【課題を解決するための手段】
【0010】
一酸化窒素は、可溶性グアニリルシクラーゼ(GC)を刺激して、cGMPのレベルを増加させる。環状ヌクレオチドホスホジエステラーゼは、環状ヌクレオチドcAMPおよびcGMPをそれらの個々の不活性5'−モノホスフェート(5'AMPおよび5'GMP)に加水分解することによってcAMPおよびcGMP細胞内シグナル伝達を減少させる。
本発明者らは、PDE1およびPDE2の両方の阻害が行われた場合、この組合せは、脳における一酸化窒素シグナル伝達に対して相加効果を超える効果をもたらし、これにより、脳内の一酸化窒素刺激cGMP濃度を増加させることを見出した。したがって、第一の態様において、本発明は、遊離形態または医薬上許容される塩形態のPDE1阻害剤およびPDE2阻害剤を含む製剤を提供する。例えば、(a)遊離形態または医薬上許容される塩形態のPDE1阻害剤および(b)遊離形態または医薬上許容される塩形態のPDE2阻害剤を含む製剤が提供される。
【0011】
第二の態様において、本発明は、遊離形態または医薬上許容される塩形態の本明細書に記載のPDE1阻害剤およびPDE2阻害剤を医薬上許容される希釈剤または担体と混合して含む医薬組成物(医薬組成物I)を提供する。PDE1阻害剤およびPDE2阻害剤は、多剤混合型医薬組成物(fixed pharmaceutical composition)(ここで、PDE1およびPDE2治療剤は
単一投与剤形である)または多剤遊離型医薬組成物(free pharmaceutical composition)(PDE1および治療剤は別々の投与剤形である)中に存在し得る。例えば、
(a)遊離形態または医薬上許容される塩形態のPDE1阻害剤、および
(b)遊離形態または医薬上許容される塩形態のPDE2阻害剤
を医薬上許容される担体または希釈剤と混合して含む医薬組成物が提供される。該第二の態様の特定の実施態様において、本発明は、さらに、PDE1阻害剤およびPDE2阻害剤を含む局所眼用医薬組成物;例えば、遊離形態または眼科的に許容される塩形態の本発明のPDE1阻害剤およびPDE2阻害剤を、眼科的に許容される希釈剤または担体と組み合わせてまたは付随して(in combination or association with)含む、点眼液、懸濁剤、クリーム剤または軟膏剤を提供する。
【0012】
PDE1およびPDE2阻害剤は、当該技術分野で公知である。本発明の特定の実施態様において、本発明のPDE1阻害剤としては、国際公開第2006/133261号、国際公開第2007/143705号、国際公開第2008/063505号、国際公開第2008/070095号、国際公開第2009/075784号、国際公開第2009/073210号、国際公開第2010/065153号、国際公開第2010/065148号、国際公開第2010/065151号、国際公開第2010/065149号、国際公開第2010/065147号、国際公開第2010/065152号、国際公開第2010/098839号、国際公開第2010/132127号、国際公開第2011/153129号、国際公開第2011/153135号、国際公開第2011/153136号、国際公開第2011/153138号、国際公開第2012/171016号に記載されているものが挙げられる(各々の内容は、出典明示によりその全体として本明細書の一部を構成する)。別の特定の実施態様において、PDE1阻害剤は、遊離形態または塩形態の(6aR,9aS)−5,6a,7,8,9,9a−ヘキサヒドロ−5−メチル−3−(フェニルアミノ)−2−((4−ピリジン−2−イル)−ベンジル)−シクロペンタ[4,5]イミダゾ[1,2−a]ピラゾロ[4,3−e]ピリミジン−4(2H)−オンである。別の特定の実施態様において、PDE1阻害剤は、遊離形態または塩形態の(6aR,9aS)−5,6a,7,8,9,9a−ヘキサヒドロ−5−メチル−3−(フェニルアミノ)−2−((4−(6−フルオロピリジン−2−イル)フェニル)メチル)−シクロペンタ[4,5]イミダゾ[1,2−a]ピラゾロ[4,3−e]ピリミジン−4(2H)−オンである。
【0013】
別の特定の実施態様において、本発明のPDE2阻害剤としては、国際公開第2010/054260号、国際公開第2010/054253号、国際公開第2012/104293号、国際公開第2013/000924号、国際公開第2013/034755号、国際公開第2013/034758号、国際公開第2013/034761号、国際公開第2006/072615号、国際公開第2006/024640号、国際公開第2006/072612号、国際公開第2012/114222号、国際公開第2012/168817号、国際公開第2005/041957号、国際公開第2005/061497号、国際公開第2011/011312号、欧州特許第1749824号、欧州特許第1548011号、欧州特許第1556055号、米国特許第4,766,122号、国際公開第2002/068423号、国際公開第2002/050078号、国際公開第2002/009713号、国際公開第98/32755号、米国特許第5,861,396号、国際公開第2004/089953号、米国特許第5,861,396号および米国特許第6,573,263号に記載されているものが挙げられる。特定の実施態様において、本発明のPDE2阻害剤は、遊離形態または塩形態の2−(3,4−ジメトキシベンジル)−7−{(1R)−1−[(1R)−1−ヒドロキシエチル]−4−フェニルブチル}−5−メチルイミダゾ[5,1−f][1,2,4]トリアジン−4(3H)−オン(BAY60−7550)である。
