【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明により、炭素を含む可燃性第1層と第1層と直接に接触して炭素及び少なくとも1つの発火補助剤を含む第2層とを含む喫煙物品のための多層可燃性熱源を提供し、第1層及び第2層は、見かけの密度が少なくとも0.6g/cm
3である縦方向同心層であり、第1層の組成は、第2層の組成とは異なる。
【0010】
本発明により、本発明による多層可燃性熱源と多層可燃性熱源の下流のエアロゾル形成基材とを含む喫煙物品も提供する。
【0011】
本明細書に使用する時に、用語「直接接触」は、第2層が第1層に接触し、第1層と第2層の間に介在する層がないことを意味するのに使用する。
【0012】
本明細書に使用する時に、用語「発火補助剤」は、可燃性熱源の発火中にエネルギ及び酸素の一方又は両方を放出する材料を意味するのに使用し、この材料によるエネルギ及び酸素の一方又は両方の放出速度は、周囲酸素拡散で制限されない。換言すれば、可燃性熱源の発火中のエネルギ及び酸素の一方又は両方の放出速度は、周囲酸素が材料に到達することができる速度とはほとんど無関係である。本明細書に使用する時に、用語「発火補助剤」はまた、可燃性熱源の発火中にエネルギを放出する元素金属を意味するために使用し、元素金属の発火温度は、約500℃よりも低く、元素金属の燃焼熱は、少なくとも約5kJ/gである。
【0013】
本明細書に使用する時に、用語「発火補助剤」は、炭素燃焼を修正すると考えられるカルボン酸のアルカリ金属塩(アルカリ金属クエン酸塩、アルカリ金属アセテート塩、及びアルカリ金属コハク酸エステル塩のような)、アルカリ金属ハロゲン化物塩(アルカリ金属塩化物塩のような)、アルカリ金属炭酸塩、又はアルカリ金属リン酸塩を含まない。このようなアルカリ金属燃焼塩は、たとえ可燃性熱源の総重量に対して大量に存在する時でも、初期吸煙中の満足できるエアロゾルを生成するほど十分なエネルギを可燃性熱源の発火中に放出しない。
【0014】
本明細書に使用する時に、用語「エアロゾル形成基材」は、加熱によってエアロゾルを形成することができる揮発性化合物を放出することができる基材を説明するのに使用する。本発明による喫煙物品のエアロゾル形成基材から発生するエアロゾルは、可視又は不可視とすることができ、かつ蒸気(例えば、室温では通常液体又は固体である物質で、気体状態にある物質の微粒子)、並びに気体及び凝縮蒸気の液滴を含むことができる。
【0015】
本明細書に使用する時に、用語「上流」及び「前部」、並びに「下流」及び「後部」は、喫煙物品の使用中にユーザが喫煙物品を吸う方向に対する喫煙物品の要素又は要素の各部分の相対位置を説明するのに使用する。本発明による喫煙物品は、唇側端部と、その反対側にある遠位端とを含む。使用時に、ユーザは、喫煙物品の唇側端部を吸う。唇側端部は、遠位端の下流である。遠位端に又はそのすぐ近くに多層可燃性熱源が位置付けられる。
【0016】
本明細書に使用する時に、用語「縦方向層」は、多層可燃性熱源の長さに沿って延びるインタフェースと接触する層を指すのに使用する。
【0017】
本明細書に使用する時に、用語「横断方向層」は、多層可燃性熱源の幅を横切って延びるインタフェースと接触する層を指すのに使用する。
【0018】
本明細書に使用する時に、用語「長さ」は、本発明による可燃性熱源及び喫煙物品の縦方向の寸法を説明するのに使用する。
【0019】
以下で詳しく説明するように、炭素を含む可燃性第1層と、炭素及び少なくとも1つの発火補助剤を含む第2層とを含む本発明による多層可燃性熱源を含むことにより、本発明の喫煙物品の初期吸煙中とその後の吸煙中とで異なる温度プロフィールを与えることができる。それによって初期吸煙中及びその後の吸煙中の両方で、本発明の喫煙物品による満足できるエアロゾルの生成が容易になる利点がある。
【0020】
喫煙物品のための可燃性熱源において、炎及び火花は、ある一定の発火補助剤及び他の添加剤との使用と関連させることができる。以下で詳しく説明するように、炭素を含む可燃性第1層と、炭素及び少なくとも1つの発火補助剤を含む第2層とを含む本発明による多層可燃性熱源を含むことは、そのような添加剤を炎及び火花の発生及び視認の一方又は両方が排除されるか又は減少する多層可燃性熱源内の位置に有利に位置付けることを可能にする。
【0021】
以下で詳しく説明するように、本発明による喫煙物品は、ブラインド又は非ブラインドの多層可燃性熱源を含むことができる。
【0022】
本明細書に使用する時に、用語「ブラインド」は、ユーザが吸入するために喫煙物品を通って吸い込まれる空気が、多層可燃性熱源に沿ういずれの空気流チャネルも通って流れない本発明による喫煙物品の多層可燃性熱源を説明するのに使用する。
【0023】
本明細書に使用する時に、用語「非ブラインド」は、ユーザが吸入するために喫煙物品を通って吸い込まれた空気が、多層可燃性熱源に沿う1つ又はそれよりも多くの空気流チャネルを通って流れる本発明による喫煙物品の多層可燃性熱源を説明するのに使用する。
【0024】
本明細書で用いる時に、用語「空気流チャネル」は、多層可燃性熱源の長さに沿って延び、ユーザが吸入のために吸い込む空気が通るチャネルを説明するのに使用する。
【0025】
可燃性第1層の炭素含有量は、少なくとも約5乾燥重量パーセントすることができる。例えば、可燃性第1層の炭素含有量は、少なくとも約10乾燥重量パーセント、少なくとも約20乾燥重量パーセント、少なくとも約30乾燥重量パーセント、又は少なくとも約40乾燥重量パーセントすることができる。
【0026】
可燃性第1層の炭素含有量は、少なくとも約35乾燥重量パーセントであり、少なくとも約45乾燥重量パーセントであることがより好ましく、少なくとも約55乾燥重量パーセントであることが最も好ましい。ある一定の好ましい実施形態において、可燃性第1層の炭素含有量は、少なくとも約65乾燥重量パーセントである。
【0027】
第2層は、炭素及び少なくとも1つの発火補助剤を含む。
【0028】
可燃性第1層の炭素含有量は、第2層の炭素含有量よりも多いことが好ましい。
【0029】
第2層の炭素含有量は、約55乾燥重量パーセントよりも少ないか又はこれに等しいことが好ましく、約45乾燥重量パーセントよりも少ないか又はこれに等しいことがより好ましく、約35乾燥重量パーセントよりも少ないか又はこれに等しいことが最も好ましい。ある一定の好ましい実施形態において、第2層の炭素含有量は、約25乾燥重量パーセントよりも少ないことが好ましい。
【0030】
第2層の発火補助剤含有量は、少なくとも約35乾燥重量パーセントであることが好ましく、少なくとも約45乾燥重量パーセントであることがより好ましく、少なくとも約55乾燥重量パーセントであることが最も好ましい。ある一定の好ましい実施形態において、第2層の発火補助剤含有量は、約65乾燥重量パーセントであることが好ましい。
【0031】
ある一定の好ましい実施形態において、可燃性第1層は、炭素及び少なくとも1つの発火補助剤を含む。
【0032】
可燃性第1層が炭素及び少なくとも1つの発火補助剤を含む実施形態において、可燃性第1層内の少なくとも1つの発火補助剤は、第2層内の少なくとも1つの発火補助剤と同じであるか又は異なることができる。
【0033】
可燃性第1層が炭素及び少なくとも1つの発火補助剤を含む実施形態において、第2層内の少なくとも1つの発火補助剤は、可燃性第1層内の少なくとも1つの発火補助剤よりも多いことが好ましくい。
【0034】
可燃性第1層が炭素及び少なくとも1つの発火補助剤を含む実施形態において、可燃性第1層の発火補助剤含有量は、約60乾燥重量パーセントよりも少ないか又はこれに等しいことが好ましく、約50パーセントよりも少ないか又はこれに等しいことがより好ましく、約40乾燥重量パーセントよりも少ないか又はこれに等しいことが最も好ましい。ある一定の好ましい実施形態において、可燃性第1層の発火補助剤含有量は、約30乾燥重量パーセントよりも少ないか又はこれに等しいことが好ましい。
【0035】
ある一定の好ましい実施形態において、可燃性第1層は、炭素及び少なくとも1つの発火補助剤を含み、第2層は、炭素及び少なくとも1つの発火補助剤を含み、第1層内の発火補助剤に対する炭素の乾燥重量比は、第2層内の発火補助剤に対する炭素の乾燥重量比とは異なる。
【0036】
1つの特に好ましい実施形態において、可燃性第1層は、炭素及び少なくとも1つの発火補助剤を含み、第2層は、炭素及び少なくとも1つの発火補助剤を含み、第1層内の発火補助剤に対する炭素の乾燥重量比は、第2層内の発火補助剤に対する炭素の乾燥重量比よりも大きい。
