(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記有効成分として、ヘパリン類似物質、ステロイド類、ビタミンA類、ビタミンD類、抗ヒスタミン剤、抗炎症剤、抗生物質からなる群から選択される1種又は2種以上を含むことを特徴とする、請求項6に記載の皮膚外用組成物。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<1>本発明の組成物の必須成分である溶剤
本発明の組成物は、必須成分として以下から選ばれる溶剤を含有することを特徴とする。
(溶剤)N−アルキルピロリドン、炭酸アルキレン、ベンジルアルコール、アジピン酸ジエステル、セバシン酸ジエステル
かかる溶剤は、難溶解性の薬剤の溶解性に優れ、難溶解性の薬剤を可溶化し組成物に安定に含有することができる。
N−アルキルピロリドンとしては、炭素数1〜4のアルキル鎖を有するN−アルキル−2−ピロリドンが好適に例示でき、特に、N−メチル−2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドンが好ましい。
炭酸アルキレンとしては、炭酸プロピレンが好ましい。
アジピン酸ジエステルとしては、アジピン酸ジエチル、アジピン酸ジイソプロピルが挙げられる。
セバシン酸ジエステルとしては、セバシン酸ジエチル、セバシン酸ジイソプロピルが挙げられる。
かかる成分は、単独で組成物に含有させることもできるし、1種又は2種以上を選択し組成物に含有させることができる。また、本発明の組成物における溶剤の好ましい含有量は、組成物全量に対し1〜40質量%、好ましくは1〜30質量%、より好ましくは1〜15質量%、更に好ましくは1〜10質量%、より好ましくは、3〜8質量%である。また、溶剤は、難溶解性の薬剤(有効成分)の20〜5000質量倍、より好ましくは30〜2500質量倍、更に好ましくは40〜1000質量倍含有することが好ましい。例えば、20〜250質量倍、より好ましくは、30〜200質量倍含有することが挙げられる。かかる成分は、吐出した泡の強度を高めることができる。また、難溶解性の薬剤(有効成分)を含有する場合には、これを安定的に配合することが可能となる。また、かかる成分は、塗布及び延展時の刺激感を低減することができる。この様な効果を奏するためには、前記含有量が好ましい。
【0010】
<2>本発明の組成物の必須成分である非イオン性界面活性剤
本発明の外用組成物は、起泡成分として、非イオン性界面活性剤を含有することを特徴とする。かかる成分は、泡沫の気液界面に配向し、気液界面の表面張力を下げ、泡沫の起泡性、形成された泡の安定性、塗布時の均一性、塗り広げ易さを向上させる作用を有する。
【0011】
本発明の組成物における非イオン性界面活性剤は、皮膚外用剤に配合することが可能な非イオン性界面活性剤であれば特段の限定なく適用することができる。
【0012】
また、非イオン性界面活性剤のHLB値は、好ましくは9以上、より好ましくは10以上、さらに好ましくは11以上、特に好ましくは13以上である。非イオン性界面活性剤のHLB値は、例えば10〜19である。
【0013】
非イオン性界面活性剤としては、以下のA群から選ばれる1種又は2種以上が好ましく用いられる。
(A群)
ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルケニルエーテル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸グリセリル、ポリオキシプロピレンポリオキシエチレンアルキルエーテル及びポリオキシプロピレンポリオキシエチレンアルケニルエーテル
【0014】
中でも、非イオン性界面活性剤として、ポリオキシエチレンアルキルエーテル及び/又はポリオキシエチレンアルケニルエーテルを含む形態が好ましい。本発明の好ましい形態としては、非イオン性界面活性剤として、ポリオキシエチレンアルキルエーテル及び/又はポリオキシエチレンアルケニルエーテルのみを含有させる形態、ポリオキシエチレンアルキルエーテル及び/又はポリオキシエチレンアルケニルエーテルに加えて、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル及びポリオキシエチレン硬化ヒマシ油より選択される1種又は2種以上を組み合わせる形態が好ましく例示できる。また、ポリオキシエチレンアルキルエーテル及び/又はポリオキシエチレンアルケニルエーテルと組み合わせる成分として、特に、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル及び/又はポリオキシエチレン硬化ヒマシ油が好ましく、これらの両者を組み合わせることも好ましく例示できる。また、非イオン性界面活性剤としてポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルのみを用いる形態も好ましく例示できる。
【0015】
本発明の組成物において、非イオン性界面活性剤は、組成物が可溶化状態となる量配合する。
例えば、非イオン性界面活性剤は、組成物全量に対し1〜15質量%含有することが好ましい。また、非イオン性界面活性剤は、組成物全量に対し好ましくは2〜12質量%、更に好ましくは2〜10質量%、より好ましくは2.5〜10質量%、特に好ましくは2.5〜7質量%含有する。