【0014】
第三の態様において、本発明は、本発明の製剤を使用する方法を提供する。本発明の製剤は、例えばドーパミンおよび一酸化窒素(NO)のような環状ヌクレオチド合成誘導物質の阻害またはそのレベルの減少に起因するPDE1もしくはPDE2の発現の増加またはcAMPおよびcGMPの発現の減少の結果としての、cAMPおよびcGMP媒介経路の途絶または該経路へのダメージによって特徴付けられる疾患の治療において有用である。PDE1およびPDE2によってcAMPおよびcGMPの分解を防止し、これによってcAMPおよびcGMP(特に、cGMP)の細胞内レベルを増加させることによって、本発明の製剤および医薬組成物は、環状ヌクレオチド合成誘導物質の活性を増強する。したがって、本発明は、以下の状態:
(i)パーキンソン病、下肢静止不能振戦、ジスキネジア、ハンチントン病、アルツハイマー病および薬剤性運動障害を包含する神経変性疾患;
(ii)うつ状態、注意欠陥障害、注意欠陥多動障害、双極型疾患、不安、睡眠障害、例えばナルコレプシー、認知障害、認知症、トゥレット症候群、自閉症、脆弱X症候群、覚醒剤離脱および薬物依存を包含する精神障害;
(iii)脳血管疾患、脳卒中、うっ血性心疾患、高血圧、肺高血圧症、肺動脈性高血圧症および性機能障害を包含する循環器および心血管障害;
(iv)喘息、慢性閉塞性肺疾患およびアレルギー性鼻炎を包含する呼吸器および炎症性障害、ならびに自己免疫および炎症性疾患;
(v)PDE1またはPDE2を発現する細胞中の低レベルのcAMPおよび/またはcGMP(またはcAMPおよび/またはcGMPシグナル伝達経路の阻害)によって特徴付けられる疾患または状態;および/または
(vi)ドーパミンD1受容体シグナル伝達活性の低下によって特徴付けられる疾患または状態
のうち1つ以上の状態の治療方法であって、該治療を必要とするヒトまたは動物患者へ、本明細書に記載の遊離形態または医薬上許容される塩形態のPDE1阻害剤およびPDE2阻害剤を医薬上許容される希釈剤または担体と混合して含む本発明の医薬組成物Iの有効量を投与することを含む、方法を提供する。
【0015】
医薬組成物Iは、多剤混合型医薬組成物(PDE1治療剤とPDE2治療剤が単一の投与剤形である)または多剤遊離型医薬組成物(PDE1治療剤とPDE2治療剤が別々の投与剤形である)として投与され得る。
【0016】
一の実施態様において、本発明は、ナルコレプシーの治療方法または予防方法を提供する。この実施態様において、医薬組成物Iは、唯一の治療剤として用いることができるが、他の活性薬剤との併用または共投与に用いることもできる。かくして、本発明は、さらに、ナルコレプシーの治療方法であって、該治療を必要とするヒトまたは動物患者へ、
(i)医薬組成物I、ならびに
(ii)遊離形態または医薬上許容される塩形態の、例えば(a)中枢神経刺激薬−アンフェタミンおよびアンフェタミン様化合物、例えば、メチルフェニデート、デキストロアンフェタミン、メトアンフェタミン、およびペモリン;(b)モダフィニル、(c)抗うつ薬、例えば、三環系(イミプラミン、デシプラミン、クロミプラミンおよびプロトリプチリンが挙げられる)および選択的セロトニン再取り込み阻害薬(フルオキセチンおよびセルトラリンが挙げられる);および/または(d)γヒドロキシ酪酸(GHB)から選択される、覚醒を促進するかまたは睡眠を調節する化合物
の治療上有効量を投与すること、例えば、同時に(simultaneously)または連続してまたは同時期に(contemporaneously)投与することを含む、方法を含む。該医薬組成物Iは、唯一の治療剤として使用され得る(例えば、多剤混合型医薬組成物または多剤遊離型医薬組成物で)か、または別の活性薬剤との併用もしくは共投与に使用され得る。
【0017】
