特許第6696784号(P6696784)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6696784カード状媒体計数機構およびカード状媒体収容装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6696784
(24)【登録日】2020年4月27日
(45)【発行日】2020年5月20日
(54)【発明の名称】カード状媒体計数機構およびカード状媒体収容装置
(51)【国際特許分類】
   G06M 7/06 20060101AFI20200511BHJP
   G06M 9/00 20060101ALI20200511BHJP
   G07D 11/00 20190101ALI20200511BHJP
   B65H 7/14 20060101ALI20200511BHJP
【FI】
   G06M7/06 D
   G06M9/00 Z
   G07D11/00 391Z
   B65H7/14
【請求項の数】6
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2016-13657(P2016-13657)
(22)【出願日】2016年1月27日
(65)【公開番号】特開2017-37624(P2017-37624A)
(43)【公開日】2017年2月16日
【審査請求日】2018年12月7日
(31)【優先権主張番号】62/202,436
(32)【優先日】2015年8月7日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】000002233
【氏名又は名称】日本電産サンキョー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100125690
【弁理士】
【氏名又は名称】小平 晋
(74)【代理人】
【識別番号】100090170
【弁理士】
【氏名又は名称】横沢 志郎
(74)【代理人】
【識別番号】100142619
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100153316
【弁理士】
【氏名又は名称】河口 伸子
(72)【発明者】
【氏名】太田 恵治
【審査官】 池田 剛志
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭61−272892(JP,A)
【文献】 特開2008−052600(JP,A)
【文献】 特開平04−322550(JP,A)
【文献】 特開2014−163873(JP,A)
【文献】 特開平09−022452(JP,A)
【文献】 特開平09−050553(JP,A)
【文献】 特開平09−255170(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 7/00− 7/20
43/00−43/08
G06M 7/00−15/00
G07D11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カード状媒体の枚数を算出するカード状媒体計数機構において、
前記カード状媒体の厚さ方向で重なるように収容された前記カード状媒体の枚数を算出するための複数の光学式のセンサと、複数の前記センサが搭載されるキャリッジと、前記カード状媒体の端面に沿って前記カード状媒体の厚さ方向へ複数の前記センサが移動するように前記キャリッジを移動させるキャリッジ駆動機構とを備え、
前記センサの発光素子の光の射出方向と前記カード状媒体の厚さ方向とに直交する方向を第1方向とすると、
複数の前記センサのそれぞれは、前記カード状媒体の厚さ方向で互いにずれるとともに前記第1方向で互いにずれた状態で前記キャリッジに搭載されていることを特徴とするカード状媒体計数機構。
【請求項2】
前記センサは、前記カード状媒体に向かって光を射出する発光素子と、前記カード状媒体で反射された光を受光する受光素子とを備える反射型の光学式センサであることを特徴とする請求項1記載のカード状媒体計数機構。
【請求項3】
前記キャリッジに固定される回路基板を備え、
前記回路基板には、前記センサの出力信号を処理する処理回路が実装され、
前記センサは、前記回路基板に実装されていることを特徴とする請求項1または2記載のカード状媒体計数機構。
【請求項4】
請求項1から3のいずれかに記載のカード状媒体計数機構と、複数の前記カード状媒体が前記カード状媒体の厚さ方向で重なるように収容されるカード状媒体収容部とを備え、
前記カード状媒体計数機構は、前記カード状媒体収容部に取り付けられ、前記カード状媒体収容部に収容された前記カード状媒体の枚数を算出することを特徴とするカード状媒体収容装置。
【請求項5】
前記センサは、前記カード状媒体に向かって光を射出する発光素子と、前記カード状媒体で反射された光を受光する受光素子とを備える反射型の光学式センサであり、
前記カード状媒体の厚さ方向の一方を第2方向とすると、
前記カード状媒体の枚数の計測前に、前記キャリッジは、前記カード状媒体収容部内で最も前記第2方向側に配置される前記カード状媒体よりも前記センサが前記第2方向側に配置されるホームポジションで待機しており、
前記キャリッジが前記ホームポジションにあるときの前記センサに対向する位置には、補正用マークが設けられ、
前記発光素子から射出され、前記補正用マークで反射された光の前記受光素子での検出結果に基づいて前記センサの感度が自動補正されることを特徴とする請求項記載のカード状媒体収容装置。
【請求項6】
前記カード状媒体計数機構は、前記キャリッジを移動可能に保持するとともに前記キャリッジ駆動機構が取り付けられるフレーム部を備え、
