特許第6696977号(P6696977)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6696977ズーム可能なケプラーシステムを備える光学コヒーレンストモグラフィのシステム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6696977
(24)【登録日】2020年4月27日
(45)【発行日】2020年5月20日
(54)【発明の名称】ズーム可能なケプラーシステムを備える光学コヒーレンストモグラフィのシステム
(51)【国際特許分類】
   A61B 3/10 20060101AFI20200511BHJP
   A61B 3/18 20060101ALI20200511BHJP
   A61F 9/008 20060101ALI20200511BHJP
【FI】
   A61B3/10 100
   A61B3/18
   A61F9/008 130
【請求項の数】22
【全頁数】38
(21)【出願番号】特願2017-515110(P2017-515110)
(86)(22)【出願日】2015年9月21日
(65)【公表番号】特表2017-533004(P2017-533004A)
(43)【公表日】2017年11月9日
(86)【国際出願番号】EP2015001872
(87)【国際公開番号】WO2016041640
(87)【国際公開日】20160324
【審査請求日】2018年8月30日
(31)【優先権主張番号】102014014182.9
(32)【優先日】2014年9月19日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】506085066
【氏名又は名称】カール・ツアイス・メディテック・アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(74)【代理人】
【識別番号】100064621
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 政樹
(72)【発明者】
【氏名】ヘーゲレ,アルトゥル
(72)【発明者】
【氏名】シュテフェン,ヨアヒム
(72)【発明者】
【氏名】ハウガー,クリストフ
(72)【発明者】
【氏名】マッツ,ホルガー
【審査官】 ▲高▼原 悠佑
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−075641(JP,A)
【文献】 特開平08−066421(JP,A)
【文献】 特開2008−268852(JP,A)
【文献】 特表2012−509729(JP,A)
【文献】 特開2013−078399(JP,A)
【文献】 特開2009−294205(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0117432(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0184846(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 3/10−3/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
目に入射する測定ビームを生成するように構成されるOCTシステムを備え、
前記OCTシステムは、対物レンズ及び可変光学組立体を備え、前記可変光学組立体は、物体に向けられた前記測定ビームの光路に相対して見た場合、前記対物レンズの上流に配置され、
前記可変光学組立体は、光学的有効入射面を有する第1の光学構成要素を有し、前記第1の光学構成要素を通して、前記測定ビームは、前記物体に向けられた前記光路において前記可変光学組立体に入り、前記第1の光学構成要素は、前記第1の光学構成要素の物体側ビーム出力の主面の焦点面を更に備え、
前記可変光学組立体は、屈折力を生成する光学的有効光出射面を有する第2の光学構成要素を有し、前記第2の光学構成要素を通して、前記測定ビームは、前記物体に向けられた前記光路において前記可変光学組立体から出射し、
前記可変光学組立体は、制御可能な方法で第1の構成に構成可能であり、前記第1の構成では、前記第1の光学構成要素の焦点面位置は、前記可変光学組立体内に配置され、及び
前記可変光学組立体は、制御可能な方法で第2の構成に構成可能であり、前記第2の構成では、前記第1の光学構成要素の前記焦点面位置は、前記可変光学組立体外に配置され、
前記可変光学組立体は、前記物体に向けられた前記光路にそって少なくとも1つの可動式光学ユニットを変位することによって前記第1の構成と前記第2の構成とを切り替え可能である、
光学システム。
【請求項2】
前記第1の光学構成要素は、制御可能に変更可能な焦点距離を有する、請求項1に記載の光学システム。
【請求項3】
目を検査する光学システムであって、
前記目に入射する測定ビームを生成するように構成されるOCTシステムを備え、
前記OCTシステムは、対物レンズ及び可変光学組立体を備え、前記可変光学組立体は、物体に向けられた前記測定ビームの光路に相対して見た場合、前記対物レンズの上流に配置され、
前記可変光学組立体は、光学的有効入射面を有する第1の光学構成要素を有し、前記第1の光学構成要素を通して、前記測定ビームは、前記物体に向けられた前記光路において前記可変光学組立体に入り、前記第1の光学構成要素は、前記第1の光学構成要素の物体側ビーム出力の主面の焦点面を更に備え、
前記可変光学組立体は、屈折力を生成する光学的有効光出射面を有する第2の光学構成要素を有し、前記第2の光学構成要素を通して、前記測定ビームは、前記物体に向けられた前記光路において前記可変光学組立体から出射し、
前記可変光学組立体は、前記第1の光学構成要素の焦点面位置が前記可変光学組立体内に配置される第1の構成を有し、
前記第1の光学構成要素は、制御可能に変更可能な焦点距離を有する、光学システム。
【請求項4】
前記可変光学組立体は、前記第1の構成において実質的な無限焦点システムである、請求項1〜3のいずれか一項に記載の光学システム。
【請求項5】
前記第1の構成において、前記可変光学組立体の第2の光学構成要素は、前記第1の光学構成要素の前記焦点面位置におけるポイントを物体側の無限遠の位置に導く、請求項1〜4のいずれか一項に記載の光学システム。
【請求項6】
前記第2の光学構成要素は、前記物体に向けられた前記測定ビームの光路に相対して、前記第1の光学構成要素の下流に配置され、