【0016】
前記所定のHLB値を有する非イオン性界面活性剤の占める割合は、非イオン性界面活性剤の総量に対して、好ましくは80質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上、特に好ましくは95質量%以上である。例えば、非イオン性界面活性剤の全量をHLB値が9以上、好ましくは10以上、さらに好ましくは11以上、特に好ましくは13以上の非イオン性界面活性剤で構成することも好ましい。
【0017】
前記A群から選ばれる非イオン性界面活性剤の占める割合は、非イオン性界面活性剤の総量に対して、好ましくは80質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上、特に好ましくは95質量%以上である。例えば、非イオン性界面活性剤の全量を前記A群から選ばれる非イオン性界面活性剤で構成することも好ましい。
【0018】
また、ポリオキシエチレンアルキルエーテル及び/又はポリオキシエチレンアルケニルエーテルの占める割合は、非イオン性界面活性剤の総量に対して、好ましくは25質量%以上、より好ましくは40質量%以上、さらに好ましくは50質量%以上である。これらの割合の上限値は特に制限されないが、例えば、90質量%以下、好ましくは80質量%以下が挙げられる。
【0019】
非イオン性界面活性剤としてポリオキシエチレンアルキルエーテル及び/又はポリオキシエチレンアルケニルエーテルに加え、他の非イオン性界面活性剤を含有させる場合には、ポリオキシエチレンアルキルエーテル及び/又はポリオキシエチレンアルケニルエーテルの総含有量が、ポリオキシエチレンアルキルエーテル及び/又はポリオキシエチレンアルケニルエーテル以外の非イオン性界面活性剤の総含有量に対し、質量比で、1:5〜5:1、より好ましくは、1:4〜4:1、さらに好ましくは、1:3〜3:1であることが好ましい。
【0020】
非イオン性界面活性剤の疎水基を構成する炭素鎖の炭素数は、好ましくは8以上、さらに好ましくは10以上、特に好ましくは12以上である。また、炭素数の上限値としては、好ましくは24、より好ましくは22である。
【0021】
ポリオキシエチレンアルキルエーテル又はポリオキシエチレンアルケニルエーテルを構成するアルキル又はアルケニルの炭素数は、好ましくは10〜24、より好ましくは12〜22である。
ポリオキシエチレンアルキルエーテル又はポリオキシエチレンアルケニルエーテルとしては、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンベヘニルエーテルなどが好ましく例示できる。
また、ポリオキシエチレンの平均付加モル数は2〜50が好ましく、4〜45がより好ましく、4〜40が更に好ましく、6〜30が特に好ましい。
【0022】
ポリオキシエチレン脂肪酸エステルを構成する脂肪酸の炭素数は、好ましくは8〜24、より好ましくは12〜18である。
ポリオキシエチレン脂肪酸エステルとしては、ポリオキシエチレンオレート(オレイン酸ポリエチレングリコール)、ポリオキシエチレンステアレート(ステアリン酸ポリエチレングリコール)、ポリオキシエチレンラウレート(ラウリン酸ポリエチレングリコール)等のポリオキシエチレンの、飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸エステルが好ましく例示できる。特に、ポリオキシエチレンモノオレート(モノオレイン酸ポリエチレングリコール)、ポリオキシエチレンモノステアレート(モノステアリン酸ポリエチレングリコール)、ポリオキシエチレンモノラウレート(モノラウリン酸ポリエチレングリコール)が好ましく例示できる。
また、ポリオキシエチレンの平均付加モル数は5〜70が好ましく、5〜65がより好ましく、5〜55が更に好ましい。
【0023】
ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルを構成する脂肪酸の炭素数は、好ましくは12〜18である。ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルとしては、モノラウリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、モノパルミチン酸ポリオキシエチレンソルビタン、モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン、モノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、トリオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン、テトラオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタンなどが好適に例示できる。
また、ポリオキシエチレンの平均付加モル数は5〜50が好ましく、10〜25がより好ましい。
【0024】
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油としては、ポリオキシエチレンの平均付加モル数が20〜100のものが好適に例示できる。
