(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
第1ポンプ及び第2ポンプと、ブームを駆動するブーム用アクチュエータに前記第1ポンプから作動油を供給させ得るように該ブーム用アクチュエータ及び第1ポンプに接続されたブーム用方向切換弁と、旋回体を駆動する旋回用アクチュエータに前記第2ポンプから作動油を供給させ得るように該旋回用アクチュエータ及び第2ポンプに接続された旋回用方向切換弁と、前記第1ポンプから前記ブーム用アクチュエータへの作動油の供給時に、前記第2ポンプから吐出される作動油を、前記第1ポンプから前記ブーム用アクチュエータに供給される作動油に合流させて該ブーム用アクチュエータに供給させ得るように該ブーム用アクチュエータ及び第2ポンプに接続された合流用切換弁と、前記旋回用アクチュエータの作動時に前記旋回用方向切換弁を駆動するように構成された旋回用油圧駆動部と、前記ブームの作動時に前記ブーム用方向切換弁を駆動するように構成され、さらに少なくとも前記ブームを上昇させるブーム上げの作動時には、前記ブーム用方向切換弁と共に、前記合流用切換弁を駆動するように構成されたブーム用油圧駆動部とを備える油圧ショベルであって、
前記ブーム用油圧駆動部は、前記旋回用アクチュエータによる前記旋回体の旋回作動と前記ブーム用アクチュエータによるブーム上げの作動とを並行して行うブーム上げ・旋回作動時に、前記旋回体の旋回作動を行わずに、前記ブーム用アクチュエータによるブーム上げの作動を行うときよりも、前記合流用切換弁のスプールの変位量を小さくするように該合流用切換弁を駆動するように構成されていると共に、前記ブームにアームを介して取り付けられるアタッチメントの種類又は重量に関する情報を取得可能であり、前記ブーム上げ・旋回作動時に、前記合流用切換弁のスプールの変位量を、前記アタッチメントの種類又は重量に応じて調整し得るように構成されており、
前記合流用切換弁は、前記ブーム上げ・旋回作動時における該合流用切換弁のスプールの変位位置で、前記第2ポンプの吐出圧を、該合流用切換弁から前記ブーム用アクチュエータに供給される作動油の圧力よりも大きい圧力に保持し得るメータイン開口又はブリードオフ開口を有するように構成されていることを特徴とする油圧ショベル。
第1ポンプ及び第2ポンプと、ブームを駆動するブーム用アクチュエータに前記第1ポンプから作動油を供給させ得るように該ブーム用アクチュエータ及び第1ポンプに接続されたブーム用方向切換弁と、旋回体を駆動する旋回用アクチュエータに前記第2ポンプから作動油を供給させ得るように該旋回用アクチュエータ及び第2ポンプに接続された旋回用方向切換弁と、前記第1ポンプから前記ブーム用アクチュエータへの作動油の供給時に、前記第2ポンプから吐出される作動油を、前記第1ポンプから前記ブーム用アクチュエータに供給される作動油に合流させて該ブーム用アクチュエータに供給させ得るように該ブーム用アクチュエータ及び第2ポンプに接続された合流用切換弁と、前記旋回用アクチュエータの作動時に前記旋回用方向切換弁を駆動するように構成された旋回用油圧駆動部と、前記ブームの作動時に前記ブーム用方向切換弁を駆動するように構成され、さらに少なくとも前記ブームを上昇させるブーム上げの作動時には、前記ブーム用方向切換弁と共に、前記合流用切換弁を駆動するように構成されたブーム用油圧駆動部とを備える油圧ショベルであって、
前記ブーム用油圧駆動部は、前記旋回用アクチュエータによる前記旋回体の旋回作動と前記ブーム用アクチュエータによるブーム上げの作動とを並行して行うブーム上げ・旋回作動時に、前記旋回体の旋回作動を行わずに、前記ブーム用アクチュエータによるブーム上げの作動を行うときよりも、前記合流用切換弁のスプールの変位量を小さくするように該合流用切換弁を駆動するように構成されていると共に、前記ブーム上げ・旋回作動時に、前記合流用切換弁のスプールの変位量を小さくするように該合流用切換弁を駆動することを、前記ブーム上げ・旋回作動の開始後、所定時間が経過することに応じて終了するように構成されており、
前記合流用切換弁は、前記ブーム上げ・旋回作動時における該合流用切換弁のスプールの変位位置で、前記第2ポンプの吐出圧を、該合流用切換弁から前記ブーム用アクチュエータに供給される作動油の圧力よりも大きい圧力に保持し得るメータイン開口又はブリードオフ開口を有するように構成されていることを特徴とする油圧ショベル。
第1ポンプ及び第2ポンプと、ブームを駆動するブーム用アクチュエータに前記第1ポンプから作動油を供給させ得るように該ブーム用アクチュエータ及び第1ポンプに接続されたブーム用方向切換弁と、旋回体を駆動する旋回用アクチュエータに前記第2ポンプから作動油を供給させ得るように該旋回用アクチュエータ及び第2ポンプに接続された旋回用方向切換弁と、前記第1ポンプから前記ブーム用アクチュエータへの作動油の供給時に、前記第2ポンプから吐出される作動油を、前記第1ポンプから前記ブーム用アクチュエータに供給される作動油に合流させて該ブーム用アクチュエータに供給させ得るように該ブーム用アクチュエータ及び第2ポンプに接続された合流用切換弁と、前記旋回用アクチュエータの作動時に前記旋回用方向切換弁を駆動するように構成された旋回用油圧駆動部と、前記ブームの作動時に前記ブーム用方向切換弁を駆動するように構成され、さらに少なくとも前記ブームを上昇させるブーム上げの作動時には、前記ブーム用方向切換弁と共に、前記合流用切換弁を駆動するように構成されたブーム用油圧駆動部とを備える油圧ショベルであって、
前記第2ポンプの吐出圧を検出する圧力検出器を備えており、
前記ブーム用油圧駆動部は、前記旋回用アクチュエータによる前記旋回体の旋回作動と前記ブーム用アクチュエータによるブーム上げの作動とを並行して行うブーム上げ・旋回作動時に、前記旋回体の旋回作動を行わずに、前記ブーム用アクチュエータによるブーム上げの作動を行うときよりも、前記合流用切換弁のスプールの変位量を小さくするように該合流用切換弁を駆動するように構成されていると共に、前記ブーム上げ・旋回作動時に、前記合流用切換弁のスプールの変位量を小さくするように該合流用切換弁を駆動することを、前記ブーム上げ・旋回作動の開始後、前記圧力検出器により検出される吐出圧が、所定の圧力値よりも大きい圧力から該所定の圧力値以下の圧力に低下することに応じて終了するように構成されており、
前記合流用切換弁は、前記ブーム上げ・旋回作動時における該合流用切換弁のスプールの変位位置で、前記第2ポンプの吐出圧を、該合流用切換弁から前記ブーム用アクチュエータに供給される作動油の圧力よりも大きい圧力に保持し得るメータイン開口又はブリードオフ開口を有するように構成されていることを特徴とする油圧ショベル。
第1ポンプ及び第2ポンプと、ブームを駆動するブーム用アクチュエータに前記第1ポンプから作動油を供給させ得るように該ブーム用アクチュエータ及び第1ポンプに接続されたブーム用方向切換弁と、旋回体を駆動する旋回用アクチュエータに前記第2ポンプから作動油を供給させ得るように該旋回用アクチュエータ及び第2ポンプに接続された旋回用方向切換弁と、前記第1ポンプから前記ブーム用アクチュエータへの作動油の供給時に、前記第2ポンプから吐出される作動油を、前記第1ポンプから前記ブーム用アクチュエータに供給される作動油に合流させて該ブーム用アクチュエータに供給させ得るように該ブーム用アクチュエータ及び第2ポンプに接続された合流用切換弁と、前記旋回用アクチュエータの作動時に前記旋回用方向切換弁を駆動するように構成された旋回用油圧駆動部と、前記ブームの作動時に前記ブーム用方向切換弁を駆動するように構成され、さらに少なくとも前記ブームを上昇させるブーム上げの作動時には、前記ブーム用方向切換弁と共に、前記合流用切換弁を駆動するように構成されたブーム用油圧駆動部とを備える油圧ショベルであって、
前記旋回体の旋回速度を検出する速度検出器を備えており、
前記ブーム用油圧駆動部は、前記旋回用アクチュエータによる前記旋回体の旋回作動と前記ブーム用アクチュエータによるブーム上げの作動とを並行して行うブーム上げ・旋回作動時に、前記旋回体の旋回作動を行わずに、前記ブーム用アクチュエータによるブーム上げの作動を行うときよりも、前記合流用切換弁のスプールの変位量を小さくするように該合流用切換弁を駆動するように構成されていると共に、前記ブーム上げ・旋回作動時に、前記合流用切換弁のスプールの変位量を小さくするように該合流用切換弁を駆動することを、前記ブーム上げ・旋回作動の開始後、前記速度検出器により検出される旋回速度が、前記旋回用方向切換弁のスプールを変位させるパイロット圧に応じて設定した所定速度、又は該旋回用方向切換弁のスプールを変位量を規定する作動指令に応じて設定した所定速度まで増加することに応じて終了するように構成されており、
前記合流用切換弁は、前記ブーム上げ・旋回作動時における該合流用切換弁のスプールの変位位置で、前記第2ポンプの吐出圧を、該合流用切換弁から前記ブーム用アクチュエータに供給される作動油の圧力よりも大きい圧力に保持し得るメータイン開口又はブリードオフ開口を有するように構成されていることを特徴とする油圧ショベル。
第1ポンプ及び第2ポンプと、ブームを駆動するブーム用アクチュエータに前記第1ポンプから作動油を供給させ得るように該ブーム用アクチュエータ及び第1ポンプに接続されたブーム用方向切換弁と、旋回体を駆動する旋回用アクチュエータに前記第2ポンプから作動油を供給させ得るように該旋回用アクチュエータ及び第2ポンプに接続された旋回用方向切換弁と、前記第1ポンプから前記ブーム用アクチュエータへの作動油の供給時に、前記第2ポンプから吐出される作動油を、前記第1ポンプから前記ブーム用アクチュエータに供給される作動油に合流させて該ブーム用アクチュエータに供給させ得るように該ブーム用アクチュエータ及び第2ポンプに接続された合流用切換弁と、前記旋回用アクチュエータの作動時に前記旋回用方向切換弁を駆動するように構成された旋回用油圧駆動部と、前記ブームの作動時に前記ブーム用方向切換弁を駆動するように構成され、さらに少なくとも前記ブームを上昇させるブーム上げの作動時には、前記ブーム用方向切換弁と共に、前記合流用切換弁を駆動するように構成されたブーム用油圧駆動部とを備える油圧ショベルであって、
