特許第6696284号(P6696284)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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特許6696284特殊ねじ着脱工具および特殊ねじ着脱工具ユニット
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6696284
(24)【登録日】2020年4月27日
(45)【発行日】2020年5月20日
(54)【発明の名称】特殊ねじ着脱工具および特殊ねじ着脱工具ユニット
(51)【国際特許分類】
   B25B 23/10 20060101AFI20200511BHJP
【FI】
   B25B23/10 B
【請求項の数】4
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2016-84127(P2016-84127)
(22)【出願日】2016年4月20日
(65)【公開番号】特開2017-193008(P2017-193008A)
(43)【公開日】2017年10月26日
【審査請求日】2019年3月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000211307
【氏名又は名称】中国電力株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126561
【弁理士】
【氏名又は名称】原嶋 成時郎
(72)【発明者】
【氏名】高森 剛
(72)【発明者】
【氏名】大旗 保
【審査官】 亀田 貴志
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−333746(JP,A)
【文献】 実開昭62−150069(JP,U)
【文献】 実開昭51−126499(JP,U)
【文献】 特開2011−156599(JP,A)
【文献】 実開平07−011276(JP,U)
【文献】 実開昭61−085369(JP,U)
【文献】 特開2005−169584(JP,A)
【文献】 特開2000−127058(JP,A)
【文献】 実開昭60−157181(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25B 23/10
B23P 19/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面または側周面に締め付け工具の尖端部と嵌合する1以上の凹部を持つ特殊ねじを着脱する特殊ねじ着脱工具であって、
当該特殊ねじ着脱工具を把持および操作するための棒形状の把持部と、
弾性材料で形成され略円筒形状を持つねじ保持部と、を有し、
前記ねじ保持部は、
前記特殊ねじの側周径より小さい内径を持つ当該ねじ保持部の一方の端部の内面を前記特殊ねじの側周面に部分的に圧着させて、該特殊ねじを固定する固定部と、
前記把持部の端部側周径より小さい内径を持つ当該ねじ保持部の他方の端部の内面を前記把持部の端部側周面に圧着させて、当該ねじ保持部を前記把持部に装着する装着部と、を備え
また、一端側が前記把持部の端面の中心位置で該把持部の長手方向に差し込まれて該把持部とねじ接合または嵌合接合により接合され、他端側が前記特殊ねじの複数の凹部の一部と嵌合する尖端部となる工具尖端部材を有し、
前記ねじ保持部および前記工具尖端部材は、前記把持部の双方の端部のそれぞれに構成されている、
ことを特徴とする特殊ねじ着脱工具。
【請求項2】
前記ねじ保持部は、前記固定部と前記装着部とを連結する部分が外側に凸状となるよう形成されていることを特徴とする請求項に記載の特殊ねじ着脱工具。
【請求項3】
円筒形状に形成され、前記把持部の一端の側周面とねじ接合または嵌合接合により接合する接合部を備え、
前記ねじ保持部の前記他方の端部内面は、前記接合部の外周面に圧着されることを特徴とする請求項1または請求項に記載の特殊ねじ着脱工具。
【請求項4】
前記ねじ接合の距離または嵌合接合の距離を可変とすることにより、前記把持部と前記ねじ保持部との相対的位置関係を調整する位置調整機構を備えることを特徴とする請求項に記載の特殊ねじ着脱工具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、特殊ねじ着脱工具および特殊ねじ着脱工具ユニットに関し、特に、基本的構造として、締め付け工具を同時使用可能とする構造や、締め付け工具としても併用可能な構造へ展開させ得る構造を備えて、着脱時の特殊ねじの落下を確実に防止し得る特殊ねじ着脱工具および特殊ねじ着脱工具ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、装置の外観またはデザインを重視する場合や、一般の工具を用いた装置の分解や取り外しを防ぐ場合などでは、上面または側周面に締め付け工具の尖端部と嵌合する凹部を持つ特殊ねじ(例えば、丸ナット、丸頭ボルトなど)を用いることがある。
【0003】
例えば、図8では、スマートメータ101を台座に取り付ける際に、丸ナット5Aが使用されるケースを例示している。台座の取り付け金具102に配置されているボルトのねじ山7に丸ナット5Aを取り付ける作業であるが、ねじ山7が狭い空間に配されているために、安全手袋を着用した指先では丸ナット5Aをねじ山7に宛がう作業も難しく、丸ナット5Aが落下しやすいという課題がある。また、丸ナット5Aの凹部6A(すりわり)に締め付け工具の尖端部(図3(b)参照)を嵌合させて、丸ナット5Aをねじ山7に宛がうようにするとしても、宛がうまでの間が不安定であり丸ナット5Aが落下しやすいという事情もある。さらに、丸ナット5Aをねじ山7から取り外す際も同様である。
