(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記低温液化ガス接触工程は、前記金属板と前記液体用バッグとの接触面の温度を計測する温度計測工程と、計測された温度に基づいて前記低温液化ガスの滴下又は噴霧量を調整する低温液化ガス量調整工程とを含むことを特徴とする請求項1記載の液体用バッグの急速凍結方法。
【背景技術】
【0002】
液体製剤は、通常、菌の混入を防ぐ目的でケース内に密閉されている。液体製剤を密閉するためのケースとしては、一般に、
図2に示すような2D(2次元、平面)状の樹脂フィルム製の液体用バッグが用いられる。
また、液体製剤は、その有効性と安全性を保持するため、所定の温度で冷蔵または冷凍保存されているのが一般的である。
【0003】
液体製剤を冷凍保存する場合においては、液体製剤中の抗原の残存率を高くすることが望まれており、液体製剤を冷却して凍結する際の冷却速度が高いほど、液体製剤中の抗原の残存率は高くなることが知られている。
液体製剤中の抗原の残存率と冷却速度との具体的な関係の一例を挙げると、抗原の残存率を90%以上とするためには、常温から冷却開始30分以内で-50℃、かつ常温から冷却開始50分以内で-90℃が目標冷却速度として要求されている。
【0004】
特許文献1には、密閉した容器に封入させた液体製剤を凍結させ、その後滅菌させる技術が開示されている。特許文献1では、凍結には一般的なフリーザーを用いてもよいし、液体窒素などの冷却冷媒を用いてもよい、とされている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
液体製剤の保存期間を長期化するため、液体製剤を冷凍保存することが求められているが、特許文献1に開示されている一般的なフリーザーによる凍結方法では、前述の目標冷却速度を満たして液体製剤の凍結を行うことができず、液体製剤中の抗原の残存率が低くなるという問題があった。
【0007】
また、液体窒素の噴霧による凍結方法は、液体製剤を十分な冷却速度で凍結させることができるものの、液体用バッグにおいて噴霧された液体窒素が直接触れた位置が極低温となり、樹脂フィルム製の液体用バッグ自体が破損する問題があった。さらに、液体用バッグ内に密閉された液体は凍結すると膨張するため、凍結に偏りがあると液体用バッグが破損してしまう問題があった。
【0008】
さらに、凍結した液体用バッグの保存方法として、従来は、凍結した液体用バッグをそのまま冷凍庫内に入れていたが、これにより樹脂フィルム製の液体用バッグ本体が破損したり、液体用バッグに設けられているチューブ接続部(
図2参照)が折れたりする問題があった。
【0009】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、液体製剤などの液体が封入された液体用バッグを冷却して前記液体を急速凍結させるに際し、液体用バッグを破損させることなく、該液体用バッグを短時間で凍結させることができる液体用バッグの急速凍結方法および急速凍結装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
(1)本発明に係る液体用バッグの急速凍結方法は、本体部と該本体部にチューブ接続部が設けられた液体用バッグを、低温液化ガスを用いて急速凍結させる液体用バッグの急速凍結方法であって、前記液体用バッグを載置面に載置する液体用バッグ載置工程と、載置された前記液体用バッグの周囲を囲むように防液壁を前記載置面に設ける防液壁設置工程と、金属板を、載置された前記液体用バッグの本体部に接触させ、かつ前記チューブ接続部には接触させないように配置する金属板配置工程と、前記金属板における前記液体用バッグの本体部と接触させた面と反対側の面に向けて前記低温液化ガスを滴下又は噴霧して前記金属板に前記低温液化ガスを接触させる低温液化ガス接触工程とを備えたことを特徴とするものである。
【0011】
