特許第6696032号(P6696032)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 東芝テック株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6696032-販売データ処理装置 図000002
  • 特許6696032-販売データ処理装置 図000003
  • 特許6696032-販売データ処理装置 図000004
  • 特許6696032-販売データ処理装置 図000005
  • 特許6696032-販売データ処理装置 図000006
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6696032
(24)【登録日】2020年4月24日
(45)【発行日】2020年5月20日
(54)【発明の名称】販売データ処理装置
(51)【国際特許分類】
   G07G 1/12 20060101AFI20200511BHJP
   G07G 1/00 20060101ALI20200511BHJP
   G07G 1/01 20060101ALI20200511BHJP
【FI】
   G07G1/12 351Z
   G07G1/00 331A
   G07G1/01 301E
【請求項の数】5
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2019-96327(P2019-96327)
(22)【出願日】2019年5月22日
(62)【分割の表示】特願2015-212138(P2015-212138)の分割
【原出願日】2015年10月28日
(65)【公開番号】特開2019-160337(P2019-160337A)
(43)【公開日】2019年9月19日
【審査請求日】2019年5月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003562
【氏名又は名称】東芝テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】望月 恵
【審査官】 小島 哲次
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−054037(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07G 1/00−1/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示器と、
販売データ処理に際して入出金する貨幣を収納する貨幣収納部と、
前記貨幣収納部内の貨幣金種毎の枚数および金額である在高と、前記在高に含まれる各紙幣金種を組み合わせた金額であって前記在高から予め決められた釣銭準備金の合計額を差し引いた仮入金額を超えずに当該仮入金額に最も近くなる金額を構成する紙幣金種毎の枚数および金額である入金額と、前記仮入金額と前記入金額との差額を構成する貨幣金種毎の枚数および金額であるプール金と、前記入金額および前記プール金を前記在高から減じた貨幣金種毎の枚数および金額である釣銭準備金とを表示する調整画面を前記表示器に表示する表示手段と、
備えることを特徴とする販売データ処理装置。
【請求項2】
前記入金額と前記プール金と前記釣銭準備金として前記調整画面上に表示された値の変更を実行する変更手段を更に備えることを特徴とする請求項1に記載の販売データ処理装置。
【請求項3】
前記変更手段は、前記入金額、前記プール金及び前記釣銭準備金の何れかの項目で値の変更があった場合には、他の項目についても値を変更する請求項2に記載の販売データ処理装置。
【請求項4】
前記表示手段は、前記入金額、前記プール金及び前記釣銭準備金の値を確定するための操作子を前記表示器に表示し、
前記変更手段は、前記操作子が操作されると、変更した前記入金額、前記プール金及び前記釣銭準備金の値を確定する請求項2又は3に記載の販売データ処理装置。
【請求項5】
前記表示手段は、前記操作子が操作されると、前記表示器に確認メッセージを表示する請求項4に記載の販売データ処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、販売データ処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、小売店や飲食店等の店舗では、営業終了後等に、翌日の釣銭用の貨幣である釣銭準備金を自動釣銭機やドロワなどの貨幣収納部内に確保する。その上で、店舗では、営業終了後等に、貨幣収納部内から本日の売上金の一部又は全部を夜間金庫等に入金する作業を行う。
【0003】
