(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
動いている組織を安定化もしくは静止させるため、または臓器、特に拍動中の心臓の一部を位置決めするための手術用作業アーム(B、B’)であって、外科装置(A、A’)の基礎部材(12、12’)上に配置され、前記基礎部材(12、12’)は、手術部位内、またはそこに設置された保持装置、特に開胸器に固定部分(36、36’)を用いて固定されるように適合している、手術用作業アーム(B、B’)であり、
様々な位置に移動することができる柔軟連結アーム(14、14’)であって、相互に対して移動可能であり、特に相補的に形成された複数の一連の連結要素(82、82’、82’’、82’’’)を含む柔軟連結アーム(14、14’)と、
前記連結アーム(14、14’)の先端に配置された少なくとも1つの保持要素(16)と、を備え、
前記柔軟連結アーム(14、14’)は、前記作業アーム(B、B’)を外科装置(A、A’)に機能的な接続及び嵌合接続するための連結部分(64、64’)を備え、
前記手術用作業アーム(B、B’)は、さらに、前記連結要素(82、82’、82’’、82’’’)を通って案内され、前記連結要素(82、82’、82’’、82’’’)を摩擦により相互に固定することができる牽引ロープ(48、48’)であって、前記外科装置(A、A’)に設けられた硬直機構(44、44’)に、工具を使用せずに、特に確実に接続可能な基端側接続部分(72、72)を含む牽引ロープ(48、48’)を備え、
前記連結部分(64、64’)が前記外科装置(A、A’)に前記嵌合接続によって接続されるのと同時に、前記基端側接続部分(72、72)が前記硬直機構(44、44’)に接続され、
前記柔軟連結アーム(14、14’)の前記連結部分(64、64’)は、前記手術用作業アーム(B、B’)を前記外科装置(A、A’)に前記嵌合接続するために、前記外科装置(A、A’)のアリ継ぎと連結するためのガイドシート(62)を含む、ことを特徴とする手術用作業アーム(B、B’)。
前記連結アーム(14、14’)の先端に配置され、前記外科装置(A、A’)に設けられた前記硬直機構(44、44’)を制御するための操作要素(26、26’)と、
特に前記連結アーム(14、14’)内で延伸し、制御信号または命令を前記外科装置(A、A’)に伝達するために、前記操作要素(26、26’)と前記連結部分(64、64’)に設けられる接合部(68、68’)に接続される制御ライン(90、90’)と、
をさらに備える、請求項1に記載の手術用作業アーム(B、B’)。
前記保持要素(16)に、様々な種類の単回使用または再使用可能の手術器具と機器を接続するためのユニバーサルアダプタが設けられることを特徴とする、請求項1または2に記載の手術用作業アーム(B、B’)。
【背景技術】
【0002】
外科医が人体の動いている臓器に対して施行しなければならない様々な外科手術がある。これには、例えば拍動中の心臓に対する冠状動脈バイパス移植(CABG)手術が当てはまる。このようなバイパス移植手術では、緊縮させた冠状動脈の一部を移植血管を利用してバイパスさせなければならず、血管は2カ所で動脈に縫い合わされる。したがって、この手術は心停止下で人工心肺装置を利用して実行されることが多い。手術終了後、直ちに再び心臓を拍動させる。この手術はまた、人工心肺を使用せずに、心臓の拍動中でも実行可能である。当然のことながら、この技術は心停止の場合より外科医にとってはるかに困難である。したがって、心臓の一部を安定化させ、すなわち静止させるための装置が必要である。
【0003】
1つの種類の安定化装置は真空原理に基づく。これは、心臓の一部に取り付けられ、その部分を真空により吸着し、そして心臓の一部を装置に固定するような要素を含む。装置全体としては、一般的に開胸器に固定される静止部と、複数の個別要素からなる柔軟アームと、このアームを硬直させるための操作要素と、真空ホースが接続される1つまたは複数の真空要素と、を含む。前記アーム内には操作要素によって機械的に張られる牽引ロープが設置される。牽引ロープはウォームまたは偏心器によって硬直させられる。前記装置は、例えば米国特許第6,866,628 B2号明細書、米国特許第7,311,664 B2号明細書、米国特許第7,399,272 B2号明細書、米国特許第7,476,196 B2号明細書または米国特許第7,479,104 B2号明細書から知られている。
【0004】
真空を用いずに機能する第二の種類の安定化装置もよく似ている。この場合、技術は真空要素以外、同じ構成要素からなる。これらの要素の代わりに、この場合、操作不能な、不動の、特にフォーク状の安定化要素があり、これらが心臓の一部に押し付けられて、それを純粋に機械的に安定化させる。この技術は、例えば米国特許第6,581,889 B2号明細書に記載されている。
【0005】
これら過去の解決策の欠点は、何れの一般的な装置についても、使用者がこのタイプの取扱いのためには両手を使わなければならない点である。使用者は基端において、その目的のために設けられた操作要素によって柔軟アームを把持し、その一方で、先端を案内して組織に押し付ける。この操作ステップは、柔軟連結アームがその基端において、旋回軸を有し、その旋回軸により開胸器に取り付けられた静止部品に向かってそれが水平面内で旋回できるようにする場合にさらに複雑となる。この旋回軸は多くの場合、同じ牽引ロープによってアームと同時にロックされる。極端な場合、使用者には、ロック動作中に例えば前記旋回軸を所望の位置に保持するための補助者がさらに必要となる。
【0006】
さらに、これらの装置では、牽引ロープをどの程度強く硬直させればよいかが決まっていないことが多い。様々な使用者が、ねじ機構であることの多い操作要素を、自分の感覚と力に応じて様々な強度で操作する。よって、様々な使用者同士において、様々な張力及び様々な連結アームの硬直度が生じる。
【0007】
他の欠点は、そのような装置に関する金銭的支出の大きさである。個々のアームセグメントと、柔軟性を確保するために複数の単独ストランドからなる牽引ロープを効率的な方法で洗浄することが難しいという事実により、器具全体を再使用できず、1回しか使用されない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、上述の欠点を有さない、動いている臓器を安定化または静止させるための外科装置を提供することである。特に、外科医に対し、取り扱いやすい、特に片手操作しやすい装置が提供される。さらに、装置の操作性は個々の人物によって異なるべきではない。最後に、このような装置の維持費が低減されるべきである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この目的は、特許請求項1の特徴によって達成される。
【0010】
動いている組織を安定化、静止、もしくは保持でき、または、例えば冠状動脈バイパス移植手術中の拍動中の心臓の一部等の臓器を位置決めできる本発明による外科装置は、基礎部材を含み、そこに、例えば連結アームの形態の柔軟アームが固定され、または固定可能である。前記連結アームを様々な位置および/または姿勢に移動することができる。その自由端には少なくとも1つの保持部材が配置され、それによってそれぞれの組織または臓器を保持および/または安定化できる。連結アームを硬直機構によって所望の位置に静止させることができる。本発明によれば、硬直機構の硬直および/または弛緩、すなわち連結アームの固定化と非固定化は動力源によって行われる。
【0011】
したがって、柔軟アームの硬直および/または弛緩は、手動で力を加えることによって、上記の装置のように純粋に機械的に行われるのではなく、油圧、空気圧、または電気動力源に代わられるか、少なくともそれによって補助される。これによって、装置の片手での操作が容易になり、外科医が通常であれば、片手で装置を持ち、反対の手で硬直および/または弛緩させるために両手が必要となるような、硬直機構を手動で硬直および/または弛緩させることの必要がなくなる。片手での操作によって、柔軟アームを容易に位置決めして拘束でき、これは例えば組織の安定化または臓器の位置決めにおいて外科医を支援する。
