(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。以下の説明において、同一又は相当の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0021】
図1は、本実施形態に係る塗布具を示す縦断面図である。
図2は、
図1の塗布具で移動体を一定量前進させた状態を示す縦断面図である。
図3は、
図1の塗布具で移動体を前進限にまで前進させた状態を示す縦断面図である。
図4は、塗布具の断面斜視図である。
図1〜
図4に示されるように、本実施形態の塗布具100は、塗布対象に塗布料である化粧料Mを塗布する際に用いられるものである。
【0022】
化粧料Mとしては、例えば、マスカラ、アイブローマスカラ、ヘアマスカラ等を始めとした種々の化粧料を用いることが可能であり、特に、高粘度の液状、ジェル(ゲル)状、半固形状、軟固形状、軟質状、ゼリー状、ムース状、及びこれらを含む練り状(ペースト状)等のものを用いることができる。塗布対象としては、例えば、睫毛、眉毛、髪の毛等の線状又は糸状のものが挙げられる。
【0023】
塗布具100は、全体形状が筆記具の如き細長い丸棒状(ペンシル状)を成し良好な外観を呈するもので、塗布具100の容器前部を構成する容器本体2と、塗布具100の容器後部を構成する操作筒3とを外観構成として具備する。容器本体2及び操作筒3の内部には、第1の螺子筒4と、第1の螺子筒4の内部に位置する第2の螺子筒5と、軸線方向に移動する移動体6と、移動体6の前側に位置する塗布体7と、容器本体2の内部に位置する第1の封止部材8及び第2の封止部材9と、先端部材10とを備えている。
【0024】
ここで、「軸線」とは、塗布具100の前後に延びる中心線を示しており、「軸線方向」とは、前後方向であって且つ軸線に沿った方向を示している。また、塗布体7の繰り出し方向を前方とし、塗布体7の繰り戻し方向を後方(後退する方向)とする。
【0025】
容器本体2の材料は、例えば、ABS樹脂(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレンの共重合合成樹脂)、PP(ポリプロピレン)、PBT(ポリブチレンテレフタレート)又はPE(ポリエチレン)である。容器本体2は、筒状を呈し、先端に先端部材10が装着される開口2aを有する。
【0026】
容器本体2の内周面には、容器本体2の軸線方向中央付近に位置する環状凸部2bと、容器本体2の前側に位置する環状凹部2cと、が設けられており、この環状凸部2bと環状凹部2cとの間に化粧料Mを収容する収容部2dが設けられる。容器本体2の内周面における環状凸部2bの後側は、移動体6が軸線方向に移動する移動領域2eとされており、この移動領域2eの径は収容部2dの径よりも大きくなっている。
【0027】
容器本体2の移動領域2eの内周面には、移動体6を回転方向(軸線回りの方向)に係合するためのものとして、軸線方向に延びる凹溝2fが形成されている。この凹溝2fは、周方向二等配に設けられる。凹溝2fは、軸線方向における移動領域2eの一端から他端にまで全域に亘って延びている。また、凹溝2fの前端には、後方から移動体6が突き当てられる段差部2jが設けられている。
【0028】
容器本体2は、その後側に、小径となる円筒部を有しており、この円筒部が操作筒3に挿入される挿入部2gとなっている。挿入部2gの外周面には、操作筒3を軸線方向に係合するための環状凸部2hが設けられている。
【0029】
図5は、操作筒3を示す断面斜視図である。
図5に示されるように、操作筒3は、有底円筒状を呈する。操作筒3の材料は、例えば、容器本体2の材料と同様とすることができ、ABS樹脂、PP、PBT又はPEとすることができる。操作筒3の内周面には、第1の螺子筒4を移動させるための第1の螺合部11の一方を構成する雌螺子部3aが形成されている。雌螺子部3aは、操作筒3の底面3bから操作筒3の前側に亘って延びている。