上述した釣銭準備金の用意や入金作業の際、POS(Point Of Sales)端末は、貨幣収納部内の手持在高(貨幣の残高)を表示器に表示する。店員は、表示器に表示される貨幣収納部内の在高を基に、翌日の釣銭準備金を確保した上での入金額を計算する。すなわち、入金額は、「手持在高−翌日釣銭準備金」で算出される。
【0004】
ところで、近年においては、利便性が高く手数料も安いことから、営業終了後等に、コンビニエンスストア等に設置されているATM(Automatic Teller Machine:現金自動預け払い機)へ入金する運用も行われている。従来におけるATMへの入金運用は、紙幣のみの入金しか対応できないため、手持在高金額を減算して入金額が紙幣のみとなるように調整していた。
【0005】
しかしながら、上述のような運用によれば、手持在高金額が本来の金額ではなくなること、また手動で入力するためミスをしやすいなどの問題があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、コンビニエンスストア等に設置されているATMに入金するための紙幣のみの入金額を金種毎に自動で算出することで、手持在高を正しく保持することができ、また入力ミスを減らすことができる販売データ処理装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態の販売データ処理装置は、表示器と、販売データ処理に際して入出金する貨幣を収納する貨幣収納部と、前記貨幣収納部内の貨幣金種毎の枚数および金額である在高と、前記在高に含まれる各紙幣金種を組み合わせた金額であって前記在高から予め決められた釣銭準備金の合計額を差し引いた仮入金額を超えずに当該仮入金額に最も近くなる金額を構成する紙幣金種毎の枚数および金額である入金額と、前記仮入金額と前記入金額との差額を構成する貨幣金種毎の枚数および金額であるプール金と、前記入金額および前記プール金を前記在高から減じた貨幣金種毎の枚数および金額である釣銭準備金とを表示する調整画面を前記表示器に表示する表示手段と、備える。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施形態にかかるPOS端末を示す外観斜視図である。
図2図2は、POS端末のハードウェア構成を示すブロック図である。
図3図3は、釣銭管理処理にかかる機能を示す機能ブロック図である。
図4図4は、入金金種調整画面を示す正面図である。
図5図5は、釣銭管理処理の流れを概略的に示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1は、実施形態にかかるPOS端末10を示す外観斜視図である。本実施形態においては、販売データ処理装置としてコンビニエンスストアに設置されるPOS(Point Of Sales)端末への適用例について説明する。
【0010】
図1に示すように、POS端末10は、このPOS端末10に通信ケーブル(図示せず)を介して接続された自動釣銭機100上に載置されている。自動釣銭機100は、POS端末10の販売データ処理に際して入出金する貨幣を収納する貨幣収納部である。
【0011】
POS端末10は、キーボード32、モードキー33、操作者用表示器34、客用表示器35、コードスキャナ36、サーマルプリンタ37等を備えている。操作者用表示器34は、表示器として機能するものであり、入力装置としてのタッチパネル43を積層して備えている。また、POS端末10は、上記各部を制御する制御部31(図2参照)を備えている。
【0012】
図2は、POS端末10のハードウェア構成を示すブロック図である。図2に示すように、制御部31は、各部を集中的に制御するCPU(Central Processing Unit)38に、アドレスバス、データバス等のバスライン39を介して、ROM(Read Only Memory)40と、RAM(Random Access Memory)41と、タイマ42とが接続されて構成されたコンピュータである。
【0013】
ROM40は、起動プログラム等の固定的データを予め格納する。RAM41は、売上バッファや印字バッファ等の各種バッファを構成して各種データを書き換え自在に格納する。タイマ42は、日付や日時を計時する。
【0014】
CPU38に接続されたバスライン39には、HDD(Hard Disk Drive)55が接続されている。HDD55は、制御部31を動作させるコンピュータプログラムの他に、商品マスタファイル、売上データ等を記憶する売上ファイル等を格納する。商品マスタファイルは、商品コードに対応付けて商品名や単価などを記憶するファイルである。
【0015】
HDD55に格納されたコンピュータプログラムは、POS端末10の起動時に商品マスタファイル等の各種ファイルとともにRAM41に書き込まれる。POS端末10の制御部31は、RAM41に書き込まれたコンピュータプログラムに従って各部を駆動制御する。
【0016】
次に、制御部31によって駆動制御される各部について説明する。