【0012】
エネルギーまたは動力源の他の利点は、硬直または弛緩のための力をより正確に調節でき、硬直機構が同じ硬直力で一定に硬直され、したがって、それぞれの操作者によって変化しないという事実にある。したがって、固定またはロックされたアームが常に所望の最適な硬直度を有し、保持力を提供し、使用者によって硬直の度合いが弱すぎたり強すぎたりしないことを確実にできる。前者の場合、アームが手術中に押し戻され、または保持するべき組織または臓器を解放してしまうことになるかもしれず、後者の場合は、硬直機構が硬直されすぎて壊れ、ひいては装置が使用不能となる。
【0013】
連結アームは、神経外科の分野の手術用フックもしくはスパチュラを保持するため、または外科手術を実行または支援するためのトロカールやカメラ等の別の機器を保持し、位置決めすための柔軟保持アーム等、他の複数の用途を提供する。連結アームの保持要素には、外科手術中に連結アームによって保持され、位置決めされる各種の単回使用または再使用可能な手術器具や装置の接続を可能にするユニバーサルアダプタが設けられてもよい。
【0014】
有利なその他の発展形は、従属項の主旨である。
【0015】
動力源は外科装置の外部に提供された外部動力源とすることができる。これは、外科装置および特に基礎部材が省スペース設計とされる時に有利である。動力源を外部に配置することはまた、交換可能なエネルギー貯蔵ユニットが動力源として提供される場合にも有利となりうる。すると、外側に配置することにより、特に使用済みのエネルギー貯蔵ユニットの交換が容易となる。
【0016】
硬直機構の硬直および/または弛緩に使用される動力源は、1つまたは複数の手動式の操作要素により制御または作動可能である。操作要素が連結アームの先端側、すなわち保持要素の近傍に設置されている場合、外科医が保持要素をそれぞれの組織または臓器に片手で位置決めできるのと同時に、操作要素を介して保持要素を所望の位置に固定でき、反対に、外科手術終了後に保持要素を開放し、組織および/または臓器から取り外すことができるという利点を提供できる。冒頭に記載した先行技術の装置では、連結アームが、実際の手術部位から適切に離れている連結アームの基端に配置された回転ノブによって固定される。しかしながら、動力源も、先端側の操作要素とは別に、連結アームの基端側に配置された操作要素を介して制御できれば有利である。保持要素が患者の体腔内に深く沈められて、先端側の操作要素に届かない、または届きにくい場合、使用者は、患者の体外に設置された連結アームの基端側の操作要素によってアームを開放し、それが適当な場合は新たに位置決めできる。これによって、外科装置を柔軟に使用できる。代替的に、基礎部材に設けられた操作要素が唯一の操作要素を構成することも可能である。
【0017】
本発明の追加の、または代替的な態様によれば、硬直機構の硬直と弛緩、すなわち連結アームの固定と解放を様々な方法で行うことができる。一方で、硬直機構を外力によって硬直させることができ、硬直機構を手で弛緩させることができ、またはその逆もできる。又その一方で、硬直機構の硬直と弛緩に2種類の異なるエネルギーを使用できる。それに加えて、またはその代わりに、硬直機構が自動的に、すなわち使用者側でのいかなる努力なしに硬直され、硬直機構が動力源を制御または作動させることによって弛緩されるように硬直機構を構成できる。このようにして、硬直機構をばね力により硬直させることができ、それによって硬直機構が連結アームを硬直させてそれぞれの位置に固定し、使用者は動力源を適切に制御することにより、連結アームを解放し、柔軟にすることができる。ばね付勢の利点は、特に、ばね力によっていわば連続的な力が特定の移動距離にわたって供給され、この力により、各用途について硬直機構の常に同じ最適な付勢とアームの最適な硬直度が確保されることである。例えばばねによって硬直機構が自動的に付勢される場合の別の利点は、動力源を制御するために、使用者が装置と適当な作動部材を解放するとき、硬直機構は使用者によって、弛緩させるためだけに操作されればよく、硬直機構は自動的にそのロック位置に留まることである。
【0018】
本発明の追加の、または代替的な態様によれば、硬直機構は1本または複数の牽引ロープを含み、牽引ロープは、相対的、特に、互いに相補的に移動可能な、連結アームの複数の連結要素内を通って案内され、連結要素は、摩擦固定の状態で牽引ロープにより相互に固定することができる。適切な作動機構が牽引ロープに接続され、牽引ロープの緊張または弛緩のどちらも動力源を介して操作できる。
【0019】
本発明による作動機構は、動力源により供給される動力を、牽引ロープを操作するための対応する機械力に変換する。
【0020】
動力源は、それが牽引機構を少なくとも一方向に動作させるのに適当で十分なエネルギーを供給するかぎり、何れの種類にもできる。動力源を油圧源または空気圧源とすることができ、作動機構を油圧式または空気圧式に操作可能のシリンダピストン機構にすることができ、弁または弁装置といった流体制御要素は、シリンダピストン機構に作用する流体圧力を制御するための少なくとも1つの操作要素によって制御可能である。また、動力源を電気エネルギーの貯蔵装置、特にバッテリまたはアキュムレータとすることができ、作動機構をモータ可動式シリンダピストン機構とすることができ、シリンダピストン機構を調節するようになされた電気モータを制御するための電気または電子制御装置を、少なくとも1つの操作要素を介して制御できる。好ましくは、シリンダピストン機構として電気モータが外科装置の基礎部材内に設置される。
【0021】
本発明のある態様によれば、牽引機構の牽引ロープは、シリンダピストン機構に作用するばねによって付勢され、シリンダピストン機構に作用する圧縮空気源、特に圧縮空気カートリッジまたは標準化された圧縮空気コネクタからの圧縮空気により弛緩される。圧縮空気カートリッジの使用は、それが完全な自立的動作を可能にするという利点を提供する。代替的に、シリンダピストン機構は、標準化された圧縮空気コネクタおよびホースまたはラインを介して、各手術室に設置された給気設備に接続することができる。
【0022】
したがって、外科装置は、用途に応じて、圧縮空気カートリッジにも、任意の圧縮空気源にも接続することができる。
【0023】
本発明の追加の、または代替的な態様によれば、流体制御要素を制御するために使用される制御媒体と、シリンダピストン機構を動作させるために使用される作業媒体を異なるものとすることができる。例えば、シリンダピストン機構のピストンを圧縮空気で動作させることができ、その一方で、圧縮空気を圧縮空気ピストンに作用させるか否かの弁の制御は電気的に制御される。この目的に必要なラインは、操作要素と流体制御要素との間において、著しく省スペースとなる方法で収容できる。代替的に、制御媒体および作業媒体として同じ媒体を使用することもでき、圧縮空気が弁を制御するための制御媒体に使用される場合、圧縮空気ピストンを動作させるために、作業媒体用よりはるかに低い圧力を使用でき、それゆえ、制御ラインを、はるかに薄い壁を有するようにすることができ、はるかに柔軟にすることができ、操作要素全体をよりコンパクトな設計にすることができる。他の構成では、1つの動力源でも十分とすることができる。
【0024】
好ましくは装置の基礎部材に設置されるシリンダピストン機構は、外部の制御動力源と作業動力源に、適当なコネクタとラインを介して接続される。
【0025】
本発明の代替的な態様によれば、牽引機構の牽引ロープは、シリンダピストン機構に作用するばねを介して付勢され、電気モータによって加えられ、シリンダピストン機構に作用する力によって弛緩される。特にリニアモータとすることもできる電気モータは、そのエネルギーを電源から、特に電気コネクタから、またはその代わりに、もしくはそれに加えてバッテリやアキュムレータ等のエネルギー貯蔵ユニットから引き出す。エネルギー貯蔵ユニットの使用は、それが完全に自立的な動作を可能にするという利点を提供する。代替案として、シリンダピストン機構のための電気モータを、各手術室に設置された電源に、標準化された電気コネクタとラインを介して接続できる。
【0026】