前記第1の構成において、前記第2の光学構成要素の光源側ビーム路の主面の焦点距離は、前記第1の光学構成要素の前記物体側ビーム出力の前記主面の焦点距離よりも1.5倍大きい、請求項1〜5のいずれか一項に記載の光学システム。
【請求項7】
前記第1の光学構成要素の前記物体側ビーム出力の前記主面の焦点距離は、前記第1の構成よりも前記第1の光学構成要素の前記焦点面位置が前記可変光学組立体外に配置された第2の構成でより大きい、請求項1〜6のいずれか一項に記載の光学システム。
【請求項8】
前記対物レンズから所定の距離の位置に配置された目の固視点を生成する固視光デバイスを備え、前記所定の距離は、50mm〜400mmの値を有する、請求項1〜7のいずれか一項に記載の光学システム。
【請求項9】
前記OCTシステムは走査システムを備え、前記走査システムの走査設定の場合、前記測定ビームの軸は、前記目が前記固視点を中心固視する場合、前記目の視軸に略平行に延びる、請求項8に記載の光学システム。
【請求項10】
観測チャネルを生成するように構成される顕微鏡システムを更に備え、前記観測チャネルを用いて、前記目の物体領域の画像が画像平面において光学的に生成可能であり、前記物体領域は対物面に配置され、
前記観測チャネルは前記対物レンズを通過し、及び前記対物面は、前記対物レンズから50mm〜400mmの位置に配置される、請求項1〜9のいずれか一項に記載の光学システム。
【請求項11】
前記可変光学組立体の前記物体側ビーム出力の主面の焦点面位置は、前記可変光学組立体を作動させることにより、複数の異なる位置に制御可能に設定可能である、請求項1〜10のいずれか一項に記載の光学システム。
【請求項12】
前記可変光学組立体の物体側ビーム出力の主面の焦点距離は、異なる値に制御可能に設定可能であり、前記主面の焦点面位置は、前記値のそれぞれ1つで略同じである、請求項1〜11のいずれか一項に記載の光学システム。
【請求項13】
前記可変光学組立体は、異なる値の無限焦点ビーム拡張を有する複数の実質的な無限焦点構成に制御可能に調整可能である、請求項1〜12のいずれか一項に記載の光学システム。
【請求項14】
光学コヒーレンストモグラフィ(OCT)により目を検査する光学システムであって、
前記目に入射する測定ビーム(9)を生成するように構成されるOCTシステムを備え、
前記OCTシステムは、対物レンズ及び可変光学組立体を備え、前記可変光学組立体は、物体に向けられた前記測定ビーム(9)の光路に相対して見た場合、前記対物レンズ上流に配置され、
前記可変光学組立体は、光学的有効入射面を有する第1の光学構成要素を有し、前記第1の光学構成要素を通して、前記測定ビームは、前記物体に向けられた前記光路において前記可変光学組立体に入り、前記第1の光学構成要素は、前記第1の光学構成要素の物体側ビーム出力の主面の焦点面を更に備え、
前記可変光学組立体は、屈折力を生成する光学的有効光出射面を有する第2の光学構成要素を有し、前記第2の光学構成要素を通して、前記測定ビームは、前記物体に向けられた前記光路において前記可変光学組立体から出射し、
前記可変光学組立体の前記物体側ビーム出力の主面の焦点面位置を、前記可変光学組立体を作動させることにより、複数の異なる位置に制御可能に設定可能であり、
前記光学システムは、
− 前記可変光学組立体の前記物体側ビーム出力の前記主面の前記焦点距離を、前記焦点面位置のうちの少なくとも1つに対して複数の異なる値に制御可能に設定可能であり、及び/又は
− 前記可変光学組立体が、異なる値の無限焦点ビーム拡張を有する複数の実質的な無限焦点構成に制御可能に調整可能であるように更に構成される、光学システム。
【請求項15】
前記測定ビームが略平行なビームとして前記可変光学組立体に入射するように構成されるか、又は構成可能である、請求項1〜14のいずれか一項に記載の光学システム。
【請求項16】
前記OCTシステムは、前記測定ビームを走査する走査システムを備え、前記走査システムは、前記物体に向けられた前記測定ビームの光路に相対して見た場合、前記可変光学組立体の上流に配置される、請求項1〜15のいずれか一項に記載の光学システム。
【請求項17】
前記OCTシステムは、前記測定ビームを走査する走査システムを備え、前記走査システムは、前記物体に向けられた前記測定ビームの光路に相対して見た場合、前記可変光学組立体の下流に配置される、請求項1〜15のいずれか一項に記載の光学システム。
【請求項18】
前記第1の光学構成要素は第1の可動式光学ユニットを備える、請求項1〜17のいずれか一項に記載の光学システム。
【請求項19】
前記第1の可動式光学ユニットは負の屈折力を有する、請求項18に記載の光学システム。
【請求項20】
前記第1の光学構成要素は、第2の可動式光学ユニットを備え、
− 前記第2の可動式光学ユニットは正の屈折力を有し、及び/又は
− 前記測定ビームは、前記第2の可動式光学ユニットを通して前記可変光学組立体に入る、請求項1〜19のいずれか一項に記載の光学システム。
【請求項21】
前記可変光学組立体は、第1の可動式光学ユニット及び第2の可動式光学ユニットを備え、前記第1の可動式光学ユニットは負の屈折力を有し、及び前記第2の可動式光学ユニットは正の光学屈折力を有し、
前記第1の可動式光学ユニットは、前記物体に向けられた前記測定ビームの前記光路に相対して見た場合、前記第2の可動式光学ユニットの下流に配置される、請求項1〜20のいずれか一項に記載の光学システム。
【請求項22】
前記第2の光学構成要素は第3の光学ユニットを備え、前記第3の光学ユニットは、前記物体に向けられた前記測定ビームの光路に相対して見た場合、
− 前記可変光学組立体の、負の屈折力を有する第1の可動式光学ユニットの下流に配置され、及び/又は
− 前記可変光学組立体の、正の屈折力を有する第2の可動式光学ユニットの下流に配置され、及び/又は
− 前記測定ビームは、前記第3の光学ユニットを通して前記可変光学組立体から出射し、及び/又は
− 前記第3の光学ユニットは正の屈折力を有し、及び/又は
− 前記第3の光学ユニットの光源側ビーム入力の主面の焦点面の位置は、前記可変光学組立体内に配置される、請求項1〜21のいずれか一項に記載の光学システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2014年9月19日に出願された独国特許出願公開第10 2014 014 182.9号明細書の優先権を主張するものであり、この特許出願の全体は参照により本明細書に援用される。
【0002】
