特許第6695955号(P6695955)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6695955信号処理装置、制御方法、及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6695955
(24)【登録日】2020年4月24日
(45)【発行日】2020年5月20日
(54)【発明の名称】信号処理装置、制御方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06F 13/10 20060101AFI20200511BHJP
   G06F 13/14 20060101ALI20200511BHJP
【FI】
   G06F13/10 310E
   G06F13/14 330C
【請求項の数】11
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2018-221471(P2018-221471)
(22)【出願日】2018年11月27日
【審査請求日】2018年11月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】505205731
【氏名又は名称】レノボ・シンガポール・プライベート・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100206081
【弁理士】
【氏名又は名称】片岡 央
(72)【発明者】
【氏名】米田 雅春
(72)【発明者】
【氏名】肖 利民
【審査官】 和平 悠希
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−099154(JP,A)
【文献】 特開平11−045505(JP,A)
【文献】 特開2010−277592(JP,A)
【文献】 特表2005−505003(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/061878(WO,A1)
【文献】 特開2006−260372(JP,A)
【文献】 特開2010−081592(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 13/10
G06F 13/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のOSに基づく処理を実行する第1プロセッサと、
第2のOSに基づく処理を実行する第2プロセッサと、
前記第1のOSに基づく処理により前記第1プロセッサから第1入力手段を介して入力される第1オーディオ信号と、前記第2のOSに基づく処理により前記第1入力手段とは異なる第2入力手段を介して入力される第2オーディオ信号とのそれぞれの入力に対応し、前記第1オーディオ信号と前記第2オーディオ信号とが混合されたオーディオ信号を出力する第1処理モードと、前記第2オーディオ信号のみに基づくオーディオ信号を出力する第2処理モードとを有する第1オーディオ信号処理部と、
前記第1プロセッサにより前記第1のOSに基づく処理が実行されている状態であるか或いは前記第1のOSに基づく処理の少なくとも一部が制限されている状態であるかを検出し、前記第1プロセッサにより前記第1のOSに基づく処理が実行されている状態では前記第1処理モードに設定し、前記第1のOSに基づく処理の少なくとも一部が制限されている状態では前記第2処理モードに設定する設定部と、
を備える信号処理装置。
【請求項2】
前記第2のOSに基づく処理により前記第2プロセッサから入力されるオーディオ信号に基づいて前記第2オーディオ信号を出力する第2オーディオ信号処理部、
を備える請求項1に記載の信号処理装置。
【請求項3】
前記第1プロセッサ、前記第2プロセッサ、前記第1オーディオ信号処理部、前記第2オーディオ信号処理部、及び前記設定部に電力を供給する電源部、
を備え、
前記電源部は、
前記第1プロセッサへの給電を停止する際に、前記第1オーディオ信号処理部への給電を継続する、
請求項2に記載の信号処理装置。
【請求項4】
前記第1オーディオ信号処理部から出力されるオーディオ信号または該オーディオ信号に基づく音を出力する出力部、
を備える請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の信号処理装置。
【請求項5】
前記第1処理モードにおいて、
前記第1プロセッサは、
前記第1オーディオ信号処理部に前記第2入力手段により入力される第2オーディオ信号と前記第1オーディオ信号とを混合したオーディオ信号を前記第1オーディオ信号処理部へ出力し、
前記第1オーディオ信号処理部は、
前記第1プロセッサにより混合されたオーディオ信号に基づくオーディオ信号を出力する、
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の信号処理装置。
【請求項6】
OSに基づく処理を実行するプロセッサと、
前記OSに基づく処理により前記プロセッサから第1入力手段を介して入力される第1オーディオ信号と、前記第1入力手段とは異なる第2入力手段を介して入力される第2オーディオ信号とのそれぞれの入力に対応し、前記第1オーディオ信号と前記第2オーディオ信号とが混合されたオーディオ信号を出力する第1処理モードと、前記第2オーディオ信号のみに基づくオーディオ信号を出力する第2処理モードとを有するオーディオ信号処理部と、
前記プロセッサにより前記OSに基づく処理が実行されている状態であるか或いは前記OSに基づく処理の少なくとも一部が制限されている状態であるかを検出し、前記プロセッサにより前記OSに基づく処理が実行されている状態では前記第1処理モードに設定し、前記OSに基づく処理の少なくとも一部が制限されている状態では前記第2処理モードに設定する設定部と、
を備える信号処理装置。
【請求項7】
信号処理装置における制御方法であって、
第1プロセッサが、第1のOSに基づく処理を実行するステップと、
第2プロセッサが、第2のOSに基づく処理を実行するステップと、
第1オーディオ信号処理部が、第1処理モードにおいて、前記第1のOSに基づく処理により前記第1プロセッサから第1入力手段を介して入力される第1オーディオ信号と、前記第2のOSに基づく処理により前記第1入力手段とは異なる第2入力手段を介して入力される第2オーディオ信号とのそれぞれの入力に対応し、前記第1オーディオ信号と前記第2オーディオ信号とが混合されたオーディオ信号を出力するステップと、
前記第1オーディオ信号処理部が、第2処理モードにおいて、前記第2オーディオ信号のみに基づくオーディオ信号を出力するステップと、
設定部が、前記第1プロセッサにより前記第1のOSに基づく処理が実行されている状態であるか或いは前記第1のOSに基づく処理の少なくとも一部が制限されている状態であるかを検出し、前記第1プロセッサにより前記第1のOSに基づく処理が実行されている状態では前記第1処理モードに設定し、前記第1のOSに基づく処理の少なくとも一部が制限されている状態では前記第2処理モードに設定するステップと、