前記ブーム用油圧駆動部は、前記旋回用アクチュエータによる前記旋回体の旋回作動と前記ブーム用アクチュエータによるブーム上げの作動とを並行して行うブーム上げ・旋回作動時に、前記旋回体の旋回作動を行わずに、前記ブーム用アクチュエータによるブーム上げの作動を行うときよりも、前記合流用切換弁のスプールの変位量を小さくするように該合流用切換弁を駆動するように構成されていると共に、当該油圧ショベルが存在する地面の傾斜状態を示す情報を取得可能であり、前記ブーム上げ・旋回作動時に、前記地面が傾斜面である場合に、前記合流用切換弁のスプールの変位量を、前記旋回体の旋回方向に応じて調整し得るように構成されており、
前記合流用切換弁は、前記ブーム上げ・旋回作動時における該合流用切換弁のスプールの変位位置で、前記第2ポンプの吐出圧を、該合流用切換弁から前記ブーム用アクチュエータに供給される作動油の圧力よりも大きい圧力に保持し得るメータイン開口又はブリードオフ開口を有するように構成されていることを特徴とする油圧ショベル。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に見られるものでは、旋回体の旋回とブーム上げとを並行して行う作動時には、ブーム用アクチュエータには第1ポンプだけからしか、作動油が供給されないため、ブームの作動の応答性の低下が生じやすいという不都合がある。
【0006】
また、旋回体の旋回とブーム上げとを並行して行う作動時に、第2ポンプから吐出される作動油が旋回用アクチュエータにだけ供給されるため、該第2ポンプの吐出圧がリリーフ圧以上となる状況が発生しやすくなる。そのため、第2ポンプから吐出される作動油のうち、作動油タンク側にリリーフされる作動油の量が多くなって、第2ポンプの駆動エネルギーのエネルギー損失が増加しやすいという不都合もある。
【0007】
本発明はかかる背景に鑑みてなされたものであり、旋回体の旋回作動とブーム上げの作動とを並行して行うブーム上げ・旋回作動時に、ブーム上げの作動及び旋回体の旋回作動の両方の良好な作動性を確保しつつ、エネルギー損失の発生を抑制することを可能とする油圧ショベルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の油圧ショベルは、上記の目的を達成するために、第1ポンプ及び第2ポンプと、ブームを駆動するブーム用アクチュエータに前記第1ポンプから作動油を供給させ得るように該ブーム用アクチュエータ及び第1ポンプに接続されたブーム用方向切換弁と、旋回体を駆動する旋回用アクチュエータに前記第2ポンプから作動油を供給させ得るように該旋回用アクチュエータ及び第2ポンプに接続された旋回用方向切換弁と、前記第1ポンプから前記ブーム用アクチュエータへの作動油の供給時に、前記第2ポンプから吐出される作動油を、前記第1ポンプから前記ブーム用アクチュエータに供給される作動油に合流させて該ブーム用アクチュエータに供給させ得るように該ブーム用アクチュエータ及び第2ポンプに接続された合流用切換弁と、前記旋回用アクチュエータの作動時に前記旋回用方向切換弁を駆動するように構成された旋回用油圧駆動部と、前記ブームの作動時に前記ブーム用方向切換弁を駆動するように構成され、さらに少なくとも前記ブームを上昇させるブーム上げの作動時には、前記ブーム用方向切換弁と共に、前記合流用切換弁を駆動するように構成されたブーム用油圧駆動部とを備える油圧ショベルであって、
前記ブーム用油圧駆動部は、前記旋回用アクチュエータによる前記旋回体の旋回作動と前記ブーム用アクチュエータによるブーム上げの作動とを並行して行うブーム上げ・旋回作動時に、前記旋回体の旋回作動を行わずに、前記ブーム用アクチュエータによるブーム上げの作動を行うときよりも、前記合流用切換弁のスプールの変位量を小さくするように該合流用切換弁を駆動するように構成されており、
前記合流用切換弁は、前記ブーム上げ・旋回作動時における該合流用切換弁のスプールの変位位置で、前記第2ポンプの吐出圧を、該合流用切換弁から前記ブーム用アクチュエータに供給される作動油の圧力よりも大きい圧力に保持し得るメータイン開口又はブリードオフ開口を有するように構成されていることを
基本構成とす
る。
【0009】
上記基本構成を有する本発明によれば、前記ブーム上げ・旋回作動時に、上記の如く合流用切換弁が駆動されると共に、該合流用切換弁が上記の如く構成されているので、ブーム用アクチュエータには、第1ポンプ及び第2ポンプの両方から作動油を供給することができると共に、旋回アクチュエータに前記第2ポンプから供給される作動油の圧力を、前記旋回体の旋回作動を開始する上で必要な大き目の圧力に上昇させることができる。
【0010】
このため、ブーム上げの作動及び旋回体の旋回作動のそれぞれの作動性(それぞれの作動の応答性)両方とも良好な状態に確保することが可能となる。
【0011】
また、第2ポンプから吐出される作動油の一部がブーム用アクチュエータに供給されるため、第2ポンプから吐出される作動油の圧力(吐出圧)がリリーフ圧以上の高圧になるのが抑制され、該第2ポンプから吐出される作動油のリリーフの発生が生じるのを極力抑制することができる。ひいては、当該リリーフに伴うエネルギー損失を低減できる。
【0012】
よって、
本発明によれば、旋回体の旋回作動とブーム上げの作動とを並行して行うブーム上げ・旋回作動時に、ブーム上げの作動及び旋回体の旋回作動の両方の良好な作動性を確保しつつ、エネルギー損失の発生を抑制することを可能となる。
【0015】
上記
基本構成を有する本発明では、前記ブーム用油圧駆動部は、前記ブームにアームを介して取り付けられるアタッチメントの種類又は重量に関する情報を取得可能であり、前記ブーム上げ・旋回作動時に、前記合流用切換弁のスプールの変位量を、前記アタッチメントの種類又は重量に応じて調整し得るように構成され得る(第
1発明)。
【0016】
これによれば、ブーム上げの作動及び旋回体の旋回作動のそれぞれの作動性を、アタッチメントの種類に対応する作業種別、あるいは、該アタッチメントの重量に適したものにすることが可能となる。
【0017】
例えば、上記第
1発明では、前記ブーム用油圧駆動部は、前記アタッチメントの重量に関する情報を取得可能である場合に、前記ブーム上げ・旋回作動時に、前記アタッチメントの重量が軽いほど、前記合流用切換弁のスプールの変位量を小さくするように該合流用切換弁を駆動するように構成されているという態様を採用し得る(第
2発明)。
【0018】
これによれば、前記ブーム上げ・旋回作動時に、アタッチメントの重量によらずに、第2ポンプから旋回用アクチュエータとブーム用アクチュエータとの両方に良好に作動油の供給することが可能となる。ひいては、アタッチメントの重量によらずに、ブーム上げの作動及び旋回体の旋回作動の両方の良好な作動性を確保することが可能となる。
【0019】
上記
基本構成を有する本発明では、前記ブーム用油圧駆動部は、前記ブーム上げ・旋回作動時に、前記合流用切換弁のスプールの変位量を小さくするように該合流用切換弁を駆動することを、前記ブーム上げ・旋回作動の開始後、所定時間が経過することに応じて終了するように構成され得る(第
3発明)。
【0020】
あるいは、前記第2ポンプの吐出圧を検出する圧力検出器を備えており、前記ブーム用油圧駆動部は、前記ブーム上げ・旋回作動時に、前記合流用切換弁のスプールの変位量を小さくするように該合流用切換弁を駆動することを、前記ブーム上げ・旋回作動の開始後、前記圧力検出器により検出される吐出圧が、所定の圧力値よりも大きい圧力から該所定の圧力値以下の圧力に低下することに応じて終了するように構成され得る(第
4発明)。
【0021】
あるいは、前記旋回体の旋回速度を検出する速度検出器を備えており、前記ブーム用油圧駆動部は、前記ブーム上げ・旋回作動時に、前記合流用切換弁のスプールの変位量を小さくするように該合流用切換弁を駆動することを、前記ブーム上げ・旋回作動の開始後、前記速度検出器により検出される旋回速度が、前記旋回用方向切換弁のスプールを変位させるパイロット圧に応じて設定した所定速度、又は該旋回用方向切換弁のスプールを変位量を規定する作動指令に応じて設定した所定速度まで増加することに応じて終了するように構成され得る(第
5発明)。
【0022】
ここで、旋回体の旋回作動の開始後、該旋回作動がある程度進行すると(ひいては、旋回体の旋回速度が定常的な旋回速度に近づくと)、旋回用アクチュエータの負荷圧(旋回用アクチュエータに供給すべき作動油の圧力)が低下するので、合流用切換弁のスプールの変位量を大きくしても、第2ポンプの吐出圧を、旋回用アクチュエータとブーム用アクチュエータとの両方に作動油を供給し得るように確保することが可能となる。
【0023】
そこで、第
3〜第
5発明では、前記ブーム用油圧駆動部を上記の如く構成した。この場合、第
3発明によれば、上記所定時間の経過後、合流用切換弁のスプールの変位量を大きくすることができるので、該合流用切換弁のメータイン開口又はブリードオフ開口での油圧の圧力損失を低減できる。
【0024】
また、第