【0030】
操作筒3の内周面における雌螺子部3aの前側には、容器本体2を挿入させる拡径部3cが設けられ、この拡径部3cには、容器本体2の環状凸部2hを軸線方向に係合するための環状凹部3dが設けられている。操作筒3は、拡径部3cに容器本体2の挿入部2gが挿入され、容器本体2の環状凸部2hが環状凹部3dに軸線方向に係合することによって、容器本体2に軸線方向に係合すると共に相対回転可能に装着される。
【0031】
図6(a)は第1の螺子筒4の側面図を示し、
図6(b)は第1の螺子筒4の縦断面図を示し、
図6(c)は第1の螺子筒4の断面斜視図を示している。第1の螺子筒4の材料は、ABS樹脂、PP、PBT又はPEとすることができる。
図6(a)〜
図6(c)に示されるように、第1の螺子筒4は、段付き円筒状の外径を呈している。第1の螺子筒4は、円筒状の前側筒部4aと、前側筒部4aよりも大径外形を有する後側筒部4bと、を有する。第1の螺子筒4の後側筒部4bの外周面には、第1の螺合部11の他方を構成する雄螺子としての螺合突起4hが周方向二等配に設けられている。
【0032】
第1の螺子筒4の内周面4fには、第2の螺子筒5を移動させるための第2の螺合部12の一方を構成する雌螺子部4cが形成されている。雌螺子部4cは螺旋状の螺子溝4dを有する。雌螺子部4cは、軸線方向における第1の螺子筒4の一端から他端にまで全域に亘って延びている。また、雌螺子部4cの前側には、雌螺子部4cの螺子溝4dにおいて周方向に延びる突起4eが設けられている。
【0033】
この突起4eは、第1の螺子筒4に対する第2の螺子筒5の前進を規制するために設けられる。突起4eは、その前側に位置して螺子溝4dの底面に対し傾斜する傾斜面4e1と、傾斜面4e1の後側で周方向に延びる天面4e2と、天面4e2の後側で螺子溝4dの底面に対して略垂直となるように形成された側面4e3と、を備えている。突起4eの天面4e2の径方向内側への突出高さは、第1の螺子筒4の内周面4fの高さよりは低くなっている。
【0034】
螺子溝4dは、第1の螺子筒4の前端4gにまで延びており、突起4eは、前端4gよりも後方に設けられている。このように、螺子溝4dが前端4gにまで形成されると共に、突起4eが前端4gよりも後方に設けられることにより、第2の螺子筒5を前端4gから螺子溝4dに挿入して第2の螺子筒5を組み付けやすくなっている。
【0035】
また、突起4eは、その前側に傾斜面4e1を備えているので、傾斜面4e1を乗り越えさせることによって前から第2の螺子筒5を組み付けやすくなっている。一方、突起4eは、その後側に略垂直の側面4e3を備えているので、組み付けた第2の螺子筒5が側面4e3に当接することで第1の螺子筒4からの第2の螺子筒5の抜けが阻止される。
【0036】
図7(a)は第2の螺子筒5の側面図を示し、
図7(b)は第2の螺子筒5の縦断面図を示し、
図7(c)は第2の螺子筒5の断面斜視図を示している。第2の螺子筒5の材料は、例えば、ABS樹脂、PP、PBT又はPEとすることができる。
図7(a)〜
図7(c)に示されるように、第2の螺子筒5は、その前端に拡径部5hを備えた円筒状を呈している。この拡径部5hの前端5jは、後方から移動体6に当接する。第2の螺子筒5の外周面の後側には、第2の螺合部12の他方を構成する雄螺子としての螺合突起5aが周方向二等配に設けられている。また、拡径部5hは、移動体6の後退時に、第2の螺子筒5全体が第1の螺子筒4の内部に入り込まないように、第2の螺子筒5の後退を規制する機能を有する。
【0037】
第2の螺子筒5の内周面5bには、移動体6を移動させるための第3の螺合部13の一方を構成する雌螺子部5cが形成されている。雌螺子部5cは、軸線方向における第2の螺子筒5の一端から他端にまで全域に亘って延びている。雌螺子部5cは螺旋状の螺子溝5dを有する。また、雌螺子部5cの前側には、雌螺子部5cの螺子溝5dにおいて周方向に延びる突起5eが設けられている。突起5eは、前述の突起4eと同様、傾斜面5e1と、天面5e2と、側面5e3とを備える。