前記フレーム部は、前記カード状媒体収容部に着脱可能に取り付けられていることを特徴とする請求項4または5記載のカード状媒体収容装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、厚さ方向で重なるように収容されるカード状媒体の枚数を算出するカード状媒体計数機構に関する。また、本発明は、かかるカード状媒体計数機構を備えるカード状媒体収容装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、積層状態で収容部に収容された通帳の冊数を算出するための紙葉類計数装置が知られている(たとえば、特許文献1参照)。特許文献1に記載の紙葉類計数装置は、発光素子と受光素子とを有する反射型の2個の光学式センサを備えている。2個の光学式センサは、通帳の背にあたる辺と平行に並列配置されている。また、2個の光学式センサは、収容部に収容される通帳の厚さ方向へ移動可能となっている。この紙葉類計数装置は、通帳が配置された位置を光学式センサが通過するときの光学式センサの出力信号(すなわち、受光素子の出力信号)のレベル(出力信号のピーク)と、積層された通帳の間を光学式センサが通過するときの光学式センサの出力信号のレベル(出力信号のボトム)とに基づいて、収容部に収容された通帳の冊数を算出している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−65378号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の紙葉類計数装置では、積層状態で収容部に収容された通帳間の隙間が狭いため、光学式センサの出力信号のピークとボトムとの差が小さい。したがって、この紙葉類計数装置では、ノイズの影響で光学式センサの出力信号のピークとボトムとを適切に検出することができなくなるおそれがあり、その結果、通帳の冊数の算出精度が低下するおそれがある。
【0005】
そこで、本発明の課題は、厚さ方向で重なるように収容されるカード状媒体の枚数を算出するカード状媒体計数機構において、カード状媒体の枚数の算出精度を高めることが可能なカード状媒体計数機構を提供することにある。また、本発明の課題は、かかるカード状媒体計数機構を備えるカード状媒体収容装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するため、本発明のカード状媒体計数機構は、カード状媒体の枚数を算出するカード状媒体計数機構において、カード状媒体の厚さ方向で重なるように収容されたカード状媒体の枚数を算出するための複数の光学式のセンサと、複数のセンサが搭載されるキャリッジと、カード状媒体の端面に沿ってカード状媒体の厚さ方向へ複数のセンサが移動するようにキャリッジを移動させるキャリッジ駆動機構とを備え、複数のセンサのそれぞれは、カード状媒体の厚さ方向で互いにずれるとともに第1方向で互いにずれた状態でキャリッジに搭載されていることを特徴とする。
【0007】
本発明において、センサは、たとえば、カード状媒体に向かって光を射出する発光素子と、カード状媒体で反射された光を受光する受光素子とを備える反射型の光学式センサである。
【0008】
本発明のカード状媒体計数機構では、複数のセンサのそれぞれは、カード状媒体の厚さ方向において互いにずれた状態でキャリッジに搭載されている。そのため、本発明では、カード状媒体の厚さ方向でずれている複数のセンサのそれぞれが同一のカード状媒体の端面を通過する時刻がずれる。したがって、本発明では、カード状媒体の厚さ方向でずれている複数のセンサのそれぞれから出力される検出タイミングのずれた複数の出力信号に基づいて、カード状媒体の枚数を算出することが可能になる。したがって、本発明では、カード状媒体の枚数の算出精度を高めることが可能になる。
【0009】
また、本発明では、カード状媒体の厚さ方向でずれている複数のセンサのそれぞれから出力される検出タイミングのずれた複数の出力信号に基づいて、たとえば、キャリッジの移動速度の変動によってセンサの出力信号のピークの間隔が広くなったのか、それとも、カード状媒体の間に異物が混入しておりカード状媒体間の隙間が広くなっているためにセンサの出力信号のピークの間隔が広くなったのかを判別することが可能になる。また、本発明では、カード状媒体の厚さ方向でずれている複数のセンサのそれぞれから出力される検出タイミングのずれた複数の出力信号に基づいて、たとえば、キャリッジの移動速度の変動によってセンサの出力信号のピークの間隔やボトムの間隔が広くなったり狭くなったりしたのか、それとも、厚さの異なるカード状媒体が混在しているためにセンサの出力信号のピークの間隔やボトムの間隔が広くなったり狭くなったりしたのかを判別することが可能になる。したがって、本発明では、カード状媒体間に異物が混入していることを検出したり、厚さの異なるカード状媒体が混在していることを検出したりすることが可能になる。また、本発明では、センサの発光素子の光の射出方向とカード状媒体の厚さ方向とに直交する方向を第1方向とすると、複数のセンサのそれぞれは、カード状媒体の厚さ方向で互いにずれるとともに第1方向で互いにずれた状態でキャリッジに搭載されているため、カード状媒体の厚さ方向および第1方向でずれている複数のセンサのそれぞれから出力される検出タイミングおよび検出位置のずれた複数の出力信号に基づいて、カード状媒体の枚数を算出することが可能になる。したがって、カード状媒体の枚数の算出精度をより高めることが可能になる。
【0010】
本発明において、カード状媒体計数機構は、キャリッジに固定される回路基板を備え、回路基板には、センサの出力信号を処理する処理回路が実装され、センサは、回路基板に実装されていることが好ましい。このように構成すると、処理回路が実装される回路基板とは別の回路基板にセンサが実装され、処理回路が実装される回路基板とセンサが実装される回路基板とがケーブルを介して接続されている場合と比較して、ノイズの影響の少ないセンサの出力信号を処理回路で処理することが可能になる。したがって、カード状媒体が配置された位置をセンサが通過するときのセンサの出力信号のレベルと、カード状媒体の間をセンサが通過するときのセンサの出力信号のレベルとの差が小さくても、カード状媒体の枚数の算出精度を高めることが可能になる。
【0012】
本発明のカード状媒体計数機構は、複数のカード状媒体がカード状媒体の厚さ方向で重なるように収容されるカード状媒体収容部を備えるカード状媒体収容装置に用いることができ、このカード状媒体収容装置では、カード状媒体計数機構は、カード状媒体収容部に取り付けられ、カード状媒体収容部に収容されたカード状媒体の枚数を算出する。このカード状媒体収容装置では、カード状媒体の枚数の算出精度を高めることが可能になる。また、このカード状媒体収容装置では、カード状媒体間に異物が混入していることを検出したり、厚さの異なるカード状媒体が混在していることを検出したりすることが可能になる。
【0013】
本発明において、センサは、カード状媒体に向かって光を射出する発光素子と、カード状媒体で反射された光を受光する受光素子とを備える反射型の光学式センサであり、カード状媒体の厚さ方向の一方を第2方向とすると、カード状媒体の枚数の計測前に、キャリッジは、カード状媒体収容部内で最も第2方向側に配置されるカード状媒体よりもセンサが第2方向側に配置されるホームポジションで待機しており、キャリッジがホームポジションにあるときのセンサが対向する位置には、補正用マークが設けられ、センサの発光素子から射出され、補正用マークで反射された光の受光素子での検出結果に基づいてセンサの感度が自動補正されることが好ましい。このように構成すると、たとえば、カード状媒体収容装置の環境条件の変動やカード状媒体収容装置の使用時間等の影響で、発光素子の光量や受光素子の出力が変動しても、感度が自動補正された後のセンサの出力信号に基づいて、カード状媒体の枚数を精度良く算出することが可能になる。