【0017】
キーボード32は、置数キー、PLUキー、部門キー、小計キー、預/現計キー、クリアキー、エンターキー、リセットキー等の各種キーを配設したものである。キーボード32は、キーボードコントローラ68を介してバスライン39に接続されている。キーボードコントローラ68は、操作されたキーに応じた信号を制御部31に入力する。
【0018】
モードキー33は、モードキーコントローラ69を介してバスライン39に接続されている。モードキーコントローラ69は、モードキー33の切り替え位置に応じた信号を制御部31に入力する。制御部31は、モードキー33からの出力信号に応じて、POS端末10の動作モードを登録モード、設定モード、精算モード、点検モード等の各業務モードに設定する。
【0019】
操作者用表示器34及び客用表示器35は、表示コントローラ70,71を介してバスライン39に接続されている。表示コントローラ70,71は、制御部31から表示データが入力されると、操作者用表示器34及び客用表示器35に表示データに応じた所定事項を表示する。
【0020】
タッチパネル43は、操作者によってタッチされたパネル上のXY座標の位置を認識して座標データを取得する。タッチパネル43は、パネルコントローラ44を介してバスライン39に接続されている。パネルコントローラ44は、取得した座標データに応じた信号を制御部31に入力する。
【0021】
コードスキャナ36は、商品に付されたバーコードなどの商品コードを光学的に読み取るものである。コードスキャナ36は、スキャナコントローラ72を介してバスライン39に接続されている。スキャナコントローラ72は、コードスキャナ36で読み取った商品コードのデータを制御部31に送信する。
【0022】
サーマルプリンタ37は、プリンタコントローラ73を介してバスライン39に接続されている。このサーマルプリンタ37は、カッタ部(図示せず)を内蔵している。プリンタコントローラ73は、制御部31から駆動制御信号が入力されると、駆動制御信号に応じてサーマルプリンタ37を駆動する。具体的には、プリンタコントローラ73は、図示しない長尺紙であるレシート用紙にレシートとしての必要事項を印字した後に切断してレシートとして発行する。
【0023】
また、POS端末10は、通信ケーブルを介して自動釣銭機100を接続する。自動釣銭機100は、通信インタフェース74を介してバスライン39に接続されている。通信インタフェース74は、制御部31から制御信号が入力されると、制御信号を自動釣銭機100に出力する。また、通信インタフェース74は、自動釣銭機100から制御信号が入力されると、制御信号を制御部31に出力する。
【0024】
このような構成のPOS端末10の制御部31は、商品の販売データ処理を行う。販売データ処理では、制御部31は、例えばコードスキャナ36による商品に付された商品コードの読み取り入力がなされると、読み取り入力された商品コードに基づいて商品マスタファイルを検索する。制御部31は、該当する商品コードに対応した商品名や単価等の商品情報を読み出し、商品コード及び読み出した商品情報等をRAM41に記憶させて商品の販売登録を行う。そして、制御部31は、小計キーの押下に応じて当該取引の売上金額を算出してRAM41に記憶させる。
【0025】
次に、POS端末10の制御部31は、客が買上げる商品の登録を終了しその客が現金で代金を支払うことを宣言する締め宣言が預/現計キーの操作により行われたことを検知すると、締め処理を実行する。制御部31は、締め処理では、キーボード32の置数キーによって入力された客からの預かり金額を取得する。制御部31は、その預かり金額からRAM41に記憶させた当該取引の売上金額を減じて釣銭金額を算出し、自動釣銭機100に対し釣銭データを送信する。また、制御部31は、サーマルプリンタ37によるレシートの印字発行等を行う。
【0026】
自動釣銭機100は、図1に示すように、硬貨を扱う硬貨入出金部101と、紙幣を扱う紙幣入出金部102と、を備えている。
【0027】
硬貨入出金部101及び紙幣入出金部102は、それぞれ、貨幣(硬貨入出金部101の場合には硬貨、紙幣入出金部102の場合には紙幣)を金種別に収納する収納部(図示せず)を備えている。また、硬貨入出金部101及び紙幣入出金部102は、客の支払いや釣銭準備金として補充する貨幣を投入する投入口101a,102aを備えている。
【0028】
また、硬貨入出金部101及び紙幣入出金部102は、POS端末10から在高(貨幣の残高)の要求コマンドを受信すると、収納部に収納されている金種別の収納枚数データに基づいて現時点における現金の合計金額である在高を算出する。そして、硬貨入出金部101及び紙幣入出金部102は、その在高を含む在高情報をPOS端末10に送出する。この在高情報には、金種毎の貨幣の枚数と金種毎の合計金額(在高)と全金種の合計金額とが含まれる。
【0029】
