特許第6696735号(P6696735)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6696735
(24)【登録日】2020年4月27日
(45)【発行日】2020年5月20日
(54)【発明の名称】Ge系光素子及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 31/10 20060101AFI20200511BHJP
   G02B 6/12 20060101ALI20200511BHJP
【FI】
   H01L31/10 A
   G02B6/12 301
   G02B6/12 361
【請求項の数】2
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2015-122817(P2015-122817)
(22)【出願日】2015年6月18日
(65)【公開番号】特開2017-11020(P2017-11020A)
(43)【公開日】2017年1月12日
【審査請求日】2018年3月2日
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成25年度、国立研究開発法人新エネル ギー・産業技術総合開発機構、「超低消費電力型光エレクトロニクス実装システム技術開発」委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
(73)【特許権者】
【識別番号】000005223
【氏名又は名称】富士通株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】513065077
【氏名又は名称】技術研究組合光電子融合基盤技術研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100094525
【弁理士】
【氏名又は名称】土井 健二
(74)【代理人】
【識別番号】100094514
【弁理士】
【氏名又は名称】林 恒徳
(74)【代理人】
【識別番号】100105337
【弁理士】
【氏名又は名称】眞鍋 潔
(72)【発明者】
【氏名】奥野 昌樹
(72)【発明者】
【氏名】下山 峰史
(72)【発明者】
【氏名】奥村 滋一
【審査官】 山本 元彦
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−091354(JP,A)
【文献】 特開2014−099527(JP,A)
【文献】 特開2003−188406(JP,A)
【文献】 特開2010−212469(JP,A)
【文献】 国際公開第2014/171005(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0104441(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 31/00−31/0392、31/08−31/119
IEEE Xplore
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
単結晶シリコン基板と、
前記単結晶シリコン基板上に設けられた第1の酸化膜と、
前記第1の酸化膜上に設けられた第2の酸化膜と、
前記第1の酸化膜及び前記第2の酸化膜に設けられた前記単結晶シリコン基板の表面に達する開口部と、
前記開口部に設けられ、前記第1の酸化膜の頂面から500nm以下の高さでその頂面が突出するGeを含むIV族半導体層と、
前記Geを含むIV族半導体層の表面側に設けられた第1導電型領域と、
前記Geを含むIV族半導体層の表面側であって、前記第1導電型領域と離れた領域に設けられた前記第1導電型と反対導電型の第2導電型領域を有し、
前記第1導電型領域/前記Geを含むIV族半導体層の表面部/前記第2導電型領域により形成される前記単結晶シリコン基板の主表面と水平な方向のpin構造の受光部と、
前記pin構造のi型層となる前記Geを含むIV族半導体層の表面部に、反射防止膜となる多層誘電体膜とを有し、前記単結晶シリコン基板は、SOI基板の単結晶シリコン基板であり、前記第1の酸化膜は前記SOI基板のBOX層であり、前記第2の酸化膜は前記SOI基板の表面の単結晶シリコン層を除去して露出した前記BOX層上に設けられたことを特徴とするGe系光素子。
【請求項2】
SOI基板のBOX層上の単結晶シリコン層を除去し、前記BOX層上に酸化膜を形成する工程と、
前記SOI基板の単結晶シリコン基板に達する開口部を形成する工程と、
前記開口部において、前記単結晶シリコン基板に対してGeを含むIV族半導体をエピタキシャル成長させて、前記BOX層の頂面から500nm以下の高さでその頂面が突出するGeを含むIV族半導体層を形成する工程と、
前記Geを含むIV族半導体層の表面の一部に第1導電型の不純物をイオン注入する工程と、
前記Geを含むIV族半導体層の表面の前記第1導電型の不純物をイオン注入した領域と離れた領域に前記第1導電型と反対導電型の第2導電型の不純物をイオン注入する工程と、