【0014】
本発明において、カード状媒体計数機構は、キャリッジを移動可能に保持するとともにキャリッジ駆動機構が取り付けられるフレーム部を備え、フレーム部は、カード状媒体収容部に着脱可能に取り付けられていることが好ましい。このように構成すると、フレーム部を用いてカード状媒体計数機構をユニット化することが可能になる。したがって、カード状媒体計数機構を備えていないカード状媒体収容装置にカード状媒体計数機構を容易に取り付けることが可能になるとともに、カード状媒体計数機構を備えるカード状媒体収容装置からカード状媒体計数機構を容易に取り外すことが可能になる。
【発明の効果】
【0015】
以上のように、本発明では、厚さ方向で重なるように収容されるカード状媒体の枚数を算出するカード状媒体計数機構において、カード状媒体の枚数の算出精度を高めることが可能になる。また、本発明のカード状媒体収容装置では、カード状媒体の枚数の算出精度を高めることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の実施の形態にかかるカード状媒体収容装置の斜視図である。
図2図1に示すカード状媒体収容装置を別の角度から示す斜視図である。
図3図1に示すカード状媒体収容部に収容されるカード状媒体の平面図である。
図4図1に示すカード状媒体収容装置からカード状媒体計数機構を取り外した状態の斜視図である。
図5図1に示すカード状媒体収容装置の一部の平面図である。
図6図4に示すカード状媒体収容部の右側壁部の上端側の一部の側面図である。
図7図4に示すカード状媒体収容部の右側壁部の下端側の一部の側面図である。
図8図1に示すカード状媒体計数機構の斜視図である。
図9図8に示すカード状媒体計数機構の側面図である。
図10図8に示すセンサの感度を補正するための補正用マークの取付位置を説明するための概略図である。
図11図9に示すセンサ、キャリッジおよび回路基板を抜き出して示す図である。
図12図8に示す回路基板の構成および接続関係を説明するためのブロック図である。
図13図8に示すセンサの出力信号の一例を示す図である。
図14図8に示すセンサの出力信号の一例を示す図である。
図15図8に示すセンサの出力信号の一例を示す図である。
図16図8に示すセンサの出力信号の一例を示す図である。
図17】本発明の他の実施の形態にかかるセンサの配置を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。
【0018】
(カード状媒体収容装置の概略構成)
図1は、本発明の実施の形態にかかるカード状媒体収容装置1の斜視図である。図2は、図1に示すカード状媒体収容装置1を別の角度から示す斜視図である。図3は、図1に示すカード状媒体収容部3に収容されるカード状媒体2の平面図である。
【0019】
本形態のカード状媒体収容装置1は、カード状媒体2の厚さ方向で重なる複数のカード状媒体2を収容するための装置である。本形態のカード状媒体2は、厚さが0.7〜0.8mm程度の長方形状の塩化ビニール製のカードである。したがって、以下では、カード状媒体2を「カード2」とし、カード状媒体収容装置1を「カード収容装置1」とする。カード収容装置1は、カード2を発行するためのカード発行装置(図示省略)に搭載されて使用される。このカード発行装置は、たとえば、銀行等に設置されており、新規の顧客に渡される新規のカード2(キャッシュカード)を発行する。このカード発行装置は、カードリーダやカードプリンタ等を備えている。
【0020】
カード収容装置1は、複数枚のカード2がカード2の厚さ方向で重なるように収容されるカード状媒体収容部としてのカード収容部3と、カード収容部3に収容されたカード2の枚数を算出するカード状媒体計数機構としてのカード計数機構4と、カード収容部3に収容されたカード2を1枚ずつ送り出すカード送出機構5(図2参照)とを備えている。カード収容部3には、複数枚のカード2が積層されて収容されている。すなわち、カード収容部3には、複数枚のカード2が上下方向で重なるように収容されている。
【0021】
本形態のカード2は、磁気カードであり、図3に示すように、磁気データが記録される磁気ストライプ2aを備えている。磁気ストライプ2aは、細長い帯状に形成されている。この磁気ストライプ2aは、長方形状に形成されるカード2の長手方向に沿って形成されている。また、磁気ストライプ2aは、カード2の短手方向の中心よりもカード2の短手方向の一端面2b側に形成されている。なお、カード2には、ICチップが内蔵されていても良い。
【0022】
以下の説明では、鉛直方向(図1等のZ方向)を上下方向とし、上下方向に直交する図1等のX方向を前後方向とし、上下方向と前後方向とに直交する図1等のY方向を左右方向とする。また、前後方向のうちのX1方向側を「前」側とし、その反対側であるX2方向側を「後(後ろ)」側とし、左右方向のうちのY1方向側を「右」側とし、その反対側であるY2方向側を「左」側とする。本形態では、上下方向(Z方向)は、カード2の厚さ方向である。より具体的には、上下方向は、カード収容部3に収容されたカード2の厚さ方向である。
【0023】
カード収容部3は、上下方向から見たときのカード収容部3の外形が前後方向を長手方向とする略長方形状となるように形成されている。このカード収容部3は、複数枚のカード2が積層されて収容される箱状の収容箱部3aと、収容箱部3aを下側から支持する支持部3bとから構成されている。収容箱部3aは、収容箱部3aの右側面部分を構成する右側壁部3cと、収容箱部3aの左側面部分を構成する左側壁部3dと、収容箱部3aの前面部分を構成する前壁部3eと、収容箱部3aの後面部分を構成する後壁部3fと、収容箱部3aの下面部分を構成する底面部3gとによって構成されており、上面および後端側が開口する箱状に形成されている。
【0024】
複数のカード2は、カード2の長手方向(長さ方向)と前後方向とが一致し、カード2の短手方向(幅方向)と左右方向とが一致するように、収容箱部3aの内部に収容されている。収容箱部3aには、錘7が取り付けられている。錘7は、上下方向へのスライドが可能となるように右側壁部3cに取り付けられており、収容箱部3aの内部に積層されて収容された複数のカード2の上に載っている。カード2の上に載っている錘7の重心は、左右方向におけるカード2の中心(カード2の短手方向の中心)よりも左側にある。なお、図1図2および後述の図4では、錘7が収容箱部3aの上端側へ退避した状態が図示されている。