【0004】
このような部品の落下事故は、作業の遅延を招き作業性の観点で問題となると共に、特に電気工事の活線作業においては安全性の観点で回避しなければならない事象である。電気工事等で一般に用いられているナットや締結具の落下を防止する技術は、既に幾つか提案されている。
【0005】
例えば、特許文献1では、ナット着脱時の脱落を防止するナット脱落防止工具として、絶縁性を有する弾性材料で、ドライバの先端部分に密着する中心孔を有する差込みスリーブ部と、中心孔とは隔壁を隔てた反対側に、ナットを密着保持する収容空間を持つナット保持部と、を一体形成した構造が開示されている。
【0006】
また、特許文献2では、締結具落下防止用器具として、弾性素材で軸方向の両側に開口を持つ筒状体を構成し、筒状体に、工具の軸部を保持する工具保持部と、締結具の頭部を保持する締結具保持部と、を備え、工具保持部と近接する側から開口側にかけて略同じ径を有すると共に締結具の頭部の外径寸法よりも小さな内径寸法を持つ周壁を備えた構造が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2012−166300号公報
【特許文献2】特開2011−156599号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1で開示の技術は、一品種で多量のナットの着脱に向く構造であり、少量であっても構造が多様である特殊ねじに適用するには不向きであるという事情がある。また、一般的な締め付け工具であるドライバの先端に装着される構造であることから、脱落防止工具専用のドライバを用意する必要があり、さらに基本的構造として、締め付け工具を同時使用可能とする構造や、締め付け工具としても併用可能な構造へ展開させ得る構造を備えていないという事情もある。
【0009】
また、特許文献2で開示の技術は、締め付け工具として併用可能な構造であるが、先細構造を備える締め付け工具(ドライバ)の先端に締結具保持部が装着される構造であり、構造が多様な特殊ねじに相応して多様で特殊な構造を持つ締め付け工具の尖端部に締結具保持部を装着する構造を実現させること自体難しい。一般的に特殊ねじの凹部と嵌合する締め付け工具の尖端部は先に向かって拡がる構造を持つためである。また、仮に一品種の特殊ねじに適合し得る締結具保持部の装着構造を実現できたとしても他種の特殊ねじにまで適合させることが難しく汎用性に欠けるという事情もある。
【0010】
そこでこの発明は、基本的構造として、締め付け工具を同時使用可能とする構造や、締め付け工具としても併用可能な構造へ展開させ得る構造を備えて、着脱時の特殊ねじの落下を防止し得る特殊ねじ着脱工具および特殊ねじ着脱工具ユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、請求項1の発明は、上面または側周面に締め付け工具の尖端部と嵌合する1以上の凹部を持つ特殊ねじを着脱する特殊ねじ着脱工具であって、当該特殊ねじ着脱工具を把持および操作するための棒形状の把持部と、弾性材料で形成され略円筒形状を持つねじ保持部と、を有し、前記ねじ保持部は、前記特殊ねじの側周径より小さい内径を持つ当該ねじ保持部の一方の端部の内面を前記特殊ねじの側周面に部分的に圧着させて、該特殊ねじを固定する固定部と、前記把持部の端部側周径より小さい内径を持つ当該ねじ保持部の他方の端部の内面を前記把持部の端部側周面に圧着させて、当該ねじ保持部を前記把持部に装着する装着部と、を備え、また、一端側が前記把持部の端面の中心位置で該把持部の長手方向に差し込まれて該把持部とねじ接合または嵌合接合により接合され、他端側が前記特殊ねじの複数の凹部の一部と嵌合する尖端部となる工具尖端部材を有し、前記ねじ保持部および前記工具尖端部材は、前記把持部の双方の端部のそれぞれに構成されている、ことを特徴とする。
【0015】
請求項の発明は、請求項に記載の特殊ねじ着脱工具において、前記ねじ保持部は、前記固定部と前記装着部とを連結する部分が外側に凸状となるよう形成されていることを特徴とする。
【0016】
請求項の発明は、請求項1または請求項に記載の特殊ねじ着脱工具において、円筒形状に形成され、前記把持部の一端の側周面とねじ接合または嵌合接合により接合する接合部を備え、前記ねじ保持部の前記他方の端部内面は、前記接合部の外周面に圧着されることを特徴とする。
【0017】
請求項の発明は、請求項に記載の特殊ねじ着脱工具において、前記ねじ接合の距離または嵌合接合の距離を可変とすることにより、前記把持部と前記ねじ保持部との相対的位置関係を調整する位置調整機構を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
請求項1の発明によれば、弾性材料で形成され略円筒形状を持つねじ保持部を、当該特殊ねじ着脱工具を把持および操作するための棒形状の把持部に装着して、特殊ねじの側周径より小さい内径を持つねじ保持部の固定部の内面を特殊ねじの側周面に部分的に圧着させて保持しつつ特殊ねじを着脱するので、着脱時の特殊ねじの落下を確実に防止できる。また、棒形状の把持部の端部にねじ保持部を装着する構造を持つので、把持部の端面と特殊ねじの上面との間の距離を一定距離以上とすることで、締め付け工具の尖端部の可動空間を確保することができ、またさらに、把持部に長手方向に延びる中空部を持たせた構造とすることで、締め付け工具の尖端部を貫通可能にすることができ、当該特殊ねじ着脱工具を基本的構造として、簡単な構造変更によって締め付け工具を同時使用可能とする構造に展開させることができる。また、同様に把持部の端面と特殊ねじの上面との間の距離を一定距離以上とすることで、締め付け工具の尖端部の可動空間を確保することができ、把持部の端面の中心位置に締め付け工具の尖端部を差し込んで構成すれば、当該特殊ねじ着脱工具を基本的構造として、簡単な構造変更によって締め付け工具としても併用可能な構造に展開させることができる。さらに、当該特殊ねじ着脱工具と締め付け工具との組を、特殊ねじ着脱工具ユニットとして扱うことが可能である。