イオン注入した前記第1導電型の不純物と前記第2導電型の不純物を活性化アニールして、第1導電型領域/Geを含むIV族半導体層の表面部/第2導電型領域により前記単結晶シリコン基板の主表面と水平な方向にpin構造の受光部を形成する工程と、
前記pin構造のi型層となる前記Geを含むIV族半導体層の表面部に、反射防止膜となる多層誘電体膜を形成する工程と
を有することを特徴とするGe系光素子の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、Ge系光素子及びその製造方法に関するものであり、例えば、Siフォトニクス技術に用いるGe受光素子等のGe系光素子及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、光通信技術分野をはじめとして、Siフォトニクスが注目を集めている。Siフォトニクスとは、SOI基板上に、光導波路、光変調器、受光器(Ge受光器)、グレーティングカプラーなどの光IO素子を、Si半導体プロセスで作成し、光信号を送受信する集積チップを形成する技術である。
【0003】
この中で、従来のpin型Ge受光素子は、SOI基板の単結晶シリコン層をパターニングしてSi導波路を形成し、その上にGe層をエピタキシャル成長させて、このGe層を利用してGe受光素子を形成している。
【0004】
図16は、従来の集積化Ge受光素子の説明図であり、図16(a)は平面図であり、図16(b)は、図16(a)におけるA−A′を結ぶ一点鎖線に沿った断面図であり、図16(c)は、図16(a)におけるB−B′を結ぶ一点鎖線に沿った断面図である。図に示すように、単結晶シリコン基板61上にBOX(Buried Oxide)層62を介して単結晶シリコン層を設けたSOI基板を用い、単結晶シリコン層をパターニングしてSi導波路63、テーパ部64及びGe成長部を形成する。
【0005】
このGe成長部にBをドープしてp型Si領域65を形成した後、このp型Si領域65上にi型Ge層66を選択成長させる。次いで、i型Ge層66の表面にPをドープしてn型Ge領域67を形成する。次いで、全面に上部クラッド層68となるSiO膜68を形成し、p型Si領域65及びn型Ge領域67に達するコンタクトホールを形成する。このコンタクトホールを導電部材で埋め込んでp側電極69及びn側電極70を形成することにより集積化Ge受光素子が完成する。
【0006】
このように、従来のGe受光素子は、Ge層の下側のSi層をp型とし、光吸収層となるi型Ge層を挟んで上部をn型にする縦型構造となっている。p側電極69に負電位を印加し、n側電極70に正電位を印加した状態で、i型Ge層66に光が入射すると光励起により電子−ホールペアが発生し、電子はn型Ge領域67に、ホールはp型Si領域65に伝播していき、電気信号として検出される。
【0007】
このような、Ge受光素子において、受光感度を高めるために、低温/高温の二段階成長により、貫通転位及び欠陥密度を低減した上層部の高温成長Ge層を吸収層とすることが提案されている(例えば、非特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】Tao Yin,Rami Cohen,Mike M.Morse,Gadi Sarid,Yoel Chetrit,Doron Rubin,and Mario J.Paniccia,Optics Express,Vol.15, p.13966 (2007)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
このようなGe受光素子において、Siフォトニクスチップの製造工程のインテグレーションを容易にするために、従来構造よりGe層の高さの低いデバイスを作成するという課題がある。従来構造では、光吸収層となるi型Ge層の高さが充分必要なため、Ge層の全体の高さは約1μm前後の高さが必要になる。このように、Ge受光素子の高さが1μm前後と高くなるため、SOI基板の単結晶シリコン層に形成した信号処理回路等との配線による電気的接続等の後続のプロセスインテグレーションを難しくしている問題がある。
【0010】
即ち、Ge受光素子を形成したのち、クラッド酸化膜と呼ばれる上部クラッド層を兼ねる層間絶縁膜を堆積して、コンタクト形成、メタル配線工程へと進む。Ge層に起因して1μmの段差がある状態でクラッド酸化膜を成膜すると、クラッド酸化膜の表面に1μmの段差が発生するが、このままコンタクト形成やメタル配線工程に進むと、段差のある部分間で露光機のフォーカスができない等の理由で露光がうまくできなくなる。また、段差の側壁部分にメタルエッチング後にメタルの残渣が残ったり、段差部のメタル配線が切れやすいなどの問題が発生する。
【0011】
そのため、クラッド酸化膜形成後は、1μmの段差をなくすようなCMP(化学機械研磨)による平坦化プロセスが入ることが望ましい。しかし、1μmの段差をCMPにより平坦化することは難しい。また、平坦化できた場合でも、単結晶シリコン層上のクラッド酸化膜厚さは1μm以上となる。
【0012】
