(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1〜
図7に従って、プーリング管理システム、プーリング管理方法及びプーリング管理プログラムを具体化した実施形態を説明する。
図1に示すように、本実施形態では、自行システム10、他行システム15、プーリング管理システム20、接続サーバ30を用いる。
【0011】
(ハードウェア構成)
図2を用いて、各システム(10,15,20)及び接続サーバ30を構成する情報処理装置H10のハードウェア構成を説明する。情報処理装置H10は、通信インタフェースH11、入力装置H12、表示装置H13、記憶部H14、プロセッサH15を備える。なお、このハードウェア構成は一例であり、他のハードウェアにより実現することも可能である。
【0012】
通信インタフェースH11は、他の装置との間で通信経路を確立して、データの送受信を実行するインタフェースであり、例えばネットワークインタフェースカードや無線インタフェース等である。
【0013】
入力装置H12は、利用者等からの入力を受け付ける装置であり、例えばマウスやキーボード等である。表示装置H13は、各種情報を表示するディスプレイ等である。
記憶部H14は、各システム(10,15,20)及び接続サーバ30の各種機能を実行するためのデータや各種プログラムを格納する記憶装置である。記憶部H14の一例としては、ROM、RAM、ハードディスク等がある。
【0014】
プロセッサH15は、記憶部H14に記憶されるプログラムやデータを用いて、各システム(10,15,20)及び接続サーバ30における各処理を制御する。プロセッサH15の一例としては、例えばCPUやMPU等がある。このプロセッサH15は、ROM等に記憶されるプログラムをRAMに展開して、各サービスのための各種プロセスを実行する。
【0015】
(システム構成)
次に、
図1〜
図3を用いて、各システム(10,15,20)及び接続サーバ30の機能を説明する。本実施形態では、複数の金融機関の拠点(本支店)に開設された口座を用いてプーリングを行なう。この場合、各拠点には、海外の拠点も含まれる。そして、グループ化された子口座(プーリング対象口座)の残高に基づいて、子口座の残高が目標値となるように、資金移動(例えば、ゼロバランスやターゲットバランスによる資金集中や資金分配)を行なう。
【0016】
図3に示すように、本実施形態では、自行の口座だけではなく、他行の口座を含めてプーリングを行なう。この場合、
図3(a)に示すように、親口座が自行口座であり、子口座に自行口座や他行口座を含む場合がある。更に、自行拠点を用いて管理拠点を設定することが可能である。また、
図3(b)に示すように他行拠点において親口座を設けることも可能である。この場合にも、自行拠点を用いて管理拠点を設定することが可能である。
【0017】
図1に示す自行システム10、他行システム15は、金融機関の各拠点に開設された口座を管理する。ここで、自行システム10は自行の勘定系システムであり、他行システム15は他行の勘定系システムである。自行システム10、他行システム15は、口座を管理するための元帳を保持する。そして、自行システム10、他行システム15は、国際銀行間金融ネットワーク(SWIFT(登録商標):Society for Worldwide Interbank Financial Telecommunication)システムに接続されており、資金決済等はSWIFTシステム経由で行なう。
【0018】
自行システム10、他行システム15は、予め定められた時刻までに、SWIFTシステムを介して、プーリング対象口座の口座残高を算出するための情報を含めたSWIFT電文を、接続サーバ30宛に送信する。
【0019】
プーリング管理システム20は、プーリングを管理するコンピュータシステムである。このプーリング管理システム20は、制御部21、条件情報記憶部22、休日情報記憶部23、口座情報記憶部24、受信電文記憶部25、予定日情報記憶部26を備える。
【0020】
制御部21は、子口座の口座残高に基づいて、プーリングを行なう。そして、制御部21は、CPU、RAM及びROM等を有し、後述する処理(残高情報取得、プーリング管理、バランス計算、送金指示等を含む処理)を行なう。このためのプーリング管理プログラムを実行することにより、制御部21は、残高情報取得部211、プーリング管理部212、バランス計算部213、送金指示部214として機能する。
