(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記補強板側凸部が前記固定側部材の凹部に圧入されるか、もしくは、前記固定側部材の凸部が前記補強板側凹部に圧入されることを特徴とする請求項3に記載の配線基板付きユニット。
【発明を実施するための形態】
【0018】
(全体構成)
以下に、図面を参照して、本発明を適用した配線基板付きユニット5を備える振れ補正機能付き光学ユニット1の実施の形態を説明する。本明細書において、XYZの3軸は互いに直交する方向であり、X軸方向の一方側を+X、他方側を−Xで示し、Y軸方向の一方側を+Y、他方側を−Yで示し、Z軸方向の一方側を+Z、他方側を−Zで示す。Z軸方向は、振れ補正機能付き光学ユニット1の可動体10が揺動していない状態で、可動体10に搭載される光学モジュール2の光軸Lに沿う方向である。また、−Z方向が光軸L方向の像側、+Z方向が光軸L方向の物体側(被写体側)である。
【0019】
図1(a)は振れ補正機能付き光学ユニット1を物体側から見た斜視図であり、
図1(b)は像側から見た斜視図である。
図2は振れ補正機能付き光学ユニット1を物体側から見た分解斜視図である。
図3は振れ補正機能付き光学ユニット1の断面斜視図であり、
図1(a)のA−A断面斜視図である。振れ補正機能付き光学ユニット1は、例えばカメラ付き携帯電話機、ドライブレコーダー等の光学機器や、ヘルメット、自転車、ラジコンヘリコプター等に搭載されるアクションカメラやウエアラブルカメラ等の光学機器に用いられる。このような光学機器では、撮影時に振れが発生すると、撮像画像に乱れが発生することを回避するため、振れ補正機能付き光学ユニット1を駆動して振れを補正する。
【0020】
振れ補正機能付き光学ユニット1は、可動体10と、固定体20と、可動体10を固定体20に対して揺動可能に支持するジンバル機構30と、可動体10を固定体20に対して相対変位させる磁気駆動力を発生させる振れ補正用駆動機構50と、可動体10と固定体20とを接続するバネ部材70と、フレキシブル配線基板80を備える。振れ補正機能付き光学ユニット1は、フレキシブル配線基板80を介して、振れ補正用駆動機構50に給電する。振れ補正機能付き光学ユニット1を搭載する光学機器の本体側に設けられた上位の制御装置は、光学機器に振れが発生したときに振れを検出するジャイロスコープ(振
れ検出センサ)の出力に基づいて振れ補正用駆動機構50を駆動して可動体10を揺動させ、振れ補正を行う。
【0021】
可動体10は、ジンバル機構30により、光軸Lと交差する第1軸線R1回りに揺動可能に支持されているとともに、光軸Lおよび第1軸線R1と交差する第2軸線R2回りに揺動可能に支持されている。第1軸線R1および第2軸線R2は、固定体20の対角方向であり、光軸Lと直交する。また、第1軸線R1および第2軸線R2は、互いに直交する。
【0022】
(固定体)
固定体20は、Z軸方向に見た場合に略正方形の外形をした第1ケース210と、第1ケース210に対して−Z方向側から組み付けられる第2ケース250を備える。第1ケース210は、溶接等により第2ケース250と固定される。第1ケース210は、可動体10の周りを囲む角筒状の胴部211と、胴部211の+Z方向の端部から内側に張り出した矩形枠状の端板部212を備える。端板部212の中央には窓214が形成されている。胴部211は、+X方向側、−X方向側、+Y方向側、−Y方向側の各方向に位置する側板部216を備える。
【0023】
第2ケース250は、矩形枠状の第1部材251と、第1部材251の+Z方向側に取り付けられる矩形枠状の第2部材252の2部材によって構成される。第2ケース250の内周側には、可動体10と固定体20とを接続するバネ部材70が取り付けられる。第2部材252は、第1軸線R1上の対角位置から+Z方向に立ち上がる側壁部254、255を備える。側壁部254、255には、ジンバル機構30の第1揺動支持部36を構成する第1接点バネ保持部31が形成されている。
【0024】
(可動体)
可動体10は、光学モジュール2と、光学モジュール2を保持するホルダ40と、光学モジュール2の+Z方向側の端部に固定されたウェイト11と、ホルダ40の−Z方向の端部に取り付けられる枠状のストッパー49を備える。ストッパー49は、可動体10が揺動する際に固定体20の第2ケース250の内周面と当接して可動体10の揺動範囲を規制する。
図3に示すように、光学モジュール2は、光学素子としてのレンズユニットを保持する円柱状の上部モジュール2Aを備える。上部モジュール2Aの+Z方向側の端部からは円柱状のレンズホルダ4が突出する。ウェイト11は非磁性の金属からなり、レンズホルダ4の外周側および+Z方向側を囲むように取り付けられる。