例えば、45nmノード、65nmCMOSは、トランジスタを覆う層間絶縁膜の厚さは、300nm〜500nm程度であり、それと比較すると1μm以上のクラッド酸化膜は厚いことになる。このため、p型Si領域65へのコンタクトメタルの断面のアスペクト比がCMOSと比較すると大きくなり、通常のLSI製造ラインで作成するには、エッチングやコンタクトメタルの埋め込み工程が困難になるという問題がある。
【0013】
したがって、Ge系光素子及びその製造方法において、Ge系半導体層の高さを低くして、Siフォトニクスのプロセスのインテグレーションを容易にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
開示する一観点からは、単結晶シリコン基板と、前記単結晶シリコン基板上に設けられた第1の酸化膜と、前記第1の酸化膜上に設けられた第2の酸化膜と、前記第1の酸化膜及び前記第2の酸化膜に設けられた前記単結晶シリコン基板の表面に達する開口部と、前記開口部に設けられ、前記第1の酸化膜の頂面から500nm以下の高さでその頂面が突出するGeを含むIV族半導体層と、前記Geを含むIV族半導体層の表面側に設けられた第1導電型領域と、前記Geを含むIV族半導体層の表面側であって、前記第1導電型領域と離れた領域に設けられた前記第1導電型と反対導電型の第2導電型領域を有し、前記第1導電型領域/前記Geを含むIV族半導体層の表面部/前記第2導電型領域により形成される前記単結晶シリコン基板の主表面と水平な方向のpin構造の受光部と、前記pin構造のi型層となる前記Geを含むIV族半導体層の表面部に、反射防止膜となる多層誘電体膜とを有し、前記単結晶シリコン基板は、SOI基板の単結晶シリコン基板であり、前記第1の酸化膜は前記SOI基板のBOX層であり、前記第2の酸化膜は前記SOI基板の表面の単結晶シリコン層を除去して露出した前記BOX層上に設けられたことを特徴とするGe系光素子が提供される。
【0015】
また、開示する別の観点からは、SOI基板のBOX層上の単結晶シリコン層を除去し、前記BOX層上に酸化膜を形成する工程と、前記SOI基板の単結晶シリコン基板に達する開口部を形成する工程と、前記開口部において、前記単結晶シリコン基板に対してGeを含むIV族半導体をエピタキシャル成長させて、前記BOX層の頂面から500nm以下の高さでその頂面が突出するGeを含むIV族半導体層を形成する工程と、前記Geを含むIV族半導体層の表面の一部に第1導電型の不純物をイオン注入する工程と、前記Geを含むIV族半導体層の表面の前記第1導電型の不純物をイオン注入した領域と離れた領域に前記第1導電型と反対導電型の第2導電型の不純物をイオン注入する工程と、イオン注入した前記第1導電型の不純物と前記第2導電型の不純物を活性化アニールして、第1導電型領域/Geを含むIV族半導体層の表面部/第2導電型領域により前記単結晶シリコン基板の主表面と水平な方向にpin構造の受光部を形成する工程と、前記pin構造のi型層となる前記Geを含むIV族半導体層の表面部に、反射防止膜となる多層誘電体膜を形成する工程とを有することを特徴とするGe系光素子の製造方法が提供される。
【発明の効果】
【0016】
開示のGe系光素子及びその製造方法によれば、Ge系半導体層の高さを低くして、Siフォトニクスのプロセスのインテグレーションを容易にすることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の実施の形態のGe系光素子の説明図である。
図2】本発明の実施の形態のGe系光素子の動作の説明図である。
図3】本発明の実施例1の集積化Ge受光素子の説明図である。
図4】本発明の実施例1の集積化Ge受光素子の製造工程の途中までの説明図である。
図5】本発明の実施例1の集積化Ge受光素子の製造工程の図4以降の途中までの説明図である。
図6】本発明の実施例1の集積化Ge受光素子の製造工程の図5以降の途中までの説明図である。
図7】本発明の実施例1の集積化Ge受光素子の製造工程の図6以降の途中までの説明図である。
図8】本発明の実施例1の集積化Ge受光素子の製造工程の図7以降の途中までの説明図である。
図9】本発明の実施例1の集積化Ge受光素子の製造工程の図8以降の途中までの説明図である。
図10】本発明の実施例1の集積化Ge受光素子の製造工程の図9以降の途中までの説明図である。
図11】本発明の実施例1の集積化Ge受光素子の製造工程の図10以降の説明図である。
図12】本発明の実施例2の集積化SiGe受光素子の説明図である。
図13】本発明の実施例3の集積化SiGe光素子の説明図である。
図14】本発明の実施例4の集積化Ge受光素子の説明図である。
図15】本発明の実施例5の集積化Ge受光素子の説明図である。
図16】従来の集積化Ge受光素子の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
ここで、図1及び図2を参照して、本発明の実施例1のGe系光素子を説明する。図1は、本発明の実施の形態のGe系光素子の説明図であり、図1(a)は平面図であり、図1(b)は、図1(a)におけるA−A′を結ぶ一点鎖線に沿った断面図であり、図1(c)は、図1(a)におけるB−B′を結ぶ一点鎖線に沿った断面図である。単結晶シリコン基板1上に設けられた酸化膜2に単結晶シリコン基板1に達する開口部を形成する。この開口部において、単結晶シリコン基板1に対してGeを含むIV族半導体をエピタキシャル成長させて、酸化膜2の頂面から500nm以下の高さでその頂面が突出するGeを含むIV族半導体層3を形成する。なお、Geを含むIV族半導体層としては、SiGe1−x(但し、0≦x≦0.5)が典型的なものである。