4発明によれば、前記圧力検出器により検出される吐出圧が、所定の圧力値よりも大きい圧力から該所定の圧力値以下の圧力に低下した後、合流用切換弁のスプールの変位量を大きくすることができるので、該合流用切換弁のメータイン開口又はブリードオフ開口での油圧の圧力損失を低減できる。
【0025】
さらに、旋回体の旋回作動の開始後の旋回速度の加速に要する時間が、アタッチメントの種類等に起因して変化するような場合でも、前記合流用切換弁のスプールの変位量を小さくするように該合流用切換弁を駆動することを適切なタイミグで終了させることが可能となる。
【0026】
また、第
5発明によれば、前記速度検出器により検出される旋回速度が、前記旋回用方向切換弁のスプールを変位させるパイロット圧に応じて設定した所定速度、又は該旋回用方向切換弁のスプールを変位量を規定する作動指令に応じて設定した所定速度まで増加した後、合流用切換弁のスプールの変位量を大きくすることができるので、該合流用切換弁のメータイン開口又はブリードオフ開口での油圧の圧力損失を低減できる。
【0027】
そして、この場合、旋回体の実際の旋回速度が、上記パイロット圧又は作動指令に応じた所定速度に達してから、前記合流用切換弁のスプールの変位量を小さくするように該合流用切換弁を駆動することを終了することができるので、アタッチメントの種類や油圧ショベルが存在する地面の傾斜状態等によらずに、当該終了を好適なタイミングで実施することが可能となる。
【0028】
上記
基本構成を有する本発明では、前記ブーム用油圧駆動部は、当該油圧ショベルが存在する地面の傾斜状態を示す情報を取得可能であり、前記ブーム上げ・旋回作動時に、前記地面が傾斜面である場合に、前記合流用切換弁のスプールの変位量を、前記旋回体の旋回方向に応じて調整し得るように構成され得る(第
6発明)。
【0029】
ここで、油圧ショベルが存在する地面の傾斜状態によって、旋回体の旋回作動を行うために旋回用アクチュエータに供給すべき作動油の圧力が異なるものとなり得るものの、第
6発明によれば、ブーム上げ・旋回作動時に、第2ポンプから旋回用アクチュエータに供給される作動油の圧力を、地面の傾斜状態に適した圧力に確保し得るように合流用切換弁のスプールを変位させることが可能となる。
【0030】
例えば、上記第
6発明では、前記ブーム用油圧駆動部は、前記ブーム上げ・旋回作動時に、前記地面が傾斜面である場合に、前記旋回体の旋回方向が、前記ブームを前記地面の高所側に向かわせる方向である場合の前記合流用切換弁のスプールの変位量を、前記旋回体の旋回方向が、前記ブームを前記地面の高所側に向かわせる方向ではない場合の該合流用切換弁のスプールの変位量よりも小さくするように該合流用切換弁を駆動するように構成されているという態様を採用し得る(第
7発明)。
【0031】
これによれば、旋回体の旋回方向が、前記ブームを前記地面の高所側に向かわせる方向である場合に、その他の場合に比して、第2ポンプの吐出圧を大きくすることが可能となるので、旋回体の旋回作動を円滑に開始することが可能となる
。
また、上記第1〜7発明では、前記ブーム用油圧駆動部は、前記合流用切換弁のスプールを変位させるパイロット圧を該合流用切換弁に付与するパイロット油通路に接続された圧力制御弁を含み、前記ブーム上げ・旋回作動時に、前記合流用切換弁に付与するパイロット圧を、前記旋回体の旋回作動を行わずに、前記ブーム用アクチュエータによるブーム上げの作動を行うときよりも、小さくするように前記圧力制御弁を制御するように構成され得る(第8発明)。
これによれば、ブーム上げ・旋回作動時に、前記圧力制御弁を制御するだけで、合流用切換弁のスプールを容易に所要の変位位置に作動させることができる。なお、前記圧力制御弁としては、例えば電磁減圧弁等を採用し得る。
【発明を実施するための形態】
【0034】
本発明の第1実施形態を
図1〜
図4を参照して以下に説明する。
図1に示すように、本実施形態の油圧ショベル1は、クローラ式の走行体2と、走行体2上に搭載された旋回体3と、旋回体3に取り付けられた作業装置4とを備える。
【0035】
走行体2には、その左右のクローラをそれぞれ駆動する走行用油圧アクチュエータとしての一対の走行モータ(図示省略)が組み付けられている。
【0036】
旋回体3は、走行体2に対して、上下方向の旋回軸心Cz周りの方向(ヨー方向)に旋回し得るように、該走行体2に取り付けられており、旋回用油圧アクチュエータとしての旋回モータ7(これは本発明における旋回用アクチュエータに相当する)により旋回駆動される。この旋回体3の前部には、作業者が搭乗する運転室5が備えられ、後部には、エンジン、油圧機器等が収容された機械室6が備えられている。
【0037】
作業装置4は、旋回体3の前部から延設されたブーム11と、ブーム11の先端部から延設されたアーム12と、アーム12の先端部に組付けられたアタッチメント13(図示例ではバケット)と、ブーム11を旋回体3に対してピッチ方向(旋回体3の左右方向の軸周り方向)に揺動させるブーム用油圧アクチュエータとしてのブームシリンダ14(これは本発明におけるブーム用アクチュエータに相当する)と、アーム12をブーム11に対してピッチ方向に揺動させるアーム用油圧アクチュエータとしてのアームシリンダ15と、アタッチメント13をアーム12に対してピッチ方向に揺動させるアタッチメント用油圧アクチュエータとしてのバケットシリンダ16とを備える。
【0038】
補足すると、
図1では、基本的な構成の油圧ショベル1を例示したが、本発明を適用し得る油圧ショベルは、上記した構成のものに限られない。例えばアタッチメント13は、バケットに限らず、他の種類のアタッチメント(破砕機、ニブラ等)であってもよい。また、ブーム11は、旋回体3に対してピッチ方向に揺動し得るだけでなく、ブームシリンダ14とは別のアクチュエータにより、旋回体3に対してヨー方向に揺動したり、あるいは、旋回体3の左右方向に移動し得るようになっていてもよい。また、油圧ショベルには、ブーム11を含む作業装置4に加えて、ドーザ等が組み付けられていてもよい。
【0039】
油圧ショベル1には、前記旋回モータ7、ブームシリンダ14等の各油圧アクチュエータを作動させるために、
図2に示す如き油圧装置20Aが搭載されている。なお、
図2は、油圧装置20Aの要部構成を示している。
【0040】
この油圧装置20Aは、エンジン23により駆動される第1ポンプ21及び第2ポンプ22と、旋回モータ7、ブームシリンダ14を含む複数の油圧アクチュエータのそれぞれの作動用の複数の方向切換弁24〜30と、ブームシリンダ14に第1ポンプ21及び第2ポンプ22の両方から作動油を供給し得るようにするための合流用切換弁31と、コントローラ60とを含む。方向切換弁24〜30及び合流用切換弁31のそれぞれは、本実施形態では、パイロット駆動方式のスプール式の切換弁により構成される。
【0041】
第1ポンプ21は、例えば可変容量型の油圧ポンプであり、エンジン23により駆動された状態で、油タンク32から吸引した作動油を吐出する。なお、第1ポンプ21は、定容量型の油圧ポンプであってもよい。
【0042】
この第1ポンプ21の吐出ポートから、ブリードオフ油通路として機能するセンターバイパス油通路33が導出され、該センターバイパス油通路33が、方向切換弁24,25,26,27を順に経由して、油タンク32に至るように配設されている。なお、方向切換弁24の上流側のセンターバイパス油通路33には、第1ポンプ21の吐出圧(第1ポンプ21から吐出される作動油の圧力)が過大になるのを防止するために、図示を省略するリリーフ弁が接続されている。
【0043】
センターバイパス油通路33上の方向切換弁24,25,26,27のうち、方向切換弁26がブーム用方向切換弁(ブームシリンダ14の作動用の方向切換弁)であり、他の方向切換弁24,25,26のそれぞれは、旋回モータ7及びブームシリンダ14以外の他の油圧アクチュエータの作動用の方向切換弁である。
【0044】
ブーム用方向切換弁26は、そのスプールの作動位置として、A0位置、A1位置及びA2位置を有する切換弁であり、センターバイパス油通路33の上流側及び下流側が接続されていると共に、方向切換弁24の上流側でセンターバイパス油通路33から分岐されたポンプ側メータイン油通路34と、油タンク32に連通するタンク側メータアウト油通路36とが接続されている。
【0045】
さらに、ブーム用方向切換弁26は、ブームシリンダ14との間のメータイン油通路及びメータアウト油通路の組としての2つのアクチュエータ側油通路35a,35bを介してブームシリンダ14に接続されている。この場合、アクチュエータ側油通路35aはブームシリンダ14のボトム側油室に接続され、アクチュエータ側油通路35aはブームシリンダ14のロッド側油室に接続されている。
【0046】
そして、ブーム用方向切換弁26のスプールは、該ブーム用方向切換弁26の2つのパイロットポート26a,26bにパイロット圧が付与されていない状態では、中立位置であるA0位置に付勢されている。このA0位置では、ブーム用方向切換弁26は、センターバイパス油通路33を開通させると共に、アクチュエータ側油通路35a,35bを閉弁する(アクチュエータ側油通路35a,35bとポンプ側メータイン油通路34及びタンク側メータアウト油通路36との間の油通路を遮断する)。
【0047】
従って、ブーム用方向切換弁26のA0位置(中立位置)では、ブームシリンダ14の作動油の流入及び流出が遮断され、該ブームシリンダ14は停止状態に保持される。
【0048】
また、ブーム用方向切換弁26のスプールは、パイロットポート26aにパイロット圧を付与すると、該パイロット圧の増加に伴いA0位置からA1位置まで変位する。このA1位置では、ブーム用方向切換弁26は、ポンプ側メータイン油通路34及びタンク側メータアウト油通路36のそれぞれを、アクチュエータ側油通路35a,35bのそれぞれに開通させると共に、センターバイパス油通路33を閉弁するように構成されている。