を有する制御方法。
【請求項8】
信号処理装置における制御方法であって、
プロセッサが、OSに基づく処理を実行するステップと、
オーディオ信号処理部が、第1処理モードにおいて、前記OSに基づく処理により前記プロセッサから第1入力手段を介して入力される第1オーディオ信号と、前記第1入力手段とは異なる第2入力手段を介して入力される第2オーディオ信号とが混合されたオーディオ信号を出力するステップと、
前記オーディオ信号処理部が、第2処理モードにおいて、前記第2オーディオ信号のみに基づくオーディオ信号を出力するステップと、
設定部が、前記プロセッサにより前記OSに基づく処理が実行されている状態であるか或いは前記OSに基づく処理の少なくとも一部が制限されている状態であるかを検出し、前記プロセッサにより前記OSに基づく処理が実行されている状態では前記第1処理モードに設定し、前記OSに基づく処理の少なくとも一部が制限されている状態では前記第2処理モードに設定するステップと、
を有する制御方法。
【請求項9】
コンピュータに、
第1のOSに基づく処理を第1プロセッサに実行させるステップと、
第2のOSに基づく処理を第2プロセッサに実行させるステップと、
第1処理モードにおいて、前記第1のOSに基づく処理により前記第1プロセッサから第1入力手段を介して入力される第1オーディオ信号と、前記第2のOSに基づく処理により前記第1入力手段とは異なる第2入力手段を介して入力される第2オーディオ信号とのそれぞれの入力に対応し、前記第1オーディオ信号と前記第2オーディオ信号とが混合されたオーディオ信号を出力させるステップと、
第2処理モードにおいて、前記第2オーディオ信号のみに基づくオーディオ信号を出力させるステップと、
前記第1プロセッサにより前記第1のOSに基づく処理が実行されている状態であるか或いは前記第1のOSに基づく処理の少なくとも一部が制限されている状態であるかを検出するステップと、
前記第1プロセッサにより前記第1のOSに基づく処理が実行されている状態では前記第1処理モードに設定し、前記第1のOSに基づく処理の少なくとも一部が制限されている状態では前記第2処理モードに設定するステップと、
を実行させるためのプログラム。
【請求項10】
コンピュータに、
OSに基づく処理をプロセッサに実行させるステップと、
第1処理モードにおいて、前記OSに基づく処理により前記プロセッサから第1入力手段を介して入力される第1オーディオ信号と、前記第1入力手段とは異なる第2入力手段を介して入力される第2オーディオ信号とが混合されたオーディオ信号を出力させるステップと、
第2処理モードにおいて、前記第2オーディオ信号のみに基づくオーディオ信号を出力させるステップと、
前記プロセッサにより前記OSに基づく処理が実行されている状態であるか或いは前記OSに基づく処理の少なくとも一部が制限されている状態であるかを検出するステップと、
前記プロセッサにより前記OSに基づく処理が実行されている状態では前記第1処理モードに設定し、前記OSに基づく処理の少なくとも一部が制限されている状態では前記第2処理モードに設定するステップと、
を実行させるためのプログラム。
【請求項11】
第1のOSに基づく処理を実行する第1プロセッサと、第1オーディオ信号処理部と、設定部とを備えた第1処理部と、
第2のOSに基づく処理を実行する第2プロセッサを備えた第2処理部と、
を備え、
前記第1オーディオ信号処理部は、
前記第1のOSに基づく処理により前記第1プロセッサから第1入力手段を介して入力される第1オーディオ信号と、前記第2のOSに基づく処理により前記第1入力手段とは異なる第2入力手段を介して入力される第2オーディオ信号とのそれぞれの入力に対応し、前記第1オーディオ信号と前記第2オーディオ信号とが混合されたオーディオ信号を出力する第1処理モードと、前記第2オーディオ信号のみに基づくオーディオ信号を出力する第2処理モードとを有し、
前記設定部は、
前記第1プロセッサにより前記第1のOSに基づく処理が実行されている状態では前記第1処理モードに設定し、前記第1のOSに基づく処理の少なくとも一部が制限されている状態では前記第2処理モードに設定する、
信号処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、信号処理装置、制御方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
PC(パーソナルコンピュータ)などに搭載されているオーディオコーデックは、CPU(Central Processing Unit)からバスを介して送信される音声データをデコードしてスピーカへオーディオ信号を出力する。このオーディオコーデックは、CPUからのバスの入力に限らず、ライン入力やマイク入力などの様々な入力にも対応しているものがある(例えば、特許文献1参照)。例えば、オーディオコーデックは、CPUの処理によるPCの起動音や警告音、再生音などのオーディオ信号だけでなく、ライン入力から入力されたオーディオ信号もスピーカへ出力する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−541032号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したようなPCなどに搭載されているオーディオコーデックは、PCが通常動作を行っているときには、OS(Operating System)に基づく処理による起動音などのオーディオ信号だけでなく、ライン入力などから入力されるオーディオ信号もスピーカへ出力できるが、PCがスタンバイやスリープ、又はシャットダウンなどによりCPUの動作の一部又は全部が制限されているときにはCPUの処理による起動音などのオーディオ信号をスピーカへ出力できないのと同様に、ライン入力などから入力されたオーディオ信号もスピーカへ出力できなかった。
【0005】
本発明は、上記した事情に鑑みてなされたもので、動作状態に応じて複数の入力源からの入力に対して適切にオーディオ信号を出力できる信号処理装置、制御方法、及びプログラムを提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は上記の課題を解決するためになされたものであり、本発明の第1態様に係る信号処理装置は、第1のOSに基づく処理を実行する第1プロセッサと、第2のOSに基づく処理を実行する第2プロセッサと、前記第1のOSに基づく処理により前記第1プロセッサから第1入力手段を介して入力される第1オーディオ信号と、前記第2のOSに基づく処理により前記第1入力手段とは異なる第2入力手段を介して入力される第2オーディオ信号とのそれぞれの入力に対応し、前記第1オーディオ信号と前記第2オーディオ信号とが混合されたオーディオ信号を出力する第1処理モードと、前記第2オーディオ信号のみに基づくオーディオ信号を出力する第2処理モードとを有する第1オーディオ信号処理部と、前記第1プロセッサにより前記第1のOSに基づく処理が実行されている状態では前記第1処理モードに設定し、前記第1のOSに基づく処理の少なくとも一部が制限されている状態では前記第2処理モードに設定する設定部と、を備える。