【0021】
請求項の発明によれば、また、把持部の端面の中心位置に工具尖端部材を差し込んで、締め付け工具を特殊ねじ着脱工具に一体化させた構造としたので、特殊ねじを推し進めて仮止めする作業と締め付ける作業とを移行作業を伴うことなく連続的に行うことができ、また、特殊ねじを緩める作業と引き戻す作業とを移行作業を伴うことなく連続的に行うことができ、特殊ねじの着脱作業の効率をより一層向上させることができる。また、特殊ねじをねじ保持部に固定した時点で工具尖端部材の尖端部は特殊ねじの凹部と嵌合した状態となるので、締め付け工具の尖端部や柄部が他の部材に不用意に接触することによる短絡事故や機器の破損等を無くすことができ、作業の安全性を担保することが可能となる。
【0022】
請求項の発明によれば、また、把持部の双方の端部にねじ保持部をそれぞれ構成することにより、2箇所の固定箇所に対して、特殊ねじの固定、特殊ねじの仮止め、並びに特殊ねじの締め付けの各作業、或いは、特殊ねじの緩め、特殊ねじの引き戻し、並びに特殊ねじの引き抜きの各作業を、連続性を担保しつつ行うことができ、作業効率を高めることができる。また、ねじ保持部および工具尖端部材を把持部の双方の端部にそれぞれ構成することにより、2箇所の固定箇所に対して、特殊ねじの固定、特殊ねじの仮止め、並びに特殊ねじの締め付けの各作業、或いは、特殊ねじの緩め、特殊ねじの引き戻し、並びに特殊ねじの引き抜きの各作業を、移行作業を伴うことなく連続的に行うことができ、作業効率を一層高めることができる。
【0023】
請求項の発明によれば、ねじ保持部の固定部と装着部とを連結する部分が外側に凸状となるよう形成することにより、締め付け工具の尖端部の可動空間をより広く確保することができ、より多品種の畜種ねじに対して適用可能な特殊ねじ着脱工具および特殊ねじ着脱工具ユニットを実現することができる。
【0024】
請求項の発明によれば、ねじ保持部の把持部への装着を、ねじ接合または嵌合接合で行う構造とすることにより、より簡単な操作でねじ保持部の装着が可能となる。また、特殊ねじの外周径に応じて複数のねじ保持部が用意されている特殊ねじ着脱工具ユニットとすれば、ねじ保持部の簡単な付け替え操作で様々な外周径を持つ特殊ねじへの対処が可能となる。
【0025】
請求項の発明によれば、把持部とねじ保持部との相対的位置関係を調整可能とすることで、把持部の端面と特殊ねじの上面との間の距離の調整が可能となる。特に、締め付け工具を同時使用可能な態様に適用した場合には、締め付け工具の尖端部の可動空間の広がりを長手方向で調整することができる。また特に、把持部の端面の中心位置に締め付け工具の尖端部を差し込んだ態様に適用した場合には、工具尖端部材の尖端部と特殊ねじの凹部との嵌合状態を位置調整機構で調整することができ、工具尖端部材の尖端部を特殊ねじの凹部に確実に嵌合させることで、特殊ねじの取り付け作業または取り外し作業を確実に行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】この発明の実施の形態1に係る特殊ねじ着脱工具の説明図であり、図1(a)は外観を示す斜視図、図1(b)は特殊ねじの取り付けを例示する説明図である。
図2】各種特殊ねじの構造を例示する説明図である。
図3】この発明の実施の形態2に係る特殊ねじ着脱工具の説明図であり、図3(a)は外観を示す斜視図、図3(b)は同時に使用する締め付け工具の斜視図、図3(c)は特殊ねじの取り付けを例示する説明図である。
図4】この発明の実施の形態3に係る特殊ねじ着脱工具の説明図であり、図4(a)は外観を示す斜視図、図4(b)は特殊ねじの取り付けを例示する説明図である。
図5】各種特殊ねじに対応した工具尖端部材の構造を例示する説明図である。
図6】変形例1の特殊ねじ着脱工具の説明図である。
図7】変形例2の特殊ねじ着脱工具の説明図である。
図8】特殊ねじを用いたスマートメータの台座への取り付けを例示する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、この発明を図示の実施の形態に基づいて説明する。
【0028】
〔実施の形態1〕
図1(a)はこの発明の実施の形態1に係る特殊ねじ着脱工具1の外観を示す斜視図であり、図1(b)は実施の形態1の特殊ねじ着脱工具1を用いた特殊ねじの取り付けを例示する説明図である。
【0029】
以下の説明では、特殊ねじ5Aa,5Abは図2(a)に示す形状を持つものとし、背景技術で例示した図8と同様に、底面8から突き出ているねじ山7に特殊ねじ5Aaを取り付ける作業を中心に説明を行う。なお、実施の形態1の特殊ねじ着脱工具1は、ねじ山7に特殊ねじ5Aaを仮止めするための工具であると共に、(締め付け工具によって緩められ)ねじ山7に仮止めされている特殊ねじ5Aaを取り外すための工具である。特殊ねじ5Aaの締め付け作業および緩め作業は、別途用意される締め付け工具(図3(b)参照)を用いて行われる。
【0030】
特殊ねじ5Aa,5Abは、図2(a)に示すように、上面に締め付け工具の尖端部と嵌合する2箇所の凹部6A(すりわり)を持ち、全体的に円筒形状を持つすりわり付き丸ナットである。また、締め付け工具は、図3(b)に例示するように、少なくともその先端部分に凹部6A(すりわり)と嵌合する尖端部26を備えている。
【0031】
