特許第6696934号(P6696934)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6696934地面から杭要素を引き抜くための方法及び装置
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  • 特許6696934-地面から杭要素を引き抜くための方法及び装置 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6696934
(24)【登録日】2020年4月27日
(45)【発行日】2020年5月20日
(54)【発明の名称】地面から杭要素を引き抜くための方法及び装置
(51)【国際特許分類】
   E02D 9/02 20060101AFI20200511BHJP
【FI】
   E02D9/02
【請求項の数】13
【外国語出願】
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2017-101365(P2017-101365)
(22)【出願日】2017年5月23日
(65)【公開番号】特開2018-21444(P2018-21444A)
(43)【公開日】2018年2月8日
【審査請求日】2017年5月23日
(31)【優先権主張番号】16172466.1
(32)【優先日】2016年6月1日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】502407107
【氏名又は名称】バウアー マシーネン ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】特許業務法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】フランツ ウェルナー ゲルレッセン
(72)【発明者】
【氏名】クリスチャン ハイネッカー
(72)【発明者】
【氏名】ディーター ステッター
【審査官】 中村 圭伸
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−303642(JP,A)
【文献】 特開2006−300574(JP,A)
【文献】 特開2005−291802(JP,A)
【文献】 米国特許第04900198(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E21D 1/00−9/14
G01B 7/00−7/34
G01B 11/00−11/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
地中にあり、位置及び/又は配置を地表から判断できない杭要素を地面から引き抜く方法であって、
‐地中の前記杭要素の位置及び/又は配置を検出ユニットにより測定するステップと、
‐前記測定された位置及び/又は配置に従って、第1の掘削工具による第1のボアを、前記杭要素の上端まで実現させ、前記第1ボアが、外側ガイド管により覆われたボアとして実現されるステップと、
‐前記第1掘削工具を引き抜くときに前記ガイド管が地中に残されるステップと、
‐中空のドリルシャンクを有する第2の掘削工具を、前記ガイド管を通して前記杭要素まで運ぶステップと、
‐前記第2掘削工具により前記杭要素の外周を少なくとも部分的に掘削し、且つ、前記杭要素を前記ドリルシャンク内に取り込むステップと、
前記第2掘削工具の前記ドリルシャンクと前記杭要素との静摩擦を利用して、前記外周掘削された杭要素を前記地面から引き抜くステップとを含む、杭要素を地面から引き抜く方法。
【請求項2】
前記地中における前記杭要素の位置及び/又は配置を測定するために、少なくとも1つのボアホールを、前記杭要素を取り囲む領域に設け、当該ボアホール内に少なくとも1つのセンサを導入し、当該センサが前記検出ユニットに接続され、且つ前記杭要素の位置及び/又は配置データを前記検出ユニットに提供し、これにより、前記検出ユニットが、前記杭要素の位置及び/又は配置を、前記提供されたデータに基づいて測定する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
