(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
[0013]以降で説明する種々の例は、一般に、周波数変調連続波(FMCW)レーダと位相エンコードデータチャネルとを組み合わせるレーダシステムのための、デバイス、集積回路、システム及び方法を対象とする。本開示は、既存のFMCWレーダをもつプラットフォームにデータ通信を追加するための技術を説明する。一般には、FMCWレーダは、視界中の物体(地勢又は他の障害物など)までの範囲(例えば距離)を測定するために使用され得る。
【0012】
[0014]本開示の技術は、追加のハードウェアを必要としないことによって、重量の追加又は電力消費の著しい増大なしに実施され得る。この方式では、ナビゲーション、監視及び通信をサポートするための多数のセンサを運搬する容量をもつことができない無人航空機(UAS)などの小型の乗物(vehicle)が、通信能力を可能にしながらシステム効率を低下させることなく本開示の技術を使用することができる。
【0013】
[0015]
図1に、本開示の種々の態様による、例示的な周波数変調連続波(FMCW)レーダシステム1のブロック図を示す。
図1の例では、FMCWレーダシステム1は、レーダ2及び8、障害物検出システム4及び10、ならびに通信システム6及び12を含む。ただし、レーダ2及び8は、それぞれ「レーダ」、「レーダデバイス」又は「レーダユニット」とも呼ばれ、レーダ2及び8は、それぞれレーダシステムでもよく、またレーダ2及び8は集合的に、FMCWレーダシステム1を形成してもよいということを理解されたい。
【0014】
[0016]レーダ2及び8は、それぞれがFMCWレーダとすることができる。レーダ2は信号16を送信し、信号18を受信する。レーダ8は、信号20を送信し、信号22を受信する。
【0015】
[0017]障害物検出システム4及び10は、障害物からの反射として受信した信号18及び22に基づいて、障害物を検出するように構成され得る。例えば、レーダ2は、信号16を送信することができ、信号16の反射された形を信号18として受信する。信号16は、例えば、標的から反射され得る。いくつかの例では、信号16が、障害物検出情報を決定するように処理され得る。同様に、レーダ8は、信号20を送信し、信号20の反射された形を受信することができる。信号20の反射された形は、信号22として
図1に示され得る。いくつかの例では、信号22は、障害物検出情報を決定するように処理され得る。これらの例では、障害物検出情報が、障害物検出システム4によって、測位情報を得る及び/又はナビゲーション機能を実施するために使用され得る。
【0016】
[0018]通信システム6及び12は、信号16及び20中に位相エンコードデータチャネルを含むことによってデータを送信し、データとタイミング情報を同時に決定するように、レーダ2及び8で受信した信号18及び22中の位相エンコードデータチャネルを処理することによって、データとタイミング情報を受信するように構成され得る。例えば、レーダ2は、信号16を送信し、信号18として受信することができる。信号18は、例えば、レーダ8によって送信された信号20とすることができる。レーダ8は、同様に、信号20を送信し、信号22を受信することができる。信号22は、例えば、
図1に示すようにレーダによって送信された信号16とすることができる。いくつかの例では、レーダ2及び8が、信号16〜22中の位相エンコードデータチャネルを使用して、互いに又は他のFMCW互換システムと通信するように構成され得る。いくつかの例では、データとタイミング情報を同時に決定するということは、ほぼ同じ時間にデータとタイミング情報の両方を決定すること、としてもよい。他の例では、データとタイミング情報を同時に決定するということは、同じ信号又は同じ複数の信号からデータとタイミング情報の両方を決定すること、としてもよい。さらに他の例では、データとタイミング情報を同時に決定するということは、ほぼ同じ時間に、同じ信号又は同じ複数の信号からデータとタイミング情報の両方を決定すること、としてもよい。
【0017】
[0019]レーダ2及び8は、短い期間(例えば1ミリ秒(ms))にわたって反復する線形ランプとなる周波数をもつ信号16及び20を送信することができる。式1は、送信された信号16又は20の周波数を表すことができる。
【0019】
[0020]式1では、f
bはベースバンド周波数、f
1は周波数ランプの1秒あたりのメガヘルツ(MHz/s)で示すレート、Tは反復周波数ランプの周期、t