【0025】
ホルダ40は、Z軸方向に見た場合の平面形状が略正方向形である枠部41を備える。枠部41の中央には光学モジュール2を配置するための円形の保持孔42(
図3参照)が形成されている。枠部41は、保持孔42の外周側を囲む4箇所で+Z方向に立ち上がる壁部44を備える。以下、4箇所の壁部44をそれぞれ、壁部44(+X)、44(+Y)、44(−X)、44(−Y)とする。壁部44(+X)、44(−X)は枠部41のX軸方向の両端に位置する側端縁に設けられ、壁部44(+Y)、44(−Y)は枠部41のY軸方向の両端に位置する側端縁に設けられる。壁部44(+X)、44(+Y)、44(−X)、44(−Y)は、それぞれ、保持孔42の側を向く内側面441(
図6参照)と、保持孔42とは反対側を向く外側面442(
図6参照)を備えており、外側面442に形成されたコイル保持部45を備える。壁部44(+X)、44(+Y)、44(−X)、44(−Y)には貫通孔443(
図6参照)が設けられる。貫通孔443の外周側はコイル保持部45の先端面で開口し、内周側は内側面441で開口する。
【0026】
コイル保持部45は矩形の凸部であり、磁気駆動機構51のコイル53が取り付けられる。
図3に示すように、コイル保持部45は、コイル53の中央から磁石52の側に突出
しており、磁石52と対向する。振動や衝撃等によって可動体10がX軸方向もしくはY軸方向に変位する際、コイル保持部45が磁石52と当接して可動体10の移動範囲を規制する。
【0027】
枠部41の第1軸線R1上の対角位置には、第1軸線R1に対して垂直な面によって切り欠かれた切り欠き部46(
図2参照)が設けられている。可動体10を固定体20に対して組み付けると、第2ケース250の第1軸線R1上の対角位置に設けられた側壁部254、255が切り欠き部46に配置される。従って、側壁部254、255に設けられた第1接点バネ保持部31が枠部41の第1軸線R1上の対角位置に配置される。また、枠部41の第2軸線R2上の対角位置には、ジンバル機構30の第2揺動支持部37を構成する第2接点バネ保持部32が形成されている。
【0028】
枠部41の外周面の−Z方向側の部分には、+X方向側、−X方向側、+Y方向側、−Y方向側を向く各面の中央に固定用凸部48(
図2参照)が形成されている。固定用凸部48はZ軸方向に直線状に延びており、バネ部材70に対して接着剤を介して固定される。また、枠部41の−Z方向の端部にはストッパー49が取り付けられている。
【0029】
(バネ部材)
バネ部材70は、固定体20の−Z方向の端部に配置され、固定体20と可動体10とを接続する。振れ補正用駆動機構50が駆動されていない静止状態にあるときの可動体10の姿勢は、バネ部材70によって定まる。
図2に示すように、バネ部材70は、金属板を加工した矩形枠状の板バネである。バネ部材70は、その外周部に設けられた固定体側連結部71が第2ケース250の第1部材251に固定されることにより、固定体20に接続される。また、バネ部材70の内周部には枠状の可動体側連結部72が設けられ、可動体側連結部72はアーム部73によって固定体側連結部71と繋がっている。可動体10を固定体20に組み付けると、可動体側連結部72に設けられた凹部75と可動体10の外周面に設けられた固定用凸部48とが隙間を持って対向する。この隙間により、可動体10に搭載される光学モジュール2の光軸LとZ軸方向とを一致させるように可動体10の傾きを調整し、調整後に接着剤により隙間を埋めて凹部75と固定用凸部48とを固定することにより、バネ部材70と可動体10とが接続される。
【0030】
(振れ補正用駆動機構)
図4(a)は第1ケース210および光学モジュール2を取り外した振れ補正機能付き光学ユニット1の平面図であり、
図4(b)は第2揺動支持部37の部分断面図(
図4(a)のB−B断面図)である。振れ補正用駆動機構50は、固定体20と可動体10の間に設けられた4組の磁気駆動機構51を備える。各磁気駆動機構51は、磁石52とコイル53を備える。コイル53は空芯コイルであり、可動体10の+X方向側および−X方向側の側面、ならびに可動体10の+Y方向側および−Y方向側の側面に保持される。磁石52は、第1ケース210の胴部211において、+X方向側、−X方向側、+Y方向側、−Y方向側の各方向に位置する側板部216(
図2参照)の内面に保持される。従って、可動体10と第1ケース210の胴部211との間では、+X方向側、−X方向側、+Y方向側、−Y方向側のいずれにおいても、磁石52とコイル53とが対向する。
【0031】
