特許第6696779号(P6696779)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6696779
(24)【登録日】2020年4月27日
(45)【発行日】2020年5月20日
(54)【発明の名称】押しボタン用アタッチメント
(51)【国際特許分類】
   A61G 12/00 20060101AFI20200511BHJP
【FI】
   A61G12/00 E
   A61G12/00 D
【請求項の数】2
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2016-10819(P2016-10819)
(22)【出願日】2016年1月22日
(65)【公開番号】特開2017-127588(P2017-127588A)
(43)【公開日】2017年7月27日
【審査請求日】2018年12月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】591253593
【氏名又は名称】株式会社ケアコム
(74)【代理人】
【識別番号】100105784
【弁理士】
【氏名又は名称】橘 和之
(72)【発明者】
【氏名】山本 美佳
【審査官】 小原 正信
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−119200(JP,A)
【文献】 特開2013−198634(JP,A)
【文献】 実開昭62−057834(JP,U)
【文献】 特開2002−078911(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61G 12/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ナースコールシステムに使用される円盤形状の無線押しボタン式子機に装着されて、当該無線押しボタン式子機の円盤状の筐体の上面側に設けられた押しボタンの操作を介助する押しボタン用アタッチメントであって、
ウジングの上面に、上記ハウジングの前方側から後方側に向かって延在するように、少なくとも上記ハウジングの前方側にある操作面が周囲の上記ハウジングよりも上方に突出する状態で設けられ、上記操作面とは反対側である後方側の端部を支点として上下方向に回動可能に成された操作部と、
上記操作部の後方側の上記端部の付近の内面に設けられ、上記操作部が下方に回動された状態である場合に上記押しボタンを押圧する突起部と
上記ハウジングの内面に設けられたリブにより上記突起部と対向する位置に上記無線押しボタン式子機を収納するためのスペースを形成し、当該スペース内に収納される上記無線押しボタン式子機の筐体の側面および底面を支持する支持部とを備え
上記ハウジングは、上記スペース内に収納される上記無線押しボタン式子機の底面は覆わずに側面から上面にかけた部分を覆うように形成され、
上記支持部は、上記ハウジングの内面の左右方向および後方向の合計3方向に上記リブを備えて上記スペースを形成し、上記リブが備えられていない上記ハウジングの前方側から後方側に向かって、3方向の上記リブで囲まれた上記スペース内に上記無線押しボタン式子機をスライドさせて挿入可能に構成されている
ことを特徴とする押しボタン用アタッチメント。
【請求項2】
上記操作部の下方への回動を制限するストッパを更に備えたことを特徴とする請求項1に記載の押しボタン用アタッチメント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナースコールシステムに使用される押しボタン式子機用のアタッチメントに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、病院や介護施設などでは、ナースコールシステムが用いられている。ナースコールシステムは、ナースコール子機とナースコール親機とを備えて構成され、患者や被介護者(以下、単に患者という)がナースコール子機の呼出ボタンを押下して呼び出しを行うと、呼び出しが行われたことがナースコール親機にて報知されるようになっている。
【0003】
ところで、ナースコール子機には様々なタイプのものがある。その1つに、図6(a)に示すような握り押しボタン式子機100がある。握り押しボタン式子機100は、手のひらに納まる胴部101と、この胴部101の端部に設けられた押しボタン102とを有している。したがって、握り押しボタン式子機100を片手で操作する場合、押しボタン102は、親指で操作される。
【0004】
また、図6(b)に示すような円盤状の無線押しボタン式子機200も存在する。この無線押しボタン式子機200は、円盤状の筐体201の上面側の中央部に設けられた押しボタン202を有している。この無線押しボタン式子機200を操作する場合、4本指で筐体201を支えながら親指で押しボタン202が操作される。あるいは、筐体201をベッド等に置いた状態で、何れかの指で押しボタン202が操作される。
