【実施例1】
【0014】
図1は、本発明の実施例1に係るゲート駆動回路の構成を示す図である。
図1に示すゲート駆動回路は、スイッチング素子Q1をターンオフさせるターンオフ回路1とスイッチング素子Q1をターンオンさせるターンオン回路2とに分離され、特にターンオフ回路1の基本構成を示している。このゲート駆動回路は、ゲート駆動信号INH、INLによりMOSFET、GanFET、IGBTなどからなるスイッチング素子Q1をオンオフ駆動する。
【0015】
ゲート駆動回路のターンオフ回路1は、P型のMOSFETM3,M4からなる第1カレントミラー回路、N型のMOSFETM1,M2からなる第2カレントミラー回路、可変電流源I1、第1スイッチS1、第2スイッチS2、コンデンサC1、インバータIV1を備えている。
【0016】
第1カレントミラー回路において、MOSFETM3(第1トランジスタ)のソース(第1主端子)とMOSFETM4(第2トランジスタ)のソース(第3主端子)は、電源Vccに接続されている。MOSFETM3のゲート(第1制御端子)とMOSFETM4のゲート(第2制御端子)とMOSFETM4のドレイン(第3主端子)は、ターンオフ電流を可変することができる可変電流源I1が接続されている。
【0017】
MOSFETM3のソースとドレイン(第2主端子)間にはコンデンサC1が接続されている。第1スイッチS1は、MOSFETM3のドレインに一端が接続され、ゲート駆動信号INLによりオンオフ動作する。
【0018】
第2カレントミラー回路において、MOSFETM1(第3トランジスタ)のゲート(第3制御端子)とMOSFETM2(第4トランジスタ)のゲート(第4制御端子)及びMOSFETM2のドレイン(第7主端子)が第1スイッチS1の他端に接続されている。
【0019】
MOSFETM1のドレイン(第5主端子)がスイッチング素子Q1のゲートに接続され、MOSFETM1のソース(第6主端子)とMOSFETM2のソース(第8主端子)が基準電位であるグランドGNDに接続されている。
【0020】
第2スイッチS2は、一端がMOSFETM1のゲートとMOSFETM2のゲートと第1スイッチS1の他端に接続され、他端がグランドGNDに接続され、ゲート駆動信号INLにより第1スイッチS1とは相補的にオンオフ動作する。
【0021】
次にこのように構成された実施例1のゲート駆動回路の動作を
図1の回路図及び
図2に示す各部のタイミングチャートを用いて説明する。まず、可変電流源I1の電流を決定する。可変電流源I1で決定された電流値により、スイッチング素子Q1のターンオフスピードを調整することができる。
【0022】
時刻t1において、ゲート駆動信号INLをHレベルにする。すると、第1スイッチS1がオンし、インバータIV1によりHレベルはLレベルに反転するため、第2スイッチS2がオフする。すると、第1カレントミラー回路のMOSFETM4に電流が流れており、第1スイッチS1がオンしているのでMOSFETM3を介して第2カレントミラー回路のMOSFETM1,M2のゲートに電圧M1vgが印加される。
【0023】
すると、MOSFETM1に電流M1idが流れてスイッチング素子Q1のゲートから電流を引き抜く。このため、スイッチング素子Q1は、ターンオフする。MOSFETM1,M2は、スイッチング素子Q1のゲートから電流を引き抜く電流量を決定するため、ターンオフスピードを調整できる。
【0024】
スイッチング素子Q1のターンオフ開始時に、MOSFETM1,M2のゲートにコンデンサC1からの充電電流が加わるので、ディレイ時間の変動を小さくすることができる。コンデンサC1がある場合には、スイッチング素子Q1のドレイン−ソース間の電圧Q1vdsは、
図2の実線で示すように、時刻t2から立ち上がり時刻t5で一定値となる。このため、スイッチング素子Q1のドレイン−ソース間の電圧Q1vdsのディレイ時間は、DL1となり、短くなる。
【0025】
コンデンサC1がない場合には、スイッチング素子Q1のドレイン−ソース間の電圧Q1vdsは、
図2の点線で示すように、時刻t4から立ち上がり時刻t7で一定値となる。このため、スイッチング素子Q1のドレイン−ソース間の電圧Q1vdsのディレイ時間は、DL2となり、長くなる。
【0026】
図3に、本発明の実施例1に係るゲート駆動回路のターンオフ回路1aにおいて、より具体的な構成を示す。
