(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ハブ構成要素が、前記デバイスの近位端に配置された第1のハブ構成要素であり、前記デバイスが、前記デバイスの遠位端に配置された第2のハブ構成要素を更に備える、請求項1に記載のデバイス。
前記複数の細長い部材が、弾性特性と、所定の形とを有し、前記フレームが、折り畳んで送達時の構成を有することができるとともに、所定の形に拡張して、展開時の構成を有することができる、請求項1に記載のデバイス。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本書は、患者体内の開口、穴、欠損部、付属器、導管、空洞、脈管、器官、又は構造を閉鎖する目的で用いることができる埋入可能な医療用デバイスを含む(これに限らない)医療用デバイスとともに用いる接合アセンブリーを提供する。一部の実施形態では、本発明で提供する接合アセンブリーは、複数の細長いフレーム部材をハブ構成要素に連結させる受容部を備える。複数の細長いフレーム部材の各受容部は、ハブ構成要素に対して旋回するように構成されていて、各細長いフレーム部材が、取付領域で、ハブ構成要素に対して移動可能なようになっている。
【0013】
図1は、患者体内の穴、欠損部、開口、付属器、脈管、又は導管を閉鎖する目的で用いることができる閉鎖デバイス例100を示している。一部の例では、閉鎖デバイス100を用いて、ヒトの心臓の左心耳(LAA)を閉鎖できる。閉鎖デバイス100は、血管内処置の形で、カテーテルシステムの中を通して、又はカテーテルシステムの上に沿わせて、LAAのような送達部位又はその他の適切な送達部位まで送達できる。この形では、閉鎖デバイス100を、LAA内に、又はLAAの開口を跨ぐように展開して、例えば、左心房の主心室からLAAを隔離できる。これにより、以下で更に詳細に説明するように、LAA内で血栓が形成されること、及び/又は、LAAから血栓が流出することを防止できる。閉鎖デバイス100は、閉鎖デバイス100の近位端104の近くのハブ102と、閉鎖デバイスの遠位端108の近くの小穴106と、細長い部材111から構成されたフレーム110であって、ハブ102と小穴106との間に延びるフレーム110とを備える。閉鎖デバイス100は、フレーム110の少なくとも一部を覆うカバー112(
図1では概略的に示されている)を更に備える。一部の実施形態では、カバー112は、フレーム110の全体を覆ってよい。一部の実施形態では、カバー112は、ハブ102の全体又は一部を覆ってよい。一部の実施形態では、閉鎖デバイス100は、デバイス100の遠位端108の近くの小穴106に代わり得る第2のハブ102(図示なし)を備えてよい。一部の実施形態では、医療用デバイスは、3つ以上のハブ又は小穴を備えてよく、そのそれぞれは、本明細書に示されている接合アセンブリーを使用することができる。
【0014】
図1に示されているように、閉鎖デバイス100の近位に面する部分は、ハブ102と細長い部材111の一部とを備える実質的に平らな面113を備える。患者のLAAを閉鎖するために展開するときには、例えば、実質的に平らな面113を左心房の方に向けてよく、この実質的に平らな面113は、左心房の中まで実質的に突出しないことができる。特には、一部の例では、ハブ102、又はハブ102の近位に面する面は、細長い部材の部分のうち、閉鎖デバイス100の実質的に平らな面113を形成する部分と概ね同一平面であってよい。細長い部材111は、ハブ102から出ていてよいとともに、特定の平面内で出ていてよく、その場合には、ハブ102も、実質的にその特定の平面内にあってよい。また、LAAを閉鎖するために閉鎖デバイス100を展開した時に、ハブ102は、実質的に左心房の中まで突出できない。このように、例えば、閉鎖デバイス100は、左心房内の血流の阻害を最小限にでき、閉鎖デバイス100の近位に面する部分104、又は近位に面する部分104の近くの血栓形成リスクを最小化又は軽減できる。閉鎖デバイス例100は、実質的に平らな面を備えているが、本明細書に示されている接合アセンブリーを用いることができる医療用デバイスの一部の実施形態は、このような実質的に平らな面を有さない。
【0015】
別の例では、ハブ102は、細長い部材111の一部によって形成される平面から、遠位方向に窪んでいてもよい。例えば、細長い部材111の一部とハブ102によって、ハブ102が配置されている凹形の区域、すなわち窪んだ区域を有する平面が形成されるように、細長い部材111の一部は、ハブ102と比べて、近位に配向していてよい。一部の例では、細長い部材111の一部とハブ102によって、ハブ102が配置されている凸状の区域を有する平面が形成されるように、細長い部材111の部分は、ハブ102と比べて、遠位に配向していてもよい。
【0016】
一部の実施態様では、閉鎖デバイス100は、2つ以上の構成を有してよい。一部の実施形態では、2つ以上の構成はそれぞれ、2つ以上の構成のうちのもう一方とは異なる。例えば、閉鎖デバイス100をカテーテルの上に沿わせて、又はカテーテルの中を通して送達部位に送達する際には、閉鎖デバイス100は、送達時の構成を有してよく(
図5参照)、送達部位でカテーテルから展開後には、展開時の構成を有してよい(
図6参照)。
図1に示されている例では、閉鎖デバイス100は概ね、展開時の構成で示されている。展開時の構成では、閉鎖デバイス100は、この例では概ね円盤の形をした閉鎖部材115であって、送達部位の開口を閉鎖できる閉鎖部材115と、閉鎖デバイス100を支えることができる支持部材117とを備える。例えば、閉鎖部材115は、一部の実施態様では、LAAを左心房から隔離できる。この例では、閉鎖部材115は、ハブ102と、細長い部材111の近位部分と、カバー112の近位部分とを備える。支持部材117は、細長い部材111の遠位部分と、カバー112の遠位部分とを備え、一部の実施形態では、フレーム110を送達部位の組織に固定できる1つ以上の固定部材(
図1には示されていない。
図4参照)を備えることができる。一部の実施態様では、カバー112は、フレーム110の部分のうち、閉鎖部材115を形成する部分を覆うが、フレームの部分のうち、支持部材117を形成する部分は覆わない。他の構成は、部分的に展開した構成を含んでよく、閉鎖デバイス100をカテーテルシステムから展開しているときに、閉鎖デバイス100は、このような構成を有することができる。
【0017】
各種の実施形態では、閉鎖部材115は、開口を閉鎖するように適宜成形されていてよい。一部の例では、閉鎖部材115は、開口を部分的に閉鎖するように成形されていてよい。閉鎖部材115は、特定の開口部又は開口を閉鎖するように、デバイス100の近位部分104を正面から見たときに、円形、楕円形、正方形、長方形、三角形、ひし形、半円形、三日月形、又は他の何れかの適切な形をしていてよい。一部の実施形態では、ハブ102は、閉鎖部材115の近位面113に対して概ね中心に配置してよい。例えば、閉鎖部材115の近位面113が円として成形されている場合、ハブ102は、概ねその円の中心の近くに配置してよい。同様に、閉鎖部材115の近位面が正方形として成形されている場合、ハブ102は、概ねその正方形の中心の近くに配置してよく、あるいは、楕円形又は長方形をした閉鎖部材115を備えるデバイスでは、その楕円形又は長方形の中心の近くに配置してもよい。一部の実施形態では、ハブ102は、閉鎖部材115の近位面113に対して、中心以外に配置してもよい。例えば、閉鎖部材115の近位面113が半円形として成形されている場合、ハブ102は、概ねその半円形の真っ直ぐな(例えば直径を画定する)縁の中点の近くに配置してよい。
【0018】
図2は、一部の実施態様における、
図1の閉鎖デバイス100のハブ102に相当し得るハブ例119の分解図である。一部の実施態様では、ハブ例119の本体は、2つの要素を備えるが、別の実施態様では、一体成形のハブ本体、又は本体と3つ以上の要素とを有するハブを用いてもよい。
図2を参照すると、ハブ例119は、互いに嵌合又は接触するように形成された第1のハブ基体部材114と第2のハブ基体部材116とを備える。第1のハブ基体部材114は、第2のハブ基体部材116の遠位面122から延びる中心の細長い突出部120を受け入れる大きさに作られている中心穴118aを備える。一部の実施態様では、レーザービレット溶接を用いて、第1のハブ基体部材114及び第2のハブ基体部材116を細長い突出部120に取り付け、それによって、第1のハブ基体部材114及び第2のハブ基体部材116を嵌合してもよい。雄型及び雌型嵌合機構をプレスフィット又はスナップフィットによって取り付けても、接着剤結合、又はその他の結合方法によって形成した結合部で取り付けてもよい。一部の例では、上記の組み合わせを用いても良い(例えば接着剤とプレスフィット)。管状突出部124が、第2のハブ基体部材116の近位面126から延びており、下で更に詳細に論じるように、送達カテーテルの遠位端と嵌合する大きさに作られている穴128を画定している。一部の実施形態では、穴128は、ネジ穴又は楔穴であってよい。一部の実施態様では、第1のハブ基体部材114は、第1のハブ基体部材114の遠位面132と側壁134との交差部に、面取り縁130を有する。同様に、一部の実施態様では、第2のハブ基体部材116は、第2のハブ基体部材116の近位面126と側壁138との交差部に、面取り縁136を有する。面取り縁130、136によって、例えば、デバイス100を送達したり、又は取り出したりする時に、送達力又は取出力を小さくできる。