この実施の形態1の特殊ねじ着脱工具1は、図1(a)に示すように、当該特殊ねじ着脱工具1を把持および操作するための棒形状の把持部11と、軟質性樹脂材(ゴムやビニル等)などの絶縁性の弾性材料で形成され略円筒形状を持つねじ保持部12A,12Bと、を備えている。つまり、把持部11の双方の端部にねじ保持部12A,12Bがそれぞれ構成されて、ねじ保持部12A,12Bがそれぞれ特殊ねじ5Aa,5Abを保持する構造である。
【0032】
ねじ保持部12A,12Bは、それぞれ固定部材14A,14Bと、装着部材13A,13Bと、を備えている。図1(b)を参照して、代表的にねじ保持部12Aについて説明すると、固定部材14Aは、特殊ねじ5Aaの側周径D2より小さい内径を持つねじ保持部12Aの一方の端部(即ち固定部材14A)の内面を特殊ねじ5Aaの側周面に部分的に圧着させて、該特殊ねじ5Aaを固定する。また、装着部材13Aは、把持部11の端部側周径D1より小さい内径を持つ当該ねじ保持部12Aの他方の端部(即ち装着部材13A)の内面を把持部11の端部側周面に圧着させて、ねじ保持部12Aを把持部11に装着する。
【0033】
また、装着部材13Aの一方の端部の内面は固定部材14Aの外面に部分的に圧着されており、この圧着により装着部材13Aと固定部材14Aとが接合されている。このとき、装着部材13Aの何れの部材にも圧着していない部分の内径D3は、把持部11の端部側周径D1および特殊ねじ5Aaの側周径D2に対してD1>D3>D2の関係を持ち、内側にやや窪んだ外部形状を持つことになる。なお、図1では、固定部材14Aと装着部材13Aとをそれぞれ独立した部材で構成しているが、これら固定部材14Aおよび装着部材13Aを一体成形してねじ保持部12Aを構成するようにしても良い。
【0034】
このような特殊ねじ着脱工具1を用いて、ねじ山7に特殊ねじ5Aaを仮止めする際には、特殊ねじ着脱工具1の固定部材14Aに特殊ねじ5Aaを部分的に嵌め込んで固定し、特殊ねじ5Aaの先端をねじ山7に宛がって、特殊ねじ着脱工具1の把持部11を時計回りに回転させることにより特殊ねじ5Aaをねじ山7の付け根方向に進ませ、把持部11の時計回りの回転ができなくなったところで特殊ねじ着脱工具1自体を引き抜けば、仮止め作業が完了することになる。このように、安全手袋を着用した指先でも、特殊ねじ5Aaの先端をねじ山7に宛がう作業、把持部11の回転により特殊ねじ5Aaを推し進める作業の何れをも容易に行うことができ、また、固定部材14Aによる特殊ねじ5Aaの固定によって、仮止めの一連の作業における特殊ねじ5Aaの落下を確実に防止することができる。
【0035】
スマートメータ101の取り付けにおいて、通常、特殊ねじによる固定箇所は2箇所存在するが、特殊ねじ着脱工具1の固定部材14Aに特殊ねじ5Aaを固定する時に、同様にして固定部材14Bに特殊ねじ5Abを固定しておけば、上記特殊ねじ5Aaの仮止め作業に連続して、同様の特殊ねじ5Abの仮止め作業を行うことができる。そして、特殊ねじ5Aa,5Abの締め付け作業が別途用意される締め付け工具を用いて連続して行われる。このように、特殊ねじ着脱工具1を、把持部11の双方の端部にねじ保持部12A,12Bを持つ構造としたことにより、2箇所の固定箇所に対して、特殊ねじの固定、特殊ねじの仮止め、並びに特殊ねじの締め付けの各作業を、連続性を担保しつつ行うことができ、作業効率を高めることができる。
【0036】
また、スマートメータ101を取り外す際には、先ず締め付け工具により特殊ねじ5Aaの緩め作業が行われ、次に、特殊ねじ5Aaに対して特殊ねじ着脱工具1の固定部材14Aを嵌め込んだ後に、把持部11の反時計回りの回転による特殊ねじ5Aaの引き戻し作業が行われ、特殊ねじ着脱工具1の固定部材14Aから特殊ねじ5Aaを引き抜くことで、特殊ねじ5Aaの取り外し作業が完了する。特殊ねじ5Abの取り外し作業についても同様である。このような取り外しの一連の作業においても特殊ねじ5Aa,5Abの落下を確実に防止することができ、また、2箇所の固定箇所に対して、特殊ねじの緩め、特殊ねじの引き戻し、並びに特殊ねじの引き抜きの各作業を、連続性を担保しつつ行うことができ、作業効率を高めることができる。
【0037】
以上説明したように、特殊ねじ着脱工具1を用いて特殊ねじ5Aa,5Abの着脱を行うようにすれば、着脱時の特殊ねじ5Aa,5Abの落下を確実に防止することができる。
【0038】
また、特殊ねじ着脱工具1は、当該特殊ねじ着脱工具1を把持および操作するための棒形状の把持部11の端部にねじ保持部12A,12Bを装着する構造を持つので、把持部11の端面と特殊ねじの上面との間の距離を一定距離以上とすることで、締め付け工具の尖端部の可動空間を確保することができ、またさらに、把持部11に長手方向に延びる中空部を持たせた構造とすることで、締め付け工具の尖端部を貫通可能にすることができる。結果として、この実施の形態1の特殊ねじ着脱工具1を基本的構造として、簡単な構造変更によって締め付け工具を同時使用可能とする構造に展開させることができる。
【0039】
また、同様に把持部11の端面と特殊ねじの上面との間の距離を一定距離以上とすることで、締め付け工具の尖端部の可動空間を確保することができ、把持部11の端面の中心位置に締め付け工具の尖端部を差し込んで構成すれば、この実施の形態1の特殊ねじ着脱工具1を基本的構造として、簡単な構造変更によって締め付け工具としても併用可能な構造に展開させることができる。
【0040】
さらに、実施の形態1の特殊ねじ着脱工具1と上記締め付け工具との組を、特殊ねじ着脱工具ユニットとして扱うことが可能である。
【0041】
また、図2に4種の特殊ねじの構造を例示するが、この実施の形態1の特殊ねじ着脱工具1および特殊ねじ着脱工具ユニットは、同図に示される何れの種の特殊ねじに対しても適用可能である。
【0042】