【0037】
本発明による多層可燃性熱源に使用する適切な発火補助剤は当業技術で公知である。
【0038】
本発明のある一定の実施形態による多層可燃性熱源は、多層可燃性熱源の発火時にエネルギを放出する単一の元素又は化合物から構成される1つ又はそれよりも多くの発火補助剤を含むことができる。
【0039】
例えば、ある一定の実施形態において、本発明による多層可燃性熱源は、多層可燃性熱源の発火時に酸素と反応して発熱する単一の元素又は化合物から構成される1つ又はそれよりも多くの活性材料を含むことができる。適切な活性材料の例は、限定するわけではないが、アルミニウム、鉄、マグネシウム、及びジリコニウムを含む。
【0040】
これに代えて又はこれに加えて、本発明による多層可燃性熱源は、多層可燃熱源の発火時に互いに反応してエネルギを放出する2つ又はそれよりも多くの元素又は化合物を含む1つ又はそれよりも多くの発火補助剤を含むことができる。
【0041】
例えば、ある一定の実施形態において、本発明による多層可燃性熱源は、多層可燃熱源の発火時に互いに反応してエネルギを放出する例えば金属のような還元剤及び例えば金属酸化物のような酸化剤を含む1つ又はそれよりも多くのテルミット又はテルミット化合物を含むことができる。適切な金属の例は、限定するわけではないが、マグネシウムを含み、適切な金属酸化物の例は、限定するわけではないが、酸化鉄(Fe
2O
3)及び酸化アルミニウム(Al
2O
3)を含む。
【0042】
他の実施形態において、本発明による多層可燃性熱源は、多層可燃性熱源の発火時に反応して発熱する他の物質を含む1つ又はそれよりも多くの発火補助剤を含むことができる。適切な金属の例は、限定するわけではないが、金属間物質及び二金属物質、金属炭化物及び金属水素化物を含む。
【0043】
本発明による多層可燃性熱源は、多層可燃性熱源の発火中に酸素を放出する少なくとも1つの発火補助剤を含むことが好ましい。
【0044】
ある一定の実施形態において、可燃性第1層は、炭素を含み、第2層は、炭素及び多層可燃性熱源の発火によって酸素を放出する少なくとも1つ発火補助剤を含む。
【0045】
ある一定の好ましい実施形態において、可燃性第1層は、炭素及び多層可燃性熱源の発火時に酸素を放出する少なくとも1つの発火補助剤を含み、第2層は、炭素及び可燃性熱源の発火中に酸素を放出する少なくとも1つ発火補助剤を含む。
【0046】
そのような実施形態において、多層可燃性熱源の発火時に少なくとも1つの発火補助剤が酸素を放出し、放出された酸素が多層可燃性熱源の燃焼速度を高めることにより、多層可燃性熱源の燃焼の初期第1燃焼段階中に温度の「ブースト」を間接的に引き起こす。これは、多層可燃性熱源の温度プロフィールに反映される。
【0047】
例えば、本発明による多層可燃性熱源は、多層可燃性熱源の発火時に分解して酸素を放出する1つ又はそれよりも多くの酸化剤を含むことができる。本発明による可燃性熱源は、有機酸化剤、無機酸化剤、又はその組合せを含むことができる。適切な酸化剤の例は、限定するわけではないが、例えば、硝酸カリウム、硝酸カルシウム、硝酸ストロンチウム、硝酸ナトリウム、硝酸バリウム、硝酸リチウム、硝酸アルミニウム及び硝酸鉄のような硝酸塩、亜硝酸塩、他の有機又は無機ニトロ化合物、例えば、塩素酸ナトリウム及び塩素酸カリウムのような塩素酸塩、例えば、過塩素酸ナトリウムのような過塩素酸塩、亜塩素酸塩、例えば、臭素酸ナトリウム及び臭素酸カリウムのような臭素酸塩、過臭素酸塩、亜臭素酸塩、例えば、ホウ素酸ナトリウム及びホウ素酸カリウムのようなホウ素酸塩、例えば、鉄酸バリウムのような鉄酸塩、フェライト、例えば、マンガン酸カリウムのようなマンガン酸塩、例えば、過マンガン酸カリウムのような過マンガン酸塩、例えば、過酸化ベンゾイル及び過酸化アセトンのような有機過酸化物、例えば、過酸化水素、過酸化ストロンチウム、過酸化マグネシウム、過酸化カルシウム、過酸化バリウム、過酸化亜鉛及び過酸化リチウムのような無機過酸化物、例えば、超酸化カリウム及び超酸化ナトリウムのような超酸化物、ヨード酸塩、過ヨード酸塩、亜ヨード酸塩、硫酸塩、亜硫酸塩、他のスルホキシド、リン酸塩、ホスホン酸塩、亜リン酸塩、及び亜ホスフィン酸エステルを含む。
【0048】
これに代えて又はこれに加えて、本発明による多層可燃性熱源は、多層可燃性熱源の発火時に酸素を放出する1つ又はそれよりも多くの酸素貯蔵材又は封鎖材料を含むことができる。本発明による多層可燃性熱源は、カプセル化、物理吸着、化学吸着、構造変化、又はその組合せによって酸素を貯蔵及び放出する酸素貯蔵材又は封鎖材料を含むことができる。適切な酸素貯蔵材又は封鎖材料の例は、限定するわけではないが、金属銀面又は金属金面のような金属面、混合金属酸化物、分子篩、ゼオライト、金属有機構造体、共有結合有機構造体、スピネル及びペロブスカイトを含む。
【0049】
本発明による多層可燃性熱源は、多層可燃性熱源の発火時に酸素を放出する単一の元素又は化合物から構成される1つ又はそれよりも多くの発火補助剤を含むことができる。これに代えて又はこれに加えて、本発明による多層可燃性熱源は、多層可燃性熱源の発火時に互いに反応して酸素を放出する2つ又はそれよりも多くの元素又は化合物を含む1つ又はそれよりも多くの発火補助剤を含むことができる。
【0050】
本発明による多層可燃性熱源は、多層可燃性熱源の発火時にエネルギ及び酸素の両方を放出する1つ又はそれよりも多くの発火補助剤を含むことができる。例えば、本発明による多層可燃性熱源は、多層可燃性熱源の発火時に発熱分解して酸素を放出する1つ又はそれよりも多くの酸化剤を含むことができる。
【0051】
これに代えて又はこれに加えて、本発明による多層可燃性熱源は、多層可燃性熱源の発火時にエネルギを放出する1つ又はそれよりも多くの第1の発火補助剤と、多層可燃性熱源の発火時に酸素を放出し、第1の発火補助剤とは異なる1つ又はそれよりも多くの第2の発火補助剤とを含むことができる。
【0052】
ある一定の実施形態において、本発明による多層可燃性熱源は、熱分解温度が約600℃よりも低い、より好ましくは約400℃よりも低い少なくとも1つの硝酸塩を含む。少なくとも1つの硝酸塩の分解温度は、約150℃から約600℃であることが好ましく、約200℃から約400℃であることがより好ましい。
【0053】
そのような実施形態において、多層可燃性熱源が従来の黄色い炎のライター又は他の発火手段に露出された時に、少なくとも1つの金属硝酸塩は、分解して酸素及びエネルギを放出する。これは、多層可燃性熱源の初期温度ブーストを引き起こす共に、多層可燃性熱源の発火を助けることができる。多層可燃性熱源は、少なくとも1つの金属硝酸塩が完全に分解した後に、低温で燃焼し続けることが好ましい。
【0054】
少なくとも1つの金属硝酸塩を含むことにより、多層可燃性熱源の発火が、多層可燃性熱源の一点からのみでなくその内部からも開始する利点がある。
【0055】
使用時に、多層可燃性熱源の発火によって少なくとも1つの金属硝酸塩が分解し、この分解による多層可燃性熱源の温度のブーストは、温度が「ブースト」温度まで上昇することに反映される。本発明による喫煙物品内に使用する際に、これは、喫煙物品の多層可燃性熱源からエアロゾル形成基材に十分な熱が伝達されてその初期吸煙中に満足できるエアロゾルが確実に生成されるので有利である。
【0056】
多層可燃性熱源の温度は、少なくとも1つの金属硝酸塩の分解後にも低下し、この温度低下も、多層可燃性熱源の温度の「クルージング」温度までの低下に反映される。本発明による喫煙物品内に使用する際に、これは、喫煙物品のエアロゾル形成基材が熱劣化又は燃焼しないことが確実になるので有利である。
【0057】
少なくとも1つの金属硝酸塩の分解に起因する温度ブーストの大きさ及び持続時間は、多層可燃性熱源内の少なくとも1つの金属硝酸塩の性質、量、及び場所によって有利に制御することができる。特に、本発明の多層可燃性熱源の可燃性第1層と第2層に設ける少なくとも1つの金属硝酸塩の量を異なるものにすることにより、少なくとも1つの金属硝酸塩の分解に起因する温度ブーストの大きさ及び持続時間が有利に制御され、本発明による喫煙物品の初期吸煙中に満足できるエアロゾルを生成し、一方、その後の吸煙中に満足できるエアロゾルを依然としてもたらす。
【0058】
少なくとも1つの金属硝酸塩は、硝酸カリウム、硝酸ナトリウム、硝酸カルシウム、硝酸ストロンチウム、硝酸バリウム、硝酸リチウム、硝酸アルミニウム、及び硝酸鉄から構成される群から選択することが好ましい。
【0059】
本発明による多層可燃性熱源は、少なくとも2つの異なる金属硝酸塩を含むことが好ましい。一実施形態において、本発明による多層可燃性熱源は、硝酸ナトリウム、硝酸カルシウム、及び硝酸ストロンチウムを含む。