【0025】
ポリオキシエチレン脂肪酸グリセリルを構成する脂肪酸の炭素数は、好ましくは8〜24、より好ましくは12〜18である。ポリオキシエチレン脂肪酸グリセリルとしては、モノステアリン酸ポリエチレングリコール、モノオレイン酸ポリエチレングリコールなどが好適に例示できる。
また、ポリオキシエチレンの平均付加モル数は10〜55が好ましく、10〜45がより好ましい。
【0026】
ポリオキシプロピレンポリオキシエチレンアルキルエーテル又はポリオキシプロピレンポリオキシエチレンアルケニルエーテルを構成するアルキル又はアルケニルの炭素数は、好ましくは16〜24である。
ポリオキシプロピレンポリオキシエチレンアルキルエーテル又はポリオキシプロピレンポリオキシエチレンアルケニルエーテルとしては、ポリオキシプロピレンポリオキシエチレンセチルエーテルなどが好ましく例示できる。
また、ポリオキシエチレンの平均付加モル数は1〜30が好ましく、10〜20がより好ましい。また、ポリオキシプロピレンの平均付加モル数は4〜8が好ましい。
【0027】
本発明の組成物は、HLB値が9以上の非イオン性界面活性剤に加え、更に、HLB値が5以下の非イオン性界面活性剤を含有していてもよい。本発明のHLB値が5以下の非イオン性界面活性剤は、皮膚外用剤などに配合可能であれば特段の限定なく適用することができ、前記非イオン性界面活性剤としては、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステルなどが好適に例示できる。前記グリセリン脂肪酸エステルとしては、例えば、モノステアリン酸グリセリル、モノミリスチン酸グリセリル、前記ソルビタン脂肪酸エステルとしては、モノステアリン酸ソルビタン(HLB4.7)、モノオレイン酸ソルビタン(HLB4.3)、トリステアリン酸ソルビタン(HLB2.1)、トリオレイン酸ソルビタン(HLB1.7)、セスキステアリン酸ソルビタン(HLB4.2)、セスキオレイン酸ソルビタン(HLB3.7)などが好適に例示でき、モノステアリン酸グリセリル、モノステアリン酸ソルビタンが好適に例示できる。本発明のHLB値が5以下の非イオン性界面活性剤は、組成物全量に対し0.1〜10質量%、より好ましくは、1〜5質量%含有させることができる。また、HLB値が9以上、好ましくは10以上、さらに好ましくは11以上、特に好ましくは13以上、例えば10〜19である非イオン性界面活性剤の総含有量に対し1:3〜3:1、より好ましくは、1:2〜2:1の比率が挙げられる。
【0028】
前記HLB値が9以上の非イオン性界面活性剤と、HLB値が5以下の非イオン性界面活性剤の組合わせの例としては、非イオン性界面活性剤として、HLB値が9以上のポリオキシエチレンアルキルエーテル及び/又はポリオキシエチレンアルケニルエーテルにHLB値が5以下のモノステアリン酸グリセリン及び/又はモノステアリン酸ソルビタンを組み合わせる形態、HLB値が9以上のポリオキシエチレンアルキルエーテル及び/又はポリオキシエチレンアルケニルエーテルに加え、HLB値が9以上のポリオキシチレン脂肪酸エステル、ポリオキシチレン化されたソルビタン脂肪酸エステル及びポリオキシチレン化されていても良いヒマシ油より選択される1種又は2種以上と、HLB値が5以下のモノステアリン酸グリセリン及び/又はモノステアリン酸ソルビタンを組み合わせる形態が例示できる。また、HLB値が9以上の非イオン性界面活性剤と、HLB値が5以下の非イオン性界面活性剤を共に配合する場合には、加重平均が9〜16であることが好ましい。
【0029】
また、非イオン性界面活性剤として、脂肪族アルカノールアミド型界面活性剤を用いることもできる。
脂肪族アルカノールアミド型界面活性剤としては、外用医薬や化粧品などの通常の皮膚外用剤で使用されるものであれば特段の限定なく適用でき、具体例を挙げれば、ヤシ油脂肪酸モノエタノールアミド(コカミドMEA)、ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド(コカミドDEA)、ラウリン酸モノエタノールアミド(ラウラミドMEA)、ラウリン酸ジエタノールアミド(ラウラミドDEA)、ラウリン酸モノイソプロパノールアミド(ラウラミドMIPA)、パルミチン酸モノエタノールアミド(パルタミドMEA)、パルミチン酸ジエタノールアミド(パルタミドDEA)、ヤシ油脂肪酸メチルエタノールアミド(コカミドメチルMEA)などが好適に例示でき、ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド、ラウリン酸ジエタノールアミド、パルミチン酸ジエタノールアミドが好適に例示でき、かかる成分より1種又は2種以上を選択し、組成物に含有させることができる。脂肪族アルカノールアミド型界面活性剤の含有量は、例えば0.5〜10質量%、例えば1〜5質量%である。
【0030】
<3>本発明の組成物
本発明の組成物は、スクリーンフォーマー用の組成物である。ここで、スクリーンフォーマーとは、液体を加圧し、ネット状のスクリーンを通過させることにより、空気と混合せしめ、発泡させる機構のものを意味し、ポンプフォーマー、チューブフォーマーなどが知られており、特にポンプフォーマーが好ましく例示できる。ポンプフォーマーとはポンプでくみ上げた内容物を、泡状の形態で吐出する機構である。