bは追加された周波数がピーク周波数からゼロに戻る時間である。例えば、Tは4ミリ秒(ms)とすることができ、周波数ランプは、ベースバンド周波数を超える800MHzとなり得るピーク周波数を有することができる。いくつかの例では、Tは、1〜50ミリ秒(ms)とすることができ、周波数ランプは、ベースバンド周波数を超える50〜800MHzとなり得るピーク周波数を有することができる。
【0020】
[0021]レーダ2及び8は、受信した信号を送信した信号と混合するミキサをそれぞれ含むことができる。受信した信号18は、標的まで移動し返ってこなければならないので、受信した信号18は、2d÷cの時間遅延をもち、式中dは標的までの距離、cは光の速度である。いくつかの例では、時間遅延は、受信した信号18の周波数にも影響を与え得る。ミキサの出力は、ビート信号(例えば、差信号)とすることができ、ビート信号は、送信した信号と受信した信号との瞬間的な周波数差とする。レーダ2のミキサは、例えば、信号16と信号18を混合して、信号16と信号18との瞬間的な差に対応してビート信号を決定することができる。いくつかの例では、ミキサの出力(例えば、差信号)は、2つの周波数ランプの差に対応する単一の周波数とすることができ、各周波数ランプは、
図3に示す周波数ランプと同様のものとすることができる。これらの例では、アナログ−デジタル変換器(ADC)を使用して適切なレートで差信号をサンプリングすることにより、簡単な高速フーリエ変換(FFT)を使用して、周波数を測定することが可能になる。この方式では、FFTの出力のピークが、標的からの反射に対応する。レーダ8のミキサは、同様に、信号20と22を混合して、信号20と22との瞬間的な時間差に対応してビート信号を決定することができ、レーダ8のADCは、ビート信号をサンプリングすることができ、これにより簡単なFFTを使用して周波数の測定をすることが可能となり得る。
【0021】
[0022]
図1の例では、レーダ2及び8は、それぞれ多機能センサとすることができ、波形変調オーバーレイをもつFMCWレーダコアと、データ及びプラットフォーム間の精密な転送時間をサポートするアルゴリズムを処理する増補型ソフトウェア/ハードウェアとを含むことができる。いくつかの例では、これらの信号フォーマットエンハンスメント(例えば、位相エンコードデータチャネル)は、レーダ2とレーダ8との間の精密な相対的タイミングに関する高精度な到着時間推定を同時に可能にしながら、レーダ2及び8のレーダ検出モードを補足し、測位機能とナビゲーション機能を保持する並行処理を追加することができる。例えば、位相シフトキー(PSK)データシンボルは、レーダ2及び8の全FMCWランプの位相変調のより短い時間/周波数細分化によって、タイムスタンプ及び分散ネットワーク同期メッセージ用に使用され得る。いくつかの例では、これらのより短いサブセグメント(例えばPSKデータシンボル)は、迅速なレーダ取得用の部分帯域プリアンブル、直接シーケンススペクトラム拡散(DSSS)、及び/又は低妨害確率/対妨信(LPI/AJ:Low Probability of Intercept/Anti−Jam)に有益な周波数ホップスペクトラム拡散(FHSS)としても使用され得る。
【0022】
[0023]
図1の例では、レーダ2とレーダ8との間(例えば2ノード)の精密な時間同期及びデータ転送には、受信した信号18及び22の初期(時間及び/又は周波数)探索不確定性が大きいので、FMCWレーダモードより複雑な信号処理を利用することができる。例えば、FMCWレーダモードでは、受信した信号18が、送信した信号20の遅延した複製とすることができ、受信した信号22は、送信した信号16の遅延した複製とすることができ、これらは最大範囲によって制限される遅延をもつ。この例では、FMCWがデチャープ(de−chirp)した後、探索のための最大の周波数不確定性ΔFに対応する探索不確定性は、デチャープに関連するいくらかのデコンプレッションがあるので、全ランプスパンより少なくなる。この様式では、レーダ2及び8が、鋸歯掃引を連続的に送信するので、レーダ2及び8が互いからのリターンにロックオンするまで、レーダ2及び8は、複数のFMCWランプにわたる不確定領域を探索することができる。この方式では、レーダ2及び8が、他のレーダからの初期送信の受信に成功した後、返信として肯定応答が、レーダ2かレーダ8のどちらかから送信され得る。いくつかの例では、レーダ2及び8は、データメッセージ及び到着時間(ToA)モードに関してレーダ2とレーダ8との間の想定されるランプタイミングを予め知ることはできず、その結果、レーダ2及び8は、FMCWランプスパン全体及び潜在的ベースバンドΔFより小さくなるまで不確定性探索を狭めることができない。いくつかの実施形態では、レーダ2及び8が、効率的なデータ復元を確実にするために、パケットメッセージバースト(例えば、望ましくは1FMCWランプ4ミリ秒以内)の前部で不確定性探索を迅速に達成しなければならない可能性がある。いくつかの例では、2つの技術が、サイズ、重量及び電力(SWaP)ならびにデータオーバーレイをもつFMCWランプの同期を実行する性能のためにトレードオフされ得る。1つの技術では、レーダ2及び8は、リアルタイム短縮シンボル相関処理(correlation)用に、チャープ有限インパルス応答(FIR)整合フィルタを使用することができる。別の技術では、レーダ2及び8は、記憶した全FMCWランプのサンプルにわたって逐次探索相関処理を使用することができる。