【0025】
カード送出機構5は、支持部3bの内部に配置されている。このカード送出機構5は、収容箱部3aに収容された複数のカード2の中で一番下に収容されているカード2(最下位のカード2)の後端に係合してカード収容部3からカード2を1枚ずつ送り出す送出爪8(図2参照)と、送出爪8を駆動する爪駆動機構(図示省略)とを備えている。収容箱部3aの前壁部3eの下端には、前側に向かってカード2が通過するゲート9(図1参照)が形成されている。カード送出機構5は、収容箱部3aに収容された最下位のカード2をカード収容部3の前側へ送り出す。
【0026】
(カード収容部の構成)
図4は、図1に示すカード収容装置1からカード計数機構4を取り外した状態の斜視図である。図5は、図1に示すカード収容装置1の一部の平面図である。図6は、図4に示すカード収容部3の右側壁部3hの上端側の一部の側面図である。図7は、図4に示すカード収容部3の右側壁部3hの下端側の一部の側面図である。
【0027】
上述のように、カード収容部3は、上下方向から見たときのカード収容部3の外形が前後方向を長手方向とする略長方形状となるように形成されている。カード計数機構4は、カード収容部3の右側面部分を構成する右側壁部3hの右面に取り付けられている。すなわち、カード計数機構4は、カード収容部3に取り付けられている。右側壁部3hは、収容箱部3aの右側壁部3cと、支持部3bの右側面部分を構成する右側壁部3j(図4参照)とから構成されている。図5に示すように、収容箱部3aには、カード2の短手方向の一端面2b側が右側に配置されるようにカード2が収容されており、カード計数機構4は、収容箱部3aに収容されたカード2の一端面2bに後述のセンサ16〜18が臨むようにカード収容部3に取り付けられている。
【0028】
右側壁部3hには、左右方向に貫通する貫通孔3kが形成されている。貫通孔3kは、上下方向を長手方向とする長方形状に形成されている。この貫通孔3kは、右側壁部3hの上端側から下端側までの範囲に形成されている。また、貫通孔3kは、前後方向において収容箱部3aの略中心位置に形成されている。貫通孔3kの左端側には、透光性を有する透光性材料で形成されたカバー部材11が固定されている。カバー部材11は、長方形の平板状に形成されている。また、カバー部材11は、透明な樹脂材料で形成されている。このカバー部材11は、貫通孔3kを塞ぐように固定されている。
【0029】
右側壁部3cの、カバー部材11の前後の両側および上側には、左側に向かって突出するリブ3nが形成されている。すなわち、右側壁部3cの左面には、リブ3nが形成されている。リブ3nは、右側壁部3cの左面から左側に向かってわずかに突出するように形成されている。リブ3nの左端面は、左右方向に直交する平面状に形成されている。また、リブ3nは、カバー部材11を上側および前後の両側から囲むように、右側壁部3cの上端から下端までの全域に形成されている。また、リブ3nの、カバー部材11の前後の両側に配置される部分は、上下方向に細長い直線状に形成されている。カバー部材11の左面は、リブ3nの左端面よりも右側に配置されている。
【0030】
また、右側壁部3cの、前後の両端側には、左側に向かって突出するリブ3pが形成されている。すなわち、右側壁部3cの左面には、リブ3pが形成されている。リブ3pは、右側壁部3cの前端側の1箇所と、右側壁部3cの後端側の2箇所とに形成されている。すなわち、右側壁部3cには、3個のリブ3pが形成されている。このリブ3pは、右側壁部3cの左面から左側に向かってわずかに突出するように形成されている。リブ3pの左端面は、左右方向に直交する平面状に形成されている。また、リブ3pは、上下方向に細長い直線状に形成されている。リブ3pの、右側壁部3cの左面からの突出量は、リブ3nの、右側壁部3cの左面からの突出量と等しくなっている。すなわち、リブ3pの左端面とリブ3nの左端面とは、同一平面上に配置されている。
【0031】
左側壁部3dの、前後の両端側には、右側に向かって突出するリブ3rが形成されている。すなわち、左側壁部3dの右面には、リブ3rが形成されている。リブ3rは、左側壁部3dの前端側の1箇所と、左側壁部3dの後端側の1箇所とに形成されている。このリブ3rは、左側壁部3dの右面から右側に向かってわずかに突出するように形成されている。リブ3rの右端面は、左右方向に直交する平面状に形成されている。また、リブ3rは、上下方向に細長い直線状に形成されている。
【0032】
リブ3n、3pの左端面とリブ3rの右端面との左右方向の距離L(図5参照)は、カード2の短手方向の幅よりも長くなっている。また、距離Lは、カード2の短手方向の幅と、カード計数機構4を構成する後述のセンサ16〜18の合焦距離との和よりも短くなっている。
【0033】
右側壁部3cの上端には、カード計数機構4を固定するための固定部3sが形成されている。固定部3sは、右側壁部3cの上端から右側へ広がる鍔状に形成されている。固定部3sには、カード計数機構4を固定するためのネジ12(図5参照)が配置される2個の配置溝3tが形成されている。配置溝3tは、配置溝3tの右端が開口するU溝状に形成されている。右側壁部3jの下端側の2箇所には、カード計数機構4を固定するための固定用突起部3uが形成されている。固定用突起部3uは、右側に向かって突出する円筒状に形成されている。固定用突起部3uの内周面は、カード計数機構4を固定するためのネジ(図示省略)が係合するネジ孔となっている。なお、図1図2では、ネジ12の図示を省略している。
【0034】
また、右側壁部3cの上端側には、カード収容部3に取り付けられるカード計数機構4を位置決めするための2個の位置決め用突起3vが形成されている(図6参照)。位置決め用突起3vは、右側壁部3cの右面から右側に向かって突出するように形成されている。2個の位置決め用突起3vは、前後方向に所定の間隔をあけた状態で固定部3sの下側に形成されている。右側壁部3jの下端側には、カード収容部3に取り付けられるカード計数機構4を位置決めするための位置決め孔3wが形成されている(図7参照)。位置決め孔3wは、右側壁部3jを貫通する四角孔状に形成されている。
【0035】
(カード計数機構の構成)