本発明の組成物は、前記必須成分を起泡成分として含有する。すなわち、本発明の組成物において、前記非イオン性界面活性剤は、ポンプフォーマー等のスクリーンフォーマーによって発泡させる際の起泡成分として機能する。
【0031】
本発明の組成物は、可溶化状態である。
可溶化状態とは、界面活性剤がミセルを形成し、溶媒に溶解しない物質が透明かつ均一に溶解し、一相の溶液となっている状態をいう。また、可溶化状態は、マイクロエマルションの状態を含む。マイクロエマルションは、100nm以下の微細な粒子径の乳化粒子からなり、熱力学的に安定なミセル溶液である。可溶化状態であることは、外観が透明であることをもって確認できる。また、常法により、粒子サイズを測定することにより可溶化状態を確認することもできる。
可溶化状態とすることにより、良好な起泡性が得られる。また、このような形態によって、発泡後の泡の強度が向上する。また、このような形態では、結晶などを析出することなく、長期保存における安定性に優れる。
【0032】
本発明の組成物は、皮膚外用医薬、化粧料などの皮膚外用組成物の形態であることが好ましい。特に、本発明の組成物は、塗布後除去しない態様で使用するためのものである。
【0033】
本発明の組成物は、好ましくは水系である。ここで、水系とは、水が基剤として機能する程度に含有されていることをいい、例えば、その含有量は15質量%以上、好ましくは20質量%以上、さらに好ましくは30質量%以上である。
本発明の組成物は、水を40〜85質量%、より好ましくは50〜80質量%、更に好ましくは55〜75質量%含有することを特徴とする。本発明において水は、ポンプフォーマーで吐出したときに泡沫を形成する為の、泡沫界面の重要な構成要素であり、前記範囲において、良好な起泡性や泡沫の持続性に優れる。外用に用いる際に、塗布している間安定に泡を維持するためには、水の量を前記範囲とすることが有効である。
【0034】
<4>任意成分
本発明の組成物においては、前記必須成分以外に、皮膚外用医薬、化粧料などの外用組成物で使用される任意の成分を含有することができる。このような任意の成分としては、例えば、流動パラフィンやスクワランなどの炭化水素類、ホホバ油、ドデカン酸オレイルエステル、セチルイソオクタネート等のエステル類、クロタミトン、クエン酸トリエチル、ジエチレングリコールのエチルエーテル、トリアセチン、アセトン、メチルエチルケトン、エチレングリコールアルキルエーテル等の溶剤類、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、グリセリン、ジプロピレングリコール、ジグリセリン、ポリエチレングリコール、マルチトール、ソルビトールなどの多価アルコール類、エタノール、イソプロパノール、オレイルアルコール、イソステアリルアルコールなどの一価アルコール類、オレイン酸、イソステアリン酸などの脂肪酸、カルボキシビニルポリマー、キサンタンガムなどの増粘剤、パラベン、クロルヘキシジングルコネート等の殺菌剤などが好適に例示できる。これらの任意成分の内、好適なものを適宜選択し、含有させることができる。これらの成分の好ましい含有量は、それぞれの配合目的により異なるが、大凡0.1〜20質量%である。
【0035】
本発明の組成物は、アルコールを含有することが好ましい。本発明におけるアルコールとは、一価アルコールと多価アルコールとを総称するものである。かかるアルコールは水と任意の割合で混合する性質のものが好ましい。
【0036】
一価アルコールとしては、例えば、エタノール、イソプロピルアルコールなどが挙げられる。
【0037】
多価アルコールとしては、例えば、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、ジグリセリン、1,3−ブチレングリコール、1,2−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等が好適に例示できる。かかる多価アルコールの中で特に好ましいものとしては、1,3−ブチレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリンおよびプロピレングリコールから選択される1種乃至は2種以上が好ましく、特に、ポリエチレングリコール、1,3−ブチレングリコールが好適に例示できる。また、本発明の多価アルコールの分子量は、好ましくは、3500、より好ましくは、2000以下であることが好ましい。
【0038】
前記アルコールの総含有量としては、下限値として好ましくは10質量%、更に好ましくは12質量%、特に好ましくは15質量%であり、上限値として好ましくは55質量%、更に好ましくは45質量%、特に好ましくは40質量%、例えば30質量%である。
【0039】
一価のアルコールの含有量としては、好ましくは5〜25質量%、より好ましくは5〜20質量%、特に好ましくは5〜15質量%である。
【0040】
多価アルコールの含有量としては、好ましくは10〜55質量%、より好ましくは12〜45質量%、特に好ましくは15〜40質量%、例えば15〜30質量%である。
【0041】