【0021】
残高情報取得部211は、プーリング対象の子口座の残高情報を取得する処理を実行する。
プーリング管理部212は、子口座の残高の取得状況を管理するとともに、残高に関するSWIFT電文を受信していない場合の対応処理を実行する。このプーリング管理部212は、アラーム時間、タイムアウト時間に関するデータを保持している。このアラーム時間は、アラームメッセージの送信要否を判定するための時間である。タイムアウト時間は、電文の待機時間のタイムアウトを判定するための時間である。
【0022】
バランス計算部213は、子口座の残高に基づくバランス計算により、資金移動額を計算する処理を実行する。
送金指示部214は、バランス計算の結果に基づいて、送金指示を行なう処理を実行する。
【0023】
条件情報記憶部22には、資金移動条件に関する条件情報が記録される。この条件情報は、プーリングを行なう口座のグループ(スキーム)が登録された場合に記録される。条件情報には、構造情報、ターゲットバランス情報、残高把握区分、資金移動基準日、実行タイミングが含まれる。
【0024】
構造情報は、親口座、子口座を関連付ける情報である。親口座、子口座の各口座を特定するための識別子により構成される。更に、構造情報には、管理拠点に関する情報を含めることができる。この管理拠点は、自行拠点であって、各スキームを管理する拠点である。例えば、親口座が開設された拠点(親拠点)が他行に設定されている場合や、親拠点が設定された自行拠点以外の拠点で各スキームの管理や事務の集約を行なう場合に、親拠点を支援するために管理拠点を設定する。
【0025】
ターゲットバランス情報は、ターゲット残高及び資金移動方法に関する情報である。ターゲット残高は、資金移動処理によって子口座に残すべき金額を特定する情報である。資金移動方法は、残高の管理方法を特定する情報である。本実施形態では、資金移動方法として、資金集中型、資金配分型、資金調整型を用いる。資金集中型では、子口座の残高がターゲット残高を超えた場合に、残高の差分を子口座から親口座に資金移動を行なう。資金配分型では、子口座の残高がターゲット残高に満たない場合に、残高の差分を親口座から子口座に資金移動を行なう。資金調整型では、資金集中型及び資金配分型を組み合わせた資金移動方法であり、子口座の残高がターゲット残高になるように、資金移動を行なう。
残高把握区分情報は、子口座の口座残高を把握する方法を特定する情報である。本実施形態では、4種類の残高把握方法を用いる。残高把握区分(a)では、当日1回のみ送信される口座残高に基づいて、資金移動額を算出する。なお、この残高は、営業開始時の残高(オープニングバランス)や直近残高等、所定のルールで送信された残高を用いることができる。残高把握区分(b)では、当日受信した最新の口座残高に基づいて、資金移動額を算出する。残高把握区分(c)では、前日締後の口座残高に基づいて、資金移動額を算出する。残高把握区分(d)では、前日締後残高から当日の資金移動時間までの異動明細を加減算して、最新の口座残高を算出し、この口座残高に基づいて、資金移動額を算出する。
【0026】
資金移動基準日は、資金移動を実行する日として予め定められた日であり、スキーム毎にユーザにより設定される。資金移動基準日において、休日情報に基づいて、最終的に資金移動予定日が決定される。
実行タイミングは、資金移動を行なう時刻を特定する情報である。
【0027】
休日情報記憶部23には、各口座の拠点毎の休日カレンダ情報を含む休日情報が記録される。
【0028】
口座情報記憶部24には、構造情報中の口座識別子に対して、各口座のBICコード、本支店コード、口座種別、口座番号に関する情報等が記録される。このBICコードに基づいて、自行又は他行を識別することができる。
【0029】
受信電文記憶部25には、SWIFTシステムを介して、接続サーバ30で受信したSWIFT電文が記録される。このSWIFT電文は、宛先のBICコード(Bank Identification Code:銀行識別コード)、送信元のBICコード、MT(Message Type)を含む。本実施形態では、残高情報の受信、送金指示の送信に用いる。残高情報には、口座情報(BICコード、本支店コード、口座種別、口座番号)、残高に関する情報を含める。送金指示には、送金元口座情報、送金先口座情報、送金額(資金移動額)に関する情報を含める。
【0030】