【0060】
ある一定の好ましい実施形態において、本発明による多層可燃性熱源は、約600℃よりも低い温度、より好ましくは約400℃よりも低い温度で活発に酸素を放出する少なくとも1つの過酸化物又は超酸化物を含む。
【0061】
少なくとも1つの過酸化物又は超酸化物が酸素を活発に放出する温度は、約150℃から約600℃であることが好ましく、約200℃から約400℃であることがより好ましく、約350℃であることが最も好ましい。
【0062】
そのような実施形態において、多層可燃性熱源が従来の黄色い炎のライター又は他の発火手段に露出された時に、少なくとも1つの過酸化物又は超酸化物が分解して酸素を放出する。放出された酸素は、多層可燃性熱源の初期温度ブーストを引き起こすと共に、多層可燃性熱源の発火を助ける。多層可燃性熱源は、少なくとも1つの過酸化物又は超酸化物が完全に分解した後は低温で燃焼し続ける。
【0063】
少なくとも1つの過酸化物又は超酸化物を含むことにより、多層可燃性熱源の発火がその表面の一点からのみでなく内部からも開始する利点が得られる。
【0064】
使用時に、多層可燃性熱源の発火によって少なくとも1つの過酸化物又は超酸化物が分解し、この分解による多層可燃性熱源の温度のブーストは、温度が「ブースト」温度まで上昇することに反映される。本発明による喫煙物品内に使用する際に、これは、喫煙物品の可燃性熱源からエアロゾル形成基材に十分な熱が伝達されてその初期吸煙中に満足できるエアロゾルが確実に生成されるので有利である。
【0065】
多層可燃性熱源の温度は、少なくとも1つの過酸化物又は超酸化物の分解後も低下し、この温度低下も、多層可燃性熱源の温度が「クルージング」温度まで低下することに反映される。本発明による喫煙物品内に使用する際に、温度低下により、喫煙物品のエアロゾル形成基材が熱劣化又は燃焼しないことが確実になるので有利である。
【0066】
少なくとも1つの過酸化物又は超酸化物の分解に起因する温度ブーストの大きさ及び持続時間は、多層可燃性熱源内の少なくとも1つの過酸化物の性質、量、及び場所によって有利に制御することができる。特に、本発明の多層可燃性熱源の可燃性第1層と第2層に設ける少なくとも1つの過酸化物又は超酸化物の量を異なるものにすることにより、少なくとも1つの過酸化物又は超酸化物の分解に起因する温度ブーストの大きさ及び持続時間が有利に制御され、本発明による喫煙物品の初期吸煙中に満足できるエアロゾルを生成し、一方、その後の吸煙中に依然として満足できるエアロゾルを与える。
【0067】
本発明による多層可燃性熱源に含めるのに適切な過酸化物及び超過酸化物は、限定するわけではないが、ストロンチウム過酸化物、マグネシウム過酸化物、バリウム過酸化物、リチウム過酸化物、亜鉛過酸化物、カリウム超過酸化物、及びナトリウム超過酸化物を含む。
【0068】
少なくとも1つの過酸化物は、カルシウム過酸化物、ストロンチウム過酸化物、マグネシウム過酸化物、バリウム過酸化物、及びこれらの混合物から構成される群から選択することが好ましい。
【0069】
ある一定の実施形態において、可燃性第1層は、炭素を含み、第2層は、炭素及び過酸化物を含む。
【0070】
ある一定の好ましい実施形態において、可燃性第1層は、炭素及び少なくとも1つの過酸化物を含み、第2層は、炭素及び少なくとも1つの過酸化物を含み、可燃性第1層内の炭素の過酸化物に対する乾燥重量比は、第2層内の炭素の過酸化物に対する乾燥重量比とは異なる。
【0071】
1つの好ましい実施形態において、可燃性第1層は、炭素及び少なくとも1つの過酸化物を含み、第2層は、炭素及び少なくとも1つの過酸化物を含み、可燃性第1層内の炭素の過酸化物に対する乾燥重量比は、第2層内の炭素の過酸化物に対する乾燥重量比よりも大きい。
【0072】
ある一定の特に好ましい実施形態において、可燃性第1層は、炭素及び過酸化カルシウムを含み、第2層は、炭素及び過酸化カルシウムを含み、可燃性第1層内の炭素の過酸化カルシウムに対する乾燥重量比は、第2層内の炭素の過酸化カルシウムに対する乾燥重量比とは異なる。
【0073】
1つの特に好ましい実施形態において、可燃性第1層は、炭素及び過酸化カルシウムを含み、第2層は、炭素及び過酸化カルシウムを含み、可燃性第1層内の炭素の過酸化カルシウムに対する乾燥重量比は、第2層内の炭素の過酸化カルシウムに対する乾燥重量比よりも大きい。
【0074】
本発明による多層可燃性熱源の層は、更に、1つ又はそれよりも多くの結合剤を含むことができる。
【0075】
1つ又はそれよりも多くの結合剤は、有機結合剤、無機結合剤、又はその組合せとすることができる。公知の適切な有機結合剤は、限定するわけではないが、例えば、グアルゴムのようなゴム、例えば、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ハイドロキシプロピルセルロース、及びハイドロキシプロピルメチルセルロースのような変性セルロース及びセルロース誘導体、小麦粉、でんぷん、砂糖、植物油、及びこれらの組合せを含む。
【0076】
公知の適切な無機結合剤は、限定するわけではないが、例えば、ベントナイト及びカオリナイトのような粘土、例えば、セメント、アルカリ活性アルミノケイ酸塩のようなアルミノケイ酸塩誘導体、例えば、ケイ酸ナトリウム及びケイ酸カリウムのようなアルカリケイ酸塩、例えば、石灰及び消石灰のような石灰石誘導体、例えば、マグネシアセメント、硫酸マグネシウム、硫酸カルシウム、リン酸カルシウム、及び第二リン酸カルシウムのようなアルカリ土類化合物及び誘導体、並びに例えば硫酸アルミニウムのようなアルミニウム化合物及び誘導体を含む。
【0077】
ある一定の実施形態において、本発明による多層可燃性熱源は、炭素粉末、例えば、カルボキシメチルセルロースのような変性セルロース、例えば、小麦粉のような粉、及び例えばビートを原料とする白色結晶糖のような砂糖の混合物から形成される。
【0078】
他の実施形態において、本発明による多層可燃性熱源の層は、炭素粉末、例えば、カルボキシメチルセルロースのような変性セルロース、及び任意的にベントナイトの混合物から形成される。
【0079】
1つ又はそれよりも多くの結合剤に代えて又はそれに加えて、本発明の多層可燃性熱源の層は、多層可燃熱源の特性を改善するために1つ又はそれよりも多くの添加剤を含むことができる。適切な添加剤は、限定するわけではないが、多層可燃性熱源の圧密化を促す添加剤(例えば、焼結助剤)、多層可燃性熱源の燃焼を促す添加剤(例えば、カリウム、及び例えばクエン酸カリウムのようなカリウム塩)、及び可燃性熱源の燃焼によって発生する1つ又はそれよりも多くのガスの分解を促す添加剤(例えば、酸化銅(CuO)、酸化鉄(Fe
2O
3)、及び多層酸化アルミニウム(Al
2O
3)のような触媒)を含む。
【0080】
本発明の多層可燃性熱源の可燃性第1層及び第2層は、非繊維質であることが好ましい。
【0081】
本発明による多層可燃性熱源の第1層及び第2層は、1つ又はそれよりも多くの適切な炭素含有材料から形成することができる。適切な炭素含有材料は、当業技術で公知であり、限定するわけではないが、例えば、炭素粉末を含む。
【0082】
本発明による多層可燃性熱源の合計炭素含有量は、少なくとも約35乾燥重量パーセントすることができる。例えば、本発明による多層可燃性熱源の合計炭素含有量は、少なくとも約40乾燥重量パーセント、又は少なくとも約45乾燥重量パーセントとすることができる。
【0083】
ある一定の実施形態において、本発明による多層可燃性熱源は、炭素系多層可燃性熱源とすることができる。本明細書に使用する時に、用語「炭素系」は、主に炭素を含む多層可燃性熱源を説明するのに使用する。
【0084】
本発明による喫煙物品に使用する炭素系多層可燃性熱源の炭素含有量は、少なくとも約乾燥重量50パーセントとし、少なくとも約乾燥重量60パーセントとすることが好ましく、少なくとも約乾燥重量70パーセントとすることがより好ましく、少なくとも約80乾燥重量パーセントとすることが最も好ましい。
【0085】
本発明による多層可燃性熱源の第1層及び第2層の見かけの密度は、少なくとも0.6g/cm
3である。
【0086】
本発明による多層可燃性熱源の第1層及び第2層の見かけの密度は、各層の質量を各層の体積で除することによって計算することができる。
【0087】
例えば、本発明による二層可燃性熱源の第1層及び第2層が加圧成形によって形成された時に、第1層及び第2層の見かけの密度は、各層を形成するために加圧された材料の質量を形成された各層の体積で除することによって計算することができる。