図3は、
図1に示す可変電流源I1の代わりに、MOSFETM3,M4ゲート端子CTLとグランドGNDとの間に可変抵抗R1を設けたものである。この可変抵抗R1の抵抗値を可変することにより、スイッチング素子Q1のターンオフスピードを調整することができる。
【0027】
図4に、抵抗R1を変更することによりスイッチング素子Q1のターンオフ時にスイッチング素子Q1のドレイン−ソース間電圧Q1vdsのdV/dtを変動させた時の電圧Q1vdsの立ち上りのディレイ時間の変動を示した。抵抗R1は、スイッチング素子Q1のゲートに接続された抵抗である。
【0028】
dV/dtを変動させた時の電圧Q1vdsの立ち上りのディレイ時間の変動DL3は小さくなり、従来の
図11に示すディレイ時間の変動DL4よりも小さくなっている。これにより、ゲート駆動信号に対するスイッチング素子Q1のターンオフまでのディレイ時間が短くなり、dv/dtを調整しても安定性を得られる。
【0029】
なお、ゲート駆動信号INLがLレベルの場合には、第1スイッチS1がオフし、第2スイッチS2がオンする。すると、第2カレントミラー回路のMOSFETM1,M2は、オフし、ターンオフ回路1aは動作停止となる。この時は、ゲート駆動信号INHがHレベルであり、ターンオン回路2はスイッチング素子Q1をオンにする。
【実施例2】
【0030】
図5は、本発明の実施例2に係るゲート駆動回路のターンオフ回路1bにおける基本構成を示す図である。
図5に示すゲート駆動回路は、
図1に示すゲート駆動回路に、さらに、可変抵抗R1、MOSFETM5、第3スイッチS3、第4スイッチS4、制御回路10を備える。
【0031】
可変抵抗R1の抵抗値を可変することにより、スイッチング素子Q1のターンオフスピードを調整することができる。
【0032】
MOSFETM5は、第1カレントミラー回路に設けられ、ソースが電源Vccに接続され、ゲートがMOSFETM3,M4のゲートに接続され、ドレインが制御回路10に接続される。
【0033】
第3スイッチS3は、第1スイッチS1とMOSFETM2のドレインとの間に接続されている。第4スイッチS4は、電源Vccと第2スイッチS2の一端との間に接続されている。
【0034】
制御回路10は、MOSFETM5のドレインに流れる電流を検出し、検出された電流が所定の電流値より小さい場合には、第3スイッチS3をオフし、第4スイッチS4をオンさせることによりMOSFETM1を急速にオンさせることにより、スイッチング素子Q1のゲート容量を急速放電させる。
【0035】
より詳しく説明すると、制御回路10は、MOSFETM5のドレインに流れる電流を検出し、検出された電流値が所定の電流値より小さい場合には最速モードを選択し、検出された電流値が所定の電流値より大きい場合には調整モードを選択する。
【0036】
制御回路10は、最速モードを選択した場合は、次のようになる。ゲート駆動信号INLがHレベルになると、第2スイッチS2をオフし、第3スイッチS3をオフし、第4スイッチS4をオンする。このため、電源Vccの電圧が第4スイッチS4を介してMOSFETM1,M2のゲートに印加されるが、第3スイッチS3がオフのため、MOSFETM1のみオンする。このため、最速モードになり、スイッチング素子Q1のゲート容量をMOSFETM2のオン抵抗で急速放電させることができる。なお、この場合、第4スイッチS4がオンするため、MOSFETM3を介して第4スイッチS4と並列に接続されることとなる第1スイッチS1は、オンでもオフでもよい。
【0037】
図6に、可変抵抗R1の設定された抵抗値に応じて変動するスイッチング素子Q1の電圧Q1vdsのdV/dtを示す。MOSFETM5で検出された電流値は、可変抵抗R1の抵抗値が小さい場合には大きくなり、可変抵抗R1の抵抗値が大きい場合には小さくなる。このため、前記所定の電流値は、
図6に示す可変抵抗R1のしきい値R1thに対応する。しきい値R1thよりも可変抵抗R1の抵抗値が大きい場合、即ち、検出された電流値が所定の電流値より小さい場合には最速モードとなり、dV/dtは大きくなり一定値となる。
【0038】