(2)上記(1)に記載のものにおいて、前記低温液化ガス接触工程は、前記金属板と前記液体用バッグとの接触面の温度を計測する温度計測工程と、計測された温度に基づいて前記低温液化ガスの滴下又は噴霧量を調整する低温液化ガス量調整工程とを含むことを特徴とするものである。
【0012】
(3)上記(1)又は(2)に記載のものにおいて、前記金属板の材質がアルミニウム又はアルミニウム合金であることを特徴とするものである。
【0013】
(4)本発明に係る液体用バッグの急速凍結装置は、本体部と該本体部にチューブ接続部が設けられた液体用バッグを、低温液化ガスを用いて急速凍結させるものであって、載置面に載置された前記液体用バッグの周囲を囲むように前記載置面に設けられた防液壁と、載置された前記液体用バッグの本体部に接触させるように配置される金属板と、該金属板における前記液体用バッグの本体部と接触させた面と反対側の面に向けて前記低温液化ガスを滴下又は噴霧する低温液化ガス用ノズルとを備えたことを特徴とするものである。
【0014】
(5)上記(4)に記載のものにおいて、前記金属板と前記液体用バッグの本体部との接触面の温度を測定する温度測定器と、前記低温液化ガス用ノズルの滴下又は噴霧量を調整する調整弁と、前記温度測定器の測定値に基づいて前記調整弁の開度を調節する制御部とを備えたことを特徴とするものである。
【0015】
(6)上記(4)又は(5)に記載のものにおいて、前記金属板の材質がアルミニウム又はアルミニウム合金であることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0016】
本発明の液体用バッグの急速凍結方法は、本体部と該本体部にチューブ接続部が設けられた液体用バッグを、低温液化ガスを用いて急速凍結させる液体用バッグの急速凍結方法であって、前記液体用バッグを載置面に載置する液体用バッグ載置工程と、載置された前記液体用バッグの周囲を囲むように防液壁を前記載置面に設ける防液壁設置工程と、金属板を、載置された前記液体用バッグの本体部に接触させ、かつ前記チューブ接続部には接触させないように配置する金属板配置工程と、前記金属板における前記液体用バッグの本体部と接触させた面と反対側の面に向けて前記低温液化ガスを滴下又は噴霧して前記金属板に前記低温液化ガスを接触させる低温液化ガス接触工程とを備えたことにより、前記液体用バッグの本体部のみに均一に冷熱を伝えることで、前記液体用バッグの本体部およびチューブ接続部を破損させることなく該液体用バッグに封入された液体を短時間で急速凍結させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の実施の形態に係る液体用バッグの急速凍結装置1(以下、単に「急速凍結装置1」という)は、
図1に一例として示すように、本体部23と本体部23にチューブ接続部25が設けられた液体用バッグ21を、低温液化ガスを用いて急速凍結させるものであって、防液壁3と、金属板5と、滴下ノズル7と、温度測定器9と、調整弁11と、制御部13とを備えている。以下、液体用バッグ21について説明した後に、急速凍結装置1の各構成要素を詳細に説明する。
【0019】
なお、以下の説明で用いる図面は、本発明の実施の形態に係る構成の特徴をわかりやすくするために、便宜上特徴となる部分を拡大して示している場合があり、図示される各構成要素の大きさ、厚さ、寸法などは、実際の寸法比率などと同じであるとは限らない。
【0020】
<液体用バッグ>
本発明に係る液体用バッグ21は、
図2に示すように、2D(二次元、平面)状のものであり、チューブ接続部25には、チューブ27が接続されている。液体用バッグ21は、樹脂フィルム製である。
液体用バッグ21は、被凍結物として液体製剤を封入したものであるが、被凍結物として液体用バッグ21に封入するものとしては液体製剤に限るものではない。
【0021】
<防液壁>
防液壁3は、載置面15に載置された液体用バッグ21の周囲を囲むように載置面15に設けられたものであり、後述する滴下ノズル7から滴下された低温液化ガスが載置面15を流れて液体用バッグ21に直接接触することを防ぐものである。
なお、本実施の形態の載置面15は、ステンレス製である。