予定日情報記憶部26には、プーリングを行なう各口座を含むスキーム毎に、条件情報記憶部22の条件情報や、休日情報記憶部23の休日情報に基づいて、最終的に決定された予定日に関する情報が記録される。この予定日により、プーリング管理システム20は、プーリングを行なう。
【0031】
接続サーバ30は、SWIFTシステムに接続されたコンピュータシステムである。この接続サーバ30は、SWIFTシステムとの間で各種電文の送受信を行なう。本実施形態では、プーリング管理のために専用のBICコード(プーリング専用BIC)を設定する。そして、接続サーバ30は、プーリング専用BIC宛のSWIFT電文の受信や、プーリング専用BICを用いて、他行システム15等にSWIFT電文の送信を行なう。
【0032】
(残高情報取得処理)
まず、
図4を用いて、残高情報取得処理を説明する。本実施形態では、この処理は、SWIFT電文の受信時に行なわれる。
【0033】
まず、プーリング対象口座が開設された自行システム10、他行システム15は、残高情報の送信処理を実行する(ステップS1−1)。具体的には、自行システム10、他行システム15は、プーリング管理処理の開始時刻前に、プーリング対象口座のスキームの残高把握区分に応じて、プーリング対象口座(子口座)の口座残高を算出するための情報を特定する。そして、自行システム10、他行システム15は、SWIFTシステムを介して、口座残高を算出するための電文を送信する。この場合、電文の宛先には、プーリング専用BICを用いる。また、本実施形態では、MT940、941、942、950等の電文を用いる。MT940(第1電文)には、前日締後の残高情報を含める。MT941(第2電文)には、電文送信時の残高情報を含める。MT942(第3電文)には、口座の異動明細情報を含める。MT950(第4電文)には、顧客宛のレポーティングのための残高情報を含める。
【0034】
そして、接続サーバ30は、電文の受信処理を実行する(ステップS1−2)。具体的には、接続サーバ30は、SWIFTシステムを介して、プーリング専用BICを宛先とするSWIFT電文を受信する。そして、接続サーバ30は、プーリング管理システム20に、プーリング専用BIC宛のSWIFT電文を提供する。
【0035】
次に、プーリング管理システム20の制御部21は、受信電文の登録処理を実行する(ステップS1−3)。具体的には、制御部21の残高情報取得部211は、受信電文記憶部25に、SWIFT電文を記録する。
【0036】
(プーリング管理処理)
次に、
図5を用いて、プーリング管理処理を説明する。この処理は、予定日情報記憶部26に記録された予定日において、スキーム毎に行なわれる。なお、ここでは、資金移動方法として資金調整型を用いて説明する。
【0037】
まず、プーリング管理システム20の制御部21は、開始時刻の判定処理を実行する(ステップS2−1)。具体的には、制御部21のプーリング管理部212は、予定日情報記憶部26を用いて、当日が予定日として記録されたスキームを特定する。次に、プーリング管理部212は、条件情報記憶部22を用いて、このスキームについて、実行タイミングを特定する。ここで、条件情報記憶部22の構造情報に管理拠点に関する情報が記録されている場合、この管理拠点の現地時刻に基づいて、実行タイミングを特定する。そして、現在時刻が実行タイミングになった場合に、開始時刻と判定する。現在時刻が実行タイミングとなっていない場合には、プーリング管理部212は、実行タイミングの到来を待機する。
【0038】
開始時刻と判定した場合、プーリング管理システム20の制御部21は、残高を特定可能かどうかについての判定処理を実行する(ステップS2−2)。具体的には、制御部21のプーリング管理部212は、条件情報記憶部22を用いて、このスキームの残高把握区分情報を特定する。そして、プーリング管理部212は、受信電文記憶部25において、このスキームの子口座について、残高把握区分に応じて口座残高を算出するために必要なSWIFT電文の記録を確認する。
【0039】
例えば、残高把握区分(a)、(b)では、受信電文記憶部25を用いて、当日の口座残高が記録されたSWIFT電文の有無を確認する。また、残高把握区分(c)、(d)では、受信電文記憶部25を用いて、前日締後の口座残高が記録されたSWIFT電文の有無を確認する。各残高把握区分に応じたSWIFT電文が記録されていない場合には、子口座の残高を特定不可と判定する。
【0040】