図2(a)はすりわり付き丸ナットであり、上述したとおりである。図2(b)は、側周面に締め付け工具の尖端部と嵌合する4箇所の凹部6B(横穴)を持ち、全体的に円筒形状を持つ横穴付き丸ナットである。また、図2(c)は、上面に締め付け工具の尖端部と嵌合する2箇所の凹部6C(上面穴)を持ち、全体的に円筒形状を持つ上面穴付き丸ナットである。また、図2(d)は、側周面に締め付け工具の尖端部と嵌合する4箇所の凹部6D(溝)を持ち、全体的に円筒形状を持つ溝付き丸ナットである。
【0043】
なお、図2(a)〜図2(d)の特殊ねじ(丸ナット)に対応する締め付け工具は、特殊ねじ(丸ナット)の形状に応じてそれぞれ異なる尖端部を持つ。具体的な締め付け工具の尖端部の概略形状については、実施の形態3で参照する図5(a)〜図5(d)並びにその説明において、「工具尖端部材の尖端部」を「締め付け工具の尖端部」に置き換えることで説明されるので、ここでの詳しい説明は省略する。。
【0044】
〔実施の形態2〕
次に、図3(a)は発明の実施の形態2に係る特殊ねじ着脱工具2の外観を示す斜視図であり、図3(b)は特殊ねじ着脱工具2と同時に使用する締め付け工具25の斜視図であり、図3(c)は特殊ねじの取り付けを例示する説明図である。
【0045】
以下の説明では、実施の形態1と同様に、特殊ねじ5Aは図2(a)に示す形状を持つものとし、底面8から突き出ているねじ山7に特殊ねじ5Aを取り付ける作業を中心に説明を行う。なお、実施の形態2の特殊ねじ着脱工具2は、ねじ山7に特殊ねじ5Aを仮止めするための工具であると共に、(締め付け工具によって緩められ)ねじ山7に仮止めされている特殊ねじ5Aを取り外すための工具である。特殊ねじ5Aの締め付け作業および緩め作業は、図3(b)に示す締め付け工具25を用いて行われるが、ねじ山7に特殊ねじ着脱工具2を宛がったままの状態で、締め付け工具25による特殊ねじ5Aの締め付け作業および緩め作業が可能である。
【0046】
締め付け工具25は、図3(b)に示すように、当該締め付け工具25を把持および操作するための略棒形状の把持部28と、長さL1の柄部27と、U字形状を持ち、特殊ねじ5Aの2箇所の凹部6Aと嵌合する尖端部26と、を備えている。ここで、柄部27の長さL1は少なくとも特殊ねじ着脱工具2の把持部21の長さ以上である。また、尖端部26がU字形状を持つのは、ねじ山7の高さが特殊ねじ5Aの高さを超える場合にも、特殊ねじ5Aの凹部6Aに尖端部26を確実に嵌合させるためである。
【0047】
この実施の形態2の特殊ねじ着脱工具2は、図3(a)に示すように、当該特殊ねじ着脱工具2を把持および操作するための円筒形状の把持部21と、軟質性樹脂材(ゴムやビニル等)などの絶縁性の弾性材料で形成され略円筒形状を持つねじ保持部22と、を備えている。
【0048】
把持部21に、長手方向に延びる中空部29を備えた構造とすることにより、締め付け工具25の尖端部26が把持部21の中空部29を貫通可能となっている。したがって、把持部21の中空部29の内径は、締め付け工具25の尖端部26の幅以上であることが必要である。このような構造を持つことで、締め付け工具25によって、ねじ保持部22の固定部材24が固定する特殊ねじ5Aの締め付け操作または緩め操作が可能となっている。
【0049】
また、ねじ保持部22は、固定部材24および装着部材23を備えている。固定部材24は、特殊ねじ5Aの側周径より小さい内径を持つねじ保持部22の一方の端部(即ち固定部材14)の内面を特殊ねじ5Aの側周面に部分的に圧着させて、該特殊ねじ5Aを固定する。
【0050】
また、装着部材23は、第1圧着部23a、連結部23bおよび第2圧着部23cを備えて、これらが一体成形されている。把持部21の端部側周径より小さい内径を持つ当該ねじ保持部22の他方の端部(即ち装着部材23の第2圧着部23c)の内面を把持部21の端部側周面に圧着させることにより、ねじ保持部22を把持部21に装着する。また、装着部材23の第1圧着部23aの内面は固定部材24の外面に部分的に圧着されており、この圧着により装着部材23と固定部材24とが接合されている。また、第1圧着部23a(固定部材24)と第2圧着部23cとを連結する連結部23bは、外側に凸状となるよう形成されており、締め付け工具25の尖端部26の可動空間がより広く確保された構造となっている。なお、連結部23bの弾性変形を抑制するために、やや硬質性の樹脂材を用いて連結部23bを形成するのが望ましい。
【0051】
この実施の形態2の特殊ねじ着脱工具2を用いて、ねじ山7に特殊ねじ5Aを仮止めする際には、特殊ねじ着脱工具2の固定部材24に特殊ねじ5Aを部分的に嵌め込んで固定し、特殊ねじ5Aの先端をねじ山7に宛がって、特殊ねじ着脱工具2の把持部21を時計回りに回転させることにより特殊ねじ5Aをねじ山7の付け根方向に進ませれば、把持部21の時計回りの回転ができなくなったところで仮止め作業が完了することになる。
【0052】
そして、このままの状態で、特殊ねじ着脱工具2の把持部21のねじ保持部22が装着されていない側の端面21bから、把持部21の中空部29に沿って締め付け工具25の尖端部26を差し込んでいき、尖端部26が特殊ねじ5Aの上面に当たったところで締め付け工具25を何れかの方向に一定角度だけ回転させれば、特殊ねじ5Aの凹部6Aに尖端部26が嵌合することになる。特殊ねじ5Aの凹部6Aに尖端部26を嵌合させた状態で、締め付け工具25を時計回りに回転させることで特殊ねじ5Aの締め付け作業が行われる。そして、締め付け作業が終了した時点で締め付け工具25を把持部21の中空部29から抜き出し、その後、特殊ねじ着脱工具2自体を引き抜けば、特殊ねじ5Aの取り付け作業が完了する。
【0053】
このように、安全手袋を着用した指先でも、特殊ねじ5Aの先端をねじ山7に宛がう作業、把持部11の回転により特殊ねじ5Aを推し進める作業、特殊ねじ5Aを締め付け工具25により締め付ける作業の何れをも容易且つ確実に行うことができ、特殊ねじ5Aを取り付ける一連の作業において特殊ねじ5Aの落下を確実に防止することができる。
