(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6696087
(24)【登録日】2020年4月27日
(45)【発行日】2020年5月20日
(54)【発明の名称】管状の照明付きダブルレール、及びそのようなレールを備える三次元構造体
(51)【国際特許分類】
E04B 2/74 20060101AFI20200511BHJP
F21S 8/02 20060101ALI20200511BHJP
F21S 2/00 20160101ALI20200511BHJP
F21V 33/00 20060101ALI20200511BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20200511BHJP
【FI】
E04B2/74 541L
F21S8/02 420
F21S2/00 230
F21V33/00 200
E04B2/74 541P
F21Y115:10
【請求項の数】10
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2017-530068(P2017-530068)
(86)(22)【出願日】2015年11月10日
(65)【公表番号】特表2018-500486(P2018-500486A)
(43)【公表日】2018年1月11日
(86)【国際出願番号】FR2015053049
(87)【国際公開番号】WO2016087733
(87)【国際公開日】20160609
【審査請求日】2018年10月1日
(31)【優先権主張番号】1461980
(32)【優先日】2014年12月5日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】515202896
【氏名又は名称】ノルマリュ
【氏名又は名称原語表記】NORMALU
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】シェラー, ジャン−マルク
【審査官】
村田 泰利
(56)【参考文献】
【文献】
英国特許出願公告第01150225(GB,A)
【文献】
特開平02−049838(JP,A)
【文献】
特開2014−101715(JP,A)
【文献】
特開2014−179331(JP,A)
【文献】
欧州特許出願公開第02610541(EP,A1)
【文献】
仏国特許出願公開第02843983(FR,A1)
【文献】
中国特許出願公開第1938487(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 2/74
E04B 9/00−9/36
F21V 33/00
F21S 2/00
F21S 8/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
伸張布材構造体を作製するためのダブルレール(1)であって、
伸張布材を通すための長手方向の挿通開口(3)が設けられた周壁と、互いに向かって近づく2つの内部フランジ(4,5)と、内部壁(6)とを備える管状体を有し、前記内部フランジ(4,5)が、前記内部壁(6)と協働して、前記挿通開口(3)に向かって開いた空洞部(7)を画定する、ダブルレール(1)において、
当該ダブルレール(1)が、前記空洞部(7)に収容された照明手段(8)を含み、前記内部フランジ(4,5)のそれぞれが、伸張布材を掛け止めるための支持部をそれぞれ形成するように配置されていることを特徴とする、ダブルレール(1)。
【請求項2】
前記内部フランジ(4,5)は、前記管状体の前記挿通開口(3)と等しいか又は小さい開口幅を画定するように寸法が定められていることを特徴とする、請求項1に記載のダブルレール(1)。
【請求項3】
前記内部フランジ(4,5)のそれぞれが、前記周壁の隣接する部分に向かって互いに近づいていることを特徴とする、請求項1又は2に記載のダブルレール(1)。
【請求項4】
前記内部フランジのそれぞれが前記管状体(2)の前記周壁と協働して、伸張布材を受けるための溝(9)を画定するよう配置され、前記内部フランジのそれぞれが、前記伸張布材の銛状縁部を掛け止めるための肩部(10)を含み、前記肩部(10)が、対応する前記周壁に向かって延びていることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載のダブルレール(1)。
【請求項5】
前記内部フランジのそれぞれが、前記空洞部(7)に向かって延びるリム(8)を含む自由端を有することを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載のダブルレール(1)。
【請求項6】
前記挿通開口(3)が、取外し可能な長手方向の拡散カバー(11)によって閉じられることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載のダブルレール(1)。
【請求項7】
前記内部フランジのそれぞれが、前記空洞部(7)に向かって延びるリム(8)を含む自由端を有し、
前記拡散カバー(11)が、前記内部フランジ(4,5)のそれぞれの前記リム(8)に留められることを特徴とする、請求項6に記載のダブルレール(1)。
【請求項8】
当該ダブルレール(1)は、断面が円形の管状体を有することを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一項に記載のダブルレール(1)。
【請求項9】