少なくとも3つのセンサが地中に導入され、前記導入されたセンサの、特には前記検出ユニットによる測定信号の三角測量、又は、それぞれの組合せを用いて、地中の前記杭要素の配置及び/又は位置を特に正確に測定できる、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記杭要素が、前記第2掘削工具と共に前記ドリルシャンク内で、前記ガイド管を通して地面から引き抜かれる、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記杭要素を引き抜く前に、前記杭要素を取り囲んでいる土壌材料が、少なくとも前記第2掘削工具により緩められる、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記第2掘削工具が、ねじることにより前記杭要素と共に地面から引き出され、それにより、地中に出現する穴が、土壌材料で少なくとも或る程度満たされる、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記第2掘削工具が前記杭要素と共に回転されずに地面から引き出される、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
地中にあり、位置及び/又は配置を地表から判断できない杭要素を地面から引き抜くための装置であって、
‐マストが配置された支持フレームと、
‐前記マストにて回転可能に駆動可能であるように配置され、且つ、前記杭要素の出口開口を作成するために地中に挿入可能なガイド管と、
‐前記杭要素の上にある、少なくとも前記ガイド管内の土壌材料を除去するように設計された第1の掘削工具と、
‐前記杭要素を少なくとも部分的に受け入れるように設計された中空のドリルシャンクを含む第2の掘削工具であって、前記ガイド管を通してほぼ同軸状に前記杭要素に運ばれ、前記杭要素の外周を少なくとも部分的に掘削し、前記第2掘削工具の前記ドリルシャンクと前記杭要素との間に引き抜きに十分な静摩擦を提供することができる第2掘削工具と、
‐地中の前記杭要素の位置及び/又は配置を測定するように設計された少なくとも1つの検出ユニットと、を備えた杭要素を地面から引き抜くための装置。
【請求項9】
前記第1掘削工具及び/又は前記第2掘削工具がドリルフライトを含み、これにより、少なくとも前記第2の掘削工具が、前記杭要素を引き抜く前に前記杭要素を取り囲む土壌材料を緩めるように形成されている、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記杭要素を地面から前記第2掘削工具と共に引き抜くように設計された引き抜き装置が設けられた、請求項8に記載の装置。
【請求項11】
前記引き抜き装置が、地面から前記第2掘削工具を前記杭要素と共に、回転を伴わずに引き出すように設計されている、請求項8に記載の装置。
【請求項12】
前記引き抜き装置が、地面から前記第2掘削工具を前記杭要素と共に、具体的には、前記掘削回転方向とは反対の回転方向にねじることにより引き出すように設計されている、請求項8に記載の装置。
【請求項13】
前記検出ユニットが少なくとも1つのセンサを含み、当該センサが、前記杭要素の位置データを測定し、且つ、当該データを前記検出ユニットに転送するように設計されている、請求項8に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1に記載の、地面から杭要素を引き抜くための方法、及び、請求項8に記載の、地面から杭要素を引き抜くための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
建築手段のために以前に穴が開けられた地面に、例えば、ドリル穴、ダイヤフラム壁、又は、掘削ピット等を作成する場合、地面を再び使用する前に、古い要素、例えば、地中に挿入されている梁、杭(パイル)など(すなわち一般的に杭要素)を地面から除去することが必要である。これらの要素は、例えば、以前に取り壊された建物の基礎要素、或いは足場構造の一部であり得る。これらの要素は、具体的には地面下数メートルに位置することがあり、そのため、地表からこれらの位置を判断することは困難である。
【0003】
このような杭要素は、通常、適切な工具を用いてボアホールを形成することにより除去される。従って、地中での杭要素の正確な位置を測定するために、複数の引き抜き掘削が、それぞれ、引き抜き工具を杭要素に到達させるために必要であろう。
【0004】
杭要素を引き抜くための別の公知の変型例は、平坦な領域上の土壌材料を除去することである(例えば、基礎部を掘削して、少なくとも1つの杭要素を露出させるために)。しかし、地面を掘削するための工具が前記杭要素と接触する際に損傷することもあるため、これは不利とみなされる。さらに、杭要素を除去するために基礎工事を中断する必要があり、これが、既に開始されている建設工事に遅れを生じる場合がある。
関連する技術が、下記特許文献1、2に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】欧州特許出願公開第0206384A1号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2009/269144A1号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、埋設されている杭要素を地中から引き抜くための、前記杭要素を確実に除去できる方法及び装置を明確に示すことである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、この目的は、一方では、請求項1に記載の特徴を含む方法により達成され、他方では、請求項8に記載の特徴を含む配置により達成される。