本開示は、光学コヒーレンストモグラフィを使用して目を検査する光学システムに関する。特に、本開示は、可変光学組立体であって、それにより、測定フォーカスの位置がそのビーム軸に沿って制御された方式で設定可能である、可変光学組立体を備える光学コヒーレンストモグラフィのシステムに関する。
【背景技術】
【0003】
光学コヒーレンストモグラフィ(OCT)は、目に対する重要な非侵襲的診断技法になるように開発された。この方法は、手術プロセスにも一層組み込まれている。OCTにより、比較的高い分解能により且つ略リアルタイムで、前眼部及び後眼部のスライス又はボリューム画像を生成することができる。
【0004】
後眼部でOCTが頻繁に使用される例は、緑内障の診断、黄斑の変化、及び網膜疾患である。例として、OCTは、白内障手術の場合、術前診断、術中診断、及び術後診断で前眼部に適用される。
【0005】
OCTシステムを使用することの多面的な可能性により、顕微鏡システム及びOCTシステムの両方が統合された光学システムの開発に繋がった。そのようなシステムでは、外科医が顕微鏡システムを用いてOCT走査領域をナビゲートし得るように、顕微鏡システムの視野でのOCT分析が可能である。生成されたOCT画像は、外科医の術中の位置確認及び診断を改善させ、したがって、手術の理想的な過程を保証し得る。
【0006】
通常、そのような光学システムは、2つの構成で動作し得、第1の構成は、目の前眼部を検査するように機能し、第2の構成は、網膜を検査するように機能する。第2の構成では、追加の光学組立体が通常、顕微鏡及びOCTシステムの光路の対物レンズと目との間に配置される。
【0007】
典型的なシステムでは、この光学組立体は、基底撮像システム又は接触レンズである。基底撮像システムは、検眼レンズ及び縮小レンズからなる。網膜の中間画像が、検眼レンズにより、縮小レンズと検眼レンズとの間で生成される。位置決めデバイスを用いて、目の基底が鮮鋭に撮像されるように、検眼レンズを位置決めすることが可能である。特に、基底撮像システムは、検眼レンズによる望ましくない目の接触が手術中に生じ得るという点で不利である。更に、手術用顕微鏡からの照明により術野を照明するという選択肢は、基底撮像システムが使用される場合に大きく制限される。したがって、顕微鏡システムの照明は、通常、後部での手術の場合にはオフに切り替えられる。
【0008】
それとは対照的に、接触レンズは、接触ゲルを用いて角膜上に固定される。接触レンズは、角膜の屈折力を増大させる。これは、距離を変更することによる網膜上への顕微鏡の対物面の位置決めに役立つ。しかし、接触レンズは、手術中、不安定になり得る。気泡、血液、及び液体が角膜と接触レンズとの間に侵入し得る。その結果、時間のかかるクリーニングプロセスを実施するために、外科的介入を中断する必要がある。
【0009】
複雑な再装備プロセスが、前部を撮像する構成と、網膜を撮像する構成とを切り替えるために、基底撮像システムの場合及び接触レンズの場合の両方で必要である。更に、これらのシステムが使用される場合、顕微鏡の対物面及びOCTシステムの走査面は一緒に、目の前部のみ又は目の後部のみにそれぞれ配置される。しかし、OCTによる網膜の検査が必要であるが、目の前部が顕微鏡システムにより引き続き観測されるべきであることが有利であることがわかっている外科的介入がある。白内障手術は、そのような外科的介入の一例である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
したがって、目に対する検査又は介入の効率的で精密な実行を促進する光学システムが必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
実施形態は、光学コヒーレンストモグラフィ(OCT)により目を検査する光学システムを提供する。本システムは、目に入射する測定ビームを生成するように構成されるOCTシステムを備え得る。OCTシステムは、対物レンズ及び可変光学組立体を備え得る。可変光学組立体は、物体に向けられた測定ビームの光路に相対して見た場合、対物レンズの上流に配置され得る。OCTシステムは、光学システムの第1の状態及び第2の状態が、可変光学組立体の作動により又は可変光学組立体の作動により生じる方法で、選択的に設定可能であるように実施され得る。第1の状態では、測定ビームは、対物レンズから物体距離において測定フォーカスを有し得る。第1の状態及び第2の状態において、物体距離はそれぞれ、50mm〜400mmの値を有し得る。第2の状態では、測定ビームは、同じ物体距離においてデフォーカスを有し得る。デフォーカスは、100mmを超える、物体距離の位置からの仮想又は現実フォーカスの距離に対応し得る。対物面において平行である測定ビームは、無限である対物面からの仮想又は現実フォーカスの距離を表し、したがって、100mmよりも大きい。
【0012】
更なる実施形態によれば、第2の状態での現実又は仮想フォーカスの距離は、130mmよりも大きく、150mmよりも大きく、170mmよりも大きく、200mmよりも大きく、300mmよりも大きく、又は500mmよりも大きい。更なる実施形態によれば、測定ビームは、第2の状態において物体距離で平行又は略平行である。更なる実施形態によれば、可変光学組立体は、可変光学組立体及び対物レンズが一緒に、無限焦点システム又は実質的な無限焦点システムを形成するように、制御可能に設定可能であり得る。第2の状態では、可変光学組立体及び対物レンズは一緒に、無限焦点システム又は実質的な無限焦点システムを形成し得る。
【0013】
物体距離は、第1の状態及び第2の状態において同じ値を有する。目、特に目の角膜又は角膜の前面は、物体距離に配置可能であり得る。物体距離は、対物レンズに相対する位置及び/又は対物レンズの物体側の位置を定義し得る。物体距離の位置は、固定参照点に相対して測定され得る。代替又は追加として、固定参照点に相対して測定される対物レンズの位置は、第1の状態及び第2の状態において同じ又は略同じであり得る。物体距離は、対物レンズの光軸に沿って及び/又は対物レンズの物体側頂点に相対して測定され得る。物体距離は、50mm〜300mmの範囲内、100mm〜300mmの範囲内、100mm〜250mmの範囲内、又は150mm〜250mmの範囲内の値を有し得る。例として、物体距離は、150mm、200mm、又は250mmであり得る。
【0014】