【0022】
<金属板>
金属板5は、載置面15に載置された液体用バッグ21の本体部23に接触させるように配置されたものであり、
図1に示すように、金属板5の下面5aは、チューブ接続部25およびチューブ27とは接触せず、本体部23と接触している。
本実施の形態では、金属板5として、厚さ2mmのアルミニウム板を用いているが、これに限定されるものではなく、強度を有し、低温に耐え、熱伝導性の良い材質(例えば、アルミニウム合金など)であれば良い。
【0023】
<滴下ノズル>
滴下ノズル7は、金属板5における液体用バッグ21の本体部23と接触させた下面5aと反対側の上面5bに向けて低温液化ガスを接触させる低温液化ガス用ノズルとして複数設けられたものであり、
図1に示すように、金属板5の上方に複数設置されて液体窒素を滴下する。
金属板5の上面5bおよび載置面15における液化ノズル7により液体窒素が滴下されて接触した部位(
図1中AおよびB)においては、液体窒素が蒸発して冷熱が発生する。
【0024】
<温度測定器>
温度測定器9は、金属板5と液体用バッグ21の本体部23との接触面における液体用バッグ21の表面温度を測定するものである。
本実施の形態では、温度測定器9として熱電対を用いているが、これに限るものではなく、常温から極低温まで測定できるものであれば良い。
【0025】
<調整弁>
調整弁11は、滴下ノズル7に液体窒素を供給する配管17に設けられ、滴下ノズル7から滴下する液体窒素の量を制御するものである。
本実施の形態では、調整弁11としてコントロール弁を用いたが、これに限定されるものではなく、開度を調整できるものであれば良い。
【0026】
<制御部>
制御部13は、調整弁11の開度を調節するものであり、
図1に示すように、温度測定器9および調整弁11と電気的に接続され、温度測定器9により測定した液体用バッグ21の温度を所定の時間間隔で取得し、該取得した温度に基づいて調整弁11の開度を調整する。
制御部13としては、例えば温度調節器を用いることができるが、これに限定されるものではなく、取得した温度測定器9の温度に基づいて調整弁11の開度を調節するものであれば良い。
【0027】
次に、本発明の実施の形態に係る液体用バッグの急速凍結方法を、急速凍結装置1の動作と共に、
図1および
図2に基づいて以下に説明する。
【0028】
本実施の形態に係る液体用バッグの急速凍結方法は、本体部23と本体部23にチューブ接続部25が設けられた液体用バッグ21(
図2参照)を、低温液化ガスとして液体窒素を用いて急速凍結させるものであって、液体用バッグ載置工程と、防液壁設置工程と金属板配置工程と、低温液化ガス接触工程と、温度測定工程と、低温液化ガス量調整工程を備えたものであり、例えば、
図1に示す急速凍結装置1を用いることができる。
以下、上記の各工程について詳細に説明する。
【0029】
<液体用バッグ載置工程>
液体用バッグ載置工程は、液体用バッグ21を載置面15に載置する工程である。このとき、載置面15がステンレス板であり熱伝導率が高いので、
図1に示すように、チューブ接続部25およびチューブ27の破損を防止するために、これらが載置面15と接触しないようにする。
【0030】
<防液壁設置工程>
防液壁設置工程は、
図1に示すように、載置面15に載置された液体用バッグ21の周囲を囲むように、防液壁3を載置面15に設置する工程である。
【0031】
<金属板配置工程>
金属板配置工程は、
図1に示すように、載置面15に載置された液体用バッグ21の本体部23に接触するよう金属板5に配置する工程であり、
図1に示すように、本体部23の上面5bと金属板5の下面5aとを接触させる。
さらに、金属板配置工程においては、前述の液体用バッグ載置工程と同様、チューブ接続部25およびチューブ27が金属板5の下面5aと接触しないように空間を設けて金属板5を配置する。
【0032】
<低温液化ガス接触工程>
低温液化ガス接触工程は、金属板5における液体用バッグ21の本体部23と接触させた下面5aと反対側の上面5bに向けて低温液化ガスとして液体窒素を滴下して金属板5に接触させる工程である。