当該ダブルレール(1)は、少なくとも1つの湾曲した部分を有することを特徴とする、請求項1〜8のいずれか一項に記載のダブルレール(1)。
【請求項10】
少なくとも1枚の伸張布材が取り付けられた、請求項1〜9のいずれか一項に記載のダブルレール(1)を少なくとも1つ備える、三次元構造体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本発明は、伸張された布材(stretched−fabric:以下「伸張布材」という)の分野に関する。
【0002】
[0002]本発明は、より詳細には伸張布材構造体を作製するためのダブルレールに関する。
【0003】
[0003]本発明は、三次元伸張布材構造体の作製が特に意図されているが、排他的に意図されているものではない。
【背景技術】
【0004】
[0004]従来、ダブルレールは、伸張布材の両辺において伸張布材を保持する仕切り用の要素である。この種のレールは、疑似壁(疑似天井及び疑似壁面)を作製するためだけではなく、三次元構造体を作製するためにも使用される。したがって、このようなレールにより様々な形状を得ることが可能になり、その形状は、このようなレールの構成が三次元構造体の湾曲を可能にする場合、より一層多様になる。
【0005】
[0005]しかし、ダブルレールには、いわゆる見えないレールであったとしても、布材がレールに取り付けられた場合に隣の布材との間に空間ができてしまうという欠点がある。影が生じることによって見えてしまうこの空間のせいで、出来上がった構造体の外観が不体裁なものになってしまう。
【0006】
[0006]この欠点を克服する試みでは、仕上げカバーを追加することにより、この空間を封止することが知られている。そのようなカバーは、空間が依然として見えてしまうため、問題となっているレールの審美的な欠陥を完全に補うものではない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
[0007]本発明は、影ができることを制限するダブルレールを提供し、かつすべての形状の三次元構造体を作製するための湾曲操作を可能にすることにより、従来技術のダブルレールに生じる課題に対処することを目的としている。
【0008】
[0008]本発明はまた、影ができること、又は影のゾーンを制限するまぶしくない照明付きレールを提供することを目的としている。
【0009】
[0009]本発明はまた、満足のいく美的外観を提供する一方で伸張布材を容易に取り付けられるようにするレールを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
[0010]この目的で、第1の態様によれば、本発明は、伸張布材構造体を作製するためのダブルレールを提供するものであり、このダブルレールは、伸張布材を通すための長手方向の挿通開口を備えた管状体を有する。このレールは、管状体が、互いに向かって近づく2つの内部フランジであって、内部壁と協働して内部に照明手段を収容する空洞部を画定する2つの内部フランジを備え、空洞部が挿通開口に向かって開いていることを特徴とする。
【0011】
[0011]このような構成により、本発明によるダブルレールによって、2枚の布材の間、又はレールのいずれかの側に固定された布材部分に影ができることを制限し、一方で湾曲操作を可能にすることができるようになる。この最後の点により、いかなる形状の、特に3Dの構造体も作製することが可能になる。
【0012】
[0012]内部フランジは、管状体の挿通開口の幅と等しいか又は小さい開口幅を画定するように寸法が定められることが有効である。
【0013】
[0013]各内部フランジは、隣接の周壁部分に向かって互いに近づくことが有効である。
【0014】
[0014]各内部フランジは、伸張布材を掛け止めるための支持部をそれぞれ形成するように配置されることが有効である。
【0015】
[0015]各内部フランジは、管状体の周壁と協働して、伸張布材を受けるための溝を画定するよう配置され、各内部フランジは、伸張布材の銛状縁部を掛け止めるための肩部を含み、肩部が対応する周壁に向かって延びることが有効である。
【0016】
[0016]各内部フランジは、空洞部に向かって延びるリムを含む自由端を有することが有効である。
【0017】
[0017]挿通開口は、取外し可能な長手方向の拡散カバーによって閉じられることが有効である。これにより、光の拡散度及び均質性を高めることも可能になる。
【0018】
[0018]拡散カバーは、各内部フランジのリムに留められることが有効である。
【0019】
[0019]ダブルレールは、断面が円形の管状体を有することが有効である。
【0020】
[0020]ダブルレールは、少なくとも1つの湾曲した部分を有することが有効である。
【0021】
[0021]本発明はまた、少なくとも1枚の伸張布材が固定される上述のような少なくとも1つのダブルレールを有する三次元構造体に関する。
【0022】
[0022]本発明の他の目的及び利点は、添付の図面を参照しつつ以下の説明を読むことにより明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】拡散カバーが取り外された状態の、三次元伸張布材構造体を作製するための本発明によるダブルレールの断面図である。
【
図2】拡散カバーがレールに取り付けられた状態の
図1のダブルレールの図である。
【
図3】2枚の伸張布材が固定された
図1のダブルレールの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