【0023】
[0024]いくつかの例では、レーダ2及び8が、レーダ取得及びデータ通信、ならびに全FMCWランプ上の高分解能到着時間推定のために、部分ランプ・サブセグメント・シンボルを使用することができる。これらの例では、レーダ2及び8は、レーダ機能(例えば、障害物検出)に対してFMCWレーダ通信モード(例えば、位相エンコードデータチャネル)での有意に高いレーダ信号対ノイズ比(SNR)を利用することができる。例えば、レーダ2から送信されレーダ8で信号22として受信される、送信信号16のパスロス(path loss)が、単方向(one−way)送信−受信パス(例えば、受信電力は1/R
2)を有することができる。別の例では、レーダ8から送信されレーダ2で信号18として受信される、送信信号20のパスロスが、単方向送信−受信パス(例えば、受信電力は1/R
2)を有することができる。反対に、レーダ2から送信され物体から反射されレーダ2で信号18として受信される、送信信号16のパスロスは、双方向送信−受信パス(例えば、受信電力は1/R
4)を有することができる。別の例では、レーダ8から送信され物体から反射されレーダ8で信号22として受信される、送信信号20のパスロスは、双方向送信−受信パス(例えば、受信電力は1/R
4)を有することができる。いくつかの例では、レーダ2及び8は、アンテナ利得及び指向性をより迅速なビーム取得とトレードオフすることができる。例えば、35ギガヘルツ(GHz)のベースバンド周波数で、1キロメートル(km)リンクレンジ(R)は、大気効果を含まずに、自由空間で約124デシベル(dB)の単方向パスロス(例えば、1/R
2)となるはずである。この例では、双方向パスロス(例えば、1/R
4)は、約248dBとなるはずである。この方式では、40dBのアンテナ利得が、レーダ2及び8の送信器及び受信器それぞれで得られ得る。いくつかの例では、レーダ2及び8は、初期信号取得用のリンクの両端で全方向性(omni−directional)ビームを使用すること(例えば、非指向性探索)もでき、これは単方向パスロスに対して依然として44dB高いSNRのままとなり得る。言い換えれば、単方向パスロスは、より短い時間−帯域幅(TB)デバイスで受信したFMCW信号の迅速な取得を達成するのに十分なSNRを有することができる。いくつかの例では、レーダ2及び8は、受信器でオムニパターンを使用することができるが、レーダ2及び8は、指向性送信器を維持することもできる。これらの例では、レーダ2及び8は、タイミング及びデータ機能に対して88dBの余剰SNRを有することができ、これは、ビーム同時発生の可能性を向上することができる。これらの例では、オムニアンテナでのビームの同時発生の可能性がより高いことに加えてシングルエンド形指向性ステップ探索であるということは、リンクレンジ及びパスロスに基づいて与えられる十分なSNRがある限り、ダブルエンド形指向性ステップ探索パターンへの好ましい手法となり得る。いくつかの例では、レーダ2及び8が、チャープFIRシンボル取得技術と併せて、全方向性送信及び受信の組合せを使用して、パッシブレーダ検出レンジをはるかに超えて動作する迅速かつ効率的な近隣発見モードを可能にすることができる。これらの例では、レーダ2及び8が、迅速かつ効率的な近隣発見モードを使用し、その結果、フレンドリーなノードID及びネットワーク同期は迅速に実行され、フレンドリーでないレーダリターンは非協調プラットフォームとして調整され得る。
【0024】
[0025]
図2に、本開示の種々の態様による、例示的なFMCWレーダ20のブロック図を示す。
図2のレーダ20は、
図1に示すレーダ2及び/又はレーダ8用の例示的な一構成を示す。
【0025】
[0026]
図2の例では、レーダ20が、信号処理ユニット38、送信器24、送信アンテナ26、受信アンテナ28、ミキサ30、ADC32、クロック34及びメモリ36を含む。
図2の例では、レーダ20は、信号42を送信し、信号42を受信するように構成され得る。
【0026】