【0019】
組み立てた時に(
図3A参照)、一部の例では、ハブ119の直径は約1.2mm〜約1.9mmであってよく、厚み(近位面126と遠位面132との間を測定)は約0.75mm〜約1.53mmであってよい。(本明細書での定義では、「約」という用語は、示されている値の±5%又は±10%によって包含される範囲に入る値を指す。)別の実施形態では、ハブ119には、例えば、ハブ119と特定の送達カテーテルとの嵌合に適応するように、異なる直径を持たせてもよい。ハブ厚も同様に、特定の実施態様に応じて様々であってよい。代替的な実施形態では、ハブ119は、(下で更に詳細に論じるように、)単一の構成要素として形成してもよい。
【0020】
図3Aは、
図2のハブ119を
図1の閉鎖デバイス100のフレームの一部と組み立てたものの斜視図である。
図3Aには、6個のソケット140が示されており、各ソケット140は、ハブ119の側壁134、138によって画定されたソケット開口部146を備える。この例では、ソケット140は、ハブ119の周囲に、実質的に等間隔で配置されており、ハブ119の側壁134、138から、約90°の角度で延びている。一部の例では、ソケット140は、約0.12mm〜約0.25mmの間隔(1つのソケット140の縁から、隣接するソケット140の最も近い縁までを測定)で配置されていてよく、ソケット140の開口部146の幅は、約0.20mm〜約0.40mmであってよい。
【0021】
一部の実施形態では、各ソケット140の内側領域は、概ね半球状のポケット144を備える。概ね半球状のポケット144は、第1のハブ基体部材114と第2のハブ基体部材116を嵌合すると形成される。各ソケット140は、各半球状のポケット144の両側から延びる2つの半円筒形のチャネル142を更に備える。下で説明するように、受容部150と組み立てると、半球状の各ポケット144はそれぞれ、少なくとも第1の次元で、受容部150の概ね球状の部材152を拘束する。チャネル142の半径は、約0.35mm〜約0.65mmであってよく、ポケット144の半径は、約0.12mm〜約0.51mmであってよい。一部の実施形態では、ハブは、6個未満のソケット(例えば、2個、3個、4個、5個)、又は7個以上のソケット(例えば、7個、8個、9個、10個、12個、若しくは13個以上)を備えてもよい。
【0022】
この例では、各受容部150は、細長い部材111の各端部部分を受け入れるとともに、この各端部部分を取り囲む大きさに作られている管状部材156に取り付けられているネック領域154に更に取り付けられた概ね球状の部材152を備える。簡潔にするために、
図3Aでは、1つの受容部150と1本の細長い部材111のみが示されているが、組み立てが完了すると、デバイスは、ハブ119のソケット140と同じ数(この例では6個)の受容部150と細長い部材111を備えてよい。受容部150に関しては、ネック領域154が、第1の直径を有してよく、管状部材156が、ネック領域154の直径よりも大きい第2の直径を有してよい。さらに、球状の部材152の直径は、ネック領域154の直径よりも大きくてもよい。
【0023】
細長い部材111は、様々な形で受容部150に取り付けてよい。例えば、それぞれの細長い部材111の端部を受容部150の管状部材156の中に配置して、管状部材156の中で、(例えば、360度の円周レーザー溶接で)レーザー溶接してよい。細長い部材111を受容部150の管状部材156に取り付けることができる方法の他の例としては、管状部材156を細長い部材111の周囲に機械的にクリンプするもの(例えばマイクロスエッジ接合)、接着剤接続、RF溶接、若しくは超音波接合、又はこれらの技法の組み合わせを挙げることができる。各種の実施態様では、細長い部材の端部は、管状部材156の中に約0.60mm〜約2.0mm挿入してよい。一部の例では、細長い部材111は、受容部150の細長い管状部材156の中に、細長い部材111の直径の約3倍の深さまで挿入する。
【0024】
上記のように、細長い部材111の第1の端部は、取付領域で、受容部150に固定的に取り付けることができる。この取付領域が、ハブ102に対して移動可能なように、受容部150は、ハブ102に対して旋回するように構成されている。細長い部材111は、管状部材156としっかり接合されていて、受容部150の全体的な位置によって、フレーム110の全体形状に影響が及ぶようになっている。細長い部材111が受容部150内で終端することにより、受容部150の全てが、ハブ基体部材116の近位面126に対して実質的に平行に延びると、閉鎖デバイス100の近位端104が、実質的に平らな面113を形成できるようになる。
【0025】
球状の部材152がソケット140の中で旋回できるように、球状の部材152とソケット開口部146との間にクリアランスを持たせつつ、球状の部材152を、ソケット140の半球状のポケット144の中に入る大きさに作ることができる。球状の部材152は、(第1の矢印153によって示されているように、)ソケット140の中で、1自由度で旋回可能にしてよい。一部の実施形態では、球状の部材152の外面と半球状のポケット144の内面との間のクリアランス領域により、球状の部材152が、(第2の矢印155によって示されているように、)第2の自由度で最小限に旋回可能になる。各受容部150(及び関連する細長い部材111の取り付けられた端部)は概ね、他の受容部150(及び細長い部材111)から独立して旋回できる。ハブ119の側壁134、136は概ね、第1の矢印153によって示される方向での受容部150の移動を抑制できる。一部の実施形態では、球状の部材152と半球状のポケット144との間のクリアランスは、受容部150がソケット140の中で旋回すると、球状の部材152に付加される応力が増大できるようになっている。球状の部材152が半球状のポケット144の中で旋回すると、球状の部材152は、送達部位において細長い部材111が取る形によって決まる様々な引張力及び圧縮力を受け得る。(下で更に詳細に論じるように、)閉鎖デバイス100を折り畳んで、カテーテルシースの中を移動させると、球状の部材152は、半球状のポケット144内で、圧縮力よりも大きい引張力を受け得る。一部の実施態様では、第1のハブ基体部材114と第2のハブ基体部材116は、受容部150の球状の部材152にプレスフィットさせてよい。一部の実施態様では、球状の部材152は、ハブ102又はハブアセンブリー119のソケット140の中にスナップフィットさせてよい。球状の部材152の直径は、一部の実施態様では、約0.35mm〜約0.65mmであってよい。
【0026】
一部の実施形態では、球状の部材は、精密なレーザー溶接技法を用いて(例えばNd:YAGレーザーを用いて)、細長い部材111の端部に直接形成してもよい。このような実施形態は、受容部150の必要性を排除でき、細長い部材111を直接、ハブ119のソケット140と嵌合可能にする。例えば、細長い部材111の端部にある球状の部材は、ハブ119の半球状のポケット144の中にプレスフィット又はスナップフィットしてよい。あるいは、一部の例では、球状の部材は、細長い部材111と一体形成する代わりに、細長い部材111の端部に固定的且つ直接的に取り付けてよい。本明細書で論じられている例のうち、受容部150と、受容部の球状の部材152を説明する例の何れかにおいては、受容部150は、概ね省略されていることがあり、細長い部材111の端部に形成されたか又は取り付けられた球状の部材が、球状の部材152に取って代わっていることがある。
【0027】
一部の実施態様では、上記の半球状のポケット144は、ソケットの相対する壁に配置されている2つの半球状のポケットに置き換えることができる。
図3Bは、12個のソケット802を備えるハブ代替例800を示している(ただし、この代わりに、何れの適切な数のソケットも用いてよい)。ソケット802の相対する内壁803がそれぞれ、半球状のポケット801を画定する。半球状のポケット801は、内壁803に機械加工して、半球状のポケット801を形成できる。受容部150の概ね半球状の部材152は、例えば、そのボールの幾何学的形状によるか、又は、ボールの相対する側面から延びる相対する突起部を設けることによるかの何れかによって、ソケット802に嵌め込むことができる。半球状の部材152は、半球状のポケット801の中で旋回できる。
【0028】
図3Aを参照すると、上記のように、この例における閉鎖デバイス100のフレーム110は、対応する受容部150の中までそれぞれ延びる6本の細長い部材111を備える(ただし、