装置の基礎部材は、手術部位内またはそこに設置された保持手段、特に開胸器に、固定部分を介して固定されるように構成できる。保持要素が組織または臓器に対して位置決めされ、柔軟アームが硬直機構によって固定されると、その組織または臓器が保持要素、固定されたアーム、基礎部材、および静止している保持装置によって所定の位置に保持される。
【0027】
本発明のある態様によれば、連結アームを基礎部材に対して回転可能に支持でき、保持要素を連結アームに対して旋回できる。さらに、連結アームは何れの方向にも曲げることができるため、多くの自由度によって保持要素を各所望位置に移動させることができる。好ましくは、連結アームの形状だけでなく、連結アームに対する保持要素の位置、すなわち基礎部材に対する位置が固定されるように硬直機構を硬直させると、連結アームに対する保持要素の旋回能力と基礎部材に対する連結アームの回転能力が停止または制限される。
【0028】
動力源を制御するための操作要素が連結アームの先端側にあり、流体制御要素、電気または電子制御装置、つまり、硬直機構の作動機構のための設定要素が連結アームの先端側、特に基礎部材の中にある場合、制御ラインを操作要素から流体制御要素、電気または電子制御装置、つまり、設定要素へと導かなければならない。この信号またはエネルギー供給ラインは、連結アームの内側にも、外部にも設けることができる。有利な態様として、これらは連結アームの内部に延伸し、それゆえ外的影響から保護される。連結アームの内部を通るようにラインを導くために、連結アームのそれぞれの連結要素の各々に、牽引ロープ用の中央牽引ロープ通路と、ライン用、特に先端側操作要素と流体制御要素、もしくは電気または電子制御装置との間の制御ライン用の偏心的に配置された少なくとも1つの窪みを設けることができる。ライン用に別に形成された窪みは、ラインが硬直機構の牽引ロープと接触せず、相互にそれぞれに影響を与えないことを保証する。連結要素内に牽引ロープ通路と窪みを設ける代わりに、連結要素の各々に、中央に回転可能に支持された別体の回転ディスクを設けることができ、そこに牽引ロープ通路とライン用窪みが設けられる。この回転ディスクが連結要素に対して相対的に回転することにより、ラインに損傷を与える可能性がある、連結要素間の捩れを補正することができる。代替的に、連結要素に回転防止装置、特に係合ロック部材を設けて、牽引ロープの周囲での連結要素の捩れを制限することができる。この変形例もまた、制御ラインへの損傷を防止する。
【0029】
本発明のある態様によれば、連結要素の大きさは、基礎部材からの距離が長くなるにつれて、またアームの均一な曲げに至るようにするために連結アームにおいて予想される曲げモーメントの経路に応じて小さくなる。
【0030】
本発明の代替的な態様によれば、連結要素のテーパ状の内側接触面のテーパ角度の大きさは、基礎部材からの距離が長くなるにつれて、またアームの均一な曲げに至るようにするために連結アームにおいて予想される曲げモーメントの経路に応じて大きくなる。このようにすれば、連結要素の外寸を連結アームの全長にわたり一定にすることができる。
【0031】
本発明のある態様によれば、装置はモジュール式設計とすることができ、連結アームと基礎部材を機械的に解放可能に接続でき、それによって連結アームは、連結要素それぞれと牽引ロープのクリーニングが困難であるため、交換可能な単回使用モジュールとして使用され、作動機構と動力源の制御要素を含む基礎部材は再使用可能なエンジニアリングブロックとなることができる。連結アームと基礎部材との間の接合部は、機械的連結とは別に、牽引ロープと硬直機構の設定要素との間に機能的連結が行われるように構成され、適当であれば、制御ライン、電気コンタクト等の別の接合手段が接続される。再使用可能な構成要素、すなわちエンジニアリングブロックにより、同等製品と比較して、コスト削減が可能となる。モジュール式構造の実質的なその他の利点は、用途に応じてエンジニアリングブロックを様々な機能端または、様々な大きさもしくは様々なエフェクタや保持要素を有する連結アームと組み合わせることができるという事実に見ることができる。
【0032】
本発明のある態様によれば、モジュール式構造の装置において、動力源またはエネルギー貯蔵ユニットは基礎部材の外部に設けられる。特に、動力源またはエネルギー貯蔵ユニットを連結アーム内に挿入することも、またはそれに接続することもできる。代替的に、エネルギー貯蔵ユニットを連結アームに固定して一体化でき、単回使用として設計できる。
【0033】
本発明のある態様によれば、自立型エネルギー貯蔵ユニットの形態の動力源と取り外し可能なアームは、相互接続可能になるように形成される。このような構成は、基礎部材のために提供される、アームの接続およびエネルギー貯蔵ユニットの接続が方向づけられ、アームとエネルギー貯蔵ユニットとの組み合わせが1回の動作または1回の操作によって基礎部材に取り付け、または接続することができるようにする場合に有利である。
【0034】
アームとエネルギー貯蔵ユニットとの間の接続が固定されるように構成されている場合、およびエネルギー貯蔵ユニットにより貯蔵されたエネルギーが、アーム−エネルギー貯蔵ユニットの固定組み合わせを基礎部材に初めて取り付けた時点からアーム−エネルギー貯蔵ユニットの固定組み合わせを基礎部材から初めて取り外した時点までの間しか利用できない場合、そこからは安全性に関する他の有利な効果が得られる。これに関して、固定という用語は、それが解放不能であるか、苦労しなければ、特に道具を使わなければ解放不能であることを意味する。取り外し可能なアームが、衛生上の理由から、繰り返し使用されることを意図されていない場合、アームを単回のみ使用可能とすることが有利である。これは、本発明のこの態様によれば、エネルギー貯蔵ユニットが、基礎部材に初めて接続されてからでなければエネルギーを基礎部材に供給できないという事実と、エネルギー貯蔵ユニットを交換にともない、エネルギー貯蔵ユニットとアームとの間の固定接続にもアームの交換が必要であるという事実により保証される。エネルギー貯蔵ユニットを初めて接続してから初めて取り外すまでの間しかエネルギーを使用できないという事実は、エネルギー貯蔵ユニットが圧縮カートリッジである場合は封止膜によって、およびエネルギー貯蔵ユニットが電気エネルギー貯蔵ユニットである場合は放電機構によって実現される。
【0035】
接続されるべき動力源、例えば圧縮ガスカートリッジ、バッテリ、アキュムレータ、ホース、またはラインが滅菌されず、したがって手術部位に直接近接している装置の基礎部材に直接接続できない場合、本発明の他の態様によれば、基礎部材と動力源との間にアダプタユニットが相互接続され、このアダプタユニットは滅菌領域と非滅菌領域との間の分離帯を形成し、一方では取り外し可能なラインを介して基礎部材に、他方では動力源に接続される。
【0036】
本発明のある態様によれば、設定要素または制御要素の部品、特にコンパクトに設計される基礎部材により提供されるスペースより大きなスペースを必要とする部品は、アダプタユニット内に設置できる。
【0037】
本発明の他の態様は、動いている組織を安定化もしくは静止させるため、または臓器、特に拍動中の心臓の一部を位置決めするための、特に本発明による外科装置において使用可能な手術用作業アームに関する。このような作業アームは、様々な位置および/または姿勢に移動するようになされ、相互に対して移動可能で特に相補的な複数の一連の連結要素を備える柔軟連結アームと、連結アームの先端に配置された少なくとも1つの保持要素と、を含む。本発明によれば、さらに、作業アームを外科装置に機械的および機能的に接続するための連結部分が提供され、連結要素を通るように案内され、連結要素を相互に摩擦により固定するようにするための牽引ロープは、外科装置内または外科装置のエンジニアリングブロック内に設けられた硬直機構に、特に工具を使用せずに形状的にフィットして接続されるようになされた基端側接続部分を含む。
【0038】
この作業アームまたは作業アームモジュールの利点は、特に、安価に製造でき、硬直機構におけるコストの高い設定要素または類似物を含まず、そこに接続するための接合部を提供するだけであるという事実にある。それゆえ、この作業アームは単回使用のために提供できる。さらに、同型の、または標準化された連結部分が使用されるかぎり、異なる種類のこのような作業アームを同じエンジニアリングブロックとともに使用するように提供できる。