[0027]信号処理ユニット38は、送信器24を制御するように構成された回路である。信号処理ユニット38は、本明細書で信号処理ユニット38それぞれに帰する技術を実行するように、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェアの任意の適した構成、又はその組合せを備えることができる。例えば、信号処理ユニット38は、いずれか1つ又は複数の、マイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、プログラマブルロジックデバイス(PLD)、又は任意の等価な集積化又は個別の論理回路、ならびにこうした構成部品の任意の組合せを含むことができる。いくつかの例では、信号処理ユニット38は、ダイレクトデジタルシンセサイザ(DDS)を含むことができる。これらの例では、DDSは、単一周波数の基準クロックから波形を作成するための周波数シンセサイザとすることができる。いくつかの例では、信号処理ユニット38は、レーダ20の受信器とすることができる。
【0027】
[0028]送信器24は、線形周波数ランプをもつRF信号を生成するように構成された回路である。送信器24は、電圧制御発振器、又は線形周波数ランプをもつRF信号を生成することが可能な任意の他の構成部品を含むことができるがこれに限定しない。
【0028】
[0029]送信アンテナ26は、RF信号を別のソースに送信することが可能な任意の形状のアンテナであり、例えば、指向性アンテナ又は全方向性アンテナとすることができるがこれに限定しない。受信アンテナ28は、RF信号を別のソースから受信することが可能な任意の形状のアンテナであり、例えば、指向性アンテナ又は全方向性アンテナとすることができるがこれに限定しない。いくつかの例では、送信アンテナ26及び受信アンテナ28は、同じアンテナとしてもよい。
【0029】
[0030]ミキサ30は、ビート信号出力を作成するために送信信号40を受信した信号42と組み合わせ、そのビート信号出力をADC32に送る。ADC32は、ミキサ30からのビート信号出力のデジタル変換を実行し、そのデジタル化ビート信号を信号処理ユニット38に送る。信号処理ユニット38は、デジタルビート信号を周波数領域に変形する。次いで信号処理ユニット38は、提示用に出力デバイスに送られる出力を生成する。
【0030】
[0031]クロック34は、ベースバンド周波数を生成し信号処理ユニット38に提供するように構成された回路である。例えば、クロック34は、信号処理ユニット38のDDSを用いて使用され得る。メモリ36は、データ及び/又は命令を記憶するように構成された回路であり、ランダムアクセスメモリ(RAM)集積回路、キャッシュ回路、及び/又は、1つもしくは複数の揮発性の又は概ね短時間用のデータストレージデバイスを含むことができる。メモリ36は、長時間用データストレージ及び/又は短時間用メモリとして機能するか、使用され得る1つもしくは複数のデバイス又はシステム(例えば、ハードドライブ、SSD(solid state drive))も含むことができる。例えばメモリ36は、他のレーダに又はそこからデータを記憶するように構成され得る。
【0031】
[0032]いくつかの例では、レーダ20は、信号処理ユニット38を使用して、短期間(例えば、1ミリ秒(ms))にわたって反復する線形ランプである周波数をもつ信号40を送信するように送信器24を制御することができる。例えば、
図1で説明する式1は、送信した信号40の周波数を表すことができる。
【0032】
[0033]レーダ20から送信した信号40は、標的から反射し、レーダ20は、反射した信号を受信した信号42として受信することができる。レーダ20は、ミキサ30を用いて、標的から受信した信号42を送信した信号40と混合することができる。ミキサ30の出力は、ビート信号(例えば、差信号)とすることができ、ビート信号は、送信した信号40と受信した信号42との瞬間的な差(例えば、周波数及び/又は時間)である。ミキサ30の出力は、送信した信号40と受信した信号42との間の周波数ランプの差に対応する単一周波数とすることができる。ADC32を使用して適切なレートで混合信号をサンプリングすることにより、簡単なFFTを使用して、周波数を測定することが可能になる。この方式では、FFTの出力のピークが、標的からの反射に対応する。
【0033】
[0034]
図2の例では、レーダ20が、信号処理ユニット38を使用して、データ及びそのデータを用いて位相エンコードデータチャネルを信号40中に生成し、別のレーダに信号40を送信するように送信器24を制御することができる。レーダ20は、他のレーダから距離が離れており、その結果、他のレーダから受信した信号42は、送信信号40が送信されたときと比較すると、時間遅延(例えば、「飛行時間遅延」)を有することができる。
【0034】
