(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に、本発明の好ましい実施形態を、図面を参照して詳しく説明する。
なお、以下に説明する実施形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。また、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0022】
図1は、本発明の第1実施形態に係るエアクッション機玩具を表す斜視図である。
図2は、本実施形態の第1変形例に係るエアクッション機玩具を表す斜視図である。
図1に表したように、本発明の第1実施形態に係るエアクッション機玩具2は、本体3と、スカート部4と、を備え、エアクッションを利用して機体を浮上させ移動する。
【0023】
本体3は、エアクッション機玩具2の機体として設けられており、例えばABS樹脂やポリカーボネートなどの樹脂材料により形成されている。本体3は、本体3の外部の空気を本体3の内部に導入可能にする空気導入孔31を有する。つまり、本体3の外部の空気は、空気導入孔31を通り、本体3の内部に導入される。空気導入孔31の設置数および設置位置は、特には限定されない。
【0024】
本体3の後部には、水平尾翼32が設けられている。あるいは、
図2に表した本実施形態の第1変形例に係るエアクッション機玩具2Aのように、本体3の後部には、垂直尾翼33が設けられていてもよい。あるいは、水平尾翼32および垂直尾翼33の両方が設けられていてもよい。以下の説明では、
図1に表したエアクッション機玩具2を例に挙げる。
【0025】
なお、本願明細書において、「前」とは、エアクッション機を運転する運転者からみて前側あるいは前方向をいう。ここでいう運転者は、本実施形態に係るエアクッション機玩具2を無線操縦あるいは有線操縦する操縦者ではなく、エアクッション機に乗車してエアクッション機を運転する仮想的な運転者である。「後」とは、エアクッション機の運転者からみて後側あるいは後方向をいう。「左」とは、エアクッション機の運転者からみて左側あるいは左方向をいう。「右」とは、エアクッション機の運転者からみて右側あるいは右方向をいう。「上」とは、エアクッション機の運転者からみて上側あるいは上方向をいう。「下」とは、エアクッション機の運転者からみて下側あるいは下方向をいう。
【0026】
スカート部4は、本体3の下部の周縁部に設けられており、例えばゴムやビニールなどの柔軟性を有する樹脂材料により形成されている。スカート部4は、スカート部4の内部に導かれる空気の量に応じて膨張したり収縮したりする。例えば、本体3の外部の空気が空気導入孔31を通して本体3の内部に導入されると、スカート部4は、膨張し、略円状の断面形状を有するようになる。
【0027】
図3は、本実施形態に係るエアクッション機玩具が浮上し静止している状態を表す断面図である。
図4は、本実施形態に係るエアクッション機玩具が浮上し左に移動している状態を表す断面図である。
なお、
図3および
図4は、
図1に表した切断面A−Aにおける断面図に相当する。
【0028】
図3および
図4に表したように、本実施形態に係るエアクッション機玩具2は、本体3と、スカート部4と、移動手段5と、緩衝部6と、制御部7と、を備える。
【0029】
本体3は、移動手段5を内部に収納している。移動手段5は、緩衝部6を介して本体3に取り付けられている。
図3および
図4に表した矢印A1および矢印A2のように、移動手段5は、複数のプロペラを有し、本体3の外部の空気を本体3の内部に空気導入孔31を通して吸引することができる。また、
図3および
図4に表した矢印A3および矢印A4のように、移動手段5は、空気導入孔31を通して本体3の内部に導入された空気を下側へ向かって送ることができる。
【0030】
図3および
図4に表した矢印A5および矢印A6のように、移動手段5により送り出された空気のうちの少なくとも一部は、スカート部4の内部に導かれる。スカート部4の内部に導かれた空気の圧力が所定以上になると、
図3および
図4に表したように、スカート部4は、膨張し、略円状の断面形状を有するようになる。また、移動手段5から送り出された空気のうちの少なくとも一部は、スカート部4と、本体3と、地面28と、で囲まれた空間27に溜まる。つまり、スカート部4は、移動手段5から送り出された空気が溜まる空間27を本体3とともに形成する。
【0031】
図3および
図4に表した矢印A7および矢印A8のように、空間27に溜まった空気の圧力が所定以上になると、空間27に溜まった空気は、スカート部4と、地面28と、の間の隙間29からエアクッション機玩具2の外部に流出する。これにより、本実施形態に係るエアクッション機玩具2は、本体3が停止している位置において浮上した状態になる。このように、空間27に溜まった空気が隙間29以外からエアクッション機玩具2の外部に逃げることをスカート部4が抑制することで、本実施形態に係るエアクッション機玩具2は、空間27に溜まった空気の圧力と、隙間29から流出する空気の力と、を利用して地面28から本体3を浮上させる。なお、本実施形態に係るエアクッション機玩具2は、地面28ではなく水面から本体3を浮上させることもできる。
【0032】
緩衝部6は、本体3と移動手段5との間に設けられ、本体3と移動手段5とを接続している。緩衝部6は、例えばゴムやビニールなどの弾性を有する弾性体である。
図3および
図4に表したように、緩衝部6は、蛇腹構造を有していてもよい。あるいは、緩衝部6は、必ずしも弾性体ではなくともよく、弾性体よりも硬い性質の樹脂あるいは金属などに形成され、継ぎ手の構造(ジョイント構造)を有していてもよい。緩衝部6は、移動手段5の傾きが本体3に伝わることを抑制する。この詳細を、図面を参照してさらに説明する。
【0033】
図5は、本実施形態の移動手段を表す平面図である。
図5に表したように、本実施形態の移動手段5は、移動手段本体51と、第1〜4駆動手段521、522、523、524と、第1〜4プロペラ531、532、533、534と、を有する。移動手段本体51は、全体として略矩形状に形成されているとともに、所定の厚さの板状に形成されている(
図3および
