特許第6696913号(P6696913)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6696913
(24)【登録日】2020年4月27日
(45)【発行日】2020年5月20日
(54)【発明の名称】誘導加熱装置
(51)【国際特許分類】
   H05B 6/10 20060101AFI20200511BHJP
   H05B 6/36 20060101ALI20200511BHJP
【FI】
   H05B6/10 381
   H05B6/36 Z
【請求項の数】10
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2016-572471(P2016-572471)
(86)(22)【出願日】2015年6月10日
(65)【公表番号】特表2017-519340(P2017-519340A)
(43)【公表日】2017年7月13日
(86)【国際出願番号】EP2015062906
(87)【国際公開番号】WO2015189253
(87)【国際公開日】20151217
【審査請求日】2018年5月29日
(31)【優先権主張番号】1450723-0
(32)【優先日】2014年6月12日
(33)【優先権主張国】SE
(73)【特許権者】
【識別番号】391053799
【氏名又は名称】テトラ ラバル ホールディングス アンド ファイナンス エス エイ
(74)【代理人】
【識別番号】100151105
【弁理士】
【氏名又は名称】井戸川 義信
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ペール・ビアレイン
(72)【発明者】
【氏名】マルティン・アレクサンデション
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル・サンドバリ
(72)【発明者】
【氏名】カール・イスラエルソン
(72)【発明者】
【氏名】ルイス・カールリオス
(72)【発明者】
【氏名】ヴィンセンツォ・デ・サルボ
(72)【発明者】
【氏名】カール−アクセル・ヨハンソン
【審査官】 沼田 規好
(56)【参考文献】
【文献】 特表2014−505638(JP,A)
【文献】 特開2009−200456(JP,A)
【文献】 特開平10−139018(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0152261(US,A1)
【文献】 特表2006−503762(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 6/10
H05B 6/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
誘導加熱装置の磁場を増進するための磁気挿入体(302)と、
前記磁気挿入体(302)の一方の側を支持する基礎構造体(301)と、
記磁気挿入体(302)の他方の側に配置された、磁場を誘導するためのコイル(303)と、
組み立てられたときに前記磁気挿入体(302)と前記コイル(303)とを包囲するように配置された本体構造体(304)と、を備え、
前記磁気挿入体(302)が、成形可能な高分子マトリックスと磁気材料とを含む組成物によって形成され、
前記磁気挿入体(302)が、前記基礎構造体(301)と前記コイル(303)との間で射出成形され、前記磁気挿入体(302)が前記コイル(303)の全長に沿って延びている、誘導加熱装置。
【請求項2】
前記成形可能な高分子マトリックスがPPSを含む、請求項1に記載の誘導加熱装置。
【請求項3】
記磁気材料がNiZnフェライトを含む、請求項1または2に記載の誘導加熱装置。
【請求項4】
記磁気材料の濃度が30〜70体積パーセントである、請求項1から3のいずれか一項に記載の誘導加熱装置。
【請求項5】
前記磁気挿入体(302)が、前記基礎構造体(301)の上面にわたって延びている、請求項1からのいずれか一項に記載の誘導加熱装置。
【請求項6】
前記磁気挿入体(302)が、前記コイル(303)を受け入れるための凹みパターンで形成された、請求項1からのいずれか一項に記載の誘導加熱装置。
【請求項7】
前記基礎構造体(301)がステンレス鋼から作られた、請求項1からのいずれか一項に記載の誘導加熱装置。
【請求項8】
前記磁気挿入体(302)は、前記磁気挿入体(302)上に設けられた少なくとも一つの突起(321)を備え、前記少なくとも1つの突起は、丸められた、斜めにされた、または面取りされた形状を有する、請求項1からのいずれか一項に記載の誘導加熱装置。
【請求項9】