【0005】
なお、握り押しボタン式子機100を握ったり、親指で押しボタン102を押したりすることができない患者のために、手のひらや手の甲などで押下することにより握り押しボタン式子機100を操作可能にするアタッチメントが提案されている(例えば、特許文献1参照)。握り押しボタン式子機100にこのアタッチメントが装着されていれば、患者は、アタッチメントの操作部を手のひらや拳で叩いたり押したりすることで、握り押しボタン式子機100を手のひらで握って押しボタン102を親指で押すのと同じように操作することが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−119200号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記特許文献1に記載のアタッチメントは、無線押しボタン式子機200には装着することができない。無線押しボタン式子機200では、患者の意図しない何気ない誤操作を防止するために、円盤状の筐体201の上面側の中央における周囲よりも窪んだ部分に押しボタン202が設けられているため、これを手のひらや手の甲などで押下することができない。そのため、指を自由に動かすことができない患者は、押しボタン202を押下することができないという問題があった。
【0008】
本発明は、このような問題を解決するために成されたものであり、指を自由に動かすことができない患者であっても、無線押しボタン式子機の押しボタンを手のひらや手の甲などで押下することができるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記した課題を解決するために、本発明では、ハウジングの内面に、円盤形状の無線押しボタン式子機の筐体を支持する支持部を設ける一方、ハウジングの上面に、ハウジングの前方側にある操作面とは反対側である後方側の端部を支点として上下方向に回動可能に成された操作部を設け、さらに、操作部の後方側の端部の付近の内面に、操作部が下方に回動された状態である場合に無線押しボタン式子機の円盤状の筐体の上面側に設けられた押しボタンを押圧する突起部を備えるようにしている。操作部は、少なくとも操作面が周囲よりも上方に突出する状態でハウジングの上面に設けるようにする。ハウジングは、スペース内に収納される無線押しボタン式子機の底面は覆わずに側面から上面にかけた部分を覆うように形成される。また、支持部は、ハウジングの内面の左右方向および後方向の合計3方向にリブを備えることにより、突起部と対向する位置に無線押しボタン式子機を収納するためのスペースを形成し、リブが備えられていないハウジングの前方側から後方側に向かって、3方向のリブで囲まれたスペース内に無線押しボタン式子機をスライドさせて挿入可能に構成するとともに、当該スペース内に収納される無線押しボタン式子機の筐体の側面および底面を支持するように構成している。
【発明の効果】
【0010】
上記のように構成した本発明によれば、操作部の操作面に力を加えると、当該操作面とは反対側の端部を支点として操作部が下方に回動した状態となり、回動した操作部の内面に設けられている突起部によって、無線押しボタン式子機の窪んだ部分に設けられている押しボタンが押下されることとなる。操作面は、周囲のハウジングよりも突出した状態で設けられているので、患者は、操作面を手のひらや手の甲などで押下することが可能である。これにより、患者は、操作面を手のひらや手の甲などで押下するだけで、無線押しボタン式子機の押しボタンを指で押すのと同じように操作することができる。また、操作部の操作面(力点)と端部(支点)との間の内面に突起部(作用点)が設けられているので、第2種てこの原理により、無線押しボタン式子機の押しボタンを直接押すのに必要な力よりも小さい力で押しボタンを操作することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本実施形態による押しボタン用アタッチメントの構成例を示す斜視図である。
図2】本実施形態による押しボタン用アタッチメントの構成例を示す上面図である。
図3】本実施形態による押しボタン用アタッチメントの構成例を示す底面図である。
図4】本実施形態の押しボタン用アタッチメントを無線押しボタン式子機に装着した状態を示す断面図である。
図5】無線押しボタン式子機が支持された状態を示す図である。
図6】従来の押しボタン式子機の構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。図1図3は、本実施形態による押しボタン用アタッチメント10の構成例を示す図であり、図1は上面側方側から見た斜視図、図2は上面図、図3は底面図を示している。また、図4は、本実施形態の押しボタン用アタッチメント10を図6(b)に示す無線押しボタン式子機200に装着した状態を示すA−A断面図である。図5は、無線押しボタン式子機200が支持された状態を示す図である。なお、図4は断面の概略を示し、図示を一部省略してある。