【0008】
有利な実施形態を、従属請求項、明細書及び図面に記載する。
【0009】
地面から杭要素を引き抜くための本発明による方法は、地中の前記杭要素の位置及び/又は配置を検出ユニットにより測定するステップと、前記測定された位置及び/又は配置に従って、第1の掘削工具による第1のボアを、前記杭要素の上端に達するまで作成し、前記第1ボアが、外側ガイド管により覆われたボアとして実現されるステップと、前記第1掘削工具を引き抜くときに前記ガイド管が地中に残されるステップと、中空のドリルシャンクを有する第2の掘削工具を、前記ガイド管を通して前記杭要素まで運ぶステップと、前記杭要素を前記第2掘削工具により少なくとも部分的に外周掘削し、且つ、前記杭要素を前記ドリルシャンク内に取り込むステップと、前記外周掘削された杭要素を前記地面から引き抜くステップと、を特徴とする。
【0010】
本発明の基本的な構想は、地中の杭要素の位置及び/又は配置を、前記杭要素を引き抜く前に測定し、前記測定された位置及び/又は配置に基づいて、前記杭要素を前記地面から引き抜くためのボアを作成することである。この場合、前記杭要素は、具体的に土壌により覆われ、また、好ましくは、数メートルの深さに位置し得る。
【0011】
本発明の別の基本的な構想は、前記杭要素を地面から引き抜くために、地中にガイド管を、前記杭要素の少なくとも上まで導入し、このガイド管を通して工具を前記杭要素まで運び、当該工具を用いて前記杭要素を地面から引き抜くことである。
【0012】
本発明は、基礎工事又は掘削工事を開始する前に10メートル以上ものかなりの深さに部分的に既に存在し得るビーマ(梁)、杭などを建造物の地面から除去する、一定の需要に対処する。
【0013】
前記杭要素の位置は、主に、地上から見て前記杭要素を地中に見つけることができる場所又は領域を示し得る。前記杭要素の配置は、前記杭要素が地中に位置する向きだけでなく、前記杭要素が位置する深さを具体的に示し得る。前記杭要素の地中での位置又は配置を、具体的に、設置されるセンサ(単数又は複数)に関して測定できる。
【0014】
前記杭要素は、地中に、鉛直方向だけでなく、傾いた状態で(すなわち垂線から逸れた角度で)配置されている場合がある。この角度が、垂直に対して直角よりも小さいことが好ましい。特に好ましいのは、地中における前記杭要素の傾斜の角度が、鉛直方向(0度の傾斜角に対応)に対して最大で10度であることである。
【0015】
前記ガイド管は、好ましくは、前記第1掘削工具と共に、地中の、前記杭要素より上の領域に導入され、それにより、前記ガイド管は前記杭要素とほぼ平行に位置合わせされる。好ましくは、地面材料が除去され、ドリル穴から排出される。上面から前記ガイド管を通して見たときに、前記杭要素が前記ガイド管の円周内に位置するように前記ガイド管が位置合わせされることが特に好ましい。前記杭要素は、前記ガイド管の下端部より下に位置し得るが、前記ガイド管内に突出してもよい。好ましくは、少なくとも1つのセンサが、地中の、前記杭要素を囲む領域に導入され、当該少なくとも1つのセンサが、前記杭要素の測定された位置データを前記検出ユニットに送信する。
【0016】
本発明の好ましいさらなる展開において、地中の前記杭要素の位置及び/又は配置を測定するために、前記杭要素を取り囲む領域に、少なくとも1つの音響ドリル穴を設けることが考えられ、この穴の内部に、少なくとも1つのセンサを導入する。このセンサは、前記検出ユニットに接続され、前記杭要素の位置及び/又は配置データを前記検出ユニットに提供し、これにより、前記検出ユニットが、前記杭要素の位置及び/又は配置を、前記提供されたデータに基づいて測定する。
【0017】
主に、地中の前記杭要素の位置の測定は、前記検出ユニット接続された、少なくとも1つの任意の、しかし適切なセンサにより可能にされ得る。当該少なくとも1つのセンサは、例えば、強磁性測定(例えば、磁場測定の形態)を実行するように設計されることができ、前記杭要素の位置を、前記杭要素の強磁性体の割合(特に、前記杭要素の鉄含量)に基づいて測定し得る。また、地中の前記杭要素の位置を、地震探査法、又は、レーダ技術、X線測定、超音波を用いて、これに応じて調整されるセンサにより測定することも想定し得る。センサを、地中の前記杭要素の位置及び/又は配置を決定するための対応する測定方法のために、送信器及び受信器の両方として設計してもよい。
【0018】