【0007】
上記信号処理装置は、前記第2のOSに基づく処理により前記第2プロセッサから入力されるオーディオ信号に基づいて前記第2オーディオ信号を出力する第2オーディオ信号処理部、をさらに備えてもよい。
【0008】
上記信号処理装置は、前記第1プロセッサ、前記第2プロセッサ、前記第1オーディオ信号処理部、前記第2オーディオ信号処理部、及び前記設定部に電力を供給する電源部、をさらに備え、前記電源部は、前記第1プロセッサへの給電を停止する際に、前記第1オーディオ信号処理部への給電を継続してもよい。
【0009】
上記信号処理装置は、前記第1オーディオ信号処理部から出力されるオーディオ信号に基づいて音を出力する出力部、をさらに備えてもよい。
【0010】
上記信号処理装置において、前記第1処理モードにおいて、前記第1プロセッサは、前記第1オーディオ信号処理部に前記第2入力手段により入力される第2オーディオ信号と前記第1オーディオ信号とを混合したオーディオ信号を前記第1オーディオ信号処理部へ出力し、前記第1オーディオ信号処理部は、前記第1プロセッサにより混合されたオーディオ信号に基づくオーディオ信号を出力してもよい。
【0011】
また、本発明の第2態様に係る信号処理装置は、OSに基づく処理を実行するプロセッサと、前記OSに基づく処理により前記プロセッサから第1入力手段を介して入力される第1オーディオ信号と、前記第1入力手段とは異なる第2入力手段を介して入力される第2オーディオ信号とのそれぞれの入力に対応し、前記第1オーディオ信号と前記第2オーディオ信号とが混合されたオーディオ信号を出力する第1処理モードと、前記第2オーディオ信号のみに基づくオーディオ信号を出力する第2処理モードとを有するオーディオ信号処理部と、前記プロセッサにより前記OSに基づく処理が実行されている状態では前記第1処理モードに設定し、前記OSに基づく処理の少なくとも一部が制限されている状態では前記第2処理モードに設定する設定部と、を備える。
【0012】
また、本発明の第3態様に係る信号処理装置は、OSに基づく処理を実行するプロセッサと、前記OSに基づく処理により前記プロセッサから第1入力手段を介して入力される第1オーディオ信号と、前記第1入力手段とは異なる第2入力手段を介して入力される第2オーディオ信号とのそれぞれの入力に基づいてオーディオ信号を出力するオーディオ信号処理部と、前記プロセッサ及び前記オーディオ信号処理部へ電力を供給するとともに、前記プロセッサへの給電を停止する際も前記オーディオ信号処理部への給電を継続する電源部と、を備える。
【0013】
また、本発明の第4態様に係る信号処理装置における制御方法は、信号処理装置における制御方法であって、第1プロセッサが、第1のOSに基づく処理を実行するステップと、第2プロセッサが、第2のOSに基づく処理を実行するステップと、第1オーディオ信号処理部が、第1処理モードにおいて、前記第1のOSに基づく処理により前記第1プロセッサから第1入力手段を介して入力される第1オーディオ信号と、前記第2のOSに基づく処理により前記第1入力手段とは異なる第2入力手段を介して入力される第2オーディオ信号とのそれぞれの入力に対応し、前記第1オーディオ信号と前記第2オーディオ信号とが混合されたオーディオ信号を出力するステップと、前記第1オーディオ信号処理部が、第2処理モードにおいて、前記第2オーディオ信号のみに基づくオーディオ信号を出力するステップと、設定部が、前記第1プロセッサにより前記第1のOSに基づく処理が実行されている状態では前記第1処理モードに設定し、前記第1のOSに基づく処理の少なくとも一部が制限されている状態では前記第2処理モードに設定するステップと、を有する。
【0014】
また、本発明の第5態様に係る信号処理装置における制御方法は、プロセッサが、OSに基づく処理を実行するステップと、オーディオ信号処理部が、第1処理モードにおいて、前記OSに基づく処理により前記プロセッサから第1入力手段を介して入力される第1オーディオ信号と、前記第1入力手段とは異なる第2入力手段を介して入力される第2オーディオ信号とが混合されたオーディオ信号を出力するステップと、前記オーディオ信号処理部が、第2処理モードにおいて、前記第2オーディオ信号のみに基づくオーディオ信号を出力するステップと、設定部が、前記プロセッサにより前記OSに基づく処理が実行されている状態では前記第1処理モードに設定し、前記OSに基づく処理の少なくとも一部が制限されている状態では前記第2処理モードに設定するステップと、を有する。
【0015】
また、本発明の第6態様に係る信号処理装置における制御方法は、プロセッサが、OSに基づく処理を実行するステップと、オーディオ信号処理部が、前記OSに基づく処理により前記プロセッサから第1入力手段を介して入力される第1オーディオ信号と、前記第1入力手段とは異なる第2入力手段を介して入力される第2オーディオ信号とのそれぞれの入力に基づいてオーディオ信号を出力するステップと、電源部が、前記プロセッサ及び前記オーディオ信号処理部へ電力を供給するとともに、前記プロセッサへの給電を停止する際も前記オーディオ信号処理部への給電を継続するステップと、を有する。
【0016】
また、本発明の第7態様に係るプログラムは、コンピュータに、第1のOSに基づく処理を第1プロセッサに実行させるステップと、第2のOSに基づく処理を第2プロセッサに実行させるステップと、第1処理モードにおいて、前記第1のOSに基づく処理により前記第1プロセッサから第1入力手段を介して入力される第1オーディオ信号と、前記第2のOSに基づく処理により前記第1入力手段とは異なる第2入力手段を介して入力される第2オーディオ信号とのそれぞれの入力に対応し、前記第1オーディオ信号と前記第2オーディオ信号とが混合されたオーディオ信号を出力させるステップと、第2処理モードにおいて、前記第2オーディオ信号のみに基づくオーディオ信号を出力させるステップと、前記第1プロセッサにより前記第1のOSに基づく処理が実行されている状態では前記第1処理モードに設定し、前記第1のOSに基づく処理の少なくとも一部が制限されている状態では前記第2処理モードに設定するステップと、を実行させる。
【0017】
また、本発明の第8態様に係るプログラムは、コンピュータに、OSに基づく処理をプロセッサに実行させるステップと、第1処理モードにおいて、前記OSに基づく処理により前記プロセッサから第1入力手段を介して入力される第1オーディオ信号と、前記第1入力手段とは異なる第2入力手段を介して入力される第2オーディオ信号とが混合されたオーディオ信号を出力させるステップと、第2処理モードにおいて、前記第2オーディオ信号のみに基づくオーディオ信号を出力させるステップと、前記プロセッサにより前記OSに基づく処理が実行されている状態では前記第1処理モードに設定し、前記OSに基づく処理の少なくとも一部が制限されている状態では前記第2処理モードに設定するステップと、を実行させる。