磁石52は、胴部211に接する外面側と、コイル53に面する内面側が異なる極に着磁されている。また、磁石52は光軸L方向(すなわち、Z軸方向)に2分割され、内面側の磁極が分割位置を境にして異なるように着磁されている。このため、コイル53は、上下の長辺部分が有効辺として利用される。4つの磁石は、外面側および内面側に対する着磁パターンが同一である。第1ケース210は磁性材料から構成されており、磁石52に対するヨークとして機能する。
【0032】
図4(a)に示すように、可動体10の+Y方向側および−Y方向側に位置する2組の磁石52およびコイル53からなる2組の磁気駆動機構51は、通電時にX軸周りの同一方向の磁気駆動力が発生するように配線接続されている。従って、これら2組の磁気駆動機構51のコイル53に通電することにより、ピッチング(縦揺れ)方向の振れ補正を行うことができる。また、可動体10の+X方向側および−X方向側に位置する2組の磁石52とコイル53からなる2組の磁気駆動機構51は、通電時にY軸周りの同一方向の磁気駆動力が発生するように配線接続されている。従って、これら2組の磁気駆動機構51のコイル53に通電することにより、ヨーイング(横揺れ)方向の振れ補正を行うことができる。
【0033】
(ジンバル機構)
ジンバル機構30は、第2ケース250とホルダ40との間に構成されている。ジンバル機構30は、可動体10を固定体20に対して組み付けたときに第1軸線R1方向で離間する2か所に配置される第1揺動支持部36と、第2軸線R2方向で離間する2か所に配置される第2揺動支持部37と、第1揺動支持部36および第2揺動支持部37によって支持される可動枠60を備える。可動体10は、可動枠60の対角位置に設けられた一対の支点部61を通る第1軸線R1と、第1軸線R1と直交し他の一対の支点部61を通る第2軸線R2の2本の軸線周りに揺動可能に支持される。
【0034】
可動枠60は概略矩形状のジンバルばねである。可動枠60は、光軸L回りの4か所に設けられた支点部61と、光軸L回りで隣り合う支点部61を繋ぐ連結部62を備える。各支点部61の内側面には溶接等によって金属製の球体38(
図4(b)参照)が固定されている。この球体38によって、各支点部61に可動枠60の中心を向く半球状の凸面が設けられている。連結部62は、X軸方向もしくはY軸方向に延在する蛇行部63と、蛇行部63と支点部61とを繋ぐ直線部66を備える。蛇行部63は、光軸Lに対して直交する方向に弾性変形可能である。
図3、
図4(b)に示すように、可動枠60は、3枚の板状ばねを光軸L方向(Z軸方向)に積層した積層体である。
【0035】
第1揺動支持部36は、固定体20の第2ケース250に設けられた第1接点バネ保持部31と、第1接点バネ保持部31に保持される第1接点バネ33を備える。第1接点バネ33は、U字状に屈曲した金属製の板バネである。第1揺動支持部36は、第1軸線R1方向の対角位置に設けられた支点部61の内周側に配置され、第1軸線R1方向に弾性変形可能な状態に取り付けられた第1接点バネ33を介して可動枠60を支持する。
【0036】
第2揺動支持部37は、可動体10のホルダ40に設けられた第2接点バネ保持部32と、第2接点バネ保持部32に保持される第2接点バネ34を備える。
図4(b)に示すように、第2接点バネ34は、U字状に屈曲した金属製の板バネであり、第1接点バネ33と同一形状である。第2揺動支持部37は、第2軸線R2方向に弾性変形可能な状態に取り付けられた第2接点バネ34を介して可動枠60を支持する。
【0037】
第1揺動支持部36の第1接点バネ33および第2揺動支持部37の第2接点バネ34は、それぞれ、支点部61に溶接された球体38に接触する半球状の接点部35(
図4(b)参照)を備える。可動枠60は、光軸L回りの4か所に設けられた支点部61に接合された球体38と、第1接点バネ33および第2接点バネ34の半球状の接点部35とが点接触することによって支持される。従って、可動枠60は、光軸L方向と直交する2方向(第1軸線R1方向および第2軸線R2方向)の各方向回りに回転可能な状態で支持される。
【0038】
(配線基板付きユニット)
上記のように、振れ補正機能付き光学ユニット1は、磁石52および磁石52と対向す
るコイル53からなる4組の磁気駆動機構51を備える磁気駆動装置である。本形態では、磁気駆動機構51のコイル53が可動体10に設けられ、磁石52が固定体20に設けられている。可動体10は、コイル53と、コイル53への給電用のフレキシブル配線基板80とをホルダ40によって保持した配線基板付きユニット5を備える。上述したように、ホルダ40は、枠部41と、枠部41の外周縁から+Z方向に突出する壁部44を備える。ホルダ40は、コイル53およびフレキシブル配線基板80が固定される固定側部材である。