例えば、一価のアルコール及び多価アルコールを含むアルコールの好ましい含有量は、組成物全量に対し好ましくは5〜55質量%、より好ましくは10〜55質量%、より好ましくは12〜45質量%、さらに好ましくは、15〜30質量%である。加えて、前記アルコールとして、多価アルコールを組成物全量に対し10質量%以上、好ましくは10〜55質量%、より好ましくは12〜45質量%、特に好ましくは15〜30質量%含有することが好ましい。このような形態を採用することにより、吐出した泡が長時間保持できる。また、保湿感などの使用実感を向上させることができる。
【0042】
本発明の組成物における好ましい形態としては、以下が挙げられる。
エタノールを5〜20質量%、より好ましくは10〜15質量%含有する形態、エタノールに加え多価アルコールを含有する形態、ポリエチレングリコールを0.5〜30質量%、より好ましくは1.5〜25質量%含有し、且つ他の多価アルコールも含有する形態、1,3−ブチレングリコールを5〜40質量%、より好ましくは5〜30質量%、さらに好ましくは10〜25質量%含有する形態、前記1,3−ブチレングリコールに加え他の多価アルコールも含有する形態が好ましい。
前述のアルコール、取り分け、多価アルコールを高濃度で含有することにより、後述する非イオン性界面活性剤との相互作用により、界面が強化された泡を形成することができる。また、アルコールを高濃度で含有することにより、保湿感を実感できる組成物となる。
【0043】
本発明の組成物は、好ましくはリン脂質を含有する。リン脂質としては、外用医薬や化粧品などの通常の皮膚外用剤で使用されるものであれば特段の限定なく適用でき、具体例を挙げれば、大豆や卵黄から精製されるレシチン、レシチンの主成分であるフォスファチジルコリン、水酸化レシチン、フォスファチジルコリンの主鎖であるフォスファチジン酸、水添レシチン、フォスファチジルセリン、フォスファチジルイノシトール、フォスファチジルエタノールアミン、フォスファチジルグリセロール、スフィンゴミエリン、セレプロシドなどが好適に例示できる。また、これらのリゾ体も同様に含有させることができる。中でも、レシチン、水素添加レシチンが好ましい。
かかる成分は、組成物の泡質を向上させる作用を有する。また、かかる成分は、保湿作用に優れるほか、起泡性を低下させることなく、塗布後の適度な時間で消泡するため、塗布予及び延展時の刺激性が低く、伸ばし易く、泡残りしないため、アトピー性皮膚炎などの皮膚バリア機能が低下した皮膚への塗布に適する。かかる成分は、唯1種を含有することもできるし、2種以上を組み合わせて含有させることもできる。リン脂質は、組成物全量に対し0.001〜10質量%、より好ましくは、0.01〜5質量%、特に好ましくは0.01〜1質量%含有することが好ましい。かかる成分は、吐出した泡の強度を高めるとともに、泡がpHの影響を受けて性状が変化するのを防ぐ作用を有する。また、かかる成分は、塗布延展時の使用感を向上させるとともに、皮膚が刺激を受けるのを避けることができる。この様な効果を奏するためには、前記含有量が好ましい。
【0044】
また、前記リン脂質に加え、スクワレン、コレステロール、コレステロールエステル、ワックスエステル、トリグリセリド、ジグリセリド、モノグリセリド、セラミド、遊離脂肪酸などの皮脂成分、セリン、グリシンなどのアミノ酸、ピロリドンカルボン酸及びその塩、尿素、乳酸などの天然保湿因子、ヒアルロン酸などの酸性ムコ多糖類なども含有させることができる。
【0045】
本発明の組成物は、有機塩及び/又は無機塩を含有していてもよい。本発明の組成物は、有機塩及び/又は無機塩により液性が調整され、強酸性〜強アルカリ性(pH2〜12)の範囲において液性に影響を受けることなく優れた起泡性、泡持ち、泡質を形成し得る。かかる有機塩及び/又は無機塩としては、例えば、塩酸、クエン酸、グルコン酸、コハク酸、酢酸、酒石酸、ソルビン酸、乳酸、マレイン酸、硫酸、リン酸、リンゴ酸、アルギニン、アンモニア水、ジイソプロパノールアミン、ジエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、トリエタノールアミン、モノエタノールアミン、水酸化カリウム、水酸化カルシウム及び水酸化ナトリウム、又はそれらの塩が挙げられるがこれに限定されない。本発明において使用される有機塩及び/又は無機塩の具体的な量は用いる有機塩及び/無機塩により異なるが組成物の液性が上記pH範囲に調整される量である。一般には、組成物全量に対し0.01〜10質量%であり、更に好ましくは0.1〜5質量%である。本発明の組成物は、アルカリ性においては洗浄剤などとして、弱酸性においては、皮膚への刺激を低減した医薬品、化粧品などに適用することができる。特に、弱酸性においては、塗布後除去しない形態で使用される医薬品や化粧品に好適である。
【0046】