図4参照)。移動手段本体51は、略矩形の四隅の位置に設けられた円形状の孔541、542、543、544を有する。孔541、542、543、544は、移動手段本体51を厚さ方向に貫通している。
【0034】
第1〜4駆動手段521、522、523、524のそれぞれは、孔541、542、543、544のそれぞれの中心位置に配置され、支持部材551、552、553、554を介して移動手段本体51に固定されている。第1〜4駆動手段521、522、523、524は、例えば下側に向けて延びた回転軸を有するモータである。
【0035】
第1〜4プロペラ531、532、533、534のそれぞれは、第1〜4駆動手段521、522、523、524のそれぞれの回転軸に取り付けられ、第1〜4駆動手段521、522、523、524のそれぞれの回転軸から伝達される駆動力により駆動する。言い換えれば、第1〜4駆動手段521、522、523、524は、制御部7から送信された制御信号に基づいて第1〜4プロペラ531、532、533、534のそれぞれを駆動させる。つまり、制御部7は、第1〜4駆動手段521、522、523、524のそれぞれの駆動出力を個別に制御することができる。
【0036】
図5に表したように、一方の対角線上に配置された第1プロペラ531および第4プロペラ534は、互いに同じ右方向に回転する。一方で、他方の対角線上に配置された第2 プロペラ532および第3プロペラ533は、互いに同じ左方向に回転する。第1〜4プロペラ531、532、533、534は、回転することにより、本体3の下側へ向かって空気を送る。そのため、第1プロペラ531および第4プロペラ534のピッチ角の向きは、互いに同じである一方で、第2プロペラ532および第3プロペラ533のピッチ角の向きとは反対である。また、第1〜4プロペラ531、532、533、534のピッチ角は、固定されている。
【0037】
図6は、本実施形態の移動手段の変形例を表す平面図である。
図6に表したように、本変形例の移動手段5Aは、移動手段本体51Aと、第1〜3駆動手段521、522、523と、第1〜3プロペラ531、532、533と、を有していてもよい。このように、本実施形態の移動手段は、複数の駆動手段および複数のプロペラを有していればよい。駆動手段およびプロペラの数は、複数であればよく、特には限定されない。
【0038】
移動手段本体51Aは、全体として略三角形状に形成されているとともに、所定の厚さの板状に形成されている(
図3および
図4参照)。移動手段本体51Aは、各頂点の位置に設けられた円形状の孔541、542、543を有する。孔541、542、543は、移動手段本体51Aを厚さ方向に貫通している。第1〜3駆動手段521、522、523および第1〜3プロペラ531、532、533の設置態様は、
図5に関して前述した第1〜4駆動手段521、522、523、524および第1〜4プロペラ531、532、533、534の設置態様と同様である。
【0039】
前側に配置された第1プロペラ531および第2プロペラ532は、互いに反対方向に回転する。一方で、前側に配置された第1プロペラ531および後側に配置された第3プロペラ533は、互いに同じ方向に回転する。なお、後側に配置された第3プロペラ533の回転方向は、これだけには限定されず、前側に配置された第2プロペラ532の回転方向と同じであってもよい。第1〜3プロペラ531、532、533は、回転することにより、本体3の下側へ向かって空気を送る。そのため、第1プロペラ531のピッチ角の向きは、第2プロペラ532のピッチ角の向きとは反対である。また、
図6に表した例では、第3プロペラ533のピッチ角の向きは、第1プロペラ531のピッチ角の向きと同じである一方で、第2プロペラ532のピッチ角の向きとは反対である。
【0040】
図7は、本実施形態の制御部を表すブロック図である。
図8は、本実施形態の送信機を表すブロック図である。
図5および
図6に関して前述したように、
図6に表した移動手段5Aは、駆動手段およびプロペラの数について
図5に表した移動手段5とは異なる一方で、各部材の設置態様等については
図5に表した移動手段5と同様である。そのため、以下の説明では、
図5に表した移動手段5を例に挙げる。
【0041】
制御部7は、本体3の内部に設けられ、エアクッション機玩具2の進行(走行)を制御する。制御部7は、制御回路71と、駆動回路72と、受信回路73と、受信アンテナ74と、電池75と、電源スイッチ76と、を有する。受信回路73は、
図8に表した送信機8から送信された制御信号を受信アンテナ74を介して受信する。制御回路71は、受信回路73により受信された信号に基づいて制御信号を生成する。駆動回路72は、制御回路71により生成された制御信号に基づいて、第1〜4駆動手段521、522、523、524の駆動出力を制御する。このようにして、制御部7は、第1〜4プロペラ531、532、533、534を駆動させる第1〜4駆動手段521、522、523、524のそれぞれの駆動出力を個別に制御する。電源スイッチ76がオンに設定されると、電池75は、制御回路71、駆動回路72、受信回路73および第1〜4駆動手段521、522、523、524に電圧を供給する。
【0042】
送信機8は、エアクッション機玩具2の本体3とは別体として設けられ、エアクッション機玩具2の進行(走行)を制御する信号を制御部7へ送信する。送信機8は、送信回路81と、信号生成回路82と、操作部83と、送信アンテナ84と、電池85と、電源スイッチ86と、を有する。エアクッション機玩具2の操縦者は、操作部83を操作することによりエアクッション機玩具2の進行(走行)を制御することができる。操作部83は、例えば指先などで操作可能とされた操作レバー(図示せず)を有する。信号生成回路82は、操縦者による操作部83の操作に基づいて信号を生成する。送信回路81は、信号生成回路82により生成された信号を送信アンテナ84を介して電波等として制御部7へ送信する。電源スイッチ86がオンに設定されると、電池85は、送信回路81および信号生成回路82に電圧を供給する。
【0043】
操縦者がエアクッション機玩具2の本体3を地面28に置き、電源スイッチ76をオンに設定すると、制御部7の駆動回路72は、第1〜4駆動手段521、522、523、524を互いに同じ駆動出力で駆動させる。これにより、第1〜4プロペラ531、532、533、534は、互いに同じ速度で回転し、本体3の下側へ向かって空気を送る。そして、