【0019】
次いで、Geを含むIV族半導体層3の表面の一部に第1導電型の不純物をイオン注入するとともに、第1導電型の不純物をイオン注入した領域と離れた領域に第2導電型の不純物をイオン注入する。次いで、イオン注入した不純物を活性化アニールして、第1導電型領域7/Geを含むIV族半導体層3の表面部/第2導電型領域8により単結晶シリコン基板1の主表面と水平な方向にpin構造を形成する。上部クラッド層を兼ねる絶縁膜6を設け、この絶縁膜6にコンタクトホールを形成して第1導電型領域7に接続する電極9と、第2導電型領域8に接続する電極10を形成する。
【0020】
なお、開口部を形成する前に、酸化膜6上に設けた単結晶シリコン層を加工してテーパ部5を含む単結晶シリコン光導波路4を予め形成して、pin構造のi型層となるGeを含むIV族半導体層3の表面部の端部と接合させても良い。この場合には、Geを含むIV族半導体層3を成長する工程において、単結晶シリコン光導波路4の露出側端面から横方向成長しない低圧条件で結晶成長を行う。
【0021】
このpin構造を受光部とする場合には、単結晶シリコン光導波路4をpin構造のi型層となるGeを含むIV族半導体層3の表面部の一方の端部のみに接合させれば良い。また、pin構造を光変調部とする場合には、pin構造のi型層となるGeを含むIV族半導体層3の表面部の互いに対向する両方の端部に、それぞれ単結晶シリコン光導波路4を接合させれば良い。
【0022】
また、単結晶シリコン光導波路4と接合せずに、面入射型の受光素子としても良い。その場合には、pin構造のi型層となるGeを含むIV族半導体層3の表面に反射防止膜となる多層誘電体膜を設けて、表面入射型受光素子としても良い。或いは、pin構造のi型層となるGeを含むIV族半導体層3の表面に対向する単結晶シリコン基板1の底面に反射防止膜となる多層誘電体膜を設けて、裏面入射型受光素子としても良い。なお、いずれの場合も、反射防止膜は必須ではない。
【0023】
また、高速動作型の光素子として用いる場合には、動作帯域の観点から素子容量を極力抑えることが望ましく、容量低減のためにはp−i−nの接合面積を抑える必要がある。p−i−n接合面積を抑えるためには、第1導電型領域7及び第2導電型領域8がGeを含むIV族半導体層3の上面から比較的浅い範囲に留まっていることが望ましい。
【0024】
但し、この第1導電型領域7及び第2導電型領域8が浅すぎる場合には、Geを含むIV族半導体層3内への入射光によって発生したフォトキャリアに十分な電界が印加されず、光電変換効率の劣化あるいは電子輸送時間の増大による動作速度劣化を招く。
【0025】
導波路型受光素子の場合には、入射光の広がりは一般的に光の波長程度の範囲に留まる。したがって、フォトキャリアの発生範囲も光波長程度の範囲に留まるので、第1導電型領域7及び第2導電型領域8の表面からの深さを、光入射位置を中心としてGeを含むIV族半導体層3内での光波長に相当する広がりの範囲までに留めておけば、接合面積を抑えつつ発生するフォトキャリアへの効率的な電界印加を阻害せずに好ましい。
【0026】
具体的には、シリコン光導波路では吸収されずGeでは吸収される光の波長範囲がおよそ1.2μm〜1.6μmであり、この波長域における半導体層の屈折率が3.5〜4程度であることから、導電型領域の深さは光入射位置を中心として0.3μm〜0.5μmの広がり範囲までに設定することが望ましい。例えば、Ge層がシリコン導波路層の中心より上方に0.4μm程度の厚みを有する構造の場合、Ge層の表面から0.4μmの深さの位置を中心として0.5μmの広がり範囲を考えれば良いから、この場合0.4μmの深さの位置からさらに0.25μm下方までの範囲、すなわちGe層表面から0.65μmの深さの位置までの範囲に導電型領域を留めれば良い。
【0027】
また、光機能部を形成する領域の結晶性を向上するために、Geを含むIV族半導体層3を成長する際に、まず、300℃〜400℃の低温成長工程で結晶欠陥の多い第1の成長層を形成する。次いで、600℃〜700℃の高温成長工程で結晶欠陥の少ない第2の成長層を形成する低温/高温2段階成長法を用いても良い。
【0028】
単結晶シリコン基板1上にGeを含むIV族半導体層3を成長させる場合には、両者の格子不整合により、臨界膜厚を超えるとGeを含むIV族半導体層3に結晶欠陥を生じる。因みにGeの場合には、4.2%の格子不整合となる。Geを含むIV族半導体層3の膜厚が増加するにしたがい格子緩和が進み、結晶欠陥の密度が減少する。従来の受光素子は、SOI基板上にGe層を成長させるため、Ge層の層厚が薄いことから、Ge層の中には多くの結晶欠陥が存在する。結晶欠陥の多い領域では不純物準位を介した光吸収過程、即ち、受光素子としての電気信号出力に寄与しない光吸収過程が支配的となってしまうため、この領域での光吸収は受信感度の低下を招く。