【0033】
<温度計測工程>
温度計測工程は、金属板5の下面5aとの接触面である液体用バッグ21の表面温度を計測する工程であり、
図1においては、金属板5と液体用バッグ21との間に設置された温度測定器9により測定する。
【0034】
<低温液化ガス量調整工程>
低温液化ガス量調整工程は、温度測定工程において計測された液体用バッグ21の表面温度を取得し、該取得した温度に基づいて、滴下ノズル7から滴下する液体窒素量を調整する工程であり、
図1に示すように、温度測定器9および調整弁11を電気的に接続した制御部13を用いて、温度測定器9の測定値に基づいて調整弁11の開度を調整することができる。
【0035】
液体用バッグに液体窒素などの低温液化ガスを直接噴霧すると、低温液化ガスが直接触れた位置が局所的に極低温となることで樹脂フィルム製の液体用バッグ自体が破損したり、液体用バッグ内に封入された液体製剤が部分的に凍結したりすることで液体用バッグが局部的に膨張して破損したりするといった問題があったが、本実施の形態に係る液体用バッグの急速凍結装置および急速凍結装置方法によれば、金属板の上面に滴下又は噴霧された液体窒素が蒸発することにより冷熱を発生させ、該発生した冷熱が金属板に瞬時かつ均等に広がることで、低温液化ガスを液体用バッグに直接させずに前記液体用バッグを面状かつ均等に冷やすことができ、前記液体用バッグを破損させることなく該液体用バッグに封入された液体を短時間で急速凍結させることができる。
【0036】
上記の説明は、低温液化ガスとして液体窒素を滴下するものであったが、滴下ノズルに代えて複数の噴霧ノズルを用いてもよい。これにより、低温液化ガスを滴下する場合に比べて、金属板に液体窒素をより均一に接触させ、より均一に冷却することができるので好ましい。
【0037】
前述のとおり、液体用バッグに液体製剤を封入して冷凍保存する場合、所定の冷却速度に従って液体用バッグの温度を低下させることが必要となることがあるが、この場合においては、温度測定器により測定した液体用バッグの表面温度に基づいて液体窒素の量を精度良く制御することが要求される。
【0038】
そこで、液体用バッグの冷却速度を厳密に制御するため、例えば、低温液化ガス用ノズルは、金属板の上面に向けて液体窒素を噴霧する複数の噴霧ノズルとし、かつ、噴霧する液体窒素の量を制御する制御部は、温度測定器により測定した液体用バッグの表面温度を0.1s毎に取得して、該取得した表面温度に基づいて調整弁の開度を逐次調整可能なものとすれば良い。
【0039】
なお、本実施の形態では、載置面にステンレス板を用いているが、これに限定されるものではなく、強度を有し低温に耐える材質のものであれば使用することができ、載置面を金属など熱伝導性の良い材質のものとすることにより、載置面における液体窒素が噴霧又は滴下された部位(
図1中B)において液体窒素が蒸発して冷熱が発生し、載置面に接触している液体用バッグの本体部を平面的で均等に冷却することができる。
【0040】
また、液体用バッグの周囲を囲むように設けた防液壁は、金属板に接触するように高さを設定することにより、金属板と載置面とで冷熱を互いに伝えることができ、液体用バッグの本体部を上下両面からより効率的に冷却することができる。
【0041】
さらに、金属板の上面(低温液化ガスを滴下又は噴霧する面)に側壁を設けることにより、金属板に滴下又は噴霧された液体窒素が金属板からこぼれ落ちることを防ぎ、液体窒素の消費量を低減することができる。
【0042】
なお、上記の説明は、急速凍結により破損しやすい部位である液体用バッグのチューブ接続部およびチューブが金属板の下面および載置面と接触しないように、チューブ接続部およびチューブと下面および載置面との間に空間を設けたものであったが、金属板の下面や載置面に熱伝導性の低い物質(例えば、樹脂など)を貼り付けた構造や、チューブ接続部やチューブを熱伝導性の低い物質で包んだものとしても良い。
【0043】