【0038】
第2の螺子筒5の内周面5bの前端には、内周面5bから前側に向かって拡径されたテーパ部5fが設けられているので、前から移動体6を挿入しやすくなっている。また、螺子溝5dは、第2の螺子筒5の前端5jにまで延びており、突起5eは、前端5jよりも後方に設けられている。よって、移動体6を螺子溝5dに挿入して移動体6を組み付けやすくなっている。また、突起5eは、傾斜面5e1及び側面5e3を備えているので、傾斜面5e1を乗り越えさせることによって前から移動体6を組み付けやすくなっていると共に、組み付けた移動体6が側面5e3に当接することで第2の螺子筒5からの移動体6の抜けが阻止される。
【0039】
図8(a)は移動体6の斜視図を示し、
図8(b)は移動体6の断面斜視図を示している。移動体6の材料は、ABS樹脂、PP、PBT又はPEとすることができる。移動体6は、軸線方向の前端の外周面で拡径された突出部6a(押寄部)と、軸線方向の後側で拡径された拡径部6bと、が形成された細長い丸棒状を呈する。移動体6の外周面の拡径部6bよりも後側には、第3の螺合部13の他方を構成する雄螺子としての螺合突起6cが設けられている。移動体6の拡径部6bの外周面には、容器本体2に対する移動体6の回り止めとして、径方向外側に突出すると共に軸線方向に延びる突部6dが周方向二等配に設けられている。
【0040】
移動体6における拡径部6bより前側の部分は、前端に突出部6aを有すると共に軸線方向に延びる円筒部とされており、この円筒部は容器本体2の収容部2dに挿入される挿入部6eとなっている。挿入部6eの内部は、移動体6に対して塗布体7が軸線方向に移動する移動領域6fとされている。移動領域6fの前側には突起6gが周方向二等配に設けられており、これらの突起6gは、移動体6からの塗布体7の抜けを防止するために設けられる。
【0041】
突出部6aは、容器本体2の収容部2dにおいて、塗布体7に対して前進する部位である。突出部6aは、収容部2dの内部の化粧料Mを前側に押し寄せ、化粧料Mを収容部2dの前側に集中させる。突出部6aは、円環状に形成された前端6hと、前端6hの外周から後方に斜めに傾斜するテーパ面6jと、テーパ面6jの後端で周方向に延びる天面6kと、前端6hの内周から後方に斜めに傾斜するテーパ面6mと、を有する。このテーパ面6mにより、塗布体7を前から移動領域6fに組み付けやすくなっている。
【0042】
移動体6は、その組み付け時に後方から容器本体2に挿入され、突部6dが容器本体2の凹溝2fに回転方向に係合することによって、容器本体2に軸線方向移動可能且つ回転不能に装着される。この状態において、移動体6の突出部6aは、容器本体2の収容部2dに位置するが、突出部6aの外径は収容部2dの内径よりも小さいため、突出部6aの天面6kと収容部2dの内面との間(天面6kの径方向外側)には隙間が形成される。
【0043】
図9は、塗布体7の斜視図を示している。
図9に示されるように、塗布体7は、段付きの細長い丸棒状を呈する。塗布体7の材料は、例えば、PP又はPBTとすることができる。塗布体7は、その前側が塗布対象に当てられる大径の塗布部7aとなっており、後側が移動体6の移動領域6fに挿入される小径の挿入部7bとなっている。
【0044】
塗布部7aの外径は、移動体6の突出部6aの外径よりは小さい。塗布体7の外周における塗布部7aと挿入部7bとの間には、段差部7c(所定部位)が設けられており、この段差部7cに後方から移動体6の突出部6aが突き当てられる。この段差部7cに突出部6aが接触している状態では、塗布体7は移動体6と共に前進する。
【0045】
塗布体7の挿入部7bの後側には、移動体6の移動領域6fの突起6gに後側から突き当てられる環状突起7dが設けられている。この環状突起7dは、その後側に位置しており後方に向かうに従って縮径するテーパ面7d1と、テーパ面7d1の前側で周方向に延びる天面7d2と、天面7d2の前側で挿入部7bの外周面に対して略垂直となるように形成された側面7d3と、を備えている。