【0039】
手術用作業アームは、連結アームの先端端に設置されて、外科装置内に設けられた硬直機構を制御するための操作要素と、操作要素を連結部分に設けられた接合部に接続して、制御信号または命令を外科装置に送信するための制御ラインと、をさらに含んでいてもよい。制御ラインは外側に延伸させることができるが、好ましくは連結アームの内部にある。
【0040】
本発明による装置の利点と構成は、本発明の好ましい実施形態に関する以下の説明から明らかとなるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0042】
図1は、本発明の第一の実施形態による、動いている組織の一部を安定化もしくは静止させるため、またはその他、臓器を位置決めするための外科装置10の斜視図を示す。装置10は基礎部材またはエンジニアリングブロック12を含み、そこに柔軟連結アーム14が固定され、その自由端に組織または臓器を保持するための保持要素16が設けられている。装置10はアダプタユニット18をさらに含み、これは複数のライン20を介してエンジニアリングブロック12と連通する。外部動力源として機能し、エンジニアリングブロック12に一体化された連結アーム14のための硬直機構を作動させるために必要な作業媒体を供給する圧縮空気カートリッジ22を、アダプタユニット18にある圧縮空気コネクタ24に接続できる。圧縮空気ライン20aを通じて、圧縮空気がアダプタユニット18からエンジニアリングブロック12へと送られる。それに平行に延伸する信号ライン20bは、アダプタユニット18の中に設けられた流体制御要素または弁(図示せず)を制御するように機能し、これはそれぞれエンジニアリングブロック12と連結アーム14によって制御可能である。
【0043】
図2は、エンジニアリングブロック12、連結アーム14、および保持要素16だけを拡大して示す。エンジニアリングブロック12は実質的に、連結アーム14を硬直させるほか、図示されていない外部支持手段、例えば開胸器にシステム全体を固定するためのすべての技術を含む。エンジニアリングブロック12は再使用可能なエンジニアリングモジュールAを構成し、保持要素16を含む連結アーム14は単回使用のために設計された作業モジュールBを構成する。
【0044】
図2からはさらに、連結アーム14の先端に第一の操作要素26が電気的押しボタンの形態で設けられ、エンジニアリングブロック12には第二の操作要素28が同じく電気的押しボタンの形態で設けられていることも明らかである。どちらの操作要素26と28も、外部動力源からのエネルギーの流れを制御する、すなわち圧縮空気カートリッジ22から圧縮空気ライン20aと圧縮空気コネクタ30を介してエンジニアリングブロック12へと通る圧縮空気を制御するように機能する。操作要素26、28、すなわち外部動力源の制御は、操作要素26、28を押している間だけエネルギーの流れを解放させるように構成できる。あるいは、エネルギーの流れを、1回だけの操作によって解放でき、2回目の操作により再び停止できる。
【0045】
図3は、エンジニアリングブロック12のみの斜視図を示す。エンジニアリングブロック12は、筐体部分32と、作業モジュールBのための連結部分34と、エンジニアリングブロック12を開胸器等の支持手段(図示せず)に固定するための連結部分36と、を含む。筐体部分32には、作業モジュールBの取り付けおよび/または取り外しを簡易化できるように、人間工学的な把持用凹部が設けられていてもよい。
【0046】
固定部分36は、相互に関して幅方向に調節可能な2つのアンダーカット締付顎部38aと38bを含み、それによってエンジニアリングブロック12を摩擦嵌合およびフォームフィット方式で適当なレールまたは同様の保持装置に取り付けることができる。調節可能締結顎部38bは、
図4から明らかであるように、ばね40によって固定された締結顎部38aに対して付勢される。調節可能な締付顎部38bは締付ねじ42によってさらに固定できる。
【0047】
筐体部分32の中に、シリンダピストン機構44が設けられ、これが硬直機構の実質的部分を構成する。筐体部分32の中で軸方向に、すなわち連結アーム14の長手方向に案内され、牽引ロープ48に接続可能なスライドまたはキャリッジ46が中間ジョイント50を介してシリンダピストン機構44のピストン52の一方の端にピン接合され、それによってピストン52が上昇運動するとキャリッジ46が軸方向に並進移動する。
【0048】
ピストン52はらせん圧縮ばね54によって、ピストン52がキャリッジ46を介して牽引ロープ48をエンジニアリングブロック12に引く方向に付勢され、このようにして、後で詳しく説明するように、連結アームを支持、固定し、または引締める。ばねによる付勢によって、アイドル状態、すなわち外からの介入がないとき、連結アーム14は固定またはロックされた状態にある。
【0049】
それ自体が柔軟な連結アーム14を何れの方向にも曲げられるようにするために、ばね付勢は逆転できなければならない。これは、外部動力源により行われる。圧縮空気コネクタ30を介してシリンダピストン機構44のシリンダチャンバ56へと供給される圧縮空気の支援により、らせん圧縮ばね54の圧縮力に対抗してピストン52を反対方向に作動させることができ、それゆえ、キャリッジ46を適切に移動させることによって牽引ロープ48を解放または弛緩させ、それゆえ固定された連結アーム14を解放できる。
【0050】
1つまたは複数のピストンリング58は、シリンダチャンバ56のうち圧縮空気により加圧された部分を、シリンダチャンバ56のうちらせん圧縮ばね54が設けられている部分から気密状態で分離すること保証する。ピストン52、すなわちキャリッジ46の移動はそれぞれのストッパによって両方向に限定され、硬直と弛緩に関する調節のための所定の移動距離が設定される。
【0051】
以下に、エンジニアリングモジュールAへの作業モジュールBの連結についてより詳しく説明する。
【0052】
作業モジュールBとエンジニアリングモジュールAとの間の接合部は、2つのユニット間の純粋に機械的な連結だけでなく、信号に関する機能的な連結も実現するように機能し、これは、一方で、先端側操作要素26を介した入力された制御信号はエンジニアリングブロック12へ送信され、およびそこから、適当な制御要素によって、制御信号ライン20bを介してアダプタユニット18へと送信しなければならず、他方で、連結アーム14内に延伸する牽引ロープ48をシリンダピストン機構44に連結しなければならないからである。
【0053】
モジュールAをモジュールBに機械的に連結するために、エンジニアリングブロック12の、固定部分36の直上に設けられた連結部分34は、垂直に延びるアリ継ぎガイド60を含み、これは作業モジュールBの連結部分64にある相補的なガイドシート62(
図5参照)との嵌合接続を形成する。この目的のために、連結部分64はアリ継ぎガイド60に垂直に押し込まれ、最終的に2つの連結部分34と64が表面接触するようになる。2つの連結部分34と64を取り外し可能にロックするために、作業モジュールBの連結部分64に、ばね付勢ロックラグの形態のロッキング要素66が設けられる。さらに、連結部分64の下面には2つの電気コンタクト68が設けられ、これは、2つのモジュールAとBが連結され、ロックされた作業位置にあるときに、エンジニアリングブロック12の連結部分34の、それに対応する接点70と接触する。電気コンタクト68は、電気ライン90を介して先端側操作要素26と連通する。エンジニアリングブロック12の中には同じく、接点70を外部の制御ライン20bに接続するためのライン(図示せず)も設けられる。
【0054】
さらに、
図5から、牽引ロープ48のエンドピース72が明らかである。エンドピース72は、回転対称の輪郭形状の回転部材であり、これはキャリッジ46の中の、それに対応する窪み74に正確に嵌り、このようにしてキャリッジ46に軸方向または引張方向に嵌合結合できる。牽引ロープ48の自由端におけるエンドピース72により、連結部分64を通って案内される牽引ロープ48が確実に解かれなくなる。