【0018】
また、本発明の第9態様に係るプログラムは、コンピュータに、OSに基づく処理をプロセッサに実行させるステップと、前記OSに基づく処理により前記プロセッサから第1入力手段を介して入力される第1オーディオ信号と、前記第1入力手段とは異なる第2入力手段を介して入力される第2オーディオ信号とのそれぞれの入力に基づいてオーディオ信号をオーディオ信号処理部から出力させるステップと、前記プロセッサ及び前記オーディオ信号処理部へ電力を供給するとともに、前記プロセッサへの給電を停止する際も前記オーディオ信号処理部への給電を継続するステップと、を実行させる。
【発明の効果】
【0019】
本発明の上記態様によれば、動作状態に応じて複数の入力源からの入力に対して適切にオーディオ信号を出力できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】第1の実施形態に係る信号処理装置の構成例を示すブロック図。
図2】第1の実施形態に係る第1の処理モードの説明図。
図3】第1の実施形態に係る第2の処理モードの説明図。
図4】第1の実施形態に係る制御処理を示すフローチャート。
図5】第1の実施形態に係る信号処理装置の斜視図。
図6】第1の実施形態に係る閉状態の信号処理装置をカバー部側から見た図。
図7】(a)は開状態の、(b)は閉状態の信号処理装置を側面から見た図。
図8】第2の実施形態に係る信号処理装置の構成例を示すブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について詳しく説明する。なお、各図において同一部分には同一符号を付している。
【0022】
[第1の実施形態]
(信号処理装置10のブロック構成)
まず、本発明の第1の実施形態に係る信号処理装置のブロック構成を説明する。
図1は、本実施形態に係る信号処理装置10の構成例を示すブロック図である。信号処理装置10は、2種類のOS(Operating System)のそれぞれによる処理をそれぞれ実行する2種類のプロセッサを内部に備えたパーソナルコンピュータである。例えば、信号処理装置10は、デスクトップ型、ラップトップ型、タブレット型等いずれのパーソナルコンピュータであってもよい。
【0023】
例えば、信号処理装置10は、第1のOS(以下、「OS1」と称する)に基づく処理を実行する第1プロセッサを備えた第1処理部100と、第2のOS(以下、「OS2」と称する)に基づく処理を実行する第2プロセッサが実装された第2処理部200と、電源部300とを備えている。電源部300は、内蔵するバッテリーまたはACアダプタから供給される電力に基づいて、第1処理部100と第2処理部200とに電力を供給する。また、電源部300は、ACアダプタから供給される電力に基づいて内蔵するバッテリーへの充電制御を行う。
【0024】
OS1は、例えば、Windows(登録商標)である。第1プロセッサは、OS1に基づく処理を実行するCPU(Central Processing Unit)やチップセット(例えば、PCH:Platform Controller Hub)を含んで構成されている。以下では、第1プロセッサのことを便宜的に「CPU110」と称する。
【0025】
OS2は、例えば、Android(登録商標)である。第2プロセッサは、OS2に基づく処理を実行するSOC(System On a Chip)を含んで構成されている。このSOCは、CPU、GPU、チップセットなどの複数のICを1チップ化したものである。以下では、第2プロセッサのことを便宜的に「SOC210」と称する。
【0026】
なお、本実施形態で説明するOS1、OS2、CPU110、及びSOC210は一例であって、これらに限定されるものではなく、任意のOSやプロセッサを含む構成とすることができる。
【0027】
第1処理部100は、CPU110、オーディオコーデック部120、出力部130、EC(Embedded Controller)140などを含んで構成されている。CPU110は、OS1に基づく処理(OS1による処理やOS1上で動作するアプリケーションによる処理など)を実行する。
【0028】
オーディオコーデック部120は、CPU110からオーディオ信号が入力される入力手段(第1入力手段)を備えている。例えば、信号処理装置10は、HDA(High Definition Audio)システムに対応している。OS1の処理に基づく起動音や警告音、通知音など、またはOS1上で動作するアプリケーションで再生される音楽や音声などのデジタルのオーディオ信号がCPU110からバス(例えば、HDA規格に対応するHDAバス)を介してオーディオコーデック部120に入力される。オーディオコーデック部120は、入力されたオーディオ信号に対してデコード処理やD/A変換処理を行い、処理後のアナログのオーディオ信号を出力部130へ出力する。
【0029】
また、オーディオコーデック部120は、CPU110からの入力手段とは異なる入力手段(第2入力手段)として、例えばライン入力に対応している。オーディオコーデック部120は、ライン入力されるアナログのオーディオ信号に対してA/D変換などの処理を行い、HDAバスを介してCPU110へ出力する。例えば、CPU110は、このライン入力されたオーディオ信号とOS1の処理に基づくオーディオ信号とを混合し、混合したデジタルのオーディオ信号をHDAバスを介してオーディオコーデック部120へ出力する。そして、オーディオコーデック部120は、混合されたオーディオ信号がCPU110から入力されると、この混合されたオーディオ信号に対してデコード処理やD/A変換処理を行い出力部130へ出力する。また、オーディオコーデック部120は、ライン入力されるアナログのオーディオ信号のみを出力部130へ出力することもできる。
【0030】
以下では、ライン入力されるオーディオ信号とOS1の処理に基づくオーディオ信号とを混合したオーディオ信号を出力する処理を行うモードを、「第1処理モード」と称する。図2は、第1処理モードのオーディオ信号の流れを示す図である。一方、ライン入力されるアナログのオーディオ信号のみを出力する処理を行うモードを、「第2処理モード」と称する。例えば、第2処理モードは、所謂パススルーモードである。図3は、第2処理モードのオーディオ信号の流れを示す図である。
【0031】
出力部130は、例えば、スピーカやオーディオアンプを含んで構成されており、オーディオコーデック部120から出力されるオーディオ信号に基づく音を出力する。なお、出力部130は、スピーカに代えて、または加えてフォーンジャック(例えば、イヤフォン端子)を含んで構成されてもよい。例えば、出力部130は、オーディオコーデック部120から出力されるオーディオ信号をフォーンジャックに接続されるイヤフォンやヘッドフォンへ出力してもよい。