【0088】
これに代えて、本発明による二層可燃性熱源の第1層及び第2層が押し出し成形によって形成された時に、第1層及び第2層の見かけの密度は、二層の一方を除去し、除去した材料の質量を除去前の材料の体積で除することによって除去した層の密度を計算し、残存する層の質量を残存する層の体積で除することによって残存する層の密度を計算することができる。
【0089】
本発明による多層可燃性熱源の第1層及び第2層の見かけの密度は、約0.6g/cm
3から約1g/cm
3であることが好ましい。
【0090】
第1層の見かけの密度は、第2層の見かけの密度と同じか又は異なることができる。
【0091】
第1層の見かけの密度が第2層の見かけの密度とは異なる時に、第1層の見かけの密度と第2層の見かけの密度の差は、0.2g/cm
3よりも小さいか又はこれに等しいことが好ましい。
【0092】
本発明による多層可燃性熱源の見かけの密度は、約0.6g/cm
3から約1g/cm
3であることが好ましい。
【0093】
本発明による多層可燃性熱源は、細長いことが好ましい。本発明による多層可燃性熱源は、実質的にロッド形状であることがより好ましい。
【0094】
特に好ましい実施形態において、本発明による多層可燃性熱源は、実質的に円筒形である。
【0095】
本発明による多層可燃性熱源は、直径が実質的に均一であることが好ましい。しかし、本発明による多層可燃性熱源は、これに代えて、先細にして多層可燃性熱源の第1端の直径をその第2端の直径よりも大きくすることができる。
【0096】
本発明による多層可燃性熱源は、断面が実質的に円形、長円形、又は楕円形であることが好ましい。本発明による多層可燃性熱源は、断面が実質的に円形であることが最も好ましい。しかし、代替実施形態において、本発明による多層可燃性熱源の断面は、異なる形状とすることができる。例えば、本発明による多層可燃性熱源は、断面が実質的に三角形、四角形、ひし形、台形、又は八角形とすることができる。
【0097】
本発明による多層可燃性熱源の長さは、約5mmから約20mmであることが好ましく、約7mmから約15mmであることがより好ましく、約7mmから約13mmであることが最も好ましい。
【0098】
本発明による多層可燃性熱源の直径は、約5mmから約10mmであることが好ましく、約6mmから9mmであることがより好ましく、約7mmから約8mmであることが最も好ましい。
【0099】
本明細書に使用する時に、用語「直径」は、本発明による多層可燃性熱源の最大横断方向寸法を意味する。
【0100】
本発明による多層可燃性熱源の可燃性第1層及び第2層は、縦方向同心層である。
【0101】
ある一定の好ましい実施形態において、本発明による多層可燃性熱源は、実質的に円筒形であり、可燃性第1層及び第2層は、縦方向同心層である。
【0102】
ある一定の実施形態において、可燃性第1層は、外側層であり、第2層は、可燃性第1層が外接する内側層である。
【0103】
ある一定の実施形態において、可燃性第1層は、環状の外側層であり、第2層は、可燃性第1層が外接する実質的に円筒形の内側層である。
【0104】
ある一定の他の実施形態において、第2層は、外側層であり、可燃性第1層は、第2層が外接する内側層である。
【0105】
ある一定の他の実施形態において、第2層は、環状の外側層であり、可燃性第1層は、第2層が外接する実質的に円筒形の内側層である。
【0106】
可燃性第1層が、外側層であり、第2層が、可燃性第1層が外接する内側層である実施形態において、第2層は、多層可燃性熱源の発火時に「ヒューズ」として作用することができる利点がある。そのような実施形態においてこれに加えて、ある一定の発火補助剤及び他の添加剤の使用に関連付けられた炎及び火花の発生及び視認の一方又は両方は、多層可燃性熱源の第2層がそのような添加剤を含むことによって除去又は低減することができ、一方、可燃性第1層に存在するそのような添加剤を除去又は低減することができる利点がある。
【0107】
可燃性第1層が、環状の外側層であり、第2層が、可燃性第1層が外接する実質的に円筒形の内側層である実施形態において、多層可燃性熱源の直径は、例えば、約5mmから約10mmとし、第2層の直径は、例えば、約0.5mmから約9mmとすることができる。
【0108】
第2層が、環状の外側層であり、可燃性第1層が、第2層が外接する実質的に円筒形の内側層である実施形態において、多層可燃性熱源の直径は、例えば、約5mmから約10mmとし、可燃性第1層の直径は、例えば、約0.5mmから約9mmとすることができる。
【0109】
本発明による多層可燃性熱源は、1つ又はそれよりも多くの追加層を含むことができる。
【0110】
本発明による多層可燃性熱源は、実質的に可燃性第1層と同じ組成を有する1つ又はそれよりも多くの追加層を含むことができる。
【0111】
これに代えて又はこれに加えて、本発明による多層可燃性熱源は、実質的に第2層と同じ組成を有する1つ又はそれよりも多くの追加層を含むことができる。
【0112】
これに代えて又はこれに加えて、本発明による多層可燃性熱源は、実質的に可燃性第1層及び第2層の両方とは異なる組成を有する1つ又はそれよりも多くの追加層を含むことができる。
【0113】
本発明による多層可燃性熱源は、実質的に可燃性第1層及び第2層と平行な1つ又はそれよりも多くの追加層を含むことができる。そのような実施形態において、可燃性第1層、第2層、及び1つ又はそれよりも多くの追加層は、実質的に平行なインタフェースに沿って接触する。
【0114】
これに代えて又はこれに加えて、本発明による多層可燃性熱源は、実質的に可燃性第1層及び第2層と平行な1つ又はそれよりも多くの追加層を含むことができる。そのような実施形態において、可燃性第1層は、第1のインタフェースに沿って第2層に接触し、1つ又はそれよりも多くの追加層は、互いにかつ第1のインタフェースと垂直な第2のインタフェースに沿って可燃性第1層及び第2層に接触する。
【0115】
本発明による多層可燃性熱源は、1つ又はそれよりも多くの追加縦方向層、又は1つ又はそれよりも多くの追加横断方向層、又は1つ又はそれよりも多くの追加縦方向層と1つ又はそれよりも多くの追加横断方向層との組合せを更に含むことができる。
【0116】
本発明による多層可燃性熱源は、1つ又はそれよりも多くの追加同心層、又は1つ又はそれよりも多くの追加非同心層、又は1つ又はそれよりも多くの追加同心層と1つ又はそれよりも多くの追加非同心層との組合せを更に含むことができる。
【0117】
ある一定の好ましい実施形態において、本発明による多層可燃性熱源は、炭素及び少なくとも1つの発火補助剤の一方又は両方を含む第3層を更に含むことができる。
【0118】
第3層は、可燃性又は不燃性とすることができる。
【0119】
第3層の組成は、実質的に可燃性第1層の組成と同じであるか又は異なることができる。第3層の組成は、可燃性第1層の組成と異なることが好ましい。
【0120】
第3層の組成は、実質的に第2層の組成と同じであるか又は異なることができる。
【0121】
ある一定の好ましい実施形態において、第3層は、炭素を含む。
【0122】
第3層が炭素を含む実施形態において、可燃性第1層の炭素含有量は、第3層の炭素含有量よりも多いことが好ましい。
【0123】
第3層が炭素を含む実施形態において、第2層の炭素含有量は、第3層の炭素含有量よりも多いか又は実質的にこれに等しいことが好ましい。
【0124】
第3層が炭素を含む代替実施形態において、第2層の炭素含有量は、第3層の炭素含有量よりも少ない場合がある。
【0125】
第3層が炭素を含む実施形態において、第3層の炭素含有量は、約55乾燥重量パーセントよりも少ないか又はこれに等しいことが好ましく、約45乾燥重量パーセントよりも少ないか又はこれに等しいことがより好ましく、約35乾燥重量パーセントよりも少ないか又はこれに等しいことが最も好ましい。ある一定の好ましい実施形態において、第3層の炭素含有量は、25乾燥重量パーセントよりも少ないか又はこれに等しいことが好ましい。
【0126】
ある一定の好ましい実施形態において、第3層は、少なくとも1つの発火補助剤を含む。
【0127】
第3層が少なくとも1つの発火補助剤を含む場合に、第3層内の少なくとも1つの発火補助剤は、第2層内の少なくとも1つの発火補助剤と同じであるか又は異なることができる。
【0128】
可燃性第1層が、炭素及び少なくとも1つの発火補助剤を含み、第3層が、少なくとも1つの発火補助剤を含む場合に、第3層内の少なくとも1つの発火補助剤は、可燃性第1層内の少なくとも1つの発火補助剤と同じであるか又は異なることができる。