別の実施態様において、本発明は、さらに、プロゲステロンシグナル伝達の亢進によって軽減され得る状態の治療方法または予防方法であって、該治療または予防を必要とするヒトまたは動物へ本発明の医薬組成物Iの有効量を投与することを含む方法を提供する。プロゲステロンシグナル伝達の亢進によって軽減され得る疾患または状態としては、女性性機能不全、続発性無月経(例えば、運動性無月経)、無排卵症、閉経、閉経期症状、甲状腺機能低下症、月経前症候群、早期分娩、不妊症、例えば反復流産に起因する不妊症、不規則な月経周期、異常子宮出血、骨粗鬆症、自己免疫疾患、多発性硬化症、前立腺肥大、前立腺癌および甲状腺機能低下症が挙げられるが、これらに限定されるものではない。例えば、プロゲステロンシグナル伝達を亢進することによって、PDE1阻害剤およびPDE2阻害剤は、子宮の内膜に対する効果によって卵着床を促進するために、また、妊娠に対する免疫応答または低プロゲステロン機能に起因して流産しやすい女性において妊娠を維持するために用いられ得る。本明細書に記載のPDE1阻害剤およびPDE2阻害剤は、また、ホルモン補充療法の有効性を亢進するのにも有用であり、例えば、閉経後の女性、エストロゲン誘導性子宮内膜増殖症およびエストロゲン誘導性子宮内膜癌において、エストロゲン/エストラジオール/エストリオールおよび/またはプロゲステロン/プロゲスチンと併用投与され得る。本発明の方法はまた、動物交配(animal breeding)にも有用であり、例えば交配させようとする雌性非ヒト哺乳動物における性的受容性および/または発情を誘導するのにも有用である。
【0018】
この実施態様において、PDE1阻害剤およびPDE2阻害剤は、上記の治療方法または予防方法において唯一の治療剤として用いられ得るが、他の活性薬剤との併用または共投与に使用され得、例えばホルモン補充療法と併用され得る。かくして、本発明は、また、プロゲステロンシグナル伝達の亢進によって軽減され得る障害の治療方法であって、該治療を必要とするヒトまたは動物患者へ、
(i)本発明の医薬組成物I、および
(ii)遊離形態または医薬上許容される塩形態の、ホルモン、例えばエストロゲンおよびエストロゲンアナログ(例えば、エストラジオール、エストリオール、エストリオールエステル)ならびにプロゲステロンおよびプロゲステロン(例えば、プロゲスチン)から選択されるホルモン
の治療上有効量を投与すること、例えば同時にまたは連続してまたは同時期に投与することを含む、方法を含む。
【0019】
本発明は、また、細胞内または組織内のドーパミンD1細胞内シグナル伝達活性を亢進または増強する方法であって、該細胞または組織を、PDE1およびPDE2活性を阻害するのに十分なPDE1阻害剤およびPDE2阻害剤の有効量と接触させることを含む、方法を提供する。
【0020】
本発明は、また、PDE1および/またはPDE2関連障害、ドーパミンD1受容体細胞内シグナル伝達経路障害、またはプロゲステロンシグナル伝達経路の亢進によって軽減され得る障害の治療を必要とする患者における該障害の治療方法であって、該患者へ、本発明の医薬組成物Iの有効量を投与することを含む、方法(ここで、PDE1およびPDE2活性がDARPP−32および/またはGluR1 AMPA受容体のリン酸化を調節する)を提供する。
【0021】
別の態様では、本発
明は、また、緑内障または眼内圧亢進の治療方法であって、該治療を必要とする患者の眼へ、眼科的に適合した担体中の本発明の医薬組成物Iの治療有効量を局所投与することを含む、方法を提供する。しかしながら、治療は、全身療法をも包含し得る。全身療法としては、血流に直接到達することができる治療、例えば経口投与法を包含する。
【0022】
所望により、PDE1阻害剤およびPDE2阻害剤を含む当該医薬組成物は、緑内障または眼内圧亢進の治療に有用な第3の薬物と連続してまたは同時に投与され得る。PDE1阻害剤およびPDE2阻害剤を含む当該医薬組成物が他の薬剤と一緒に投与される場合、第3のまたはその後の薬剤の治療有効量は、単剤療法の場合に活性に要する量未満であり得る。したがって、閾値下の量(すなわち、単剤療法の場合に効力に必要なレベルよりも低い量)は、治療上有効であるということができるか、あるいは、有効量ということもできる。実際、異なる作用機序および異なる副作用プロファイルを有する種々の薬剤を投与する利点は、いずれかのまたは両方の薬剤の投与量および副作用を減少させること、ならびに、単剤療法の場合のそれらの活性を亢進または増強することであり得る。
【0023】
かくして、本発明は、緑内障および眼内圧亢進から選択される状態の治療方法であって、該治療を必要とする患者へ、眼内圧を下げることが知られている薬剤の量とPDE1阻害剤およびPDE2阻害剤の量が合わせて該状態を治療するのに有効であるように、眼内圧を下げることが知られている薬剤の有効量、例えば閾値下量を、遊離形態または医薬上許容される塩形態の本発明のPDE1阻害剤およびPDE2阻害剤の有効量、例えば閾値下量と付随して(concomitantly)または同時にまたは連続して投与することを含む、方法を提供する。
【0024】
一の実施態様において、該薬剤の片方または両方が眼に局所的に投与される。かくして、本発明は、眼内圧を下げることが知られている薬剤の減少した量をPDE1阻害剤の有効量と付随してまたは同時にまたは連続して投与することによって緑内障または眼内圧亢進の治療の副作用を軽減する方法を提供する。しかしながら、全身療法的投与のような、局所投与以外の方法を利用することもできる。