[0035]いくつかの例では、有限−無限応答(FIR)整合フィルタ手法が、シンボル記憶及びマルチパス逐次処理アーキテクチャで遅延が生じることなしに、リアルタイム取得及びデータ復元の利益を提供することができる。言い換えれば、シンボル積分検出及びデータ復元は、フィルタで受信したシンボル相関処理時に即座に行われ得る。いくつかの例では、位相エンコードデータチャネルを送信した信号40に組み入れる技術は、FPGAによって実施され得る。いくつかの例では、位相エンコードデータチャネルを送信した信号40に組み入れる技術は、データシンボル長及び集積化空間が実際に不足する場合に、改良され得る。例えば、50MHzのスパンの250マイクロ秒(μs)のサブセグメントデータシンボルの場合、ADC32のサンプルレートは、1秒あたり100メガサンプル(MSps)ほどとすることができ、FIRは、低SWaP用の合理的な実施限界内となり得る25000タップだけ有することができる。反対に、例えば、全FMCWランプスパンは、800MHzFMCWランプ及び4ミリ秒の掃引時間に基づいて、3.2×10
6ほどの時間−帯域幅(TB)を得ることができるが、現実的ではないFIRフィルタ長(例えば6.4ミリオントラップ)及びADCサンプルレート(例えば1600MSps)とすることもできる。
【0035】
[0036]いくつかの例では、位相エンコードデータチャネルは、全時間−帯域幅(TB)積利得のために全FMCW掃引処理の増大が必要になるような、通常のFMCWレーダモードとは異なる局部発振器(LO)スキームを要求することがあり、位相エンコードデータチャネルは、FIRからの16相関処理出力から再構成される必要があり得る。いくつかの例では、位相エンコードデータチャネルの再構成は、最小の損失をもつ非コヒーレント(例えば、これらの出力SNRで1dBより少ない)を用いて、又はコヒーレント積分が望ましい場合データシンボルのデータ決定支援位相フリップを用いて、再帰型積算器でなされ得る。この様式では、フィルタの設計値、掃引、シンボル長及びシンボル積分手法は、特定用途設計に基づいて決定され得る。
【0036】
[0037]いくつかの例では、データ転送が、掃引を直接生成するDDSによってエンコードする位相を有し、データ復元は、それぞれのシンボル上の相関処理されたチャープFIR出力の位相検出とすることができる。いくつかの例では、ランプ部が、開始周波数によって実施され、信号処理ユニット38のDDSで又はルックアップテーブルによってインクリメントされ得る。これらの例では、データビットオーバーレイは、ランプ回数に同期され得る。例えば、パケットメッセージバーストの最初の掃引の最初のデータシンボルを位相基準とし、その後の各データシンボルをデータビットとすることができる。いくつかの例では、250マイクロ秒(μs)データシンボルの場合、最初の掃引で1位相基準ビット及び最大15データビット、最初の掃引後、各掃引で16データビットとなり得る。これらの例では、各掃引は、4ミリ秒(ms)とすることができる。いくつかの例では、より短いデータシンボルが、必要に応じて、より長いデータペイロードをサポートするために使用され得る(例えば、より短いTB積データシンボル用の多くの余剰SNRがあることがあり、FIRフィルタ長は、シンボル長と共に短縮され得る)。この方式では、信号処理ユニット38が、送られたデータオーバーレイを知ることができるので、レーダ機能は、元の送信器ノードに保持され、FFT中のリターン掃引を積分する前にリターン信号からデータオーバーレイを取り除く(strip)ことができる。いくつかの例では、リターン信号タイミングが、ほぼ知られており、リターン信号からのデータオーバーレイの取り除きを改良することができる。いくつかの例では、FMCWレーダ機能(例えば、障害物検出システム)と併せて、送信時間及びデータ受信時間をタイムスタンプするための単方向データリンクが、同時に動作することができる。これらの例では、同時動作により、レーダ20と離れているレーダの往復到着時間(TOA)及び距離/時間の不確定性を解決することができる。いくつかの例では、レーダ20の信号処理ユニット38が、信号42のデータとタイミング情報を同時に決定するように、信号42を処理することができる。これらの例では、信号処理ユニット38が、信号42のデータとタイミング情報と併せて障害物検出情報を同時に決定するように信号42を処理することもできる。
【0037】
[0038]いくつかの例では、データとタイミング情報を同時に決定するということは、ほぼ同じ時間にデータとタイミング情報の両方を決定すること、としてもよい。他の例では、データとタイミング情報を同時に決定するということは、同じ信号又は同じ複数の信号からデータとタイミング情報の両方を決定すること、としてもよい。さらに他の例では、データとタイミング情報を同時に決定するということは、ほぼ同じ時間に、同じ信号又は同じ複数の信号から、データとタイミング情報の両方を決定すること、としてもよい。