図8は、図1に示すカード計数機構4の斜視図である。図9は、図8に示すカード計数機構4の側面図である。図10は、図8に示すセンサ16〜18の感度を補正するための補正用マーク39、40の取付位置を説明するための概略図である。図11は、図9に示すセンサ16〜18、キャリッジ19および回路基板22を抜き出して示す図である。図12は、図8に示す回路基板22の構成および回路基板22、23、44の接続関係を説明するためのブロック図である。図13は、図8に示すセンサ16〜18の出力信号SGの一例を示す図である。
【0036】
カード計数機構4は、カード収容部3に収容されたカード2の枚数を算出するためのセンサ16〜18と、センサ16〜18が搭載されるキャリッジ19と、キャリッジ19を上下方向へ移動させるキャリッジ駆動機構20とを備えている。本形態のカード計数機構4は、複数のセンサ16〜18を備えている。具体的には、カード計数機構4は、3個のセンサ16〜18を備えている。また、カード計数機構4は、キャリッジ19を移動可能に保持するとともにキャリッジ駆動機構20が取り付けられるフレーム部21と、キャリッジ19に固定される回路基板22と、フレーム部21に固定される回路基板23とを備えている。
【0037】
フレーム部21は、カード計数機構4の上端部分を構成する上フレーム26と、カード計数機構4の下端部分を構成する下フレーム27と、上フレーム26と下フレーム27とを繋ぐ2本のガイド軸28と、上フレーム26と下フレーム27とを繋ぐとともにカード計数機構4の右側面部分および前面部分を構成するフレーム29とから構成されている。
【0038】
上フレーム26、下フレーム27およびフレーム29は、金属板によって形成されている。また、上フレーム26は、上下方向に直交する平板状に形成されている。下フレーム27およびフレーム29は、金属板が所定形状に折り曲げられることで形成されている。2本のガイド軸28は、ガイド軸28の軸方向と上下方向とが一致するように配置されている。また、2本のガイド軸28は、前後方向に所定の間隔をあけた状態で配置されている。ガイド軸28の上端は、上フレーム26に固定され、ガイド軸28の下端は、下フレーム27に固定されている。
【0039】
上フレーム26には、図8に示すように、カード計数機構4をカード収容部3に固定するためのネジ12が係合する2個のネジ孔26aが形成されている。また、上フレーム26には、カード収容部3の位置決め用突起3vが係合する位置決め用溝26bが形成されている。位置決め用溝26bは、上フレーム26の左端面から右側に向かって窪むように形成されている。
【0040】
下フレーム27は、図9に示すように、ネジ挿通孔27aが形成される2個のネジ挿通部27bを備えている。ネジ挿通部27bは、左右方向に直交する平板状に形成されている。ネジ挿通孔27aには、カード収容部3の固定用突起部3uの内周面に係合するネジ(図示省略)が挿通されている。また、下フレーム27には、図8に示すように、カード収容部3の位置決め孔3wに係合する位置決め用突起27cが形成されている。位置決め用突起27cは、左側に向かって突出するように形成されている。
【0041】
フレーム部21は、カード収容部3の位置決め用突起3vおよび位置決め孔3wと、フレーム部21の位置決め用溝26bおよび位置決め用突起27cとによって位置決めされた状態で、固定用突起部3uの内周面に係合するネジおよびネジ12によってカード収容部3に着脱可能に取り付けられている。すなわち、カード計数機構4は、位置決め用突起3vおよび位置決め孔3wと、位置決め用溝26bおよび位置決め用突起27cとによって位置決めされた状態で、固定用突起部3uの内周面に係合するネジおよびネジ12によってカード収容部3に着脱可能に取り付けられている。
【0042】
キャリッジ19は、略長方形の平板状に形成されており、キャリッジ19の厚さ方向と左右方向とが一致するように配置されている。キャリッジ19には、センサ16〜18が配置される配置孔19aが左右方向に貫通するように配置されている。また、キャリッジ19には、ガイド軸28が挿通される円筒状のガイドブッシュ30が取り付けられている。回路基板22は、ガラスエポキシ基板等のリジッド基板であり、平板状に形成されている。この回路基板22は、回路基板22の厚さ方向と左右方向とが一致するように、キャリッジ19の右面に固定されている。
【0043】
センサ16〜18は、カード2に向かって光を射出する発光素子とカード2で反射された光を受光する受光素子とを備える反射型の光学式センサである。このセンサ16〜18は、受光素子の受光量に応じて信号レベルが変動する出力信号を出力する。センサ16〜18は、回路基板22に実装されている。すなわち、センサ16〜18は、回路基板22を介してキャリッジ19に搭載されている。
【0044】
また、センサ16〜18は、回路基板22の左面に実装されており、発光素子の発光面と受光素子の受光面とが左側を向くように配置されている。センサ16〜18は、キャリッジ19の配置孔19aの中に配置されている。センサ16〜18の左端面は、同一平面上に配置されている。また、センサ16〜18の左端面は、キャリッジ19の左面よりも左側に配置されている。本形態の左方向(Y2方向)は、センサ16〜18の発光素子の光の射出方向であり、前後方向(X方向)は、カード2の厚さ方向である上下方向とセンサ16〜18の発光素子の光の射出方向とに直交する第1方向である。
【0045】
キャリッジ駆動機構20は、モータ32と、モータ32の動力で回転するリードスクリュー33とを備えている。モータ32は、下フレーム27に固定されている。リードスクリュー33は、リードスクリュー33の軸方向と上下方向とが一致するようにフレーム部21に回転可能に保持されている。具体的には、リードスクリュー33の上端側が上フレーム26に回転可能に保持され、リードスクリュー33の下端側が下フレーム27に回転可能に保持されている。図9に示すように、リードスクリュー33の下端側は、プーリ34、35およびベルト36を介してモータ32に連結されている。また、リードスクリュー33には、ナット部材37(図1参照)が係合しており、ナット部材37は、キャリッジ19に保持されている。モータ32が駆動すると、キャリッジ19は、ガイド軸28に沿って上下方向へ移動する。
【0046】
センサ17とセンサ18とは、同じ高さで配置されている。また、センサ17とセンサ18とは、前後方向で隣接するように配置されている。センサ16は、センサ17、18の上側に配置されている。すなわち、3個のセンサ16〜18のうちの1個のセンサ16と、このセンサ16を除いた他の2個のセンサ17、18とは、上下方向においてずれた状態でキャリッジ19に搭載されている。また、センサ16は、前後方向におけるセンサ17とセンサ18との間の中間位置と、前後方向におけるセンサ16の中心とが略一致するように配置されている。すなわち、3個のセンサ16〜18のそれぞれは、前後方向において互いにずれた状態でキャリッジ19に搭載されている。