【0046】
このように環状突起7dはテーパ面7d1を備えているので、組み付け時に塗布体7の挿入部7bを移動体6の移動領域6fに挿入しやすくなっている。また、環状突起7dは、その前側に側面7d3を備えているので、側面7d3が組み付けた移動体6の突起6gに後方から当接することにより、塗布体7の移動体6からの抜けが阻止される。
【0047】
塗布部7aの外周面(表面)には、収容部2dの化粧料Mを収容すると共に、塗布体7の前進時に外方に露出する第1の凹部7eと第2の凹部7fとが軸線方向に並設されている。塗布具100の使用者は、この塗布部7aを前方に露出させて塗布部7aを塗布対象に当てることにより、第1の凹部7e及び第2の凹部7fに収容された化粧料Mを塗布対象に塗布することが可能となる。
【0048】
第1の凹部7eは軸線方向に沿った複数(
図9では21箇所)の位置に配置されている。第2の凹部7fは、塗布部7aの外周面において第1の凹部7eの反対側に配置されており、第2の凹部7fも軸線方向に沿った複数の位置に配置されている。各第1の凹部7eは、塗布部7aの外周で周方向に所定長延びており、各第1の凹部7eの深さは、周方向の両端側に向かうに従って浅くなっている。各第1の凹部7eの幅は、周方向の両端側に向かうに従って狭くなっている。また、第2の凹部7fの深さ及び幅は、第1の凹部7eの深さ及び幅とは異なっており、使用者は、好み等に応じて、第1の凹部7eを塗布対象に当てるか、又は第2の凹部7fを塗布対象に当てるか、を選択可能となっている。
【0049】
塗布部7aの前端には、第1の凹部7e及び第2の凹部7fが設けられる部位から曲面状に拡径された拡径部7gが設けられている。この拡径部7gは、塗布体7に付着した化粧料Mを容器本体2の内部に押し戻す機能、及び容器本体2を封止する機能を有する。
【0050】
図10(a)は、第1の封止部材8を示す斜視図であり、
図10(b)は、第1の封止部材8を示す断面斜視図である。第1の封止部材8及び第2の封止部材9は、互いに同一の形状となっており、第1の封止部材8及び第2の封止部材9の材料は、例えば、NBR、エラストマー又はTPE等のゴム材料である。なお、第2の封止部材9は、第1の封止部材8とは配置位置が異なっているが、第2の封止部材9の形状は第1の封止部材8の形状と同一であるため、以下では、第2の封止部材9の形状についての説明を適宜省略する。
【0051】
図10(a)及び
図10(b)に示されるように、第1の封止部材8は、段付きの円環状を呈している。第1の封止部材8は、第1の封止部材8を先端部材10に軸線方向に係合するためのものとして、周方向に延びる凹部8aと、凹部8aの前側で周方向に所定長延びる突起8dとを備えている。突起8dは周方向二等配に設けられている。第1の封止部材8の内側は、塗布体7の塗布部7aが通される挿通部8bとされている。また、第1の封止部材8の内周面には環状突部8cが設けられており、この環状突部8cが塗布部7aの外周面に当接することで収容部2dの前側の封止が可能となる。また、環状突部8cは、塗布部7aの外周面上の化粧料Mを扱く機能を有する。
【0052】
第2の封止部材9は、第1の封止部材8と同様の凹部8a、挿通部8b、環状突部8c及び突起8dを備えている。第2の封止部材9の凹部8aは、第2の封止部材9を容器本体2の環状凸部2bに軸線方向に係合するためのものである。第2の封止部材9の挿通部8bは、移動体6の挿入部6eが通される部位とされている。また、第2の封止部材9の環状突部8cは、突出部6aの後方に位置する挿入部6eの外周面に当接し、これにより収容部2dの後側の封止が可能となる。
【0053】
図11(a)は先端部材10を示す斜視図であり、
図11(b)は先端部材10を示す断面斜視図である。先端部材10の材料は、例えば、ABS樹脂、PP、PBT又はPEとすることができる。