【0025】
本発明の医薬組成物Iと併用してもよいさらなる薬剤は、例えば、典型的にはプロスタグランジン、ピロカルピンもしくはエピネフリンの滴下注入(instillation)、または局所β遮断薬治療、例えばチモロールによる治療、ならびに全身投与炭酸脱水酵素阻害剤、例えばアセタゾラミドからなる既存の薬物から選択され得る。フィゾスチグミンおよびエコチオパートのようなコリンエステラーゼ阻害剤を使用することもでき、これらは、ピロカルピンと同様の効果を有する。緑内障の治療に現在使用されている薬物としては、例えば、
1.房水のぶどう膜強膜流出(uveoscleral outflow)を増加させる、ラタノプロスト(キサラタン)、ビマトプロスト(ルミガン)およびトラボプロスト(トラバタン(Travatan))のようなプロスタグランジンアナログ(ビマトプロストは、線維柱帯流出(trabecular outflow)をも増加させる)、
2.毛様体による房水産生を減少させる、チモロール、レボブノロール(ベータガン)、およびベタキソロールのような局所βアドレナリン受容体アンタゴニスト、
3.房水産生の減少およびぶどう膜強膜流出の増加の二重機構によって働く、ブリモニジン(アルファガン)のようなα
2アドレナリン受容体アゴニスト、
4.β
2アゴニスト作用によって、線維柱帯網を介し、かつ、おそらくぶどう膜強膜流出経路を介する房水の流出を増加させる、エピネフリンおよびジピベフリン(プロパイン)のような低選択性(less-selective)交感神経作動薬、
5.毛様体筋の収縮によって働き、線維柱帯網を締め、房水の流出の増加を可能にする、ピロカルピンのような縮瞳薬(副交感神経作動薬)、
6.毛様体内で炭酸脱水酵素を阻害することによって房水の分泌を低下させる、ドルゾラミド(トルソプド)、ブリンゾラミド(エイゾプト)、アセタゾラミド(ダイアモックス)のような炭酸脱水酵素阻害剤、
7.緑内障および胃排出遅延を治療するために使用することもできる、フィゾスチグミン
が挙げられる。
【0026】
例えば、本発明は、本発明のPDE1阻害剤およびPDE2阻害剤、ならびに(i)プロスタノイド、ウノプロストン、ラタノプロスト、トラボプロストまたはビマトプロスト;(ii)αアドレナリン受容体アゴニスト、例えばブリモニジン、アプラクロニジンまたはジピベフリン、および(iii)ムスカリンアゴニスト、例えばピロカルピンから選択される薬剤を含む医薬組成物を提供する。例えば、本発明は、遊離形態または眼科的に許容される塩形態の、本発明のPDE1阻害剤およびPDE2阻害剤を、ビマトプロスト、アブリモニジン(abrimonidine)、ブリモニジン、チモロールまたはその組合せと一緒に眼科的に許容される希釈剤または担体と組み合わせてまたは付随して含む眼科用製剤を提供する。しかしながら、組合せの選択に加えて、当業者は、適当な選択的受容体サブタイプアゴニストまたはアンタゴニストを選択することができる。例えば、αアドレナリン受容体アゴニストに関しては、α1アドレナリン受容体に対して選択的なアゴニスト、またはブリモニジンのようなα2アドレナリン受容体に対して選択的なアゴニストを選択することができる。βアドレナリン受容体アンタゴニストに関しては、適当な治療用途に応じて、β1またはβ2またはβ3のいずれかに対して選択的なアンタゴニストを選択することができる。M1−M5のような特定の受容体サブタイプに対して選択的なムスカリン受容体アゴニストを選択することができる。
【0027】
PDE1阻害剤およびPDE2阻害剤は、点眼液剤、クリーム剤または軟膏剤を包含する眼科用組成物の剤形で投与され得る。眼科用組成物は、さらに、眼内圧降下剤を含むことができる。
【0028】
さらに別の例において、開示されているPDE1阻害剤およびPDE2阻害剤は、ビマトプロスト点眼液、酒石酸ブリモニジン点眼液、または酒石酸ブリモニジン/マレイン酸チモロール点眼液であり得る眼内圧降下剤の閾値下量と併せることができる。
【0029】
驚くべきことに、上記の方法に加えて、PDE1阻害剤およびPDE2阻害剤が、精神病、例えば、幻覚、偏執性妄想もしくは奇異な妄想、または支離滅裂な会話および思考、例えば、統合失調症、統合失調感情障害、統合失調様障害、精神障害、妄想性障害、および急性躁病エピソードおよび双極性障害におけるような躁病などの精神病症状によって特徴付けられる状態の治療に有用であることも発見した。理論に縛られることなく、クロザピンのような定型および非定型の抗精神病薬は、主に、ドーパミンD2受容体においてそれらのアンタゴニスト活性を有すると考えられる。しかしながら、PDE1阻害剤およびPDE2阻害剤は、主に、ドーパミンD1受容体におけるシグナル伝達を亢進する。D1受容体シグナル伝達を亢進することによって、PDE1阻害剤は、さまざまな脳領域において、例えば、中隔側坐核ニューロンにおいて、および前頭前野において、NMDA受容体機能を増大させることができる。この機能亢進は、例えば、NR2Bサブユニットを含有するNMDA受容体において見ることができ、例えばSrcおよびプロテインキナーゼAファミリーのキナーゼの活性化によって生じることがある。