【0049】
従って、ブーム用方向切換弁26のA1位置では、第1ポンプ21から吐出される作動油が、ポンプ側メータイン油通路34、ブーム用方向切換弁26及びアクチュエータ側油通路35aを介してブームシリンダ14のボトム側油室に供給されつつ、ブームシリンダ14のロッド側油室の作動油が、アクチュエータ側油通路35b、ブーム用方向切換弁26及びタンク側メータアウト油通路36を介して油タンク32に排出される。これにより、ブームシリンダ14のロッドが伸長し、ひいては、ブーム11の上昇動作(所謂、ブーム上げの作動)が行われる。
【0050】
なお、ブーム用方向切換弁26は、A0位置(中立位置)とA1位置との間の中間位置では、スプールがA0位置からA1位置に近づくに伴い(パイロットポート26aのパイロット圧の増加に伴い)、センターバイパス油通路33の通路面積が小さくなっていくと共に、ポンプ側メータイン油通路34とアクチュエータ側油通路35aとの間の通路面積が大きくなっていくように構成されている。
【0051】
また、ブーム用方向切換弁26のスプールは、パイロットポート26bにパイロット圧を付与すると、該パイロット圧の増加に伴いA0位置からA2位置まで変位する。このA2位置では、ブーム用方向切換弁26は、ポンプ側メータイン油通路34及びタンク側メータアウト油通路36のそれぞれを、アクチュエータ側油通路35b,35aのそれぞれに開通させると共に、センターバイパス油通路33を閉弁する。
【0052】
従って、ブーム用方向切換弁26のA2位置では、第1ポンプ21から吐出される作動油が、ポンプ側メータイン油通路34、ブーム用方向切換弁26、及びアクチュエータ側油通路35bを介してブームシリンダ14のロッド側油室に供給されつつ、ブームシリンダ14のボトム側油室の作動油が、アクチュエータ側油通路35a、ブーム用方向切換弁26及びタンク側メータアウト油通路36を介して油タンク32に排出される。これにより、ブームシリンダ14のロッドが短縮し、ひいては、ブーム11の下降動作が行われる。
【0053】
なお、ブーム用方向切換弁26は、A0位置(中立位置)とA2位置との間の中間位置では、スプールがA0位置からA2位置に近づくに伴い(パイロットポート26bのパイロット圧の増加に伴い)、センターバイパス油通路33の通路面積が小さくなっていくと共に、ポンプ側メータイン油通路34とアクチュエータ側油通路35bとの間の通路面積が大きくなっていくように構成されている。
【0054】
ブーム用方向切換弁26のパイロットポート26a,26bのそれぞれは、揺動操作可能なブーム用操作レバー51aを有するブーム用操作器51に、パイロット油通路52a,52bのそれぞれを介して接続されている。該ブーム用操作器51は、パイロットポンプ(図示省略)から作動油が供給されるようになっていると共に、減圧弁等により構成されるパイロットバルブ(図示省略)を内蔵している。
【0055】
そして、該ブーム用操作器51は、ブーム用方向切換弁26のパイロットポート26a,26bのうち、ブーム用操作レバー51aの操作方向に対応するパイロットポート26a又は26bに、該ブーム用操作レバー51aの操作量に応じたパイロット圧(二次圧)の作動油をパイロット油通路52a又は52bを介して出力する。
【0056】
また、パイロット油通路52aには、ブーム上げ作動時に、ブーム用方向切換弁26のパイロットポート26aに付与されるパイロット圧Pi_buを検出する圧力検出器61が接続されている。該圧力検出器61は、パイロット圧Pi_buの検出信号をコントローラ60に出力する。
【0057】
なお、圧力検出器61が検出するパイロット圧Pi_buは、ブーム上げ作動時のブーム用操作レバー51aの操作量に応じた圧力に制御されるので、圧力検出器61の代わりに、ブーム用操作レバー51aの操作量(揺動量)を検出する検出器(例えば、ポテンショメータ等)を備えるようにしてもよい。
【0058】
第2ポンプ22は、第1ポンプ21と同様に、可変容量型の油圧ポンプであり、エンジン23により駆動された状態で、油タンク32から吸引した作動油を吐出する。なお、第2ポンプ22は、定容量型の油圧ポンプであってもよい。
【0059】
この第2ポンプ22の吐出ポートから、ブリードオフ油通路として機能するセンターバイパス油通路43が導出され、該センターバイパス油通路43が、方向切換弁28,29、合流用切換弁31、及び方向切換弁30を順に経由して、油タンク32に至るように配設されている。なお、方向切換弁28の上流側のセンターバイパス油通路43には、第2ポンプ22の吐出圧(第2ポンプ22から吐出される作動油の圧力)が過大になるのを防止するために、図示を省略するリリーフ弁が介装されている。
【0060】
センターバイパス油通路43上の方向切換弁28,29,30のうち、方向切換弁29が旋回用方向切換弁(旋回モータ7の作動用の方向切換弁)であり、他の方向切換弁28,30のそれぞれは、旋回モータ7及びブームシリンダ14以外の他の油圧アクチュエータの作動用の方向切換弁である。
【0061】
旋回用方向切換弁29は、そのスプールの作動位置として、B0位置、B1位置及びB2位置を有する切換弁であり、センターバイパス油通路43の上流側及び下流側が接続されていると共に、方向切換弁28の上流側でセンターバイパス油通路43から分岐されたポンプ側メータイン油通路44と、油タンク32に連通するタンク側メータアウト油通路46とが接続されている。
【0062】
さらに、旋回用方向切換弁29は、旋回モータ7との間のメータイン油通路及びメータアウト油通路の組としての2つのアクチュエータ側油通路45a,45bを介して旋回モータ7の2つの作動油入出ポートに接続されている。
【0063】
そして、旋回用方向切換弁29のスプールは、該旋回用方向切換弁29の2つのパイロットポート29a,29bにパイロット圧が付与されていない状態では、中立位置であるB0位置に付勢されている。このB0位置では、旋回用方向切換弁29は、センターバイパス油通路43を開通させると共に、アクチュエータ側油通路45a,45bを閉弁する(アクチュエータ側油通路45a,45bとポンプ側メータイン油通路44及びタンク側メータアウト油通路46との間の油通路を遮断する)。
【0064】
従って、旋回用方向切換弁29のB0位置(中立位置)では、旋回モータ7の作動油の流入及び流出が遮断され、該旋回モータ7は停止状態に保持される。
【0065】
また、旋回用方向切換弁29のスプールは、パイロットポート29aにパイロット圧を付与すると、該パイロット圧の増加に伴いB0位置からB1位置まで変位する。このB1位置では、旋回用方向切換弁29は、ポンプ側メータイン油通路44及びタンク側メータアウト油通路46のそれぞれを、アクチュエータ側油通路45a,45bのそれぞれに開通させると共に、センターバイパス油通路43を閉弁するように構成されている。
【0066】
従って、旋回用方向切換弁29のB1位置では、第2ポンプ22から吐出される作動油が、ポンプ側メータイン油通路44、旋回用方向切換弁29及びアクチュエータ側油通路45aを介して旋回モータ7に供給されつつ、該旋回モータ7から流出する作動油が、アクチュエータ側油通路45b、旋回用方向切換弁29及びタンク側メータアウト油通路46を介して油タンク32に排出される。これにより、旋回モータ7の正転方向の回転動作、ひいては、旋回体3の正転方向の旋回作動が行われる。
【0067】
なお、旋回用方向切換弁29は、B0位置(中立位置)とB1位置との間の中間位置では、スプールがB0位置からB1位置に近づくに伴い(パイロットポート29aのパイロット圧の増加に伴い)、センターバイパス油通路43の通路面積が小さくなっていくと共に、ポンプ側メータイン油通路44とアクチュエータ側油通路45aとの間の通路面積が大きくなっていくように構成されている。
【0068】
また、旋回用方向切換弁29のスプールは、パイロットポート29bにパイロット圧を付与すると、該パイロット圧の増加に伴いB0位置からB2位置まで変位する。このB2位置では、旋回用方向切換弁29は、ポンプ側メータイン油通路44及びタンク側メータアウト油通路46のそれぞれを、アクチュエータ側油通路45b,45aのそれぞれに開通させると共に、センターバイパス油通路43を閉弁する。
【0069】
従って、旋回用方向切換弁29のB2位置では、第2ポンプ22から吐出される作動油が、ポンプ側メータイン油通路44、旋回用方向切換弁29及びアクチュエータ側油通路45bを介して旋回モータ7に供給されつつ、該旋回モータ7から流出する作動油が、アクチュエータ側油通路45a、旋回用方向切換弁29及びタンク側メータアウト油通路46を介して油タンク32に排出される。これにより、旋回モータ7の逆転方向の回転動作、ひいては、旋回体3の逆転方向の旋回作動が行われる。
【0070】
なお、旋回用方向切換弁29は、B0位置(中立位置)とB2位置との間の中間位置では、スプールがB0位置からB2位置に近づくに伴い(パイロットポート29bのパイロット圧の増加に伴い)、センターバイパス油通路43の通路面積が小さくなっていくと共に、ポンプ側メータイン油通路44とアクチュエータ側油通路45bとの間の通路面積が大きくなっていくように構成されている。
【0071】
旋回用方向切換弁29のパイロットポート29a,29bは、揺動操作可能な旋回用操作レバー55aを有する旋回用操作器55にパイロット油通路56a,56bを介して接続されている。該旋回用操作器55は、ブーム用操作器51と同様の構成のものであり、旋回用方向切換弁29のパイロットポート29a,29bのうち、旋回用操作レバー55aの操作方向に対応するパイロットポート29a又は29bに、該旋回用操作レバー55aの操作量に応じたパイロット圧(二次圧)の作動油をパイロット油通路56a又は56bを介して出力する。