図3Aでは、1本の細長い部材111及び1つの受容部150のみが示されている)。細長い部材111の長さが保持されるように、細長い部材111は概ね、適合性、耐疲労性、及び弾性を有してよい。細長い部材111は、その細長い部材111を折り畳んだり、所定の形まで伸長させたりできるようにするバネ的性質を有してよい(例えば、フレーム110は、所定の形を有してよい)。一部の実施態様では、細長い部材111は、デバイスが、送達時の構成を有する場合には、カテーテル又は胸腔鏡による送達のために、折り畳めるとともに、LAAの腔のように制限の少ない環境内に配置したら、展開時の構成(例えば、
図1に示されている構成)のような拡張構成まで自己拡張できる。
【0029】
一部の実施形態では、細長い部材111は、スプリングワイヤー、形状記憶合金ワイヤー、又は超弾性合金ワイヤーのようなワイヤーを含むことができる。細長い部材111は、ニチノールワイヤーであってよい。一部の実施形態では、細長い部材111の直径又は厚みは、約0.20mm〜0.40mmであってよいが、別の実施形態では、直径が上記よりも小さいか又は大きい細長い部材111を用いてもよい。一部の実施形態では、細長い部材111はそれぞれ、直径が同じである。一部の実施形態では、細長い部材111の1つ以上の部分が、テーパー状であってもよい。細長い部材111の断面は丸くても、丸以外の形(長方形又はその他の多角形など)であってもよい。細長い部材111が有してよい他の断面形状の例としては、正方形、楕円形、長方形、三角形、D字形、台形、又は編組構造物によって形成される異形断面形状が挙げられる。一部の実施形態では、閉鎖デバイスは、平坦な細長い部材111を備えてもよい。一部の例では、細長い部材111の直径が、細長い部材111の長さに沿って変化するように、細長い部材111は、センタレス研削技法を用いて形成してもよい。
【0030】
一部の実施形態では、1つ以上の突出部(図示なし)が、球状の部材152の面から延びており、ソケット140の面に跨って配置された1つ以上の爪と嵌合する大きさに作られている。一部の例では、ソケット140の爪と、球状の部材152から延びる突出部によって、受容部を特定の位置に促したり、偏らせたり、保持したり、又は固定したりできるようになり、細長い部材111が、特定の位置を保持して、フレーム110に所望の形状をもたらすことができるようになる。一部の実施形態では、各ソケット140は、受容部から延びる突起部であって、ソケット140内に配置される突起部と嵌合する大きさに作られた1つ以上の爪(図示なし)を備える。
【0031】
一部の実施形態では、1つ以上の半球状のポケット144と1つ以上の半円筒形のチャネル142の何れか又は両方は、ソケット開口部146の相対する縁まで延びているとともに、受容部150がソケット140内で旋回する時に、受容部150のネック領域154を拘束する機能を果たす突出リップ機構(図示なし)を備えてよい。一部の実施形態では、ソケット140は、爪を備えなくてもよいが、その代わりに、受容部から延びる突起部と嵌合する大きさに作られたスロット又は開口部のような1つ以上の代替的な動作制限機構を備えてよい。
【0032】
再び受容部150を参照すると、球状の部材152と管状部材156との間に延びるネック領域154は、受容部150をソケット140内で旋回できるようにする大きさに作ることができる。一部の実施態様では、ネック領域154の直径は、ソケット開口部146の幅よりも小さい。例えば、ネック領域154の直径は、球状の部材152の直径よりも小さい約0.127mm〜約0.25mmであってよい。一部の実施形態では、管状部材156の内径は、細長い部材111の厚み(例えば直径)よりも大きい約0.02mm〜約0.05mmであってよく、壁厚は約0.07mm〜約0.15mmであってよく、長さは約1.0mm〜約2.6mmであってよい。
【0033】
図4を参照すると、
図1のフレーム110の細長い部材111から延びる固定部材158の斜視図が示されている。固定部材158は、細長い部材111の面から延びることができ、フレーム10を送達部位で固定する形で、組織を突き刺すように形成させることができる。固定部材158は、例えば、生体分解性又は生体吸収性ポリマー又は金属であることができ、すなわち、ある期間にわたって再吸収され得る。一部の例では、固定部材158の生体吸収性によって、閉鎖デバイス100の送達部位での迅速な固定を促したり、組織内殖を促したり、望ましくない組織穿穴のリスクを軽減したりできる。固定部材158は、鋭い先端160で終端してよい。各種の実施態様では、固定部材158は、細長い部材111の面に沿って、互いに隔置されていてよく、例えば、支持部材117の遠位部分の外縁に沿って、互いにほぼ等間隔に配置されていてよい。一部の実施態様では、固定部材158は、細長い部材111の長さに基づき、又は、細長い部材111の部分と、デバイスに搭載される固定部材158の数とに基づき、互いに隔置されていてよい。一部の実施形態では、固定部材158は、固定部材158の長さに沿って、各湾曲部162を備える。一部の例では、湾曲部162により、閉鎖デバイス100をカテーテルシース内に配置している際に、固定部材158を細長い部材111に対して折り畳めるようになる。一部の実施形態では、固定部材158の湾曲部の半径は、約1.5mm〜約5.1mmであってよい。
【0034】
一部の実施形態では、固定部材158は、順応性であっても、非順応性であっても、部分的に順応性であっても、部分的に非順応性であってもよい。一部の実施形態では、固定部材158の一部の面又は全面が、フルオロポリマー(例えばPTFE)、ポリエステル、シリコン、ウレタン、又はその他の好適な生体適合性材料を含む1つ以上の生体適合性材料でコーティングされていてもよい。一部の実施形態では、固定部材158のコーティング部分は、固定部材158周囲の組織内殖を促す基体をもたらすことができる。一部の実施形態では、固定部材158のコーティング部分は、固定部材158が互いに絡まるのを実質的に防ぐ。一部の実施形態では、固定部材158の被覆部分は、固定部材158と周囲のカテーテル壁との間の摩擦を最小限にし、それによって、閉鎖デバイス100を送達部位で展開すること、又は埋入後、閉鎖デバイス100を送達部位から取り出すことを支援する。一部の例では、固定部材158の被覆部分は、固定部材158が組織に入り込むことができる程度を制限できる。一部の実施形態では、固定部材158の被覆部分は、創傷治癒を促したり、又は組織の炎症を軽減したりするように、インサイチューで放出される1種以上の薬剤物質が含浸されていたり、又は1種以上の薬剤物質でコーティングされていたりしてもよい。一部の実施形態では、薬剤物質は、コルチコステロイド、ヒト成長因子、抗有糸分裂剤、抗血栓剤、抗炎症剤、鎮痛剤、抗感染症剤、又はリン酸デキサメタゾンナトリウムであってよい。一部の実施形態では、固定部材158の被覆部分は、閉鎖デバイス100の周囲組織への固定を支援するテクスチャーをもたらすことができる。
【0035】
一部の実施形態では、固定部材は、送達部位で組織を突き刺さないが、その代わりに、例えば、摩擦又は圧力を利用して、フレーム110を送達部位に固定する。一部の実施形態では、固定部材は、非外傷性末端(例えばボール又はプレート)によって終端する。一部の実施形態では、この非外傷性末端の面は、送達部位で、固定部材と組織との間の摩擦を更に増大させるように、テクスチャー化されている。
【0036】
固定部材158は、様々な形で、フレーム110の細長い部材111に取り付けてよい。例えば、固定部材158は、レーザー溶接又はRF溶接によって細長い部材111に溶接しても、接着剤結合、超音波接合、又はその他の接合方法によって、細長い部材111に接合してもよい。一部の例では、上記の固定部材158の取付技法の組み合わせをデバイスで用いてよい。
【0037】
図1を参照すると、細長い部材111は、閉鎖デバイス100の遠位端108で終端するとともに、小穴106を形成する。小穴106は、閉鎖デバイス100を送達部位に送達するためのカテーテルと嵌合する大きさに作られた中心穴164を備える。一部の実施形態では、中心穴164の内径は、約1.5mm〜約3.1mmであってよい。小穴106の中心穴164は、予め成形されているか、位置決め可能か、湾曲可能か、又は操作可能な市販の送達シース及び送達カテーテルとともに用いるように概ね構成できる。例えば、一部の実施形態では、中心穴164は、送達カテーテルによって閉鎖デバイス100を特定方向で楔留めするように、円形でなくてもよい(例えば卵形)。一部の実施形態では、小穴106の長さは、約3.8mm〜約5.1mmであってよい。一部の実施形態では、フレーム110を所定の拡張形状まで展開した場合、細長い部材111は、小穴106から、約45°〜約80°の角度で延びる。
【0038】
更に
図1を参照すると、カバー112は、細長い部材111を拡張する際に適応するように伸長できるとともに、細長い部材111を折り畳む際に適応するように折り畳める多孔性の弾性部材であってよい。カバー112は、(