【0039】
(コイル線とフレキシブル配線基板との接続構造)
図5(a)は配線基板付きユニット5の平面図であり、
図5(b)はコイル線が引き出される経路を模式的に示す説明図である。また、
図6は配線基板付きユニット5を物体側から見た分解斜視図である。
図5(a)、
図6に示すように、枠部41は、壁部44(+X)、44(+Y)、44(−X)、44(−Y)が突出する基板支持部411を備え、基板支持部411の中央に保持孔42が形成されている。基板支持部411は、保持孔42を囲む内周縁に形成された複数の切り欠き58を備える。
図5(a)に示すように、切り欠き58は、隣り合う壁部44の中間の角度位置に1箇所ずつ形成されている。切り欠き58は、周方向に所定の幅を持つ形状に切り欠かれている。切り欠き58の周方向の両端には、第1屈曲部59Aおよび第2屈曲部59Bが形成されている。
【0040】
フレキシブル配線基板80は、基板支持部411の上に載る枠部分81を備える。枠部分81は、略8角形の周方向の1箇所を切り欠いた形状である。枠部分81は、3か所の壁部44(+X)、44(+Y)、44(−X)の内周側に位置する第1直線部811と、周方向に隣り合う壁部44の間に位置する第2直線部812を備える。3箇所の第1直線部811と4箇所の第2直線部812は周方向に交互に配置される。第2直線部812の内周縁は、基板支持部411の内周縁に形成された切り欠き58の外周側に位置する。第2直線部812の内周縁には、それぞれ、ランド813(
図8参照)が2箇所ずつ形成されている。ランド813には予備半田が盛られた半田バンプ814が形成される。ランド813および半田バンプ814は、切り欠き58の第1屈曲部59Aおよび第2屈曲部59Bの外周側に位置する。
【0041】
図5(a)に示すように、壁部44(+X)、44(+Y)、44(−X)、44(−Y)の幅方向の両側から、それぞれ、同一のコイル53から引き出されるコイル線531A、531Bが内周側へ引き回される。コイル線531Aは巻き始め側コイル線であり、コイル線531Bは巻き終り側コイル線である。コイル線531A、531Bは、それぞれ、半田バンプ814を介してランド813に接続される。コイル線531Aをランド813に接続する際、まず、コイル線531Aを最も近い切り欠き58に向けて引き回し、切り欠き58にコイル線531Aを引っ掛ける。そして、切り欠き58の第1屈曲部59Aおよび第2屈曲部59Bのうち、近い側の屈曲部(すなわち、第1屈曲部59A)にコイル線531Aを位置決めする。同様に、コイル線531Bをランド813に接続する際は、最も近い切り欠き58に向けて引き回し、第2屈曲部59Bにコイル線531Bを位置決めする。
【0042】
コイル線531A、531Bの端部は、切り欠き58の縁で曲げられて−Z方向に引き回される(
図7参照)。コイル線531A、531Bを切り欠き58の第1屈曲部59A、第2屈曲部59Bに位置決めして曲げることにより、コイル線531A、531Bが仮止めされる。コイル線531A、531Bを屈曲したことにより、屈曲位置でコイル線531A、531Bが折れやすくなる。コイル線531A、531Bを半田バンプ814に熱圧着して接合した後に屈曲位置でコイル線531A、531Bが折れると、折れた部分は脱落し除去される。従って、この場合には、コイル線531A、531Bの端部を切断する作業が容易となり、余分なコイル線531A、531Bの端部が除去される。
【0043】
同一のコイル53から引き出される2本のコイル線531A、531Bは、周方向に隣り合う別の切り欠き58に向けて引き回される。すなわち、コイル線531Aは、コイル53の周方向の一方側に位置する切り欠き58の第1屈曲部59Aに向けて延びている。一方、コイル線531Bは、コイル53の周方向の他方側に位置する切り欠き58の第2屈曲部59Bに向けて延びている。従って、同一の切り欠き58に設けられた第1屈曲部59Aおよび第2屈曲部59Bには、周方向に隣り合う別のコイル53から引き出されたコイル線531A、531Bが掛けられる。
【0044】
切り欠き58の形状は、第1屈曲部59Aおよび第2屈曲部59Bにコイル線531A、531Bを掛けて位置決めしたとき、ランド813および半田バンプ814と重なる位置にコイル線531A、531Bが引き回される形状である。第1屈曲部59Aの外周側に位置するランド813(第1ランド)は、コイル53から第1屈曲部59Aへ向かうコイル線531Aの経路上に位置する。また、第2屈曲部59Bの外周側に位置するランド813(第2ランド)は、コイル53から第2屈曲部59Bへ向かうコイル線531Bの経路上に位置する。同一の切り欠き58に引き回される2本のコイル線531A、531Bと重なる2箇所のランド813の距離は、同一の熱圧着ヘッドで一度にコイル線531A、531Bの熱圧着作業を行うことができる程度になっている。コイル線531A、531Bの端部には、予め被覆を剥がされて半田付けされた半田付け部分が設けられている。コイル線531A、531Bは、半田付け部分が半田バンプ814と重なる位置に引き回される。