図3および
図4に関して前述したように、エアクッション機玩具2は、本体3が停止している位置において地面28から浮上した状態になる。
【0044】
このとき、一方の対角線上に配置された第1プロペラ531および第4プロペラ534と、他方の対角線上に配置された第2プロペラ532および第3プロペラ533と、は互いに反対方向に同一速度で回転する。そのため、第1〜4プロペラ531、532、533、534の回転による反作用が互いに打ち消し合う。そのため、エアクッション機玩具2の本体3は、左右に旋回することなく、停止している位置において地面28から浮上する。
【0045】
次に、操縦者は、エアクッション機玩具2を浮上させた状態から前進させる場合には、送信機8の操作部83を適宜操作する。そうすると、第3駆動手段523および第4駆動手段524の駆動出力を上昇させる信号が、信号生成回路82により生成される。そして、信号生成回路82により生成された信号が送信アンテナ84を介して制御部7へ送信される。送信アンテナ84から送信された信号は、受信アンテナ74を介して受信回路73により受信される。制御回路71は、受信回路73により受信された信号に基づいて制御信号を生成し、駆動回路72に送信する。駆動回路72は、制御回路71により生成された制御信号に基づいて、第3駆動手段523および第4駆動手段524の駆動出力を上昇させる。これにより、移動手段本体51の後側に配置された第3プロペラ533および第4プロペラ534の回転速度が上昇する。そうすると、移動手段本体51の後側における送風量が増加する。これにより、移動手段5は、移動手段本体51を傾けて前進する。移動手段5が前進すると、前進する力が移動手段5から緩衝部6を介して本体3に伝達される。このようにして、エアクッション機玩具2は、本体3を浮上させた状態から前進することができる。
【0046】
エアクッション機玩具2が浮上した状態から後退する場合には、第1駆動手段521および第2駆動手段522の駆動出力を上昇させる信号が、信号生成回路82により生成される。また、エアクッション機玩具2が浮上した状態から左へ進行する場合には、第2駆動手段522および第4駆動手段524の駆動出力を上昇させる信号が、信号生成回路82により生成される。また、エアクッション機玩具2が浮上した状態から右へ進行する場合には、第1駆動手段521および第3駆動手段523の駆動出力を上昇させる信号が、信号生成回路82により生成される。そして、移動手段5は、後退する場合、左へ進行する場合、および右へ進行する場合において、移動手段本体51を傾けて移動する。その移動する力が移動手段5から緩衝部6を介して本体3に伝達されることにより、エアクッション機玩具2は、本体3を浮上させた状態から後退したり、左へ進行したり、右へ進行したりする。なお、
図4は、エアクッション機玩具2が本体3を浮上させた状態から左へ進行する状態を表している。
【0047】
ここで、前述したように、移動手段5は、移動手段本体51を傾けて移動し、本体3に移動する力を伝達する。そのため、例えば移動手段が本体に直接的に固定されている場合などのように、緩衝部6が設けられていない場合には、エアクッション機玩具は、本体を傾けて移動(進行)することになる。そうすると、スカート部と、地面または水面と、の間の隙間が本体の下部の周縁部において不均一になり、その隙間からエアクッション機玩具の外部へ流出する空気の量が不均一になるおそれがある。そうすると、エアクッション機玩具の浮上や移動が不安定になるおそれがある。
【0048】
これに対して、本実施形態に係るエアクッション機玩具2は、本体3と移動手段5とを接続する緩衝部6を備える。
図4に表したように、緩衝部6は、例えばゴムやビニールなどの弾性を有する弾性体であり、移動手段5の傾きが本体3に伝わることを抑制する。そのため、移動手段5が移動手段本体51を傾けて本体3を移動させるときに、移動手段5の傾きが本体3に伝わることは抑制される。そのため、スカート部4と、地面28と、の間の隙間29が本体3の下部の周縁部において不均一になることを抑え、エアクッション機玩具2の外部へ流出する空気の量が不均一になることを抑えることができる。そのため、エアクッション機玩具2の浮上や移動が不安定になることを抑えることができる。これにより、本実施形態に係るエアクッション機玩具2は、自由な方向に安定的に移動することができる。また、操縦者は、エアクッション機玩具2の遠隔操縦を簡単に行うことができる。
【0049】
また、緩衝部6が弾性体により形成されているため、比較的簡単な構成により、移動手段5の傾きが本体3に伝わることを抑制することができる。さらに、
図4に表したように、緩衝部6が蛇腹構造を有する場合には、比較的簡単な構成により、移動手段5の傾きが本体3に伝わることをより確実に抑制することができる。
【0050】
エアクッション機玩具2は、浮上した状態から前後左右に移動するだけではなく、浮上した状態から左および右に旋回することができる。操縦者は、エアクッション機玩具2を浮上させた状態から右に旋回させる場合には、送信機8の操作部83を適宜操作する。そうすると、第2駆動手段522および第3駆動手段523の駆動出力を上昇させる信号が、信号生成回路82により生成される。そして、信号生成回路82により生成された信号が送信アンテナ84を介して制御部7へ送信される。送信アンテナ84から送信された信号は、受信アンテナ74を介して受信回路73により受信される。制御回路71は、受信回路73により受信された信号に基づいて制御信号を生成し、駆動回路72に送信する。駆動回路72は、制御回路71により生成された制御信号に基づいて、第2駆動手段522および第3駆動手段523の駆動出力を上昇させる。これにより、他方の対角線上に配置された第2プロペラ532および第3プロペラ533の回転速度が上昇する。
【0051】