図1に示されているように、)閉鎖デバイス100の支持部材117と閉鎖部材115の何れか又は両方を覆う大きさに作ることができる。カバー112の孔は、血液、その他の体液、及び塞栓が通過するのを実質的に、又は一部の例では完全に防ぐ大きさに作ることができる。一部の実施形態では、カバー112は、開口を永続的に閉鎖するとともに、その開口に隣接する組織に閉鎖デバイス100を固定するために、カバー112内での組織内殖、及びカバー112の内皮化を促す足場をもたらす。一部の実施形態では、流体がカバー112を通過するのを即時に抑制するとともに、この抑制機能が、血栓形成プロセスに依存しないように、カバー112が構成されている。一部の実施形態では、カバー112は、カバー112の特定の物理的特性を高める1つ以上の化学的又は物理的プロセスによって改変できる。例えば、親水性コーティングをカバー112に施して、カバー112の濡れ性及びエコー透過性を向上させることができる。一部の実施形態では、カバー112は、内皮細胞の接着、内皮細胞の移動、内皮細胞の増殖、及び抗血栓性のうちの1つ以上を増進する化学構造部分によって改変してよい。一部の実施形態では、カバー112は、共有結合させたヘパリンで改変しても、創傷治癒を促したり、又は組織の炎症を軽減したりするようにインサイチューで放出される1種以上の薬剤物質を含浸させてもよい。一部の実施形態では、この薬剤は、コルチコステロイド、ヒト成長因子、抗有糸分裂剤、抗血栓剤、又はリン酸デキサメタゾンナトリウムであってよい。
【0039】
閉鎖デバイス100の各種構成要素(例えばハブ102又は119、受容部150、細長い部材111、及びカバー112)は、様々な生体適合性材料のうちの1つ以上で形成させることができる。一部の実施形態では、ハブ102又は119と受容部150の何れか又は両方を、ステンレス鋼、チタン、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルミド(PEI)、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、NiTi、L605(コバルト・クロム)、MP35N、又は他の何れかの適切な材料を含む1種以上の材料から射出成形してよい。一部の例では、ハブ基体部材114、116は、第1のハブ基体部材114内の中心穴118と、第2のハブ基体部材116から延びる突出部120との間のプレスフィット、スナップフィット、粘着性物質、又は溶接部(例えばレーザー溶接部)によって組み立てることができる。
【0040】
一部の実施形態では、受容部150は、ニチノール(NiTi)、ステンレス鋼、L605合金、MP35N合金、及びチタンを含む(これらに限らない)1種以上の材料で形成してよい。細長い部材111は概ね、充分な強度、適合性、及び耐疲労性を有する何れかの生体適合性材料のうちの1種以上で形成してよい。一部の実施形態では、細長い部材111は、ワイヤーとして形成してよい。一部の実施形態では、細長い部材111は、細長い部材111を形成するのに特に優れた材料となる超弾性特性を有するNiTiで形成してよい。例えば、NiTiから形成されている細長い部材は、ヒートセットして、(例えば、細長い部材111が、
図1に示されている形をしたフレーム110をもたらすような形で)所定の形にすることができる。一部の実施形態では、細長い部材111は、NiTiとは異なるタイプの材料を芯に含むドローン・フィルド型のNiTiチューブで形成してよい。例えば、芯は、白金のような放射線不透過性金属を含んでよい。一部の実施形態では、細長い部材111は、L605鋼、ステンレス鋼、又は好適に変形可能である他の何れかの生体適合性材料を含む1種以上の材料で形成してよい。
【0041】
一部の例では、閉鎖デバイス100の小穴106とフレーム110を最初に巻き付け、その後に、受容部150とハブ102又は119を取り付けてよい。一部の例では、受容部150を細長い部材111の各端部に取り付け、受容部150をハブ102又は119に取り付けてから、細長い部材111を巻き付けて、フレーム110と小穴106を形成させてもよい。一部の例では、細長い部材111を受容部150に取り付ける前に、受容部150をハブアセンブリー102又は119に入れてもよく、一方で、別の例では、最初に細長い部材111を受容部150に取り付けてから、受容部150をハブアセンブリー102又は119に入れてもよい。
【0042】
球状の部材を細長い部材111の近位端に直接形成するか、又は取り付ける例では、受容部150を閉鎖デバイス100に搭載しなくてもよく、細長い部材111の近位端をハブ102又は119のソケット140の中に直接入れてよい。一部の実施態様では、小穴106とフレーム110を最初に巻き付けてから、細長い部材111の近位端に形成させた(又は取り付けた)球状の部材をハブ102又は119のソケット140の中にプレスフィット又はスナップフィットしてよい。一部の実施態様では、細長い部材111の近位端に形成させた(又は取り付けた)球状の部材をハブ102又は119のソケット140の中にプレスフィット又はスナップフィットしてから、フレーム110と小穴106を巻き付けてもよい。
【0043】
一部の実施形態は、カバー112を備えてよい。カバー112は、一部の実施形態では、フルオロポリマー(例えば延伸PTFE(ePTFE)又はPTFE)で形成してよい。一部の実施形態では、カバー112は、ポリエステル、シリコン、ウレタン、若しくは別の生体適合性ポリマー、又はこれらの組み合わせで形成してよい。特定の実施形態では、カバー112は、コポリマーで形成してよい。一部の例では、カバー112の第1の部分は、第1の材料で形成してよく、カバー112の第2の部分は、第2の材料で形成してよい。例えば、カバー112の部分のうち、閉鎖部材115を覆う部分を第1の材料で形成してよく、カバー112の部分のうち、支持部材117を覆う部分を第2の材料で形成してよい。
【0044】
図5を参照すると、
図1の閉鎖デバイス100をカテーテル送達システム166と連結したものの側面図が示されている。閉鎖デバイス100は、カテーテルシステム166を用いて、血管内処置の形で、送達部位に送達できる。カテーテルシステム166は、送達シース168と送達カテーテル170を備え、送達カテーテル170の一部は、送達シース168内で、概ね同心円状に配置されていてよい。閉鎖デバイス100は、送達カテーテルの遠位端を、ハブ119の管状突出部124によって画定される穴128(
図2及び3A参照)と嵌合することによって、送達カテーテル170に搭載できる。一部の例では、代替的な送達カテーテルは、閉鎖デバイスのハブを貫通するとともに、閉鎖デバイスの遠位小穴106に取り付けられるか、又は閉鎖デバイスの遠位小穴106と嵌合する内側貫通式のカテーテル構成要素を備えてよい。第2のハブ102又は119が遠位小穴106に置き換わる例では、内側貫通式のカテーテル構成要素は、第2のハブ102又は119に取り付けるか、又は第2のハブ102又は119と嵌合してよい。
【0045】
送達カテーテル170と連結させたら、閉鎖デバイス100が、送達シース168内に完全に配置されるまで、閉鎖デバイス100を送達シース168の中に押し入れることができる。閉鎖デバイス100を送達シース168の中に押し入れる時には、フレーム110の細長い部材111は、送達シース168内で折り畳まれていてよい。固定部材158を備える一部の実施態様では、固定部材158は、フレーム110の細長い部材111に対して折り畳んでよい。
【0046】
図5に示されているデバイス100の構成は、送達時の構成と称してよい。
図5の送達時の構成を参照すれば分かるように、受容部150と、取り付けられた細長い部材111は、
図1に示されている展開時の構成における位置と比べると、約90°(又は90°超)旋回されている。これにより、送達時の外形をコンパクトにでき、このことにより、更に小型のカテーテル及び/又はシースを用いて、閉鎖デバイス100の送達を行えるようにできる。このように、屈曲した血管構造内で、閉鎖デバイス100の誘導を更に容易にでき、例えば、潜在的に、患者の快適性と安全を向上させるとともに、処置期間を短縮させる。送達時の外形がコンパクトになると、閉鎖デバイス100、カテーテル送達システム166、及び送達部位の間の摩擦力も低下させることができる。したがって、摩擦力のこのような低下は、閉鎖デバイス100を送達したり、又は取り出したりするのに必要な力の大きさを低下させることができ、閉鎖デバイス100とカテーテル送達システム166の各種構成要素(例えばカテーテル内面)との間で発生し得る摩耗を潜在的に軽減でき、その結果、潜在的に生成される何れかの微粒子の量及び/又は大きさを小さくできる。このような微粒子形成リスクの軽減により、更に小型のカテーテル及び/又はシースを利用可能にできるとともに、1つ以上のカテーテル構成要素に加わる応力の大きさも小さくできる。
【0047】