【0045】
本形態では、コイル線531A、531Bとフレキシブル配線基板80との配線接続作業を以下のように行う。予め、コイル線531A、531Bの被覆を剥がして半田付け部分を形成しておく。次に、ホルダ40にコイル53およびフレキシブル配線基板80を固定した状態で、コイル53から引き出したコイル線531A、531Bを切り欠き58の第1屈曲部59Aと第2屈曲部59Bに掛けて折り曲げる。これにより、コイル線531A、531Bの半田付け部分を対応するランド813および半田バンプ814と重なる位置に位置決めするとともに、コイル線531A、531Bを仮止めする。続いて、同一の切り欠き58に掛けられた2本のコイル線531A、531Bを同一の熱圧着ヘッドで一度に半田バンプ814に熱圧着する。
【0046】
図7は配線基板付きユニット5の断面斜視図であり、
図8は
図7の分解斜視図である。
図5、
図7に示すように、コイル線531A、531Bは、壁部44(+X)、44(+Y)、44(−X)、44(−Y)の側面54に沿って内周側に引き回される。壁部44(+X)、44(+Y)、44(−X)、44(−Y)は、幅方向の両側の側面54から突出する鍔部55を備える。
図6、
図7に示すように、鍔部55と基板支持部411との間には所定の隙間が設けられている。コイル線531A、531Bは、この隙間を通り、基板支持部411の上に載せられたフレキシブル配線基板80の枠部分81の上に引き回される。鍔部55は、コイル線531A、531Bが基板支持部411から離れる方向(+Z方向)に移動することを規制する。これにより、側面54から半田バンプ814が形成されたランド813へ引き回されるコイル線の傾き(すなわち、フレキシブル配線基板80から浮き上がる方向の傾き)が規制され、コイル線531A、531Bの浮き上がりが規制される。鍔部55と基板支持部411との間にコイル線531A、531Bを通すことにより、コイル線531A、531Bの位置を規制でき、基板支持部411に載っているフレキシブル配線基板80に設けられた半田バンプ814とコイル線531A、531Bとを接触させることができる。
【0047】
図5(b)、
図6に示すように、壁部44(44(+X)、44(+Y)、44(−X)、44(−Y))の外側面442において、コイル保持部45の幅方向の両側の端縁に
は段差部56が設けられている。段差部56の間の領域は、コイル53が接着固定されるコイル固定面57である。コイル固定面57にコイル53を固定すると、
図5(b)に示すように、コイル線531A、531Bは段差部56とコイル53との間に通されて、側面54に向けて引き回される。そして、
図7に示すように、鍔部55と基板支持部411との間に通されて、壁部44(44(+X)、44(+Y)、44(−X)、44(−Y))の内周側へ引き回される。
【0048】
(フレキシブル配線基板の位置決め構造)
図6に示すように、フレキシブル配線基板80は、上述した枠部分81と、枠部分81の内周縁から−Z方向に延びる固定部83と、固定部83の−Z方向の端部に繋がる引き回し部82と、枠部分81の外周縁の2箇所からそれぞれ+Z方向に立ち上がる固定部84、85を備える。枠部分81および固定部83、84、85はホルダ40に固定される部位である。枠部分81は基板支持部411の+Z方向の面に固定される。また、固定部83は枠部41の内周面に固定され、引き回し部82は枠部41から−Z方向側に引き出される(
図3参照)。そして、固定部84、85は、それぞれ、壁部44(+Y)、44(+X)の内側面441に固定される。
【0049】
固定部83が固定されるホルダ40側の形状は、以下のようになっている。