【0029】
しかし、本発明においては、酸化膜2の下部の単結晶シリコン基板1の表面からGeを含むIV族半導体層3を成長させるため、光を吸収する領域ではGeを含むIV族半導体層3が十分に厚く成長されており、結晶欠陥が抑えられ、暗電流の低減の効果がある。特に、低温/高温2段階成長により、単結晶シリコン基板1との界面近傍の結晶欠陥の多い第1の成長層と、光が入射するPD素子形成領域が形成される結晶欠陥の少ない第2の成長層とを分離することができる。したがって、欠陥の多い領域での無駄な光吸収が起こらず、全ての光吸収過程が高品位の結晶領域のみで起こり、受信感度が従来構造に比べ改善される。
【0030】
図2は、本発明の実施の形態のGe系光素子の動作の説明図であり、ここでは、単結晶シリコン光導波路4と接合した受光素子として説明する。単結晶シリコン光導波路4を伝搬してきた導波光11は、テーパ部5を介してpin構造のi型層となるGeを含むIV族半導体層3に入射する。入射した導波光11は、i型層で電子−ホール対を生成し、生成した電子及びホールは単結晶シリコン基板1の主表面と水平方向に伝播して信号となる。したがって、従来の縦型の受光素子と比較して、結晶欠陥の多い領域を電子やホールが通過することがなくなる。
【0031】
本発明の実施の形態においては、酸化膜2の頂面から突出するGeを含むIV族半導体層3の高さが抑えられるため、後のプロセスインテクレーションが容易になる。例えば、本発明の実施の形態では、酸化膜2の頂面から突出するGeを含むIV族半導体層3の高さを単結晶シリコン光導波路4の高さ(200nm〜300nm)と同じか少し高い程度に抑えることができる。したがって、層間絶縁膜を兼ねるクラッド酸化膜となる絶縁膜6を形成したときに、Geを含むIV族半導体層3のでっぱりが問題にならなくなり、層間絶縁膜の段差の問題が解消される。さらに、層間絶縁膜を兼ねるクラッド酸化膜となる絶縁膜6の高さを従来の1μm以上に対して200nmから500nm程度と薄くできるため、通常のCMOS−LSIのコンタクト形成プロセスでその後のデバイス作成が可能になる。
【実施例1】
【0032】
次に、図3を参照して、本発明の実施例1の集積化Ge受光素子を説明する。図3は、本発明の実施例1のGe受光素子の説明図であり、図3(a)は平面図であり、図3(b)は、図3(a)におけるA−A′を結ぶ一点鎖線に沿った断面図であり、図3(c)は、図3(a)におけるB−B′を結ぶ一点鎖線に沿った断面図である。単結晶シリコン基板21上に設けられたBOX層22に単結晶シリコン基板21に達する開口部を形成する。この開口部において、単結晶シリコン基板21に対して結晶欠陥の多いi型Ge層28及び結晶欠陥の少ないi型Ge層29からなる埋込層をエピタキシャル成長させて、BOX層22の頂面から300nmの高さでその頂面が突出するように形成する。
【0033】
この結晶欠陥の少ないi型Ge層29の表面の一部にp型Ge領域30とn型Ge領域31を1μmの間隔で設けてpin構造を形成する。このp型Ge領域30とn型Ge領域31の間のi型Ge層29が光吸収層となる。上部クラッド層32を兼ねるSiO膜を設け、このSiO膜にコンタクトホールを形成してp側電極33及びn側電極34を形成する。
【0034】
Si導波路24を伝搬してきた導波光が、テーパ部25を介してpin構造のi型層となるi型Ge層29の表面部に入射すると、i型Ge層29の表面部で電子−ホール対を生成する。生成した電子及びホールは単結晶シリコン基板21の主表面と水平方向に伝播して電子はn型Ge領域31に達し、ホールはp型Ge層30に達して信号となる。
【0035】
次に、図4乃至図11を参照して、本発明の実施例1のGe受光素子の製造工程を説明する。なお、各図における図(a)は平面図であり、図(b)は、図(a)におけるA−A′を結ぶ一点鎖線に沿った断面図であり、図(c)は、図(a)におけるB−B′を結ぶ一点鎖線に沿った断面図である。まず、図4に示すように、単結晶シリコン基板21上に厚さが2μmのBOX層22を介して厚さが220nmの単結晶シリコン層23を設けたSOI基板20を用意する。
【0036】
次いで、図5に示すように、単結晶シリコン層23をレジストパターン(図示は省略)をマスクとしてCl+O混合ガスを用いたRIE(リアクティブイオンエッチング)によりSi導波路24と、テーパ部25を形成する。ここではSi導波路24の幅を440nmとし、テーパ部25は、幅が440nmから1μmに拡張するテーパ状とする。なお、エッチングガスとしては、HBr+O混合ガスを用いても良い。
【0037】
次いで、図6に示すように、CVD(化学気相成長)法を用いて全面に成長阻止膜となるSiO膜26を堆積する。なお、ここでは、SiO膜26の厚さは50nmとする。
【0038】
次いで、図7に示すように、レジストパターン(図示は省略)をマスクとして、CF或いはC等のフッ素系ガスを用いて単結晶シリコン基板21の表面が露出する開口部27を形成する。ここでは、開口部の上端のサイズを幅6μm、長さを30μmとし、エッチングガスとしてはCFを用いる。
【0039】