図5に表したように、第2プロペラ532および第3プロペラ533は、互いに同じ左方向に回転しているため、第2プロペラ532および第3プロペラ533の回転速度が上昇すると、移動手段本体51を右に旋回させる力が生ずる。これにより、移動手段5は、右に旋回する。このとき、移動手段5は、必ずしも移動手段本体51を傾けて右に旋回するわけではない。移動手段5が右に旋回すると、右に旋回する力が移動手段5から緩衝部6を介して本体3に伝達される。このようにして、エアクッション機玩具2は、本体3を浮上させた状態から右に旋回することができる。
【0052】
なお、エアクッション機玩具2が浮上した状態から左に旋回する場合には、第1駆動手段521および第4駆動手段524の駆動出力を上昇させる信号が、信号生成回路82により生成される。
【0053】
このように、本実施形態に係るエアクッション機玩具2は、自由な方向に移動することができる。このとき、緩衝部6は、移動手段5の傾きが本体3に伝わることを抑制する。そのため、エアクッション機玩具2は、安定的に移動することができる。また、操縦者は、エアクッション機玩具2の遠隔操縦を簡単に行うことができる。
【0054】
図9および
図10は、本実施形態の第2変形例に係るエアクッション機玩具を表す断面図である。
なお、
図9は、
図1に表した切断面A−Aにおける断面図に相当し、本実施形態の変形例に係るエアクッション機玩具が浮上し静止している状態を表す断面図である。
図10は、
図1に表した切断面A−Aにおける断面図に相当し、本実施形態の変形例に係るエアクッション機玩具が浮上し左に移動している状態を表す断面図である。
【0055】
本変形例の緩衝部6Aは、弾性体ではなく、弾性体よりも硬い性質の樹脂あるいは金属などにより形成され、ボールジョイント構造を有する。この点において、本変形例に係るエアクッション機玩具2Bは、
図1に関して前述したエアクッション機玩具2とは異なる。例えば、緩衝部6Aは、ボール部を有するボールスタッドを有する。緩衝部6Aは、本体3の内部に設けられた保持部34により、本体3の左右方向における略中央部に保持されている。
【0056】
本変形例の移動手段5Bは、移動手段本体51の中央部に設けられたソケットにおいて緩衝部6Aのボールスタッドに接続され、緩衝部6Aを介して本体3に取り付けられている。すなわち、緩衝部6Aは、移動手段5Bの重心位置において本体3と移動手段5Bとを接続し、移動手段5Bの傾きが本体3に伝わることを抑制する。
【0057】
なお、本変形例では、緩衝部6Aがソケットを有し、移動手段本体51がボールスタッドを有していてもよい。つまり、本変形例の移動手段5Bは、ボールジョイント構造を有する緩衝部6Aを介して本体3に取り付けられていればよい。その他の構造は、
図1〜
図8に関して前述したエアクッション機玩具2の構造と同じである。
【0058】
図5に関して前述した移動手段5と同様に、本変形例の移動手段5Bは、移動手段本体51を傾けて移動し、本体3に移動する力を伝達する。これにより、エアクッション機玩具2Bは、本体3を浮上させた状態から前進したり、後退したり、左へ進行したり、右へ進行したりする。なお、
図10は、エアクッション機玩具2Bが本体3を浮上させた状態から左へ進行する状態を表している。
【0059】
本変形例によれば、緩衝部6Aがボールジョイント構造を有するため、移動手段5Bは、緩衝部6Aを中心として傾斜したり回転したりする。そのため、移動手段5Bが移動手段本体51を傾けて本体3を移動させるときに、移動手段5Bの傾きが本体3に伝わることは抑制される。そのため、スカート部4と、地面28と、の間の隙間29が本体3の下部の周縁部において不均一になることを抑え、エアクッション機玩具2Bの外部へ流出する空気の量が不均一になることを抑えることができる。これにより、
図1〜
図8に関して前述したエアクッション機玩具2の効果と同じ効果が得られる。
【0060】
また、
図3および
図4に関して前述した緩衝部6と比較して、本変形例の緩衝部6Aは、狭い範囲において本体3と移動手段5Bとを接続する。そのため、移動手段5Bの傾きが本体3に伝わることを抑制することができるとともに、緩衝部6Aの大きさを抑えることができる。これにより、本体3の大きさを確保することができ、本体3の形状やデザインの自由度を向上させることができる。
【0061】
図11は、本実施形態の第3変形例に係るエアクッション機玩具を表す断面図である。
なお、
図11は、
図1に表した切断面A−Aにおける断面図に相当し、本実施形態の変形例に係るエアクッション機玩具が浮上し静止している状態を表す断面図である。
【0062】
本変形例に係るエアクッション機玩具2Eでは、緩衝部6Dは、ボールジョイント構造61と、弾性体62と、を有する。ボールジョイント構造61は、
図9および
図10に関して前述したボールジョイント構造の緩衝部6Aと同様である。弾性体62は、本体3と移動手段5との間に設けられ、本体3と移動手段5とを接続している。弾性体62は、例えばコイルスプリングである。あるいは、弾性体62は、例えばゴムやビニールなどの弾性を有するものであってもよい。また、弾性体62は、蛇腹構造を有していてもよい。つまり、本変形例は、
図3および
図4に関して前述した緩衝部6と、
図9および
図10に関して前述した緩衝部6Aと、が組み合わされた構造を有する。
【0063】
本変形例によれば、移動手段5Bが緩衝部6Dを介して本体3により安定的に支持される。そのため、エアクッション機玩具2Eは、例えば壁などの障害物に接触した場合であっても、移動手段5Bが過度に傾くことを抑えることができ、より安定的に進行したり旋回したりすることができる。
【0064】
次に、本発明の第2実施形態について説明する。
なお、第2実施形態に係るエアクッション機玩具の構成要素が、
図1〜
図8に関して前述した第1実施形態に係るエアクッション機玩具の構成要素と同様である場合には、重複する説明は適宜省略し、以下、相違点を中心に説明する。
【0065】
図12は、本発明の第2実施形態に係るエアクッション機玩具を表す斜視図である。
図13は、
図12に表した切断面B−Bにおける断面図である。
【0066】
本発明の第2実施形態に係るエアクッション機玩具2Cは、本体3Aと、スカート部4Aと、移動手段5Cと、を備え、エアクッションを利用して機体を浮上させ移動する。本体3Aは、基部35と、基部35の前部の両側および基部35の後部の両側に設けられた脚部36と、を有する。つまり、脚部36は、基部35の略四隅の位置に設けられ、基部35の外側へ向かって延びている。