【0129】
第3層が少なくとも1つの発火補助剤を含む実施形態において、第3層の発火補助剤含有量は、第2層の発火補助剤含有量よりも多いか又は実質的にこれと同じであることが好ましい。
【0130】
第3層が少なくとも1つの発火補助剤を含む代替実施形態において、第3層の発火補助剤含有量は、第2層の発火補助剤含有量よりも少なくすることができる。
【0131】
可燃性第1層が、炭素及び少なくとも1つの発火補助剤を含み、第3層が、少なくとも1つの発火補助剤を含む実施形態において、第3層の発火補助剤含有量は、可燃性第1層の発火補助剤含有量よりも多いことが好ましい。
【0132】
可燃性第1層が、炭素及び少なくとも1つの発火補助剤を含み、第3層が、少なくとも1つの発火補助剤を含む代替実施形態において、第3層の発火補助剤含有量は、可燃性第1層の発火補助剤含有量よりも少なくすることができる。
【0133】
第3層が、少なくとも1つの発火補助剤を含む実施形態において、第3層の発火補助剤含有量は、少なくとも約30乾燥重量パーセントであることが好ましく、少なくとも約40乾燥重量パーセントであることがより好ましく、少なくとも約50乾燥重量パーセントであることが最も好ましい。
【0134】
ある一定の好ましい実施形態において、可燃性第1層は、炭素及び少なくとも1つの発火補助剤を含み、第2層は、炭素及び少なくとも1つの発火補助剤を含み、第3層は、炭素及び少なくとも1つの発火補助剤を含み、可燃性第1層内の発火補助剤に対する炭素の乾燥重量比は、第2層内の発火補助剤に対する炭素の乾燥重量比とは異なる。
【0135】
1つの好ましい実施形態において、可燃性第1層は、炭素及び少なくとも1つの発火補助剤を含み、第2層は、炭素及び少なくとも1つの発火補助剤を含み、第3層は、炭素及び少なくとも1つの発火補助剤を含み、可燃性第1層内の発火補助剤に対する炭素の乾燥重量比は、第2層内の発火補助剤に対する炭素の乾燥重量比よりも大きい。
【0136】
1つの好ましい実施形態において、可燃性第1層は、炭素及び少なくとも1つの発火補助剤を含み、第2層は、炭素及び少なくとも1つの発火補助剤を含み、第3層は、炭素及び少なくとも1つの発火補助剤を含み、可燃性第1層内の発火補助剤に対する炭素の乾燥重量比は、第2層内の発火補助剤に対する炭素の乾燥重量比よりも大きく、第2層内の発火補助剤に対する炭素の乾燥重量比は、第3層内の発火補助剤に対する炭素の乾燥重量比よりも大きいか又は実質的にこれに等しい。
【0137】
ある一定の特に好ましい実施形態において、可燃性第1層は、炭素及び過酸化カルシウムを含み、第2層は、炭素及び過酸化カルシウムを含み、第3層は、炭素及び過酸化カルシウムを含み、可燃性第1層内の炭素の過酸化カルシウムに対する乾燥重量比は、第2層内の炭素の過酸化カルシウムに対する乾燥重量比とは異なる。
【0138】
1つの特に好ましい実施形態において、可燃性第1層は、炭素及び過酸化カルシウムを含み、第2層は、炭素及び過酸化カルシウムを含み、第3層は、炭素及び過酸化カルシウムを含み、可燃性第1層内の炭素の過酸化カルシウムに対する乾燥重量比は、第2層内の炭素の過酸化カルシウムに対する乾燥重量比よりも大きい。
【0139】
1つの特に好ましい実施形態において、可燃性第1層は、炭素及び過酸化カルシウムを含み、第2層は、炭素及び過酸化カルシウムを含み、第3層は、炭素及び過酸化カルシウムを含み、可燃性第1層内の炭素の過酸化カルシウムに対する乾燥重量比は、第2層内の炭素の過酸化カルシウムに対する乾燥重量比よりも大きく、第2層内の炭素の過酸化カルシウムに対する乾燥重量比は、第3層内の炭素の過酸化カルシウムに対する乾燥重量比よりも大きいか又は実質的にこれに等しい。
【0140】
代替実施形態において、可燃性第1層は、炭素及び過酸化カルシウムを含み、第2層は、炭素及び過酸化カルシウムを含み、第3層は、炭素及び過酸化カルシウムを含み、可燃性第1層内の炭素の過酸化カルシウムに対する乾燥重量比は、第2層内の炭素の過酸化カルシウムに対する乾燥重量比よりも大きく、第2層内の炭素の過酸化カルシウムに対する乾燥重量比は、第3層内の炭素の過酸化カルシウムに対する乾燥重量比よりも小さい。
【0141】
第3層は、可燃性第1層及び第2層と実質的に平行とすることができる。そのような実施形態において、可燃性第1層、第2層、及び第3層は、実質的に平行なインタフェースに沿って接触する。
【0142】
これに代えて、第3層は、可燃性第1層及び第2層と実質的に垂直とすることができる。そのような実施形態において、可燃性第1層は、第1のインタフェースに沿って第2層と接触し、第3層は、第1のインタフェースと実質的に垂直な第2のインタフェースに沿って可燃性第1層及び第2層と接触する。
【0143】
第3層は、縦方向層又は横断方向層とすることができる。
【0144】
第3層は、同心層又は非同心層とすることができる。
【0145】
ある一定の好ましい実施形態において、第3層は、非同心層である。
【0146】
ある一定の実施形態において、可燃性第1層は、縦方向外側層であり、第2層は、可燃性第1層が外接する縦方向内側層であり、第3層は、横断方向層である。
【0147】
ある一定の実施形態において、可燃性第1層は、環状の縦方向外側層であり、第2層は、可燃性第1層が外接する実質的に円筒形の縦方向内側層であり、第3層は、横断方向層である。
【0148】
ある一定の他の実施形態において、第2層は、縦方向外側層であり、可燃性第1層は、第2層が外接する縦方向内側層であり、第3層は、横断方向層である。
【0149】
ある一定の他の実施形態において、第2層は、環状の縦方向外側層であり、可燃性第1層は、第2層が外接する実質的に円筒形の縦方向内側層であり、第3層は、横断方向層である。
【0150】
可燃性第1層が、環状の縦方向外側層であり、第2層が、可燃性第1層が外接する実質的に円筒形の縦方向内側層であり、第3層が、横断方向層である実施形態において、多層可燃性熱源の直径は、例えば、約5mmから約10mmとし、第2層の直径は、例えば、約0.5mmから約9mmとし、第3層の長さは、例えば、約1mmから約10mmとすることができる。
【0151】
第2層が、環状の縦方向外側層であり、可燃性第1層が、第2層が外接する実質的に円筒形の縦方向内側層であり、第3層が、横断方向層である実施形態において、多層可燃性熱源の直径は、例えば、約5mmから約10mmとし、可燃性第1層の直径は、例えば、約0.5mmから約9mmとし、第3層の長さは、例えば、約1mmから約10mmとすることができる。
【0152】
本発明による多層可燃性熱源を作るために、多層可燃性熱源の可燃性第1層の炭素及び他の成分、第2層の少なくとも1つの発火補助剤及び他のあらゆる成分、及び存在する場合に第3層又は他のあらゆる追加層の成分が混合されて所望形状に形成される。可燃性第1層の成分、第2層の成分、及び存在する場合に第3層及び他のあらゆる追加層の成分は、例えば、スリップ鋳造、押し出し成形、射出成形、及びダイ圧縮又は加圧成形、又はその組合せであるあらゆる公知の好ましいセラミック形成方法を使用して所望形状に形成することができる。可燃性第1層の成分、第2層の成分、及び存在する場合に第3層及び他のあらゆる追加層の成分は、加圧成形又は押し出し成形又はその組合せによって所望形状に形成することが好ましい。
【0153】
ある一定の実施形態において、本発明による多層可燃性熱源は、可燃性第1層、第2層、及び存在する場合に第3層及び他のあらゆる追加層を単一の方法を使用して形成することによって作ることができる。
【0154】
例えば、本発明による多層可燃性熱源は、可燃性第1層、第2層、及び存在する場合に第3層及び他のあらゆる追加層を押し出し成形によって形成することによって作ることができる。
【0155】
これに代えて、本発明による多層可燃性熱源は、可燃性第1層、第2層、及び存在する場合に第3層及び他のあらゆる追加層を加圧成形によって形成することによって作ることができる。
【0156】
他の実施形態において、本発明による多層可燃性熱源は、可燃性第1層、第2層、及び存在する場合に第3層及び他のあらゆる追加層を2つ又はそれよりも多くの方法を使用して形成することによって作ることができる。
【0157】
例えば、本発明による多層可燃性熱源が、可燃性第1層、第2層、及び第3層を含み、可燃性第1層及び第2層が、縦方向層であり、第3層が、横断方向層である場合に、本発明による多層可燃性熱源は、可燃性第1層及び第2層を押し出し成形で形成し、第3層を加圧成形で形成することによって作ることができる。
【0158】