【0055】
スライド46が完全に延ばされた位置にあるときに、エンドピース72を窪み74に上から挿入できる。アイドル状態ではキャリッジ46はばね54の付勢によって引っ込められているため、エンドピース72を窪み74に挿入するためには、シリンダピストン機構44を介してキャリッジ46を延ばさなければならない。エンジニアリングブロック12の操作要素28を操作することにより、圧縮空気がエンジニアリングブロック12に供給され、ピストン52が圧縮されて、これがばね54のばね力に対抗して連結アームに向かって(
図4の左側に)移動し、その結果、圧縮空気は、キャリッジ46を筐体部分32の外へ、牽引ロープ48の自由端またはエンドピース72をキャリッジ46の窪み74に挿入できるところまで押し出す。操作要素28を放すと、圧縮空気の供給が停止する。らせん圧縮ばね54がピストン52を再びそのアイドル位置へと移動させ、これによってキャリッジ46は、牽引ロープ48のエンドピース72と共に引っ込められる。キャリッジ46を引っ込めることにより、牽引ロープ48はさらに引締められ、連結アーム14はその現在の位置に固定および静止される。エンドピース72がキャリッジ46の窪み74に固定されている状態で、キャリッジ46は、その引込み位置において、筐体部分32の内部に位置する。
【0056】
図6は作業モジュールBの全体を示しており、これは連結部分64と、基端側ジョイント76と、実際の連結アーム14と、連結アーム14の先端に配置された先端側操作要素26と、先端側旋回ジョイント78と、保持要素16と、を含む。基端側(球)ジョイント76によって、連結アーム14は縦軸の周囲で連結部分64に関して回転でき、さらに、連結アーム14が旋回運動できるようにするため、連結アーム14を患者の体腔の中へと垂直に下降させることができる。先端側旋回ジョイント78により、保持要素16は連結アーム14の先端に関して旋回運動できる。保持要素16を、例えば真空援用安定化または位置決め要素の形態とすることができる。それが安定化要素である場合、引張力が牽引ロープ48に加えられるとすぐに、真空支援U字形部材が連結アーム14と共にロックされる。保持要素16の作業端は通常、組織、またはその他の解剖学的状態に完全に適合するように、柔らかい材料で作製されており、それゆえ、漏れのない真空を可能とする。保持要素16は真空によって組織および/または臓器に吸着できる。真空を提供するために、保持要素16はコネクタ80を含み、これによって、ここには示されていない真空ラインを介して保持要素16を真空により加圧できる。別の実施形態において、保持要素16には、外科手術中に連結アーム14によって保持され、位置決めされるほとんどの各種の単回使用または再使用可能の手術器具および器材の接続を可能にするためのユニバーサルアダプタを設けることができる。
【0057】
図7に示されるように、牽引ロープ48が連結アーム14の中に延伸しており、図中、説明のために連結アーム14の連結要素82のいくつかが省略されている。柔軟連結アーム14は複数の回転対称の個別連結要素82からなり、これらは大きさ以外同じであり、複数の一連の球面ジョイントのように動作する。連結要素82は実質的に球面スリーブまたは球面キャロットの形状であり、中央の貫通穴84と、先端側球状外面86と、基端側球状内面88と、を有する。隣接する連結要素82は前記球面部分86、88において相互に接触し、すなわち牽引ロープ48を介して接触状態に保たれる。
【0058】
連結要素82は、例えば射出成形によって安価に製造可能である。そのために、圧縮に関して非常に硬い材料を提供しなければならない。相互に対してスライドする連結要素82間の摩擦係数を増大させるために、複合的材料もまた使用できる。特に、相互に対してスライドする球面86、88を適切にコーティングすることができる。
【0059】
連結要素82は、第一の連結要素82、すなわち基端側の基端側ジョイント76に対して、その中の中央に延伸する牽引ロープ48を介して支持でき、これは最後の連結要素82、すなわち先端側の先端側旋回ジョイント78に連結される。球面86、88間の押し嵌めまたは摩擦嵌合により、個別連結要素82を相互に関してほとんどあらゆる位置に固定でき、それゆえ、連結アーム14を固定または引締めることができる。同時に、このようにして基端側ジョイント76と先端側ジョイント78がロックされる。反対に、牽引ロープ48が弛緩されると、個別連結要素82間の摩擦嵌合が外れ、これらは相互に関して再び滑り、相互に関して移動可能となる。
【0060】
さらに、
図6から、連結アーム14の基端の連結要素82が連結アーム14の先端の連結要素82より大きいことが明らかである。これは以下の理由による。連結要素82が先端側に位置付けられるほど、横方向の力が発生したときに当該連結要素82に作用する曲げモーメントが小さくなる。横方向の力がアームにかけられたとき、曲げモーメントは基端側連結要素82において、すなわち先端からの距離が最も長い連結要素において最も大きいため、当該連結要素はまず相互に対して移動する。予想される曲げモーメントの経路に応じて連結要素82の異なる直径を適正に選択することによって、アームの均一な曲げを実現できる。
【0061】
この実施形態において電気押しボタンとして構成される先端側操作要素26は2本の電気ライン90を介して接続され、これらは連結要素82の内部を通って同様に案内され、入力制御信号を連結部分64の電気コンタクト68に送信する。ライン90が連結要素82の内部に延伸しているため、これらは外的影響から保護される。しかしながら、個別連結要素82と牽引ロープ48の動きによってライン90が損傷または損害を受けないように注意を払わなければならない。
【0062】
このような背景から、
図8に示されるように、個別連結要素82は、牽引ロープ48のための中央貫通穴84とは別に、1つまたは複数の偏心的に配置された窪み92を含み、その中にホース、ケーブルまたはその他の動力伝送ライン90が延伸し、それと並行する牽引ロープ48の動きから保護される。
【0063】
個別連結要素82は相互に関して横方向に推移または傾斜する可能性があるだけでなく、相互に関して捩られる可能性もあるため、その結果、ライン90が捩られ、おそらく損傷するかもしれない。このような背景から、
図9に示される第二の実施形態による連結要素82’においては、中央貫通穴84とライン90のための窪み92が、連結要素82’の中に縦軸の周囲で回転可能に収容された回転ディスク94に設けられている。前記回転ディスク94は、それゆえ、連結要素82の捩れを補償できる。
【0064】
第三の実施形態の連結要素82’’が
図10に示されている。
図10は、連結要素82’’の捩れ防止保護のための嵌合式係合要素96、98が設けられた2つの連結要素82’’を示している。一方で、係合要素96、98は球状外面86’’の領域に形成れた突起96であり、他方で、球状内面88’’の領域における切欠き98であり、突起96が切欠き98に係合する。
図10から明らかなように、切欠き98の幅は突起96の幅より大きく、それによって特定の回転自由度が付与され、突起96は切欠き98の内部で回転方向に幾分移動できる。
【0065】
図11は、本発明の第四の実施形態による外科装置10’の斜視図を示す。上述の実施形態との最も重大な相違点は、連結アーム14’の拡大連結部分64’の中に、一体型圧縮空気カートリッジ22’の形態で動力源が一体に組み込まれている点である。
【0066】
機能面では、一方で、連結部分64’により、牽引ロープ48’とシリンダピストン機構44’に関して、すなわちエンドピース72’と窪み74’に関して、また電気コンタクト68’と接点70’に関して、連結アーム14’とエンジニアリングブロック12’を本発明の第一の実施形態による連結アーム14とエンジニアリングブロック12と同じように連結できることが確実となる。しかしながら、他方で、第四の実施形態による外科装置10’はさらに、連結アーム14’とエンジニアリングブロック12’において、一体化された圧縮空気カートリッジ22’をシリンダピストン機構44’に確実に接続できるようにするための構成要素も含む。
【0067】