【0032】
EC140は、CPU110の処理に関わらず、各種デバイス(周辺装置やセンサ等)の監視及び制御を行うマイクロコンピュータが組み込まれた組み込みコントローラである。EC140は、バッテリーの管理、電源管理、キーボードコントローラなどの機能を有する。例えば、EC140は、電源部300から第1処理部100及び第2処理部200のそれぞれに備えられている各部への給電のON/OFFの指示を電源部300に対して行う。
【0033】
また、EC140は、オーディオコーデック部120の処理モードを第1処理モードに設定するか、或いは第2処理モードに設定するかの制御を行う。例えば、EC140は、CPU110によりOS1に基づく処理が実行されている状態では、オーディオコーデック部120を第1処理モードに設定する。一方、EC140は、CPU110によるOS1に基づく処理の少なくとも一部が制限されている状態では、オーディオコーデック部120を第2処理モードに設定する。
【0034】
ここで、OS1に基づく処理が実行されている状態とは、OS1による動作状態が通常動作状態であることを示す。通常動作状態とは、OS1に基づく処理が特に制限なく実行可能な状態であり、例えば、ACPI(Advanced Configuration and Power Interface)で規定されているS0状態に相当する。OS1に基づく処理の少なくとも一部が制限されている状態とは、OS1による動作状態が待機状態または停止した状態(停止状態)である。待機状態とは、例えば画面OFFの状態、通常動作状態よりCPU110の消費電力が低減される状態、またはCPU110への給電が停止された状態である。待機状態とは、例えば、Windows(登録商標)におけるモダンスタンバイや、ACPIで規定されているS3状態(スリープ状態)に相当する。OS1による動作状態が停止した状態とは、ハイバーネーション状態やシャットダウンした状態であり、ACPIで規定されているS4状態またはS5状態に相当する。
【0035】
なお、EC140は、第2処理モード(パススルーモード)をONまたはOFFに設定することにより、第1処理モードまたは第2処理モードに設定してもよい。例えば、オーディオコーデック部120は、EC140が第2処理モード(パススルーモード)をONに設定した場合には第2処理モードで動作し、EC140が第2処理モード(パススルーモード)をOFFに設定した場合には第1処理モードで動作してもよい。
【0036】
また、EC140は、OS1に基づく処理の少なくとも一部が制限されている状態(待機状態または停止状態)では、CPU110への給電を停止させる場合がある。この場合でも、EC140は、オーディオコーデック部120への給電は継続させる。つまり、電源部300は、CPU110の給電を停止する際もオーディオコーデック部120への給電を継続する。これにより、オーディオコーデック部120は、OS1に基づく処理の少なくとも一部が制限されている状態(待機状態または停止状態)であっても、OS2の処理に基づくオーディオ信号を出力することができる。
【0037】
第2処理部200は、SOC210、オーディオコーデック部220などを含んで構成されている。SOC210は、OS2に基づく処理(OS2による処理やOS2上で動作するアプリケーションによる処理など)を実行する。
【0038】
オーディオコーデック部220は、SOC210の処理に基づいてSOC210から入力されるデジタルのオーディオ信号に基づいてオーディオ信号をライン出力する。例えば、オーディオコーデック部220には、SOC210からバス(例えば、Inter−IC Sound規格に対応するI2Sバス)を介してデジタルのオーディオ信号が入力される。オーディオコーデック部220は、入力されたオーディオ信号に対してデコード処理やD/A変換処理を行い、処理後のアナログのオーディオ信号をライン出力する。ライン出力されたオーディオ信号は、オーディオコーデック部120にライン入力される。例えば、OS2の処理に基づく起動音や警告音、通知音など、またはOS2上で動作するアプリケーションで再生される音楽や音声などのオーディオ信号がオーディオコーデック部120にライン入力される。
【0039】
(オーディモード設定処理の動作)
次に、オーディオコーデック部120による処理を第1処理モードまたは第2処理モードに設定するオーディモード設定処理の動作について説明する。
図4は、本実施形態に係るオーディモード設定処理の一例を示すフローチャートである。
【0040】
EC140は、OS1による動作状態に関する情報を取得する。例えば、EC140は、OS1による動作状態が通常動作状態、待機状態、または停止状態であることを示す情報、通常動作状態から待機状態または停止状態への遷移を示す情報、または待機状態または停止状態から通常動作状態への遷移を示す情報をCPU110から取得する(ステップS101)。
【0041】
次に、EC140は、ステップS101において取得した動作状態に関する情報に基づいて通常動作状態であるか否かを判定する(ステップS103)。
【0042】
通常動作状態であると判定された場合(YES)、EC140は、第1処理モードに設定する(ステップS105)。一方、通常動作状態ではないと判定された場合(NO)、EC140は、第2処理モードに設定する(ステップS107)。
【0043】
(信号処理装置10の外観構成)
次に、信号処理装置10の外観構成の一例について説明する。
図5は、本実施形態に係る信号処理装置10の斜視図である。図示ずる信号処理装置10は、本体部20とカバー部30とを備えたラップトップ型(ノート型)のパーソナルコンピュータである。カバー部30は、本体部20に対してヒンジ25により開状態と閉状態とに相対的に回転移動可能である。ここで、閉状態とは、カバー部30の表示部30aの側が本体部20に覆いかぶさり、本体部20とカバー部30とが重ね合わされた状態である。開状態とは、閉状態からカバー部30が所定角以上回転し、カバー部30の表示部30aが露出して視認可能な状態である。
【0044】
本体部20は、左右方向及び前後方向に延びる扁平な形状の筐体を有している。筐体の内部には、図1に示す各部の機能を実現する電子部品が搭載されたマザーボード(基板)やバッテリーなどが設けられている。本体部20は、ヒンジ25を介して、カバー部30に対して回動可能に連結されている。なお、本体部20とカバー部30とは分離可能であってもよい。
【0045】
本体部20には、表示部20aと、タッチセンサ20bと、入力部20cと、検出部20dとが設けられている。表示部20aは、液晶ディスプレイ(LCD: liquid crystal display)や有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイなどを含んで構成されている。表示部20aは、左右方向に長く、前後方向に短い長方形状であり、入力部20cよりもヒンジ25に近い位置に配置されている。この表示部20aは、OS2に基づく処理に応じた表示情報を表示するものである。入力部20cは、キーボードなどである。