地中における杭要素の位置に加え、杭要素の配置を、前記少なくとも1つのセンサが設けられた前記検出ユニットにより測定し得る。この目的のために、複数の測定、特に2つの測定、好ましくは少なくとも3つの測定を、異なる地中深さのセンサで行うことができ、これにより、前記杭要素の配置を測定の大部分により判定できる。前記杭要素を取り囲む領域の異なる位置で導入できる少なくとも2つのセンサを地中に設けることが有利である。これらのセンサを、測定のために互いに対して地中の同じ深さに設置しても、また、異なる深さで設置してもよく、これが、地中の前記杭要素の位置及び/又は配置の特に正確な測定に寄与する。
【0019】
本発明により、少なくとも3つのセンサを地中に導入すること、そして、導入されたセンサの、特に検出ユニットによる測定信号の三角測量又は組合せを用いて、地中の前記杭要素の配置及び/又は位置を特に正確に測定できることが特に好ましい。ここで、各場合に、複数の測定が3つのセンサにより行われ、少なくとも3つのセンサが、個々の測定において、互いに対して少なくとも類似の地中深さに設置されることが有利であろう。しかし、これらのセンサを一緒に、地中の前記杭要素に、異なる位置で、すなわち異なる深さに運ぶことも可能である。これは、前記杭要素の位置及び配置の両方の特に正確な測定にとって良好であろう。有利には、測定中に前記杭要素を、これらのセンサの少なくとも3つにより、特に均一に取り囲むことができ、前記少なくとも3つのセンサの少なくとも3つを、各々、1つの別々の音響ドリル穴に設置できる。センサを上下に重ねて配置することもでき、例えば、前記杭要素からそれぞれのセンサまでの距離を測定できる。前記杭要素と、それぞれ鉛直方向に配置されたセンサとの距離差の計算により、特に、前記杭要素の傾きを、設置したセンサを用いた単一の一括測定により簡単に測定できる。同様に、主に、各音響穴に1つの単一のセンサを用いることも考えられるが、傾斜の測定を可能にするためには、異なる深さの少なくとも1つのセンサを用いた少なくとも2つの測定が必要である。
【0020】
本発明のさらなる展開によれば、少なくとも2つの杭要素の地中での位置及び配置を測定するために、少なくとも3つのセンサを設置することが特に有利である。これらのセンサは、地中に、上から地上を見たときに幾何学的形状(例えば、三角形、矩形又は多角形の形状)の角部を形成するように配置され得る。こうして、前記杭要素は、好ましくは、前記幾何学的形状内に(すなわち、センサにより取り囲まれて)配置される。前記杭要素の位置/配置を測定するために、前記センサの信号を前記検出ユニットにより分析できる。
【0021】
前記センサは、少なくとも2つの前記杭要素(地中に配置され、且つ、少なくとも前記幾何形状の領域内に、1つずつ、又は同時に存在する)を測定するように形成されることができる。互いに対する前記少なくとも3つのセンサの位置は不変のままであり得る。これは、位置データポイントの各々(すなわち、特定深さの地中における複数の杭要素の各々の杭要素セクションの位置)を測定するためである。前記センサは、前記杭要素に沿って(すなわちほぼ鉛直方向に)高さが変位され得る。これにより、前記センサは、各々、それぞれの高さ又は深さにおいて、前記幾何学形状の領域内の全ての杭要素の1つの位置データポイントを測定できる。好ましくは、前記センサは、互いに対して水平方向に位置合わせされたままである。
【0022】
本発明のさらなる適切な展開は、前記杭要素が、前記第2の掘削工具と共に前記ドリルシャンク内のガイド管を介して地面から引き抜かれることである。前記杭要素を、少なくとも部分的に第2の掘削工具の中空ドリルシャンク内に引き上げることができる。このとき、前記杭要素を取り囲む土壌材料は、前記ドリルシャンクのキャビティ内にも少なくとも部分的に含まれ得る。このようにして、前記中空ドリルシャンクに、前記杭要素と、前記含まれる土壌とをぴったりと埋め込むことができ、これが、前記杭要素を前記ドリルシャンク内に特に確実に付着することを可能にし得る。
【0023】
本発明の特に効率的なさらなる適切な展開は、前記第2掘削工具が地面から前記杭要素と共に、ねじり(twisting)により引き出され、これにより、地中に出現する穴が少なくとも或る程度まで土壌材料で満たされることを提供する。地面から前記掘削工具を、ねじりにより引き出すことは、具体的に、前記掘削回転方向とは反対の方向にて行われ得る。このようにして、前記杭要素を外周掘削したときに上方に運ばれた土壌材料を、引き抜き中に出現するドリル穴に供給できる。このようにして、例えば、前記杭要素が引き抜かれるときに出現するドリル穴の崩壊を防止できる。
【0024】
本発明のさらなる展開によれば、前記第2掘削工具が、地面から前記杭要素と共に回転を伴わずに引き出されることが有利である。このような、掘削工具の回転を伴わない引き出しは、例えば、掘削工具を取り付けることができるクレーンより提供され得る。
【0025】