図8に示すように、枠部41の内周面には、Z軸方向に延在する溝部413が形成されている。溝部413は壁部44(+Y)と同一の角度位置に形成されている。溝部413の幅方向の中央には中央溝414が形成されている。溝部413は、中央溝414が形成された底面415と、底面415の幅方向の両側に位置する側面416A、416Bを備える。溝部413のZ軸方向の略中央には凸部417A、417Bが形成されている。凸部417A、417Bは溝部413の幅方向(X軸方向)の両端に位置し、X軸方向に対向する。凸部417Aは側面416Aと繋がっており、凸部417Bは側面416Bと繋がっている。凸部417A、417BはZ軸方向に所定の幅を有する。凸部417Aは、底面415から立ち上がる+Z方向側の側面である固定側位置決め部418Aを備える。また、凸部417Bは、底面415から立ち上がる+Z方向側の側面である固定側位置決め部418Bを備える。これら2つの側面(固定側位置決め部418A、418B)は、いずれも+Z方向を向く面である。固定側位置決め部418A、418Bは、後述するように、固定部83に対して−Z方向側から当接して固定部83を位置決めする位置決め部として機能する。
【0050】
次に、固定部84、85が固定されるホルダ40側の形状は、以下のようになっている。壁部44(+Y)の内側面441には溝部444が形成されている。溝部444は内側面441の幅方向の中央に位置し、Z軸方向に延在する。溝部444の幅方向の中央には、溝部444よりも深く凹んだ中央溝445が形成されている。壁部44(+Y)を貫通する貫通孔443は、溝部444の底面446で開口する。溝部444は、底面446の幅方向の両側に位置する側面447A、447Bを備える。側面447Aには凹部448Aが形成され、側面447Bには凹部448Bが形成されている。凹部448A、448BはX軸方向に対向する位置に形成され、Z軸方向に所定の幅を有する。凹部448Aは、−Z方向を向く内側面である固定側位置決め部449Aを備える。また、凹部448Bは、−Z方向を向く内側面である固定側位置決め部449Bを備える。
【0051】
壁部44(+Y)と周方向に隣り合う位置に設けられた壁部44(+X)は、壁部44(+Y)と同様に、内側面441に溝部444が形成されている。従って、壁部44(+X)の内側面441には、壁部44(+Y)と同様に、固定側位置決め部449A、および、固定側位置決め部449Bが形成されている。
【0052】
図9はフレキシブル配線基板80を像側から見た斜視図である。フレキシブル配線基板
80は、給電線パターンおよび信号線パターンなどの配線パターンやランド813が形成された可撓性基板91に対して、剛性のある補強板92、93、94、95を接合した部材である。フレキシブル配線基板80の枠部分81は可撓性基板91に対して補強板92を接合した部分である。また、固定部83、84、85は、それぞれ、可撓性基板91に対して補強板93、94、95を接合した部分である。補強板92、93、94、95は、それぞれ、可撓性基板91に対して接着剤等により面接合されている。
【0053】
可撓性基板91にはセンサ101、103が搭載される。センサ101は固定部84に設けられ、センサ103は固定部85に設けられる。また、固定部84にはサーミスタ102が搭載される。固定部84、85において、可撓性基板91は補強板94、95の外周側に位置する。従って、センサ101およびサーミスタ102は、壁部44(+Y)に形成された貫通孔443に配置される。また、センサ103は、壁部44(+X)に形成された貫通孔443に配置される。センサ101、103としては、各種の検出方式のものを用いることができるが、本形態では磁気センサを用いる。従って、磁気センサが貫通孔443を介して磁石52と対向するので、磁石52による磁界を検出できる。
【0054】
枠部分81は、補強板92を介してホルダ40の基板支持部411に接合される。基板支持部411には、接着剤を配置する溝が形成されている。この溝に接着剤が塗布され、補強板92を基板支持部411に当接させることにより、枠部分81が基板支持部411に接着固定される。補強板92を基板支持部411側に向けると、可撓性基板91が+Z方向を向くため、ランド813および半田バンプ814が露出した状態になる。
【0055】
固定部83は、可撓性基板91の屈曲部96を介して枠部分81の内周縁と繋がっている。屈曲部96は、枠部分81の内周縁から−Z方向に屈曲し、しかる後に外周側へ湾曲した後に−Z方向に屈曲して固定部83と繋がっている。また、固定部84、85の−Z方向の端部には、それぞれ、可撓性基板91の屈曲部97が設けられている。固定部84、85は、屈曲部97を介して枠部分81の外周縁と繋がっている。
【0056】
可撓性基板91の屈曲部96、97は弾性変形部であり、所定の形状に戻ろうとする弾性力を備える。具体的には、屈曲部96は、屈曲形状から直線状に戻ろうとするため、その弾性力により、固定部83を−Z方向に付勢する。また、屈曲部97は、屈曲形状から直線状に戻ろうとするが、外周側への変形が壁部44によって規制されているため、固定部84、85を+Z方向に付勢する。このように、屈曲部96が所定の形状に戻ろうとする弾性力により固定部83が付勢される方向を第1方向F1(