残高を特定不可と判定した場合(ステップS2−2において「NO」の場合)、プーリング管理システム20の制御部21は、定期的(例えば、30秒間隔)に、電文の到着を確認する。
【0041】
次に、プーリング管理システム20の制御部21は、アラーム時期かどうかについての判定処理を実行する(ステップS2−3)。具体的には、制御部21のプーリング管理部212は、実行タイミングからの経過時間と、予め定められたアラーム待機時間(例えば、30分)とを比較する。経過時間がアラーム時間を経過した場合には、アラーム時期と判定する。なお、既にアラームを行なった場合には、再度のアラームは行なわず、アラーム時期でないと判定する。
【0042】
アラーム時期と判定した場合(ステップS2−3において「YES」の場合)、プーリング管理システム20の制御部21は、アラーム処理を実行する(ステップS2−4)。具体的には、制御部21のプーリング管理部212は、条件情報記憶部22の条件情報の構造情報において、管理拠点の登録の有無を確認する。条件情報記憶部22に管理拠点が設定されていない場合には、プーリング管理部212は、条件情報記憶部22に設定されている親口座が開設されている親拠点に対して、アラームメッセージを送信する。一方、条件情報記憶部22に管理拠点が設定されている場合には、プーリング管理部212は、管理拠点に対して、アラームメッセージ(管理情報)を送信する。このアラームメッセージには、残高情報を取得していない子口座や、この子口座が開設された拠点(子拠点)に関する情報を含める。この場合、管理拠点の担当者が、親拠点や子拠点に連絡する。なお、プーリング管理部212が、残高照会電文(MT999)を子口座が開設された子拠点に送信するようにしてもよい。
一方、アラーム時期でないと判定した場合(ステップS2−3において「NO」の場合)、プーリング管理システム20の制御部21は、アラーム処理(ステップS2−4)をスキップする。
【0043】
次に、プーリング管理システム20の制御部21は、タイムアウトかどうかについての判定処理を実行する(ステップS2−5)。具体的には、制御部21のプーリング管理部212は、実行タイミングからの経過時間と、予め定められたタイムアウト時間(例えば、2時間)とを比較する。経過時間がタイムアウト時間を経過した場合には、タイムアウトと判定する。
タイムアウトと判定した場合(ステップS2−5において「YES」の場合)、プーリング管理システム20の制御部21は、プーリング管理処理を終了する。
一方、タイムアウトでないと判定した場合(ステップS2−5において「NO」の場合)、プーリング管理システム20の制御部21は、ステップS2−2に戻る。
【0044】
残高を特定可能と判定した場合(ステップS2−2において「YES」の場合)、プーリング管理システム20の制御部21は、口座残高の算出処理を実行する(ステップS2−6)。具体的には、制御部21のバランス計算部213は、受信電文記憶部25に記録されたSWIFT電文を用いて、各残高把握区分に応じて残高を算出する。例えば、残高把握区分(a)では、受信電文記憶部25に記録された「当日の口座残高に関するSWIFT電文」に基づいて口座残高を算出する。また、残高把握区分(b)では、受信電文記憶部25に記録された「当日受信したSWIFT電文の中で最新のSWIFT電文」に基づいて口座残高を算出する。また、残高把握区分(c)では、受信電文記憶部25に記録された「前日締後の口座残高に関するSWIFT電文」に基づいて口座残高を算出する。また、残高把握区分(d)では、受信電文記憶部25に記録された「前日締後の口座残高に関するSWIFT電文」に対して、「当日の実行タイミングまでの異動明細」を加減算することにより口座残高を算出する。
【0045】
次に、プーリング管理システム20の制御部21は、ターゲット残高の特定処理を実行する(ステップS2−7)。具体的には、制御部21のバランス計算部213は、この子口座について、条件情報記憶部22に記録されたターゲットバランス情報を用いて、ターゲット残高を特定する。
【0046】
次に、プーリング管理システム20の制御部21は、算出した口座残高がターゲット残高と一致するかどうかについての判定処理を実行する(ステップS2−8)。具体的には、制御部21のバランス計算部213は、口座情報記憶部24に記録された子口座の口座残高とターゲット残高との差額(資金移動額)を算出する。ここで、資金移動額が「0」の場合、口座残高とターゲット残高とは一致すると判定する。