次いで、図8に示すように、原料ガスとしてGeH、キャリアガスとしてHを用いた減圧化学気相成長法(LP−CVD法)により、開口部27をi型Ge層28,29で埋め込む。この時、結晶欠陥の低減を目的に、2段成長法を適用する。具体的には、低温Ge層を300℃〜400℃の低温で厚さが100nm〜200nmのi型Ge層28を成長させたのち、600℃〜700℃の高温で厚さが2320nm〜2420nmのi型Ge層29を成長させる。ここでは、350℃で厚さが150nmのi型Ge層28を成長させ、650℃で厚さが2370nmのi型Ge層29を成長させて、i型Ge層29の頂面がSi導波路24の頂面から300nm程度突出した高さとする。なお、テーパ部25の露出端部から横方向成長しないように、低圧雰囲気で成長を行う。
【0040】
次いで、図9に示すように、まず、レジストパターン(図示を省略)をマスクとしてBをイオン注入して深さが0.6μm〜0.7μmのp型Ge領域30を形成する。次いで、新たなレジストパターン(図示は省略)をマスクとしてPをイオン注入して深さが0.6μm〜0.7μmのn型Ge領域31を形成する。次いで、500℃〜800℃で活性化アニールを行う。後続のメタルコンタクトとオーミック接続できるように活性化アニール後のp型Ge領域30及びn型Ge領域31の表面濃度が1×1020cm−3前後になるようにドーズ量を設定する。なお、ここでは、活性化アニール温度を600℃とし、p型Ge領域30及びn型Ge領域31の深さを0.65μmとし、両者の間隔を1μmとする。
【0041】
次いで、図10に示すように、TEOS(テトラエトキシシラン)を用いたプラズマCVD法により、400℃〜500℃の温度条件で、i型Ge層29の表面上における厚さが500nmになるように、上部クラッド層32となるSiO膜を堆積する。なお、ここでは、温度は450℃とする。
【0042】
次いで、図11に示すように、レジストパターン(図示を省略)をマスクとしてCF、CHF、C等のフッ素系ガスを用いたRIEにより、p型Ge領域30及びn型Ge領域31に達するコンタクトホールを形成する。なお、ここでは、エッチングガスとしてCFを用いる。次いで、バリア層となる厚さが5nm〜10nmのTiN膜をスパッタリング法で堆積したのち、CVD法によりW層を堆積してコンタクトホールを埋め込みp側電極33及びn側電極34を形成する。なお、ここでは、TiN膜の厚さを10nmとするが、TiN膜の代わりにTi膜を用いても良い。以降は、図示を省略するが、W層をCMPで平坦化したのち、エッチングによりパターニングすることによって、SOI基板上に集積化した信号処理回路等に接続する引出配線を形成することによって、本発明の実施例1の集積化Ge受光素子の基本構造が完成する。
【0043】
本発明の実施例1においては、受光素子となるGe層を埋込成長により形成しているので、Si導波路から突出する厚さを小さくすることができるので、後続のプロセスが容易になる。また、Ge層を成長させる際に、低温/高温2段階成長法を用いているので、受光部におけるGe層の結晶性が向上し、それによって、暗電流を低減させることができる。なお、実施例1では、導波路と受光器が一端で接する場合を記載したが、互いに対向する2方向で導波路と受光器が接するものであっても良い。
【実施例2】
【0044】
次に、図12を参照して、本発明の実施例2の集積化SiGe受光素子を説明するが、この実施例2は、上記の実施例1のGe層をSiGe層に置き換えたもので、その他の構成は上記の実施例1と同様である。図12は、本発明の実施例2のSiGe受光素子の説明図であり、図12(a)は平面図であり、図12(b)は、図12(a)におけるA−A′を結ぶ一点鎖線に沿った断面図であり、図12(c)は、図12(a)におけるB−B′を結ぶ一点鎖線に沿った断面図である。
【0045】
図12に示すように、低温/高温2段階成長法により開口部をi型SiGe層35,36で埋め込み、i型SiGe層36の表面にp型SiGe領域37及びn型SiGe領域38を形成するとともに、p側電極39及びn側電極40を設ける。なお、i型SiGe層35,36の成長に際しては、原料ガスとしてSiH及びGeHを用い、キャリアガスとしてHを用いる。なお、SiGe層におけるSi組成比は0〜0.5とするが、ここでは、Si0.2Ge0.8とする。
【実施例3】
【0046】
次に、図13を参照して、本発明の実施例3の集積化SiGe光素子を説明するが、この実施例3は、上記の実施例2のSiGe受光素子をSiGe電界吸収型光変調器に置き換えたもので、その他の構成は上記の実施例2と同様である。図13は、本発明の実施例3の集積化SiGe光素子の説明図であり、図13(a)は平面図であり、図13(b)は、図13(a)におけるA−A′を結ぶ一点鎖線に沿った断面図であり、図13(c)は、図13(a)におけるB−B′を結ぶ一点鎖線に沿った断面図である。
【0047】