可燃性第1層の成分、第2層の成分、及び存在する場合に第3層及び他のあらゆる追加層の成分は、ロッド形状に形成することが好ましい。しかし、可燃性第1層の成分、第2層の成分、及び存在する場合に第3層及び他のあらゆる追加層の成分は、他の所望形状に形成することができることは認められるであろう。
【0159】
円筒形ロッド又は他の所望形状は、形成された後に、その含水量を減少するために乾燥させることができる。
【0160】
形成された多層可燃性熱源は、多層可燃性熱源の1つ又はそれよりも多くの層が、過酸化物、テルミット、金属間物質、マグネシウム、アルミニウム、及びジルコニアから構成される群から選択された少なくとも1つの発火補助剤を含む場合には、熱分解しないことが好ましい。
【0161】
他の実施形態において、形成された多層可燃性熱源は、存在する場合にあらゆる結合剤を炭化し、かつ形成された多層可燃性熱源内のあらゆる揮発性化合物を実質的に排除するのに十分な温度で非酸化性雰囲気内で熱分解される。そのような実施形態において、形成された多層可燃性熱源は、窒素雰囲気内において約700℃から約900℃の温度で熱分解することが好ましい。本発明による多層可燃性熱源には、乾燥した円筒形又は他の所望形状に形成された成分の混合物に少なくとも1つの金属硝酸塩前駆体を含め、次に、熱分解された形成された多層可燃性熱源を硝酸水溶液で処理することによって少なくとも1つの金属硝酸塩前駆体を原位置で少なくとも1つの金属硝酸塩に変換することにより、少なくとも1つの金属硝酸塩を組み込むことができる。
【0162】
少なくとも1つの金属硝酸塩前駆体は、硝酸と反応して金属硝酸塩を形成する例えば金属酸化物又は金属炭酸塩のようなあらゆる金属又は金属含有化合物とすることができる。適切な金属硝酸塩前駆体は、限定するわけではないが、炭酸カルシウム、炭酸カリウム、酸化カルシウム、炭酸ストロンチウム、炭酸リチウム、及びドロマイト(炭酸カルシウムマグネシウム)を含む。
【0163】
硝酸塩水溶液の濃度は、約20乾燥重量パーセントから約50乾燥重量パーセントであることが好ましく、約30乾燥重量パーセントから約40乾燥重量パーセントであることがより好ましい。少なくとも1つの金属硝酸塩前駆体を少なくとも1つの金属硝酸塩に変換させることに加えて、本発明による多層可燃性熱源を硝酸で処理することにより、多層可燃性熱源の孔隙率が高まり、炭素構造の表面積が広がることによって炭素構造が活性化するという利点が得られる。
【0164】
本発明による喫煙物品は、多層可燃性熱源の下流端とエアロゾル形成基材の上流端の間に不燃性で実質的に空気不透過性の障壁を含むことができる。
【0165】
本明細書で用いる時に、用語「不燃性」は、多層可燃性熱源がその燃焼又は発火中に達する温度で実質的に不燃性である障壁を説明するのに使用する。
【0166】
障壁は、多層可燃性熱源の下流端及びエアロゾル形成基材の上流端の一方又は両方に当接することができる。
【0167】
障壁は、多層可燃性熱源の下流端及びエアロゾル形成基材の上流端の一方又は両方に接着され、又はそうでなければ固定することができる。
【0168】
一部の実施形態において、障壁は、多層可燃性熱源の後面に設けられた障壁コーティングを含むことができる。そのような実施形態において、第1の障壁は、少なくとも実質的に多層可燃性熱源の後面全体に設けられた障壁コーティングを含むことが好ましい。障壁は、多層可燃性熱源の後面全体に設けられた障壁コーティングを含むことがより好ましい。
【0169】
本明細書で用いる時に、用語「コーティング」は、多層可燃性熱源を覆い、かつこれに接着された材料の層を説明するのに使用する。
【0170】
障壁は、多層可燃性熱源の発火又は燃焼中にエアロゾル形成基材が露出する温度を制限し、従って、喫煙物品の使用中にエアロゾル形成基材の熱劣化又は燃焼を回避するか又は減少するのを助けることができる利点がある。
【0171】
喫煙物品の望ましい特性及び性能に応じて、障壁の熱伝導率は、低いか又は高くすることができる。ある一定の実施形態において、障壁は、修正過渡平面ソース(MTPS)方法を用いて、23℃及び相対湿度が50%で測定した時にバルク熱伝導率がメートルカルビン当たり約0.1W(W/(m・K))からメートルカルビン当たり約200W(W/(m・K))である材料で作ることができる。
【0172】
障壁の厚みは、吸煙性能が良好になるように適切に調節することができる。ある一定の実施形態において、障壁の厚みは、約10ミクロンから約500ミクロンとすることができる。
【0173】
障壁は、多層可燃性熱源が発火及び燃焼中に到達する温度で実質的に熱的に安定して不燃性である1つ又はそれよりも多くの適切な材料から形成することができる。適切な材料は当業技術で公知であり、限定するわけではないが、粘土(例えば、ベントナイト、カオリナイトなど)、ガラス、鉱物、セラミック材料、樹脂、金属、及びこれらの組合せを含む。
【0174】
障壁を形成する元になる好ましい材料は、粘性及びガラスを含む。障壁を形成する元になる好ましい材料は、銅、アルミニウム、ステンレス鋼、合金、アルミナ(Al
2O
3)、樹脂、及び鉱物接着剤である。
【0175】
一実施形態において、障壁は、多層可燃性熱源の後面上に設けられたベントナイト及びカオリナイトの50/50混合物を含む粘土コーティングを含む。1つのより好ましい実施形態において、障壁は、可燃性熱源の後面上に設けられたアルミニウムコーティングを含む。別の好ましい実施形態において、障壁は、可燃性熱源の後面上に設けられたガラスコーティングを含み、焼結ガラスコーティングを含むことがより好ましい。
【0176】
障壁の厚みは、少なくとも約10ミクロンであることが好ましい。粘土は、空気に対する透過性が非常に小さいので、障壁を多層可燃性熱源の後面上に設けられた粘土コーティングを含む実施形態において、粘性コーティングの厚みは、少なくとも約50ミクロンであることがより好ましく、約50ミクロンから約350ミクロンであることが最も好ましい。アルミニウムのような空気に対する不浸透性がより大きい1つ又はそれよりも多くの材料から障壁を形成された実施形態において、障壁はより薄くすることができ、一般的に約100ミクロンよりも薄くすることが好ましく、約20ミクロンとすることがより好ましい。多層可燃性熱源の後面上に設けられたガラスコーティングを障壁が含む実施形態において、ガラスコーティングの厚みは、約200ミクロンよりも薄いことが好ましい。障壁の厚みは、顕微鏡、走査型電子顕微鏡(SEM)、又は当業技術で公知であるあらゆる他の適切な測定方法を用いて測定することができる。
【0177】
障壁が、多層可燃性熱源の後面に設けられた障壁コーティングを含む場合に、障壁コーティングは、限定するわけではないが、スプレーコーティング、蒸着、浸漬、物質移動(例えば、ブラッシング又は接着)、静電沈着、又はその組合せを含む当業技術で公知のあらゆる適切な方法により、多層可燃性熱源の後面を覆うか又はそれに接着されるように適用することができる。
【0178】
例えば、障壁コーティングを作る際は、障壁を予め多層可燃性熱源の後面のほぼその大きさ及び形状で形成し、それを少なくとも実質的に多層可燃性熱源の後面全体を覆うか又はそれに接着されるように多層可燃性熱源の後面に付加することができる。これに代えて、第1の障壁コーティングは、それを多層可燃性熱源の後面に付加した後に、切断するか又はそうでなければ機械加工することができる。1つの好ましい実施形態において、アルミニウムホイルは、それを多層可燃性熱源の後面に接着するか又は押込することによって適用し、切断するか又はそうでなければ機械加工して、アルミニウムホイルが、少なくとも実質的に可燃性熱源の後面全体、より好ましくは多層可燃性熱源の後面全体を覆うか又はそれに接着されるようにする。
【0179】
別の好ましい実施形態において、障壁コーティングは、1つ又はそれよりも多くの適切なコーティング材料の溶液又は懸濁液を多層可燃性熱源の後面に付加することによって形成される。例えば、障壁コーティングは、多層可燃性熱源の後面を1つ又はそれよりも多くの適切なコーティング材料の溶液又は懸濁液に浸漬するか、又は多層可燃性熱源の後面に溶液又は懸濁液をブラッシングするか又はスプレー被覆し、又は1つ又はそれよりも多くの適切なコーティング材料の粉末又は粉末混合物を静電沈着することによって付加することができる。多層可燃性熱源の後面に1つ又はそれよりも多くの適切なコーティング材料の粉末又は粉末混合物を静電沈着することによって障壁コーティングを多層可燃性熱源の後面に付加する時に、多層可燃性熱源の後面は、静電沈着の前に水ガラスによって前処理することが好ましい。障壁コーティングは、スプレーコーティングによって付加することが好ましい。