【0047】
また、センサ16〜18は、前後方向において、カバー部材11と同じ位置に配置されている。すなわち、センサ16〜18は、センサ16〜18の発光素子の発光面および受光素子の受光面と、カード収容部3に収容されるカード2の一端面2bとが透明なカバー部材11を介して左右方向で対向するように配置されており、カバー部材11は、センサ16〜18とカード2との間に配置されている。また、センサ16〜18は、カード収容部3に収容されるカード2の一端面2bに沿ってカード2の厚さ方向である上下方向へ移動する。具体的には、図8に示す下限位置と図9に示す上限位置との間で、センサ16〜18は、カード2の一端面2bに沿って上下方向へ移動する。すなわち、キャリッジ19は、図8に示す下限位置と図9に示す上限位置との間で上下方向へ移動する。
【0048】
センサ16〜18が下限位置にあるときには、図10に示すように、センサ16〜18は、底面部3gよりも下側に配置されている。すなわち、センサ16〜18が下限位置にあるときには、センサ16〜18は、カード収容部3内で最も下側に配置される最下位のカード2よりも下側に配置されている。また、センサ16〜18が上限位置にあるときには、センサ16〜18は、カード収容部3内で最も上側に配置されるカード2よりも上側に配置されている。より具体的には、カード収容部3に収容可能な最大枚数のカード2が収容されていても、センサ16〜18が上限位置にあるときには、センサ16〜18は、カード収容部3内で最も上側に配置されるカード2よりも上側に配置されている。
【0049】
本形態では、カード収容部3に収容されるカード2の枚数の計測前に、キャリッジ19は、図8に示す下限位置で待機している。すなわち、カード2の枚数の計測前には、キャリッジ19は、センサ16〜18が最下位のカード2よりも下側に配置されるホームポジションで待機している。本形態の下方向は、カード2の厚さ方向の一方である第2方向となっている。
【0050】
キャリッジ19がホームポジションにあるときのセンサ16〜18に対向する位置には、図10に示すように、センサ16〜18の感度を補正するための補正用マーク39、40が設けられている。具体的には、カード収容部3の支持部3bに補正用マーク39、40が設けられている。補正用マーク39、40は、たとえば、センサ16〜18との対向面が白色に着色されたテープである。また、たとえば、センサ16に対向する位置に補正用マーク39が設置され、センサ17、18に対向する位置に補正用マーク40が設置されている。なお、3個のセンサ16〜18の全てに対向する1個の補正用マークが設置されても良いし、3個のセンサ16〜18のそれぞれに対向する3個の補正用マークが設置されても良い。
【0051】
本形態では、キャリッジ19がホームポジションにあるときに、センサ16〜18の発光素子は、補正用マーク39、40に向かって光を射出する。また、センサ16〜18の発光素子から射出され、補正用マーク39、40で反射された光の、センサ16〜18の受光素子での検出結果に基づいてセンサ16〜18の感度が自動補正される。具体的には、センサ16〜18の発光素子の発光量や、後述の処理回路48の一部を構成する増幅回路のゲイン等が調整される。なお、センサ16〜18の感度を自動補正するための自動補正回路は、たとえば、回路基板22に実装されている。
【0052】
回路基板23は、ガラスエポキシ基板等のリジッド基板であり、平板状に形成されている。この回路基板23は、回路基板23の厚さ方向と左右方向とが一致するように、フレーム29に固定されている。また、回路基板23は、前後方向においてキャリッジ19と隣り合うように配置されており、回路基板22は、回路基板23よりも右側に配置されている。回路基板22と回路基板23とは、ケーブル43を介して接続されている。ケーブル43は、フレキシブルプリント基板である。ケーブル43の一端は、回路基板22の下端側に接続されるとともに、ケーブル43の他端は、回路基板23の下端側に接続されており、ケーブル43は、回路基板22、23の下側で屈曲している。
【0053】
また、回路基板23は、カード収容部3に固定される回路基板44(図2図12参照)にケーブル45を介して接続されている。回路基板44は、ガラスエポキシ基板等のリジッド基板であり、平板状に形成されている。この回路基板44は、カード収容部3の支持部3bの左側面に固定されている。ケーブル45は、たとえば、リード線であり、フレーム部21の下側に引き出されてから回路基板44に向かって左側へ引き回されている。なお、ケーブル45の先端には、コネクタが固定されており、このコネクタは、回路基板44に実装されるコネクタと係合する。
【0054】
回路基板22には、センサ16〜18の出力信号を処理する処理回路48が実装されている。処理回路48は、増幅回路とA/D変換回路とCPUとを備えている。ホームポジションにあるキャリッジ19が上限位置まで移動すると、たとえば、図13に示すようなアナログ状の出力信号SGがセンサ16〜18から出力される。処理回路48は、このアナログ状の出力信号SGに基づいて、カード収容部3に収容されたカード2の枚数を算出する。具体的には、出力信号SGのピークPvの数やボトムBvの数に基づいて、カード収容部3に収容されたカード2の枚数を算出する。
【0055】
また、処理回路48は、カード2の枚数の算出結果をデジタル信号として出力する。処理回路48から出力されるデジタル信号は、ケーブル43、回路基板23およびケーブル45を介して回路基板44に入力される。なお、本形態で、カード計数機構4の制御回路は、回路基板44に実装されている。また、回路基板44には、カード送出機構5の制御回路も実装されている。また、回路基板23には、キャリッジ駆動機構20の駆動回路等が実装されている。
【0056】
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態では、センサ16とセンサ17、18とが、カード収容部3に収容されたカード2の厚さ方向である上下方向にずれた状態でキャリッジ19に搭載されている。そのため、本形態では、センサ16があるカード2の一端面2bを通過する時刻と、センサ17、18が同じカード2の一端面2bを通過する時刻とがずれる。すなわち、本形態では、センサ16によるカード2の検出タイミングと、センサ17、18によるカード2の検出タイミングとが異なる。したがって、本形態では、センサ16の出力信号と、この出力信号と検出タイミングがずれているセンサ17の出力信号およびセンサ18の出力信号とに基づいて、カード2の枚数を算出することが可能になる。その結果、本形態では、カード2の枚数の算出精度を高めることが可能になる。