本発明の組成物は、アミノカルボン酸誘導体及びその塩、ホスホン酸誘導体及びその塩、フェナントロリン誘導体及びその塩、フェチン酸誘導体及びその塩、グルコン酸誘導体及びその塩から選択される成分を含有していてもよい。前記アミノ酸カルボン酸誘導体及びその塩としては、エチレンジアミン四酢酸及びその塩、ニトリロ三酢酸及びその塩、ジエチレントリアミンペンタ酢酸及びその塩、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸及びその塩、トリエチレンテトラミンヘキサ酢酸及びその塩、1,3−プロパンジアミン四酢酸及びその塩、1,3−ジアミノ−2−ヒドロキシプロパン四酢酸及びその塩、ヒドロキシエチルイミノ二酢酸及びその塩、ジヒドロキシエチルグリシンおよびその塩、グリコールエーテルジアミン四酢酸及びその塩、ジカルボキシメチルグルタミン酸及びその塩、(S,S)−エチレンジアミンスクシン酸及びその塩などが好適に例示でき、エチレンジアミン四酢酸塩が好ましい。前記ホスホン酸誘導体及びその塩としては、ヒドロキシエチリデンジホスホン酸及びその塩、ヒトリロトリス(メチレンホスホン酸)及びその塩、ホスホノブタントリカルボキシキシリックアシッド及びその塩、エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)及びその塩などが好適に例示でき、ヒドロキシエチリデンジホスホン酸及びその塩が好ましい。前記フェチン酸誘導体及びその塩としては、フェチン酸及びその塩が好適に例示できる。グルコン酸誘導体及びその塩としては、グルコン酸誘導体が好適に例示できる。かかる成分は、組成物全量に対し0.0001〜10質量%、より好ましくは、0.001〜5質量%含有することが好ましい。また、有効成分又は製剤成分の分解、変性などを抑制し、製剤安定性を向上させることができる。
【0047】
本発明の組成物は、安全性、特に敏感肌のヒトに対して、刺激や刺激感を呈する成分を含有しないという観点から、以下の成分についてはその使用が制限されることが好ましい。
リン脂質を除くイオン性界面活性剤の含有量の総和は1質量%以下であることが好ましく、実質的に含有しないことが好ましい。
【0048】
また、非イオン性界面活性剤のうち、アルカノールアミド型界面活性剤もその使用は制限されることが好ましく、特に好ましい形態では実質的に含有しない。また、非イオン性界面活性剤のうち、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールは、粘膜においてアナフィラキシーを誘起することから、その使用が制限されることが好ましい。
これらの非イオン性界面活性剤の使用量は、非イオン性界面活性剤に占める割合として、好ましくは20質量%以下、より好ましくは10質量%以下、さらに好ましくは5質量%以下、特に好ましくは含有しない。
【0049】
また、シリコーンについても実質的に含有しないことが好ましい。
【0050】
本発明の組成物は、可溶化状態の組成物であり、非イオン性界面活性剤により泡を形成する。また、本発明の好ましい形態では、泡立ち、泡持ち、並びに泡のきめ細やかさ、柔らかさ及び弾力性などの泡質、保湿感などの使用実感、塗布時の均一性、塗り広げ易さなどの使用感の少なくとも何れかに優れる。
【0051】
本発明の組成物を医薬組成物として応用するためには、有効成分を含有させる。かかる有効成分としては、例えば、ヒドロコルチゾン、クロベタゾン、デキサメタゾン及びベタメゾン、並びにそれらの誘導体などのステロイド類、インドメタシン、スプロフェンなどの非ステロイド抗炎症剤、グルコン酸クロルヘキシジン、塩化ベンザルコニウムなどの殺菌剤、テルビナフィン、ブテナフィン、ビフォナゾール、ケトコナゾールなどの抗真菌剤、ペニシリン、メチシリン、テトラサイクリン、コリスチンメタンスルホン酸、フォスフォマイシン等の抗生物質、ナルフラフィンなどの抗掻痒剤、ビタミンA類、ビタミンB類、ビタミンC類、ビタミンD類、ビタミンE類、タクロリムスなどの免疫抑制剤、ヒアルロン酸、ヘパリン類似物質などのムコ多糖類等が好適に例示できる。これらの含有量は、大凡0.001〜10質量%、より好ましくは0.01〜10質量%、更に好ましくは0.01〜5質量%が好ましい。
【0052】
本発明の組成物は、製剤成分の含有量などを変えることにより幅広い特性の泡を得ることができる。本発明の組成物は、前記皮膚疾患の治療に好適な泡特性(泡の大きさ、均一性、固さなど)とするため、各疾患症状に合わせた泡特性のポンプフォーマー組成物を選択し、適用することができる。前記の泡特性は、目視による観察により判別することもできるし、物理的に計測可能な値として判別することもできる。かかる物理的な計測値としては、例えば、泡体積により泡の大きさ、傾斜したガラス上に塗布した泡の移動速度などにより評価することができる。
【0053】
かくして得られた外用組成物は、可溶化剤形故に、均一に有効成分を溶解し、使用時に泡の形状で使用できるため、スムーズに刺激を感じさせることなく患部に延展でき、有効成分を均一に患部に塗布することができる。また、かかる製剤は、有効成分の薬理作用を鑑みて、皮膚炎症、湿疹、アトピー性皮膚炎、乾癬、アクネ、瘢痕、褥瘡などの皮膚疾患への処置、即ち、治療、それ以上悪化させない予防的治療及び発症することを防ぐ予防に好適に適用される。
【0054】
本発明の外用組成物は、かかる必須成分と、任意の成分とを常法に従って処理し、可溶化状態とすることにより調製することができる。
【0055】
本発明の外用組成物は、可溶化状態であることにより、発泡後の泡の強度、すなわち起泡性が向上する。さらに、本発明の外用組成物は、結晶などを析出することなく、長期保存における安定性に優れる。また、本発明の外用組成物は、幅広いpHの製剤に適用できる。
【0056】
<5>本発明の皮膚外用剤