【0047】
ターゲット残高と一致すると判定した場合(ステップS2−8において「YES」の場合)、プーリング管理システム20の制御部21は、プーリング管理処理を終了する。
一方、ターゲット残高と一致していないと判定した場合(ステップS2−8において「NO」の場合)、プーリング管理システム20の制御部21は、残高に余剰があるかどうかについての判定処理を実行する(ステップS2−9)。具体的には、制御部21のバランス計算部213は、子口座の口座残高がターゲット残高よりも高い場合には、残高に余剰があると判定する。
【0048】
残高に余剰があると判定した場合(ステップS2−9において「YES」の場合)、プーリング管理システム20の制御部21は、子口座から親口座への送金指示処理を実行する(ステップS2−10)。具体的には、制御部21の送金指示部214は、後述するように、子口座を送金元口座、親口座を送金先口座として、資金移動額の送金指示を行なう。送金処理の詳細は後述する。
【0049】
一方、子口座の口座残高がターゲット残高よりも低く、不足があるため、残高に余剰がないと判定した場合(ステップS2−9において「NO」の場合)、プーリング管理システム20の制御部21は、親口座から子口座への送金指示処理を実行する(ステップS2−11)。具体的には、制御部21の送金指示部214は、後述するように、親口座を送金元口座、子口座を送金先口座として、資金移動額の送金指示を行なう。送金処理の詳細は後述する。
【0050】
(送金指示処理)
図6を用いて、送金元口座から送金先口座への送金指示処理を説明する。本実施形態では、自行口座から自行口座への送金、自行口座から他行口座への送金、他行口座から自行口座への送金、他行口座から他行口座への送金がある。この場合、送金元口座、送金先口座として、親口座、子口座の何れかの口座を用いる。
【0051】
図6(a)に示すように、自行口座から自行口座への送金を行なう場合には、プーリング管理システム20の制御部21の送金指示部214は、SWIFT電文(MT101又はMT103)を作成する(ステップS3−1)。このSWIFT電文には、送金依頼として、資金移動額、送金元口座(自行口座)、送金先口座(自行口座)に関する情報を含める。更に、MT101のTAG20には、プーリングを行なうスキームを特定するための識別子を設定する。そして、送金指示部214は、送信元としてプーリング専用BICを設定したSWIFT電文を接続サーバ30に提供する。この場合、接続サーバ30は、SWIFTシステムを介して、送金元口座が開設された自行システム10を宛先として、SWIFT電文を送信する(ステップS3−2)。そして、自行システム10は、SWIFT電文を受信する(ステップS3−3)。この場合、送金元の自行システム10は、送金先口座に対する送金を行なうためのSWIFT電文(MT103)を作成し(ステップS3−4)、SWIFTシステムを介して、送金先口座が開設された自行システム10に、SWIFT電文を送信する(ステップS3−5)。そして、送金先の自行システム10は、送金元の自行システム10からのSWIFT電文を受信する(ステップS3−6)。
【0052】
図6(b)に示すように、他行口座から自行口座への送金を行なう場合には、プーリング管理システム20の制御部21の送金指示部214は、SWIFT電文(MT101又はMT103)を作成する(ステップS4−1)。このSWIFT電文には、送金依頼として、資金移動額、送金元口座(他行口座)、送金先口座(自行口座)に関する情報を含める。更に、MT101のTAG20には、プーリングを行なうスキームを特定するための識別子を設定する。そして、送金指示部214は、送信元としてプーリング専用BICを設定したSWIFT電文を接続サーバ30に提供する。この場合、接続サーバ30は、SWIFTシステムを介して、送金元口座が開設された他行システム15を宛先として、SWIFT電文を送信する(ステップS4−2)。そして、他行システム15は、SWIFT電文を受信する(ステップS4−3)。この場合、送金元の他行システム15は、送金先口座に対する送金を行なうためのSWIFT電文(MT103)を作成し(ステップS4−4)、SWIFTシステムを介して、送金先口座が開設された自行システム10に、SWIFT電文を送信する(ステップS4−5)。そして、送金先の自行システム10は、送金元の他行システム15からのSWIFT電文を受信する(ステップS4−6)。
【0053】