図9参照)とすると、第1方向F1は−Z方向である。また、屈曲部97が所定の形状に戻ろうとする弾性力により固定部84、85が付勢される方向を第1方向F2(
図9参照)とすると、第1方向F2は+Z方向である。
【0057】
図7に示すように、フレキシブル配線基板80の固定部83は、枠部分81の内周面に形成された溝部413に固定される。溝部413に形成された中央溝414には接着剤が配置される。固定部83は、接着剤層を介して溝部413の底面415と接合される。つまり、底面415は固定部83が固定される基板取付面である。固定部83は、可撓性基板91が配置された面を溝部413の側に向けて配置され、可撓性基板91を介して溝部413の底面415と接合される。
【0058】
また、固定部84、85は、それぞれ、壁部44(+Y)、44(+X)の内側面441に形成された溝部444に固定される。溝部444に形成された中央溝445には接着剤が配置される。固定部84、85は、接着剤層を介して溝部444の底面446と接合される。つまり、底面446は固定部84、85が固定される基板取付面である。固定部84、85は、可撓性基板91が配置された面を溝部444の側に向けて配置され、可撓
性基板91を介して溝部444の底面446と接合される。
【0059】
図10はフレキシブル配線基板の位置決め構造を模式的に示す説明図である。本形態では、固定部83および溝部413に、固定部83のZ軸方向の位置決めを行うための位置決め構造を設けている。上述したように、溝部413の幅方向(X軸方向)の両端には凸部417A、417Bが形成されている。凸部417A、417Bは、第1方向F1と直交する方向に離れた2箇所に設けられている。そして、固定部83は、これら2箇所の凸部417A、417Bが圧入される補強板側凹部831A、831Bを備える。
【0060】
図9に示すように、補強板側凹部831A、831Bは、固定部83のZ軸方向の略中央に位置する。また、補強板側凹部831A、831Bは、固定部83の幅方向(X軸方向)の両側の側端縁に設けられている。固定部83を溝部413に固定する際には、
図7、
図10に示すように、補強板側凹部831A、831Bに凸部417A、417Bを圧入する。その結果、凸部417A、417Bの+Z方向を向く側面である固定側位置決め部418A、418Bは、補強板側凹部831A、831Bの内周面のうち、−Z方向を向く部分である補強板側位置決め部832A、832Bと当接する。従って、固定部83は、固定側位置決め部418A、418Bによって第1方向F1への移動が規制され、固定部83のZ軸方向の位置決めが行われる。
【0061】
次に、固定部84の位置決め構造について説明する。本形態では、固定部84および溝部444に、固定部84のZ軸方向の位置決めを行うための位置決め構造を設けている。上述したように、溝部444の幅方向(X軸方向)の両端には凹部448A、448Bが形成されている。部448A、448Bは、第1方向F2と直交する方向(X軸方向)に離れた2箇所に設けられている。一方、固定部84には、これら2箇所の凹部448A、448Bに嵌まる補強板側凸部841A、841Bが形成されている。補強板側凸部841A、841Bは、補強板94の幅方向(X軸方向)の両側の側端縁に設けられている。補強板側凸部841A、841Bは、補強板94の+Z軸方向の端部に位置する。
【0062】
固定部84を溝部444に固定する際には、固定部84の補強板側凸部841A、841Bは、溝部444に形成された凹部448A、448Bに配置される。凹部448A、448Bの内周面のうち、−Z方向を向く部分である固定側位置決め部449A、449Bは、補強板側凸部841A、841Bの外周面のうち、+Z方向を向く部分である補強板側位置決め部842A、842Bと当接する。補強板側位置決め部842A、842Bは、補強板94の+X方向の端面の幅方向の両端に位置する部分である。これにより、固定部84は固定側位置決め部449A、449Bによって+Z方向(付勢方向)への移動が規制される。従って、固定部84のZ軸方向の位置決めが行われる。
【0063】
固定部85の位置決め構造は固定部84と同一である。すなわち、固定部84には、溝部444に形成された凹部448A、448Bに嵌まる補強板側凸部851A、851Bが形成されている。また、補強板側凸部851A、851Bの外周面のうち、+Z方向を向く部分に補強板側位置決め部852A、852Bが設けられている。補強板側位置決め部852A、852Bは、溝部444に形成された固定側位置決め部449A、449Bに対して第1方向F2(+Z方向)に当接する。これにより、固定部85のZ軸方向の位置決めが行われる。