【0038】
[0039]いくつかの例では、レーダ20の単方向通信受信器での精密な到着時間(TOA)は、位相符号化データシンボルにわたる非コヒーレント積分を用いて、又はFFT積分処理の前にデータを分析し取り除くデータ決定支援を用いて、全FMCW掃引にわたって積分することができる。いくつかの例では、精密な到着時間により、約1/800MHzの基本的掃引シンボル分解能又は1.25ナノ秒(ns)時間分解能を得ることができる。いくつかの例では、高度単方向リンクSNRdBにより、先に検討したレーダリターンSNRに対する単方向リンク交換用に与えられたマージンの十分範囲内である、わずか125
2×SNR又は42dBで、サブシンボル分解能を所望の10ピコ秒(ps)に下げることができる。いくつかの例では、次いで、送信した信号42の精密な到着時間が、往復タイミング/レンジ処理中に返信信号(例えば、送信した信号40)のデータとしてインプレスされ、したがってレーダ20と別のレーダとのクロック時間オフセット及びドップラーオフセットを解決することができる。
【0039】
[0040]
図3に、本開示の種々の態様による、位相エンコードデータチャネルをもつ例示的なFMCWランプを含む信号50の概念図を示す。
図3は、レーダ20に関して説明するが、レーダ2及び8は、
図3の信号50などの信号を生成し送信することができるレーダの例でもあることを理解されたい。これに関しては、
図3の信号50は、一般に、信号16〜22又は信号40〜42に対応することができる。
【0040】
[0041]
図3の例では、レーダ20は、
図2で説明したレーダ20から送信した信号40に対応し得る信号50を送信することができる。
図3の例では、レーダ20は、
図2で説明したレーダ20で受信した信号42に対応し得る信号50を受信することができる。
【0041】
[0042]
図3の例では、信号50は、一期間にわたってレーダ20によって送信又は受信されたレーダ信号である。信号50は、ベースバンド周波数52、周波数ランプ54、ピーク周波数56、周期58及びデータシンボル60を含むことができる。
【0042】
[0043]いくつかの例では、信号50がレーダ2によって送信され、送信した周波数は
図1で説明した式1で表すことができ、式中、f
bはベースバンド周波数52、f
1は、周波数ランプ54の1秒あたりのメガヘルツ(MHz/s)で示すレート、Tは反復周波数ランプの周期58、t
bは追加された周波数がピーク周波数からゼロに戻る時間とすることができる。いくつかの例では、T(例えば、周期58)は、4ミリ秒(ms)とすることができ、ピーク周波数56は、ベースバンド周波数52を超える800MHzとすることができ、ベースバンド周波数52は、実施に応じて任意のおおよその搬送周波数(例えば、35GHz)とすることができる。
【0043】
[0044]データシンボル60は、周波数ランプ54の一部分である。いくつかの例では、データシンボルは、周波数ランプ54の250マイクロ秒(μs)部分とすることができる。いくつかの例では、データシンボル60は、積分するためのより低い時間−帯域幅(TB)積を有することができ、全周波数ランプ54にわたって積分するより低いSNRを得ることができる。例えば、周波数ランプ54は、4ミリ秒(ms)とし、データシンボル60を含む16データシンボルに細分化されてよく、次いで、各データシンボルで利用可能な、全周波数ランプ54にわたって積分する場合より12dB低いSNRとなり得る。この例では、周波数ランプ54のデータシンボル60を含む16データシンボルは、信号50の位相エンコードデータチャネルとすることができる。いくつかの例では、データシンボル60がそれ自体、信号50の位相エンコードデータチャネルとすることができる。
【0044】
[0045]いくつかの例では、信号50は、レーダ2によって送信され、ベースバンド周波数52からピーク周波数54までの線形周波数ランプをもつことができる。他の例では、信号50は、レーダ2によって受信され、ベースバンド周波数52からピーク周波数54までの線形周波数ランプをもつことができる。
【0045】
[0046]いくつかの例では、信号50が、レーダ8からレーダ2で受信され、次いで信号50は、40dBを超える追加信号電力を有することができる。これらの例では、40dBの追加信号電力は、各データシンボルで利用可能な12dBより低いSNRを補償することができる。この様式では、レーダ2による信号50中のデータシンボルのシンボル検出は、送信した信号のレーダリターンがレーダ2によってまだ検出されてない場合でも実行可能とすることができる。