図7(a)に示すように、自行口座から他行口座への送金を行なう場合には、プーリング管理システム20の制御部21の送金指示部214は、SWIFT電文(MT101又はMT103)を作成する(ステップS5−1)。このSWIFT電文には、送金指示として、資金移動額、送金元口座(自行口座)、送金先口座(他行口座)に関する情報を含める。更に、MT101のTAG20には、プーリングを行なうスキームを特定するための識別子を設定する。そして、送金指示部214は、送信元としてプーリング専用BICを設定したSWIFT電文を接続サーバ30に提供する。この場合、接続サーバ30は、SWIFTシステムを介して、送金元口座が開設された自行システム10を宛先として、SWIFT電文を送信する(ステップS5−2)。そして、自行システム10は、SWIFT電文を受信する(ステップS5−3)。この場合、送金元の自行システム10は、送金先口座に対する送金を行なうためのSWIFT電文(MT103)を作成し(ステップS5−4)、SWIFTシステムを介して、送金先口座が開設された他行システム15に、SWIFT電文を送信する(ステップS5−5)。そして、送金先の他行システム15は、送金元の自行システム10からのSWIFT電文を受信する(ステップS5−6)。
【0054】
図7(b)に示すように、他行口座から他行口座への送金を行なう場合には、プーリング管理システム20の制御部21の送金指示部214は、SWIFT電文(MT101又はMT103)を作成する(ステップS6−1)。このSWIFT電文には、送金依頼として、資金移動額、送金元口座(他行口座)、送金先口座(他行口座)に関する情報を含める。更に、MT101のTAG20には、プーリングを行なうスキームを特定するための識別子を設定する。そして、送金指示部214は、送信元としてプーリング専用BICを設定したSWIFT電文を接続サーバ30に提供する。この場合、接続サーバ30は、SWIFTシステムを介して、送金元口座が開設された他行システム15を宛先として、SWIFT電文を送信する(ステップS6−2)。そして、他行システム15は、SWIFT電文を受信する(ステップS6−3)。この場合、送金元の他行システム15は、送金先口座に対する送金を行なうためのSWIFT電文(MT103)を作成し(ステップS6−4)、SWIFTシステムを介して、送金先口座が開設された他行システム15に、SWIFT電文を送信する(ステップS6−5)。そして、送金先の他行システム15は、送金元の他行システム15からのSWIFT電文を受信する(ステップS6−6)。
【0055】
以上、本実施形態によれば、以下に示す効果を得ることができる。
(1)本実施形態では、条件情報記憶部22には、資金移動条件に関する条件情報が記録される。条件情報には、残高把握区分が含まれる。開始時刻と判定した場合、プーリング管理システム20の制御部21は、残高を特定可能かどうかについての判定処理を実行する(ステップS2−2)。そして、プーリング管理システム20の制御部21は、口座残高の算出処理を実行する(ステップS2−6)。これにより、自行システム10、他行システム15が送信した残高に関するSWIFT電文により、プーリング対象口座の残高を算出することができる。
【0056】
(2)本実施形態では、条件情報記憶部22の構造情報には、親口座、子口座の各口座を特定するための識別子とともに、管理拠点に関する情報を含める。これにより、自行口座の他に他行口座を含めたスキームにおいて、自行の管理拠点によりプーリングを管理することができる。
【0057】
(3)本実施形態では、接続サーバ30は、プーリング専用BIC宛のSWIFT電文を受信したり、プーリング専用BICを用いて、他行システム15等にSWIFT電文を送信したりする。これにより、SWIFT電文のBICコードにより、プーリングに関する電文を特定することができる。
【0058】
(4)本実施形態では、開始時刻と判定した場合、プーリング管理システム20の制御部21は、残高を特定可能かどうかについての判定処理を実行する(ステップS2−2)。これにより、残高に関するSWIFT電文を送信していない拠点を特定することができる。
(5)本実施形態では、プーリング管理システム20の制御部21は、アラーム処理を実行する(ステップS2−4)。これにより、残高に関するSWIFT電文を送信していない拠点に関する注意喚起を行なうことができる。
【0059】