図11(a)及び
図11(b)に示されるように、先端部材10は、段付きの円環状を呈している。
【0054】
先端部材10は、その前端に設けられた拡径部10aと、拡径部10aの後方で周方向に所定長延在すると共に周方向二等配に設けられた凹部10bと、一の凹部10bと他の凹部10bとの間で周方向に延在する凸部10cと、を備えている。また、先端部材10の内周10dには、第1の封止部材8及び塗布体7が通される。
【0055】
拡径部10aは、前方から容器本体2の前端に当接する部位であり、凹部10bは、第1の封止部材8の突起8dが径方向内側から入り込む部位である。また、凸部10cは、容器本体2の環状凹部2cに軸線方向に係合する。従って、先端部材10は、その凹部10bに内側から第1の封止部材8の突起8dが入り込むことによって第1の封止部材8が装着され、拡径部10aが容器本体2の前端に突き当てられると共に凸部10cを容器本体2の環状凹部2cに係合させることによって容器本体2に装着される。
【0056】
以上のように構成される塗布具100の使用時の動作について以下で説明する。
図1に示される初期状態の塗布具100にあっては、第1の螺子筒4、第2の螺子筒5、移動体6、第1の螺合部11、第2の螺合部12及び第3の螺合部13が後端に位置した状態となっており、第1の螺子筒4、第2の螺子筒5及び移動体6の後端は操作筒3の底面3bに接触している。そして、塗布体7の拡径部7gの後端が第1の封止部材8の前端に当接して第1の封止部材8の挿通部8bが封止されている。また、塗布体7の第1の凹部7e及び第2の凹部7fは、容器本体2の内側の収容部2dに位置している。
【0057】
この状態において、例えば使用者が容器本体2に対して操作筒3を一方向(例えば時計回り)に相対回転させると、操作筒3の雌螺子部3aと第1の螺子筒4の螺合突起4hとによって構成される第1の螺合部11の螺合作用、第1の螺子筒4の雌螺子部4cと第2の螺子筒5の螺合突起5aとによって構成される第2の螺合部12の螺合作用、及び、第2の螺子筒5の雌螺子部5cと移動体6の螺合突起6cとによって構成される第3の螺合部13の螺合作用、が働く。そして、第1の螺合部11の螺合作用によって操作筒3に対して第1の螺子筒4が前進し、第2の螺合部12の螺合作用によって第1の螺子筒4に対して第2の螺子筒5が前進し、第3の螺合部13の螺合作用によって第2の螺子筒5に対して移動体6が前進する。
【0058】
図2に示されるように、操作筒3に対して第1の螺子筒4が前進すると共に、第1の螺子筒4に対して第2の螺子筒5が前進し、更に、第2の螺子筒5に対して移動体6が前進すると、移動体6は、その突部6dが凹溝2fに回転不能に係合しているので、容器本体2に対して回転せずに前進する。移動体6が移動領域2eにおいて前進すると、第2の封止部材9の挿通部8bの内部で移動体6が摺動すると共に、移動体6の突出部6aが前進して収容部2dの内部の化粧料Mが突出部6aによって前側に押し寄せられる。このとき、塗布体7は前進しないので、前側に押し寄せられた化粧料Mはスムーズに第1の凹部7e及び第2の凹部7fに収容される。
【0059】
上記のように移動体6が前進を続けると、移動体6の突出部6aは塗布体7の段差部7cに当接する。この状態において、更に操作筒3を一方向に相対回転させて移動体6を前進させると、突出部6aが段差部7cに当接しているので、移動体6と共に塗布体7も前進を開始する。
【0060】
そして、
図3に示されるように、移動体6及び塗布体7が前進限に達すると、突出部6aが第1の封止部材8の後端に近接すると共に、突部6dの前端が第2の封止部材9の後端に近接すると共に突部6dの前端が段差部2jに当接する。また、移動体6の螺合突起6cが第2の螺子筒5の突起5e(側面5e3)に当接すると共に、第2の螺子筒5の螺合突起5aが第1の螺子筒4の突起4e(側面4e3)に当接して、移動体6及び第2の螺子筒5のこれ以上の前進が規制される。更に、第1の螺子筒4の後側筒部4bの前端が容器本体2の後端に当接して、第1の螺子筒4のこれ以上の前進が規制される。