【0030】
したがって、本発明は、精神病、例えば、統合失調症、統合失調感情障害、統合失調様障害、精神障害、妄想性障害、ならびに急性躁病エピソードおよび双極性障害におけるような躁病の新しい治療方法であって、該治療を必要とする患者へ、本発明の医薬組成物I(例えば、遊離形態または医薬上許容される塩形態の、本発明のホスホジエステラーゼ−1(PDE1)およびPDE2阻害剤組合せを含む)の治療有効量を投与することを含む、方法を提供する。
【0031】
PDE1およびPDE2阻害剤組合せは、唯一の治療剤として上記の治療または予防方法において使用され得るが、他の活性薬剤との併用または共投与にも使用され得る。かくして、本発明は、さらに、精神病、例えば、統合失調症、統合失調感情障害、統合失調様障害、精神障害、妄想性障害または躁病の治療方法であって、該治療を必要とする患者へ、
(i)本発明の医薬組成物I(例えば、遊離形態または医薬上許容される塩形態の、本発明のPDE1およびPDE2阻害剤組合せを含む);および
(ii)遊離形態または医薬上許容される塩形態の、抗精神病薬、例えば、
定型抗精神病薬、例えば、
ブチロフェノン系、例えば、ハロペリドール(ハルドール、セレネース)、ドロペリドール(ドロレプタン);
フェノチアジン系、例えば、クロルプロマジン(トラジン、ラルガクチル)、フルフェナジン(プロリキシン)、ペルフェナジン(トリラホン)、プロクロルペラジン(コンパジン)、チオリダジン(メラリル、メレリル)、トリフルオロペラジン(ステラジン)、メソリダジン、ペリシアジン、プロマジン、トリフルプロマジン(ベスプリン)、レボメプロマジン(ノジナン)、プロメタジン(フェネルガン)、ピモジド(オーラップ);
チオキサンテン系、例えば、クロルプロチキセン、フルペンチキソール(デピキソール(Depixol)、フルアンキソール)、チオチキセン(ナーベン)、ズクロペンチキソール(クロピキソール、アキュフェーズ(Acuphase));
非定型抗精神病薬、例えば、
クロザピン(クロザリル)、オランザピン(ジプレキサ)、リスペリドン(リスペルダル)、クエチアピン(セロクエル)、ジプラシドン(ゲオドン)、アミスルプリド(ソリアン)、パリペリドン(インヴェガ)、アリピプラゾール(エビリファイ)、ビフェプルノックス;ノルクロザピン
の治療上有効量を投与すること、例えば同時にまたは連続してまたは同時期に投与することを含む、方法を含む。
【0032】
本発明の製剤または医薬組成物は、唯一の治療剤として使用され得るか、または他の活性薬剤との併用もしくは共投与に使用され得る。例えば、PDE1阻害剤およびPDE2阻害剤は、ドーパミンのようなD1アゴニストの活性を増強するので、それらは、例えばパーキンソン病患者の治療において、慣用のドーパミン作動薬(dopaminergic medication)、例えばレボドパおよびレボドパ補助剤(カルビドパ、COMT阻害剤、MAO−B阻害剤)、ドーパミン受容体アゴニスト、ならびに抗コリン作用薬と同時にまたは連続してまたは同時期に投与され得る。加えて、PDE1阻害剤およびPDE2阻害剤は、例えば本明細書に記載されているように、また、エストロゲン/エストラジオール/エストリオールおよび/またはプロゲステロン/プロゲスチンと組み合わせて投与され得る。
【0033】
本発明の製
剤および医薬組成物は、特に、パーキンソン病、統合失調症、ナルコレプシー、緑内障、女性性機能不全、認知障害(例えば、学習、記憶、認識記憶、社会的相互作用および作業記憶)、不安およびうつ状態の治療に有効である。
【0034】
特的の実施態様において、本発明の製
剤および医薬組成物は、特に、統合失調症の治療または予防に有用である。
【0035】
さらに別の態様において、本発明は、まつげの伸長または成長増強方法であって、該伸長または成長増強を必要とする患者の眼へ、プロスタグランジンアナログ、例えばビマトプロストの有効量を、本発明の製
剤または医薬組成物の有効量と付随してまたは同時にまたは連続して投与することによる方法を提供する。
【0036】
さらに別の態様において、本発明は、外傷性脳損傷の治療または予防方法であって、該治療または予防を必要とする患者へ本発明の医薬組成物Iの治療有効量を投与することを含む、方法を提供する。外傷性脳損傷(TBI)には、一次損傷および二次損傷が包含され、局所性脳損傷およびびまん性脳損傷のどちらも包含される。二次損傷は、最初の(一次)損傷後の炎症性応答および進行が原因であるかまたはそれにより悪化する、個々の細胞内プロセス(例えば、活性酸素種に起因する毒性、グルタミン酸受容体の過剰刺激、カルシウム過剰流入および炎症性上方制御)に起因する複数の並行した相互作用する相互依存的な生物学的反応カスケードである。異常なカルシウム恒常性は、白質および灰白質のどちらにおいても二次損傷の進行の重要な要素であると考えられる。