【0054】
また、把持部21の中空部29に締め付け工具25を差し込む際には、中空部29がガイド機能を果たすことになり、締め付け工具25の尖端部26が他の部材に不用意に接触することによる短絡事故や機器の破損等を無くすことができ、作業の安全性を担保することが可能となる。
【0055】
また、特殊ねじ5Aを取り外す際には、先ず、特殊ねじ5Aに対して特殊ねじ着脱工具2の固定部材24を嵌め込み、把持部21の中空部29に締め付け工具25を差し込んで、特殊ねじ5Aの凹部6Aに尖端部26を嵌合させた状態で、締め付け工具25を反時計回りに回転させることで特殊ねじ5Aの緩め作業が行われる。そして、締め付け工具25を把持部21の中空部29から抜き出した後に、特殊ねじ着脱工具2の把持部21の反時計回りの回転による特殊ねじ5Aの引き戻し作業が行われ、特殊ねじ着脱工具2の固定部材24から特殊ねじ5Aを引き抜くことで、特殊ねじ5Aの取り外し作業が完了する。このような取り外しの一連の作業においても特殊ねじ5Aの落下を確実に防止することができる。
【0056】
以上説明したように、この実施の形態2の特殊ねじ着脱工具2では、把持部21に長手方向に延びる中空部29を持たせ、締め付け工具25の尖端部26を貫通可能な構造としたので、ねじ保持部22で特殊ねじ5Aを保持しつつ締め付け工具25を同時使用することが可能となり、特殊ねじ5Aを推し進めて仮止めする作業から締め付ける作業への移行、或いは、特殊ねじ5Aを緩める作業から引き戻す作業への移行をスムーズに行うことができ、特殊ねじ5Aの着脱作業の効率を向上させることができる。
【0057】
また、把持部21の中空部29に締め付け工具25を差し込む際、或いは把持部21の中空部29から締め付け工具25を引き抜く際に、中空部29がガイド機能を果たすことになり、締め付け工具25の尖端部26や柄部27が他の部材に不用意に接触することによる短絡事故や機器の破損等を無くすことができ、作業の安全性を担保することが可能となる。
【0058】
さらに、実施の形態1と同様に、特殊ねじ着脱工具2と締め付け工具25との組を、特殊ねじ着脱工具ユニットとして扱うことが可能である。
【0059】
〔実施の形態3〕
図4(a)はこの発明の実施の形態3に係る特殊ねじ着脱工具3の外観を示す斜視図であり、図4(b)は実施の形態3の特殊ねじ着脱工具3を用いた特殊ねじの取り付けを例示する説明図である。
【0060】
以下の説明では、実施の形態1と同様に、特殊ねじ5Aa,5Abは図2(a)に示す形状を持つものとし、底面8から突き出ているねじ山7に特殊ねじ5Aaを取り付ける作業を中心に説明を行う。なお、実施の形態3の特殊ねじ着脱工具3は、ねじ山7に特殊ねじ5Aaを取り付けるための工具であると共に、特殊ねじ5Aaを取り外すための工具である。また、特殊ねじ5Aaの締め付け作業および緩め作業は、当該特殊ねじ着脱工具3を用いて行われる。
【0061】
この実施の形態3の特殊ねじ着脱工具3は、図4(a)に示すように、当該特殊ねじ着脱工具3を把持および操作するための棒形状の把持部31と、軟質性樹脂材などの絶縁性の弾性材料で形成され略円筒形状を持つねじ保持部32A,32Bと、を備えている。ねじ保持部32A,32Bは実施の形態1のねじ保持部12A,12Bと同等の構造であることから、詳細については説明を省略する。
【0062】
この実施の形態3の特殊ねじ着脱工具3が実施の形態1と異なる点は、一端側が把持部31の端面の中心位置で該把持部31の長手方向に差し込まれて該把持部31とねじ接合により接合され、他端側が特殊ねじ5Aaの凹部6Aと嵌合する尖端部35Aとなる工具尖端部材を備えている点である。図5(a)に示すように、工具尖端部材は、特殊ねじ5Aaの凹部6Aと嵌合する尖端部35Aと、把持部31の端面の中心位置で差し込まれて該把持部31とねじ接合する接合部36Aと、を備える。
【0063】
また、実施の形態1と同様に、把持部31の双方の端部にねじ保持部32A,32Bがそれぞれ構成されて、ねじ保持部32A,32Bがそれぞれ特殊ねじ5Aa,5Abを保持している。また、把持部31の双方の端部に工具尖端部材がそれぞれ構成されて、これら工具尖端部材により特殊ねじ5Aa,5Abをそれぞれ締め付けることができると共に、それぞれ緩めることが可能である。
【0064】
このような特殊ねじ着脱工具3を用いて、ねじ山7に特殊ねじ5Aaを取り付ける際には、先ず、特殊ねじ着脱工具3の固定部材34Aに特殊ねじ5Aaを部分的に嵌め込んで固定するが、この時、工具尖端部材の尖端部35Aは、特殊ねじ5Aaの凹部6Aと嵌合している。換言すれば、工具尖端部材の尖端部35Aが特殊ねじ5Aaの凹部6Aと嵌合するに至るまで、特殊ねじ着脱工具3の固定部材34Aに特殊ねじ5Aaを嵌め込む必要がある。
【0065】
このような特殊ねじ5Aaの固定によって、特殊ねじ着脱工具3の把持部31を時計回りに回転させることにより特殊ねじ5Aaをねじ山7の付け根方向に進ませ、最終的には特殊ねじ5Aaの締め付け作業が行われることになる。安全手袋を着用した指先でも、特殊ねじ5Aaの先端をねじ山7に宛がう作業、把持部11の回転により特殊ねじ5Aaを推し進めると共に最終的に締め付ける作業の何れをも容易に行うことができ、取り付けの一連の作業において特殊ねじ5Aaの落下を確実に防止することができる。
【0066】
スマートメータ101の取り付けにおいて、通常、特殊ねじによる固定箇所が2箇所存在し、特殊ねじ着脱工具3の固定部材34Aに特殊ねじ5Aaを固定する時に、同様にして固定部材34Bに特殊ねじ5Abを固定しておけば、上記特殊ねじ5Aaの取り付け作業に連続して、同様にして特殊ねじ5Abの取り付け作業を行うことができる。このように、特殊ねじ着脱工具3を、把持部31の双方の端部にねじ保持部32A,32Bおよび工具尖端部材を持つ構造としたことにより、2箇所の固定箇所に対して、特殊ねじの固定から特殊ねじの締め付けに至るまでの作業を、連続性を担保しつつ行うことができ、より一層作業効率を高めることができる。