次に、POS端末10の制御部31(CPU38)が実行する各種の処理のうち、本実施形態の特徴的な機能である釣銭管理処理について説明する。この釣銭管理処理は、精算モードにおいて実行される。
【0030】
釣銭管理処理では、POS端末10のCPU38は、プログラムに従うことにより、図3に示すように、表示手段81と、変更手段82と、在高入力手段83と、準備金入力手段84と、入金額算出手段85と、プール金算出手段86と、準備金算出手段87と、を機能部として実現する。
【0031】
表示手段81は、入金金種調整画面200(図4参照)を操作者用表示器34に表示する。
【0032】
ここで、図4は、入金金種調整画面200を示す正面図である。図4に示すように、入金金種調整画面200には、在高情報エリア201と、釣銭準備金情報エリア202と、入金額エリア205と、を表示する。入金額エリア205は、入金額情報エリア203と、プール金情報エリア204とを含んでいる。この入金金種調整画面200では、カーソルによって選択された所望の個別エリアに対して、キーボード32の置数キーによって数字が入力可能となっている。従って、操作者は、所望の個別エリアにカーソルを移動させて、そのカーソルを移動させた個別エリアに対してキーボード32の置数キーによって数字を入力することで、各種情報を入力する。
【0033】
在高情報エリア201は、自動釣銭機100内の金種別在高に関する在高情報を表示する。在高情報は、POS端末10からの要求に応じて自動釣銭機100から送信される。在高情報は、自動釣銭機100内の金種毎の貨幣の存在枚数と金種毎の合計金額と全金種の合計金額である。なお、在高情報エリア201に表示される在高情報は、変更できないようにロックされた状態である。
【0034】
また、入金金種調整画面200は、POS端末10が販売データ処理に基づいて計算した自動釣銭機100の理論上の在高である理論在高情報(あるべき現金)を表示する理論在高表示エリア206と、理論在高に対する実際の在高の過不足金額を表示する過不足金額表示エリア207とを含む。
【0035】
釣銭準備金情報エリア202は、自動釣銭機100内に収納すべき翌日分の釣銭準備金に関する釣銭準備金情報を表示する。釣銭準備金情報は、金種毎の釣銭準備金としての貨幣の枚数と金種毎の合計金額と全金種の合計金額である。
【0036】
また、入金金種調整画面200は、当日の釣銭準備金の合計額を翌日の釣銭準備金の規定値として表示する規定釣銭額表示エリア208を含む。
【0037】
入金額情報エリア203は、コンビニエンスストア等に設置されているATMへ入金する入金額に関する入金額情報を表示する。入金額情報は、紙幣金種毎の枚数と紙幣金種毎の合計金額と紙幣にかかる全金種の合計金額(紙幣総額)である。
【0038】
プール金情報エリア204は、プール金(当日硬貨出金)に関するプール金情報を表示する。プール金情報は、硬貨金種毎の枚数と硬貨金種毎の合計金額と硬貨にかかる全金種の合計金額(硬貨総額)である。
【0039】
また、入金金種調整画面200は、コンビニエンスストア等に設置されているATMへ入金する入金額(入金額情報エリア203の紙幣総額の初期値)を表示する入金額表示エリア209と、プール金(プール金情報エリア204の硬貨総額の初期値)を表示するプール金表示エリア210と、を含む。
【0040】
また、この入金金種調整画面200には、釣銭準備金情報エリア202、入金額情報エリア203、プール金情報エリア204に表示された数字の確定を宣言する確定ボタン211が表示されている。なお、釣銭準備金情報エリア202の釣銭準備金情報の全金種の合計金額が規定釣銭額表示エリア208の規定値と一致している状態、紙幣総額と入金額が一致している状態、硬貨総額とプール金が一致している状態でないと、確定ボタン211の操作による情報の確定ができないものとなっている。
【0041】
変更手段82は、入金金種調整画面200上に表示された入金額とプール金と釣銭準備金とについての値の変更を実行する。
【0042】
具体的には、変更手段82は、釣銭準備金情報エリア202の釣銭準備金情報について、釣銭準備金情報エリア202の釣銭準備金情報の全金種の合計金額が規定釣銭額表示エリア208の規定値と一致することを条件として、変更可能とする。
【0043】
また、変更手段82は、入金額情報エリア203の入金額情報について、入金額情報エリア203の紙幣総額が入金額表示エリア209の入金額と一致することを条件として、変更可能とする。また、変更手段82は、プール金情報エリア204のプール金情報について、プール金情報エリア204の硬貨総額がプール金表示エリア210のプール金(当日硬貨出金)と一致することを条件として、変更可能とする。
【0044】
なお、変更手段82は、入金額情報エリア203の入金額情報またはプール金情報エリア204のプール金情報の少なくとも何れか一方を適正に変更した場合、変更内容に応じて釣銭準備金情報エリア202の釣銭準備金情報も変更する。