【0037】
本発明は、また、
(i)上記した方法のいずれかまたは上記した疾患または状態の治療において用いるための、上記の本発明の製
剤または医薬組成物、
(ii)上記の疾患または状態の治療のための(医薬の製造における)上記の本発明の製
剤または医薬組成物の使用、
(iii)上記の疾患または状態の治療における使用のための上記の本発明の医薬組成物I
を提供する。
【0038】
本発明は、また、以下の状態:
(i)パーキンソン病、下肢静止不能振戦、ジスキネジア、ハンチントン病、アルツハイマー病および薬剤性運動障害を包含する神経変性疾患;
(ii)うつ状態、注意欠陥障害、注意欠陥多動障害、双極型疾患、不安、睡眠障害、例えばナルコレプシー、認知障害、認知症、トゥレット症候群、自閉症、脆弱X症候群、覚醒剤離脱および薬物依存を包含する精神障害;
(iii)脳血管疾患、脳卒中、うっ血性心疾患、高血圧、肺高血圧症、肺動脈性高血圧症および性機能障害を包含する循環器および心血管障害;
(iv)喘息、慢性閉塞性肺疾患およびアレルギー性鼻炎を包含する呼吸器および炎症性障害、ならびに自己免疫および炎症性疾患;
(v)PDE1またはPDE2を発現する細胞中の低レベルのcAMPおよび/またはcGMP(またはcAMPおよび/またはcGMPシグナル伝達経路の阻害)によって特徴付けられる疾患または状態;および/または
(vi)ドーパミンD1受容体シグナル伝達活性の低下によって特徴付けられる疾患または状態
のうち1つ以上の状態の治療方法であって、該治療を必要とするヒトまたは動物患者へ、(a)遊離形態または医薬上許容される塩形態のPDE1阻害剤、および(b)遊離形態または医薬上許容される塩形態のPDE2阻害剤の有効量を投与すること、例えば同時にまたは連続してまたは同時期に投与することを含む、方法を提供する。いくつかの実施態様において、該PDE1阻害剤およびPDE2阻害剤は、単一投与剤形である。他の実施態様においては、PDE1阻害剤およびPDE2阻害剤は、別々の投与剤形である。
【0039】
一の実施態様において、本発明は、ナルコレプシーの治療または予防方法を提供する。この実施態様において、遊離形態または医薬上許容される塩形態の該PDE1阻害剤およびPDE2阻害剤は、唯一の治療剤として使用され得るが、他の活性薬剤との併用または共投与にも使用され得る。かくして、本発明は、また、ナルコレプシーの治療方法であって、該治療を必要とするヒトまたは動物患者へ、
(i)遊離形態または医薬上許容される塩形態のPDE1阻害剤、
(ii)遊離形態または医薬上許容される塩形態のPDE2阻害剤、および
(iii)任意であるが、遊離形態または医薬上許容される塩形態の、覚醒を促進するかまたは睡眠を調節する化合物、例えば(a)中枢神経刺激薬−アンフェタミンおよびアンフェタミン様化合物、例えばメチルフェニデート、デキストロアンフェタミン、メトアンフェタミンおよびペモリン;(b)モダフィニル、(c)抗うつ薬、例えば三環系(イミプラミン、デシプラミン、クロミプラミンおよびプロトリプチリンを包含する)および選択的セロトニン再取り込み阻害薬(フルオキセチンおよびセルトラリンを包含する);および/または(d)γヒドロキシ酪酸(GHB)から選択される化合物
の治療有効量を投与すること、例えば同時にまたは連続してまたは同時期に投与することを含む、方法を含む。該PDE1阻害剤およびPDE2阻害剤は、唯一の治療剤として使用され得るか、または他の活性薬剤との併用もしくは共投与に用いることもできる。
【0040】
別の実施態様において、本発明は、また、プロゲステロンシグナル伝達の亢進によって軽減され得る状態の治療または予防方法であって、該治療または予防を必要とするヒトまたは動物患者へ、(a)遊離形態または医薬上許容される塩形態のPDE1阻害剤、および(b)遊離形態または医薬上許容される塩形態のPDE2阻害剤の有効量を投与することを含む、方法を提供する。プロゲステロンシグナル伝達の亢進によって軽減され得る疾患または状態としては、女性性機能不全、続発性無月経(例えば、運動性無月経)、無排卵症、閉経、閉経期症状、月経前症候群、早期分娩、不妊症、例えば反復流産に起因する不妊症、不規則な月経周期、異常子宮出血、骨粗鬆症、自己免疫疾患、多発性硬化症、前立腺肥大、前立腺癌、および甲状腺機能低下症が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0041】
PDE1阻害剤およびPDE2阻害剤は、唯一の治療剤として上記の治療または予防方法で使用され得るが、他の活性薬剤との併用または共投与に使用され得、例えばホルモン補充療法と併用され得る。かくして、本発明は、また、プロゲステロンシグナル伝達の亢進によって軽減され得る障害の治療方法であって、該治療を必要とするヒトまたは動物患者へ、