【0046】
[0047]いくつかの例では、各データシンボル(例えば、データシンボル60)のコヒーレント積分は、FMCWランプのチャープを整合させるFIRセットのタップを有することができるようなFIRで達成され得る。いくつかの例では、同じタップ設定は、これらの線形FMCW用の周波数進行が、一度ダウンコンバートされてベースバンドに一致し、位相オーバーレイデータ(例えば、0°又は180°)のみ異なるので、全てのデータシンボルに適用することができる。固定型局部発振器(LO)が、そのサブセグメントランプの各開始周波数にセットされなければならないので、ベースバントへのダウンコンバートは、各データシンボルに特有とすることができる。固定型LOを用いたダウンコンバートは、デチャープ用のFMCWランプ(移動式で固定ではないLO)を使用することとは異なることに留意されたい。いくつかの例では、初期取得の場合、LOは、ランプの任意のデータシンボルとなり得る所望のデータシンボルを最初に検出するようにセットされ得る。例えば、最初のデータシンボルは、取得(各掃引の開始を言う)のために使用され、その結果最初のデータシンボルの後全てのデータシンボルが位相オーバーレイデータを伝達することができ、これによりメッセージビットパック効率を最大にすることができる。いくつかの例では、データシンボル進行及びLO周波数は、対妨信(AJ)及び/又は低妨害確率(LPI)性能をより良好にするためにFMCW掃引にわたってランダムにホップすることもできる。いくつかの例では、レーダ2の受信器をデータビット及びランプ掃引回数に同期させることができる最初のデータシンボルの後、次いで、LOは、各データシンボルの開始周波数にステップされ得る。
図3の例で、信号50は、DDSがLOを250マイクロ秒(μs)毎に50MHzステップさせなければならないことがあることを表し得る。ビット回数及びデータレートは、例としてのみ示し、他のビット回数及びデータレートが同様の結果を達成し得るということを理解されたい。
【0047】
[0048]
図4に、本開示の種々の態様による、FMCWレーダユニット20を操作する例示的な処理100の流れ図を示す。
図4は、
図2のコンテキストの範囲内で説明される。
図4の例では、周波数変調連続波(FMCW)レーダユニット20の信号処理ユニット38は、位相エンコードデータチャネルをもつ信号42を受信する(102)ことができ、FMCWレーダユニット20の信号処理ユニット38は、データとタイミング情報を同時に決定するように、位相エンコードデータチャネルをもつ信号42を処理する(104)ことができる。
図4の例では、信号処理ユニット38は、第2の信号40の位相エンコードデータチャネル中に送信データを生成する(106)ことができ、FMCWレーダユニット20の送信器24は、位相エンコードデータチャネルをもつ第2の信号40を送信する(108)ことができる。
図4の例では、信号処理ユニット38は、測位情報を得るために信号42を処理する(110)ことができる。
図4の例では、信号処理ユニット38は、ナビゲーション機能を実行するために、信号42を処理する(112)ことができる。
図4の例では、位相エンコードデータチャネルをもつ第2の信号40は、反射面から反射されて第2のFMCWレーダユニットによって受信されるか、又はFMCWレーダユニット20によって送信されて第2のFMCWレーダユニットによって直接受信されるか、のうちの少なくとも1つとなるように構成されてよく、第2のFMCWレーダユニットは、FMCWレーダユニット20から離れている。
【0048】
[0049]いくつかの例では、データとタイミング情報を同時に決定するように位相エンコードデータチャネルをもつ信号42を処理する信号処理ユニット38は、障害物検出情報用に位相エンコードデータチャネルをもつ信号42を同時に処理するステップをさらに含むことができる。いくつかの例では、データは、位相シフトキー(PSK)データシンボルを含むことができる。これらの例では、PSKデータシンボルの一部は、FMCW掃引のサブセグメントとすることができ、PSKデータシンボルの一部は、対妨信(AJ)又は低妨害確率(LPI)防護のうちの少なくとも1つを提供するように、別々に、ホップ又はスクランブルされた周波数のうちの少なくとも1つとすることもできる。いくつかの例では、タイミング情報は、タイムスタンプ又は到着時間情報のうちの少なくとも1つを含むことができる。いくつかの例では、データは、1つ又は複数のネットワーク同期メッセージを含むことができる。いくつかの例では、位相エンコードデータチャネルを処理する信号処理ユニット38は、部分帯域プリアンブルとして位相エンコードデータチャネルのサブセグメントを処理する信号処理ユニット38を含むことができる。いくつかの例では、位相エンコードデータチャネルをもつ信号42は、反射面からの反射された信号とすることができる。いくつかの例では、位相エンコードデータチャネルをもつ信号42は、FMCWレーダユニット20から離れている第2のFMCWレーダユニットからのものとすることができる。