図13に示すように、一対の対向するSi導波路41,43及びテーパ部42,44をパターニングしたのち、テーパ部42とテーパ部44との間に開口部を形成する。次いで、SiO膜45を成長阻止膜として、低温/高温2段階成長法により開口部をi型SiGe層46,47で埋め込み、i型SiGe層47の表面にp型SiGe層48及びn型SiGe層49を形成する。次いで、上部クラッド層50となるSiO膜を形成し、p側電極50及びn側電極52を設ける。なお、i型SiGe層46,47の成長に際しては、原料ガスとしてSiH及びGeHを用い、キャリアガスとしてHを用いる。なお、SiGe層におけるSi組成比は0〜0.5とするが、ここでは、Si0.2Ge0.8とする。
【0048】
このように、埋込層としてSiGe層を用いることによって、SOI基板に受光素子と電界吸収型光変調器とを集積化する際に、一度の成長工程で、受光素子用埋込層と光変調器用埋込層を形成することができる。
【実施例4】
【0049】
次に、図14を参照して、本発明の実施例4の集積化Ge受光素子を説明するが、この実施例4は、受光素子を表面入射型受光素子にした以外の基本的な製造工程は上記の実施例1と同様である。図14は、本発明の実施例4の集積化Ge受光素子の説明図であり、図14(a)は平面図であり、図14(b)は、図14(a)におけるA−A′を結ぶ一点鎖線に沿った断面図であり、図14(c)は、図14(a)におけるB−B′を結ぶ一点鎖線に沿った断面図である。
【0050】
図14に示すように、SiO膜26及びBOX層22をエッチングして単結晶シリコン基板21の表面が露出する開口部を形成する。ここでは、開口部の上端のサイズを幅24μm、長さを20μmとし、エッチングガスとしてはCFを用いる。なお、SiO膜26は、SOI基板の他の領域に形成してある、信号処理回路等の上にGe層が成長することを阻止するために必要となる。次いで、SiO膜26を成長阻止膜として、低温/高温2段階成長法により開口部をi型Ge層28,29で埋め込み、i型Ge層29の表面にp型Ge領域53及びn型Ge領域54を形成する。次いで、SiO膜55を形成し、p側電極56及びn側電極57を設ける。
【0051】
次いで、光吸収層となるi型Ge層29の表面を露出させて多層誘電体膜を形成して反射防止膜58とする。p側電極56に負電位を印加し、n側電極57に正電位を印加した状態で、反射防止膜58を介してi型Ge層29に光が入射すると光励起により電子−ホールペアが発生する。発生した電子はn型Ge領域54に、ホールはp型Ge領域53に伝播していき、電気信号として検出される。
【0052】
本発明の実施例4においては、Si導波路と結合しないGe受光素子をSiフォトニクスによりSOI基板に集積化する場合に、埋込Ge層を用いることによって、Ge層の突出高さを低くして、後続のプロセスを容易にすることができる。なお、この場合もGe層の代わりにSiGe層を用いてSiGe受光素子としても良い。
【実施例5】
【0053】
次に、図15を参照して、本発明の実施例5の集積化Ge受光素子を説明するが、この実施例5は、裏面入射型の受光素子にした以外は上記の実施例4と同様である。図15は、本発明の実施例5の集積化Ge受光素子の説明図であり、図15(a)は平面図であり、図15(b)は、図15(a)におけるA−A′を結ぶ一点鎖線に沿った断面図であり、図15(c)は、図15(a)におけるB−B′を結ぶ一点鎖線に沿った断面図である。
【0054】
図15に示すように、SiO膜26及びBOX層22をエッチングして単結晶シリコン基板21の表面が露出する開口部を形成する。ここでは、開口部の上端のサイズを幅20μm、長さを20μmとし、エッチングガスとしてはCFを用いる。なお、SiO膜26は、SOI基板の他の領域に形成してある、信号処理回路等の上にGe層が成長することを阻止するために必要となる。次いで、SiO膜26を成長阻止膜として、低温/高温2段階成長法により開口部をi型Ge層28,29で埋め込み、i型Ge層29の表面にp型Ge領域53及びn型Ge領域54を形成する。次いで、SiO膜55を形成し、p側電極56及びn側電極57を設ける。
【0055】
次いで、単結晶シリコン基板21の裏面に多層誘電体膜を形成して反射防止膜59とする。p側電極56に負電位を印加し、n側電極57に正電位を印加した状態で、基板裏面から反射防止膜59を介してi型Ge層29に光が入射すると光励起により電子−ホールペアが発生する。発生した電子はn型Ge領域54に、ホールはp型Ge領域53に伝播していき、電気信号として検出される。
【0056】
本発明の実施例5においても、Si導波路と結合しないGe受光素子をSiフォトニクスによりSOI基板に集積化する場合に、埋込Ge層を用いることによって、Ge層の突出高さを低くして、後続のプロセスを容易にすることができる。なお、この場合もGe層の代わりにSiGe層を用いてSiGe受光素子としても良い。
【0057】
ここで、実施例1乃至実施例5を含む本発明の実施の形態に関して、以下の付記を付す。
(付記1)単結晶シリコン基板と、前記単結晶シリコン基板上に設けられた酸化膜と、
前記酸化膜上に設けられた単結晶シリコン薄膜と、前記酸化膜及び前記単結晶シリコン薄膜に設けられた前記単結晶シリコン基板の表面に達する開口部と、前記開口部に設けられ、前記酸化膜の頂面から500nm以下の高さでその頂面が突出するGeを含むIV族半導体層と、前記Geを含むIV族半導体層の表面側に設けられた第1導電型領域と、前記Geを含むIV族半導体層の表面側であって、前記第1導電型領域と離れた領域に設けられた前記第1導電型と反対導電型の第2導電型領域を有し、前記第1導電型領域/前記Geを含むIV族半導体層の表面部/前記第2導電型領域により前記単結晶シリコン基板の主表面と水平な方向にpin構造を形成することを特徴とするGe系光素子。