第四の実施形態の具体的な構成は、作業モジュールB’の先端領域において、フォーク状の保持要素16’と連結アーム14’との間の旋回ジョイント78’の実現に関し、旋回軸が第一の実施形態と比較して垂直に捩れるように延びている点で異なる。したがって、保持要素16の水平回転ではなく上下回転が可能となる。
【0068】
取り扱いやすくするために、先端側操作要素26’は操作要素26’の直接的な周辺領域に関して上昇及び露出される。
【0069】
最初の3つの実施形態と異なり、第四の実施形態の連結アーム14’の連結要素82’’’の外径は、連結アーム14’の長さ全体にわたり変化しない。それでも依然として曲げモーメントの経路に対応する連結アーム14’の均一な柔軟性を得るために、連結要素82’’’のそれぞれのテーパ角度α(
図9参照)は、エンジニアリングブロック12’から保持要素16に向かって徐々に(すなわち、各連結要素82’’’について個別に調整される)または部分的に(すなわち、連結アーム14’の1つの部分に相当する隣接する複数の連結要素82’’’について調整される)増大される。
【0070】
説明のために個別連結要素82’’’が示されていない
図12aと12bに示されるように、牽引ロープ48’は連結アーム14’の中央に延伸し、牽引ロープ48’の円周にわたり均一に分散された3本の電気ライン90’が連結アーム14’の内部に延伸する。
【0071】
作業モジュールB’の連結部分64’のうち、連結アーム14’と整合する領域において、牽引ロープ48’と電気ライン90’の両方が連結部分64’の前面から、連結アーム14’を始点として、連結部分64’の後面に向かって、電気コンタクト68’とエンドピース72’の、それに対応する接続部まで案内される。
【0072】
エンドピース72’はT字形であり、T字形のエンドピース72’の交差する梁が好ましくは、組立中に作業モジュールB’の連結部分64’がエンジニアリングモジュールA’の連結部分34’に挿入される方向に対して横方向である。
【0073】
作業モジュールB’の連結部分64’のうち、連結アーム14’と整合しない領域において、一体型の圧縮空気カートリッジ22’が収容される。
図13aと13bから明らかであるように、圧縮空気カートリッジ22’は作業モジュールB’の連結部分64’に配置され、連結部分64’の後面で封止膜25の形態の圧縮空気カートリッジ22’の接続を利用できる。接続レバー35を旋回させることにより、圧縮空気カートリッジ22’を軸方向に、すなわち、連結部分64’の後面に対して実質的に垂直または横方向に移動させることができる。
【0074】
連結部分64’の後方面は、円柱面となるように形成または湾曲され、それは下側領域で線形に整列する連結アーム14’に対して実質的に垂直に延び、上側領域ではそれに対して斜めに延びる。
【0075】
連結部分64’の後方面に隣接する連結部分64’の下面において、2つの連結突起37Bが下向きに突出する。
【0076】
図14は、第四の実施形態による外科装置10’のエンジニアリングモジュールA’の正面斜視図を示し、作業モジュールB’の後面がそこに連結されるように適合している。
【0077】
作業モジュールB’の連結部分64’のうち、連結アーム14’と整合する領域に対応して、エンジニアリングモジュールA’の連結部分34’のうち、連結アーム14’と整合する領域に、接点70’の形態と窪み74’の形態のコネクタが設けられ、これらのコネクタは、作業モジュールB’をエンジニアリングモジュールA’に取り付けている間に電気コンタクト68’とエンドピース72’に接続される。
【0078】
エンジニアリングモジュールA’の連結部分34’のうち、連結アーム14’と整合しない領域の前面に、穿孔器31と圧力制御ユニット19を含む圧縮空気コネクタが配置される。
【0079】
エンジニアリングモジュールA’の固定部分36’は最初の3つの実施形態の固定部分36に実質的に対応するが、前方に突出しており、作業モジュールB’の連結部分64’はエンジニアリングモジュールA’の前面と接触するだけでなく、エンジニアリングモジュールA’の固定部分36’の上面の部品上に載る。固定部分36’の上面に2つの連結用窪み37Cが設けられている。
【0080】
エンジニアリングブロックA’の側面において、レバー用窪み37Aは、作業モジュールB’へと旋回された接続レバー35を、エンジニアリングモジュールA’と作業モジュールB’が連結のために相互に関して所定の位置に設置されたときにしかレバー用窪み37Aの中へと折り曲げることができないような形状である。接続レバー35をその折り曲げ位置にロックするために、接続レバー35を拘束するためのロッキングスライド33が設けられている。
【0081】
エンジニアリングモジュールA’の連結部分34’の前方面は、作業モジュールB’の連結部分64’の後方面に合わせて調節され、したがって、連結部分64’の後方面と同じ円柱曲面を呈する。
【0082】
図15は、第四の実施形態による外科装置10’のエンジニアリングブロック12’の断面図を示す。
図4との比較によっても説明されるように、第四の実施形態において、スライド46’とピストン52’は同軸に、一体部品として形成される。この実施形態によれば、接続中間ジョイント50は不要である。
【0083】
スライド46’の窪み74’はクランプラグ75を含み、これは、エンドピース72’が窪み74’に挿入されたときに、シリンダピストン機構44がピストン52’を軸方向に挿入することによって移動できるような形状である。エンドピース72’が窪み74’に挿入されると、シリンダピストン機構44’は、らせん圧縮ばね54により加えられる力に打ち勝つ間、連結アーム14’に向かって移動して特定の転換位置に到達し、転換地点を過ぎた後、らせん圧縮ばね54により加えられる力の支援により、シリンダピストン機構44’は連結アーム14’から離れるように移動する。したがって、クランプラグ75によって、連結アーム14’の張力を作業モジュールB’の組立中にすでに発生させることができる。クランプラグ75は、先端側操作要素26’を操作することによってシリンダピストン機構44’を調節した後でなければエンドピース25を窪みから再び取り外すことができないような形状とすることができ、すなわち、それゆえ、エンドピース72’は自己ロッキングによって外れないようになっている。それ以外に、
図15に示されるように、窪み74’の形状を、単に作業モジュールB’の連結部分64’を持ち上げるだけでらせん圧縮ばね54の張力に打ち勝つことができ、このようにして窪み74’のエンドピース72を外すことができる。この場合、圧縮空気カートリッジ22’の形態の動力源の支援による硬直機構(44’、48’)の駆動は、取り付けられた状態で連結アーム14’を調節するためにのみ使用される。
【0084】
最初の3つの実施形態による本発明の装置10の組立は以下のとおりである。
【0085】
まず、エンジニアリングブロック12を、圧縮空気ライン20aを介してアダプタユニット18と、圧縮空気ラインに接続する。圧縮空気源、例えば圧縮空気カートリッジ22をアダプタユニット18に接続する。次に、エンジニアリングブロック12を手術部位付近の支持手段、例えば開胸器に固定部分36を介して固定する。その後、またはそれ以前にすでに、作業モジュールBをエンジニアリングモジュールA、すなわちエンジニアリングブロック12に接続する。このために、基端側操作要素28を押し、キャリッジ46が筐体部分32から外に出るようにする。作業モジュールBの連結部分64をエンジニアリングモジュールAの連結部分34に接続すると、アリ継ぎガイド60とシート62が2つのモジュールAとBとの間の形態拘束を確立する。さらに、コンタクト68と70との間の電気接続が行われる。さらに、連結部分64上でスライドさせると、牽引ロープ48の突出エンドピース72がキャリッジ46の適当な窪み74の中に同時に挿入されるため、牽引ロープ48がシリンダピストン機構44に連結される。基端側操作要素28を再び放すと、キャリッジ46は再び筐体32の中に引っ込められ、そうする間に牽引ロープ48が緊張し、連結アーム14および保持要素16がそれぞれの位置と姿勢に固定される。
【0086】
第四の実施形態による本発明の装置10の組立は以下のとおりである。
【0087】