なお、最速モードでゲート駆動信号INLがLレベルの場合には、第1スイッチS1をオフし、第2スイッチS2をオンし、第3スイッチS3をオフし、第4スイッチS4をオフする。このため、MOSFETM1,M2のゲートがグランドGNDに接続されるので、MOSFETM1,M2はオフし、ターンオフ回路1bは動作停止となる。この時は、ゲート駆動信号INHがHレベルであり、ターンオン回路2はスイッチング素子Q1をオンにする。
【0039】
次に、調整モードの動作を説明する。制御回路10は、ゲート駆動信号INLがHレベルの場合には、第1スイッチS1をオンし、第2スイッチS2をオフし、第3スイッチS3をオンし、第4スイッチS4をオフする。このため、MOSFETM1,M2に第1カレントミラー回路のMOSFETM3,M4を介して定電流が流れて、MOSFETM1,M2はオンする。即ち、第1カレントミラー回路のMOSFETM3,M4、M5の可変抵抗R1で設定された電流を介してMOSFETM1,M2がオンするので、最速モードよりもdv/dtは小さくなり、調整モードになる。
【0040】
図6に示すように、しきい値R1thよりも可変抵抗R1が小さい場合、即ち、抵抗R1に流れる電流値が所定の電流値より大きい場合には調整モードとなる。調整モードでは、可変抵抗R1が小さい値から大きい値に変化した場合に、dV/dtは、大きい値aから小さい値bに変化する。
【0041】
なお、調整モードでゲート駆動信号INLがLレベルの場合には、第1スイッチS1をオフし、第2スイッチS2をオンし、第3スイッチS3をオフし、第4スイッチS4をオフする。このため、MOSFETM1のゲートがグランドGNDに接続されるので、MOSFETM1,M2はオフし、ターンオフ回路1bは動作停止となる。この時は、ゲート駆動信号INHがHレベルであり、ターンオン回路2はスイッチング素子Q1をオンにする。
【0042】
このように実施例2のゲート駆動回路によれば、最速モードと調整モードを選択することにより、ターンオフスピードの調整範囲を広げることができる。また、最速モード時に、MOSFETM1のオン抵抗を小さくすることで、高速化することができる。例えば、第2カレントミラー回路のMOSFETM1、M2の電流比を100:1とすることで、MOSFETM1のオン抵抗を小さくし、かつ、第1カレントミラー回路M3,M4の電流を減少して消費電力を抑えることができる。
【0043】
また、応用例として、スイッチング素子Q1のターンオフが終了してから、MOSFETM5に流れる電流値に比例した時間後に、第4スイッチS4がオンして、スイッチング素子Q1のオフ期間中のオン誤動作を防止することもできる。
【0044】
(ゲート駆動回路の第1の具体例)
図7は、本発明の実施例2に係るゲート駆動回路のターンオフ回路1cの第1の具体例を示す図である。
図7に示すゲート駆動回路は、
図5に示すゲート駆動回路の制御回路10の具体的な回路構成を示したものである。
【0045】
制御回路10は、抵抗R2、コンパレータ11、基準電源Vref、インバータ12,15、アンド回路13,14を備えている。P型のMOSFETM5のドレインには、抵抗R2の一端とコンパレータ11の反転入力端子とが接続され、コンパレータ11の非反転入力端子には基準電源Vrefの正極が接続される。抵抗R2の他端と基準電源Vrefの負極はグランドGNDに接続される。
【0046】
コンパレータ11の出力端子はインバータ12の入力端子とアンド回路13の一方の入力端子に接続され、インバータ12の出力端子はアンド回路14の一方の入力端子に接続される。アンド回路13の他方の入力端子とアンド回路14の他方の入力端子とインバータ15の入力端子とは共通に接続される。
【0047】
アンド回路13の出力端子からの信号H、Lにより第4スイッチS4は、オンオフする。アンド回路14の出力端子からの信号H、Lにより第3スイッチS3は、オンオフする。インバータ15の出力端子からの信号H、Lにより第2スイッチS2は、オンオフする。
【0048】
次に、
図7に示す制御回路10の動作を説明する。ここでは、第1スイッチS1と第2スイッチS2の動作は、
図1に示したゲート駆動回路の動作と同様であるので、省略し、第3スイッチS3と第4スイッチS4の動作を説明する。
【0049】
まず、MOSFETM5に電流が流れると、抵抗R2にも電流が流れて抵抗R2の両端に電圧が発生する。コンパレータ11は、抵抗R2の電圧と基準電源Vrefの電圧とを比較する。基準電源Vrefの電圧が所定の電流値や可変抵抗R1のしきい値R1thに対応する。