【0057】
また、本形態では、検出タイミングのずれているセンサ16の出力信号と、センサ17、18の出力信号とに基づいて、キャリッジ19の移動速度の変動によってセンサ16〜18の出力信号のピークの間隔が広くなったのか、それとも、たとえば、カード2の間に異物があってカード2の間の隙間が広くなっているためにセンサ16〜18の出力信号のピークの間隔が広くなったのかを判別することが可能になる。すなわち、キャリッジ19の移動速度の変動によってセンサ16〜18の出力信号のピークの間隔が広くなる場合には、図14に示すように、センサ16の出力信号SG1とセンサ17の出力信号SG2とセンサ18の出力信号SG3とにおいて、同じ時刻に出力信号SG1〜SG3のピークの間隔が広くなる。一方、たとえば、カード2間の隙間が広くなっているためにセンサ16〜18の出力信号のピークの間隔が広くなる場合には、図15に示すように、センサ16の出力信号SG1においてピークの間隔が広くなる時刻と、センサ17の出力信号SG2およびセンサ18の出力信号SG3においてピークの間隔が広くなる時刻とがずれており、かつ、出力信号SG1〜SG3のいずれにおいても、図15の左端からn個目(nは自然数)のピークとn+1個目のピークとの間が広くなる。したがって、本形態では、出力信号SG1〜SG3に基づいて、キャリッジ19の移動速度の変動によってセンサ16〜18の出力信号のピークの間隔が広くなったのか、それとも、たとえば、カード2の間に異物があってカード2の間の隙間が広くなっているためにセンサ16〜18の出力信号のピークの間隔が広くなったのかを判別することが可能になる。
【0058】
同様に、本形態では、出力信号SG1〜SG3に基づいて、キャリッジ19の移動速度の変動によって出力信号SG1〜SG3のピークの間隔やボトムの間隔が広くなったり狭くなったりしたのか、それとも、たとえば、厚さの異なるカード2が混在しているために出力信号SG1〜SG3のピークの間隔やボトムの間隔が広くなったり狭くなったりしたのかを判別することが可能になる。したがって、本形態では、カード2の間に異物が混入していることを検出したり、厚さの異なるカード2が混在していることを検出したりすることが可能になる。
【0059】
また、本形態では、3個のセンサ16〜18のそれぞれが前後方向において互いにずれた状態でキャリッジ19に搭載されているため、カード収容部3に収容されるカード2の一端面2bの特定の箇所に傷があっても、カード2の枚数を適切に算出することが可能になる。すなわち、たとえば、カード収容部3に収容される1枚のカード2の一端面2bの、センサ18が通過する箇所に傷がある場合、図16のE部に示すように、センサ18の出力信号SG3の特定の箇所にピークが現れなくなる場合があるが、この場合であっても、センサ16の出力信号SG1の波形およびセンサ17の出力信号SG2の波形は正常な波形となる。したがって、本形態では、カード収容部3に収容されるカード2の一端面2bの特定の箇所に傷があっても、カード2の枚数を適切に算出することが可能になる。
【0060】
本形態では、カード収容部3に収容されたカード2の間の隙間が狭いため、カード2が配置された位置をセンサ16〜18が通過するときのセンサ16〜18の出力信号のレベルと、カード2の間をセンサ16〜18が通過するときのセンサ16〜18の出力信号のレベルとの差が小さい。すなわち、カード収容部3に収容されるカード2を検出しているときのセンサ16〜18の出力信号のピークとボトムとの差が小さい。したがって、センサ16〜18から出力されるアナログ状の出力信号がケーブル43を介して回路基板23に入力されると、センサ16〜18の出力信号にノイズが乗って、カード2の枚数の算出精度が低下するおそれがある。
【0061】
しかしながら、本形態では、センサ16〜18の出力信号を処理する処理回路48が回路基板22に実装されており、処理回路48は、カード2の枚数の算出結果をデジタル信号として出力している。すなわち、本形態では、処理回路48で処理された後のデジタル信号がケーブル43を介して回路基板23に入力されている。そのため、本形態では、カード収容部3に収容されるカード2を検出しているときのセンサ16〜18の出力信号のピークとボトムとの差が小さくても、ノイズの影響を排除して、カード2の枚数の算出精度を高めることが可能になる。
【0062】
また、本形態では、センサ16〜18が回路基板22に実装されているため、回路基板22とは別の回路基板にセンサ16〜18が実装され、この回路基板と回路基板22とが所定のケーブルを介して接続されている場合と比較して、ノイズの影響の少ないセンサ16〜18の出力信号を処理回路48で処理することが可能になる。したがって、本形態では、カード収容部3に収容されるカード2を検出しているときのセンサ16〜18の出力信号のピークとボトムとの差が小さくても、カード2の枚数の算出精度を高めることが可能になる。
【0063】
本形態では、センサ16〜18の発光素子から射出され、補正用マーク39、40で反射された光の、センサ16〜18の受光素子での検出結果に基づいてセンサ16〜18の感度が自動補正されている。そのため、本形態では、たとえば、カード収容装置1の環境条件の変動やカード収容装置1の使用時間等の影響で、センサ16〜18の発光素子の光量や受光素子の出力が変動しても、感度が自動補正された後のセンサ16〜18の出力信号に基づいて、カード2の枚数を精度良く算出することが可能になる。
【0064】
本形態では、カード計数機構4は、キャリッジ19を移動可能に保持するとともにキャリッジ駆動機構20が取り付けられるフレーム部21を備えている。そのため、本形態では、フレーム部21を用いてカード計数機構4をユニット化することができる。また、本形態では、フレーム部21は、カード収容部3の位置決め用突起3vおよび位置決め孔3wと、フレーム部21の位置決め用溝26bおよび位置決め用突起27cとによって位置決めされた状態で、固定用突起部3uの内周面に係合するネジおよびネジ12によってカード収容部3に着脱可能に取り付けられている。そのため、本形態では、カード計数機構4を備えていないカード収容装置1にカード計数機構4を容易に取り付けることが可能になるとともに、カード計数機構4を備えるカード収容装置1からカード計数機構4を容易に取り外すことが可能になる。
【0065】