閉鎖デバイス100とカテーテル170は、当業者に知られているような形式で、シース168を通して送達部位まで進めることができる。送達部位では、閉鎖デバイス100が、送達シース168の遠位に配置されるまで、送達カテーテル170を送達シース168から押し出すことによって、閉鎖デバイス100を展開できる。閉鎖デバイス100が、送達シース168から遠位に移動し、デバイス100のフレーム110が、送達シース168の内面によって付与される拘束力から解放されると、受容部150(又は受容部150を備えない実施形態では、細長い部材111の端部)は、ハブ102のソケット140の中で旋回して、フレーム110を所定の形状まで拡張させることができる。爪機構を備える実施態様では、受容部150の球状の部材152から延びる突起部が、ソケット140の半球状のポケット144に沿って配置されている特定の爪と実質的に嵌合するまで、受容部150は、ソケット140の中で旋回でき、この嵌合によって、受容部150がソケット140の中で更に移動するのを制限する。例えば、フレーム110が、送達部位で、その最終的な形状と一致したら、爪を嵌合することができる。一部の例では、システムの部分のうち、旋回ハブを、ほぼ完全に形成されたフレーム形状まで押す部分を術者が移動させるのに応じて、爪を嵌合できる。嵌合によって生じる力は、術者が感じることも、X線透視又は経食道超音波心エコー検査(TEE)画像を用いて観察することもできる。ソケット140が爪を備えないが、その代わりに、代替的な移動制限機構(例えばチャネル又はスロット)を備える一部の例では、カムオーバー効果又はオーバーセンター作用を用いて、受容部150又は細長い部材の逆方向移動又は逆方向旋回移動を制限できる。一部の実施形態では、カムオーバー効果又はオーバーセンター作用により、代替的な動作制限機構の使用を任意とすることができる。
【0048】
図6を参照すると、左心耳の送達部位に展開した
図1の閉鎖デバイス100の側面図が示されている。細長い部材111の追従性と、受容部150(
図6には示されていない)のソケット140内での旋回動作により、実質的に平らな面113が、LAA174を効果的にふさぐように、LAA174の開口172を跨るように閉鎖部材115を最適に配置可能になるとともに、LAA174の腔176内に支持部材117を最適に配置可能になる。1つ以上の固定部材158は、デバイス100をLAA174の組織に固定的に取り付けるように、細長い部材111から延びてよく、これにより、展開後のデバイス100の移動を制限できる。1つ以上の固定部材158は、LAA174の組織面に径方向の力を付与できる。一部の例では、
図6で描かれている2つの固定部材158に関して見てとれるように、固定部材158は、フレームの部分のうち、支持部材117の外縁を画定する部分に配置してよい。一部の例では、固定部材158は省かれており、細長い部材111は、LAA174の壁に対して付着力をもたらし、これにより、送達部位でデバイス100を固定できる。カバー112は、展開フレーム110を収容するように拡張できる。
【0049】
あるいは、閉鎖デバイス100は、閉鎖デバイス100の位置をLAA174の開口172の近くに保持したまま、送達シース168を後退させることによって展開してよい。一部の例では、閉鎖デバイス100は、閉鎖デバイス100の位置を保持したまま、送達カテーテル170を送達シース168から押し出すことと、送達シース168を後退させることとを組み合わせて行うことによって展開してよい。送達カテーテルが内側貫通式のカテーテル構成要素を備える一部の例では、送達カテーテルは、閉鎖デバイス100、近位及び遠位小穴の一方若しくは両方、又はハブに取り付けてよい。一部の実施形態では、1つ以上のカテーテル構成要素は、独立した軸方向のピストン運動を付与する。一部の実施形態では、1つ以上のカテーテル構成要素は、軸方向のピストン運動を付与し、1つ以上の他のカテーテル構成要素は、位置合わせ機能を果たす。一部の実施形態では、送達カテーテルは、閉鎖デバイス100に、閉鎖デバイス100の近位端のみで取り付ける。
【0050】
図6(及び
図1)を更に参照すると、所定の拡張形状で展開した際、フレーム110の何れの構成要素も、実質的に、ハブ102の近位端104を越えて、閉鎖デバイス100の近位端104における左心房177の中まで突出しないように、フレーム110の近位部分とハブ102は、実質的に平らな面113を備えることができる。これにより、デバイスの左心房に面する端部に、小穴を備えることがある他のデバイス(この場合、小穴は、左心房177の中まで、又は左心房177の方に突出する)と比べて、閉鎖デバイス100の近位端104の近くの左心房177内において、血流障害のリスク及び/又は血栓形成若しくは滞留のリスクを防止又は最小化できる。一部の例では、流動モデルを用いて、特定の構成のフレーム110及びハブ102により生じる血流場をシミュレートしてよい。一部の例では、カラードプラ法とTEE撮像を用いて、閉鎖デバイス100の近位端104の近くの血流パターンを特徴付けてよい。
【0051】
閉鎖デバイス100をLAA174内に所望の位置で展開後、当業者に知られているように、閉鎖デバイス100を送達カテーテル170から放出してよいとともに、血管内を通じてカテーテル送達システム166を取り出してよい。続いて、閉鎖デバイス100は、LAA174を実質的に閉鎖するように操作可能にできる。
【0052】
一部の例では、閉鎖デバイス100は、LAA174(又はその他の送達部位)の中で再配置しても、埋入後、LAA174(又はその他の送達部位)から取り出してもよい。例えば、取り出しコードをカテーテル送達システムに搭載できる。一部の例では、閉鎖デバイス100をシース168の中で再度折り畳むまで、又は、送達部位で適切に配置されるまで、適度な静止摩擦力を送達カテーテル170に加えることによって、閉鎖デバイス100を部分的に展開しながら、送達カテーテル170を用いて閉鎖デバイス100を再配置できる。一部の例では、取り出しコードをハブ102と連結できるとともに、閉鎖デバイス100を送達カテーテル170から放出後、閉鎖デバイス100の全体をLAA174から引き出して、送達シース168の中に戻すことによって、展開した閉鎖デバイス100をLAA174から取り出す目的で、取り出しコードを用いることができる。一部の例では、取り出しコードは、楔留めしたハブと嵌合できる。別の例では、取り出しコードは、ネジ山付きのハブと嵌合できる。
【0053】
一部の例では、閉鎖デバイス100は、代わりに、ラピッドエクスチェンジ、又は当業者に知られているその他のガイドワイヤー送達法を用いて、ガイドワイヤーの上に沿わせて、LAAに送達してもよい(例えば、Yockの米国特許第5,040,548号明細書、同第5,061,273号明細書、及び同第6,165,197号明細書、並びに、Bonzelの米国特許第4,762,129号明細書を参照)。
【0054】
閉鎖デバイス100は、閉鎖デバイス100の近位端104に配置されたハブ102と、閉鎖デバイス100の遠位端108に配置された小穴106を有するものとして記載されているが、一部の実施形態では、閉鎖デバイスは、2つのハブ102(一方は、近位端104に配置されており、もう一方は、遠位端108に配置されている)を有してもよく、小穴を省いてもよい。一部の例では、閉鎖デバイス100の遠位端108の小穴106を別のハブ102に置き換えることにより、閉鎖デバイス100を最初に展開している最中、及び閉鎖デバイス100をLAA内で配置した後に、閉鎖デバイス100の遠位端108と、LAAの壁との間に、外傷性の低い界面をもたらすことができる。さらに、閉鎖デバイス100の遠位端108にハブ102を搭載すると、フレーム110のLAAの腔に対する追従性を向上できる。一部の例では、埋入可能な医療用デバイスは、1つ、2つ、3つ、又は4つ以上のハブデバイスを備えてよい。
【0055】
閉鎖デバイス100は、2つのハブ基体部材114、116で形成されているハブ102を備えるものとして記載されているが、一部の実施形態では、閉鎖デバイスは、代わりに、単一の構成要素で形成されているハブを備えることができる。
図7は、一体型のハブ部材例202を備える閉鎖デバイス200の一部分の斜視図である。一部の実施態様では、ハブ202は、射出成形してよい。ハブ202は実質的に、機能においては、
図2及び3のハブ119と同様であり、6個のソケット140を備え、各ソケットは、ハブ202の側壁234によって画定されるソケット開口部を備える。この例では、ソケット140は、ハブ202の周囲に、実質的に等間隔で配置されている。
【0056】
各ソケット140の中には、概ね半球状のポケット(
図7には示されていない)が置かれており、このポケットは、ハブ202によって画定され、第1の次元で、受容部250の概ね球状の部材252を拘束する。閉鎖デバイス200は、6個の受容部250を備え、これらの受容部は、