【0049】
[0050]1つ又は複数の例では、説明した機能は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア又はその任意の組合せで実施され得る。ソフトウェアで実施する場合、その機能は、1つ又は複数の命令又はコードとして、コンピュータ可読媒体上で記憶又は送信され、ハードウェアベースの処理ユニットによって実行され得る。コンピュータ可読媒体は、データ記憶媒体などの有形的媒体に対応するコンピュータ可読記憶媒体、又は、例えば通信プロトコルに従って、一箇所から別の個所にコンピュータプログラムの転送を容易にする任意の媒体を含む通信媒体を含むことができる。この様式では、コンピュータ可読媒体は、一般に、(1)固定型の有形的コンピュータ可読記憶媒体、又は(2)信号又は搬送波などの通信媒体に対応することができる。データ記憶媒体は、本開示で説明する技術を実施するために、命令、コード及び/又はデータ構造を回収する、1つもしくは複数のコンピュータ又は1つもしくは複数のプロセッサによってアクセスされ得る任意の利用可能な媒体とすることができる。コンピュータプログラム製品には、コンピュータ可読媒体が含まれ得る。
【0050】
[0051]限定ではなく例として、こうしたコンピュータ可読記憶媒体は、RAM、ROM、EEPROM、CD−ROMもしくは他の光ディスクストレージ、磁気ディスクストレージもしくは他の磁気ストレージデバイス、フラッシュメモリ、又は、命令もしくはデータ構造の形で所望のプログラムコードを記憶するために使用され、コンピュータによってアクセスされ得る任意の他の媒体を備えることができる。任意の接続も、適切にはコンピュータ可読媒体と呼ばれる。例えば、命令が、同軸ケーブル、光ファイバケーブル、ツイストペア、デジタル加入者線(DSL)、又は赤外線、無線及びマイクロ波などのワイヤレス技術を使用して、ウェブサイト、サーバ、他の遠隔ソースから送信される場合、同軸ケーブル、光ファイバケーブル、ツイストペア、DSL、又は赤外線、無線及びマイクロ波などのワイヤレス技術は、媒体の定義に含まれる。コンピュータ可読記憶媒体及びデータ記憶媒体には、接続、搬送波、信号、又は他の一時的媒体は含まれないが、代わりに、一時的ではない有形的記憶媒体は対象となることを理解されたい。本明細書で使用されるディスク(disk及びdisc)には、コンパクトディスク(CD)、レーザディスク、光ディスク、デジタル・バーサタイル・ディスク(DVD)、フロッピーディスク及びブルーレイディスクが含まれ、diskは通常データを磁気的に再生するものであり、discはレーザを用いてデータを光学的に再生するものである。先に挙げたものの組合せもコンピュータ可読媒体の範囲内に含まれるべきである。
【0051】
[0052]命令は、1つ又は複数のDSP、汎用型マイクロプロセッサ、ASIC、FPGA、又は他の等価な集積化もしくは個別の論理回路などの1つ又は複数のプロセッサによって実行され得る。したがって、本明細書で使用する用語「プロセッサ」は、前述の構造のうちのいずれか又は本明細書で説明する技術を実施するのに適した任意の他の構造を言うことができる。加えて、いくつかの態様では、本明細書で説明する機能性は、FMCW信号処理用に構成された、専用ハードウェア及び/又はソフトウェアモジュールの範囲内で提供され得る。技術は、1つ又は複数の回路又は論理要素でも完全に実施され得る。
【0052】
[0053]本開示の技術は、多種多様なデバイス、又は送信もしくは受信レーダ用に構成された装置で実施され得る。デバイス及び装置は、例えば、集積回路(IC)又はICのセット(例えば、チップセット)を含むことができる。種々の構成部品、モジュール又はユニットについて、開示した技術を実行するように構成されたデバイスの機能的態様を強調するために本開示で説明するが、別個のハードウェアによって実現することが必ずしも必須ではない。むしろ、先に説明したように、種々のユニットは、適したソフトウェア及び/又はハードウェアを一体化して、先に説明した1つ又は複数のプロセッサを含む、ハードウェアユニットで組み合わされてよく、又は相互に作用するハードウェアユニットの集合体によって提供することもできる。
【0053】
[0054]本開示の種々の例示的な態様を先に説明した。これらの、及び他の態様は添付の特許請求の範囲に含まれる。