誘導加熱装置を製作する方法(500)であって、
基礎構造体(301)およびコイル(303)を第1の型に取り付けるステップ(51)と、
第1の構成要素をもたらすことになる、成形可能な高分子マトリックスと磁気材料とを含む組成物によって形成された磁気挿入体(302)を、前記基礎構造体(301)と前記コイル(303)との間に射出成形し、前記磁気挿入体(302)が前記コイル(303)の全長に沿って延びるように形成するステップ(52)と、
前記第1の構成要素を第2の型に取り付けるステップ(53)と、
前記誘導加熱装置を形成することになる、本体構造体(304)を前記第1の構成要素に射出成形するステップ(54)と、
を含む方法。
【請求項10】
ステンレス鋼の前記基礎構造体(301)を形成するステップをさらに含む、請求項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、誘導加熱装置と、このような誘導加熱装置のための磁気挿入体とに関する。特に、本発明は、導電層を有する包装に横封止を提供するための誘導加熱装置と、誘導加熱装置を提供するための方法とに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば液体食品包装におけるなどの、液体製品包装において、ボール紙に基づいた包装材料が、最終的な包装を形成するためにしばしば使用される。図1は、このようなシステムの例を示している。包装材料は、充填機械で個々の包装を作り出すための単一シートとして、または、充填機械へと送り込まれる材料のウェブとして、提供され得る。包装材料のウェブは、充填機械が、充填機械の殺菌器、形成区域8、充填区域10、および分配区域などの様々な処理ステーションを通じて包装材料3を送り込むように構成される大きなロール7で通常は分配される。
【0003】
包装材料は、終端が開放された管へと形成され得る。管は、充填機械10において鉛直に配置され、包装材料が充填機械を通じて搬送されるときに連続した充填を受ける。包装材料、延いては管が移動しているとき、横封止14が、管の個々の包装を形成するために提供される。各々の包装は、封止領域において横方向の切断も提供するように動作する封止顎部14によって管から分離され、個々の包装15が、それに続く包装を管から分離させるために搬送される。
【0004】
管は、包装材料の横端同士が重なるようにそれら横端同士を配置することで、および、横端同士の間に流体密封の連結を作り出すために横端同士を互いと封止することで、形成される。
【0005】
横封止のための誘導加熱装置は、図2に示しているように、一般的に5つの個別の構成要素から作られる。通常はアルミニウムから作られる基礎構造体201は、硫化ポリフェニレン(PPS)から典型的には作られる取付芯部202を支持する。いくつかの柔らかい磁気材料の挿入体203が、誘導加熱装置の磁場を局所的に増加し、それによって、包装の導電層において誘導される電力を増大し、おおよそ30%の電力の局所的な増加をもたらすために、取付芯部に設けられている。コイル204が挿入体203に隣接して配置され、最終的に、本体構造体205が他の構成要素のすべてを包む。取付芯部202と同様に、本体構造体205はPPSから作られてもよい。通常、このような誘導加熱装置20は、基礎構造体201、芯部202、挿入体203、およびコイル204を成形で一体に取り付け、続いて、取り付けられた構成要素上に本体構造体205を射出成形することによって、製作される。
【0006】
今日まで、磁気挿入体203は、柔らかい磁気材料を剛体品に焼結することで製作されている。焼結過程は、非常にコストの掛かる方法であり、最新の機器を必要とする一方で、挿入体203の形についての設計の自由を制限してしまう。
【0007】
これに加えて、既知の誘導加熱装置には、限られた予測耐用期間しかない。時間と共に、本体構造体は、横封止を提供するために必要とされる包装材料のロールに向かう間欠的な押し付ける行為のため、疲労されることになる。
【0008】
したがって、磁気挿入体についての改善された解決策、およびこのような磁気挿入体を利用する誘導加熱装置は、有利となる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
そのため、前述の問題を克服または緩和することが、本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
第1の態様によれば、誘導加熱装置の磁場を増進するための磁気挿入体が提供される。磁気挿入体は、成形可能な高分子マトリックスと柔らかい磁気材料とを含む組成物の使用によって製作される。
【0011】