図2及び3の受容部150と同様の機能を果たす。受容部250は、概ね球状の部材252と、概ね球状の部材252に取り付けられている管状部材256とを備える。受容部250に、取付領域において、細長い部材111の第1の端部を固定的に取り付けることができる。取付領域が、ハブ202に対して移動可能なように、受容部250は、ハブ202に対して旋回するように構成されている。概ね球状の部材252は、例えば、ソケット140に嵌め込むことができ、その後、ソケット140の中で旋回することができる。上記のように、概ね球状の部材は、代わりに、細長い部材111の端部に形成させても、細長い部材111の端部に取り付けてもよく、ソケット140の中に入れてもよい(このような例では、受容部250を省いてよい)。ハブ202は、カテーテル(例えば送達カテーテル170)の遠位端と嵌合する大きさに作られた中心貫通穴228を画定する。一部の実施形態では、中心貫通穴228の直径は、約0.5mm〜約1.5mmであってよい。
【0057】
一部の実施態様では、閉鎖デバイスは、細長い部材の旋回動作を誘導するハブアセンブリーを備えることができる。例えば、ハブは、細長い部材ごとに、細長い部材の旋回動作を誘導するスロットを備えてよい。
図8A〜8Cは、ハブ302の管状部材334に形成された6個のスロット340を有するハブ302と、細長い部材311の端部に形成された球状の部材352(
図8B及び8Cを参照)を有する6個のそれぞれの細長い部材311とを備える閉鎖デバイス例300の近位端304を示している。一部の実施形態では、スロット340は、ハブ302の管状部材334の周囲に、実質的に等間隔で配置されていてよく、例えば、管状部材334の中心軸線341に対して平行に配向されていてよい。ハブ302は更に、エンドキャップ316と、細長い部材311の端部に形成された球状の部材352を支えるために、管状部材334と嵌合する支持部材323とを備える。一部の実施形態では、細長い部材311は、細長い部材311の端部から延びる球状の部材352を有するのではなく、受容部(例えば受容部150)で終端してもよい。エンドキャップ316は、基部315と、基部315から管状部材334の内腔321(
図8Bを参照)の中まで延びるリップ317と、リップ317を通って延びる貫通穴328とを備える。エンドキャップ316は、支持部材323を管状部材334と軸方向で揃えられるようにし、球状の端部、ネジ山付きの面、又はクイックリリース機構のように、ハブ302を送達カテーテルと嵌合させる機構(図示なし)を備えてもよい。エンドキャップ316は更に、エンドキャップ316の基部315沿いの丸い縁314のように、組織の外傷を最小限にするとともに、ハブ302の近位端304に沿って、血栓滞留を最小限にする機構をもたらしてもよい。
【0058】
支持部材323(
図8B及び8C参照)は、管状部材323の内腔321の中に配置されるとともに、基部325と、基部325に隣接する移行シャフト322と、移行シャフト322からエンドキャップ316の穴328を通って延びる細長いシャフト324とを備える。支持部材323は、球状の端部、ネジ山付きの面、又はクイックリリース機構のように、ハブ302を送達カテーテルと嵌合させる機構(図示なし)を備えてもよい。例えば、閉鎖デバイス300の細長いシャフト324は、送達カテーテル(例えば送達カテーテル170)の遠位端と嵌合する大きさに作ることができる中心貫通穴329を備える。エンドキャップ316と支持部材323の構成により、エンドキャップ316のリップ317と、支持部材323の移行シャフト322及び細長いシャフト324とから形成される環状ポケット領域344(
図8C参照)が得られる。球状の部材352はポケット領域344に入り、細長い部材311は、管状部材334に沿って配置された各スロット340を通じて延びる。ポケット領域344により、球状の部材352が、(
図8Cにおいて、矢印335によって示されているように、)1自由度で、管状部材334の内腔321の中で旋回可能になり、球状の部材352がポケット344の中で旋回する際には、スロット340が細長い部材311の位置を誘導する。一部の実施態様では、球状の部材352がポケット344の中で旋回する際に、管状部材334の厚みによって、スロット340が細長い部材311を誘導する程度に対して影響を及ぼすことができる。一部の実施形態では、球状の部材352を1自由度超で旋回できるように、エンドキャップ316のリップ317、並びに、支持部材323の移行シャフト322及び細長いシャフト324のうちの1つ以上を形成してよい。
【0059】
一部の実施態様では、細長い部材311が通るスロット340の1つ以上は、細長い部材311の部分のうち、スロット340を通る部分の近位回転を制限できる縁350を備える。スロット340の幅は、細長い部材311を通すことができるが、球状の部材352を通すことができない幅、すなわち、球状の部材352の径方向移動を制限できる幅であってよい。球状の部材352は、ポケット領域344の中に保持できる。特に
図8Cを参照すると、細長い部材311が支持部材323の基部325に接触するまで、細長い部材311は、ハブ302の内側の方に旋回できる(基部325との接触により、ハブ302の内側方向への更なる移動を防止できる)。
【0060】
閉鎖デバイス300は概ね、閉鎖部材(例えば、閉鎖部材115と同様の閉鎖部材)と支持部材(例えば、支持部材117と同様の支持部材)とを備えてよい。細長い部材311は、実質的に平らな閉鎖面を形成するようにスロット340から延びることも、凹形の閉鎖面を形成するように、ハブ302のやや近位に延びることも、凸状の閉鎖面を形成するように、ハブ302のやや遠位に延びることもできる。一部の実施形態では、スロット340の幅は約0.25mm〜約0.31mmであり、長さは約0.75mm〜約2.6mmである。
【0061】
示されている実施形態では、細長い部材311の部分のち、球状の部材352に近接する部分は概ね真っ直ぐであるが、一部の実施形態では、細長い部材311は、細長い部材の部分のうち、球状の部材352に近接する部分に、湾曲部を備えてもよい。この湾曲部は、細長い部材311が閉鎖デバイス300の近位端304から延びる角度を調節できる。一部の実施形態では、細長い部材311は、約10°〜約45°(例えば30°)の角度に曲がっていてもよい。
【0062】
一部の実施形態では、スロット340は、細長い部材111をハブ302の管状部材334に対して所望の方向で偏向させる角度を有してもよい。一部の実施形態では、球状の部材352の直径は、最大で、細長い部材311の直径の2倍であってよい。細長い部材311は、閉鎖デバイス300の遠位端で小穴(例えば小穴106)において、又は別のハブ(例えばハブ102、119、202、又は302)において終端してよい。
【0063】
図9に示されているように、一部の実施形態では、1つ以上のスロット340は、1つ以上の爪360を備えてもよい。この例では、爪360は隆起部を備え、細長い部材311がスロット340の中を移動する際、細長い部材311(又は、一部の実施態様では、球状の部材352)は、この隆起部を越えることができる。一部の例では、細長い部材311が爪360の隆起部を越えるには、更なる力を必要とすることがある。一部の例では、爪360は、球状の部材352を所望の位置に保持できる。例えば、
図9に示されている爪360は、球状の部材352、又は細長い部材311の部分のうち、スロット340の縁350に近い部分を、スロット340の近位端に近い長手方向の位置に促すか又は保持することができる。各種の例では、球状の部材352の各種の好ましい位置、各種の固定力、及びフレーム310の各種の追従度をもたらすように、1つ以上の爪360を、スロット340沿いの様々な位置に配置してよい。
【0064】
一部の実施形態では、爪360は、嵌合後に、球状の部材352を特定の回転位置に保持する目的で配置されている。一部の実施形態では、爪は、嵌合後に、球状の部材352を特定の長手方向の位置に保持する目的で配置されている。一部の例では、閉鎖デバイス300のフレーム310が、(例えば実質的に平らな閉鎖面を形成するように)展開時の構成になったら、爪は、球状の部材352をハブ302の中心軸線341に対して約90°の角度で保持できるようにする。一部の例では、爪360は、中心でカムとして作用し、内向きの形状を得られるように(例えば凹形の閉鎖面を形成するように)、球状の部材352を約90°よりもやや大きい角度で保持できるようにする。一部の例では、フレーム310を実質的に折り畳んだ時(例えば、閉鎖デバイス300が、送達時の構成である時)に、爪360によって、球状の部材352と細長い部材311をスロット340に沿って概ね折り畳むことができるようにする。一部の実施形態では、ハブは、6個未満のスロット340、又は7個以上のスロット340を備えてもよい。
【0065】
閉鎖デバイス300の各種構成要素は、閉鎖デバイス100、200に関して上述したものと同じ又は類似の材料で概ね形成させてよい。一部の例では、エンドキャップ316は、例えばステンレス鋼、L605、MP35N、PEEK、PTFE、又は他の何れかの好適に硬質な生体適合性プラスチックを含む1つ以上の材料で形成してよい。閉鎖デバイス300の各種構成要素は、ハブ302を除き、閉鎖デバイス100、200の構成要素と同様の形、又は実質的に同じ形で組み立ててよい。一部の例では、スロット340は、ハブ302の管状部材334にレーザーで切断してよい。続いて、細長い部材311の部分のうち、球状の部材352に隣接する部分を管状部材334の各スロット340の中に挿入してよく、エンドキャップ316のリップ317と支持部材323をハブ302の内腔321にスナップフィットしてよい。