これは、目の効率的で精密な検査を促進する光学システムを提供する。特に、これにより、短い時間期間内で目の前部及び網膜等の目の後部の両方からOCTデータを捕捉することができる。目の前部は、結膜、角膜、水晶体、及び虹彩を含み得る。したがって、後部を検査する場合、接触レンズの利用も基底撮像システムの使用も必要ない。本光学システムは、測定ビームの測定フォーカスが第1の状態において目の角膜に配置され、及び/又は第2の状態において、測定フォーカスが目の網膜に配置されるように構成され得る。角膜は、物体距離の位置に配置され得る。目は、非遠近調節状態で正視眼であり得る。
【0015】
測定ビームの測定フォーカスはビームウェストを有し得る。ビームウェストは、測定ビームが最小直径を有する、測定ビームの軸に沿ったその軸方向位置として定義され得る。測定フォーカス、特に測定フォーカスのビームウェストは、OCTシステムの軸方向測定範囲内に配置され得る。軸方向測定範囲は、OCTシステムの走査中、散乱強度を捕捉可能な測定ビームのビーム軸に沿った領域であり得る。例として、測定データは、参照アームの光路長を変更することにより、軸方向測定範囲にわたり捕捉され得る。例として、参照アームの光路長の変更は、参照アームに配置される参照ミラーの位置変更により行われ得る。
【0016】
更に、OCTシステムは、更なる光学構成要素との結合を効率的に促進する。そのような更なる光学構成要素は、対物レンズを通過する光ビーム又はビーム路を生成するように構成され得る。光ビーム又はビーム路は、目に向けられ得る。例として、更なる光学構成要素は、顕微鏡又は誤差測定器であり得る。
【0017】
OCTシステムは、時間領域OCTシステム(TD−OCT)及び/又は周波数領域OCTシステム(FD−OCT)であり得る。OCTシステムは、スペクトル領域OCTシステム(SD−OCT)及び/又は掃引源OCTシステム(SS−OCT)であり得る。
【0018】
可変光学組立体は、第1の状態と第2の状態との間の遷移が、可変光学組立体を作動させることにより生成されるように実施され得る。別の表現では、第1の状態と第2の状態とを交互にするために、焦点距離、焦点面位置、屈折率、及び/又は曲率半径等、OCTシステムの更なる構成要素の光学特性を変更する必要がなくてよい。
【0019】
本光学システムはコントローラを備え得る。コントローラは、可変光学組立体に信号接続され得る。可変光学組立体は、コントローラから可変光学組立体に転送される制御信号に応じて作動し得る。
【0020】
対物レンズは、100mmを超える、150mmを超える、又は200mmを超える焦点距離を有し得る。対物レンズの焦点距離は、500mm未満、400mm未満、又は300mm未満であり得る。対物レンズは、変更可能な焦点距離を有し得る。第1の状態及び第2の状態において、物体距離の位置は、各状態で対物レンズの焦点面にあり得る。
【0021】
測定フォーカスは、第1の状態において、物体距離に配置される。測定フォーカスのビームウェストは、物体距離に配置され得る。測定フォーカス又は現実若しくは仮想フォーカスの位置は、目又は物体の存在がない状態で測定され得る。したがって、実際又は仮想フォーカスの距離は、空気を通る距離を表す。
【0022】
本開示の範囲内で、「構成要素のパラメータが制御可能に設定可能であるように構成要素が構成される」という語句は、光学システムが、その構成要素に信号接続されるコントローラを備えるように定義され得る。コントローラは、パラメータがコントローラから構成要素への制御信号に応じて設定可能であるように構成され得る。
【0023】
OCTシステムは干渉計を備え得る。OCTシステムは、測定ビーム及び参照ビームを生成するように実施され得る。OCTシステムは、測定ビームが参照ビームに干渉するように構成され得る。本光学システムは、干渉がOCTシステムの検出器により捕捉可能であるように実施され得る。
【0024】
更に、OCTシステムは、第1の状態での軸方向測定範囲が第2の状態での軸方向測定範囲と異なるように構成され得る。測定フォーカスは、第1の状態において、軸方向測定範囲内に配置され得る。目の網膜は、第2の状態において、軸方向測定範囲に配置され得る。軸方向測定範囲の変更は、反射ビーム及び/又は測定ビームの光路長の変更を含み得る。
【0025】
測定ビームの部分は、光ガイド内で拡張し得る。光ガイドは光ファイバであり得る。光ファイバは、マルチモードファイバ及び/又はシングルモードファイバであり得る。光ガイドは光射出部を有し得る。光ガイドは、測定ビームが光射出部を通って測定ビーム光学組立体に放射されるように実施され得る。したがって、光射出部は、測定ビーム光学組立体への光入射部を形成し得る。測定ビーム光学組立体は、撮像光学組立体であり得る。したがって、光入射部は、非撮像光学組立体と撮像光学組立体との間の遷移部であり得る。測定ビーム光学組立体は、光入射部の画像が物体領域において生成可能であるように実施及び/又は構成可能であり得る。物体領域は目に配置され得る。測定ビームの測定フォーカスは、光入射部の画像であり得る。代替又は追加として、物体距離の位置からの距離がデフォーカスを表す現実又は仮想フォーカスは、光入射部の画像であり得る。測定ビーム光学組立体は、可変光学組立体及び対物レンズを備え得る。測定ビーム光学組立体は、以下の構成要素のうちの1つ又は組合せを含み得る:走査システム、コレクタ光学組立体、及び偏向要素。
【0026】
可変光学組立体は、レンズ、接合要素、及び/又はミラーを備え得る。可変光学組立体を通って延びる光軸は、直線であるか又は傾斜していることができる。
【0027】
物体に向けられた測定ビームの光路に相対して、可変光学組立体は、偏向要素の上流又は下流に配置され得る。偏向要素は、ミラー及び/又はビームスプリッタを含み得る。偏向要素から出射した測定ビームの部分の軸は、物体の光軸に平行又は略平行に延び得る。射出部分の軸は、対物レンズの光軸に沿って又は略沿って延び得る。
【0028】
更なる実施形態によれば、光学システムは走査システムを更に備える。走査システムは、測定ビーム又は測定フォーカスの一次元又は二次元走査に向けて実施され得る。測定フォーカスは目に配置され得る。走査は、横方向走査、すなわち、測定ビームの軸に対して直角での走査であり得る。走査システムは、走査面で測定フォーカス、特にビームウェストを走査するように構成され得る。走査面は、測定ビームの軸に垂直又は略垂直に延び得る。走査システムは、1つ、2つ、又は3つ以上の走査ミラーを備え得る。走査ミラーのそれぞれ1つは、1つ又は2つの軸の回りを制御可能に旋回可能であり得る。可変光学組立体は、偏向要素へのポイントを撮像するように構成され得、このポイントは、走査システムの少なくとも1つの走査位置の場合、走査システムの走査ミラーに配置される。代替的には、このポイントは、少なくとも1つの走査位置の場合、測定ビームの部分の軸に配置され得、上記部分は、走査システムの2つの走査ミラー間に延びる。