【0067】
移動手段5Cは、本体3Aの脚部36に取り付けられている。つまり、移動手段5Cは、緩衝部などの他の部材を介することなく、本体3Aの脚部36に直接的に固定されている。具体的には、本実施形態の移動手段5Cは、第1〜4枠体511、512、513、514と、第1〜4駆動手段521、522、523、524と、第1〜4プロペラ531、532、533、534と、を有する。
図13に表したように、第1枠体511は、本体3Aの脚部36に接続され、固定されている。第1枠体511が本体3Aの脚部36に固定された構造は、第2〜4枠体512、513、514においても同様である。
【0068】
第1駆動手段521は、第1枠体511に形成された孔541の中心位置に配置され、支持部材551を介して第1枠体511に固定されている。第2駆動手段522は、第2枠体512に形成された孔542の中心位置に配置され、支持部材(支持部材551に相当する部材)を介して第2枠体512に固定されている。第3駆動手段523は、第3枠体513に形成された孔543の中心位置に配置され、支持部材(支持部材551に相当する部材)を介して第3枠体513に固定されている。第4駆動手段524は、第4枠体514に形成された孔544の中心位置に配置され、支持部材(支持部材551に相当する部材)を介して第4枠体514に固定されている。第1〜4駆動手段521、522、523、524は、例えば上側に向けて延びた回転軸を有するモータである。
【0069】
図13に表した矢印A3および矢印A4のように、移動手段5Cは、本体3Aの下側へ向かって空気を送ることができる。具体的には、第1〜4プロペラ531、532、533、534は、第1〜4駆動手段521、522、523、524のそれぞれの回転軸から伝達される駆動力により回転し、本体3Aの下側へ向かって空気を送ることができる。
【0070】
スカート部4Aは、第1〜4枠体511、512、513、514のそれぞれの下部の周縁部に緩衝部6を介して取り付けられており、例えばゴムやビニールなどの柔軟性を有する樹脂材料により形成されている。言い換えれば、本実施形態の緩衝部6は、第1〜4枠体511、512、513、514のそれぞれと、スカート部4Aと、の間に設けられ、第1〜4枠体511、512、513、514のそれぞれとスカート部4Aとを接続している。緩衝部6は、例えばゴムやビニールなどの弾性を有する弾性体であり、蛇腹構造を有していてもよい。緩衝部6は、移動手段5Cの傾きがスカート部4Aに伝わることを抑制する。その他の構造は、
図1〜
図8に関して前述したエアクッション機玩具2の構造と同じである。
【0071】
本実施形態に係るエアクッション機玩具2Cが浮上した状態から前進する場合には、駆動回路72は、制御回路71により生成された制御信号に基づいて、第3駆動手段523および第4駆動手段524の駆動出力を上昇させる。これにより、基部35の後部の両側に配置された第3プロペラ533および第4プロペラ534の回転速度が上昇する。そうすると、基部35の後部における送風量が増加する。そうすると、移動手段5Cが本体3Aの脚部36に取り付けられているため、エアクッション機玩具2Cは、本体3Aおよび移動手段5Cを傾けて前進する。
【0072】
エアクッション機玩具2Cが浮上した状態から後退する場合には、駆動回路72は、制御回路71により生成された制御信号に基づいて、第1駆動手段521および第2駆動手段522の駆動出力を上昇させる。また、エアクッション機玩具2Cが浮上した状態から左へ進行する場合には、駆動回路72は、制御回路71により生成された制御信号に基づいて、第2駆動手段522および第4駆動手段524の駆動出力を上昇させる。また、エアクッション機玩具2Cが浮上した状態から左へ進行する場合には、駆動回路72は、制御回路71により生成された制御信号に基づいて、第1駆動手段521および第3駆動手段523の駆動出力を上昇させる。そして、エアクッション機玩具2Cは、後退する場合、左へ進行する場合、および右へ進行する場合において、本体3Aおよび移動手段5Cを傾けて移動する。
【0073】
このとき、緩衝部6は、第1〜4枠体511、512、513、514のそれぞれとスカート部4Aとを接続している。また、緩衝部6は、例えばゴムやビニールなどの弾性を有する弾性体であり、移動手段5Cの傾きがスカート部4Aに伝わることを抑制する。そのため、エアクッション機玩具2Cが本体3Aおよび移動手段5Cを傾けて移動するときに、移動手段5Cの傾きがスカート部4Aに伝わることは抑制される。そのため、スカート部4Aと、地面28と、の間の隙間29が不均一になることを抑え、スカート部4Aの外部へ流出する空気の量が不均一になることを抑えることができる。そのため、エアクッション機玩具2Cの浮上や移動が不安定になることを抑えることができる。これにより、本実施形態に係るエアクッション機玩具2Cは、自由な方向に安定的に移動することができる。また、操縦者は、エアクッション機玩具2Cの遠隔操縦を簡単に行うことができる。また、その他の効果についても、
図1〜
図8に関して前述したエアクッション機玩具2の効果と同じ効果が得られる。
【0074】
図14は、本実施形態の緩衝部の第1変形例を表す断面図である。
なお、
図14は、
図12に表した切断面B−Bにおける断面図に相当する。
【0075】
図9および
図10に関して前述した緩衝部6Aと同様に、本変形例の緩衝部6Aは、弾性体ではなく、弾性体よりも硬い性質の樹脂あるいは金属などにより形成され、ボールジョイント構造を有する。この点において、本変形例の緩衝部6Aは、
図13に関して前述した緩衝部6とは異なる。緩衝部6Aは、スカート部4Aに設けられた保持部41により、スカート部4Aの略中央部に保持されている。
【0076】
図14に表したように、本変形例の第1駆動手段521Aは、中央部に設けられたソケットにおいて緩衝部6Aのボールスタッドに接続され、緩衝部6Aを介してスカート部4Aに取り付けられている。すなわち、緩衝部6Aは、第1プロペラ531および第1駆動手段521Aの中心位置において第1駆動手段521Aとスカート部4Aとを接続し、移動手段5Cの傾きがスカート部4Aに伝わることを抑制する。緩衝部6Aが第1駆動手段521Aとスカート部4Aとを接続した構造は、第2〜4駆動手段においても同様である。