【0061】
例えば、雌螺子部3a、雌螺子部4c及び雌螺子部5cにあっては、前進限において、突起5eに螺合突起6cが当接し、突起4eに螺合突起5aが当接し、容器本体2の後端に後側筒部4bの前端が当接するように、雌螺子部3a、雌螺子部4c及び雌螺子部5cそれぞれの形状及び長さが設定されている。
【0062】
また、前述のように移動体6及び塗布体7を前進させると、塗布体7の塗布部7aが前進して拡径部7g、第1の凹部7e及び第2の凹部7fが容器本体2の前方で露出する。このように、塗布体7の塗布部7aが塗布具100の前端から出現することにより、使用者は第1の凹部7e及び第2の凹部7fに収容された化粧料Mを塗布対象に塗布可能となる。
【0063】
使用者が化粧料Mを塗布した後に、使用者が容器本体2に対して操作筒3を他方向(例えば、反時計回り)に相対回転すると、第1の螺合部11の螺合作用、第2の螺合部12の螺合作用、及び第3の螺合部13の螺合作用が働く。そして、第1の螺合部11の螺合作用によって第1の螺子筒4が後退し、第2の螺合部12の螺合作用によって第2の螺子筒5が後退し、第3の螺合部13の螺合作用によって移動体6が後退する。
【0064】
すると、移動体6は、容器本体2の移動領域2eにおいて後退するが、このとき、塗布体7は後退しない。すなわち、塗布体7に対して移動体6が相対的に後退することによって、塗布体7に対する移動体6の相対位置が初期状態に戻される。このように塗布体7に対して移動体6が後退していくと、移動体6の突起6gが前方から塗布体7の環状突起7dに当接し、その後、移動体6と共に塗布体7が後退する。そして、
図1に示されるように、塗布体7が前方から容器本体2に没入すると共に、移動体6の後端、第2の螺子筒5の後端、及び第1の螺子筒4の後端が操作筒3の底面3bに当接して初期状態とされることにより、塗布具100の使用が完了する。
【0065】
以上のように、本実施形態の塗布具100では、塗布体7と、塗布体7に対して軸線方向に一定量移動可能に連結された移動体6と、が前進し、塗布体7が容器本体2の前端から押し出される。塗布体7は、その表面に化粧料Mを収容する第1の凹部7e及び第2の凹部7fを有し、第1の凹部7e及び第2の凹部7fは、塗布体7の前進に伴って容器本体2の前方で露出する。よって、第1の凹部7e及び第2の凹部7fに化粧料Mを収容した状態で第1の凹部7e及び第2の凹部7fを露出させて塗布体7を使用可能状態にすることができる。
【0066】
また、移動体6は、塗布体7に対して前進することによって収容部2d内の化粧料Mを収容部2dの前側に押し寄せる突出部6aを備えている。このように、塗布体7に対して前進する突出部6aで収容部2d内の化粧料Mを前側に集中させることができるので、収容部2d内の化粧料Mが減少した場合であっても、安定して化粧料Mを第1の凹部7e及び第2の凹部7fに収容させることができる。従って、使用者が長期間使用を継続しても第1の凹部7e及び第2の凹部7fに化粧料Mを収容させることができるため、長期にわたって化粧料Mの排出量を安定させることができる。
【0067】
また、突出部6aは、移動体6の前側で径方向外側に突出しており、突出部6aの外径は、収容部2dの内径よりも小さく、且つ塗布体7の外径(塗布部7a及び挿入部7bの外径)よりも大きい。従って、突出部6aの外径は収容部2dの内径より小さいので、突出部6aをスムーズに前進させることができる。更に、突出部6aと収容部2d内面との間に形成された隙間から化粧料Mを後方に逃がすことができるので、収容部2dの前側に圧力がかかりすぎないようにすることもできる。従って、収容部2dの前側に適度に化粧料Mを集中させることも可能となる。
【0068】