【0013】
本実施形態の押しボタン用アタッチメント10は、無線押しボタン式子機200に装着されて、当該無線押しボタン式子機200の押しボタン202の操作を介助するものである。
【0014】
図1および図2に示すように、本実施形態の押しボタン用アタッチメント10は、ハウジング11の上面に操作部12を有している。操作部12は、円形の操作面12aと、この操作面12aから水平方向に延伸するように形成された可動部12bとから構成されている。ハウジング11と操作部12は、弾力性を有する樹脂により一体的に構成されている。
【0015】
操作部12の少なくとも操作面12aは、周囲のハウジング11よりも上面側に突出する状態で設けられている。また、操作部12は、操作面12aとは反対側の端部(可動部12bの根本部分)を支点として、上下方向に回動可能に構成されている。これにより患者は、操作面12aを手のひらや手の甲などで押下することが可能となっている。
【0016】
具体的には、ハウジング11と操作部12との間には、操作部12の形状に沿って、回動の支点となる可動部12bの根本以外の部分に空隙13が形成されている。これにより、可動部12bの根元部分を支点として、操作部12をハウジング11に対して底面側(下方)に折り曲げ可能となっている。すなわち、操作面12aに対して下方への力を加えると、操作部12は、可動部12bの根本部分を支点として下方に回動する。そして、操作面12aに力が加わらなくなると、操作部12は、可動部12bの根本部分を支点として上方に回動し、元の状態に戻る。
【0017】
なお、本実施形態では、図3および図4に示すように、操作部12の下方への回動を制限するストッパ15を備えている。すなわち、ハウジング11の前方側(操作部12の操作面12aがある方向)の内面にストッパ15が立設されており、操作面12aが下方にある程度回動したときに、当該操作面12aの底部がストッパ15に当たって、それよりも下方へは操作面12aが回動しないようになっている。これにより、必要以上に操作面12aが下方に押し込まれないようにすることができる。
【0018】
図3に示すように、本実施形態の押しボタン用アタッチメント10は、ハウジング11の内面に、無線押しボタン式子機200の筐体201を支持する支持部14(14a,14b,14c)を備えている。支持部14は、無線押しボタン式子機200の筐体201の少なくとも外周面の一部を覆うことにより、当該筐体201を支持する。これにより、無線押しボタン式子機200の側面から上面にかけた部分をハウジング11が覆うことになる。
【0019】
具体的には、支持部14は、無線押しボタン式子機200の筐体201の側面および底面を支持するリブ14a,14b,14cを複数方向に備えている。本実施形態では、図3に示すように、ハウジング11の内面の左右方向および後方向(操作部12の可動部12bがある方向)の合計3方向に、ハウジング11の内面からリブ14a,14b,14cを立設している。一方、ハウジング11の内面の前方向(操作部12の操作面12aがある方向)には、リブを設けていない。また、図5に示すように、複数のリブ14a,14b,14cは、底面側がかぎ状に形成されている。
【0020】
これにより、リブ14a,14b,14cが備えられていない方向(ハウジング11の前方向。図3の場合は図面左方向、図5の場合は図面手前方向)から、操作部12の回動方向と直交する方向(ハウジング11の後方向。図3の場合は図面右方向、図5の場合は図面奥方向)に沿って、複数方向のリブ14a,14b,14cで囲まれたスペース内に無線押しボタン式子機200をスライドさせて挿入可能に構成されている。そして、スペース内に挿入された無線押しボタン式子機200は、複数のリブ14a,14b,14cにより、押しボタン用アタッチメント10から容易に脱落しないようになっている。
【0021】
なお、図3の例では、左右方向および後方向のそれぞれの方向に4個ずつのリブを設けている。そして、各リブ14a,14b,14cの側壁面が、円盤形状をした無線押しボタン式子機200の筐体201の側面に沿うように、当該円盤形状の直径よりやや大きい直径の円周上に並ぶように設けられている。なお、ここに示したリブ14a,14b,14cの数は一例であり、これに限定されるものではない。
【0022】
操作部12の可動部12bがある位置の内面(操作面12aと、回動の支点となる可動部12bの端部との間の内面)には、突起部16が設けられている。この突起部16は、操作部12が下方に回動された状態である場合に、リブ14a,14b,14cのスペース内に収納された無線押しボタン式子機200の押しボタン202を下方に押圧する。上述のように、無線押しボタン式子機200の押しボタン202は、筐体201の上面側の中央における窪んだ部分に設けられているが、突起部16がこの押しボタン202に当接して押下することができるようになされている。