【0046】
タッチセンサ20bは、表示部20aの表示面に重なる位置に配置され、表示部20aとタッチセンサ20bとにより1つのタッチパネルとして構成されている。タッチセンサ20bの表面は、透明カバー20fにより覆われている(図7(a)、(b)参照)。タッチセンサ20bは、静電容量方式のセンサなどを含んで構成されており、ユーザが触れた位置を検出する。また、タッチセンサ20bは透明であり、透明カバー20fおよびタッチセンサ20bを通して表示部20aを視認可能となっている。このように、タッチセンサ20bは、表示部20aの表示面に対するユーザの操作を検出する(図7(a)参照)。なお、図7(a)は、開状態の信号処理装置10を側面から見た図である。
【0047】
カバー部30は、表示部30aと、タッチセンサ30bとを備えている。表示部30aは、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイなどを含んで構成されている。この表示部30aは、OS1に基づく処理に応じた表示情報を表示するものである。タッチセンサ30bは、表示部30aの上面に重なる位置に配置され、表示部30aとタッチセンサ30bとにより、1つのタッチパネルとして構成されている。
【0048】
タッチセンサ30bは、表示部30aの表示面に重なる位置に配置され、表示部30aとタッチセンサ30bとにより1つのタッチパネルとして構成されている。タッチセンサ30bは、静電容量方式のセンサなどを含んで構成されており、使用者が触れた位置を検出する。このように、タッチセンサ30bは、表示部30aの表示面に対するユーザの操作を検出する。
【0049】
また、カバー部30は、表示部30aよりもヒンジ25に近い領域を少なくとも含む透明領域Aを有している。例えば、透明領域Aは、カバー部30が閉状態となったときに、本体部20の表示部20aを覆う位置に設けられている。透明領域Aの一部には、タッチセンサ30cが設けられている。
【0050】
本体部20の端部に設けられている検出部20dと、カバー部30の端部に設けられている検出対象部30dとは、閉状態において対向する位置に設けられている。検出部20dとしては、例えば、ホールセンサなどの磁気センサを用いることができる。検出対象部30dとしては、例えば、磁石を用いることができる。検出部20dは、カバー部30が開状態と閉状態との間で移動することによって検出対象部30dが生じさせる磁場の変化を検出することで、カバー部30の開状態および閉状態を検知することができる。
【0051】
なお、カバー部30に備えられている表示部30a、タッチセンサ30b、タッチセンサ30cなどは、ヒンジ25を通るフレキシブル基板などを用いて本体部20のマザーボード等と電気的に接続されている。
【0052】
図6は、閉状態の信号処理装置10をカバー部30側から見た図である。この図は、図5に示す開状態からカバー部30をヒンジ25回りに回動させて、カバー部30と本体部20とが重ね合わせられた閉状態を示している。図示するように、閉状態では、表示部20aの位置に透明領域Aが重なる。つまり、透明領域Aが表示部20aを覆った状態となる。このため、ユーザは、透明領域Aを通して、表示部20aを視認することができる。また、閉状態では、透明領域Aに設けられているタッチセンサ30cは、表示部20aの表示面に重なる位置に配置されることとなる。よって、タッチセンサ30cは、タッチセンサ20bの代わりに、表示部20aと1つのタッチパネルとして構成され、表示部20aの表示面に対するユーザの操作を検出する(図7(b)参照)。なお、図7(b)は、閉状態の信号処理装置10を側面から見た図である。
【0053】
このように、信号処理装置10は、開状態では、OS2に基づく処理に応じた表示情報が表示部20aに表示され、OS1に基づく処理に応じた表示情報が表示部30aに表示され、それぞれの表示面に対するユーザの操作を受け付けることが可能である。一方、信号処理装置10は、閉状態では、OS1が待機状態または停止状態に遷移し、OS2に基づく処理に応じた表示情報が表示部20aに表示され、表示部20a対するユーザの操作を受け付けることが可能である。
【0054】
EC140は、検出部20dの検出結果に基づいて開状態及び閉状態を検出する。また、EC140は、開状態及び閉状態の検出結果に基づいて、OS1及びOS2の動作状態を制御する。例えば、EC140は、開状態においてOS1及びOS2のいずれも通常動作状態であった場合、閉状態を検出すると、OS1の動作状態を待機状態または停止状態に遷移する指示をCPU110に対して行う。つまり、信号処理装置10は、例えば、開状態では、OS1の処理に基づくオーディオ信号とOS2の処理に基づくオーディオ信号とを混合して出力するが、閉状態になると、OS1が待機状態または停止状態になった状態でもOS2の処理に基づくオーディオ信号のみを出力することができる。
【0055】
(第1の実施形態のまとめ)
以上説明したように、本実施形態に係る信号処理装置10は、OS1(第1のOSの一例)に基づく処理を実行するCPU110(第1プロセッサの一例)と、OS2(第2のOSの一例)に基づく処理を実行するSOC210(第2プロセッサの一例)とを備えている。また、信号処理装置10は、オーディオコーデック部120(第1オーディオ信号処理部の一例)と、EC140(設定部の一例)とを備えている。オーディオコーデック部120は、OS1に基づく処理によりCPU110からHDAバス(第1入力手段の一例)を介して入力されるオーディオ信号(第1オーディオ信号)と、OS2に基づく処理によりライン入力(第2入力手段の一例)を介して入力されるオーディオ信号(第2オーディオ信号)とのそれぞれの入力に対応している。また、オーディオコーデック部120は、OS1に基づく処理によるオーディオ信号とOS2に基づく処理によるオーディオ信号とが混合されたオーディオ信号を出力する第1処理モードと、OS2に基づく処理によるオーディオ信号のみに基づくオーディオ信号を出力する第2処理モードとを有する。そして、EC140は、CPU110によりOS1に基づく処理が実行されている状態(例えば、OS1が通常動作状態)では第1処理モードに設定する。また、EC140は、CPU110によりOS1に基づく処理の少なくとも一部が制限されている状態(例えば、OS1が待機状態または停止状態)では第2処理モードに設定する。
【0056】
