【実施例】
【0028】
[油脂加工澱粉の製造]
(1)試作品1の製造
サフラワー油50質量%とグリセリンジアセチル酒石酸脂肪酸エステル(商品名:ポエムW−10;理研ビタミン社製)50質量%からなる油脂組成物を60℃に加温・溶解した。水分含有量12.5質量%に調湿したリン酸架橋タピオカ澱粉(商品名:ネオビスT−100;日本食品化工社製)100質量部に対して前記油脂組成物0.5質量部添加し、高速攪拌混合機(型式:レーディゲミキサーFM130D;松坂技研社製)で10分間混合した。得られた混合物をトレーに広げて機内温度60℃の棚段式通風乾燥機で水分含有量12.0質量%まで乾燥し、乾燥物を粉砕し、得られた粉末をポリエチレン製の袋に詰めて60℃で2週間熟成し、油脂加工澱粉(試作品1)を得た。
【0029】
(2)試作品2の製造
試作品1の製造に用いたサフラワー油50質量%をナタネ白絞油(ボーソー油脂社製)50質量%に替えたこと以外は、試作品1の製造と同様に実施し、油脂加工澱粉(試作品2)を得た。
【0030】
(3)試作品3の製造
試作品1の製造に用いたリン酸架橋タピオカ澱粉100質量部をアセチル化タピオカ澱粉(商品名:MT−01;日本食品化工社製)100質量部に替えたこと以外は、試作品1の製造と同様に実施し、油脂加工澱粉(試作品3)を得た。
【0031】
(4)試作品4の製造
試作品1の製造に用いたグリセリンジアセチル酒石酸脂肪酸エステル50質量%をグリセリンクエン酸脂肪酸エステル(商品名:ポエムK−30;理研ビタミン社製)50質量%に替えたこと以外は、試作品1の製造と同様に実施し、油脂加工澱粉(試作品4)を得た。
【0032】
(5)試作品5の製造
試作品1の製造に用いたグリセリンジアセチル酒石酸脂肪酸エステルをグリセリン脂肪酸エステル(商品名:ポエムOL−200V;理研ビタミン社製)に替えたこと以外は、試作品1の製造と同様に実施し、油脂加工澱粉(試作品5)を得た。
【0033】
[麺用品質改良剤の製造]
(1)原材料
1)油脂加工澱粉(試作品1〜5)
2)アルギン酸プロピレングリコールエステル(商品名:ダックロイドPF−H;キッコーマンバイオケミファ社製)
3)アスコルビン酸ナトリウム(商品名:L−アスコルビン酸ナトリウム;BASFジャパン社製)
4)グリセリンジアセチル酒石酸脂肪酸エステル(商品名:ポエムW−10;理研ビタミン社製)
5)ナタネ白絞油(ボーソー油脂社製)
6)リン酸架橋タピオカ澱粉(商品名:ネオビスT−100;日本食品化工社製)
【0034】
(2)麺用品質改良剤の配合
上記原材料を用いて作製した麺用品質改良剤1〜14の配合組成を表1に示した。この内、麺用品質改良剤1〜10は本発明に係る実施例であり、麺用品質改良剤11〜14はそれらに対する比較例である。
【0035】
【表1】
【0036】
(3)麺用品質改良剤の製造方法
表1に示した原材料の配合に基づき、麺用品質改良剤1〜14各50gを調製した。この内、麺用品質改良剤5〜10及び14は、全ての原材料が粉末状であるため、これら原材料を均一に混合することにより、粉末状の麺用品質改良剤を調製した。また、麺用品質改良剤1〜4及び11は、原材料が1種類のみであるため、当該原材料そのものを麺用品質改良剤とした。一方、麺用品質改良剤12及び13は、フレーク状又は液状の原材料を含むため下記方法により調製した。
【0037】
<麺用品質改良剤12の製造方法>
表1に示した原材料の配合割合に基づいて、所定の原材料を100mL容ガラス製ビーカーに入れ、薬さじで攪拌しながら60℃まで加熱し、更に薬さじで10分間撹拌し、均一に溶解した。得られた組成物をトレーに広げて5℃の恒温槽で冷却・固化した。得られた固化物をフードミルで粉砕し、粉末状の麺用品質改良剤12を得た。
【0038】
<麺用品質改良剤13の製造方法>
表1に示した原材料の配合割合に基づいて、グリセリンジアセチル酒石酸脂肪酸エステル(フレーク状)をフードミルで粉砕して得た粉末とリン酸架橋タピオカ澱粉を均一に混合し、粉末状の麺用改良剤13を得た。
【0039】
[調理中華麺の作製と評価]
(1)調理中華麺の作製
1)準強力粉(商品名:特ナンバーワン;日清製粉社製)700g、加工澱粉(商品名:あさがお;松谷化学工業社製)300g、グルテン(商品名:エマソフトM−1000;理研ビタミン社製)40g及び麺用品質改良剤1〜14各10gを2L容ポリエチレン製の袋に入れて良く混合し、配合粉とした。