【0072】
なお、本実施形態では旋回用操作器55が本発明における旋回用油圧駆動部に相当するものである。
【0073】
また、パイロット油通路56a,56bは、シャトル弁57を介して接続されている。そして、該シャトル弁57には、旋回モータ7の作動時(正転及び逆転のそれぞれの作動時)に、旋回用方向切換弁29のパイロットポート29a又は29bに付与されるパイロット圧Pi_tを検出する圧力検出器62が接続されている。該圧力検出器62は、パイロット圧Pi_tの検出信号をコントローラ60に出力する。
【0074】
なお、圧力検出器62が検出するパイロット圧Pi_tは、旋回モータ7の作動時の旋回用操作レバー55aの操作量に応じた圧力に制御されるので、圧力検出器62の代わりに、旋回用操作レバー55aの操作量(揺動量)を検出する検出器(例えば、ポテンショメータ等)を備えるようにしてもよい。
【0075】
前記合流用切換弁31は、そのスプールの作動位置として、C0位置、C1位置及びC2位置を有する切換弁であり、センターバイパス油通路43の上流側及び下流側が接続されていると共に、前記ポンプ側メータイン油通路44が接続され、さらに、ブーム用方向切換弁26に係る前記アクチュエータ側油通路35aに油通路47を介して接続されている。
【0076】
そして、合流用切換弁31のスプールは、該合流用切換弁31の2つのパイロットポート31a,31bにパイロット圧が付与されていない状態では、中立位置であるC0位置に付勢されている。このC0位置では、合流用切換弁31は、センターバイパス油通路43を開通させると共に、油通路47を閉弁する(油通路47とポンプ側メータイン油通路44との間の油通路を遮断する)。
【0077】
従って、合流用切換弁31のC0位置(中立位置)では、第2ポンプ22から吐出される作動油はブームシリンダ14に供給されることはない。
【0078】
また、合流用切換弁31のスプールは、パイロットポート31aにパイロット圧を付与すると、該パイロット圧の増加に伴いC0位置からC1位置まで変位する。このC1位置では、合流用切換弁31は、ポンプ側メータイン油通路44を油通路47に開通させると共に、センターバイパス油通路43を閉弁するように構成されている。
【0079】
従って、合流用切換弁31のC1位置では、第2ポンプ22から吐出される作動油が、ポンプ側メータイン油通路44、合流用切換弁31、油通路47、アクチュエータ側油通路35aを介してブームシリンダ14のボトム側油室に供給される。
【0080】
なお、合流用切換弁31は、C0位置(中立位置)とC1位置との間の中間位置では、スプールがC0位置からC1位置に近づくに伴い(パイロットポート31aのパイロット圧の増加に伴い)、センターバイパス油通路43に連通する通路としてのブリードオフ開口が小さくなっていくと共に、ポンプ側メータイン油通路44と油通路47との間の通路としてのメータイン開口が大きくなっていくように構成されている。
【0081】
また、合流用切換弁31のスプールは、パイロットポート31bにパイロット圧を付与すると、該パイロット圧の増加に伴いC1位置からC2位置まで変位する。このC2位置での合流用切換弁31の機能は種々の態様を採用し得る。例えば、C2位置での合流用切換弁31の機能は、C0位置での機能と同じでもよい。
【0082】
合流用切換弁31のパイロットポート31a,31bのそれぞれは、ブーム用操作器51に接続されているパイロット油通路52a,52bから各々分岐されたパイロット油通路52c,52dのそれぞれに接続されている。
【0083】
この場合、パイロットポート31a側のパイロット油通路52cには、電気的に制御可能な圧力制御弁としての電磁逆比例減圧弁53が介装されている。該電磁逆比例減圧弁53は、その通電電流の増加させるに伴い、減圧の設定圧が低下するように構成された減圧弁であり、該通電電流をコントローラ60により制御し得るように該コントローラ60に電気的に接続されている。
【0084】
なお、合流用切換弁31は、そのスプールの作動位置として前記C2位置を持たず、該スプールがC0位置とC1位置との間で変位し得るように構成されていてもよい。その場合には、上記パイロットポート31b及びパイロット油通路52dは不要となり、パイロットポート31aにパイロット圧が付与された状態で、合流用切換弁31のスプールの変位により流出される作動油を油タンク32の戻すドレンラインが構成される。
【0085】
コントローラ60は、CPU等のプロセッサ、メモリ、インターフェース回路等を含む電子回路ユニットにより構成されている。そして、コントローラ60は、実装されたハードウェア構成及びプログラム(ソフトウェア構成)に実現される機能として、油圧ショベル1の運転制御を行う機能を有する。この場合、当該機能には、電磁逆比例減圧弁53(以降、単に電磁減圧弁53という)の通電制御を行う機能を含む。
【0086】
なお、本実施形態では、このコントローラ60は、ブーム用操作器51及び電磁減圧弁53と併せて、本発明におけるブーム用油圧駆動部を実現するものである。
【0087】
次に、本実施形態の作動、特に、旋回体3の旋回作動と、ブーム上げ作動とを並行して行う場合の作動を説明する。
【0088】
コントローラ60は、油圧ショベル1の運転中に、
図3のフローチャートに示す処理を実行する。
【0089】
STEP1,2のそれぞれにおいて、コントローラ60は、圧力検出器61により検出されるパイロット圧Pi_bu(以降、ブーム上げパイロット圧Pi_buという)が所定の閾値P0_bu以上の圧力に上昇したか否かと、圧力検出器62により検出されるパイロット圧Pi_t(以降、旋回パイロット圧Pi_tという)が所定の閾値P0_t以上の圧力に上昇したか否かとを各々判断する。
【0090】
ここで、STEP1でPi_bu≧P0_buとなる状況(STEP1の判断結果が肯定的になる状況)は、ブーム上げ作動を行うべくブーム用操作レバー51aが操作された状況である。また、STEP2でPi_t≧P0_tとなる状況(STEP2の判断結果が否定的となる状況)は、旋回体3の旋回作動を行うべく旋回用操作レバー55aが操作された状況である。
【0091】
STEP1,2のいずれかの判断結果が否定的となる場合(Pi_bu<P0_bu又はPi_t<P0_tとなる場合)には、STEP3において、コントローラ60は、電磁減圧弁53への通電を行うことなく、油圧ショベル1の通常運転を行わせ、該通常運転と並行して、STEP1からの処理を逐次繰り返す。
【0092】
上記STEP3の通常運転では、各方向切換弁24〜30が、それぞれに対応する操作レバーの操作に応じて駆動され、これにより、それぞれに対応する油圧アクチュエータに作動油が供給されて、該油圧アクチュエータが作動する。
【0093】
例えば、旋回モータ7の単独作動を行うべく、旋回用操作レバー55aが操作された場合には、その操作に応じて旋回用操作器55から旋回用方向切換弁29に付与されるパイロット圧により、該旋回用方向切換弁29がB1位置側又はB2位置側に駆動され、ひいては、第2ポンプ22から旋回モータ7に作動油が供給される。これにより、旋回モータ7が作動して、旋回体3の旋回作動(正転又は逆転)が行われる。
【0094】
また、例えば、ブームシリンダ14を単独で作動させてブーム上げ作動を行うべく、ブーム用操作レバー51aが操作された場合には、その操作に応じてブーム用操作器51からブーム用方向切換弁26に付与されるパイロット圧により、該ブーム用方向切換弁26がA1位置側に駆動される。加えて、ブーム用操作レバー51aの操作に応じてブーム用操作器51から合流用切換弁31に付与されるパイロット圧により、該合流用切換弁31がC1位置側に駆動される。
【0095】
ひいては、第1ポンプ21と第2ポンプ22との両方からブームシリンダ14のボトム側油室に作動油が供給される。これにより、ブームシリンダ14が伸長方向に作動して、ブーム上げ作動が行われる。
【0096】
この場合、電磁減圧弁53への通電が行われないため、該電磁減圧弁53は、パイロット油通路52cを絞りの無い状態で開通させることで、ブーム用操作器51から出力されるパイロット圧をそのまま、合流用切換弁31のパイロットポート31aに付与する。従って、ブーム用操作レバ−51aが、例えば、ブーム11を上昇させる方向(ブームシリンダ14を伸長させる方向)に最大の操作量で操作された場合、合流用切換弁31は、C1位置まで作動する。
【0097】
一方、前記STEP1,2の両方の判断結果が肯定的となる状況は(Pi_bu≧P0_bu且つPi_t≧P0_tとなる状況)は、ブーム上げ作動と旋回体3の旋回作動とを並行して行うべく、ブーム用操作レバー51aの操作と旋回用操作レバー55aの操作とが行われた状況である。
【0098】
この状況では、コントローラ60は、STEP4において、ブーム上げ作動と旋回体3の旋回作動とを並行して行うためのブーム上げ・旋回制御の処理を実行する。このブーム上げ・旋回制御の処理では、コントローラ60は、電磁減圧弁53への通電を行うことで、合流用切換弁31のパイロットポート31aに付与されるパイロット圧を、ブーム用操作器51から出力されるパイロット圧(換言すれば、ブーム用方向切換弁26のパイロットポート26aに付与されるパイロット圧)よりも減圧させる。
【0099】
より具体的には、