まず、エンジニアリングブロック12’を、固定部分36’を介して手術部位の付近の支持手段、例えば開胸器に固定する。その後、またはそれ以前にすでに、作業モジュールB’をエンジニアリングモジュールA’とエンジニアリングブロック12’に接続する。この目的のために、接続レバー35がその開状態にある時に、連結アーム14’の基端または連結部分64’をエンジニアリングブロック12’の連結部分34’に向かって案内し、連結用突起37Bが連結用窪み37Cの中に入るようにする。
【0088】
図15からわかるように、牽引ロープ48’のエンドピース72’が同時にシリンダピストン機構44’の窪み74’の中に入る。クランプラグ75によって、エンドピース72’は、窪み74’の中に入る際に基端側に引っ張られ、それゆえ、連結アーム14’が緊張する。
【0089】
連結用突起37Bが窪みに入った後、接続レバー35が開いているときに作業モジュールB’の連結部分64’が停止する位置に置かれるまでは、接続レバー35を専用のレバー用窪み37Aの中に、およびそれゆえその閉位置へと旋回させることができない。
【0090】
一体型の圧縮空気カートリッジ22’を連結アーム14’の基端に配置し、連結アーム14’の組立中に、その接続部がエンジニアリングブロック12’に向かうようにする。一体型の圧縮空気カートリッジ22’の圧縮空気接続部は封止膜25によって形成され、一体型の圧縮空気カートリッジ22’からエンジニアリングブロック12’へと圧縮空気を供給するには、これを穿刺しなければならない。膜25が穿刺されると、それ以上、少なくとも多大な労力を払わないかぎり、一体化された圧縮空気カートリッジ22を再び閉じて密閉することはできず、ましてや圧縮空気を再充填することはできない。
【0091】
本発明の第四の実施形態において、膜25は、エンジニアリングブロック12’の連結部分34’に配置された移動可能な穿孔器31を援用して穿孔される。連結アーム14’の連結部分64’とエンジニアリングブロック12’の連結部分34’が相互に関して専用の位置に設置されている場合、接続レバー35の衝撃によって、穿孔器31と膜25との間の距離が短くなり、穿孔が行われる。
【0092】
図のように、接続レバー35を連結アーム14’に設けることができ、それゆえ、一体型の圧縮空気カートリッジ22’および、それゆえ膜25だけを穿孔器31に向かって移動させることができる。あるいは、接続レバー35をエンジニアリングブロック12’に設けて、穿孔器31だけを膜25の方向に移動できるようにするか、または穿孔器31と膜25の両方を移動できるようにすることも可能であろう。
【0093】
接続レバー35により、確実に膜25が穿孔されるだけでなく、一体型の圧縮空気カートリッジ22’がシリンダピストン機構44’に、圧力制御ニット19によって確実に接続されることにもなる。
【0094】
膜25が穿孔される直前に、穿孔部位の周辺の領域は外部から密閉されている。これは、封止のために設けられた構成要素と膜25を穿孔するために移動可能に構成された構成要素(膜25および/または穿孔器31)が異なる方法で支持されて、封止のために設けられた構成要素と膜25を穿孔するために移動可能に設計された構成要素の両方が接続レバー35によって制御可能であるが、封止のために設けられた構成要素が膜25を穿孔するために移動可能に設計された構成要素より優位であるという事実により実現される。
【0095】
本発明による装置10の動作モードは以下のとおりである。
【0096】
先端側操作要素26を操作することによって、アダプタユニット18またはエンジニアリングブロック12の中の圧縮空気弁が適当な電気信号によって制御され、最初の3つの実施形態におけるこの圧縮空気弁は、圧縮空気ライン20aを介してエンジニアリングブロック12内のピストン52を加圧し、牽引ロープ48を弛緩させる。このようにして、外科医は片手で先端にある連結アーム14を把持し、それを適切に変形させて、保持要素16を体腔内の、安定化させるべき組織または保持するべき臓器へと案内することができる。外科医が先端側の操作要素を放し、またはそれを繰り返し操作する場合、硬直機構への外部からのエネルギー供給、すなわちシリンダピストン機構44への圧縮空気供給が停止され、圧縮機構はらせん圧縮ばね54を介して再び硬直され、それによって連結アーム14と保持要素16がそれぞれの現在の位置において固定され、または静止される。
【0097】
先端側操作要素26または基端側操作要素28を繰り返し操作することによって、硬直機構を再び弛緩させて、連結アーム14を再調節し、または体腔から取り外すことができる。
【0098】
第四の実施形態による外科装置10’において、連結アーム14’を初めて取り付けた後に再び取り外す場合、接続レバー35を開くことによって、まず、膜と圧力制御ユニットとの接続部の気密状態が破られる。それゆえ、残っている圧縮空気は使用されないまま、一体型の圧縮空気カートリッジ22’から漏出する。その結果、連結アーム14’は、2回目の取り付け以降、シリンダピストン機構44’によって調節することはできず、れゆえ、その機能のほとんどを失う。
【0099】
しかしながら、本発明は上で詳しく説明した実施形態に限定されず、付属の特許請求の範囲の保護範囲内で変更を加えることができる。以下に、このような変形版の可能性のいくつかを挙げる。
【0100】
作業モジュールBとエンジニアリングモジュールAのモジュール式設計の代わりに、後者を一体部品として設計でき、全体を単回使用の構成要素として提供できる。このようにして、2つのユニット間の接合部と接続のための関連する操作ステップが省かれる。この概念を今度は、1つだけの、理想的には先端側に配置された操作要素にも、または外部のエネルギーの流れを制御するための2つの操作要素にも実施できる。
【0101】
第一の実施形態によれば、圧縮空気は圧縮空気カートリッジ22から供給され、完全に自立的な動作が可能となる。圧縮空気カートリッジ22の代わりに、圧縮空気ホースをアダプタユニット18の圧縮空気コネクタ24に接続でき、その他のあらゆる圧縮空気源、例えば手術室にある給気設備に連結できる。
【0102】
先端側操作要素26とエンジニアリングブロック12との間のエネルギー輸送ライン90を連結アーム14の外部にも延伸することができる。保持要素16の真空ラインも同様に、連結アーム14の中に延伸することができ、その場合、モジュールAとBとの間の適切な接合およびラインとコネクタをエンジニアリングブロック12の中に設ける必要がある。
【0103】
アダプタユニット18の流体制御要素はまた、電気の代わりに空気圧で制御することもでき、圧縮空気ピストン52を例えば8バールの圧力の作業媒媒体空気で動作させ、その一方で、エネルギーの流れを解放する弁を格段に低い圧力で制御することができる。前記の低い圧力により、今度は、より薄い壁とはるかにコンパクトな操作要素を有する、より柔軟な制御ラインが提供される。
【0104】
流体制御要素をエンジニアリングブロック12の中に設置してもよく、圧縮空気源をエンジニアリングブロック12に直接接続してもよい。
【0105】
本発明は、動いている組織を安定化もしくは静止させるため、または臓器、特に拍動中の心臓の一部を位置決めするための外科装置を説明しており、これは基礎部材に固定された、または固定可能な柔軟アーム4’、特に連結アームを含み、このアームは異なる位置および/または姿勢にすることができ、その自由端には、少なくとも1つの保持要素16が配置され、また、アームを所望の位置に固定できるようにするための硬直機構44、48、44’、48’を含む。硬直機構44、48、44’、48’は手動で制御可能な外部動力源22、22’によって緊張および/または弛緩される。
また、以下の項目は、国際出願時の特許請求の範囲に記載の要素である。
(項目1)
外科処置中に動いている組織、例えば拍動中の心臓の一部を安定化もしくは静止させるため、又は、臓器を位置決めするため若しくは手術器具と器材を位置決めし保持するための外科装置(10、10’)であり、
手術部位内、またはそこに設置された保持装置、特に開胸器に固定部分(36、36’)を用いて固定されるように適合した基礎部材(12、12’)と、