【0180】
障壁コーティングは、1つ又はそれよりも多くの適切なコーティング材料の溶液又は懸濁液を多層可燃性熱源の後面へ1回適用して形成することができる。これに代えて、障壁コーティングは、1つ又はそれよりも多くの適切なコーティング材料の溶液又は懸濁液を多層可燃性熱源の後面へ多数回適用して形成することができる。例えば、障壁コーティングは、1つ又はそれよりも多くの適切なコーティング材料の溶液又は懸濁液を多層可燃性熱源の後面へ1回、2回、3回、4回、5回、6回、7回、又は8回、連続的に適用して形成することができる。
【0181】
障壁コーティングは、1つ又はそれよりも多くの適切なコーティング材料の溶液又は懸濁液を多層可燃性熱源の後面へ1回から10回適用して形成することが好ましい。
【0182】
多層可燃性熱源は、1つ又はそれよりも多くの適切なコーティング材料の溶液又は懸濁液を後面へ適用した後に、障壁コーティングを形成するために乾燥させることができる。
【0183】
障壁コーティングが、その後面への1つ又はそれよりも多くの適切なコーティング材料の溶液又は懸濁液の複数回の適用を通して形成される場合に、多層可燃性熱源は、溶液又は懸濁液の連続適用と適用の間に乾燥が必要となる場合がある。
【0184】
乾燥に代えて又はそれに加えて、1つ又はそれよりも多くのコーティング材料の溶液又は懸濁液を多層可燃性熱源の後面へ適用した後に、多層可燃性熱源上のコーティング材料は、障壁コーティングを形成するために焼結可能である。障壁コーティングの焼結は、障壁コーティングがガラス又はセラミックコーティングである時に特に好ましい。障壁コーティングを焼結させる温度は、約500℃から約900℃であることが好ましく、約700℃であることがより好ましい。
【0185】
ある一定の実施形態において、本発明による喫煙物品は、いずれの空気流チャネルも持たない多層可燃性熱源を含むことができる。そのような実施形態による喫煙物品の多層可燃性熱源は、本明細書ではブラインド多層可燃性熱源と呼ばれる。
【0186】
ブラインド多層可燃性熱源を含む本発明による喫煙物品において、多層可燃性熱源からエアロゾル形成基材への熱伝達は主に伝導によって生じ、対流によるエアロゾル形成基材の加熱は最小になるか又は減少する。これは、ブラインド多層可燃性熱源を含む本発明による喫煙物品において、主流エアロゾルの組成に対するユーザの吸煙形態の影響を最小にするか又は低減するのを助ける利点がある。
【0187】
本発明による喫煙物品は、ユーザによる吸入のために吸い込まれた空気が通らない1つ又はそれよりも多くの閉じた又は塞いだ通路を有するブラインド多層可燃性熱源を含むことができることは認められるであろう。例えば、本発明による喫煙物品は、多層可燃性熱源の上流端面から多層可燃性熱源の長さに沿って一部分だけに延びる1つ又はそれよりも多くの閉じた通路を有するブラインド多層可燃性熱源を含むことができる。
【0188】
そのような実施形態において、1つ又はそれよりも多くの閉じた通路を含むことにより、空気からの酸素に露出される多層可燃性熱源の面積が広くなり、多層可燃性熱源の発火及び持続した燃焼が促進される利点がある。
【0189】
他の実施形態において、本発明による喫煙物品は、1つ又はそれよりも多くの空気流チャネルを有する多層可燃性熱源を含むことができる。そのような実施形態による喫煙物品の多層可燃性熱源は、本明細書において非ブラインド多層可燃性熱源と呼ばれる。
【0190】
非ブラインド多層可燃性熱源を含む本発明による喫煙物品において、エアロゾル形成基材の加熱は、伝導及び対流によって生じる。使用時に、ユーザが本発明による非ブラインド多層可燃性熱源を含む喫煙物品を吸煙すると、空気は、多層可燃性熱源に沿う1つ又はそれよりも多くの空気流チャネルを通って吸い込まれる。吸い込まれた空気は、エアロゾル形成基材を通り、その後に喫煙物品の唇側端部に向けて下流に流れる。
【0191】
本発明による喫煙物品は、多層可燃性熱源に沿う1つ又はそれよりも多くの封入された空気流チャネルを有する非ブラインド多層可燃性熱源を含むことができる。
【0192】
本明細書に使用する時に、用語「封入された」は、多層可燃性熱源が有するその長さに沿って取り囲まれた空気流チャネルを説明するのに使用する。
【0193】
例えば、本発明による喫煙物品は、多層可燃性熱源の全長に沿って多層可燃性熱源の内部を通って延びる1つ又はそれよりも多くの封入空気流チャネルを含む非ブラインド多層可燃性熱源を含むことができる。
【0194】
これに代えて又はこれに加えて、本発明による喫煙物品は、多層可燃性熱源に沿って1つ又はそれよりも多くの非封入空気流チャネルを有する非ブラインド多層可燃性熱源を含むことができる。
【0195】
例えば、本発明による喫煙物品は、少なくとも多層可燃性熱源の長さの下流部分に沿って多層可燃性熱源の外部にそって延びる1つ又はそれよりも多くの非封入空気流チャネルを有する非ブラインド多層可燃性熱源を含むことができる。
【0196】
ある一定の実施形態において、本発明による喫煙物品は、1つ、2つ、又は3つの空気流チャネルを有する非ブラインド多層可燃性熱源を含むことができる。ある一定の好ましい実施形態において、本発明による喫煙物品は、多層可燃性熱源の内部を通って延びる単一の空気流チャネルを有する非ブラインド多層可燃性熱源を含む。ある一定の特に好ましい実施形態において、本発明による喫煙物品は、多層可燃性熱源の内部を通って延びる単一の実質的に中心の又は軸線方向の空気流チャネルを有する非ブラインド多層可燃性熱源を含むことができる。そのような実施形態において、単一の空気流チャネルの直径は、約1.5mmから約3mmであることが好ましい。
【0197】
本発明による喫煙物品が障壁を含み、この障壁が、非ブラインド多層可燃性熱源の後面に設けられて多層可燃性熱源に沿って1つ又はそれよりも多くの空気流チャネルを有する障壁コーティングを含む場合に、障壁コーティングは、空気が1つ又はそれよりも多くの空気流チャネルを通って下流へ吸い込まれるのを可能にしなければならない。
【0198】
本発明による喫煙物品が非ブラインド多層可燃性熱源を含む場合に、喫煙物品を通って吸い込まれる空気から非ブラインド多層可燃性熱源を隔離するために、喫煙物品は、多層可燃性熱源と1つ又はそれよりも多くの空気流チャネルとの間に不燃性で実質的に空気不透過性の障壁を更に含むことができる。
【0199】
一部の実施形態において、障壁は、多層可燃性熱源へ接着するか又はそうでなければ固定することができる。
【0200】
障壁は、1つ又はそれよりも多くの空気流チャネルの内面上に設けられた障壁コーティングを含むことが好ましい。障壁は、1つ又はそれよりも多くの空気流チャネルの少なくとも実質的に内面全体に設けられた障壁コーティングを含むことがより好ましい。障壁は、1つ又はそれよりも多くの空気流チャネルの内面全体に設けられた障壁コーティングを含むことが最も好ましい。
【0201】
これに代えて、障壁コーティングは、1つ又はそれよりも多くの空気流チャネルへライナを挿入することによって設けることができる。例えば、本発明による喫煙物品が、多層可燃性熱源の内部を通って延びる1つ又はそれよりも多くの空気流チャネルを有する非ブラインド多層可燃性熱源を含む場合に、1つ又はそれよりも多くの空気流チャネルの各々へ不燃性で実質的に空気不透過性の中空チューブを挿入することができる。
【0202】
障壁がもたらす利点として、本発明による喫煙物品の多層可燃性熱源の発火及び燃焼中に形成される燃焼及び分解生成物が、1つ又はそれよりも多くの空気流チャネルに沿って下流に吸い込まれた空気へ混入することを実質的に防止又は阻止することができることを含む。
【0203】
障壁はまた、ユーザによる吸煙中に本発明による喫煙物品の多層可燃性熱源の燃焼の活性化を実質的に防止又は阻止する利点ももたらす。
【0204】
障壁の熱伝導率は、喫煙物品の望ましい特性及び性能に応じて低いか又は高くすることができる。障壁の熱伝導率は低いことが好ましい。
【0205】
障壁の厚みは、吸煙性能が良好になるように適切に調節することができる。ある一定の実施形態において、障壁の厚みは、約30ミクロンから約200ミクロンとすることができる。好ましい実施形態において、障壁の厚みは、約30ミクロンから約100ミクロンである。
【0206】
障壁は、多層可燃性熱源が発火及び燃焼中に到達する温度で実質的に熱的に安定してかつ不燃性である1つ又はそれよりも多くの適切な材料から形成することができる。適切な材料は、当業技術で公知であり、限定するわけではないが、例えば、粘土、酸化鉄、アルミナ、チタニア、シリカ、シリカ−アルミナ、ジルコニア及びセリアのような金属酸化物、ゼオライト、リン酸ジルコニウム、及び他のセラミック材料、又はその組合せを含む。