(6)本実施形態では、残高に余剰があると判定した場合(ステップS2−9において「YES」の場合)、プーリング管理システム20の制御部21は、子口座から親口座への送金指示処理を実行する(ステップS2−10)。一方、残高に余剰がないと判定した場合(ステップS2−9において「NO」の場合)、プーリング管理システム20の制御部21は、親口座から子口座への送金指示処理を実行する(ステップS2−11)。これにより、プーリング対象口座の残高とターゲット残高との比較に基づいて、資金移動を行なうことができる。
【0060】
(7)本実施形態では、自行口座から自行口座への送金を行なう場合には、制御部21の送金指示部214は、SWIFT電文を作成する(ステップS3−1)。接続サーバ30は、SWIFTシステムを介して、送金元口座が開設された自行システム10を宛先として、SWIFT電文を送信する(ステップS3−2)。これにより、接続サーバ30を介して、送金を指示することができる。送金指示は、SWIFTシステムを介して送信されるので、自行、他行に限らず、同じフローで処理を行なうことができる。
(8)本実施形態では、他行口座から自行口座への送金を行なう場合には、制御部21の送金指示部214は、SWIFT電文を作成する(ステップS4−1)。接続サーバ30は、SWIFTシステムを介して、送金元口座が開設された他行システム15を宛先として、SWIFT電文を送信する(ステップS4−2)。これにより、他行システム15に開設された他行口座からの送金を指示することができる。
【0061】
(9)本実施形態では、自行口座から他行口座への送金を行なう場合には、制御部21の送金指示部214は、SWIFT電文を作成する(ステップS5−1)。接続サーバ30は、SWIFTシステムを介して、送金元口座が開設された自行システム10を宛先として、SWIFT電文を送信する(ステップS5−2)。これにより、他行システム15に開設された口座に対しての送金を指示することができる。
(10)本実施形態では、他行口座から他行口座への送金を行なう場合には、制御部21の送金指示部214は、SWIFT電文を作成する(ステップS6−1)。接続サーバ30は、SWIFTシステムを介して、送金元口座が開設された他行システム15を宛先として、SWIFT電文を送信する(ステップS6−2)。これにより、送金元口座が開設された他行システム15に対して、送金先口座に対しての送金を指示することができる。
【0062】
(11)本実施形態では、プーリング管理システム20の制御部21は、開始時刻の判定処理を実行する(ステップS2−1)。条件情報記憶部22の構造情報に管理拠点に関する情報が記録されている場合、この管理拠点の現地時刻に基づいて、実行タイミングを特定する。これにより、管理拠点の現地時刻を用いて、プーリングを管理することができる。
(12)本実施形態では、MT101のTAG20には、プーリングを行なうスキームを特定するための識別子を設定する。これにより、電文の受信者は、プーリングを行なうスキームを把握することができる。
【0063】
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
・上記実施形態では、自行システム10、プーリング管理システム20、接続サーバ30を用いる。ハードウェア構成は、これに限定されるものではない。例えば、これらを一体で構成してもよい。また、接続サーバ30を介することなく、プーリング管理システム20を、SWIFTシステムに接続するようにしてもよい。
・上記実施形態では、プーリング対象口座が開設された自行システム10、他行システム15は、残高情報の送信処理を実行する(ステップS1−1)。ここで、自行システム10については、プーリング管理システム20の制御部21は、自行システム10から、直接、プーリング対象口座の残高を取得するようにしてもよい。
【0064】
・上記実施形態では、残高に余剰があるかどうかについての判定(ステップS2−9)に基づいて、子口座から親口座への送金指示処理(ステップS2−10)、親口座から子口座への送金指示処理(ステップS2−11)を実行する。ここで、為替レートを考慮して、資金移動額を算出するようにしてもよい。この場合には、プーリング管理システム20を、為替レートに関する情報を提供するレート管理システムに接続させておく。更に、条件情報記憶部22に、送金に用いる通貨に関する情報を記憶させておく。
【0065】
図8を用いて、上記のプーリング管理処理を説明する。この場合、ステップS2−1〜ステップS2−8の処理を実行する。