【0067】
また、特殊ねじ5Aaを取り外す際にも、先ず、工具尖端部材の尖端部35Aが特殊ねじ5Aaの凹部6Aと嵌合するに至るまで、特殊ねじ着脱工具3の固定部材34Aに特殊ねじ5Aaを嵌め込んだ後に、把持部31の反時計回りの回転により特殊ねじ5Aaの緩め作業および引き戻し作業が連続的に行われる。そして、特殊ねじ着脱工具3の固定部材34Aから特殊ねじ5Aaを引き抜くことで、特殊ねじ5Aaの取り外し作業が完了する。また、特殊ねじ5Aaを取り外す際も同様である。このような取り外しの一連の作業においても特殊ねじ5Aa,5Abの落下を確実に防止することができ、また、2箇所の固定箇所に対して、特殊ねじの緩め、特殊ねじの引き戻し、並びに特殊ねじの引き抜きの各作業を、連続性を担保しつつ行うことができ、作業効率をより一層高めることができる。
【0068】
以上説明したように、この実施の形態3の特殊ねじ着脱工具3では、把持部31の端面の中心位置に工具尖端部材35A,36Aを差し込んで、締め付け工具を特殊ねじ着脱工具に一体化させた構造としたので、特殊ねじ5Aa,5Abを推し進めて仮止めする作業と締め付ける作業とを移行作業を伴うことなく連続的に行うことができ、また、特殊ねじ5Aa,5Abを緩める作業と引き戻す作業とを移行作業を伴うことなく連続的に行うことができ、特殊ねじの着脱作業の効率をより一層向上させることができる。
【0069】
また、特殊ねじ5Aaをねじ保持部32Aに固定した時点で、工具尖端部材の尖端部35Aは特殊ねじ5Aaの凹部と嵌合した状態となるので、締め付け工具の尖端部や柄部が他の部材に不用意に接触することによる短絡事故や機器の破損等を無くすことができ、作業の安全性を担保することが可能となる。
【0070】
なお、図4では、工具尖端部材に接合部36Aを備えて、工具尖端部材を把持部31の端面の中心位置でねじ接合する構造としたが、これを把持部31と嵌合接合する構造に置き換えても良い。この構造によっても同等の効果を奏することができる。
【0071】
また、ねじ保持部32A,32Bを、実施の形態1のねじ保持部12A,12Bと同等の構造としたが、実施の形態2のねじ保持部23,24と同等の構造とすることも可能である。この構造変形により、実施の形態2と同様に、工具尖端部材の尖端部35Aの可動空間をより広く確保することができる。
【0072】
さらに、この実施の形態3の特殊ねじ着脱工具3を、特殊ねじ着脱工具ユニットの一構成要素として扱うことが可能である。
【0073】
また、この実施の形態3の特殊ねじ着脱工具3および特殊ねじ着脱工具ユニットは、図2に示された何れの種の特殊ねじに対しても適用可能である。
【0074】
上述したように、図2(a)のすりわり付き丸ナットに対応する工具尖端部材の概略構成を図5(a)に例示する。図5(a)に示す工具尖端部材は、特殊ねじ5Aの凹部6A(すりわり)と嵌合する尖端部35Aと、把持部31の端面の中心位置で差し込まれて該把持部31とねじ接合する接合部36Aと、を備える。なお、尖端部35AがU字形状を持つのは、ねじ山の高さが特殊ねじ5Aの高さを超える場合にも、特殊ねじ5Aの凹部6Aに尖端部35Aを確実に嵌合させるためである。
【0075】
また、図2(b)の横穴付き丸ナットに対応する工具尖端部材の概略構成を図5(b)に例示する。図5(b)に示す工具尖端部材は、特殊ねじ5Bの4箇所の凹部6B(横穴)の内の対向する2箇所の凹部6Bとそれぞれ嵌合する尖端部を一方の端部に持ち、他方の端部が回転軸41に回転可能に取り付けられている一対のクリップ片42a,42bを備えている。ここで、クリップ片42a,42bの間には、クリップ片42a,42bが成す角度を大きくする方向に該クリップ片42a,42bを付勢するコイルばねが取り付けられている。この工具尖端部材は、把持部31Bの端面の中央に形成されている凹形状の内部空間内で回転軸41を矢印方向(左右方向)にスライドさせることによって、クリップ片42a,42bの尖端部と凹部6Bとの嵌合または非嵌合をコントロールする機構を備えている。
【0076】
また、図2(c)の上面穴付き丸ナットに対応する工具尖端部材の概略構成を図5(c)に例示する。図5(c)に示す工具尖端部材は、特殊ねじ5Cの凹部6C(上面穴)と嵌合する尖端部35Cと、把持部31Cの端面の中心位置で差し込まれて該把持部31Cとねじ接合する接合部36Cと、を備える。なお、尖端部35AがU字形状を持つのは、ねじ山の高さが特殊ねじ5Cの高さを超える場合にも、特殊ねじ5Cの凹部6Cに尖端部35Cを確実に嵌合させるためである。
【0077】
さらに、図2(d)の溝付き丸ナットに対応する工具尖端部材の概略構成を図5(d)に例示する。図5(d)に示す工具尖端部材は、特殊ねじ5Dの4箇所の凹部6D(溝)の内の対向する2箇所の凹部6Dと嵌合する尖端部35Dと、把持部31Dの端面の中心位置で差し込まれて該把持部31Dとねじ接合する接合部36Dと、を備える。なお、尖端部35DがU字形状を持つのは、ねじ山の高さが特殊ねじ5Dの高さを超える場合にも、特殊ねじ5Dの凹部6Dに尖端部35Dを確実に嵌合させるためである。
【0078】
以上の4種の工具尖端部材の内の図5(a)、図5(c)および図5(d)に示す工具尖端部材については、互いに同等のねじ接合(或いは嵌合接合)する接合部を持ち、尖端部の形状および幅もほぼ同等であるので、図4(即ち図5(a))の工具尖端部材の構造を、図5(c)または図5(d)に示す工具尖端部材の構造に置き換えることが可能である。なお、図5(d)の尖端部の幅はやや広いために尖端部の可動空間が確保できないおそれがあるが、そのような場合であっても、ねじ保持部32A,32Bを実施の形態2のねじ保持部23,24と同等の構造とすることで対処可能である。