図4を参照して、同図の第1段目のグラフで示すブーム上げパイロット圧Pi_buと第2段目のグラフで示す旋回パイロット圧Pi_tとの組が、Pi_bu≧P0_bu、且つ、Pi_t≧P0_tとなってブーム上げ・旋回制御が開始すると(時刻t1)、コントローラ60は、同図の第3段目のグラフで例示する如く、電磁減圧弁53への通電電流を所定値まで徐々に(例えば一定の増加率で)増加させ、続いて、該通電電流を、該所定値で一定に維持する。これにより、合流用切換弁31の油通路開口が、該所定値の通電電流に対応する大きさの開口まで絞られる。
【0100】
なお、
図4の第3段目のグラフでは、電磁減圧弁53への通電電流を一定の増加率(単位時間当たりの増加量)で増加させる場合を一例として示したが、該増加率を経時的に変化させるようにしてもよい。
【0101】
上記の如く電磁減圧弁53の通電電流を制御した場合、合流用切換弁31に付与されるパイロット圧は、
図4の第4段目のグラフで例示する如く、時刻t1までは、ブーム上げパイロット圧Pi_bu(=ブーム用操作器51から出力されるパイロット圧)と同様に上昇する(ひいては、合流用切換弁31がC1位置もしくはそれに近い位置まで作動する)ものの、時刻t1以後は、合流用切換弁31に付与されるパイロット圧が、ブーム用操作器51から出力されるパイロット圧よりも減圧される。
【0102】
このため、合流用切換弁31のスプールの変位量(C1位置側への変位量)が減少して、合流用切換弁31におけるメータイン開口やブリードオフ開口が絞り通路状の開口になる。これにより、
図4の第5段目のグラフで例示する如く、第2ポンプ22の吐出圧が増加する。
【0103】
その結果、旋回体3の旋回作動のために旋回モータ7に供給すべき作動油の圧力(負荷圧)が、ブーム上げ作動のためにブームシリンダ14に供給すべき作動油の圧力(負荷圧)に比して大きくても、旋回モータ7に第2ポンプ22から作動油を供給して、旋回体3の旋回作動を行わせ得るように、第2ポンプ22の吐出圧を上昇させることができる。加えて、第2ポンプ22から、旋回モータ7だけでなく、ブームシリンダ14にも作動油を供給することができる。ひいては、旋回体3の旋回作動と、ブーム上げ作動とを、円滑に並行して行うことができる。
【0104】
さらに、第2ポンプ22から吐出される作動油のうちの一部を、合流用切換弁31を介してブームシリンダ14に供給できるので、第2ポンプ22の吐出圧が、センターバイパス油通路43に接続されているリリーフ弁(図示省略)のリリーフ圧を以上の過大な圧力になるのを極力防止することができる。ひいては、第2ポンプ22の駆動エネルギーの損失を低減できる。
【0105】
また、ブーム上げ・旋回制御の開始直後に電磁減圧弁53への通電電流を徐々に増加させることで、旋回体3及びブーム11の作動を滑らかに変化させることができる。
【0106】
なお、本実施形態では、上記したブーム上げ・旋回制御は、例えば、ブーム上げパイロット圧Pi_buが減少(ブーム用操作レバー51aの操作量が減少)して、Pi_bu<P0_buとなるか、又は、旋回パイロット圧Pi_tが減少(旋回用操作レバー55aの操作量が減少)して、旋回用のパイロット圧Pi_tがPi_t<P0_tとなった場合に終了される。
【0107】
この場合、ブーム上げ・旋回制御の終了時には、電磁減圧弁53の通電電流を徐々に減少させることが好ましい。
【0109】
次に、本発明の第2実施形態を
図5及び
図6を参照して以下に説明する。なお、本実施形態は、前記第1実施形態と一部の事項だけが相違するものであるので、第1実施形態と同一の事項については説明を省略する。
【0110】
本実施形態では、油圧装置20Aを含む油圧ショベル1の構成は第1実施形態と同じであるが、コントローラ60の一部の処理が第1実施形態と相違する。該コントローラ60は、本実施形態では、油圧ショベル1の運転中に
図5のフローチャートに示す処理を実行する。
【0111】
図5において、STEP1〜3の処理は、それぞれ第1実施形態(
図3)におけるSTEP1〜3の処理と同じである。
【0112】
そして、STEP1,2の両方の判断結果が肯定的となった場合(ブーム上げ作動と旋回体3の旋回作動とを並行して行うようにブーム用操作レバー51aの操作と旋回用操作レバー55aの操作とが行われた場合)には、コントローラ60は、STEP6において、油圧ショベル1のアタッチメント13の重量に関する重量情報を取得した上で、STEP7において、ブーム上げ作動と旋回体3の旋回作動とを並行して行うためのブーム上げ・旋回制御の処理を実行する。
【0113】
ここで、本実施形態では、油圧ショベル1に組み付けられているアタッチメント13の重量が、あらかじめ分類された複数種類の重量区分(例えば4種類の重量区分A,B,C,D)のうちの、どの重量区分に属するか否かを特定し得る重量情報が、油圧ショベル1の運転開始前にコントローラ60のメモリに記憶保持されている。
【0114】
この場合、上記複数種類の重量区分A,B,C,Dは、それぞれに属する重量の範囲が互いに相違しており、例えばAの重量範囲<Bの重量範囲<Cの重量範囲<Dの重量範囲となるように定められている。
【0115】
そして、STEP6では、コントローラ60は、上記の如くメモリに記憶保持されている重量情報を取得する。該重量情報としては、例えば、アタッチメント13の重量そのものの値、もしくは、アタッチメント13の重力区分を直接的に示す情報を使用し得る。あるいは、アタッチメント13の種類から該アタッチメント13の重量区分を特定し得る場合には、該アタッチメント13の種類を、上記重量情報として使用することも可能である。
【0116】
なお、コントローラ60は、アタッチメント13の重量情報を、例えば、外部の管理サーバ等から取得し得るようにしてもよい。
【0117】
また、STEP7のブーム上げ・旋回制御の処理では、コントローラ60は、STEP6で取得した重量情報により特定されるアタッチメント13の重量区分に応じた形態で、電磁減圧弁53の通電を行う。
【0118】
具体的には、STEP7では、コントローラ60は、ブーム上げ・旋回制御の開始後、アタッチメント13の重力区分に応じて、
図6に例示するようにあらかじめ定められたパターン(経時変化のパターン)で電磁減圧弁53の通電電流を所定値(到達目標値)まで徐々に(例えば、一定の増加率で)増加させ、続いて該所定値に維持するように該電磁減圧弁53の通電を行う。この場合、通電電流の上記所定値(到達目標値)は、アタッチメント13が属する重量区分の重量が軽いほど大きくなる(該重量が重いほど小さくなる)にように設定される。
【0119】
なお、アタッチメント13の各重力区分毎の電磁減圧弁53の通電電流の経時変化のパターンは、例えばマップ、あるいは、関数式等の形態で設定され得る。
【0120】
本実施形態は、以上説明した事項以外は、第1実施形態と同じである。かかる本実施形態によれば、第1実施形態と同様の効果を奏することに加えて、次のような効果を奏することができる。
【0121】
すなわち、ブーム上げ・旋回制御の処理において、上記の如く、アタッチメント13の重量に応じたパターンで電磁減圧弁53の通電が行われる。このため、アタッチメント13が軽いものであり、ひいては、ブームシリンダ14の負荷圧が比較的小さなものとなる状況で、ブーム上げ作動と旋回体3の旋回作動とが並行して行われる場合には、電磁減圧弁53の通電電流が大き目の所定値まで増加される。ひいては、電磁減圧弁53によるパイロット圧の減圧度合いが大きくなって、合流用切換弁31のスプールのC1側への変位量が小さくなる(合流用切換弁31のメータイン開口の絞り度合いが高くなる)。
【0122】
その結果、第2ポンプ22の吐出圧を、ブームシリンダ14の負荷圧に比して十分に高い圧力に確保することが可能となり、第1ポンプ21及び第2ポンプ22の両方から、ブーム上げ作動に必要な圧力の作動油をブームシリンダ14に供給しつつ、旋回体3の旋回作動を円滑に行わせ得る圧力の作動油を第2ポンプ22から旋回モータ7に供給することができる。
【0123】
また、アタッチメント13が重いものであり、ひいては、ブームシリンダ14の負荷圧が比較的大きなものとなる状況で、ブーム上げ作動と旋回体3の旋回作動とが並行して行われる場合には、電磁減圧弁53の通電電流が小さい目の所定値まで増加される。ひいては、電磁減圧弁53によるパイロット圧の減圧度合いが小さくなって、合流用切換弁31のスプールのC1側への変位量が大きくなる(合流用切換弁31のメータイン開口の絞り度合いが小さくなる)。
【0124】
この場合、ブームシリンダ14の負荷圧が比較的大きいものとなるので、第2ポンプ22の吐出圧も高めの圧力に確保される。その結果、第1ポンプ21及び第2ポンプ22の両方から、ブーム上げ作動に必要な圧力の作動油をブームシリンダ14に供給しつつ、旋回体3の旋回作動を円滑に行わせ得る圧力の作動油を第2ポンプ22から旋回モータ7に供給することができる。
【0125】
このように本実施形態によれば、アタッチメント13の重量によらずに、ブーム上げ作動と旋回体3の旋回作動とを円滑に並行して行うことが可能となる。また、アタッチメント13の重量は、通常、該アタッチメント13の種類もしくは油圧ショベル1の作業環境に応じたものとなるので、結果的に、ブーム上げ・旋回制御をアタッチメント13の種類や油圧ショベル1の作業環境に適した態様で行うことが可能となる。
【0126】
なお、本実施形態では、アタッチメント13の重量を4種類の重量区分A〜Dに分類した場合を一例として説明したが、該重量区分の分類数は4種類よりも多いか、もしくはす少なくてもよい。また、アタッチメント13の重量に対して、電磁減圧弁53の通電電流の所定値(到達目標値)を連続的に変化させる(詳しくは、重量の増加に対して該通電電流の所定値を単調減少させる)ように設定することも可能である。また、本実施形態では、、電磁減圧弁53の通電電流を増加させる期間の時間幅を、アタッチメント13の重量区分によらずに一定としたが、該時間幅をアタッチメント13の重量区分に応じて(又は重量の値に応じて)変化させるようにしてもよい。