【0066】
一部の実施形態では、閉鎖デバイスは、ハブの外面と実質的に同一平面で細長い部材を折り畳めるようにするハブを備えてよい。例えば、
図10は、細長い部材311をハブ402の長手方向中心軸線441に対して平行に、且つハブ402の管状部材334と実質的に同一平面に折り畳めるようにするハブ402を備える閉鎖デバイス400の近位端404を示している。閉鎖デバイス400の各種構成要素は、ハブ402を除き、構造の面で、閉鎖デバイス300の構成要素と実質的に同様であってよい。一部の実施態様では、ハブ402は、エンドキャップ316と、管状部材334と、支持部材423とを備える。
【0067】
図11を参照すると、支持部材423は、基部425と、移行シャフト322と、細長いシャフト324とを備える。6個のチャネル426が基部425の側壁から延びており、ハブを組み立てると、チャネル426は、管状部材334の各スロット340と中心が揃う。チャネル426により、細長い部材311を管状部材334と概ね同一平面に、且つ、チャネル426に沿って折り畳めるようにでき(
図10参照)、これにより、閉鎖デバイス400が送達時の構成である時に、閉鎖デバイス400の外形を最小限にでき、それにより、閉鎖デバイス400を送達シース(例えば送達シース168)の中に挿入しやすさが向上する。閉鎖デバイス400の各種構成要素は、閉鎖デバイス100、200、及び300に関して上述した構成要素と同じ又は類似の材料で概ね形成させてよい。閉鎖デバイス400の各種構成要素は、閉鎖デバイス300の構成要素と同様の形、又は実質的に同じ形で組み立ててよい。
【0068】
一部の実施形態では、閉鎖デバイスは、細長い部材を1自由度超で移動できるようにするハブを備えてよい(例えば、第1の自由度によって旋回移動を可能にし、第2の自由度によって並進移動を可能にする)。例えば、
図12は、細長い部材311をハブ502の中心軸線541に対して平行な方向に並進可能にするとともに、中心軸線541に対して平行に、且つハブ502の管状部材334と実質的に同一平面に折り畳めるようにするハブ502を備える閉鎖デバイス500の近位端504を示している。閉鎖デバイス500の各種構成要素は、ハブ502を除き、構造の面で、閉鎖デバイス300、400の構成要素と実質的に同様であってよい。ハブ502は、エンドキャップ316と、管状部材334と、支持部材523とを備える。
【0069】
図13を参照すると、支持部材523は、基部425と、移行シャフト522と、細長いシャフト324とを備える。6個のチャネル526が、移行シャフト522の側壁から延びており、ハブを組み立てると、管状部材334の各スロット340及び基部425の各スロット426の中心が揃うことができる。チャネル526により、球状の部材352を環状ポケット領域344(
図8C参照)からチャネル526の中まで並進可能にでき、これにより、フレーム310の追従度を高めることができる。球状の部材352がスロット340に沿って様々な程度で並進移動できるように、スロット526は、移行シャフト522の長さの一部又は全体にわたって延びてよい。
図13の例では、チャネル526は半円筒形をしているが、一部の実施形態では、このようなチャネルは、別の形をしていてもよい。閉鎖デバイス500の各種構成要素は、閉鎖デバイス100、200、300、及び400に関して上述した構成要素と同じ又は類似の材料で概ね形成させてよい。閉鎖デバイス500の各種構成要素は、閉鎖デバイス300、400の構成要素と同様の形、又は実質的に同じ形で組み立ててよい。
【0070】
一部の実施形態では、閉鎖デバイスは、細長い部材を1旋回移動度超で移動可能にするハブを備えてよい。例えば、
図14は、環状ポケット領域344(
図8C参照)によって可能になる長手方向の旋回移動に加えて、細長い部材311をスロット640の中で管状部材634に沿って横方向に旋回可能にするハブ602を備える閉鎖デバイス600の近位端604を示している。スロット640は、(スロット340の)縁350と、相対する縁650とを備えるとともに、管状部材634の周囲に実質的に等間隔で配置されている。閉鎖デバイス600の各種構成要素は、ハブ602を除き、構造の面で、閉鎖デバイス300の構成要素と実質的に同様であってよい。ハブ602は、エンドキャップ316と、管状部材634と、支持部材323(図示なし)とを備える。一部の実施形態では、支持部材323は、代わりに、支持部材423又は支持部材523に置き換えてもよい。
【0071】
示されている例では、各スロット640の相対する縁650は、各スロット640の中心軸線655から実質的に等しい距離で、外向きにテーパー化されており、スロット640の縁350からの距離が長くなるにつれて、スロット640の中での細長い部材311の横方向移動度を増大させる。このように、一部の例では、閉鎖デバイス600のフレーム310により、閉鎖デバイス600を送達時の構成まで更に容易に折り畳めるようになるか、又は、LAAの幾何学的形状に更に容易に適合可能にする。
【0072】
閉鎖デバイス600の各種構成要素は、閉鎖デバイス100、200、300、400、及び500に関して上述した構成要素と同じ又は類似の材料で概ね形成させてよい。閉鎖デバイス600の各種構成要素は、閉鎖デバイス300、400、及び500の構成要素と実質的に同様の形、又は実質的に同じ形で組み立ててよい。
【0073】
一部の実施形態では、閉鎖デバイスは、スロットの中心軸線に対してテーパー化されている1つの縁と、スロットの中心軸線に対してテーパー化されていなくてもよい反対側の縁(例えば、スロットの中心軸線に対して概ね平行である反対側の縁)とを有する管状部材にスロットを有するハブを備えてよい。一部の例では、管状部材の周囲に配置されているスロットの一部又は全ては、縁の配向が同じであってもよい。このようなスロット構成により、(例えば、細長い部材が、小穴(例えば小穴106)の周りに、右巻き又は左巻きらせん状で巻き付けられている閉鎖デバイスの実施形態において、)細長い部材(例えば細長い部材311)の位置を1つの回転方向に偏らせることができる。一部の実施形態では、代わりに、縁配向が様々であるスロットを管状部材の周囲に配置してよい。このようなスロット構成により、代わりに、(例えば、一部の細長い部材が、小穴(例えば小穴106)の周りに右巻きらせん状で巻き付けられており、一部の細長い部材が、小穴の周りに、左巻きらせん状で巻き付けられている閉鎖デバイスの実施形態において、)細長い部材を様々な回転方向に偏らせることができる。
【0074】
一部の実施形態では、閉鎖デバイスは、細長い部材に取り付けられたバケット状の受容部を有するハブを備え、このバケット状の受容部は、ハブに更に取り付けられている取付ピンを介して旋回できる。例えば、
図15Aに示されているように、閉鎖デバイス例700の一部は、ハブ702の側壁734によって画定される12個のバケット状のソケット740を有するハブ702を備える。各ソケット740の内側に、対応する細長い部材111を受け入れるバケット状の受容部750が配置されている。細長い部材111は、細長い部材の受容部150への取付法に関して上記したものと同様の形で、バケット状の受容部750に取り付けてよい。別の例では、閉鎖デバイスは、12個未満又は12個超のソケットと、対応する受容部及び細長い部材とを有してよい(例えば2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、10個、14個、16個など)。
【0075】
図15B及び15Cを参照すると、この例では、各バケット受容部750は、バケット受容部750に取り付けられているとともに、バケット受容部750から延びる2本のピン735を備える。
図15Bは、受容部750から延びるピン735とともに、分離したバケット受容部750の図を示している。
図15Bには、ハブ702の分離した部分の図も示されており、バケット受容部750のないソケット740が示されている。ソケット740の相対する壁741によって画定される2つの穴739が、バケット受容部750のピン735を受け入れる。受容部750と、取り付けられた細長い部材111は、ピン735で旋回できる。例えば、受容部750と、取り付けられた細長い部材111は、ソケット740の中で、ピン735によって画定される軸線の周りを1自由度で旋回できる。
図15Cは、1つの受容部750と、ソケット740の相対する壁741の2つの穴739と嵌合した2本のピン735とを含め、ハブ702の一部を示している。一部の実施態様では(図示なし)、受容部750は、ソケット740の壁741に連結できる1本のピン735で旋回してよい。閉鎖デバイス700の各種構成要素は、閉鎖デバイス100に関して上述した構成要素と同じ又は類似の材料で形成してよい。
【0076】