(i)遊離形態または医薬上許容される塩形態のPDE1阻害剤、
(ii)遊離形態または医薬上許容される塩形態のPDE2阻害剤、および
(iii)遊離形態または医薬上許容される塩形態の、ホルモン、例えばエストロゲンおよびエストロゲンアナログ(例えば、エストラジオール、エストリオールエステル)ならびにプロゲステロンおよびプロゲステロンアナログ(例えば、プロゲスチン)から選択されるホルモン
の治療有効量を投与すること、例えば同時にまたは連続してまたは同時期に投与することを含む、方法を含む。
【0042】
本発明は、また、PDE1および/またはPDE2関連障害、ドーパミンD1受容体細胞内シグナル伝達経路障害、またはプロゲステロンシグナル伝達経路の亢進によって軽減され得る障害の治療を必要とする患者における当該治療方法であって、該患者へ、(a)遊離形態または医薬上許容される塩形態のPDE1阻害剤、および(b)遊離形態または医薬上許容される塩形態のPDE2阻害剤の有効量を投与すること(ここで、PDE1およびPDE2活性は、DARPP−32および/またはGluR1 AMPA受容体のリン酸化を調節する)、例えば同時にまたは連続してまたは同時期に投与することを含む、方法も提供する。
【0043】
一の別の態様において、本発明は、また、緑内障または眼内圧亢進の治療方法であって、該治療を必要とする患者の眼へ、眼科的に適合した担体中の(a)遊離形態または医薬上許容される塩形態のPDE1阻害剤、および(b)遊離形態または医薬上許容される塩形態のPDE2阻害剤の治療有効量の局所投与を含む、方法を提供する。しかしながら、治療は、全身療法をも包含し得る。全身療法としては、血流に直接到達することができる治療、例えば経口投与法を包含する。
【0044】
所望により、PDE1阻害剤およびPDE2阻害剤は、緑内障または眼内圧亢進の治療に有用な第3の薬物と連続してまたは同時に投与され得る。PDE1阻害剤およびPDE2阻害剤が他の薬剤と一緒に投与される場合、第3のまたはその後の薬剤の治療有効量は、単剤療法の場合に活性に要する量未満であり得る。したがって、閾値下の量(すなわち、単剤療法の場合に効力に必要なレベルよりも低い量)は、治療上有効であるということができるか、あるいは、有効量ということもできる。実際、異なる作用機序および異なる副作用プロファイルを有する種々の薬剤を投与する利点は、いずれかのまたは両方の薬剤の投与量および副作用を減少させること、ならびに、単剤療法の場合のそれらの活性を亢進または増強することであり得る。
【0045】
本発明のPDE1阻害剤およびPDE2阻害剤との併用のための任意のさらなる薬剤は、例えば、典型的にはプロスタグランジン、ピロカルピンもしくはエピネフリンの滴下注入、または局所β遮断薬治療、例えばチモロールによる治療、ならびに全身投与炭酸脱水酵素阻害剤、例えばアセタゾラミドからなる既存の薬物から選択され得る。フィゾスチグミンおよびエコチオパートのようなコリンエステラーゼ阻害剤を使用することもでき、これらは、ピロカルピンと同様の効果を有する。緑内障の治療に現在使用されている薬物としては、例えば、
1.房水のぶどう膜強膜流出を増加させる、ラタノプロスト(キサラタン)、ビマプロスト(ルミガン)およびトラボプロスト(トラバタン)のようなプロスタグランジンアナログ(ビマトプロストは、線維柱帯流出をも増加させる)
2.毛様体による房水産生を減少させる、チモロール、レボブノロール(ベータガン)、およびベタキソロールのような局所βアドレナリン受容体アンタゴニスト
3.房水産生の減少およびぶどう膜強膜流出の増加の二重機構によって働く、ブリモニジン(アルファガン)のようなα
2アドレナリン受容体アゴニスト
4.β
2アゴニスト作用によって、線維柱帯網を介し、かつ、おそらくぶどう膜強膜流出経路を介する房水の流出を増加させる、エピネフリンおよびジピベフリン(プロパイン)のような低選択性交感神経作動薬、
5.毛様体筋の収縮によって働き、線維柱帯網を締め、房水の流出の増加を可能にする、ピロカルピンのような縮瞳薬(副交感神経作動薬)、
6.毛様体内で炭酸脱水酵素を阻害することによって房水の分泌を低下させる、ドルゾラミド(トルソプド)、ブリンゾラミド(エイゾプト)、アセタゾラミド(ダイアモックス)のような炭酸脱水酵素阻害剤、
7.緑内障および胃排出遅延を治療するために使用することもできる、フィゾスチグミン
が挙げられる。
【0046】
本発明は、精神病、例えば、統合失調症、統合失調感情障害、統合失調様障害、精神障害、妄想性障害、ならびに急性躁病エピソードおよび双極性障害におけるような躁病の新しい治療方法であって、該治療を必要とする患者へ、(a)遊離形態または医薬上許容される塩形態のPDE1阻害剤、および(b)遊離形態または医薬上許容される塩形態のPDE2阻害剤の治療有効量を投与すること、例えば同時にまたは連続してまたは同時期に投与することを含む、方法をも提供する。