また、塗布具100は、筒状の容器本体2と、操作筒3とを備えており、容器本体2と操作筒3とは、一方向に相対回転可能となっており、容器本体2及び操作筒3の内部に、雄螺子及び雌螺子によって構成された第1の螺合部11及び第2の螺合部12及び第3の螺合部13を備え、移動体6は、容器本体2と操作筒3とが一方向に相対回転されると、雄螺子と雌螺子の螺合作用が働くことによって前進する。すなわち、複数の螺合部11,12,13が容器本体2及び操作筒3の内部に設けられており、移動体6は、複数の螺合部11,12,13の螺合作用が働くことによって前進する。
【0069】
このように複数の螺合部11,12,13を備える場合、螺合部が一つである場合と比較して、相対回転時における移動体6の移動量を大きくすることができる。また、複数の螺合部11,12,13を備える場合には、容器本体2及び操作筒3の長さ(軸線方向の長さ)が短くても移動体6の移動量を確保することができるので、一つの螺合部を備える場合と比較して容器本体2及び操作筒3の長さを短くすることも可能である。
【0070】
また、移動体6は、塗布体7に対して一定量前進した後に、塗布体7と共に前進する。よって、移動体6は、塗布体7と共に前進する前に、塗布体7に対して相対移動するので、突出部6aも塗布体7に対して前方に相対移動する。従って、突出部6aが塗布体7に対して前方に相対移動している間に、化粧料Mを塗布体7に沿って前方に寄せることができる。よって、塗布体7表面の第1の凹部7e及び第2の凹部7fに化粧料Mを収容させやすくすることができる。
【0071】
また、塗布体7と移動体6とは、容器本体2の前端から塗布体7が押し出された状態から後退して、容器本体2内に塗布体7が没入し、移動体6は、塗布体7に対して一定量後退した後に、塗布体7と共に後退する。よって、塗布体7は、その後退に伴って容器本体2内に没入するので、例えば使用終了時には、塗布体7を容器本体2内に没入させることができる。
【0072】
従って、使用していない状態では、塗布体7を没入させて第1の凹部7e及び第2の凹部7fを露出させないようにすることができるので、化粧料Mが固まるのを回避することができる。また、先に、塗布体7に対して移動体6を後方に相対移動させることにより、突出部6aの位置を確実に使用前の状態(初期状態)に戻すことができる。従って、次回使用時にも、突出部6aによって確実に化粧料Mを前方に押し寄せることができる。
【0073】
また、突出部6aは、移動体6が塗布体7に対して一定量前進した場合に塗布体7の段差部7cに接触し、移動体6は、塗布体7に対して一定量前進した後に、突出部6aの段差部7cへの接触により塗布体7を前方に押圧して、塗布体7と共に前進する。従って、化粧料Mを前方に押し寄せる機能と、塗布体7を移動体6と共に前進させる機能と、の両方を突出部6aに兼ねさせることができる。
【0074】
更に、第1の封止部材8は、収容部2dを封止すると共に、塗布部7aの外周面上の化粧料Mを扱く。この第1の封止部材8によって収容部2dが封止されるので化粧料Mが固まる事態が阻止されると共に、第1の封止部材8が化粧料Mを扱くことにより、排出される化粧料Mが多くなりすぎないようにすることができるので、適量の化粧料Mを排出することができる。
【0075】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、前述の実施形態に限られるものではなく、各請求項に記載した要旨を変更しない範囲で変形し、又は他のものに適用したものであってもよい。すなわち、塗布具100を構成する各部品の構成は上記の要旨を変更しない範囲で適宜変更可能である。
【0076】
例えば、前述の実施形態では、細長い丸棒状の塗布体7について説明したが、塗布体の形状については適宜変更可能である。例えば、変形例に係る塗布体17、容器本体2及び移動体6の横断面を示す
図12のように、塗布体17の断面形状を長軸方向の両端が尖った楕円形状としてもよい。この塗布体17は、長軸方向の両端に向かって先細りする尖頭部17aを一対備えており、各尖頭部17aに、化粧料Mを収容する凹部7e,7fに対応する凹部17eが設けられている。