2)1)の配合粉を横型真空テストミキサー(製品名:1.0kg真空HI−LO混捏;大竹麺機社製)を用いて、回転数120rpmで攪拌しながら、予め水440gに食塩10gとかんすい15gとを溶解して調製した溶液(液温25℃)を加えて3分間ミキシングし、更に90rpm、真空圧−73cmHgの条件で10分ミキシングして生地を得た。
3)2)の生地を圧延ロールに通して厚さ4.5mmの麺帯とし、更に該麺帯を圧延ロールに通して厚さ1.5mmのシート状に成形した。得られたシート状の生地を、切り出し機(20番切刃使用)を用いて太さ1.5mmの麺線に加工し、更にこの麺線を長さ30cmに切断し、生麺100gを得た。
4)3)の生麺を熱湯1L中で2分30秒間茹で、流水に30秒間さらした後、氷水に30秒間浸漬して水切りし、茹で麺を得た。得られた茹で麺をポリエチレン製の容器に入れ、5℃で48時間冷蔵保存し、調理中華麺1〜14を得た。また、対照として、麺用品質改良剤を添加しないものを同様に作製し、調理中華麺15とした。
【0040】
(2)食感の評価試験
(1)で作製した調理中華麺1〜15を各々器に入れ、10℃の冷し中華スープ(商品名:冷し中華スープ;理研ビタミン社製)を適量かけ、麺を良くほぐしてから喫食し、その食感について官能試験を行った。官能試験では、下記表2に示す評価基準に従い15名のパネラーで評価を行い、評点の平均値を求め、以下の基準に従って記号化した。結果を表3に示す。
◎:極めて良好 平均点3.5以上
○:良好 平均点2.5以上、3.5未満
△:やや悪い 平均点1.5以上、2.5未満
×:悪い 平均点1.5未満
【0041】
【表2】
【0042】
【表3】
【0043】
表3の結果から明らかなように、本発明の麺用品質改良剤1〜10を添加して得られた調理中華麺1〜10は、いずれも「○」以上の結果であり、加熱調理後の経時的な食感の劣化が抑制された優れたものであった。これに対し、比較例の麺用品質改良剤11〜14を添加して得られた調理中華麺11〜14及び対照の調理中華麺15は、いずれも「△」以下の結果であり、本発明のものに比べて劣っていた。
【0044】
[調理パスタの作製と評価]
(1)調理パスタの作製
1)デュラム小麦粉(商品名:マルコポーロ;日本製粉社製)900g、加工澱粉(商品名:あさがお;松谷化学工業社製)100g及び麺用品質改良剤1〜14各15gを2L容ポリエチレン製の袋に入れて良く混合し、配合粉とした。
2)1)の配合粉をパスタ製造機(製品名:小型パスタ機II MPC−2500;不二精機社製)を用いて攪拌しながら、予め水320gに食塩10gを溶解して調製した溶液(液温25℃)を加えて2分ミキシングし、更に、真空圧−73cmHgの条件で2分ミキシングして生地を得た。
3)2)の生地を−73cmHgの減圧条件下で押出製麺し、生パスタ(断面3.5×1.7mmの楕円形;長さ25cm)を得た。
4)3)の生パスタを熱湯1L中で4分間茹で、流水に30秒間さらした後、氷水に30秒間浸漬して水切りして茹でパスタを得た。この茹でパスタをポリエチレン製の容器に入れ、5℃で48時間冷蔵保存し、調理パスタ1〜14を得た。また、対照として、麺用品質改良剤を添加しないものを同様に作製し、調理パスタ15とした。
【0045】
(2)食感の評価試験
(1)で作製した調理パスタ1〜15を各々器に入れ、電子レンジにて1500Wで30秒間加熱してから喫食し、その食感について官能試験を行った。官能試験では、下記表4に示す評価基準に従い15名のパネラーで評価を行い、評点の平均値を求め、以下の基準に従って記号化した。結果を表5に示す。
◎:極めて良好 平均点3.5以上
○:良好 平均点2.5以上、3.5未満
△:やや悪い 平均点1.5以上、2.5未満
×:悪い 平均点1.5未満
【0046】
【表4】
【0047】
【表5】
【0048】
表5の結果から明らかなように、本発明の麺用品質改良剤1〜10を添加して得られた調理パスタ1〜10は、いずれも「○」以上の結果であり、加熱調理後の経時的な食感の劣化が抑制された優れたものであった。これに対し、比較例の麺用品質改良剤11〜14を添加して得られた調理パスタ11〜14及び対照の調理パスタ15は、いずれも「△」以下の結果であり、本発明のものに比べて劣っていた。