【0079】
このように、この実施の形態3の特殊ねじ着脱工具3および特殊ねじ着脱工具ユニットでは、工具尖端部材を把持部31の端面の中心位置でねじ接合(或いは嵌合接合)する構造を持つので、工具尖端部材の置き換えを簡単に行うことができ、複数種の特殊ねじへの適用変更を簡単な操作で行うことができる。
【0080】
〔変形例1〕
図6は変形例1の特殊ねじ着脱工具の説明図である。この変形例1は、実施の形態1における特殊ねじ着脱工具1のねじ保持部12A,12Bについての変形であり、ねじ保持部12Cの把持部11Cへの装着を、接合部15Cを介したねじ接合(または嵌合接合)により行うようにしたものである。
【0081】
図6において、ねじ保持部12Cは、略円筒形状に形成され、把持部11Cの一端の側周面とねじ接合により接合する接合部15Cを備え、ねじ保持部12Cの他方の端部内面が接合部15Cの外周面に圧着されている。
【0082】
なお、接合部15Cによる接合を嵌合接合に置き換えて構成しても良い。また、この変形は、実施の形態2における特殊ねじ着脱工具2のねじ保持部22、或いは、実施の形態3における特殊ねじ着脱工具3のねじ保持部32A,32Bに対して行うことが可能である。
【0083】
このようにねじ保持部12Cの把持部11Cへの装着を、ねじ接合または嵌合接合で行う構造とすることにより、より簡単な操作でねじ保持部12Cの装着が可能となる。また、特殊ねじ5Aの外周径に応じて複数のねじ保持部12Cが用意されている特殊ねじ着脱工具ユニットでは、ねじ保持部12Cの簡単な付け替え操作で様々な外周径を持つ特殊ねじ5Aへの対処が可能となる。
【0084】
〔変形例2〕
また、図7は変形例2の特殊ねじ着脱工具の説明図である。この変形例2は、実施の形態1における特殊ねじ着脱工具1のねじ保持部12A,12Bについての変形であり、ねじ保持部12Dの把持部11Dへの装着を、接合部15Dを介したねじ接合(または嵌合接合)により行うと共に、ねじ接合の距離(または嵌合接合の位置)を可変とすることにより、把持部15Dとねじ保持部12Dとの相対的位置関係を調整する位置調整機構を備えて、調整可能としたものである。
【0085】
図7において、ねじ保持部12Dは、略円筒形状に形成され、把持部11Dの一端の側周面とねじ接合により接合する接合部15Dを備え、ねじ保持部12Dの他方の端部内面が接合部15Dの外周面に圧着されている。
【0086】
また、把持部11Dの側周面上には接合部15Dの把持部11Dに対する相対的回転動作をロックするロック機構16Dを備えており、該ロック機構16Dは、ねじで具現される回転軸16aと、回転軸16aを中心に回転可能な鍵手部16cと、回転軸16aを設置する突起辺16bと、接合部15Dの外周面上に掘られた溝15aとを備えて、回転軸16aのねじを緩めることで鍵手部16cの回転を可能とし、回転軸16aのねじを締めることで鍵手部16cの回転角を固定する構造であり、鍵手部16cの先端部を溝15aに嵌合させることで相対的回転動作をロックし、鍵手部16cの先端部を溝15aに非嵌合させることで相対的回転動作をアンロックする構成である。
【0087】
なお、この変形は、実施の形態2における特殊ねじ着脱工具2のねじ保持部22、或いは、実施の形態3における特殊ねじ着脱工具3のねじ保持部32A,32Bに対して行うことが可能である。
【0088】
このようにねじ保持部12Dの把持部11Dへの装着を、ねじ接合または嵌合接合で行う構造とすると共に、把持部15Dとねじ保持部12Dとの相対的位置関係を調整可能とすることで、把持部11Dの端面と特殊ねじ5Aの上面との間の距離の調整が可能となる。特に、当該変形を実施の形態2へ適用した場合には、締め付け工具の尖端部の可動空間の広がりを長手方向で調整することができる。また特に、当該変形を実施の形態3へ適用した場合には、工具尖端部材の尖端部35Aと特殊ねじ5Aの凹部6Aとの嵌合状態を位置調整機構で調整することができ、工具尖端部材の尖端部35Aを特殊ねじ5Aの凹部6Aに確実に嵌合させることで、特殊ねじ5Aの取り付け作業または取り外し作業を確実に行うことが可能となる。
【0089】
以上、この発明の実施の形態について説明したが、具体的な構成は、上記の実施の形態および変形例に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても、この発明に含まれる。例えば、特殊ねじを丸ナットとして説明したが、これに限定されることなく、丸頭ボルトなどの他種の特殊ねじであっても良い。
【符号の説明】
【0090】
1,2,3 特殊ねじ着脱工具
5A,5Aa,5Ab,5B,5C,5D 特殊ねじ
6A,6B,6C,6D 凹部
7 ねじ山
8 底面
11,21,28,31,31B,31C,31D 把持部
12A,12B,12C,12D,22,32A,32B ねじ保持部
13A,13B,13C,13D,23,33A,33B 装着部材
14A,14B,14C,14D,24,34A,34B 固定部材
15C,15D 接合部
15a 溝
16D ロック機構(位置調整機構)
16a 回転軸
16b 突起辺
16c 鍵手部
23a 第1圧着部
23b 連結部
23c 第2圧着部
25 締め付け工具
26 尖端部
27 柄部
29 中空部
35A,36C,36D 尖端部(工具尖端部材)
36A,36C,36D 接合部(工具尖端部材)
41 回転軸
42a,42b クリップ片
43 コイルばね
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8