【0207】
障壁を形成する元になる適切な材料は、粘土、ガラス、アルミニウム、酸化鉄、及びこれらの組合せを含む。必要に応じて、一酸化炭素から二酸化炭素への酸化を促す成分のような触媒成分を障壁に組み込むことができる。適切な触媒成分は、限定するわけではないが、例えば、白金、パラジウム、遷移金属、及びこれらの酸化物を含む。
【0208】
本発明による喫煙物品が、多層可燃性熱源の下流端とエアロゾル形成基材の上流端との間の障壁、及び多層可燃性熱源に沿って多層可燃性熱源と空気流チャネルの間の障壁を含む場合に、2つの障壁は、1つ又は複数の同じか又は異なる材料から形成することができる。
【0209】
多層可燃性熱源と1つ又はそれよりも多くの空気流チャネルとの間の障壁が、1つ又はそれよりも多くの空気流チャネルの内面上に設けられた障壁コーティングを含む場合に、障壁コーティングは、US−A−5,040,551に説明されたようなあらゆる適切な方法によって1つ又はそれよりも多くの空気流チャネルの内面に付加することができる。例えば、1つ又はそれよりも多くの空気流チャネルの内面は、障壁コーティングの溶液又は懸濁液で噴霧、湿潤、又は塗布することができる。好ましい実施形態において、障壁コーティングは、多層可燃性熱源が押し出される時に、WO−A2−2009/074870に説明された処理によって1つ又はそれよりも多くの空気流チャネルの内面へ付加することができる。
【0210】
本発明による喫煙物品の多層可燃性熱源とエアロゾル形成基材は、実質的に互いに当接することができる。これに代えて、本発明による喫煙物品の多層可燃性熱源とエアロゾル形成基材は、縦方向に互いに離間することができる。
【0211】
本発明による喫煙物品は、多層可燃性熱源の後部分及びエアロゾル形成基材の隣接する前部分の周りにかつそれに直接に接触する熱伝導要素を更に含むことが好ましい。熱伝導要素は、耐燃焼性かつ酸素制限性である。
【0212】
そのような実施形態において、ある一定の発火補助剤及び他の添加剤の使用に関連付けられた炎及び火花の発生及び視認の一方又は両方は、第1の熱伝達要素によって取り囲まれた多層可燃性熱源の後部分にそのような添加剤を含めることによって除去又は低減することができる利点がある。
【0213】
例えば、可燃性第1層が、環状の縦方向外側層であり、第2層が、可燃性第1層が外接する実質的に円筒形の縦方向内側層であり、第3層が、横断方向層である場合に、第3層は、多層可燃性熱源の後部分に位置付けられ、そのような添加物は、第3層に含めることができる。
【0214】
熱伝導要素は、多層可燃性熱源の後部分及びエアロゾル形成基材の前部分の両方の周縁の周りにかつそれに直接に接触する。熱伝導要素は、本発明による喫煙物品のこれら2つの構成要素の間に熱的リンクを提供する。
【0215】
本発明による喫煙物品に使用する適切な熱伝導要素は、限定するわけではないが、例えば、アルミ箔ラッパー、鋼箔ラッパー、鉄箔ラッパー、及び銅箔ラッパーのような金属箔ラッパー、並びに金属合金箔ラッパーを含む。
【0216】
熱伝導要素によって取り囲まれた多層可燃性熱源の後部分の長さは、約2mmから約8mmであることが好ましく、約3mmから約5mmであることがより好ましい。
【0217】
熱伝導要素によって取り囲まれない可燃性熱源の前部分の長さは、約4mmから約15mmであることが好ましく、約4mmから約8mmであることがより好ましい。
【0218】
エアロゾル形成基材の長さは、約5mmから約20mmであることが好ましく、約8mmから約12mmであることがより好ましい。
【0219】
ある一定の好ましい実施形態において、エアロゾル形成基材は、熱伝導要素を超えて少なくとも約3mmだけ下流に延びる。
【0220】
熱伝導要素が取り囲むエアロゾル形成基材の前部分の長さは、約2mmから約10mmであることが好ましく、約3mmから約8mmであることがより好ましく、約4mmから約6mmであることが最も好ましい。熱伝導要素が取り囲まないエアロゾル形成基材の後部分の長さは、約3mmから約10mmであることが好ましい。換言すれば、エアロゾル形成基材は、熱伝導要素を超えて約3mmから約10mmだけ下流に延びることが好ましい。エアロゾル形成基材は、熱伝導要素を超えて少なくとも約4mmだけ下流に延びることがより好ましい。
【0221】
他の実施形態において、エアロゾル形成基材は、熱伝導要素を超えて3mmより短い寸法だけ下流に延びることができる。
【0222】
更に別の実施形態において、熱伝導要素は、エアロゾル形成基材の全長を取り囲むことができる。
【0223】
本発明による喫煙物品は、加熱に応答して揮発性化合物を放出することができる材料と少なくとも1つのエアロゾルフォーマとを含むエアロゾル形成基材を含むことが好ましい。
【0224】
加熱に応答して揮発性化合物を放出することができる材料は、ある分量の植物系材料であることが好ましく、均質化したある分量の植物系材料であることがより好ましい。例えば、エアロゾル形成基材は、限定するわけではないが、タバコ、例えば緑茶のような茶、ペパーミント、月桂樹、ユーカリ、バジル、セージ、バーベナ、及びタラゴンを含む植物に由来する1つ又はそれよりも多くの材料を含む。植物系材料は、限定するわけではないが、保湿剤、香味料、結合剤、及びこれらの混合物を含む添加剤を含む。植物系材料は、基本的にタバコ材料から構成されることが好ましく、均質化されたタバコ材料から構成されることが最も好ましい。
【0225】
少なくとも1つのエアロゾルフォーマは、使用時に濃密かつ安定したエアロゾルの形成を容易にし、かつ喫煙物品の動作温度で実質的に熱劣化に耐性を示す公知のあらゆる適切な化合物又は化合物の混合物とすることができる。当業技術では、好ましいエアロゾルフォーマで公知であり、例えば、多価アルコール、グリセロールモノ、ジ、又はトリアセテートのような多価アルコールのエステル、並びにジメチルドデカンジオエート及びジメチルテトラデカンジオエートのようなモノ、ジ、又はポリカルボン酸の脂肪族エステルを含む。本発明による喫煙物品内に使用するのに好ましいエアロゾルフォーマは、トリエチレングリコール、1、3−ブタンジオールのような多価アルコール、又はこれらの混合物であり、グリセリンであることが最も好ましい。
【0226】
本発明による喫煙物品は、エアロゾル形成基材の下流に膨脹チャンバを更に含むことが好ましい。膨脹チャンバを含むことにより、多層可燃性熱源からエアロゾル形成基材へ伝達される熱によって発生するエアロゾルを更に冷却することができる利点がある。膨脹チャンバは、その長さを適切に選択にすることにより、本発明による喫煙物品の全長を例えば従来のシガレットの長さと同様の長さのような望ましい値に調節することができる利点もある。膨脹チャンバは、細長い中空チューブであることが好ましい。
【0227】
本発明による喫煙物品は、エアロゾル形成基材の下流に、及び存在する場合に膨脹チャンバの下流にマウスピースを更に含むことができる。マウスピースは、濾過効率が低いことが好ましく、濾過効率が非常に低いことがより好ましい。マウスピースは、単一セグメント又は構成要素のマウスピースとすることができる。これに代えて、マウスピースは、多重セグメント又は多重構成要素マウスピースとすることができる。
【0228】
マウスピースは、例えば、酢酸セルロース、紙、又は他の公知の好ましい濾過材料から作られたフィルタを含むことができる。これに代えて又はこれに加えて、マウスピースは、吸収剤、吸着剤、香味料、及び他の調節剤並びに添加剤、又はその組合せを含む1つ又はそれよりも多くのセグメントを含むことができる。
【0229】
本発明による喫煙物品は、多層可燃性熱源の少なくとも後部分、エアロゾル形成基材、及びエアロゾル形成基材の下流の喫煙物品のあらゆる他の構成要素に外接する外側ラッパーを含むことが好ましい。外側ラッパーは、実質的に空気不透過性であることが好ましい。本発明による喫煙物品は、あらゆる適切な材料又は材料の組合せから形成された外側ラッパーを含むことができる。適切な材料は、当業技術で公知であり、限定ではなく、シガレット紙を含む。外側ラッパーは、喫煙物品を組み立てる時に喫煙物品の熱源及びエアロゾル形成基材を把持する必要がある。
【0230】
本発明の1つの態様に関連して説明した特徴は、本発明の他の態様にも適用可能である場合がある。特に、本発明による多層可燃性熱源に関連して説明した特徴は、本発明の喫煙物品にも適用可能である場合があり、逆も成り立つ。
【0231】
本発明を単に一例として添付図面を参照して以下に説明する。