【0047】
PDE1阻害剤およびPDE2阻害剤は、唯一の治療剤として上記の治療または予防方法において使用され得るが、他の活性薬剤との併用または共投与にも使用され得る。かくして、本発明は、さらに、精神病、例えば、統合失調症、統合失調感情障害、統合失調様障害、精神障害、妄想性障害または躁病の治療方法であって、該治療を必要とする患者へ、
(i)遊離形態または医薬上許容される塩形態のPDE1阻害剤、
(ii)遊離形態または医薬上許容される塩形態のPDE2阻害剤、および
(iii)任意であるが、遊離形態または医薬上許容される塩形態の、抗精神病薬、例えば、
定型抗精神病薬、例えば、
ブチロフェノン系、例えば、ハロペリドール(ハルドール、セレネース)、ドロペリドール(ドロレプタン);
フェノチアジン系、例えば、クロルプロマジン(トラジン、ラルガクチル)、フルフェナジン(プロリキシン)、ペルフェナジン(トリラホン)、プロクロルペラジン(コンパジン)、チオリダジン(メラリル、メレリル)、トリフルオロペラジン(ステラジン)、メソリダジン、ペリシアジン、プロマジン、トリフルプロマジン(ベスプリン)、レボメプロマジン(ノジナン)、プロメタジン(フェネルガン)、ピモジド(オーラップ);
チオキサンテン系、例えば、クロルプロチキセン、フルペンチキソール(デピキソール、フルアンキソール)、チオチキセン(ナーベン)、ズクロペンチキソール(クロピキソール、アキュフェーズ);
非定型抗精神病薬、例えば、
クロザピン(クロザリル)、オランザピン(ジプレキサ)、リスペリドン(リスペルダル)、クエチアピン(セロクエル)、ジプラシドン(ゲオドン)、アミスルプリド(ソリアン)、パリペリドン(インヴェガ)、アリピプラゾール(エビリファイ)、ビフェプルノックス;ノルクロザピン
の治療上有効量を投与すること、例えば同時にまたは連続してまたは同時期に投与することを含む、方法を含む。
【0048】
さらに別の態様において、本発明は、まつげの伸長または成長増強方法であって、該伸長または成長増強を必要とする患者の眼へ、プロスタグランジンアナログ、例えばビマトプロストの有効量を(a)遊離形態または医薬上許容される塩形態のPDE1阻害剤、および(b)遊離形態または医薬上許容される塩形態のPDE2阻害剤の有効量と付随してまたは同時にまたは連続して投与することによる方法を提供する。
【0049】
さらに別の態様において、本発明は、外傷性脳損傷の治療または予防方法であって、該治療または予防を必要とする患者へ(a)遊離形態または医薬上許容される塩形態のPDE1阻害剤、および(b)遊離形態または医薬上許容される塩形態のPDE2阻害剤の治療有効量を投与することを含む、方法を提供する。外傷性脳損傷(TBI)には、一次損傷および二次損傷が包含され、局所性脳損傷およびびまん性脳損傷のどちらも包含される。二次損傷は、最初の(一次)損傷後の炎症性応答および進行が原因であるかまたはそれにより悪化する、個々の細胞内プロセス(例えば、活性酸素種に起因する毒性、グルタミン酸受容体の過剰刺激、カルシウム過剰流入および炎症性上方制御)に起因する複数の並行した相互作用する相互依存的な生物学的反応カスケードである。異常なカルシウム恒常性は、白質および灰白質のどちらにおいても二次損傷の進行の重要な要素であると考えられる。異常なカルシウム恒常性は、白質および灰白質のどちらにおいても二次損傷の進行の重要な要素であると考えられる。異常なカルシウム恒常性は、白質および灰白質のどちらにおいても二次損傷の進行の重要な要素であると考えられる。
【0050】
本発明は、また、
(i)上記の疾患または状態の治療方法のいずれかまたは治療における、(a)遊離形態または医薬上許容される塩形態のPDE1阻害剤、および(b)遊離形態または医薬上許容される塩形態のPDE2阻害剤の、例えば単一投与剤形または別々の投与剤形での使用、
(ii)上記の疾患または状態の治療のための(a)遊離形態または医薬上許容される塩形態のPDE1阻害剤、および(b)遊離形態または医薬上許容される塩形態のPDE2阻害剤の(医薬の製造における)使用
をも提供する。
【0051】
本発明は、また、(a)遊離形態または医薬上許容される塩形態のPDE1阻害剤、および(b)遊離形態または医薬上許容される塩形態のPDE2阻害剤を含むキットを提供する。
本発明は、また、
(i)上記の疾患または状態の治療方法のいずれかまたは治療における、(a)遊離形態または医薬上許容される塩形態のPDE1阻害剤、および(b)遊離形態または医薬上許容される塩形態のPDE2阻害剤を、例えば単一投与剤形または別々の投与剤形で含むキットの使用、
(ii)上記の疾患または状態の治療のための、(a)遊離形態または医薬上許容される塩形態のPDE1阻害剤、および(b)遊離形態または医薬上許容される塩形態のPDE2阻害剤を含むキットの使用
をも提供する。