【0050】
コンパレータ11は、抵抗R2の電圧が基準電源Vrefの電圧よりも小さいと、即ち、検出された電流値が所定の電流値よりも小さいと、Hレベルをアンド回路13とインバータ12に出力する。ゲート駆動信号INLがHレベルの場合には、アンド回路13は、Hレベルを出力し、アンド回路14は、Lレベルを出力する。このため、第3スイッチS3はオフし、第4スイッチS4はオンするので、
図5及び
図6で説明したように、最速モードとなり、MOSFETM1のみオンする。
【0051】
なお、ゲート駆動信号INLがLレベルのときには、第3スイッチS3,S4はオフし、MOSFETM1,M2はオフし、ターンオフ回路1cは動作停止となる。この時は、ゲート駆動信号INHがHレベルであり、ターンオン回路2はスイッチング素子Q1をオンにする。
【0052】
次に、コンパレータ11は、抵抗R2の電圧が基準電源Vrefの電圧よりも大きいと、即ち、検出された電流値が所定の電流値よりも大きいと、Lレベルをアンド回路13とインバータ12に出力する。ゲート駆動信号INLがHレベルの場合には、アンド回路13は、Lレベルを出力し、アンド回路14は、Hレベルを出力する。このため、第3スイッチS3はオンし、第4スイッチS4はオフするので、
図5及び
図6で説明したように、調整モードとなり、第1カレントミラー回路からの定電流によりMOSFETM1,M2がオンする。
【0053】
なお、ゲート駆動信号INLがLレベルのときには、第3スイッチS3,S4はオフし、MOSFETM1,M2はオフし、ターンオフ回路1cは動作停止となる。この時は、ゲート駆動信号INHがHレベルであり、ターンオン回路2はスイッチング素子Q1をオンにする。
【0054】
(ゲート駆動回路の第2の具体例)
図8は、本発明の実施例2に係るゲート駆動回路の第2の具体例を示す図である。
図8に示すゲート駆動回路の制御回路10aは、
図7に示すゲート駆動回路の制御回路10に、さらに、P型のMOSFETM6、コンパレータ17、コンデンサ16、第5スイッチS5、ダイオード18を備えている。
【0055】
MOSFETM6のソースは、電源Vccに接続され、ゲートはMOSFETM3,M4,M5のゲートに接続され、ドレインは、コンデンサ16の一端とコンパレータ17の反転入力端子と第5スイッチS5の一端に接続され、コンパレータ17の非反転入力端子は基準電源Vrefの正極に接続される。コンデンサ16の他端と第5スイッチS5の他端はグランドGNDに接続される。インバータ15の出力端子からの信号H、Lにより第5スイッチS5は、オンオフする。コンパレータ17の出力は、ダイオード18のカソードが接続され、ダイオード18のアノードは、MOSFETM5のドレインとコンパレータ11の反転端子と抵抗R2との接続点に接続される。
【0056】
次に、制御回路10aの動作を説明する。この場合、MOSFETM6、コンパレータ17、コンデンサ16、第5スイッチS5、ダイオード18の動作のみを説明する。
【0057】
まず、ゲート駆動信号INLがHレベルであり、抵抗R2の電圧が基準電源Vrefの電圧よりも小さいときには、アンド回路13はHレベルを第4スイッチS4に出力するので、第4スイッチS4がオンし、MOSFETM1がオンする。このため、最速モードとなる。
【0058】
また、インバータ15は、Lレベルを第2スイッチS2と第5スイッチS5とに出力する。このため、第5スイッチS5がオフする。
【0059】
このとき、コンデンサ16には、MOSFETM6からの電流が流れて充電されていく。コンデンサ16の電圧が基準電圧Vrefの電圧よりも小さい場合、コンパレータ17は、Hレベルをコンパレータ11の反転入力端子に出力する。しかし、コンパレータ17の出力にはダイオード18のカソードが接続されているので、抵抗R2の電圧に影響は与えない。
【0060】
また、コンデンサ16の電圧が基準電圧Vrefの電圧よりも大きくなると、コンパレータ17は、ダイオード18を介してLレベルをコンパレータ11の反転入力端子に出力する。しかし、コンパレータ11の反転端子は基準電圧Vrefよりも小さい状態であるため、コンパレータ11の出力に影響は与えない。このため、引き続き最速モードは継続される。
【0061】