本発明の皮膚外用剤は、スクリーンフォーマー容器に充填してなることを特徴とする。ここで、スクリーンフォーマーとは、液体を加圧し、ネット状のスクリーンを通過させることにより、空気と混合せしめ、発泡させる機構のものを意味し、ポンプフォーマー、チューブフォーマーなどが知られており、特にポンプフォーマーが好ましく例示できる。ポンプフォーマーとはポンプでくみ上げた内容物を、泡状の形態で吐出する機構である。スクリーンフォーマー容器とは、前記機構を有する容器を意味する。
【0057】
本発明の皮膚外用剤は、前記本発明の外用組成物を、好ましくはポンプフォーマー容器に充填してなる。ポンプフォーマー容器とは、該ポンプフォーマーにくみ上げられるべき内容物収納容器を組み合わせた容器を意味する。このような容器は既に知られており(例えば、特開2012−45525号公報、特開2008−307478号公報を参照)、又、既に市販されているものも存するので、市販品を適宜購入し、使用することができる。このような形態を取ることにより、本発明の外用の組成物を腰の強い泡として使用することができ、これにより、優れた延展性と、軽いのびにより、患部に負担をかけることなく、均一に塗布することができる。
このようなフォーム剤形としての有用性から、本発明の皮膚外用剤は、特に医薬品であることが好ましい。医薬品の場合には、塗布後除去しないで用いられる。本発明の医薬品は、その安全性と起泡性において優れる。
【0058】
本発明はまた、前記A群から選ばれる1種又は2種以上の非イオン性界面活性剤を1〜15質量%と、有効成分としてステロイド類、非ステロイド抗炎症剤、殺菌剤、抗真菌剤、抗生物質、抗掻痒剤、ビタミンA類、ビタミンB類、ビタミンC類、ビタミンD類、ビタミンE類及び免疫抑制剤を0.01〜10質量%含み、可溶化状態であることを特徴とする、外用組成物にも関する。特に、抗真菌剤として、ナフチルアミン系、ベンジルアミン系、アゾール系、ジチオラン系の抗真菌剤を含有する形態が好ましく挙げられる。このような外用組成物は、有効成分を有効量含有するのに適している。また、フォーム剤、特にスクリーンフォーマー用の組成物としても好適である。このような形態においても、前述した好ましい成分についての記載はそのまま当てはまる。
【実施例】
【0059】
以下、実施例を示して、更に詳細に本発明について説明を加える。
【0060】
以下の処方に用いた界面活性剤(何れもNIKKOL社製)とそのHLBは、以下の通りである。
ポリオキシエチレン(9)ラウリルエーテル(BL−9EX) 14.5
ポリオキシエチレン(10)オレイルエーテル(BO−10V) 14.5
ポリオキシエチレン(20)オレイルエ−テル(BO−20V) 17.0
ポリオキシエチレン(10)セチルエーテル(BC−10) 13.5
ポリオキシエチレン(23)セチルエーテル(BC−23) 18.0
ポリオキシエチレン(20)ステアリルエーテル(BS−20) 18.0
ポリオキシエチレン(20)ベヘニルエーテル(BB−20) 16.5
モノステアリン酸ポリエチレングリコール(10E.O.)(MYS−10V) 11.0
モノステアリン酸ポリエチレングリコール(40E.O.)(MYS−40MV) 17.5
モノオレイン酸ポリエチレングリコール(10E.O.)(MYO−10V) 11.0
モノステアリン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン(TS−10MV) 14.9
モノオレイン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン(TO−10MV) 15.0
ポリオキシエチレン(60)硬化ヒマシ油(HCO−60) 14.0
ポリオキシエチレン(10)硬化ヒマシ油(HCO−10) 6.5
ポリオキシエチレン(20)ポリオキシプロピレン(8)セチルエーテル(PBC−44) 12.5
モノステアリン酸グリセリン(MGS−AMV) 4.0
モノステアリン酸ソルビタン(SS−10MV) 4.7
【0061】
<実施例1>
下記処方に従って、本発明のポンプフォーマー用の組成物1〜3及び比較例1を作製した。即ち、処方成分をそれぞれ秤量し、80℃で加熱溶解した後、攪拌下、可溶化させ、室温まで攪拌冷却して組成物1〜3及び比較例1を得た。調製直後、これら組成物の状態(白濁及び分離の有無)を目視にて観察した。さらに、組成物1〜3及び比較例1 100gをビーカに入れ、3000rpm、室温にて1分間撹拌した後、2分間静置し泡と溶液の境界線が明瞭になったところで生成した泡の高さ(mm)を測定し、泡質(撹拌後に肌理の細かい泡が得られる(○)、撹拌後に粗い泡が得られる(△)、撹拌後に泡が得られない(×))を目視にて確認した。結果を表1及び
図1に示す。本発明の組成物は、優れた泡形成能を示した。尚、表1中の処方成分は、質量%にて表示した。
【0062】
【表1】
【0063】
本発明のポンプフォーマー用の組成物は、組成物の作製後、白濁することなく、優れた泡立ち、泡質の泡を形成することが分かった。
【0064】
<実施例2>
下記処方に従って、本発明のポンプフォーマー用の組成物を作製した。即ち、処方成分をそれぞれ秤量し、80℃で加熱溶解した後、攪拌下、可溶化させ、室温まで攪拌冷却して組成物4及び5を得た。調製直後、これら組成物の状態(白濁及び分離の有無)を目視にて観察した。さらに、組成物100gをビーカに入れ、3000rpm、室温にて1分間撹拌した後、2分間静置し泡と溶液の境界線が明瞭になったところで生成した泡の高さ(mm)を測定し、泡質(撹拌後に肌理の細かい泡が得られる(○)、撹拌後に粗い泡が得られる(△)、撹拌後に泡が得られない(×))を目視にて確認した。結果を表2に示す。本発明の組成物は、優れた泡形成能を示した。尚、表中の処方成分は、質量%にて表示した。