実施形態では、成形可能な高分子マトリックスは、液体食品の包装において横封止を提供するときなど、高速の用途において効率的であると証明されている耐久性のある材料であるPPSを含む。
【0012】
柔らかい磁気材料はNiZnフェライトを含んでもよい。柔らかい磁気材料の濃度は、好ましくは、30〜70体積パーセントの範囲であり得る。具体的な用途に依存するが、磁気挿入体の異なる特性を必要とする場合、選択された区間は、高分子マトリックスの比較的高いパーセンテージにより、効率的な製作を可能にする一方、なおも所望の透磁率を提供することが分かっている。
【0013】
高分子マトリックスは、好ましくは、射出成形可能、熱形成可能、および/または圧送成形可能であり得る。他の実施形態では、高分子マトリックスは、利用可能な3Dプリンタを用いて、印刷可能として選択されてもよい。
【0014】
第2の態様によれば、誘導加熱装置のための磁気挿入体を製作するための方法が提供される。方法は、成形可能な高分子マトリックスおよび柔らかい磁気材料を含む組成物を提供するステップと、前記組成物を前記磁気挿入体へと形成するステップとを含む。
【0015】
前記組成物を形成するステップは、射出成形、熱形成、圧送成形、または3Dプリントによって実施され得る。
【0016】
第3の態様によれば、包装材料の2つの層を封止するための誘導加熱装置が提供される。誘導加熱装置は、第1の態様による磁気挿入体を支持する基礎構造体と、基礎構造体の側の反対の磁気挿入体の側に配置される、磁場を誘導するためのコイルと、組み立てられるときに磁気挿入体とコイルとを包囲するように配置される本体構造体とを備える。
【0017】
磁気挿入体は基礎構造体とコイルとの間で射出成形され得る。
【0018】
実施形態では、磁気挿入体は、コイルを向く基礎構造体の上面にわたって延びる。
【0019】
磁気挿入体は、コイルを受け入れるための凹みパターンで形成されてもよい。
【0020】
好ましい実施形態では、基礎構造体はステンレス鋼から作られる。
【0021】
磁気挿入体は、少なくとも1つの丸められた、斜めにされた、または面取りされた突起が磁気挿入体の上面にある状態で配置されてもよく、ある実施形態では、磁気挿入体はコイルの長さに沿って延びる。
【0022】
第4の態様によれば、誘導加熱装置を製作する方法が提供される。方法は、基礎構造体およびコイルを第1の型に取り付けるステップと、第1の構成要素をもたらすことになる、第1の態様による磁気挿入体を、基礎構造体とコイルとの間に射出成形するステップと、前記第1の構成要素を第2の型に取り付けるステップと、前記誘導加熱装置を形成することになる、本体構造体を第1の構成要素に射出成形するステップとを含む。
【0023】
方法は、ステンレス鋼の基礎構造体を形成するステップをさらに含み得る。
【0024】
本発明の上記および追加の目的、特徴、および利点は、添付の図面を参照しつつ、本発明の以下の好ましい実施形態の例示の非限定的な詳細な記述を通じてより良く理解されることになる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】先行技術の液体製品充填機械の概略図である。
図2】包装に横封止を提供するための先行技術の誘導加熱装置の概略図である。
図3】実施形態による誘導加熱装置の概略図である。
図4】実施形態による丸められた突起の設けられている磁気挿入体の概略的な側面図である。
図5】実施形態による方法の流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
大まかな原理として、成形可能な高分子マトリックスと柔らかい磁気材料とを含む組成物の磁気挿入体を形成する提案された解決策は、以前に知られている解決策と比較していくつかの便益をもたらすことになる。まず、材料の選択によって、磁気挿入体を、射出成形などの高速の機器によって生産させることができることになる。これに加えて、形および寸法に関する制約がもはやなく、それによって、磁気挿入体の寸法が自由に設計され得る。
【0027】
これらの利点を考慮して、着想は、より機械的に堅牢で設計の融通が利く誘導加熱装置を提供することである。この着想は、PPSを使用する一般的な解決策を考慮して、改善された耐久性を持つ基礎構造体を有する誘導加熱装置を提供することで実行される。このような基礎構造体は、ステンレス鋼などの金属の材料であり得る。
【0028】
誘導加熱能力に悪影響を与えないために、金属の基礎構造体は、好ましくは、磁気遮蔽体によってコイルから遮蔽される。磁気遮蔽体は、この目的のために、コイルと基礎構造体との間に物理的な障害を形成するように、コイルの長さに沿って延びているべきである。磁気挿入体を提供するための新規の技術のおかげで、細長い構造体として提供されるこのような磁気挿入体が非常に効率的な手法でこのような遮蔽体を実際に形成できることが実現された。したがって、提案された磁気挿入体は、より効率的な製作を可能にするだけでなく、今日まで可能ではなかった誘導加熱装置の金属の基礎も可能にする。