【0077】
なお、本変形例では、緩衝部6Aがソケットを有し、第1〜4駆動手段がボールスタッドを有していてもよい。つまり、本変形例の第1〜4駆動手段は、ボールジョイント構造を有する緩衝部6Aを介してスカート部4Aに取り付けられていればよい。その他の構造は、
図12および
図13に関して前述したエアクッション機玩具の構造と同じである。
【0078】
本変形例によれば、緩衝部6Aがボールジョイント構造を有するため、エアクッション機玩具が本体3Aおよび移動手段5Cを傾けて移動するときに、移動手段5Cの傾きがスカート部4Aに伝わることは抑制される。そのため、スカート部4Aと、地面28と、の間の隙間29が不均一になることを抑え、スカート部4Aの外部へ流出する空気の量が不均一になることを抑えることができる。これにより、
図12および
図13に関して前述したエアクッション機玩具の効果と同じ効果が得られる。
【0079】
また、
図12および
図13に関して前述した緩衝部6と比較して、本変形例の緩衝部6Aは、狭い範囲において第1〜4駆動手段のそれぞれとスカート部4Aとを接続する。そのため、移動手段5Cの傾きがスカート部4Aに伝わることを抑制することができるとともに、緩衝部6Aの大きさを抑えることができる。これにより、本体3Aの大きさを確保することができ、本体3Aの形状やデザインの自由度を向上させることができる。
【0080】
図15は、本実施形態の緩衝部の第2変形例を表す断面図である。
なお、
図15は、
図11に表した切断面B−Bにおける断面図に相当する。
【0081】
本変形例では、緩衝部6Dは、ボールジョイント構造61と、弾性体62と、を有する。ボールジョイント構造61は、
図14に関して前述したボールジョイント構造の緩衝部6Aと同様である。弾性体62は、移動手段5Cとスカート部4Aとの間に設けられ、移動手段5Cとスカート部4Aとを接続している。具体的には、スカート部4Aは、第1〜4枠体511、512、513、514のそれぞれの下部の周縁部に弾性体62を介して取り付けられている。弾性体62は、例えばコイルスプリングである。あるいは、弾性体62は、例えばゴムやビニールなどの弾性を有するものであってもよい。また、弾性体62は、蛇腹構造を有していてもよい。つまり、本変形例は、
図13に関して前述した緩衝部6と、
図14に関して前述した緩衝部6Aと、が組み合わされた構造を有する。
【0082】
本変形例によれば、移動手段5Cが緩衝部6Dを介してスカート部4Aにより安定的に支持される。そのため、エアクッション機玩具2Cは、例えば壁などの障害物に接触した場合であっても、移動手段5Cが過度に傾くことを抑えることができ、より安定的に進行したり旋回したりすることができる。
【0083】
なお、本実施形態に係るエアクッション機玩具2Cは、浮上し静止した状態では本体3Aおよび移動手段5Cを傾けずに、進行する際に、本体3Aおよび移動手段5Cを傾ける。但し、エアクッション機玩具2Cは、これだけには限定されず、例えばサーボ等により、移動手段5Cを予め傾けて固定し、進行してもよい。言い換えれば、移動手段5Cは、サーボ等により予め傾いて固定されていてもよい。さらに、移動手段5Cは、サーボ等により傾斜角度を段階的に変更可能とされ、進行の際に所定の傾斜角度に固定されてもよい。この場合であっても、
図12および
図13に関して前述した効果と同様の効果が得られる。
【0084】
次に、本発明の第3実施形態について、
図16と
図17を参照して説明する。
図16と
図17に表す本発明の第3実施形態のエアクッション機玩具の構成要素が、
図1〜
図8に関して前述した第1実施形態に係るエアクッション機玩具の構成要素と同様である場合には、重複する説明は適宜省略し、以下、相違点を中心に説明する。
【0085】
図16は、本発明の第3実施形態に係るエアクッション機玩具を表す斜視図である。
図17は、
図16に表した矢印R方向から見たエアクッション機玩具の正面図である。
【0086】
図16に表す本発明の第3実施形態に係るエアクッション機玩具2Dは、本体3Bと、スカート部4Bと、移動手段5Dと、を備え、エアクッションを利用して機体を浮上させ移動する。この本体3Bは、上部体38と、4つの脚部36と、を有する。また、スカート部4Bは、基部42と、4つの例えばリング状のスカート部本体43と、を有し、4つのスカート部本体43が基部42を介して互いに一体化された構造を有する。つまり、4つのスカート部本体43は、基部42を介して互いに連結されている。
【0087】
各移動手段5Dは、本体3Bに対して、脚部36を用いて固定されており、各移動手段5Dと本体3Bとは互いに一体化されている。この移動手段5Dの固定構造を詳しく説明する。各脚部36は、本体3Bの上部体38の前部の両側および上部体38の後部の両側に設けられている。つまり、脚部36の内端部は、上部体38の略四隅の位置に固定されており、各脚部36は上部体38の外側へ向かって延びている。しかも、各脚部36の途中は、少し曲げて形成されていることで、各脚部36の外端部は、水平に保持されており、各脚部36の外端部は、対応するスカート部本体43の内側の空間の中央位置に達している。
【0088】
図16に表すように、各移動手段5Dは、各脚部36の外端部に取り付けられている。つまり、移動手段5Dは、緩衝部などの他の部材を介することなく、脚部36の外端部に直接的に固定されている。具体的には、移動手段5Dは、第1〜4駆動手段521、522、523、524と、第1〜4プロペラ531、532、533、534と、を有する。第1〜4駆動手段521、522、523、524は、対応するスカート部本体43の内側の空間の中央位置にある。第1〜4プロペラ531、532、533、534は、ピッチ角が固定されており、第1〜4プロペラ531、532、533、534は、それぞれ対応するスカート部本体43よりも上の位置にある。これにより、スカート部4B(具体的にはスカート部本体43)は、第1〜4プロペラ531、532、533、534が回転することで送られた空気を溜める空間を形成する。
【0089】
次に、本体3Bの構造例について説明する。