次に、ゲート駆動信号INLがHレベルであり、抵抗R2の電圧が基準電源Vrefの電圧よりも大きいときには、アンド回路13はLレベルを第4スイッチS4に出力するので、第4スイッチS4はオフする。また、インバータ12はアンド回路14の一方の入力端子にHレベルを入力するので、アンド回路14は第3スイッチS3をオンする。また、インバータ15はLレベルを出力し、第2スイッチS2及び第5スイッチS5をオフする。このため、MOSFETM1,M2が第1カレントミラー回路からの定電流によりオンする。これにより、調整モードとなる。
【0062】
第5スイッチS5がオフすることで、コンデンサ16には、MOSFETM6からの電流が流れて充電されていく。コンデンサ16の電圧が基準電圧Vrefの電圧よりも小さい場合、コンパレータ17は、Hレベルをコンパレータ11の反転入力端子に出力する。しかし、コンパレータ17の出力にはダイオード18のカソードが接続されているので、抵抗R2の電圧に影響は与えない。
【0063】
次に、MOSFETM6からの充電電流により、コンデンサ16の電圧が基準電圧Vrefの電圧よりも大きくなると、コンパレータ17は、ダイオード18を介してLレベルをコンパレータ11の反転入力端子に出力する。これにより、コンパレータ11の反転端子は基準電圧Vrefよりも小さい状態になり、コンパレータ11の出力は反転してHレベルを出力する。すなわち、コンパレータ11の反転入力端子の電圧がコンパレータ17の出力電圧により引き下げられ、調整モードから最速モードに切り替わる。
【0064】
これにより、スイッチング素子Q1ターンオフ完了後の外来ノイズ等による誤オンを防止することが可能になる。
【0065】
このターンオフ回路動作時の調整モードから最速モードに切り替わるタイミングは、MOSFETM6の充電電流とコンデンサ16との時定数で決定される。
すなわち、調整モードの電流値に応じて最速モードに切り替わるタイミングが調整される。調整モードの電流値が小さければ切り替わるタイミングは遅くなり、調整モードの電流値が大きければ切り替わるタイミングは速くなる。換言すれば、dv/dtを遅くすれば切り替わるタイミングは遅くなり、dv/dtを速くすれば切り替わるタイミングも速くなる。
【0066】
従って、スイッチング素子Q1のターンオフ後に調整モードから最速モードへの切り替えをdv/dtの変動に応じて変化させることができる。
【0067】
なお、ゲート駆動信号INLがLレベルには、インバータ15は、Hレベルを第2スイッチS2と第5スイッチS5とに出力する。このため、第5スイッチS5がオンするので、コンデンサ16の電荷は放電し、コンパレータ17の反転入力端子はグランドGNDとなる。このため、コンパレータ17は、Hレベルをダイオード18のカソードに出力する。しかし、ダイオード18により電圧阻止されて、コンパレータ11は影響を受けない。コンパレータ11の反転入力端子の電圧は、MOSFETM5電流に基づき、元の抵抗R2の電圧に戻り、リセットされる。このため、前述した動作が繰り返されることになる。
【0068】
(ゲート駆動回路の第3の具体例)
図9は、本発明の実施例2に係るゲート駆動回路の第3の具体例を示す図である。
図9に示すゲート駆動回路の制御回路10bは、
図7に示すゲート駆動回路の制御回路10に、さらに、コンパレータ20、コンデンサ19、ダイオード18、抵抗R3を備えている。
【0069】
コンパレータ20の反転入力端子は、基準電源Vrefの正極に接続され、非反転入力端子は、コンデンサ19の一端と抵抗R3の一端とに接続され、出力端子は、抵抗R2の一端に接続される。コンデンサ19の他端は、グランドGNDに接続される。抵抗R3の他端はMOSFETM1のドレインに接続される。コンパレータ20の出力端子はダイオード18のカソードが接続され、ダイオード18のアノードはMOSFETM5のドレインとコンパレータ11の反転端子と抵抗R2との接続点に接続される。
【0070】
次に、制御回路10bの動作を説明する。まず、ゲート駆動信号INLがHレベルであり、抵抗R2の電圧が基準電源Vrefの電圧よりも小さいときには、アンド回路13はHレベルを第4スイッチS4に出力するので、第4スイッチS4がオンし、MOSFETM1がオンする。このため、最速モードとなる。
【0071】