前記基礎部材(12、12’)に固定され、または固定されるように適合する柔軟アーム(14、14’)、特に連結アームであって、様々な位置および/または姿勢に移動させることができ、その自由端に少なくとも1つの保持要素(16)が配置される柔軟アームと、
前記アームを所望の位置に固定できる硬直機構(44、48,44’、48’)と、を備え、
前記硬直機構(44、48、44’、48’)が、手動で制御可能な動力源(22、22’)を用いて硬直および/または弛緩される、
ことを特徴とする外科装置(10、10’)。
(項目2)
前記動力源(22)が、外付けであり、特に前記基礎部材(12、12’)の外部にあることを特徴とする、項目1に記載の外科装置(10)。
(項目3)
前記動力源(22、22’)が、前記アーム(14、14’)の先端側および/または基端側、および/または前記基礎部材(12、12’)に配置された少なくとも1つの手動式操作要素(26、28、26’)を介して制御可能であることを特徴とする、項目1または2に記載の外科装置(10、10’)。
(項目4)
前記硬直機構(44、48、44’、48’)の硬直が、自動的に、特にばね力(54)によって行われ、前記硬直機構(44、48、44’、48’)の弛緩が前記動力源(22、22’)によって行われることを特徴とする、項目1から3のいずれか一項に記載の外科装置(10、10’)。
(項目5)
前記硬直機構(44、48、44’、48’)が、
前記アーム(14、14’)の、相互に対して移動可能であり特に相補的である、複数の連結要素(82、82’、82’’、82’’’)を通って案内される牽引ロープ(48、48’)であって、前記連結要素(82、82’、82’’、82’’’)は牽引ロープ(48、48’)により摩擦で相互に固定することができる、牽引ロープ(48、48’)と、
前記牽引ロープ(48、48’)を作動させるために前記動力源(22、22’)を介して操作可能な作動機構(44、44’)と、を含む、
ことを特徴とする、項目1から4のいずれか一項に記載の外科装置(10、10’)。
(項目6)
前記動力源(22、22’)は、油圧源又は空気圧源若しくは電源であり、
前記作動機構(44、44’)は、油圧、空気圧、又は、電気モータによって作動されるシリンダピストン機構(44、44’)であり、
前記シリンダピストン機構(44、44’)に作用する流体圧力を制御するための流体制御手段、又は、前記シリンダピストン機構(44、44’)を移動させるために電気モータに作用する電力を制御するための電気制御装置が、前記少なくとも1つの操作要素(26、28、26’)を介して制御可能であることを特徴とする、項目5に記載の外科装置(10、10’)。
(項目7)
前記連結要素(82、82’、82’’)の各々が、前記牽引ロープ(48、48’)のための1つの中央牽引ロープ通路(84)と、ライン(90、90’)のための、特に前記先端側操作要素(26、26’)と前記流体制御手段又は前記電気制御装置との間の制御ラインのための、少なくとも1つの偏心的に配置された窪み(92)と、を含むことを特徴とする、項目5または6に記載の外科装置(10、10’)。
(項目8)
前記中央牽引ロープ通路(84)と前記少なくとも1つの窪み(92)が、前記連結要素(82’)内で回転可能に支持される回転ディスク(94)に設けられることを特徴とする、項目7に記載の外科装置(10、10’)。
(項目9)
前記連結要素(82’’)が、前記牽引ロープ(48、48’)の周囲で前記連結要素(82’’)が捩じれることを制限するように回転防止保護手段、特に係合型ロッキング要素(96、98)を含むことを特徴とする、項目7に記載の外科装置(10、10’)。
(項目10)
前記装置(10、10’)がモジュール式構造を有し、前記アーム(14、14’)を前記基礎部材(12、12’)に機械的に、特に確実に、接続でき、機械的接続が行われたときに、前記牽引ロープ(48、48’)が同時に前記シリンダピストン機構(44、44’)の設定要素(46、46’)に連結され、制御ライン接合部(68、70、68’、70’)が相互接続されることを特徴とする、項目5から9のいずれか一項に記載の外科装置(10、10’)。
(項目11)
少なくとも1つの動力源(22)と前記基礎部材(12)との間において、取り外し可能ライン(20)を介して、一方で前記基礎部材(12)に、他方で前記少なくとも1つの動力源(22)に接続されるアダプタユニット(18)が相互接続されることを特徴とする、項目1から10のいずれか一項に記載の外科装置(10、10’)。
(項目12)
前記流体制御手段又は前記電気制御装置が前記アダプタユニット(18)内に配置されることを特徴とする、項目11に記載の外科装置(10)。
(項目13)
自己完結型のエネルギー貯蔵ユニット(22’)の形態の前記動力源が前記アーム(14’)に取り外し可能に挿入でき、またはその中に一体化され、前記アーム(14’)と前記基礎部材(12’)との間に前記機械的接続がなされたときに、同時に前記基礎部材(12’)と前記エネルギー貯蔵ユニット(22’)も相互接続されることを特徴とする、項目10に記載の外科装置(10’)。
(項目14)
前記エネルギー貯蔵ユニット(22’)が前記アーム(14’)に固定して一体化され、前記アーム(14’)は、単回使用のために設計され、前記エネルギー貯蔵ユニット(22’)に貯蔵された前記エネルギーを使用でき、および/または、前記アーム(14’)を初めて前記基礎部材(12’)に連結したときから前記アーム(14’)を前記基礎部材(12’)から初めて取り外すまでの使用期間のために設計されることを特徴とする、項目13に記載の外科装置(10’)。
(項目15)
前記保持要素(16)に、様々な種類の単回使用または再使用可能の手術器具と機器を接続するためのユニバーサルアダプタが設けられることを特徴とする、項目1から14のいずれか一項に記載の外科装置(10、10’)。
(項目16)
動いている組織を安定化もしくは静止させるため、または臓器、特に拍動中の心臓の一部を位置決めするための手術用作業アーム(B、B’)であり、
様々な位置に移動することができる柔軟連結アーム(14、14’)であって、相互に対して移動可能であり、特に相補的に形成された複数の一連の連結要素(82、82’、82’’、82’’’)を含む柔軟連結アーム(14、14’)と、
前記連結アーム(14、14’)の先端に配置された少なくとも1つの保持要素(16)と、を備え、
前記作業アーム(B、B’)を外科装置(A、A’)に機械的および機能的に接続するための連結部分(64、64’)を備えること、
前記連結要素(82、82’、82’’、82’’’)を通って案内され、前記連結要素(82、82’、82’’、82’’’)を摩擦により相互に固定することができる牽引ロープ(48、48’)であって、前記外科装置に設けられた硬直機構(44、44’)に、工具を使用せずに、特に確実に接続可能な基端側接続部分(72、72)を含むこと、
を特徴とする手術用作業アーム(B、B’)。
(項目17)
前記連結アーム(14、14’)の先端に配置され、前記外科装置に設けられた前記硬直機構(44、44’)を制御するための操作要素(26、26’)と、
特に前記連結アーム(14、14’)内で延伸し、制御信号または命令を前記外科装置(A、A’)に伝達するために、前記操作要素(26、26’)によって、前記連結部分(64、64’)に設けられる接合部(68、68’)に接続される制御ライン(90、90’)と、
をさらに備える、項目16に記載の手術用作業アーム(B、B’)。
(項目18)
前記保持要素(16)に、様々な種類の単回使用または再使用可能の手術器具と機器を接続するためのユニバーサルアダプタが設けられることを特徴とする、項目16または17に記載の手術用作業アーム(B、B’)。
(項目19)
エネルギー貯蔵ユニット(22’)を前記アーム(14’)に取り外し可能に挿入でき、またはその中に一体化され、特に、前記作業アーム(B、B’)を前記外科装置(A、A’)に機械的および機能的に接続すると、前記エネルギー貯蔵ユニット(22’)から前記外科装置(A、A’)にエネルギーを供給することができることを特徴とする、項目16から18のいずれか一項に記載の手術用作業アーム(B、B’)。