図16に表す本体3Bは、すでに説明したように、各移動手段5Dを、脚部36を用いて固定している。しかも、本体3Bは、上部体38と制御部7とを有する。
図16と
図17に表す上部体38は、例えばプラスチック製のケースであり、前後方向に沿って長く、左右方向に沿ってやや短いほぼ直方体のケースである。この上部体38の中には、例えば
図7に表すような制御部7が収容されている。
【0090】
基部42は、
図16では破線で示しており、
図17では実線で示している。この基部42は、例えば金属製あるいはプラスチック製の板部材である。基部42は、4つのスカート部本体43が互いに対面している内側部分を、例えば接着剤のような固定手段を用いて互いに連結するためのスカート部本体43の連結用部材である。すなわち、基部42は、4つのスカート部本体43を一体化して強度的に強化するための一体化用の部材である。
【0091】
図16に表すように、基部42は、4つのほぼ1/4円形状のくぼみ部分42Rを有しており、各くぼみ部分42Rは、対応するスカート部本体43の内周部分の形状に合わせて形成されている。これにより、基部42の一部分がスカート部本体43の内周部分から移動手段5D側に突き出るのを防止している。これにより、スカート部4B(具体的にはスカート部本体43)は、第1〜4プロペラ531、532、533、534が回転することで送られた空気を溜める空間を確保している。
【0092】
図17と
図16に表すように、本体3Bの上部体38と、スカート部4Bの基部42と、の間には、緩衝材6Bが設けられている。この緩衝材6Bの上端部は上部体38に固定され、緩衝材6Bの下端部は基部42に固定されている。緩衝材6Bとしては、例えば金属製、プラスチック製あるいはゴム製の蛇腹構造体や、金属製あるいはプラスチック製のコイルスプリングを用いている。
【0093】
操縦者がエアクッション機玩具2Dの電源スイッチをオンすると、制御部7は、第1〜4駆動手段521、522、523、524を互いに同じ駆動出力で駆動させる。これにより、第1〜4プロペラ531、532、533、534は、互いに同じ速度で回転し、本体3の下側へ向かって空気を送ることで、
図17に表すように、エアクッション機玩具2Dは、本体3Bが停止している位置において地面28から浮上した状態になる。
【0094】
このとき、
図16に表す一方の対角線上に配置された第1プロペラ531および第4プロペラ534と、他方の対角線上に配置された第2プロペラ532および第3プロペラ533と、は互いに反対方向に同一速度で回転する。そのため、第1〜4プロペラ531、532、533、534の回転による反作用が互いに打ち消し合う。そのため、エアクッション機玩具2の本体3は、左右に旋回することなく、停止している位置において地面から浮上する。
【0095】
次に、操縦者は、エアクッション機玩具2Dを浮上させた状態から前進させる場合には、後側に配置された第3プロペラ533および第4プロペラ534の回転速度が上昇する。これにより、本体3Bに固定された移動手段5Dは、本体3Bとともに傾いて前進する。移動手段5Dが前進すると、前進する力が移動手段5Dから本体3Bに伝達される。このようにして、エアクッション機玩具2は、本体3Bを浮上させた状態から前進することができる。
【0096】
エアクッション機玩具2Dが浮上した状態から後退する場合には、前側に配置された第1プロペラ531および第2プロペラ532の回転速度が上昇する。また、エアクッション機玩具2Dが浮上した状態から左へ進行する場合には、第2プロペラ532および第4プロペラ534の回転速度が上昇する。また、エアクッション機玩具2Dが浮上した状態から右へ進行する場合には、第1プロペラ531および第3プロペラ533の回転速度が上昇する。
【0097】
ところで、移動手段5Dと本体3Bの上部体38とは、脚部36を用いて互いに連結されて一体化されている。また、基部42と4つのスカート部本体43とは互いに一体化されている。そして、本体3Bの上部体38とスカート部4Bの基部42とは、コイルバネや蛇腹部材のような緩衝材6Bにより連結されている。
【0098】
このため、移動手段5Dと本体3Bとからなるユニットは、基部42と4つのスカート部本体43とからなるユニット(スカート部4B)に対して、前進する場合、後退する場合、左へ進行する場合、および右へ進行する場合において、相対的に傾けるようにして移動することになる。その移動する力が、移動手段5Dと本体3Bとから、緩衝部6Bを介して基部42と4つのスカート部本体43に伝達されることにより、エアクッション機玩具2は、本体3を浮上させた状態から後退したり、左へ進行したり、右へ進行したりする。
【0099】
ここで、前述したように、移動手段5Dと本体3Bとのユニットは、基部42と4つのスカート部本体43とのユニット(スカート部4B)に対して傾けて相対的に移動することで、エアクッション機玩具2Dの移動する力をスカート部4Bへ伝達する。そのため、例えば移動手段が本体を介してスカート部に直接的に固定されて緩衝部6Bが設けられていない場合には、エアクッション機玩具は、全体を傾けて移動(進行)することになる。そうすると、スカート部と、地面または水面と、の間の隙間が本体の下部の周縁部において不均一になり、その隙間からエアクッション機玩具の外部へ流出する空気の量が不均一になるおそれがある。そうすると、エアクッション機玩具の浮上や移動が不安定になるおそれがある。
【0100】
これに対して、本発明の第3実施形態のエアクッション機玩具2Dは、緩衝部6Bを備える。この緩衝部6Bは弾性体であり、移動手段5Dおよび本体3Bの傾きが基部42と4つのスカート部本体43に対して伝わることを抑制する。そのため、スカート部4Bと地面との間の隙間が不均一になることを抑え、エアクッション機玩具2Dの外部へ流出する空気の量が不均一になることを抑えることができる。そのため、エアクッション機玩具2Dの浮上や移動が不安定になることを抑えることができる。これにより、エアクッション機玩具2Dは、自由な方向に安定的に移動することができる。また、操縦者は、エアクッション機玩具2Dの遠隔操縦を簡単に行うことができる。
【0101】
また、緩衝部6Bがコイルバネのような弾性体や蛇腹部材のような弾性体により形成されているため、比較的簡単な緩衝部6Bの構成により、移動手段5Dおよび本体3Bの傾きが、基部42と4つのスカート部本体43に対して伝わることを抑制できる。