ターゲット残高と一致と判定した場合(ステップS2−8において「YES」の場合)、プーリング管理システム20の制御部21は、プーリング管理処理を終了する。
【0066】
一方、ターゲット残高と一致でないと判定した場合(ステップS2−8において「NO」の場合)、プーリング管理システム20の制御部21は、為替レートの取得処理を実行する(ステップS7−1)。具体的には、制御部21のバランス計算部213は、条件情報記憶部22から、このスキームの送金に用いる通貨を取得する。更に、スキームを構成する親口座が開設された拠点、子口座が開設された拠点の通貨を特定する。そして、送金に用いる通貨と、送金元拠点の通貨とが異なる場合には、バランス計算部213は、送金元拠点の通貨を、送金に用いる通貨に変換する為替レートを、レート管理システムから取得する。
【0067】
次に、プーリング管理システム20の制御部21は、為替レートで資金移動額の換算処理を実行する(ステップS7−2)。具体的には、制御部21のバランス計算部213は、資金移動額を、取得した為替レートを用いて換算する。
【0068】
次に、プーリング管理システム20の制御部21は、ステップS2−9と同様に、残高に余剰があるかどうかについての判定処理を実行する(ステップS7−3)。
残高に余剰があると判定した場合(ステップS7−3において「YES」の場合)、プーリング管理システム20の制御部21は、ステップS2−10と同様に、子口座から親口座への送金指示処理を実行する(ステップS7−4)。
【0069】
残高に余剰がないと判定した場合(ステップS7−3において「NO」の場合)、プーリング管理システム20の制御部21は、ステップS2−11と同様に、親口座から子口座への送金指示処理を実行する(ステップS7−5)。
これにより、為替レートを考慮して、プーリングを行なうことができる。
【0070】
・上記実施形態では、条件情報記憶部22の構造情報には、親口座、子口座を関連付けるスキーム情報が記録される。ここで、親口座−子口座の関連付けを、親口座−子口座−孫口座のように、複数階層で設定することも可能である。
【0071】
・上記実施形態では、親口座(自行、他行)と子口座(自行、他行)での資金移動を想定したが、自行、他行について、すべての組み合わせの資金移動を行なう必要はない。
・上記実施形態では、プーリング管理処理において、資金移動方法として資金調整型を用いて説明した。資金移動方法として、資金集中型、資金配分型を用いることも可能である。資金集中型では、子口座の残高に余剰がある場合に、子口座から親口座への送金指示処理(ステップS2−10)のみによる資金移動を行なう。一方、資金配分型では、子口座の残高に不足がある場合に、親口座から子口座への送金指示処理(ステップS2−11)のみによる資金移動を行なう。
【0072】
・上記実施形態では、条件情報記憶部22には、プーリングを行なう口座のグループ(スキーム)に対して残高把握区分情報を記録する。これに代えて、子口座毎に残高把握区分情報を記録するようにしてもよい。
・上記実施形態では、残高把握区分(d)において、MT940の前日締後残高から当日の資金移動時間までの異動明細を加減算して、最新の口座残高を算出し、この口座残高に基づいて、資金移動額を算出する。口座残高の算出方法はこれに限定されるものではなく、例えば、MT942よう先に受信したMT941、950の何れかの残高に対して、MT942異動明細を加減算して、口座残高を算出してもよい。
・上記実施形態では、プーリング管理システム20の制御部21は、アラーム処理を実行する(ステップS2−4)。具体的には、条件情報記憶部22に管理拠点が設定されている場合には、プーリング管理部212は、管理拠点に対して、アラームメッセージ(管理情報)を送信する。管理拠点に送信される管理情報は、アラームメッセージに限定されるものではない。例えば、資金移動状況についての計表データを管理情報として、管理拠点に送信するようにしてもよい。
【0073】
・上記実施形態では、接続サーバ30に、プーリング管理のために専用のBICコード(プーリング専用BIC)を割り当てる。これに加えて、プーリングを行なう口座のグループ(スキーム)を識別できるようにスキーム専用のBICコード(プーリング専用BIC)を設定してもよい。この場合には、SWIFT電文の宛先により、プーリングを行なう口座のグループ(スキーム)を特定することができる。