【0045】
在高入力手段83は、貨幣収納部である自動釣銭機100内の貨幣金種毎の枚数と金額である在高と全金種の合計金額とを入力する。本実施形態においては、自動釣銭機100内の在高に関する在高情報エリア201をPOS端末10からの要求に応じて自動釣銭機100から送信させる。
【0046】
準備金入力手段84は、自動釣銭機100内に収納すべき釣銭準備金の合計額を予め入力する。本実施形態においては、準備金入力手段84は、当日の釣銭準備金の合計額を翌日の釣銭準備金の規定値として入力する。
【0047】
入金額算出手段85は、在高に含まれる各紙幣金種を組み合わせた金額であって在高から釣銭準備金の合計額を差し引いた仮入金額を超えずに当該仮入金額に最も近くなる金額を構成する紙幣金種毎の枚数および金額を、入金額として算出する。
【0048】
プール金算出手段86は、仮入金額と入金額との差額を構成する貨幣金種毎の枚数および金額をプール金として算出する。
【0049】
準備金算出手段87は、入金額およびプール金を在高から減じた貨幣金種毎の枚数および金額を釣銭準備金として算出する。
【0050】
釣銭管理処理について、図5に示すフローチャートを参照して説明する。図5に示すように、まず、POS端末10のCPU38(入金額算出手段85)は、入金金種調整画面200の入金額情報エリア203に表示する入金額として各金種の初期値を算出する(ステップS1)。
【0051】
より詳細には、ステップS1においてPOS端末10のCPU38は、自動釣銭機100から送信された在高情報の全金種の合計金額から翌日の釣銭準備金を減じて仮入金額を算出する。
在高情報(全金種の合計金額)−翌日釣銭準備金の合計額=仮入金額
【0052】
次に、在高情報における金種別紙幣の枚数と仮入金額とを基に、入金額と入金額を構成する金種毎の枚数を算出する。以下において、入金額と入金額を構成する金種の枚数の算出手法について説明する。
【0053】
入金額と入金額を構成する金種毎の枚数の算出は、紙幣金種の金額と当該紙幣金種の枚数を乗じた金額を残金(スタートは仮入金額)から減算していく減算処理を行う。
【0054】
具体的には、POS端末10のCPU38は、紙幣の最大金種(最初は1万円札)について残金(スタートは仮入金額)から減算可能な最大枚数を求める。そして、CPU38は、減算可能な最大枚数を求めたら、次の金種(1万円札の次は、五千円札)について同様の計算を行う。
【0055】
以上のようにして求められた各紙幣金種の枚数および金種毎の金額が、入金額情報における紙幣金種毎の枚数と紙幣金種毎の合計金額の初期値となる。
【0056】
なお、最終的に紙幣の最小金種(千円札)に対して計算した後の残金が、翌日プール金となる。
【0057】
次に、POS端末10のCPU38(プール金算出手段86)は、入金金種調整画面200のプール金情報エリア204に表示する翌日のプール金の初期値を算出する(ステップS2)。
【0058】
より詳細には、ステップS2においてPOS端末10のCPU38は、硬貨の最大金種(最初は500円硬貨)について残金(スタートは翌日プール金)から減算可能な最大枚数を求める処理を行う。そして、CPU38は、減算可能な最大枚数を求めたら、次の金種(500円硬貨の次は、100円硬貨)について同様の計算を行う。このような減算処理は、最終的に残金が0(ゼロ)になるまで実行される。
【0059】
以上のようにして求められた各硬貨金種の枚数および硬貨金種毎の金額が、翌日のプール金の硬貨金種毎の枚数と硬貨金種毎の合計金額の初期値となる。
【0060】
次に、POS端末10のCPU38(準備金算出手段87)は、入金金種調整画面200の釣銭準備金情報エリア202に表示する釣銭準備金における各金種の初期値を算出する(ステップS3)。
【0061】
より詳細には、ステップS3においてPOS端末10のCPU38は、自動釣銭機100から送信された在高情報(金種毎の貨幣の枚数)から入金額(紙幣金種毎の枚数)およびプール金(硬貨金種毎の枚数)を減じて翌日の釣銭準備金(各金種枚数の初期値)を算出する。
在高情報−入金額およびプール金=翌日釣銭準備金
【0062】
次に、POS端末10のCPU38(表示手段81)は、入金金種調整画面200の各エリアに初期値を表示する(ステップS4)。
【0063】
入金金種調整画面200の釣銭準備金情報エリア202には、ステップS3で算出した釣銭準備金(各金種の初期値)が表示される。入金金種調整画面200の入金額情報エリア203には、ステップS1で算出した入金情報(入金額の紙幣の各金種の初期値)が表示される。入金金種調整画面200のプール金情報エリア204には、ステップS2で算出した翌日プール金(入金額の硬貨の各金種の初期値)が表示される。
【0064】