[0023]
図1及び
図2は、三次元伸張布材構造体の作製を可能にする照明付きダブルレール1を開示している。
【0025】
[0024]図示実施形態では、ダブルレール1は、中空の筒状体2を有し、この筒状体2は、1つの布材における又は2つの分離した布材における多くても2つの縁部を通すための長手方向の挿通開口3を備え、好ましくは、縁部には、銛状のフック手段が設けられている。挿通開口3は、前記筒状体2の全長にわたって延びていることが有効である。
【0026】
[0025]筒状体2は2つの内部フランジ4,5を備え、これらの内部フランジは、互いに向かうよう収斂し、内部壁6を介して周壁20に接続されている。内部フランジ4,5は、内部壁6と共に、挿通開口3に向かって開いている空洞部7を画している。図示されているように、空洞部7は、LED等の照明手段18を収容することが意図されている。図示実施形態では、空洞部7は、内部フランジ4,5及び内部壁6のそれぞれによって保持された照明手段を備える。もちろん、本発明がこの構成に限定されるものではなく、照明手段18がフランジのうちの1つ及び/又は内部壁6のみに配置される可能性もあることは明らかであろう。
【0027】
[0026]内部フランジ4,5は、開口の幅が筒状体2の挿通開口3の幅よりもわずかに小さくなるように、寸法が定められることが有効である。この構成の利点は、拡散カバーが設置された場合にそのようなカバーを保持する力を強め、影ができることを確実に制限できることである。
【0028】
[0027]図示実施形態では、内部フランジ4,5のそれぞれは、リム8が形成された自由端を有し、リム8は、空洞部7に向かって延び、好ましくは対応するフランジに対して垂直である。以下に説明するように、内部フランジ4,5のそれぞれのリム8は、拡散カバーを掛け止める手段を形成するように構成されている。
【0029】
[0028]各内部フランジは筒状体2の周壁と協働して、布材を受ける溝9を画定するよう配置されている。受け用の溝9に布材を確実に掛け止めるために、各内部フランジは、空洞部7を画定する面とは反対側の面に肩部10を有し、肩部10は周壁に向かって延びている。各肩部10は、伸張布材の銛状縁部を掛け止めることができるように配置されている。図示実施形態では、肩部10は、対応する内部フランジの自由端で支持されている。より詳細には、肩部10は、フランジのリム8とは反対側の方向で、リム8の延長上に形成されている。
【0030】
[0029]図示実施形態では、内部壁6は、筒状体2を通って延びている。即ち、内部壁6は、寸法が実質的に等しい2つの部分に周壁20を分割するように、周壁20の全長にわたって延びている。したがって、内部壁6は中央壁を形成している。内部壁6は、挿通開口3に面するように筒状体2の内側に配置されている。
【0031】
[0030]好ましくは、内部壁6には、(図のレールの位置に対して)上部に、レール17が設けられ、そのレールは、該レールに別のレールを組み付けるための手段を受けるように意図されている。レールの強度を高めるために、周壁20とレール17とをつなぐ2つの仕切り部19が設けられている。
【0032】
[0031]図示された特定の構成によれば、ダブルレール1は、挿通開口3を全体的又は部分的に閉じるのに適した取り外し可能な長手方向の拡散カバー11を備える。半透明の拡散カバー11を用いて挿通開口3を閉じることにより、光の拡散度及び均質性を高めることができる。拡散カバー11は半透明であることが有効である。
【0033】
[0032]図示実施形態では、拡散カバー11は、断面が長方形の管状体を有する。より詳細には、拡散カバー11は、2つの閉鎖壁12,14を備え、これらの閉鎖壁は互いに対向して延び、2つの側壁13,15により相互に接続されている。拡散カバー11は、2つの締結ラグ16をさらに備え、これらの締結ラグは、封止壁12,14とは反対側の方向に延びて、対応する側壁13,15の継続部分をなしている。図から理解されるように、締結ラグ16は、内部フランジ4,5のリム8と協働することが意図されている。
【0034】
[0033]したがって、締結ラグ16を有する閉鎖壁12は、内部フランジ4,5のリム8に拡散カバー11の締結ラグ16を確実に保持する強化壁を形成している。掛止め用のラグ16から遠い側の閉鎖壁14は、拡散カバー11がダブルレールに取り付けられた場合にダブルレール1が継ぎ目のない管状体になるように、円形であることが有効である。
【0035】
[0034]拡散カバー11は、挿通開口3に拡散カバー11を挿入することができるように、形状及び寸法が挿通開口3の形状及び寸法と合致することをよく理解されたい。また、拡散カバー11は、
図2に示されるように、外側面がダブルレール1の筒状体2の外側面と面一になるような寸法であることが有効である。
【0036】
[0035]拡散カバー11の光拡散機能に加えて、拡散カバー11によってもダブルレール1への布材の保持が改善される。実際、
図3に示されるように、布材30,31が、拡散カバー11と、挿通開口3を画定する周壁20の縁部との間で部分的にクランプされる。
【0037】
[0036]上述の実施形態では、ダブルレール1は、断面がC字状(即ち開口が設けられた場合は円形)である。もちろん、本発明によるレールがこの形状に限定されるものではなく、本発明の範囲内で他の形状の断面を有し得ることは明らかである。
【0038】
[0037]本発明を1つの例として上で説明した。本発明の範囲から逸脱することなく、本発明の様々な実施形態を当業者ならば生み出すことができることは理解されよう。