本明細書で論じたいくつかのハブは、約90°の角度で、ハブの側壁(又はハブの細長い部材挿入点の近くの側壁部分に対して接線方向の平面)から延びるソケット又はポケットを備えるものとして記載してきたが、一部の実施形態では、閉鎖デバイスは、ハブの側壁から、その側壁の水平な基準軸線に対して約90°以外の角度で延びるソケット又はポケットを有するハブを備えてもよい。ソケット又はポケットがハブの側壁から、側壁の水平な基準軸線に対して延びてよい角度としては、これらに限らないが、約80°、約70°、約60°、約50°、約40°、約30°、約20°、又は約10°を挙げることができる。したがって、球状の部材(例えば、受容部150の球状の部材152、又は球状の部材352)は、らせん状に巻き付けられるフレーム構造物に、フレームの細長い部材(例えば細長い部材111、311)を配列できるようにする角度で、ソケット又はポケットの中に配置してよい。一部の例では、ソケット及び球状の部材のこのような構成は、その閉鎖デバイスの1つの端部に2つ以上のハブを備える閉鎖デバイスに搭載してよい。閉鎖デバイスの一部の実施態様は、閉鎖デバイスの1つの端部に、2つ以上のハブを備えることができ、この場合、第1のハブは、第1の方向(例えば、左方向、すなわち反時計方向)で巻き付けられる細長い部材を終結させ、第2のハブは、第2の方向(例えば、右方向、すなわち時計回り方向)で巻き付けられる細長い部材を終結させる。このようなハブ配置により、例えば、第1の方向で巻き付けられる細長い部材と、第2の方向で巻き付けられる細長い部材の数を等しくできる。
【0077】
同様に、ソケット又はポケットは、ハブの側壁の垂直な基準軸線に対して、各種角度で、ハブの側壁から(又は細長い部材侵入点の近くの側壁部分に対して接線方向の平面からハブまで)延びることができる。ソケット又はポケットが、側壁の垂直な基準軸線に対して、ハブの側壁から延びてよい角度としては、約80°、約70°、約60°、約50°、約40°、約30°、約20°、又は約10°を挙げることができるが、これらに限らない。例えば、細長い部材によって形成される特定の形を有するデバイス又はデバイス部分をもたらすように、このような角度は様々であってよい。一部の実施態様では、垂直な基準軸線に対して約45°の侵入角度により、凸状の外形を有する閉鎖部材115(
図1参照)が得られる。
【0078】
本明細書で論じられているハブのいくつかは、球状の部材又は細長い部材をソケット及びスロットに対して旋回可能にするか、長手方向に(ハブの長手方向中心軸線に対して)並進移動させるものとして記載されているが、一部の実施形態では、閉鎖デバイスは、球状の部材又は細長い部材を、そのソケット又はスロット内で、ハブの中心軸線から径方向に並進移動可能にするソケット又はスロットを有するハブを備えてよい。例えば、一部の実施態様によれば、球状の部材又は細長い部材は、ハブの長手方向中心軸線の方に、又はハブの長手方向中心軸線から離れるように移動してよい。一部の実施態様では、このような移動は、ハブの長手方向中心軸線に対して実質的に垂直であってよく、一部の実施態様では、チャネル又はソケットは、他の角度(例えば約120°、約110°、約100°、約80°、約70°、約60°、又はその他の適切な角度)での移動を可能にするように構成されていてよい。一部の実施形態では、このようなソケット又はスロットが、球状の部材を好ましい径方向の位置に偏向させることができるように、このようなソケット又はスロットの幅は、中心軸線に対する径方向である方向で変化する幅であってよい。閉鎖デバイスのこのような実施形態は、閉鎖デバイスのフレームに、更なる追従度をもたらすことができる。
【0079】
本明細書で論じたハブのいくつかは、(例えば、
図3Aで矢印153によって示されているように、)細長い部材を1自由度で自由に旋回可能にするものとして記載されているが、一部の実施形態では、閉鎖デバイスは、細長い部材をハブから2又は3自由度で旋回可能にするハブを備えてよい。例えば、閉鎖デバイスは、細長い部材を3次元に、(すなわち何れの方向にも、)3自由度で、取付点からハブに沿って旋回可能にするような形で、ハブにつなげる細長い部材を備えてよい。一部の例では、このようなハブは、取付点をリビングヒンジとしてもたらす射出成形プロセスを用いて作製してよい。一部の実施形態では、このような閉鎖デバイスは、受容部(例えば受容部150)で終端する細長い部材(例えば細長い部材111)、又はその細長い部材の端部に球状の部材(例えば球状の部材352)を有する細長い部材(例えば細長い部材311)を備えてよい。
【0080】
別の例では、閉鎖デバイスは、ハブ(例えばドーナッツ状のハブ)の側壁から延びる半球状のポケットと、その細長い部材の端部に球状の部材(例えば、球状の部材352と同様の球状の部材)を有するそれぞれの細長い部材(例えば細長い部材311)とを有し、球状の部材を半球状のポケットに連結できるようになっているハブを備えてよい。一部の例では、球状の部材は、合わせ目、別のひも状の部材、又はその他の細長い可撓性部材のような連結部材によって、半球状のポケットに連結してよい。一部の実施形態では、連結部材は、ハブを通って延びても、球状の部材の周囲に巻き付けられてもよい。ハブに連結されている球状の部材のこのような構成により、細長い部材が、あらゆる方向で、(すなわち3自由度で、)半球状のポケットから旋回可能になる。
【0081】
閉鎖デバイス100、200、300、400、500、600、700、800は、LAAとの関連で記載されているが、一部の実施形態では、閉鎖デバイス100、200、300、400、500、600、700、800を用いて、右心耳、瘻穴、動脈管、中隔欠損、弁傍漏出、動静脈奇形、又は生体脈管など、患者体内の他の開口を閉鎖したり、又はふさいだりできる。
【0082】
本明細書で論じた例は、閉鎖デバイスに焦点を当てているが、埋入可能なデバイス及びアクセサリーの両方を含む他のタイプの医療用デバイスとともに、本明細書に記載されているハブアセンブリーを用いてよいことも考えられる。埋入可能なデバイス及びアクセサリーの例としては、閉鎖及び閉塞デバイス、フィルター(例えば下大静脈フィルター若しくは塞栓保護フィルター)、カテーテルベースのグラバー若しくは取り出しデバイス、一時的濾過デバイス、又は血管サイザーが挙げられるが、これらに限らない。
【0083】
本明細書で論じたデバイスの送達、展開、再配置、及び取り出しに用いることができる送達システムデバイス、システム、及び技法の更なる例に関しては、発明者がSteven J.Masters及びThomas R.McDanielであり、2012年11月16日に提出された「Implantable Medical Device Deployment System」という名称の仮出願(米国特許出願第61/727,328号明細書という番号が付された出願)、及び発明者がSteven J.Masters及びThomas R.McDanieiであり、2013年3月15日に提出された「Implantable Medical Device Deployment System」という名称の非仮出願特許出願を参照されたい(これらの開示内容は、本開示の一部とみなすとともに、参照により、あらゆる目的において、その全体が(図面を含む)本開示に明確に援用される)。
【0084】
本明細書に記載されているハブ機構を用いることができる医療用デバイスの更なる例に関しては、発明者がCoby C.Larsen、Brandon A.Lurie、Steven J.Masters、Thomas R.McDaniei、及びStanislaw L.Zukowskiであり、2012年11月に16日に提出された「Space Filling Devices」という名称の仮特許出願(米国特許出願第61/727,458号明細書)、並びに、発明者がCoby C.Larsen、Brandon A.Lurie、Steven J.Masters、Thomas R.McDaniei、及びStanislaw L.Zukowskiであり、2013年3月15日に提出された「Space Filling Devices」という名称の仮特許出願を参照されたい(これらの開示内容は、本開示の一部とみなすとともに、参照により、あらゆる目的において、その全体が(図面を含む)本開示に明確に援用される)。
【0085】
上記の説明では、デバイス及び/又は方法の構造及び機能の詳細とともに、各種代替形態を含め、いくつかの特徴及び利点が示されている。本開示は、例示を意図しているに過ぎず、包括的とは意図されていない。特に、組み合わせを含め、部品の構造、材料、要素、構成要素、形、大きさ、及び配置の点で、本明細書に記載の原理内で、添付の特許請求の範囲が表される用語の広義の一般的な意味によって示される最大限の範囲まで、各種の修正を行えることは当業者には明らかであろう。これらの各種の修正が、添付の特許請求の範囲の趣旨及び範囲から逸脱しない限り、それらの修正は、本発明に包含されるように意図されている。本明細書で言及した何れの参考文献、刊行物、及び特許も、それらに含まれる図及び図面を含め、参照によりその全体が援用される。