次に、POS端末10のCPU38は、釣銭準備金情報エリア202、入金額情報エリア203およびプール金情報エリア204における値の変更に待機するとともに(ステップS5)、確定ボタン211の操作に待機する(ステップS6)。
【0065】
本実施形態においては、翌日釣銭準備金(釣銭)、ATMへの入金額(入金額の紙幣分)、翌日プール金(入金額の硬貨分)の各金種の枚数は、手動で変更することが可能となっている。
【0066】
何れかのエリアにおいて値の変更があったことを条件として(ステップS5のYes)、POS端末10のCPU38(変更手段82)は、他のエリアについても値を変更する変更処理を実行する(ステップS7)。
【0067】
また、確定ボタン211の操作があったことを条件として(ステップS6のYes)、POS端末10のCPU38は、確認メッセージを表示するとともに、釣銭準備金情報エリア202、入金額情報エリア203およびプール金情報エリア204における値を確定する(ステップS8)。
【0068】
また、POS端末10のCPU38は、ATMへの入金額、翌日プール金を、HDD55の売上ファイルに記憶する(ステップS9)。
【0069】
さらに、POS端末10のCPU38は、サーマルプリンタ37を制御して下記に示す項目を印字する(ステップS10)。
・金種別在高入力
・翌日釣銭準備金
・ATMへの入金額
・翌日プール金
【0070】
このように、実施形態のPOS端末10によれば、コンビニエンスストア等に設置されているATMに入金するための紙幣のみの入金額を金種毎に自動で算出することで、手持在高を正しく保持することができ、また入力ミスを減らすことができる。
【0071】
さらに、実施形態のPOS端末10によれば、入金額にかかる紙幣金種毎の枚数と紙幣金種毎の合計金額とを入金金種調整画面200上で変更することができるので、使い勝手が良くすることができる。
【0072】
なお、本実施形態においては、自動釣銭機100内の在高に関する在高情報エリア201をPOS端末10からの要求に応じて自動釣銭機100から送信させるようにしたが、これに限るものではない。例えば、POS端末10に自動釣銭機100を接続せずに、POS端末10で扱う貨幣を一時的に保管する引出しであるキャッシュドロワを貨幣収納部として接続するケースも想定される。このようなケースでは、下記に示すような手順を採るようにすればよい。
1.POS端末10に在高を入力する在高入力画面(図示せず)を表示する。
2.在高入力画面にて、手持在高(実現金)の入力を行う。入力方法として、各金種の枚数を入力する。
3.手持在高(実現金)を入力後、在高確定ボタン(図示せず)の押下にて手持在高(現金)入力を確定し、入金金種調整画面200に遷移する。
【0073】
また、本実施形態において入金金種調整画面200の在高情報エリア201に表示される在高情報は、変更できないようにロックされた状態としたがこれに限るものではなく、在高情報エリア201において金種別在高の調整を行えるようにしても良い。
【0074】
なお、本実施形態においては販売データ処理装置としてPOS端末10を適用したが、限るものではない。例えば、販売データ処理装置を、ECR(Electric Cash Register)に適用しても良い。
【0075】
本実施形態のPOS端末10で実行されるコンピュータプログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD−ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD−R、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録されて提供される。
【0076】
また、本実施形態のPOS端末10で実行されるコンピュータプログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成しても良い。また、本実施形態のPOS端末10で実行されるコンピュータプログラムをインターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成しても良い。
【0077】
また、本実施形態のPOS端末10で実行されるコンピュータプログラムを、ROM等に予め組み込んで提供するように構成してもよい。
【0078】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0079】
10 販売データ処理装置
34 表示器
81 表示手段
82 変更手段
83 在高入力手段
84 準備金入力手段
85 入金額算出手段
86 プール金算出手段
87 準備金算出手段
100 貨幣収納部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0080】
【特許文献1】特開2013−37573号公報
図1
図2
図3
図4
図5