【0077】
この変形例において、移動体6の突出部6aの外径は、収容部2dの内径よりも小さく、且つ塗布体17の短径(短軸の径)よりも大きくなっている。すなわち、突出部6aの外径は、塗布体17の最小外径よりも大きい。この変形例の場合も、突出部6aをスムーズに前進させることができると共に、突出部6aと収容部2d内面の間に形成された隙間から化粧料Mを後方に逃がすことができる。従って、収容部2dの前側に圧力がかかりすぎないようにすることができ、収容部2dの前側に適度に化粧料Mを集中させることができる。
【0078】
また、前述の実施形態では、細長い丸棒状の移動体6について説明したが、移動体の形状についても適宜変更可能である。例えば、
図1等に示される突出部6aよりも外径を大きくして、収容部2dの内面を摺動する(収容部2dの内径と同一の外径を有する)突出部としてもよい。そして、この突出部に、軸線方向に貫通する化粧料M流通用の通路を形成してもよい。
【0079】
この場合、上記の突出部は、突出部の前側から後側へ化粧料Mを通過させる通路を有するので、当該突出部によって、化粧料Mを前側に寄せつつ一部の化粧料Mを当該通路から後方に逃がすことができる。従って、突出部の前側に圧力がかかりすぎないようにすることができ、収容部2dの前側に適度に化粧料Mを集中させることができる。
【0080】
また、前述の実施形態では、化粧料Mを収容部2dの前側に集中させる押寄部が、移動体6の前側で径方向外側に突出する突出部6aである例について説明した。しかしながら、押寄部は、突出部6a以外の形状とすることも可能である。例えば、移動体6の突出部6aに代えて、移動体6の挿入部6e全体を太くして挿入部6eの前端を押寄部とすることも可能である。
【0081】
また、前述の実施形態では、塗布体7が第1の凹部7eと第2の凹部7fとを一対に備える例について説明した。しかしながら、塗布体7の表面に形成される化粧料M収容用の凹部の形状及び配置は、上記の第1の凹部7e及び第2の凹部7fに限定されず、適宜変更可能である。塗布体7の表面に形成する凹部の種類及び数についても適宜変更可能である。
【0082】
また、前述の実施形態では、塗布体7が段差部7cを備え、この段差部7cに突出部6aが突き当てられることによって塗布体7が移動体6と共に前進する例について説明した。しかしながら、移動体6が塗布体7に対して一定量前進したときに接触する塗布体7の所定部位は段差部7cに限定されない。例えば、段差部7cに代えて、段差部7cが設けられる箇所に摩擦係数を高める措置を施し、当該箇所を上記所定部位としてもよい。この場合、摩擦係数が高められた箇所に突出部6aが接触することによって、塗布体7が移動体6と共に前進する。
【0083】
また、前述の実施形態では、第1の螺合部11、第2の螺合部12及び第3の螺合部13の螺合作用によって、第1の螺子筒4、第2の螺子筒5及び移動体6が前進する例について説明した。しかしながら、螺合部の数は3つでなくてもよいし、螺子筒の数も2つでなくてもよい。すなわち、螺合部及び螺子筒の数は適宜変更可能である。更に、第1の螺合部11、第2の螺合部12及び第3の螺合部13に代えて、例えば、軸線方向にスライド可能なスライド機構によって移動体6を前進させてもよい。すなわち、螺合部以外の機構を用いて移動体6を前進させることも可能である。
【0084】
また、前述の実施形態では、容器本体2と操作筒3との一方向の相対回転によって移動体6が前進し、他方向の相対回転によって移動体6が後退する例について説明した。しかしながら、移動体6は、上記スライド機構等、相対回転以外の手段によって前進又は後退してもよい。更に、容器本体2及び操作筒3の2つの容器に代えて、1つの容器、又は3つ以上の容器としてもよい。
【0085】
また、前述の実施形態では、収容部2dに収容される塗布料として化粧料Mを例示した。しかしながら、塗布料としては、インク又はスティックのり等、化粧料以外の塗布料を用いることも可能である。