【0029】
物体に向けられた測定ビームの光路に相対して、走査システムは、対物レンズの上流に配置され得る。追加又は代替として、走査システムは、可変光学組立体の上流又は下流に配置され得る。走査システムは、偏向要素の上流又は下流に配置され得る。走査システムは、測定ビーム光学組立体への光入射部の下流及び/又は光ガイドからの光射出部の下流に配置され得る。走査システムは、コレクタ光学組立体の上流又は下流に配置され得る。
【0030】
OCTシステムは、第1の状態及び/又は第2の状態において、測定ビームが平行又は略平行に走査システムに入射するように実施され得る。第1の状態及び/又は第2の状態において、測定ビームは、光源側で平行又は略平行に可変光学組立体に入射し得る。代替的には、測定ビームは、第1の状態及び/又は第2の状態において、光源側で収束又は発散式に入射し得る。OCTシステムは、測定ビームが収束又は発散式に、平行に可変光学組立体に選択的に制御可能に入射するように実施され得る。
【0031】
更なる実施形態によれば、可変光学組立体からの出現部から始まる物体距離で入射部に延びる経路において、測定ビームが受ける全体光学効果は、第1の状態及び第2の状態で同じ又は略同じである。全体光学効果は、経路の開始での波面と比較した場合、経路の終了における測定ビームの波面の変化を意味するものとして理解し得る。更なる実施形態によれば、対物レンズからの出現部から始まる物体距離で入射部に延びる経路において、測定ビームが受ける全体光学効果は、第1の状態において第2の状態と同じ又は略同じである。更なる実施形態によれば、対物レンズからの出現部から始まる物体距離で入射部に延びる経路において、測定ビームが受ける全体光学効果は、第1の状態及び第2の状態でゼロ又は略ゼロである。更なる実施形態によれば、第1の状態及び第2の状態での測定ビームは、対物レンズからの出現部から始まる物体距離で入射部に延びる経路上で空気を通過する。第1の状態及び第2の状態において、全体光学効果は、測定ビーム光学組立体への光入射部から、光ガイドからの光射出部から、及び/又はコレクタ光学組立体への入射部から始まる可変光学組立体への入射部まで延びる経路に沿って、第1の状態及び第2の状態で同じ又は略同じであることができる。対物レンズの一方又は両方の主面の焦点距離及び/又は焦点面位置は、第1の状態及び第2の状態で同じ又は略同じであり得る。測定ビームが通過する対物レンズの全ての光学的有効面の結合光学効果は、対物レンズのこれらの2つの主面により近軸光学系の範囲内で記述され得る。
【0032】
可変光学組立体からの出現部から始まり物体距離で入射部に延びるその光路の光学部分システムは、物体側ビーム出力の主面と、光源側ビーム入力の主面とを有し得る。測定ビームが通過するこの光学部分システムの全ての光学的有効面の結合光学効果は、これらの2つの主面により近軸光学系の範囲内で記述され得る。例として、光学部分システムは、偏向要素及び対物レンズからなり得る。第1の状態及び第2の状態において、物体側ビーム出力の主面の焦点距離及び/又は焦点面位置並びに/或いは光源側ビーム入力の主面位置の焦点距離及び/又は焦点面位置は、同じ値又は略同じ値を有し得る。焦点面位置は、固定参照点に相対して測定され得る。
【0033】
実施形態は、光学コヒーレンストモグラフィにより目を検査するシステムを提供する。光学システムは、目に入射する測定ビームを生成するように構成されるOCTシステムを備え得る。OCTシステムは、対物レンズ及び可変光学組立体を備え得る。可変光学組立体は、物体に向けられた測定ビームの光路に相対して見た場合、対物レンズの上流に配置され得る。OCTシステムは、対物レンズからの同じ物体距離において、可変光学組立体の作動により又は可変光学組立体の作動により生じさせる方法で、測定ビームが、選択的に、(a)略平行又は平行であるように設定可能であるか、又は(b)300mm未満である物体距離からの測定ビームの現実又は仮想フォーカスの距離に対応するデフォーカスに設定可能であるように実施され得る。設定(a)及び設定(b)において、物体距離は同じ値を有する。設定(a)及び設定(b)では、物体距離は、50mm〜400mmの値を有し得る。
【0034】
これは、正視眼の場合及び屈折誤差を有する前の場合の両方で網膜を検査し、精密であることを可能にする光学システムを提供する。屈折誤差は球面屈折誤差であり得る。屈折誤差は、ジオプタ単位で測定され得る。屈折誤差の絶対値が大きくなるほど、目の角膜が物体距離に配置される場合、網膜に測定フォーカスを生成するために、物体距離の位置からの現実又は仮想フォーカスの距離は小さくなければならない。
【0035】
仮想又は現実フォーカスの距離が200mmだけ物体距離よりも大きい場合、屈折誤差+5dptを有する目であれば、測定ビームを網膜にフォーカスさせることが可能である。対物レンズからの仮想又は現実フォーカスの距離が200mmだけ物体距離より短い場合、屈折誤差−5dptの屈折誤差を有する目であれば、測定ビームを網膜にフォーカスさせることが可能である。固定参照点に相対して測定される物体距離の位置は、設定(a)及び設定(b)で同じ又は略同じであり得る。代替又は追加として、固定参照点に相対して測定される対物レンズの位置は、設定(a)及び設定(b)で同じ又は略同じであり得る。
【0036】
更なる実施形態によれば、設定(b)での現実又は仮想フォーカスの距離は、200mm未満、180mm未満、150mm未満、130mm未満、100mm未満、80mm未満、又は70mm未満であり得る。設定(a)及び/又は設定(b)では、測定ビームは、各設定で平行又は略平行に可変光学組立体に入射し得る。本光学システムは走査システムを備え得る。OCTシステムは、設定(a)及び/又は設定(b)において、測定ビームが平行又は略平行に走査システムに入射するように実施され得る。
【0037】
本光学システムは、物体距離でのデフォーカスが、可変光学組立体の作動により連続して及び/又は離散してデフォーカス範囲にわたり調整可能であるように実施され得る。デフォーカス範囲は、設定(a)及び/又は(b)を有し得る。可変光学組立体の作動は、離散調整及び/又は連続調整を生じさせ得る。
【0038】