【0029】
誘導を用いて包装に横封止を提供できるようにするために、包装には、誘導加熱装置によって作り出される磁場と相互作用する誘導層が設けられる。この相互作用は、包装材料の導電層に渦電流を発生させ、導電層の固有抵抗のため、封止の位置において局所的に包装材料の温度を上昇させ、それによって、温度上昇は、包装材料を積層するための包装材料のポリマ層を溶解するために使用される。
【0030】
実施形態では、図3によれば、誘導加熱装置30が示されている。誘導加熱装置は、ステンレス鋼などの剛体で耐久性のある金属材料によって好ましくは形成される基礎構造体301を備えている。誘導加熱装置30は、基礎構造体301に配置されている磁気挿入体302をさらに備えている。磁気挿入体302は、成形可能な高分子マトリックスと柔らかい磁気材料とを含む組成物によって形成されている。好ましくは、柔らかい磁気材料の濃度は、30〜70体積パーセントの区間となるように選択され、より好ましい実施形態では、50〜70体積パーセントの区間となるように選択される。
【0031】
コイル303が、基礎材料の側の反対の側において磁気挿入体302に配置され、それによって、磁気挿入体302は、金属の基礎構造体をコイルから遮蔽するように作用する。電流がコイル303を通って流れるとき、柔らかい磁気材料の提供によって引き起こされる磁気挿入体302の磁気特性は、実際、誘導加熱装置30の効率を増加する。磁気挿入体302の柔らかい磁気材料が磁気挿入体の透磁率に影響するため、より大きい透磁率によって、より大きな磁場を磁気挿入体に通過させることができ、すなわち、熱損失を引き起こすことになるステンレス鋼本体へと逃げる磁場をより小さくする。
【0032】
さらに、誘導加熱装置30は、コイル303に近接して配置され、剛体の本体を形成するために提供された本体構造体304を備えている。本体構造体は、高速の充填機械で使用される場合など、繰り返される負荷に耐えることができる剛体の材料から好ましくは作られるべきである。そのため、本体構造体304は、好ましくは、PPSおよびガラス繊維を含む合成物を基礎構造体301、磁気挿入体302、およびコイル303を収容する型へと射出成形することによって、合成物から製作されてもよい。
【0033】
磁気挿入体302は柔らかい磁気材料を含んでいる。磁気挿入体302のために使用される材料は、具体的な用途の特定の要件を理由に選択されてもよい。例えば、磁気挿入体302は、PPSおよびNiZnフェライトを含む合成物から形成されてもよく、そのとき、NiZnフェライトの濃度は30〜70体積パーセントの間であり、好ましくは50〜70体積パーセントの間である。
【0034】
磁気挿入体の機能性は少なくとも2つから成る。第1に、金属の基礎構造体301が遮蔽され、それによって、使用中にコイルと関連付けられる磁場に悪影響を与えることが、防止される、または、少なくとも制限される。第2に、磁気挿入体302の柔らかい磁気材料は、コイルの磁場を増加するように作用し、または別の言い方をすれば、向上された横封止の機能性を可能にする所望の形に磁場を成形することを可能にする。したがって、磁気挿入体302を使用すると、既知の解決策にあるような別体の挿入体を用いる必要がない。
【0035】
実施形態では、磁気挿入体の柔らかい磁気材料は、柔らかい磁気粒子が提供されている高分子マトリックスを含む。高分子マトリックスは硫化ポリフェニレン(PPS)を含むことができ、それによって、磁気挿入体302は、射出成形、熱形成、圧送成形、3Dプリントなどの様々な技術によって成形可能であり得る。
【0036】
実施形態では、磁気挿入体302は、コイル303を向く基礎構造体301の上面にわたって延びる。
【0037】
実施形態では、コイル303が磁気挿入体302に配置されるとき、磁気挿入体302が、コイル303から基礎構造体301へのあらゆる線形方向において、コイル303を基礎構造体301から遮蔽するような形で、磁気挿入体302は配置される。
【0038】
実施形態では、磁気挿入体302は、好ましくはぴったりとした嵌め合いで、コイル303を受け入れるための凹みパターンを伴う形を有している。凹みパターンは、好ましくは、磁気挿入体302の中心部において、実質的に磁気挿入体302の全長に沿って、凹みパターンがコイル303の周りで部分的に磁気挿入体302を成形することによって形成され得るように延びている。
【0039】