【0102】
エアクッション機玩具2Dは、浮上した状態から前後左右に移動するだけではなく、浮上した状態から左および右に旋回することができる。操縦者は、エアクッション機玩具2を浮上させた状態から右に旋回させる場合には、第2駆動手段522および第3駆動手段523の駆動出力を上昇させる。これにより、他方の対角線上に配置された第2プロペラ532および第3プロペラ533の回転速度が上昇する。
【0103】
第2プロペラ532および第3プロペラ533は、互いに同じ左方向に回転しているため、第2プロペラ532および第3プロペラ533の回転速度が上昇すると、移動手段本体51を右に旋回させる力が生ずる。これにより、移動手段5Dは、右に旋回する。また、エアクッション機玩具2が浮上した状態から左に旋回する場合には、第1駆動手段521および第4駆動手段524の駆動出力を上昇させる。
【0104】
このように、本実施形態に係るエアクッション機玩具2Dは、自由な方向に移動することができる。このとき、緩衝部6Bは、移動手段5Dと本体3Bの傾きが、基部42と4つのスカート部本体43に対して伝わることを抑制する。そのため、エアクッション機玩具2は、安定的に移動することができる。また、操縦者は、エアクッション機玩具2の遠隔操縦を簡単に行うことができる。
【0105】
なお、
図16および
図17に表した例では、1つの緩衝部6Bが設けられているが、緩衝部6Bの設置数は、特には限定されない。緩衝部6Bの設置数は、例えば2つあるいは3つであってもよい。このように、複数の緩衝部6Bが設けられている場合には、本体3Bに対するスカート部4Bの追従性をより高めることができる。
【0106】
次に、
図18を参照して、本発明の第3実施形態の第1変形例を説明する。
図18は、本発明の第3実施形態の第1変形例を示している。
図18の第3実施形態の第1変形例の緩衝部6Cが、
図17の第3実施形態の緩衝部6Bと異なる。
図18に表すこの変形例の緩衝部6Cは、弾性体ではなく、弾性体よりも硬い性質の樹脂あるいは金属などにより形成され、ボールジョイント構造を有する。例えば、緩衝部6Aは、ボール部を有するボールスタッドを有する。緩衝部6Cは、上部体38の内部に設けられた球形のソケット38Aと、ボールスタッド55と、を有する。
【0107】
例えば、ボールスタッド55は、基部42から垂直に立てて固定されている。ボールスタッド55のボール59は、ソケット38Aに取り付けられている。すなわち、緩衝部6Cは、移動手段5Bの重心位置において本体3Bの上部体38と4つの移動手段5Dとのユニットと、基部42と4つのスカート部本体43とのユニット(スカート部4B)と、を接続している。これにより、緩衝部6Cは、移動手段5Dおよび本体3Bの傾きが基部42と4つのスカート部本体43に伝わることを抑制する。
なお、本変形例では、上部体38側にボールスタッド55を取り付け、ソケット38Aを基部42側に設けても良い。
【0108】
本変形例の移動手段5Dおよび本体3Bは、基部42と4つのスカート部本体43に対して傾けて移動し、移動する力を伝達する。これにより、エアクッション機玩具2Dは、浮上させた状態から前進したり、後退したり、左へ進行したり、右へ進行したりする。
本変形例によれば、緩衝部6Cがボールジョイント構造を有するため、移動手段5Dは、緩衝部6Cを中心として傾斜したり回転したりする。そのため、スカート部4Bと地面との間の隙間が不均一になることを抑え、エアクッション機玩具2Dの外部へ流出する空気の量が不均一になることを抑えることができる。これにより、
図1〜
図8に関して前述したエアクッション機玩具2の効果と同じ効果が得られる。
【0109】
また、
図17に示した緩衝部6Bと比較して、本変形例の緩衝部6Cは、より狭い範囲において本体3Bと4つの移動手段5Dとのユニットと、基部42と4つのスカート部本体43とのユニット(スカート部4B)と、を接続することができる。そのため、移動手段5Dおよび本体3Bの傾きが、基部42と4つのスカート部本体43に伝わることを抑制することができるとともに、緩衝部6Cの大きさを抑えることができる。これにより、本体3Bの大きさを確保することができ、本体3Bの形状やデザインの自由度を向上させることができる。
【0110】
図19は、本発明の第3実施形態の第2変形例を示している。
本変形例では、緩衝部6Eは、ソケット38Aと、ボールスタッド55と、ボール59と、弾性体62と、を有する。ソケット38A、ボールスタッド55およびボール59は、
図18に関して前述した通りである。
【0111】
弾性体62は、本体3Bの上部体38と、スカート部4Bの基部42と、の間に設けられ、基部42と4つのスカート部本体43とのユニット(スカート部4B)と、を接続している。弾性体62は、例えばコイルスプリングである。あるいは、弾性体62は、例えばゴムやビニールなどの弾性を有するものであってもよい。また、弾性体62は、蛇腹構造を有していてもよい。つまり、本変形例は、
図17に関して前述した緩衝部6Bと、
図18に関して前述した緩衝部6Cと、が組み合わされた構造を有する。
【0112】
図19に表した例では、緩衝部6Eは、複数の弾性体62を有する。この場合には、ソケット38A、ボールスタッド55およびボール59が本体3Bの中央位置に設けられ、複数の弾性体62がソケット38A、ボールスタッド55およびボール59の周囲に設けられることが好ましい。
【0113】
本変形例によれば、本体3Bが緩衝部6Eを介してスカート部4Bにより安定的に支持される。そのため、エアクッション機玩具2Dは、例えば壁などの障害物に接触した場合であっても、移動手段5Dが過度に傾くことを抑えることができ、より安定的に進行したり旋回したりすることができる。また、
図19に表したように、複数の弾性体62が設けられている場合には、本体3Bに対するスカート部4Bの追従性をより高めることができる。
【0114】
以上、本発明の実施形態について説明した。しかし、本発明は、上記実施形態に限定されず、特許請求の範囲を逸脱しない範囲で種々の変更を行うことができる。上記実施形態の構成は、その一部を省略したり、上記とは異なるように任意に組み合わせたりすることができる。