可変光学組立体は、設定(a)と設定(b)との間の遷移が、可変光学組立体を作動させることにより生成可能であるように実施され得る。別の表現では、設定(a)と設定(b)とを交互にするために、OCTシステムの更なる構成要素の光学特性を変更する必要がなくてよい。更なる実施形態によれば、可変光学組立体からの出現部から始まる物体距離で入射部まで延びる経路において、測定ビームが受ける全体光学効果は、設定(a)及び設定(b)で同じ又は略同じである。更なる実施形態によれば、対物レンズからの出現部から始まる物体距離で入射部まで延びる経路に沿って測定ビームが受ける全体光学効果は、設定(a)及び設定(b)で同じ又は略同じである。更なる実施形態によれば、対物レンズからの出現部から始まる物体距離で入射部まで延びる経路において、測定ビームが受ける全体光学効果は、設定(a)及び設定(b)でそれぞれゼロ又は略ゼロである。更なる実施形態によれば、設定(a)及び設定(b)での測定ビームは、対物レンズからの出現部から始まる物体距離で入射部まで空気を通過する。対物レンズの一方又は両方の主面の焦点距離及び/又は焦点面位置は、設定(a)及び設定(b)で同じ又は略同じであり得る。
【0039】
設定(a)では、光ガイドからの光射出部から、測定ビーム光学組立体への光入射部から、及び/又はコレクタ光学組立体への入射部から始まる可変光学組立体への入射部まで延びる経路上で測定ビームが受ける全体光学効果は、設定(b)で同じ又は略同じであり得る。
【0040】
可変光学組立体からの出現部から始まる物体距離で入射部に延びるその光路の光学部分システムは、物体側ビーム出力の主面と、光源側ビーム入力の主面とを有し得る。測定ビームが通過する光学部分システムの全ての光学的有効面の結合光学効果は、これらの2つの主面により近軸光学系の範囲内で記述され得る。例として、光学部分システムは、偏向要素及び対物レンズからなり得る。設定(a)及び設定(b)において、物体側ビーム出力の主面の焦点距離及び/又は焦点面位置並びに/或いは光源側ビーム入力の主面位置の焦点距離及び/又は焦点面位置は、同じ値又は略同じ値を有し得る。
【0041】
更なる実施形態によれば、物体距離でのデフォーカスは、対物レンズからの現実又は仮想フォーカスの距離が50mm〜150mmだけ物体距離よりも大きいように、25mm〜150mmだけ物体距離よりも大きいように、又は20mm〜150mmだけ物体距離よりも大きいように、可変光学組立体の作動により更に選択的に設定可能である。
【0042】
可変光学組立体の作動は、現実又は仮想フォーカスの距離を生じさせ得る。対物レンズからの現実又は仮想フォーカスの距離は、対物レンズの光軸に沿って及び/又は対物レンズの物体側頂点に相対して測定され得る。
【0043】
実施形態は、目を検査する光学システムを提供する。本システムはOCTシステムを備え得る。OCTシステムは、目に入射する測定ビームを生成するように構成され得る。OCTシステムは、対物レンズ、可変光学組立体、及びコレクタ光学組立体を備え得る。可変光学組立体は、測定ビームの対物レンズとコレクタ光学組立体との間に配置され得る。コレクタ光学組立体は、制御可能に変更可能な焦点距離を有し得る。コレクタ光学組立体から出射する測定ビームの部分の直径は、制御可能に変更可能な焦点距離により又は制御可能に変更可能な焦点距離により生じる方法で、変更可能であり得る。測定ビームの部分は、直径変更の前後で平行又は略平行であり得る。OCTシステムは、対物レンズから同じ物体距離における測定ビームのデフォーカスが、可変光学組立体の作動により又は可変光学組立体の作動により生じる方法で、制御可能に設定可能であるように実施され得る。物体距離は、50mm〜400mmの値を有し得る。
【0044】
デフォーカスは、物体距離の位置からの測定ビームの現実又は仮想フォーカスの距離として測定され得る。別の表現では、物体距離の位置からの測定ビームの現実又は仮想フォーカスの距離は、可変光学組立体の作動により又は可変光学組立体の作動により生じる方法で、制御可能に設定可能である。
【0045】
コレクタ光学組立体から出射する測定ビームの部分の直径の最大値(δmax)と、直径の最小値(δmin)との比率(すなわち、値δmax/δmin)であって、直径がコレクタ光学組立体の作動によるか又はコレクタ光学組立体の作動により生じる方法で設定可能である、比率は、1.5よりも大きい値、1.7よりも大きい値、1.8よりも大きい値、2よりも大きい値、3よりも大きい値、又は3.5よりも大きい値であり得る。この非率は、10未満、20未満、又は30未満であり得る。
【0046】
コレクタ光学組立体は、光源側ビーム入力の主面と、物体側ビーム出力の主面とを備え得る。測定ビームが通過するコレクタ光学組立体の全ての光学的有効面の結合光学効果は、これらの2つの主面による近軸光学系の範囲内で記述され得る。コレクタ光学組立体は、光源側ビーム入力の主面の焦点面位置が、焦点距離の制御可能な変更の前後で同じ又は略同じであるように構成され得る。OCTシステムへの光入射は、焦点面位置に配置され得る。OCTシステムの光ガイドからの光射出は焦点面位置に配置され得る。
【0047】
更なる実施形態によれば、OCTシステムは、測定ビームのコレクタ光学組立体と可変光学組立体との間に配置される走査システムを備える。OCTシステムは、走査システムに入射する測定ビームの部分が平行若しくは略平行であるか、又は平行若しくは略平行であるように設定可能であるように実施され得る。走査システムに入射する測定ビームの部分は、物体距離における様々な設定のデフォーカスで平行又は略平行であり得、物体距離でのデフォーカスは、可変光学組立体により又は可変光学組立体の作動により生じる方法で設定可能である。
【0048】
更なる実施形態によれば、コレクタ光学組立体は、負の屈折力を有する第1の可動式光学ユニットを備える。
【0049】
本開示の範囲内で、「屈折力」という表現は球面「屈折力」を示し得る。円柱屈折力又は非円柱屈折力が球面屈折力の他に存在し得る。屈折力は、局所屈折力又は非局所屈折力であり得る。屈折力は、回転対称球面及び/又は回転対称非球面光学的有効面により生成され得る。屈折力を生成する光学的有効面は、円柱屈折力を有する1つ又は複数の光学的有効面を備え得る。屈折力を生成する光学的有効面は、いかなる円柱屈折力を有さなくてもよく、及び/又はいかなる非球面を有さなくてもよい。更に、第1、第2、第3、及び第4の光学ユニット又は可動式光学ユニットというラベルは、本開示の範囲内で、ユニット同士を互いに区別するために使用される。したがって、例えば、「第3の光学ユニット」というラベルは、第1の光学ユニット及び第2の光学ユニットが存在する必要があることを指定しない。
【0050】
本開示の範囲内で、可動式光学ユニットは、構成要素の全ての光学的有効面が、互いに相対する配置を維持しながら一体として一緒に移動する構成要素として定義され得る。別の表現では、可動式ユニットの光学的有効面は、共通の移動中、互いに対する相対移動を実行しない。