【0065】
【表2】
【0066】
<実施例3>
下記処方に従って、本発明の組成物を調製した。即ち、処方成分をそれぞれ秤量し、80℃で加熱溶解した後、攪拌下、可溶化させ、室温まで攪拌冷却して組成物を得た。組成物の調製直後の状態を目視にて観察した(白濁なし:○、白濁あり:×)。組成物100(g)をビーカに入れ、3000rpmで1分間撹拌した後、2分間静置し泡と溶液の境界線が明瞭になったところで生成した泡の高さ(mm)を測定し、泡質(撹拌後に肌理の細かい泡が得られる(○)、撹拌後に粗い泡が得られる(△)、撹拌後に泡が得られない(×))を目視にて確認した。結果を表3、
図2及び
図3に示す。また、泡形成後、室温にて静置した後(2、30、60、120分後)の泡高さを測定し、泡の消失速度を検討した。表中の処方成分は、質量%にて表示している。
【0067】
【表3】
【0068】
以上の結果によれば、リン脂質の添加により泡質が向上することが分かった。また、室温にて静置した場合、リン脂質の添加により泡の消失速度が速くなることが分かった。本発明の組成物は、泡形成能に優れ、泡形成後、泡が速やかに消失する特徴を有し、延展性に優れ、皮膚への刺激性が低いことが分かる。
【0069】
<実施例4>
下記処方に従って、本発明のポンプフォーマー用の組成物を作製した。即ち、処方成分をそれぞれ秤量し、80℃で加熱溶解した後、攪拌下、可溶化させ、室温まで攪拌冷却して各組成物を得た。調製直後、これら組成物の可溶化状態を目視にて観察した。さらに、これら組成物をポンプフォーマー容器に充填し、スライドグラス上に吐出させて、泡の状態(起泡性(泡量)及び泡質(泡の肌理細かさ))を観察した。表中の処方成分は、質量%にて表示している。
【0070】
(可溶化)
目視により白濁又は分離が認められない場合(○)
目視により白濁又は分離が認められる場合(×)
(泡)
泡量が十分であり泡質はきめ細かい(〇)
泡量は十分であるが泡質は粗い、若しくは泡量が不十分(△)
起泡しない(×)
の基準により評価した。
これより、特定の溶剤を含有することで、可溶化状態とすることができること、起泡性に優れるポンプフォーマー用の外用組成物を製造することが出来ることが分かった。
【0071】
【表4】
【0072】
<実施例5>
下記の処方の組成物を、実施例4の手技に従って調製した。実施例4と同様の方法及び基準で、可溶化状態及び泡の状態を評価した。上述した実施例1〜4の結果と合わせると、溶剤としてN−アルキル−2−ピロリドンを用いた場合には、広く起泡性及び泡質に優れた製剤を得られることがわかった。表中の処方成分は、質量%にて表示している。
【0073】
【表5】
【0074】
<実施例6>
下記処方に従って、本発明のポンプフォーマー用の組成物を作製した。即ち、処方成分をそれぞれ秤量し、80℃で加熱溶解した後、攪拌下、可溶化させ、室温まで攪拌冷却して組成物を得た。調製直後、これら組成物の状態(白濁の有無)を目視にて観察した。さらに、これら組成物をポンプフォーマー容器に充填し、スライドグラス上に吐出させて、起泡性(泡量)及び泡質(泡の肌理細かさ)を観察した。表中の処方成分は、質量%にて表示している。これより、リン脂質を含む種々の脂質を用いて、有効成分を含有するポンプフォーマー用の外用組成物を製造することが出来ることが分かった。
(白濁)
目視により白濁が認められない場合(○)
目視により白濁が認められる場合(×)
(起泡性)
吐出した際に十分な泡量の泡が得られる(○)
吐出した際に少量の泡しか得られない(△)
吐出した際に泡が得られない(×)
(泡質)
吐出した際に肌理の細かい泡が得られる(○)
吐出した際に粗い泡が得られる(△)
吐出した際に泡が得られない(×)
【0075】
【表6】
【0076】
<実施例7>
下記の処方の組成物を、実施例4の手技に従って調製した。実施例4と同様の方法及び基準で、可溶化状態及び泡の状態を評価した。これより、本発明の組成物には、様々な有効成分を含有させたポンプフォーマー用の医薬組成物とすることができることがわかった。表中の処方成分は、質量%にて表示している。
【0077】
【表7】
【0078】
<実施例8>
下記の処方の組成物を、実施例6の手技に従って調製した。実施例6と同様の方法及び基準で、白濁、起泡性及び泡質を評価した。これより、溶剤を高含有量(例えば10質量%以上)で含む場合に、非イオン界面活性剤として特にポリオキシエチレンアルキルエーテル及び/又はポリオキシエチレンアルケニルエーテルが好ましいことが分かった。表中の処方成分は、質量%にて表示している。
【0079】
【表8】
【0080】
<実施例9>
下記の処方の組成物を、実施例4の手技に従って調製した。実施例4と同様の方法及び基準で、可溶化状態及び泡の状態を評価した。これより、抗真菌薬を有効成分として可溶化状態とすることができること、またこのような医薬は起泡性にも優れることが分かった。表中の処方成分は、質量%にて表示している。
【0081】
【表9】