【0127】
また、ブーム上げ・旋回制御の開始後の、電磁減圧弁53の通電電流を増加パターンを、単に、アタッチメント13の種類に応じて変化させるようにしてもよい。この場合、アタッチメント13の種類に対応した作業内容に適したパターンで、電磁減圧弁53の通電電流を増加させることも可能である。
【0129】
次に、本発明の第3実施形態を
図7及び
図8を参照して以下に説明する。なお、本実施形態は、前記第1実施形態と一部の事項だけが相違するものであるので、第1実施形態と同一の事項については説明を省略する。
【0130】
本実施形態では、油圧装置20Aを含む油圧ショベル1の構成は第1実施形態と同じであるが、コントローラ60の一部の処理が第1実施形態と相違する。具体的には、本実施形態では、ブーム上げ・旋回制御の開始後、電磁減圧弁53の通電を解除するタイミング(
図7及び
図8の時刻t2)があらかじめ定められている。該タイミング(時刻t2)は、例えば
図8に示す如く、ブーム上げ・旋回制御の開始時から、所定時間Δtaが経過した時点である。この場合、所定時間Δtaは、その時間内で、旋回体3の実際の旋回速度が旋回用操作レバー55aの操作量に対応する到達目標速度もしくはそれに近い速度まで上昇し得るような時間幅に設定される(
図8の第5段目のグラフを参照)。
【0131】
なお、所定時間Δtaは、例えば、旋回用操作レバー55aの操作量がほぼ一定になった状態での該操作量(又は旋回パイロット圧Pi_t)が大きいほど、長い時間となるように、該操作量(又は旋回パイロット圧Pi_t)に応じて可変的に設定するようにしてもよい。
【0132】
そして、本実施形態では、コントローラ60は、ブーム上げ・旋回制御の開始後の経過時間が上記所定時間Δtaに達すると、電磁減圧弁53への通電を解除する通電解除処理(換言すれば、ブーム上げ・旋回制御の終了処理)を開始する。この通電解除処理では、コントローラ60は、あらかじめ定められた一定のパターン(経時変化のパターン)で、例えば、
図7に例示する如きパターンで、電磁減圧弁53の通電電流を徐々に減少させることで、該電磁減圧弁53の通電を解除する。なお、
図7に示す例では、電磁減圧弁53の通電電流を一定の減少率(単位時間当たりの減少量)で、リニアに減少させる場合の例であるが、通電電流の減少率が経時的に変化してもよい。
【0133】
本実施形態は、以上説明した事項以外は、第1実施形態と同じである。かかる本実施形態によれば、第1実施形態と同様の効果を奏することに加えて、次のような効果を奏することができる。
【0134】
すなわち、ブーム上げ・旋回制御の開始後、旋回体3の旋回速度がある程度増加して、該旋回体3の旋回作動のために旋回モータ7に供給すべき作動油の圧力が低くなると、自動的にブーム上げ・旋回制御が終了される。このため、ブーム上げ・旋回制御の実行期間が必要以上に長くなるのが防止される。そして、ブーム上げ・旋回制御の終了後は、合流用切換弁31のスプールは、C1位置まで変位し得るようになるため、合流用切換弁31での圧力損失を低減することができる。
【0135】
なお、本実施形態では、ブーム上げ・旋回制御の開始直後における電磁減圧弁53への通電時に、第2実施形態で説明した態様を採用してもよい。この場合、通電解除処理の実行期間の時間幅、あるいは、通電解除処理における通電電流の減少率を、アタッチメント13の重量区分(もしくは重量の値)、あるいは、アタッチメント13の種類に応じて変化させるようにしてもよい。
【0137】
次に、本発明の第4実施形態を
図9〜
図11を参照して以下に説明する。なお、本実施形態は、前記第1実施形態と一部の事項だけが相違するものであるので、第1実施形態と同一の事項については説明を省略する。
【0138】
本実施形態では、油圧ショベル1には、前記旋回モータ7、ブームシリンダ14等の各油圧アクチュエータを作動させるために、
図9に示す如き油圧装置20Bが搭載されている。
【0139】
この油圧装置20Bは、第2ポンプ22の作動油の吐出圧Pp2を検出するために、方向切換弁28の上流側のセンターバイパス油通路43に接続された圧力検出器63を備えており、該圧力検出器63の検出信号がコントローラ60に入力されるようになっている。これ以外の油圧装置20Bの構成は、第1実施形態の油圧装置20Aと同じである。
【0140】
そして、本実施形態では、コントローラ60は、油圧ショベル1の運転中に、
図10のフローチャートに示す処理を実行するように構成されている。
【0141】
図10において、STEP1〜3の処理は、それぞれ第1実施形態(
図3)におけるSTEP1〜3の処理と同じである。
【0142】
そして、STEP1,2の両方の判断結果が肯定的となった場合(ブーム上げ作動と旋回体3の旋回作動とを並行して行うようにブーム用操作レバー51aの操作と旋回用操作レバー55aの操作とが行われた場合)には、コントローラ60は、STEP9において、ブーム上げ作動と旋回体3の旋回作動とを並行して行うためのブーム上げ・旋回制御の処理を実行する。このブーム上げ・旋回制御の処理は、第1実施形態と同様に実行される。
【0143】
さらに、コントローラ60は、ブーム上げ・旋回制御の処理を実行しながら、該ブーム上げ・旋回制御の開始後、所定時間Δtbが経過したか否かSTEP10で判断し、この判断結果が否定的である場合には、STEP9におけるブーム上げ・旋回制御を継続する。
【0144】
ここで、上記所定時間Δtbは、例えば
図11に例示するように、その時間内で、電磁減圧弁53の通電電流が所定値(一定値)まで増加すると共に、第2ポンプ22の吐出圧が、旋回モータ7による旋回体3の旋回作動を行われるように該旋回モータ7に作動油を供給し得る圧力に十分に上昇するように、あらかじめ設定されている。
【0145】
上記所定時間Δtbが経過して、STEP10の判断結果が肯定的になると、次に、コントローラ60は、STEP11において、圧力検出器63により検出される第2ポンプ22の吐出圧Pp2が、所定値Pa以下に低下したか否かを判断する。
【0146】
ここで、旋回体3の実際の旋回速度が旋回用操作レバー55aの操作量に対応する到達目標速度に向かって上昇していく過程では、第2ポンプ22の吐出圧Pp2は、旋回体3の旋回速度の加速のために、比較的大きな圧力に保たれる。このような状況では、STEP11の判断結果が否定的となるように、上記所定値Paがあらかじめ設定されている。
【0147】
そして、STEP11の判断結果が否定的である場合には、コントローラ60は、STEP9におけるブーム上げ・旋回制御を継続する。
【0148】
また、旋回体3の旋回速度が旋回用操作レバー55aの操作量に対応する到達目標速度に近い速度になると、旋回モータ7の負荷圧が減少して、第2ポンプ22の吐出圧Pp2くなるために、STEP11の判断結果が肯定的になる。
【0149】
この場合には、コントローラ60は、STEP12において、ブーム上げ・旋回制御を終了し、電磁減圧弁53への通電を解除する(通電解除処理を実行する)。このSTEP12における通電解除処理は、例えば、前記第3実施形態と同様に行われる。
【0150】
本実施形態は、以上説明した事項以外は、第1実施形態と同じである。かかる本実施形態によれば、前記第1実施形態及び第3実施形態と同様の効果を奏することができる。また、本願実施形態では、第2ポンプ22の吐出圧Pp2が所定値Paよりも高い圧力に上昇した後、該所定値Pa以下の圧力に低下することに応じて通電解除処理が開始されるので、旋回モータ7の負荷状態等によって、旋回体3の旋回加速度のばらつきが生じる場合でも、適切なタイミングで、通電解除処理を開始して、ブーム上げ・旋回制御の処理を終了することができる。
【0151】
なお、本実施形態では、ブーム上げ・旋回制御の開始直後における電磁減圧弁53への通電時(通電電流の増加時)に、第2実施形態で説明した態様を採用してもよい。
【0152】
また、ブーム上げ・旋回制御の開始後、所定時間Δtbが経過した後に、第2ポンプ22の吐出圧Pp2が所定値Pa以下の圧力に低下することに応じて、通電解除処理を実行するようにした。ただし、例えば、ブーム上げ・旋回制御の開始後、第2ポンプ22の吐出圧Pp2が所定値Paよりも高い圧力に上昇したことを検知した後に、第2ポンプ22の吐出圧Pp2が所定値Pa以下の圧力に低下したときに、通電解除処理を開始するようにしてもよい。
【0154】
次に、本発明の第5実施形態を
図12〜
図14を参照して以下に説明する。なお、本実施形態は、前記第1実施形態と一部の事項だけが相違するものであるので、第1実施形態と同一の事項については説明を省略する。
【0155】
本実施形態では、油圧ショベル1には、前記旋回モータ7、ブームシリンダ14等の各油圧アクチュエータを作動させるために、
図12に示す如き油圧装置20Cが搭載されている。この油圧装置20Cは、旋回体3の旋回速度ωt(換言すれば、旋回モータ7の回転軸の回転速度)を検出する速度検出器64を備えており、該速度検出器64の検出信号がコントローラ60に入力される。これ以外の油圧装置20Cの構成は、第1実施形態の油圧装置20Aと同じである。
【0156】
そして、本実施形態では、コントローラ60は、油圧ショベル1の運転中に、
図13のフローチャートに示す処理を実行するように構成されている。
【0157】
図13において、STEP1〜3の処理は、それぞれ第1実施形態(