【0064】
(本形態の主な作用効果)
以上のように、本形態の振れ補正機能付き光学ユニット1は、磁石52と対向するコイル53と、コイル53への給電用のフレキシブル配線基板80とをホルダ40によって保持した配線基板付きユニット5を備える。配線基板付きユニット5は、フレキシブル配線基板80の固定部83、84、85が補強板93、94、95を備えるため、治具を用い
ることなく固定部83、84、85の反りを抑えることができる。従って、平面度を確保した状態で固定部83、84、85をホルダ40に固定できる。また、補強板93は、可撓性基板91の屈曲部96の弾性力によって第1方向F1(−Z方向)に付勢される。この付勢力により、補強板93は、ホルダ40の固定側位置決め部418A、418Bと当接して位置決めされる。また、補強板94、95は、可撓性基板91の屈曲部97の弾性力によって第1方向F2(+Z方向)に付勢される。この付勢力により、補強板94、95は、それぞれ、ホルダ40の固定側位置決め部449A、449Bと当接して位置決めされる。このように、部材の弾性力によって部材同士を決まった方向に当接させて位置決めすると、部材同士が片寄せ方向に位置決めされる。従って、固定部83、84、85の位置精度を高めることができる。また、治具を用いることなく固定部83、84、85を位置決めして固定できるため、固定時の作業負担を少なくすることができる。
【0065】
本形態では、固定部83、84、85は、基板取付面である溝部413、444の底面415、446と接着剤層を介して接合される。このように、接着剤により固定する場合には、接着剤が硬化するまでの間、固定部83、84、85を治具で固定する必要がない。従って、フレキシブル配線基板80を固定する際の作業負担を少なくすることができる。
【0066】
本形態では、フレキシブル配線基板80の弾性力により、固定部と補強板の一方に形成された凹形状と、他方に形成された凸形状とを当接させて位置決めできる。従って、フレキシブル配線基板80の位置精度を高めることができる。また、治具を用いることなくフレキシブル配線基板80を位置決めして固定できるため、固定時の作業負担を少なくすることができる。
【0067】
本形態では、補強板93と固定側位置決め部418A、418Bとを、第1方向F1(−Z方向)と交差する方向(X軸方向)に離れた2箇所で当接させて位置決めする。また、補強板94、95と固定側位置決め部449A、449Bとを、第1方向F2(+Z方向)と交差する方向(X軸方向)に離れた2箇所で当接させて位置決めする。従って、補強板93、94、95の傾きを抑制でき、フレキシブル配線基板80の傾きを抑制できる。よって、フレキシブル配線基板80の位置精度を高めることができる。
【0068】
本形態では、固定部84、85は、補強板94、95と可撓性基板91とが接合された部位であり、固定部84、85は、可撓性基板91に搭載されたセンサ(例えば、磁気センサ)を備える。従って、センサを搭載した部位の位置精度を高めることができるので、センサの位置精度を高めることができ、検出精度を高めることができる。
【0069】
(変形例)
上記形態の固定部83の位置決め構造は、固定部83に形成した凹部(補強板側凹部831A、831B)に対し、溝部413に形成した凸部(凸部417A、417B)が圧入されているが、圧入しなくとも位置決めは可能である。すなわち、凸部417A、417BのZ軸方向の高さを補強板側凹部831A、831BのZ軸方向の高さよりも小さくしてもよい。この場合には、凸部417A、417Bは補強板側凹部831A、831B内にZ軸方向に移動可能な状態で嵌まることになる。しかしながら、補強板93は屈曲部96からの付勢力によって第1方向F1(−Z方向)に付勢されているため、この場合においても、補強板側位置決め部832A、832Bは固定側位置決め部418A、418Bに対して第1方向F1に当接する。従って、固定部83の位置決めが行われる。また、本形態では、固定部83に凹部を形成し、溝部413に凸部を形成しているが、凹凸を逆にしてもよい。
【0070】
上記形態の固定部84、85の位置決め構造は、固定部84、85に形成した凸部(補
強板側凸部841A、841B、および、補強板側凸部851A、851B)のZ軸方向の高さが、溝部444に形成した凹部(凹部448A、448B)よりも小さいため、これらが圧入状態になっていないが、固定部83と同様に凸部が凹部に圧入されるように、固定部84、85に形成した凸部のZ軸方向の高さ、および、溝部444に形成した凹部の高さを設定してもよい。また、本形態では、固定部84、85に凸部を形成し、溝部444に凹部を形成しているが、凹凸を逆にしてもよい。