本形態では、カード2の短手方向の中心よりもカード2の短手方向の一端面2b側に磁気ストライプ2aが形成されており、カード収容部3には、カード2の短手方向の一端面2bが右方向を向くようにカード2が収容されている。そのため、本形態では、磁気ストライプ2aの厚さの影響で、カード収容部3に収容される複数のカード2の右端面(すなわち、一端面2b)間の隙間がカード2の左端面間の隙間よりも大きくなる。また、本形態では、センサ16〜18の発光素子の発光面と受光素子の受光面とが左側を向くようにカード収容部3の右側にセンサ16〜18が配置されており、カード収容部3に収容されるカード2の一端面2bに沿ってカード2の厚さ方向である上下方向へ移動する。すなわち、本形態では、センサ16〜18は、カード2の間の隙間が広くなっているカード2の一端面2b側を上下方向へ移動する。
【0066】
そのため、本形態では、カード2が配置された位置をセンサ16〜18が通過するときのセンサ16〜18の出力信号SGのレベルと、カード2の間をセンサ16〜18が通過するときのセンサ16〜18の出力信号SGのレベルとの差を比較的大きくすることが可能になる。すなわち、本形態では、カード2を検出しているときのセンサ16〜18の出力信号SGのピークPvとボトムBvとの差を比較的大きくすることが可能になる。したがって、本形態では、センサ16〜18の出力信号SGに多少のノイズが乗っても、センサ16〜18の出力信号SGのピークPvとボトムBvとを適切に検出することが可能になり、その結果、センサ16〜18の出力信号SGのピークPvとボトムBvとに基づいて、カード収容部3に収容されたカード2の枚数を適切に算出することが可能になる。そのため、本形態では、カード収容部3に収容されるカード2の枚数の算出精度を高めることが可能になる。
【0067】
特に本形態では、カード2の上に載っている錘7の重心が、左右方向におけるカード2の中心よりも左側にあるため、カード収容部3に収容される複数のカード2の右端面(すなわち、一端面2b)間の隙間がより大きくなりやすい。したがって、本形態では、カード2が配置された位置をセンサ16〜18が通過するときのセンサ16〜18の出力信号SGのレベルと、カード2の間をセンサ16〜18が通過するときのセンサ16〜18の出力信号SGのレベルとの差を大きくすることが可能になる。また、カード2の上に載っている錘7の重心が、左右方向におけるカード2の中心よりも左側にあるため、カード収容部3に曲がった状態のカード2が収容されていても、カード収容部3に収容される複数のカード2の右端面間の隙間をカード2の左端面間の隙間より大きくすること可能になる。
【0068】
(他の実施の形態)
上述した形態は、本発明の好適な形態の一例ではあるが、これに限定されるものではなく本発明の要旨を変更しない範囲において種々変形実施が可能である。
【0069】
上述した形態では、センサ17とセンサ18とが同じ高さで配置されているが、図17に示すように、センサ17とセンサ18とが異なる高さで配置されても良い。すなわち、3個のセンサ16〜18のそれぞれは、上下方向で互いにずれるとともに前後方向で互いにずれた状態でキャリッジ19に搭載されていても良い。この場合には、上下方向および前後方向で互いにずれている3個のセンサ16〜18のそれぞれから出力される検出タイミングおよび検出位置のずれた3個の出力信号に基づいて、カード2の枚数を算出することが可能になる。したがって、この場合には、カード2の枚数の算出精度をより高めることが可能になる。なお、3個のセンサ16〜18のそれぞれが上下方向でずれている場合には、3個のセンサ16〜18が上下方向で重なるようにキャリッジ19に搭載されても良い。
【0070】
上述した形態では、キャリッジ19に3個のセンサ16〜18が搭載されているが、キャリッジ19に搭載されるセンサの数は、2個であっても良いし、4個以上であっても良い。キャリッジ19に2個のセンサが搭載される場合には、2個のセンサは、上下方向においてずれた状態でキャリッジ19に搭載される。また、キャリッジ19に4個以上のセンサが搭載される場合には、4個のセンサのうちの少なくとも1個のセンサと、このセンサを除いた他のセンサとは、上下方向においてずれた状態でキャリッジ19に搭載される。
【0071】
上述した形態では、回路基板22に処理回路48が実装されているが、回路基板23に処理回路48が実装されても良い。また、上述した形態では、回路基板22にセンサ16〜18が実装されているが、回路基板22とは別の回路基板にセンサ16〜18が実装され、この回路基板と回路基板22とが所定のケーブルを介して接続されても良い。また、上述した形態では、キャリッジ19がホームポジションにあるときのセンサ16〜18に対向する位置に補正用マーク39、40が設けられているが、補正用マーク39、40はなくても良い。
【0072】
上述した形態では、フレーム部21に、キャリッジ19が移動可能に保持されるとともにキャリッジ駆動機構20が取り付けられている。この他にもたとえば、カード収容部3の右側壁部3hに、キャリッジ19が移動可能に保持されるとともにキャリッジ駆動機構20が取り付けられても良い。すなわち、カード計数機構4は、カード収容部3に対して着脱可能となっていなくても良い。この場合には、フレーム部21が不要になる。また、この場合には、回路基板22と回路基板44とがケーブルを介して接続されても良い。すなわち、この場合には、回路基板23はなくても良い。
【0073】
上述した形態では、センサ16〜18は、反射型の光学式センサであるが、センサ16〜18は、透過型の光学式センサであっても良い。また、上述した形態では、カード2は、厚さが0.7〜0.8mm程度の矩形状の塩化ビニール製のカードであるが、カード2は、厚さが0.18〜0.36mm程度のPET(ポリエチレンテレフタレート)カードや、所定の厚さの紙カード等であっても良い。また、上述した形態では、カード2は、磁気ストライプ2aを備えているが、カード2は、磁気ストライプ2aを備えていなくても良い。また、本発明におけるカード状媒体は、カード2以外のカード状の媒体であっても良い。
【符号の説明】
【0074】
1 カード収容装置(カード状媒体収容装置)
2 カード(カード状媒体)
3 カード収容部(カード状媒体収容部)
4 カード計数機構(カード状媒体計数機構)
16〜18 センサ
19 キャリッジ
20 キャリッジ駆動機構
21 フレーム部
22 回路基板
39、40 補正用マーク
48 処理回路
X 第1方向
Y2 センサの発光素子の光の射出方向
Z カード状媒体の厚さ方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17