりと固定され、任意に摺動することがない。前記紐3の設置は、
図6に示すように、例えばキャンプ場や物干し場等、環境の制限を受け、紐3を水平に設置できないことがあり、紐3の傾斜が生じやすい。このとき、フック体2の位置決めフック部21の拘持力を利用すれば、紐3の定点上にしっかりと固定することができる(
図7参照)。前記紐3が傾斜状でも、フック体2は位置決めフック部21を利用して両端を直接紐3上に拘持させることができ、また反対にしてフック部22で紐3を拘持してもよい。このとき、前記フック体2は物品の下方向への重力に伴い、左右両端の位置決めフック部21またはフック部22による拘持がより緊密になり、フック体2を紐3の定点にしっかりと固定でき、紐3の傾斜によって摺動を生じることがなく、使用上非常に理想的である。
【0015】
垂直ライン4は通常フックやクリップを設置することはできず、これは主に一般的なフックには着力点が不足しており、加えて重量がより重いためである。市場には垂直ライン4に設置するためのフックはないが、本発明
では、両側フックを垂直ライン4上に設置すること
ができる。
図8に示すように、まず垂直ライン4の任意の一区間を取り、それを交差させて重ねてループ部40を形成した後、フック体2のいずれか一方のフック部22を上に向けて、両フック部22をループ部40内に
前から後に向けて入れ、続いて
図9に示すように、ループ部40の両端をそれぞれ
後から前に曲げて両側の位置決めフック部21内に入れれば、ループ部40の交差によって上下の引っ張り力が生じ、フック体2を垂直ライン4上に位置決めすることができ、さらに両側の位置決めフック部21の拘持を利用して、垂直ライン4上で移動しないようにフック体2を固定することができる。このとき前記フック体2のフック部22は上を向いており、バックパック5(
図10参照)、買い物袋、衣類または物品等を掛けることができる。
【0016】
図11に示す参考例では、フック体20は2つの位置決めフック部201と1つのフック部202を備え、前記フック体20の上端の左右両側に位置決めフック部201を設け、フック体20中央から下にフック部202が延伸される。
フック体20の使用方法は同様に2つの位置決めフック部201を紐3上に拘持させる(
図12参照)と、フック体20を紐3上に位置決めして任意に摺動しないようにすることができ、かつフック体20下方のフック部202を利用して物品を掛けることができる。フック体20と紐3の安定した固定を強化するために、
図13に示すように、位置決めフック部201の外壁面2011の対応する位置に凹溝2012を形成し、紐3を凹溝2012内に配置させ(図示しない)、摺動しにくくすることができる。
【0017】
図14に示すように、フック体2の上下端部の中央部には通孔23が穿設され、掛けられるフックの数量を増加するために、紐3を通孔23に通し、複数のフック体2を相互に掛けて使用することができる。
かつ下方のフック体2の位置決めフック部21またはフック部22を上方のフック体2の通孔23に挿入し、複数のフック体2を連結することもでき、使用上の柔軟性が高い。
また、前記通孔23にホルダーリングや掛止部材(図示しない)を連結し、キーホルダーとして携帯使用してもよい。
【0018】
図15に示す参考例では、フック体20の中央から下に向かって両側に拡張し、フック部202を三角形として接合してハンガー部203(
図16参照)を形成し、フック体20をハンガーとして使用することができる。
かつ、フック体20両側の位置決めフック部201を利用してフック体20を紐3(図示しない)上に位置決めすることができ、使用上非常に便利である。
【0019】
本発明のフック体は、キャンプ、野営、アウトドア活動、家庭用品を掛けたりするなど、使用範囲が幅広く、特に、前記位置決めフック部とフックは紐の太さに応じて互換的に使用でき、使用上非常に柔軟性と利便性が高い。
また、前記フック体は体積が小さく、携帯に便利であり、積載性に優れており(約200kg)、さらに使用寿命が長く、製造コストも低いため、全体的な経済便益が非常に高く、水平及び垂直のライン上に運用でき、従来のフックを超越した新規的構造である。
【符号の説明】
【0020】
1 S字フック
11 掛止部
12 紐
13 クリップ
131 保持片
2 フック体
20 フック体
201 位置決めフック部
2011 外壁面
2012 凹溝
202 フック部
203 ハンガー部
21 位置決めフック部
211 外壁面
212 凹溝
210 ストッパー部
22 フック部
220 ストッパー部
23 通孔
3 紐
4 垂直ライン
40 ループ部
5 バックパック