図3)におけるSTEP1〜3の処理と同じである。
【0158】
そして、STEP1,2の両方の判断結果が肯定的となった場合(ブーム上げ作動と旋回体3の旋回作動とを並行して行うようにブーム用操作レバー51aの操作と旋回用操作レバー55aの操作とが行われた場合)には、コントローラ60は、STEP14において、ブーム上げ作動と旋回体3の旋回作動とを並行して行うためのブーム上げ・旋回制御の処理を実行する。このブーム上げ・旋回制御の処理は、第1実施形態と同様に実行される。
【0159】
さらに、コントローラ60は、ブーム上げ・旋回制御の処理を実行しながら、STEP15において、圧力検出器62により検出される旋回パイロット圧Pi_tに応じて終了判定閾値ωaを設定する。該終了判定閾値ωaは、ブーム上げ・旋回制御を終了するか否かを決定するために、速度検出器64により検出される旋回体3の旋回速度ωtと比較する閾値であり、
図14の第5段目(最下段)の二点鎖線のグラフで例示するように、旋回パイロット圧Pi_t(
図14の第2段目のフグフを参照)が大きいほど(換言すれば、旋回用操作レバー55aの操作量が大きいほど)、大きくなるように設定される。
【0160】
そして、コントローラ60は、STEP16において、速度検出器64により検出される旋回体3の旋回速度ωtが、STEP15で設定した終了判定閾値ωa以上に上昇したか否か判断する。
【0161】
このSTEP16の判断結果が否定的となる状況は、旋回体3の旋回速度ωtが上昇中であるとみなし得る状況である。この場合には、コントローラ60は、STEP14におけるブーム上げ・旋回制御を継続する。
【0162】
また、STEP16の判断結果が肯定的となる状況は、旋回体3の旋回速度ωtが、旋回用操作レバー55aの操作量がほぼ一定となる状況での該操作量に応じた到達目標速度に近い速度まで上昇したとみなし得る状況である。この場合には、コントローラ60は、STEP17において、ブーム上げ・旋回制御を終了し、電磁減圧弁53への通電を解除する(通電解除処理を実行する)。このSTEP17における通電解除処理は、例えば、前記第3実施形態と同様に行われる。
【0163】
本実施形態は、以上説明した事項以外は、第1実施形態と同じである。かかる本実施形態によれば、前記第1実施形態及び第3実施形態と同様の効果を奏することができる。また、本願実施形態では、旋回体3の旋回速度ωtが、旋回パイロット圧Pi_tに応じて設定した終了判定閾値ωa以上に上昇することに応じて、通電解除処理が開始されるので、旋回モータ7の負荷状態によらずに、運転者の意図した旋回体3の旋回作動に適したタイミングで、通電解除処理を開始して、ブーム上げ・旋回制御の処理を終了することができる。
【0164】
なお、本実施形態において、ブーム上げ・旋回制御の開始直後における電磁減圧弁53への通電時(通電電流の増加時)に、第2実施形態で説明した態様を採用してもよい。
【0165】
また、旋回用操作レバー55aの操作量を検出し得る場合には、旋回パイロット圧Pi_tの代わりに、該操作量に応じて終了判定閾値ωaを設定するようにしてもよい。この場合、旋回用操作レバー55aの操作量は、旋回用方向切換弁29のスプールを変位量を規定する作動指令に相当する。
【0167】
次に、本発明の第6実施形態を
図15〜
図17を参照して以下に説明する。なお、本実施形態は、前記第1実施形態と一部の事項だけが相違するものであるので、第1実施形態と同一の事項については説明を省略する。
【0168】
本実施形態では、油圧ショベル1には、前記旋回モータ7、ブームシリンダ14等の各油圧アクチュエータを作動させるために、
図15に示す如き油圧装置20Dが搭載されている。この油圧装置20Dは、油圧ショベル1が存在する地面(走行体2が接地している地面)の傾斜量を検出し得るように旋回体3(又は走行体2)に搭載された傾斜計65を備えており、該傾斜計65の検出信号がコントローラ60に入力される。これ以外の油圧装置20Dの構成は、第1実施形態の油圧装置20Aと同じである。
【0169】
そして、本実施形態では、コントローラ60は、油圧ショベル1の運転中に
図16のフローチャートに示す処理を実行するように構成されている。
【0170】
図16において、STEP1〜3の処理は、それぞれ第1実施形態(
図3)におけるSTEP1〜3の処理と同じである。
【0171】
そして、STEP1,2の両方の判断結果が肯定的となった場合(ブーム上げ作動と旋回体3の旋回作動とを並行して行うようにブーム用操作レバー51aの操作と旋回用操作レバー55aの操作とが行われた場合)には、コントローラ60は、STEP19において、傾斜計65により検出された油圧ショベル1の傾斜量を取得した上で、STEP20において、ブーム上げ作動と旋回体3の旋回作動とを並行して行うためのブーム上げ・旋回制御の処理を実行する。
【0172】
STEP20では、コントローラ60は、STEP19で取得した油圧ショベル1の傾斜量に基づいて、油圧ショベル1が存在する地面が傾斜面であるか否かを認識し、さらに、該地面が傾斜面である場合には、該傾斜面に対するブーム11の向き(ヨー方向での向き)を認識すると共に、実行しようとするブーム上げ・旋回制御での旋回体3の旋回方向がブーム11を傾斜面の高所側に移動させる方向であるか否かを認識する。
【0173】
例えば、油圧ショベル1を上方から見た場合に、ブーム11が傾斜面の下り向きの方向から時計周り方向に若干傾いた方向に向いた状態で、時計周り方向に旋回体3を旋回させようとする場合には、該旋回方向は、ブーム11を傾斜面の高所側に移動せる方向であると認識される。
【0174】
そして、コントローラ60は、実行しようとするブーム上げ・旋回制御での旋回体3の旋回方向がブーム11を傾斜面の高所側に移動させる方向であると認識した場合(以降、傾斜面上昇側ブーム上げ・旋回制御の場合という)と、それ以外の場合(以降、通常ブーム上げ・旋回制御の場合という)とで、互いに異なる所定のパターン(経時的変化のパターン)で、電磁減圧弁53の通電電流を増加させる。
【0175】
なお、通常ブーム上げ・旋回制御の場合は、平地でのブーム上げ・旋回制御を行う場合と、旋回体3の旋回方向が、ブーム11を傾斜面の低所側に移動させる方向となる態様で、傾斜面でのブーム上げ・旋回制御を行う場合とを含む。
【0176】
上記傾斜面上昇側ブーム上げ・旋回制御の場合と、通常ブーム上げ・旋回制御の場合とでは、コントローラ60は、それぞれの制御の開始後、
図17に示す如くパターンで、電磁減圧弁53の通電電流を所定値まで徐々に増加させ、続いて、該通電電流を、該所定値で一定に維持する。この場合、傾斜面上昇側ブーム上げ・旋回制御の場合における通電電流の所定値は、通常ブーム上げ・旋回制御の場合における通電電流の所定値よりも大きい値に設定されている。
【0177】
これにより、傾斜面上昇側ブーム上げ・旋回制御の場合と、通常ブーム上げ・旋回制御の場合とのいずれの場合でも、電磁減圧弁53の油通路開口は、該所定値の通電電流に対応する大きさの絞り通路状の開口になる。そして、通常ブーム上げ・旋回制御の場合よりも、傾斜面上昇側ブーム上げ・旋回制御の場合の方が、電磁減圧弁53の油通路開口の絞り度合い(ひいては、合流用切換弁31のパイロットポート31aに付与されるパイロット圧の減圧度合い)は大きいものとなる。
【0178】
なお、
図17では、傾斜面上昇側ブーム上げ・旋回制御の場合と、通常ブーム上げ・旋回制御の場合とのいずれの場合でも、電磁減圧弁53への通電電流を一定の増加率(単位時間当たりの増加量)で所定値まで増加させる場合を一例として示したが、それぞれの場合で、該増加率を経時的に変化させるようにしてもよい。また、電磁減圧弁53への通電電流を増加させる期間の時間幅を、傾斜面上昇側ブーム上げ・旋回制御の場合と、通常ブーム上げ・旋回制御の場合とで異ならせるようにしてもよい。
【0179】
本実施形態は、以上説明した事項以外は、第1実施形態と同じである。かかる本実施形態によれば、前記第1実施形態と同様の効果を奏することができる。また、傾斜面上昇側ブーム上げ・旋回制御の場合に、通常ブーム上げ・旋回制御の場合よりも、電磁減圧弁53の通電電流を大きくすることで、傾斜面上昇側ブーム上げ・旋回制御の場合における合流用切換弁31のスプールの変位量(C0位置からの変位量)を小さくし、ひいては、合流用切換弁31のメータイン開口を小さくすることができる。
【0180】
そのため、第2ポンプ22の吐出圧を大きい圧力に上昇させることができ、ひいては、旋回体3の旋回を円滑に開始することができる。
【0181】
なお、本実施形態において、傾斜面上昇側ブーム上げ・旋回制御の場合と、通常ブーム上げ・旋回制御の場合のそれぞれの場合で、第2実施形態で説明した態様を採用してもよい。また、傾斜面上昇側ブーム上げ・旋回制御の場合と、通常ブーム上げ・旋回制御の場合のそれぞれの場合の終了動作では、、前記第3実施形態、又は第4実施形態、又は第5実施形態で説明した態様を採用してもよい。
【0182】
また、ブーム上げ・旋回制御において、ブーム11を傾斜面の高所側から低所側に向かわせるように旋回体3の旋回作動を行う場合には、電磁減圧弁53の通電電流を、平地におけるブーム上げ・旋回制御の場合よりも小さくする(ひいては、合流用切換弁31のスプールの変位量を平地におけるブーム上げ・旋回制御の場合よりも大きくする)ようにしてもよい。
【0183】
補足すると、本発明の実施形態は、以上説明した第1〜第6実施形態に限られない。例えば、ブーム用操作器51が、電磁減圧弁などの電気的に制御可能なパイロットバルブを備える場合には、前記電磁減圧弁53を省略し、ブーム上げ・旋回制御において、該パイロットバルブの通電制御を行うようにしてもよい。