【0051】
可動式光学ユニットのうちの1つ又は複数は、コレクタ光学組立体の光軸に沿って及び/又は光軸に対して傾斜して移動を実行するように構成され得る。例として、コレクタ光学組立体は、1つ又は複数のアルバレスレンズを含み得る。代替又は追加として、可動式光学ユニットのうちの1つ又は複数は、測定ビーム内に選択的に導入可能であり、及び測定ビームから選択的に除去可能であるように構成され得る。
【0052】
代替又は追加として、コレクタ光学組立体は、制御可能に変更可能な形態の屈折面若しくは反射面及び/又は制御可能に変更可能な屈折率を有する1つ又は複数の光学ユニットを備え得る。例として、光学ユニットは、レンズ、接合要素、及びミラーのうちの1つ又は組合せであり得る。例として、コレクタ光学組立体は、1つ又は複数の液体レンズを備え得る。
【0053】
更なる実施形態によれば、コレクタ光学組立体は、第2の可動式光学ユニットを備え得る。第2の可動式光学ユニットは正の屈折力を有し得る。測定ビームは、物体に向けられた光路において第2の可動式光学ユニットを通してコレクタ光学組立体から出射し得る。別の表現では、第2の可動式光学ユニットは光学的有効面を有し得、光学的有効面を通して、物体に向けられた光路における測定ビームがコレクタ光学組立体から出射する。
【0054】
更なる実施形態によれば、コレクタ光学組立体は、第1の可動式光学ユニット及び第2の可動式光学ユニットを備える。第1の可動式光学ユニットは負の屈折力を有し、及び第2の可動式光学ユニットは正の屈折力を有し得る。物体に向けられた測定ビームの光路に沿って見た場合、第2の可動式光学ユニットは、第1の可動式光学ユニットの下流に配置され得る。
【0055】
更なる実施形態によれば、コレクタ光学組立体は、第3の光学ユニットを備える。第3の可動式光学ユニットは、物体に向けられた測定ビームの光路に沿って見た場合、コレクタ光学組立体の第1の可動式光学ユニットの上流に配置され得る。第1の可動式光学ユニットは負の屈折力を有し得る。代替又は追加として、第3の光学ユニットは、コレクタ光学組立体の第2の可動式光学ユニットの上流に配置され得る。第2の可動式光学ユニットは正の屈折力を有し得る。代替又は追加として、第3の光学ユニットは、第1の可動式光学ユニットと第4の光学ユニットとの間に配置され得る。代替又は追加として、第3の光学ユニットは、第2の可動式光学ユニットと第4の光学ユニットとの間に配置され得る。代替又は追加として、第3の光学ユニットは正の屈折力を有し得る。
【0056】
更なる実施形態によれば、コレクタ光学組立体は、第4の光学ユニットを備える。第4の光学ユニットは、物体に向けられた測定ビームの光路に沿って見た場合、コレクタ光学組立体の第1の可動式光学ユニットの上流に配置され得る。第1の可動式光学ユニットは負の屈折力を有し得る。代替又は追加として、第4の光学ユニットは、コレクタ光学組立体の第2の可動式光学ユニットの上流に配置され得る。第2の可動式光学ユニットは正の屈折力を有し得る。代替又は追加として、第4の光学ユニットは、コレクタ光学組立体の第3の光学ユニットの上流に配置され得る。第3の光学ユニットは正の屈折力を有し得る。代替又は追加として、物体に向けられた光路で第4の光学ユニットから出射する測定ビームの部分は、平行又は略平行であり得る。代替又は追加として、第4の光学ユニットは正の屈折力を有し得る。代替又は追加として、物体に向けられた光路での測定ビームは、第4の光学ユニットを通してコレクタ光学組立体に入り得る。別の表現では、第4の光学ユニットは光学的有効入射面を有し得、この面を通して、測定ビームは、物体に向けられた光路において、コレクタ光学組立体に入る。測定ビームが通過するコレクタ光学組立体の全ての屈折面は、第1の可動式光学ユニットの表面、第2の可動式光学ユニットの表面、第3の光学ユニットの表面、及び第4の光学ユニットの表面により表し得る。
【0057】
実施形態は、目を検査する光学システムを提供する。本システムは、目に入射する測定ビームを生成するように構成されるOCTシステムを備え得る。OCTシステムは、対物レンズ及び可変光学組立体を備え得る。可変光学組立体は、物体に向けられた測定ビームの光路に相対して見た場合、対物レンズの上流に配置され得る。可変光学組立体は、第1の光学構成要素を備え得る。第1の光学構成要素は光学的有効入射面を有し得、この面を通して、測定ビームは、物体に向けられた光路において可変光学組立体に入る。第1の光学構成要素は、第1の光学構成要素の物体側ビーム出力の主面の焦点面を有し得る。可変光学組立体は、第1の構成を有し得、及び/又は第1の構成に制御可能に構成可能であり得、第1の構成では、第1の光学構成要素の焦点面位置は、可変光学組立体内に配置される。代替又は追加として、可変光学組立体は、第2の構成に制御可能に構成可能であり得る。第2の構成では、第1の光学構成要素の焦点面位置は、可変光学組立体外に配置され得る。第1の光学構成要素は、制御可能に変更可能な焦点距離を有し得る。可変光学組立体は、制御可能に変更可能な焦点距離により又は制御可能に変更可能な焦点距離により生じる方法で、第1の構成と第2の構成とを切り替え可能であり得る。制御可能に変更可能な焦点距離は、第1の光学構成要素の物体側ビーム出力の主面の焦点距離であり得る。代替又は追加として、第1の構成要素の制御可能に変更可能な焦点距離により又は第1の構成要素の制御可能に変更可能な焦点距離により生じる方法で、複数の異なる焦点面位置を可変光学組立体の物体側ビーム出力の主面に対して設定可能であり得る。代替又は追加として、物体距離での測定ビームのデフォーカスは、第1の構成要素の制御可能に変更可能な焦点距離により又は第1の構成要素の制御可能に変更可能な焦点距離により生じる方法で、設定可能であり得る。代替又は追加として、本光学システムは、第1の構成要素の制御可能に変更可能な焦点距離により又は第1の構成要素の制御可能に変更可能な焦点距離により生じる方法で、第1の状態と第2の状態とで切り替え可能であり得る。測定ビームは、可変光学組立体の第1の構成、可変光学組立体の第2の構成、本光学システムの第1の状態、及び/又は本光学システムの第2の状態では、可変光学組立体に平行又は略平行に入射し得る。
【0058】
第1の光学構成要素は、物体側ビーム出力の主面と、光源側ビーム入力の主面とを備え得る。測定ビームが通過する第1の光学構成要素の全ての光学的有効面の結合光学効果は、これらの2つの主面により近軸光学系の範囲内で記述され得る。第1の光学構成要素の物体側ビーム出力の主面の焦点面位置及び/又は焦点距離は、制御可能に可変であり得る。