本発明による、地面から杭要素を引き抜くための装置は、マストが配置された掘削リグと、前記マストにて回転可能に駆動可能であるように配置され、且つ、前記杭要素の出口開口を形成するために地中に挿入可能なガイド管と、前記杭要素の上にある、少なくとも前記ガイド管内の土壌材料を除去するように配置された第1の掘削工具と、前記杭要素を少なくとも部分的に受け入れるように形成された中空のドリルシャンクを含む第2の掘削工具であって、前記ガイド管を通してほぼ同軸状に前記杭要素に運ばれることができる第2掘削工具と、地中の前記杭要素の位置及び/又は配置を測定するように設計された少なくとも1つの検出ユニットと、を提供することを特徴とする。
【0026】
本発明による装置の好適なさらなる展開は、前記第1掘削工具及び/又は前記第2掘削工具がドリルフライトを含み、これにより、少なくとも前記第2掘削工具が、前記杭要素を引き抜く前に前記杭要素を取り囲む土壌材料を緩めるように形成されることを想定する。前記第1掘削工具及び前記第2掘削工具は、前記ガイド管内での掘削、又は、前記ガイド管を通して地面から前記杭要素を引き抜くことをそれぞれ可能にする任意の形状で実現され得る。前記杭要素の、地面からの、特にエネルギー効率の良い引き抜き、又は、回転による引き抜きのためには、引き抜きの前に前記杭要素周囲の土壌を、少なくとも前記第2掘削工具を用いて緩めることが好都合であろう。この目的のために、ドリルフライトが特に好適である。このようにして、例えば、前記杭要素と前記周囲地面との間の静摩擦を低減できる。
【0027】
本発明による装置のさらなる展開によれば、前記杭要素を前記第2掘削工具と共に地面から引き抜くように設計された引き抜き装置を提供することが好ましい。具体的には、前記杭要素周囲の土壌の静摩擦を低減した後に、前記杭要素を地面から、特に小さな労力で引き抜くことが可能である。
【0028】
本発明のさらなる展開によれば、前記引き抜き装置が、地面から前記第2の掘削工具を前記杭要素と共に、回転を伴わずに引き出すように設計されることが特に好ましい。この目的のために、前記掘削工具をクレーン又は他のリフティング装置に取り付けることができ、このような装置を用いて引き出すことができる。
【0029】
本発明のさらなる展開によれば、前記引き抜き装置が、前記第2掘削工具を前記杭要素と共に地面から、具体的には前記掘削回転方向とは反対の回転方向にねじることにより引き出されるように設計されることが特に好都合である。可能な引き抜き装置は、例えば、回転アクチュエータであり、これは、好ましくは、前記第1掘削工具及び/又は第2掘削工具を地中に導入し、そして、前記第2掘削工具を前記杭要素と共にねじることにより地面から引き出すように配置される。
【0030】
本発明のさらなる展開によれば、前記検出ユニットが、少なくとも1つのセンサを備え、当該センサが、前記杭要素の位置データを測定し、且つ、当該位置データを前記検出ユニットに転送するように配置されることが想定される。センサは前記杭要素を、特に、センサ特有の材料部分に基づいて認識し、前記測定データを前記検出ユニットに送信するように設計され得る。前記検出ユニットは、これらのデータに基づいて、前記杭要素の位置及び/又は配置を認識する。
【0031】
前記センサの測定は、具体的には強磁性測定であってよく、この測定は、前記杭要素の強磁性材料の割合(特に、前記杭要素の鉄含有量)を認識する。この目的のために、具体的には、磁場測定を行うことができる。また、センサを、地震波、X線又は超音波を受信及び/又は送信するためのレーダ又はセンサとして設計することもでき、これは、地中の杭要素の位置及び配置を測定するのに有利であり得る。
【0032】
本発明を、添付の概略的な図面を参照して、以下に、より詳細に説明する。図面は以下の通りである。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】本発明による、地面から杭要素を引き抜く方法の好ましい実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
図1は、本発明による方法の好ましい実施形態を、一連の可能な個々のステップ(ステップ1〜9)により示す。杭要素10を地面から引き抜く前に、最初に、杭要素10の地中での位置及び/又は配置を確認する。杭要素10は土で覆われているであろう。そして杭要素10の上端は、具体的には10m以上もの深さに位置するかも知れない。地中での杭要素10の位置及び配置を測定するために、少なくとも1つのセンサ22を地中に導入できる。特に好ましいのは、少なくとも3つのセンサ22を地中に導入し(ステップ1)、それにより、引き抜かれるべき杭要素が、上から見て少なくとも3つのセンサ22により取り囲まれることである。これは、ステップ1に関する図において、地面の上方に円形で概略的に示され、3つの点が三角形を成している様子が明らかである。これにより、三角形の頂点は、地中でのセンサ22の位置を表すことができ、三角形内の領域は、杭要素10が地中で配置される領域を好都合に示す。