【0023】
以上のように、本実施形態では、ハウジング11の内面に、無線押しボタン式子機200の筐体201を支持する支持部14を設ける一方、ハウジング11の上面に、操作面12aとは反対側の可動部12bの端部を支点として上下方向に回動可能に成された操作部12を設け、さらに、操作部12の内面に、操作部12が下方に回動された状態である場合に無線押しボタン式子機200の押しボタン202を押圧する突起部16を備えるようにしている。
【0024】
このように構成した本実施形態の押しボタン用アタッチメント10によれば、操作部12の操作面12aに力を加えると、当該操作面12aとは反対側の可動部12bの端部を支点として操作部12が下方に回動した状態となり、回動した操作部12の内面に設けられている突起部16により、無線押しボタン式子機200の窪んだ部分に設けられている押しボタン202が押下されることとなる。
【0025】
ここで、操作面12aは、周囲のハウジング11よりも上面側に突出した状態で設けられているので、患者は、操作面12aを手のひらや手の甲などで押下することが可能である。これにより、患者は、操作面12aを手のひらや手の甲などで押下するだけで、無線押しボタン式子機200の押しボタン202を指で押すのと同じように操作することができる。
【0026】
また、操作部12の操作面12a(力点)と可動部12bの端部(支点)との間の内面に突起部16(作用点)が設けられているので、第2種てこの原理により、無線押しボタン式子機200の押しボタン202を直接押すのに必要な力よりも小さい力で押しボタン202を操作することができる。特に、本実施形態では、可動部12bの根本付近に突起部16が設けられているので、より小さい力で押しボタン202を操作することが可能である。
【0027】
また、本実施形態では、ハウジング11の内面の3方向にリブ14a,14b,14cを設け、リブ14a,14b,14cが備えられていない方向から、操作部12の回動方向と直交する方向に沿って、複数方向のリブ14a,14b,14cで囲まれたスペース内に無線押しボタン式子機200をスライドさせて挿入可能に構成している。そのため、単に無線押しボタン式子機200をスライドさせて挿入するだけの操作で、無線押しボタン式子機200に押しボタン用アタッチメント10を簡単に装着することができる。しかも、装着後に操作部12を介して無線押しボタン式子機200の押しボタン202に力を加えても、無線押しボタン式子機200が押しボタン用アタッチメント10から脱落しないようにすることができる。
【0028】
なお、上記実施形態では、操作面12aを円形とする例について説明したが、この形状には限定されない。すなわち、操作面12aが周囲のハウジング11よりも上面側に突出する状態で設けられていればよく、その形状は任意に設計することが可能である。
【0029】
また、上記実施形態では、支持部14を複数方向のリブ14a,14b,14cにより形成する例について説明したが、本発明はこれに限定されない。すなわち、操作部12が下方に回動されたときに、可動部12bの内面に設けた突起部16が無線押しボタン式子機200の押しボタン202を下方に押圧する状態に無線押しボタン式子機200を支持するようにすればよく、支持部14の形状は上記実施形態のものに限定されない。
【0030】
また、上記実施形態では、可動部12bの内面に突起部16を設け、可動部12bと対向する位置に無線押しボタン式子機200が収納されるように、支持部14をハウジング11の後寄りに設ける例について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、操作面12aの内面に突起部16を設け、操作面12aと対向する位置に無線押しボタン式子機200が収納されるように、支持部14をハウジング11の前寄りに設けるようにしてもよい。この場合、ストッパ15は不要である。
【0031】
その他、上記実施形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の一例を示したものに過ぎず、これによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその精神、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
【符号の説明】
【0032】
10 押しボタン用アタッチメント
11 ハウジング
12 操作部
12a 操作面
12b 可動部
13 空隙
14 支持部
14a,14b,14c リブ
15 ストッパ
16 突起部
図1
図2
図3
図4
図5
図6