実施形態では、磁気挿入体302は射出成形可能である。射出成形を利用することで、磁気挿入体302はコイル303に直接的に成形でき、それによって誘導子の効率を増加する。現在の解決策との関連で、射出成形された磁気挿入体302は、別体の挿入体の必要性が排除されるため、内部構成要素の数を減らす。減らされた数の内部構成要素は、射出成形された材料がより大きな同質の体積を満たすことになるため、設計をより堅牢とする。さらに、挿入体の手作業の取り付けの必要性が排除されるため、製作時間が短縮される。手作業の労働を減らす結果として、製作の間に間違いの危険性も低減される。
【0040】
磁気挿入体302は、基礎構造体301およびコイル303が取り付けられる射出成形器具を利用して射出成形されてもよい。磁気挿入体302は、射出成形器具における射出成形過程の間に直接的に成形されるため、公差の連鎖による問題が回避され得る。
【0041】
磁気挿入体302の射出成形は、増加された量の材料が、例えば、横端においてのほかに、長手方向封止の重なりの位置においてといった、重大な位置に配置されるように、磁気挿入体302の形が選択され得るため、重大な領域の封止における補償も可能にする。
【0042】
実施形態では、基礎構造体はステンレス鋼から作られる。ステンレス鋼から作られた基礎構造体には、一般的に知られているアルミニウムの基礎構造体よりも優れた予測耐用期間がある。好ましくは、基礎構造体は、誘導子の効率に悪影響を与えるため、磁性であるべきではない。最終的な用途の要件に依存して、材料は選択されるべきである。アルミニウムは、環境条件がより緩い一部の用途に十分に適すことができ得る。先行技術の解決策では、磁気挿入体302は、焼結過程による製作のため、鋭い推移を有する。このような鋭い変遷は、ポリマ本体205において割れおよび材料疲労を生じさせ得るという事実のため、設計の選択肢の数を制限している。これに加えて、挿入体203の鋭い縁が、磁場の望ましくない分配を引き起こす可能性があり、それによって損失が生じることになる。
【0043】
実施形態では、磁気挿入体302は、磁気挿入体302の上面にいくつかの突起321が配置されている。突起は、これが横封止のために使用される所望の磁場の形をあつらえることを可能にするように、向上された性能を可能とするために丸められる、斜めにされる、または面取りされる。別の言い方をすれば、突起は、2つの理由のため、すなわち、i)本体304が増加された寿命期間を有すること、および、ii)発生した磁場が増加された効率を有し得ることのために、滑らかな推移を伴って配置される。したがって、射出成形を用いることで、磁気挿入体は、磁気挿入体に沿うすべての位置で適切な大きさの出力で磁場を形成できる形態で配置され得る。丸められた、斜めにされた、または面取りされた突起を使用することは、鋭い角のないことで内部亀裂の危険性をさらに低減し、これは、磁気挿入体の予測耐用期間を引き延ばす。さらに、このような磁気挿入体は、誘導子における内部での抵抗損失の低減を可能とし、それによって内部温度が低下される。
【0044】
実施形態では、誘導加熱装置は、2つの構成要素の成形過程によって製作され、第1の構成要素は、取り付けられるコイルおよび基礎構造体に磁気挿入体を成形することを含み、第2の構成要素は、第1の構成要素に本体構造体を成形することである。このような製作過程は、既知の解決策と比較してはるかにより高い度合いへと自動化され得る。
【0045】
実施形態では、図4によれば、誘導加熱装置を製作する方法50が提供される。方法は、基礎構造体301およびコイル303を第1の型に取り付けるステップ51を含む。方法は、第1の構成要素をもたらすことになる、磁気挿入体302を、基礎構造体301とコイル303との間に射出成形するステップ52をさらに含む。さらに、方法は、第1の構成要素を第2の型に配置するステップ53と、前記誘導加熱装置を形成することになる、本体構造体304を第2の型内の第1の構成要素に射出成形するステップ54とを含む。
【0046】
上記の記述が、包装の横封止のための誘導加熱装置を大半は参照して行われたが、開示された誘導加熱装置は、誘導による封止が望まれる多くの他の封止用途において使用されてもよいことを認識されたい。
【0047】
さらに、本発明は、少数の実施形態を参照して主に記述されてきた。しかしながら、当業者によって容易に理解されるように、上記で開示された実施形態以外の実施形態が、添付の特許請求の範囲によって定義されているような本発明の範囲内で等しく可能である。
【符号の説明】
【0048】
30 誘導加熱装置
301 基礎構造体
302 磁気挿入体
303 コイル
304 本体構造体
321 突起
図1
図2
図3
図4
図5