また、上記の説明は、温度測定器と調整弁と制御部を用いたものであったが、これらは液体窒素の消費量の抑制と、液体用バッグの冷却速度の制御のために設けたものであり、本発明は、温度測定器と調整弁と制御部とを設置しないで液体用バッグを急速凍結させるものを含む。
【実施例】
【0044】
本発明に係る液体用バッグの急速凍結方法および急速凍結装置の効果を確認するための具体的な実験を行ったので、その結果について以下に説明する。
【0045】
実験は、
図1に示す急速凍結装置1を用いて液体用バッグ21に封入した液体を凍結させるものである。
【0046】
実験において、液体用バッグ21には、2D(二次元、平面)状の医療用バッグ(ポール社製、容量:3L、材質:LDPE+PE+EVOHの積層構造)を用いた。
液体用バッグ21に封入して凍結させる液体製剤として、ワクチン模擬液2.5Lを用いた。また、液体用バッグ21のチューブ接続部25にチューブ27(材質:PE)を接続した。
【0047】
本実施例では、発明例として、
図1に示す急速凍結装置1を用いて液体用バッグ21を急速凍結した。
まず、液体用バッグ21を載置面15に載置し(液体製剤バッグ載置工程)、載置された液体用バッグ21の周囲を囲むように防液壁3を載置面15に設けた(防液壁設置工程)。
【0048】
次に、載置された液体用バッグ21の本体部23に下面5aを接触させるように金属板5を配置した(金属板配置工程)。このとき、金属板5と液体用バッグ21との間に温度測定器9を設置した。
【0049】
そして、金属板5の上面5bに向けて液化窒素を噴霧した(低温液化ガス接触工程)。ここでは、金属板5と液体用バッグ21との接触面の温度を計測し(温度計測工程)、該計測した温度に基づいて液体窒素の噴霧量を調整した(低温液化ガス量調整工程)。
【0050】
なお、発明例では、液体用バッグ21を冷却する冷却速度として、常温から-50℃までの所要時間が25分、常温から-90℃までの所要時間が45分となるように液体窒素量を制御した。このとき、温度計測工程においては0.1s毎に温度を取得し、低温液化ガス量調整工程においては0.1s毎に取得した温度に基づいて液体窒素の噴霧量を調整した。
【0051】
また、本実施例では比較例として、液体用バッグ21を予め設定温度(-120°)に冷やされた液体窒素式フリーザーの冷凍室内に直接収納し、液体用バッグ21中の液体製剤を凍結させた。比較例において、液体用バッグ21の材質、液体用バッグ21に封入した液体製剤、および、チューブ27には、上記の発明例と同一のものを使用した。液体窒素式フリーザーは、常に冷凍室内が設定温度-120℃で一定となるように液体窒素を噴霧した。このとき、液体窒素が液体用バッグ21およびチューブ27に直接噴霧されないようにした。
【0052】
そして、発明例および比較例ともに、液体用バッグ21を所定の温度(-50℃および-90℃)まで冷却するのに要する所要時間を計測し、液体を凍結させた液体用バッグ21およびチューブ27の破損状況を観察した。
【0053】
本実施例における結果は以下のとおりであった。
まず、発明例においては、液体用バッグ21およびチューブ27に破損を生じさせずに、液体用バッグ21に封入した液体を凍結させることができた。
そして、所定の常温(+5℃)から-50℃まで冷却するのに要した所要時間は25分、常温から-90℃までの所要時間は45分であり、設定した冷却速度で液体用バッグ21を冷却して液体製剤を急速凍結させることができた。
【0054】
一方、比較例においても、液体窒素が液体用バッグ21およびチューブ27に直接噴霧されなかったことで、液体用バッグ21およびチューブ27に破損を生じさせずに液体用バッグ21に封入した液体を凍結させることができた。しかしながら、常温(+5℃)から-50℃まで冷却するのに要した所要時間は66分、常温から-90℃までの所要時間は81分であり、前述した目標冷却速度を達成することができず、液体用バッグ21に封入した液体製剤を急速凍結させることができなかった。
【0055】
以上、本発明に係る急速凍結方法および装置によれば、液体用バッグを破損させずに該液体用バッグに封入した液体を急速凍結できることが実証された。