(付記2)前記pin構造のi型層となる前記Geを含むIV族半導体層の表面部の端部が、前記酸化膜の表面に設けられた単結晶シリコン光導波路と接合していることを特徴とする付記1に記載のGe系光素子。
(付記3)前記単結晶シリコン光導波路の前記pin構造のi型層となる前記Geを含むIV族半導体層の表面部の端部との接続部がテーパ部となっていることを特徴とする付記2に記載のGe系光素子。
(付記4)前記pin構造が受光部であり、前記pin構造のi型層となる前記Geを含むIV族半導体層の表面部の一方もしくは互いに対向する両方の端部でのみ、前記単結晶シリコン光導波路と接合していることを特徴とする付記2または付記3に記載のGe系光素子。
(付記5)前記pin構造が光変調部であり、前記pin構造のi型層となる前記Geを含むIV族半導体層の表面部の互いに対向する両方の端部に、それぞれ前記単結晶シリコン光導波路が接合していることを特徴とする付記2または付記3に記載のGe系光素子。
(付記6)前記pin構造が受光部であり、前記pin構造のi型層となる前記Geを含むIV族半導体層の表面部に、反射防止膜となる多層誘電体膜を有することを特徴とする付記1に記載のGe系光素子。
(付記7)前記pin構造が受光部であり、前記pin構造のi型層となる前記Geを含むIV族半導体層の表面部に対向する前記単結晶シリコン基板の底面に、反射防止膜となる多層誘電体膜を有することを特徴とする付記1に記載のGe系光素子。
(付記8) 前記第1導電型領域及び前記第2導電型領域が、前記Geを含むIV族半導体層の表面から前記Geを含むIV半導体層内における伝搬光の波長の範囲に留まっていることを特徴とする付記1乃至付記7のいずれか1に記載のGe系光素子。
(付記9)前記Geを含むIV族半導体層が、前記単結晶シリコン基板と接する結晶欠陥の多い第1の成長層と、前記第1の成長層上に設けられて、前記第1の成長層より結晶欠陥の少ない第2の成長層とを有することを特徴とする付記1乃至付記8のいずれか1に記載のGe系光素子。
(付記10)前記Geを含むIV族半導体層が、SiGe1−x(但し、0≦x≦0.5)であることを特徴とする付記1乃至付記9のいずれか1に記載のGe系光素子。
(付記11)単結晶シリコン基板上に設けられた酸化膜に前記単結晶シリコン基板に達する開口部を形成する工程と、前記開口部において、前記単結晶シリコン基板に対してGeを含むIV族半導体をエピタキシャル成長させて、前記酸化膜の頂面から500nm以下の高さでその頂面が突出するGeを含むIV族半導体層を形成する工程と、前記Geを含むIV族半導体層の表面の一部に第1導電型の不純物をイオン注入する工程と、前記Geを含むIV族半導体層の表面の前記第1導電型の不純物をイオン注入した領域と離れた領域に前記第1導電型と反対導電型の第2導電型の不純物をイオン注入する工程と、イオン注入した前記第1導電型の不純物と前記第2導電型の不純物を活性化アニールして、第1導電型領域/Geを含むIV族半導体層の表面部/第2導電型領域により前記単結晶シリコン基板の主表面と水平な方向にpin構造を形成する工程とを有することを特徴とするGe系光素子の製造方法。
(付記12)前記Geを含むIV族半導体層を成長する工程が、300℃〜400℃の低温による第1の成長工程と、600℃〜700℃の高温による第2の成長工程とを有することを特徴とする付記11に記載のGe系光素子の製造方法。
(付記13)前記開口部を形成する工程の前に、前記酸化膜上に設けられた単結晶シリコン層を加工して単結晶シリコン光導波路を形成する工程を有し、前記Geを含むIV族半導体層を成長する工程において、前記単結晶シリコン光導波路の露出側端面から横方向成長しない低圧条件で結晶成長を行うことを特徴とする付記11または付記12に記載のGe系光素子の製造方法。
【符号の説明】
【0058】
1 単結晶シリコン基板
2 酸化膜
3 Geを含むIV族半導体
4 単結晶シリコン光導波路
5 テーパ部
6 絶縁膜
7 第1導電型領域
8 第2導電型領域
9,10 電極
11 導波光
20 SOI基板
21,61 単結晶シリコン基板
22,62 BOX層
23 単結晶シリコン層
24,41,43,63 Si導波路
25,42,44,64 テーパ部
26,45,55 SiO
27 開口部
28,29,67 i型Ge層
30,53,65 p型Ge領域
31,54,66 n型Ge領域
32,50,68 上部クラッド層
33,39,51,56,69 p側電極
34,40,52,57,70 n側電極
35,36,46,47 i型SiGe層
37,48 p型SiGe領域
38,49 n型SiGe領域
58,59 反射防止膜
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
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図16