これにより、信号処理装置10は、OS1とOS2のそれぞれに基づく処理を実行可能であり、通常動作状態ではOS1に基づく処理によるオーディオ信号とOS2に基づく処理によるオーディオ信号とが混合されたオーディオ信号を出力し、OS1が待機状態または停止状態になった場合でもOS2に基づく処理によるオーディオ信号を出力することができるため、動作状態に応じて複数の入力源からの入力に対して適切にオーディオ信号を出力できる。例えば、音楽を再生して聴きたいだけの利用では、情報信号処理装置10のカバー部30を閉じて閉状態にするなどによりOS1を待機状態または停止状態にして、OS2に基づく処理により音楽を再生して聴くことができるため、電力の消費を抑えることができ、長時間の利用が可能となる。また、例えば、OS1がWindows(登録商標)で、OS2がAndroid(登録商標)である場合、一般的にOS2よりOS1に基づく処理を実行する方が消費電力が高くなる。そのため、信号処理装置10は、OS2を待機状態または停止状態にするよりも、OS1を待機状態または停止状態にする方がより電力の消費を抑えることができる。また、信号処理装置10は、OS1に基づく処理を実行する第1処理部100側のオーディオ回路の方が、OS2に基づく処理を実行する第2処理部200側のオーディオ回路よりも性能が高いことが多いため、より高い音質で出力することができる。
【0057】
また、信号処理装置10は、OS2に基づく処理によりSOC210から入力されるオーディオ信号に基づいて、オーディオコーデック部120にライン入力するオーディオ信号をライン出力するオーディオコーデック部220(第2オーディオ信号処理部の一例)を備えている。
【0058】
これにより、信号処理装置10は、OS2に基づく処理によるオーディオ信号をライン出力して、第1処理部100側のオーディオコーデック部120へライン入力することができる。
【0059】
また、信号処理装置10は、CPU110、SOC210、オーディオコーデック部120、オーディオコーデック部220、及びEC140(設定部の一例)に電力を供給する電源部300を備えている。そして、電源部300は、CPU110への給電を停止する際に、オーディオコーデック部120への給電を継続する。
【0060】
これにより、信号処理装置10は、CPU110への給電を停止した状態でも、OS2に基づく処理によりライン入力されたオーディオ信号を出力することができる。
【0061】
また、信号処理装置10は、オーディオコーデック部120から出力されるオーディオ信号またはオーディオ信号に基づく音を出力する出力部130を備えている。
【0062】
これにより、信号処理装置10は、第1処理モードでは、OS1に基づく処理によるオーディオ信号とOS2に基づく処理によるオーディオ信号とが混合されたオーディオ信号またはオーディオ信号に基づく音を出力することができる。また、信号処理装置10は、第2処理モードでは、OS2に基づく処理によるオーディオ信号またはオーディオ信号に基づく音を出力することができる。
【0063】
また、第1処理モードにおいて、オーディオコーデック部120は、ライン入力により入力されるアナログのオーディオ信号をデジタルのオーディオ信号に変換してCPU110へ出力する。CPU110は、そのライン入力により入力されるオーディオ信号(例えば、アナログからデジタルに変換したオーディオ信号)と、OS1に基づく処理によるオーディオ信号(例えば、デジタルのオーディオ信号)とを混合したオーディオ信号(例えば、デジタルのオーディオ信号)をオーディオコーデック部120へ出力する。そして、オーディオコーデック部120は、CPU110により混合されたオーディオ信号(例えば、デジタルのオーディオ信号)に基づくオーディオ信号(例えば、デジタルからアナログに変換したオーディオ信号)を出力部130へ出力する。
【0064】
これにより、信号処理装置10は、ライン入力により入力されるOS2に基づく処理によるオーディオ信号とOS1に基づく処理によるオーディオ信号とをCPU110の処理により混合することができる。
【0065】
[第2の実施形態]
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。
第1の実施形態では、信号処理装置10の内部にOS1及びOS2が共存し、OS1側のオーディオコーデック部120のライン入力に、OS2側のオーディオ信号が入力される構成例を説明した。本実施形態では、オーディオコーデック部120のライン入力に、外部機器からライン出力されるオーディオ信号が入力される構成例を説明する。
【0066】
図8は、本実施形態に係る信号処理装置10Aの構成例を示すブロック図である。なお、この図において、図1に対応する構成には同一の符号を付している。信号処理装置10Aは、OS1に基づく処理を実行するCPU110と、CPU110とHDAバスを介して接続されるオーディオコーデック部120、出力部130、EC140、電源部150などを含んで構成されている。電源部150は、信号処理装置10Aが備える各部に電力を供給する。
【0067】
本実施形態では、オーディオコーデック部120のライン入力は、外部機器のライン出力から出力されたオーディオ信号が入力されるライン入力端子101に接続されている。オーディオコーデック部120は、CPU110からHDAバスを介して入力されるオーディオ信号と、ライン入力端子101から入力されるオーディオ信号とに対して、第1の実施形態で説明した第1処理モード又は第2処理モードを実行する。
【0068】
例えば、EC140は、CPU110によりOS1に基づく処理が実行されている状態(通常動作状態)では、第1処理モードに設定する。一方、EC140は、CPU110によるOS1に基づく処理の少なくとも一部が制限されている状態(OS1が待機状態または停止状態)では、第2処理モードに設定する。
【0069】
また、EC140は、OS1に基づく処理の少なくとも一部が制限されている状態(待機状態または停止状態)では、CPU110への給電を停止させる場合がある。この場合でも、EC140は、オーディオコーデック部120への給電は継続させる。つまり、電源部300は、CPU110の給電を停止する際もオーディオコーデック部120への給電を継続する。これにより、オーディオコーデック部120は、OS1に基づく処理の少なくとも一部が制限されている状態(待機状態または停止状態)であっても、外部機器からライン入力されるオーディオ信号を出力部130から出力させることができる。
【0070】
図8に示す信号処理装置15は、信号処理装置10Aのライン入力端子101へ入力するオーディオ信号を出力する外部機器の一例である。信号処理装置15は、OS2に基づく処理を実行するSOC210、SOC210とI2Sバスを介して接続されるオーディオコーデック部220、電源部230などを含んで構成されている。電源部230は、信号処理装置15が備える各部に電力を供給する。
【0071】
オーディオコーデック部220は、SOC210の処理に基づいてSOC210から入力されるデジタルのオーディオ信号に基づいてオーディオ信号をライン出力する。例えば、オーディオコーデック部220は、ライン出力端子201からオーディオ信号をライン出力する。
【0072】
(第2の実施形態のまとめ)