【0035】
少なくとも1つのセンサ22を、対応する装置、例えば掘削リグ23を用いて地中に導入できる。この装置(すなわち、第1の掘削工具21,第2の掘削工具31を導入するための装置)30が、より小さい寸法を有してもよい。少なくとも1つのドリル穴を、杭要素周囲に、少なくとも1つのセンサ22のために、掘削リグ23を用いて設けることができる。このドリル穴の直径は、具体的に、数センチメートルほどに小さくてよい。この少なくとも1つの小さいドリル穴に、少なくとも1つのセンサ22を導入できる。
【0036】
また、少なくとも1つのセンサ22を、音響掘削のための掘削要素内に直接設置することも考えられる。この掘削要素は、少なくとも測定中には、少なくとも1つのセンサ22と共に地中に残される。また、少なくとも1つのセンサ22を地中に埋め込む(cave in)こともでき、これにより、少なくとも1つの杭要素の位置データを、少なくとも1つのセンサ22の埋め込み中に既に測定できる。杭要素の位置及び/又は配置データを収集するために、少なくとも1つのセンサ22に接続された検出ユニット24を設け得る。少なくとも1つのセンサ22の測定信号/データは検出ユニット24に転送されることができ、検出ユニット24は、杭要素の位置及び/又は配置を、それぞれ、測定された信号/データを用いて検出し測定する。
【0037】
地中の杭要素10の位置及び配置が測定されたならば、最初に、その位置にて、杭要素10のライン(lined)掘削を行うことができ、また、それに対応して杭要素を傾けることができる。ライン掘削は、少なくとも杭要素10の上部の深さまで行える(ステップ2)。ライン掘削により、少なくとも1つのガイド管20を地中に導入することが可能であり、それにより、導入されたガイド管20内に存在する土壌材料をボーリング管から、第1掘削工具21により除去できる。ガイド管20は、好ましくは、第1掘削工具21と同時に且つ共に地中に導入される(ステップ2)。ガイド管20は、杭要素10の上端(すなわちヘッド端)の領域までガイドされることができ、或いは、杭要素10を或る部分まで囲み込むこともできる。
【0038】
ガイド管20が所望の深さに達したならばすぐに、第1掘削工具21をガイド管20から、例えば掘削リグ30を用いて引き出すことができる(ステップ3)。ガイド管20の調節は、具体的に、センサ22により測定された杭要素10の位置及び/又は配置データを用いて、杭要素がガイド管20の長手方向軸に対して同軸に位置合わせされるように行われ得る。
【0039】
杭要素10が、上面から見てガイド管20の円周内に位置することが特に好ましい。別のステップ(ステップ4)において、第2の掘削工具31をガイド管20内に挿入することができ、掘削工具31は、杭要素10を少なくとも部分的に外周掘削(オーバードリル)できる。このために、第2掘削工具31は中空のドリルシャンクを含み得る。中空ドリルシャンクは、少なくとも杭要素10を、そしてまた、杭要素を取り囲む幾らかの土壌も受け入れることができる。杭要素10が、第2掘削工具の中空ドリルシャンクと受け入れられた杭要素10との間に十分な静摩擦を提供できるように十分に外周掘削されたならば、第2掘削工具31を杭要素10と共に、例えば、クレーン40を用いて引き抜くことができる(ステップ5)。クレーン40の代わりに、第2掘削要素31を地面から、掘削リグにより引き抜くこともでき、これは例えば、掘削リグを用いて第1掘削ツール21をガイド管20と共に駆動させること、及び第2掘削工具31を駆動させることと同様である。この目的のために、第2掘削工具31を、掘削回転方向とは反対の方向に駆動でき、同時に地面から引き出せる。このようにして、杭要素10の外側掘削時に上方に運ばれた土壌材料を、杭要素10の引き抜き中に出現するドリル穴11内にこの時点で戻すことができる。
【0040】
ドリル穴11は、特に、以前に杭要素10が地中に埋め込まれていた領域を画定する(ステップ5)。地中に残っているガイド管20を通して、ドリル穴11に、例えば土壌又は他の充填材料を充填できる(ステップ6)。その後、ステップ7及びステップ8に示されているように、ガイド管20を地面から引き抜くことができる。この目的のために、ガイド管20を引き上げるための工具(例えば、第1掘削工具21)をガイド管20に挿入でき、この工具と共にガイド管20を地面から引き抜くことができる。
【0041】
次いで、ガイド管20により予め支持されているドリル穴の領域に土壌材料を充填でき、これにより、ドリル穴周囲に土壌が陥没することを防止できる。基本的に、一連の手順ステップ(特に、杭要素10の引出し/引抜き後)を変更してもよい。
【符号の説明】
【0042】
10 杭要素
11 ドリル穴
20 ガイド管
21 第1の掘削工具
22 センサ
23 掘削リグ
30 掘削リグ
31 第2の掘削工具
図1