このとき、MOSFETM1はグランドGNDに接続されるので、抵抗R3の他端もグランドGNDに接続される。このため、コンパレータ20は、ダイオード18を介してLレベルがコンパレータ11の反転入力端子に出力される。このため、最速モードを維持できる。
【0072】
次に、ゲート駆動信号INLがHレベルであり、抵抗R2の電圧が基準電源Vrefの電圧よりも大きい場合には、アンド回路13はLレベルを第4スイッチS4に出力するので、第4スイッチS4がオフする。すなわち、ターンオフ回路は、調整モードになる。
このため、ゲート駆動信号INLがHレベルになった直後は、スイッチング素子Q1のゲートの電圧が抵抗R3に印加されているので、コンパレータ20は、Hレベルを出力する。しかし、ダイオード18の極性により阻止されて、コンパレータ11の反転入力端子の電圧に変化は生じない。
【0073】
ここで、ターンオフ回路1eにより、スイッチング素子Q1のゲート電圧が徐々に低下すると、抵抗R3を介してコンデンサC19の電圧も低下し、基準電圧Vref未満になるとコンパレータ20の出力はHレベルからLレベルに反転する。
【0074】
これにより、ダイオード18を介して、コンパレータ11の反転端子をLレベルにさせて、調整モードから最速モードに切り替わる。即ち、ターンオフ回路1eにより、スイッチング素子Q1のゲート電圧が基準電圧Vrefまで低下すると、調整モードから最速モードに切り替わる。これにより、スイッチング素子Q1ターンオフ完了後の外来ノイズ等による誤オンを防止することが可能になる。
【実施例3】
【0075】
図10は、本発明の実施例3に係るゲート駆動回路のターンオン回路2の構成を示す図である。
図10に示す実施例3に係るゲート駆動回路においては、第1カレントミラー回路がN型のMOSFETM3a(第1トランジスタ)とN型のMOSFETM4a(第2トランジスタ)を有し、MOSFETM3aのソース(第1主端子)とMOSFETM4aのソース(第3主端子)が基準電圧であるグランドGNDに接続されている。
【0076】
可変電流源I1は、MOSFETM4aのドレイン(第4主端子)及びゲート(第2制御端子)とMOSFETM3aのゲート(第1制御端子)に接続されている。なお、可変電流源I1に代わりに、可変抵抗を接続しても良い。コンデンサC1はMOSFETM3aのドレインとソース間に接続されている。
【0077】
第1スイッチS1は、MOSFETM3aのドレインに一端が接続され、ゲート駆動信号INHによりオンオフ動作する。第2カレントミラー回路は、P型のMOSFETM1a(第3トランジスタ)とP型のMOSFETM2a(第4トランジスタ)を有している。MOSFETM1aのゲート(第3制御端子)とMOSFETM2aのゲート(第4制御端子)及びドレイン(第7主端子)が第1スイッチS1の他端に接続されている。
【0078】
MOSFETM1aのドレイン(第5主端子)がスイッチング素子Q1のゲートに接続され、MOSFETM1aのソース(第6主端子)とMOSFETM2aのソース(第8主端子)が電源Vccに接続されている。
【0079】
第2スイッチS2は、一端がMOSFETM1aのゲートとMOSFETM2aのゲートに接続され、他端が電源Vccに接続され、ゲート駆動信号INHにより第1スイッチS1とは相補的にオンオフ動作する。
【0080】
以上のように構成された実施例3のゲート駆動回路の動作は、
図1のゲート駆動回路の動作と同様に動作するので、その説明は、省略する。実施例3のゲート駆動回路のターンオン回路2も実施例1のゲート駆動回路のターンオフ回路1の効果と同様な効果が得られる。
【0081】
なお、
図10に示す構成に、さらに、
図5に示すようなMOSFETM5、第3スイッチS3と第4スイッチS4と制御回路10を設けても良い。MOSFETM5としては、N型のMOSFETMを用い、MOSFETM3aとMOSFETM4aと並列に接続し、ドレインを制御回路10に接続する。
【0082】
第3スイッチS3は、第1スイッチS1とMOSFETM1a,M2aのゲートとの接続点とMOSFETM2aのドレイン間に接続する。第4スイッチS4は、グランドGNDと第2スイッチS2との間に接続する。
【0083】
このように構成することにより、
図5に示す実施例2に係るゲート駆動回路のターンオフ回路1の効果と同様な効果が得られる。