以上説明したように、本実施形態に係る信号処理装置10Aは、OS1(OSの一例)に基づく処理を実行するCPU100(プロセッサの一例)と、オーディオコーデック部120(オーディオ信号処理部の一例)と、EC140(設定部の一例)とを備えている。オーディオコーデック部120は、OS1に基づく処理によりCPU110からHDAバス(第1入力手段の一例)を介して入力されるオーディオ信号(第1オーディオ信号)と、ライン入力(第2入力手段の一例)を介して入力されるオーディオ信号(第2オーディオ信号)とのそれぞれの入力に対応している。また、オーディオコーデック部120は、OS1に基づく処理によるオーディオ信号とライン入力されるオーディオ信号とが混合されたオーディオ信号を出力する第1処理モードと、ライン入力されるオーディオ信号のみに基づくオーディオ信号を出力する第2処理モードとを有する。そして、EC140は、CPU110によりOS1に基づく処理が実行されている状態では第1処理モードに設定する。また、EC140は、CPU110によりOS1に基づく処理の少なくとも一部が制限されている状態(例えば、OS1が待機状態または停止状態)では第2処理モードに設定する。
【0073】
これにより、信号処理装置10Aは、通常動作状態ではOS1に基づく処理によるオーディオ信号と、外部機器からライン入力されるオーディオ信号とが混合されたオーディオ信号を出力し、OS1が待機状態または停止状態になった場合でも外部機器からライン入力されるオーディオ信号を出力することができるため、動作状態に応じて複数の入力源からの入力に対して適切にオーディオ信号を出力できる。例えば、音楽を聴きながら信号処理装置10Aで文書作成などを行いたい場合、音楽を再生可能な外部機器を信号処理装置10Aにライン端子で接続することで、信号処理装置10A側から音楽を出力することができるため、利便性が良い。されに、文書作成などの作業を中断して休憩する場合には信号処理装置10AのOS1を待機状態または停止状態にして、引き続き信号処理装置10Aから音楽を出力することができるため、電力の消費を抑えることができ、長時間の利用が可能となる。
【0074】
(変形例)
以上、図面を参照してこの発明の第1及び第2の実施形態について詳しく説明してきたが、具体的な構成は上述のものに限られることはなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲内において様々な設計変更等をすることが可能である。
【0075】
なお、上記実施形態では、オーディオコーデック部120にライン入力されるオーディオ信号とOS1に基づく処理によるオーディオ信号とを、CPU110の処理により混合する例を説明したが、オーディオコーデック部120の処理により混合してもよい。
【0076】
また、上記実施形態におけるライン入力及びライン出力に代えて、マイク入力及びマイク入力としてもよい。また、ライン入力及びライン出力とマイク入力及びマイク入力とのそれぞれ両方を備え、それぞれに対して上記実施形態に係る第1処理モードと第2処理モードを適用してもよい。
【0077】
なお、上述した信号処理装置10(10A)は、内部にコンピュータシステムを有している。そして、上述した信号処理装置10(10A)が備える各構成の機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより上述した信号処理装置10(10A)が備える各構成における処理を行ってもよい。ここで、「記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行する」とは、コンピュータシステムにプログラムをインストールすることを含む。ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータシステム」は、インターネットやWAN、LAN、専用回線等の通信回線を含むネットワークを介して接続された複数のコンピュータ装置を含んでもよい。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。このように、プログラムを記憶した記録媒体は、CD−ROM等の非一過性の記録媒体であってもよい。
【0078】
また、記録媒体には、当該プログラムを配信するために配信サーバからアクセス可能な内部又は外部に設けられた記録媒体も含まれる。なお、プログラムを複数に分割し、それぞれ異なるタイミングでダウンロードした後に信号処理装置10(10A)が備える各構成で合体される構成や、分割されたプログラムのそれぞれを配信する配信サーバが異なっていてもよい。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、ネットワークを介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(RAM)のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。また、上記プログラムは、上述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。さらに、上述した機能をコンピュータシステムに既に記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
【0079】
また、上述した実施形態における信号処理装置10(10A)が備える各機能の一部、または全部を、LSI(Large Scale Integration)等の集積回路として実現してもよい。各機能は個別にプロセッサ化してもよいし、一部、又は全部を集積してプロセッサ化してもよい。また、集積回路化の手法はLSIに限らず専用回路、または汎用プロセッサで実現してもよい。また、半導体技術の進歩によりLSIに代替する集積回路化の技術が出現した場合、当該技術による集積回路を用いてもよい。
【符号の説明】
【0080】
10,10A 信号処理装置、100 第1処理部、110 CPU、120 オーディオコーデック部、130 出力部、140 EC、150 電源部、200 第2処理部、210 SOC、220 オーディオコーデック部、230 電源部、300 電源部
【要約】
【課題】動作状態に応じて複数の入力源からの入力に対して適切にオーディオ信号を出力すること。
【解決手段】信号処理装置は、第1のOSに基づく処理を実行する第1プロセッサと、第2のOSに基づく処理を実行する第2プロセッサと、第1のOSに基づく処理により第1プロセッサから第1入力手段を介して入力される第1オーディオ信号と、第2のOSに基づく処理により第2入力手段を介して入力される第2オーディオ信号とが混合されたオーディオ信号を出力する第1処理モードと、第2オーディオ信号のみに基づくオーディオ信号を出力する第2処理モードとを有する第1オーディオ信号処理部と、第1プロセッサにより第1のOSに基づく処理が実行されている状態では第1処理モードに設定し、第1のOSに基づく処理の少なくとも一部が制限されている状態では第2処理モードに設定する設定部と、を備える。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8