【0059】
光学的有効入射面は、例えば、レンズ、接合要素、又はミラーの表面であり得る。別の表現では、第1の光学構成要素は、透過ビームが、物体に向けられた光路において可変光学組立体に入る光学的有効面を有する。例として、光学的有効面は屈折面又は反射面であり得る。
【0060】
第1の構成では、第1の光学構成要素の焦点面位置は、可変光学組立体内に配置される。焦点面位置は、平行ビームが可変光学組立体に入射する場合に生成される現実フォーカスの位置であり得る。現実フォーカスは、2つの光学要素間又は光学要素内に配置され得る。
【0061】
「可変光学組立体内」という表現は、焦点面位置が光軸上の光学的有効面入射面と可変光学組立体の光学的有効射出面との間に配置されるように定義され得る。光学的有効入射面及び射出面は、物体に向けられた光路に相対して定義され得る。物体に向けられた光路において、測定ビームは、光学的有効射出面を通して可変光学組立体から出射し得る。第1の構成では、測定ビームは、可変光学組立体内に現実フォーカスを形成し得る。測定ビームの現実フォーカスは、2つの光学要素間又は光学要素内に配置され得る。例として、光学要素はレンズ又は接合要素であり得る。
【0062】
第2の構成では、第1の光学構成要素の物体側主面の焦点面位置は、可変光学組立体外に配置される。一実施形態によれば、第1の光学構成要素の焦点面は、第2の構成では、可変光学組立体の物体側に配置される。可変光学組立体の第2の構成は、入射平行ビームの場合又は入射平行光束の場合、このビーム又はこの光束が可変光学組立体内に現実フォーカスを形成しないように、可変光学組立体を通過するように実施され得る。第2の構成では、測定ビームは、必ずしも可変光学組立体に平行に入射する必要はない。
【0063】
第1の光学構成要素は、1つ又は複数の光学的有効面からなり得る。特に、第1の光学構成要素は、1つ又は複数のレンズ及び/又は接合要素からなり得る。第1の光学構成要素は、第1の可動式光学ユニット及び/又は第2の可動式光学ユニットを備え得る。第1の可動式光学ユニットは負の屈折力を有し得る。第2の可動式光学ユニットは正の屈折力を有し得る。第2の可動式光学ユニットは、物体に向けられた測定ビームの光路に相対して見た場合、第1の可動式光学ユニットの上流に配置され得る。
【0064】
一実施形態によれば、可変光学組立体は、本光学システムの第1の状態では、第1の構成である。更なる実施形態によれば、可変光学組立体は、本光学システムの第2の状態では、第2の構成である。
【0065】
可変光学組立体の第1の構成から可変光学組立体の第2の構成への遷移は、第1の構成要素の変更可能な焦点距離の制御可能な変更を含み得る。代替又は追加として、本光学システムの第1の状態から本光学システムの第2の状態への遷移は、第1の構成要素の変更可能な焦点距離の制御可能な変更を含み得る。制御可能に変更可能な焦点距離は、第1の構成要素の物体側ビーム出力の主面の焦点距離であり得る。更なる実施形態によれば、第1の構成要素の変更可能な焦点距離は、第1の構成よりも第2の構成において大きい、1.5倍大きい、2倍大きい、2.5倍大きい、又は3倍大きい。
【0066】
一実施形態によれば、可変光学組立体は、第1の構成では、無限焦点システム又は実質的な無限焦点システムである。
【0067】
更なる実施形態によれば、可変光学組立体は第2の光学構成要素を備える。第2の光学構成要素は、物体に向けられた光線の光路に相対して、第1の光学構成要素の下流に配置され得る。第2の光学構成要素は正の屈折力を有し得る。第1の構成では、第2の光学構成要素は、物体側で無限又は略無限に第1の光学構成要素の焦点面の焦点面位置におけるポイントを撮像するような実施形態を有し得る。第2の光学構成要素は、物体に向けられた光路に相対して見た場合、可変光学組立体の光学的有効射出面を備え得る。別の表現では、物体に向けられた光路における測定ビームは、光学的有効射出面を通して可変光学組立体から出射し得る。
【0068】
一実施形態によれば、第2の光学構成要素の光源側ビーム入力の主面の焦点距離は、第1の光学構成要素の物体側ビーム出力の主面の焦点距離よりも大きく、1.5倍大きく、2倍大きく、2.5倍大きく、3倍大きく、又は4倍大きい。
【0069】
第2の光学構成要素は、物体側ビーム出力の主面と、光源側ビーム入力の主面とを備え得る。測定ビームが通過する第2の光学構成要素の全ての光学的有効面の結合光学効果は、これらの2つの主面により近軸光学系の範囲内で記述され得る。
【0070】
更なる実施形態によれば、本光学システムは、固視光デバイスを更に備える。固視光デバイスは、目の固視点を生成するように構成され得、ここで、目、特に目の角膜は、対物レンズからの物体距離の位置に配置される。物体距離は、50mm〜400mmの値を有し得る。
【0071】
固視点とは、目で見ることができる物体点として定義され得る。見られることにより、格子点は中心に固視される。固視点の画像は、中心固視の結果として小窩の中心に生成される。固視点の生成は、現実又は仮想画像を生成することを含み得る。現実又は仮想画像は、固視点を定義又は含み得る。
【0072】
更なる実施形態によれば、固視光デバイスは、物体距離の位置で入射する固視光を生成するように実施される。固視光は、物体距離の位置でデフォーカスし得る。固視光のデフォーカスは、100mmよりも大きい、200mmよりも大きい、又は300mmよりも大きい物体距離の位置から現実又は仮想画像面の距離に対応し得る。現実又は仮想画像及び/又は現実又は仮想固視点は、画像面に配置され得る。固視光は、対物レンズ及び/又は可変光学組立体を通過し得る。
【0073】
光学システムは、走査システムの走査設定の場合、物体距離に入射する測定ビームの部分の軸が、目が物体距離に配置され、固視点を中心に固視した状態で、目の視軸に平行又は略平行に延びるように構成され得る。
【0074】
視軸は、固視点と網膜上の固視点の画像点との間を結ぶ直線として定義され得、固視点は目により中心に固視される。次に、画像点は、小窩の中心に配置される。代替又は追加として、視軸は、物体距離において、すなわち、光ビームが目の角膜に入射する位置において、固視光の光ビームの方向により定義又は実質的に定義され得る。
【0075】
更なる実施形態によれば、本光学システムは、観測チャネルを生成するように構成される顕微鏡システムを備える。目の物体領域の画像面における画像は、観測チャネルを用いて生成可能であり得、目の上記物体領域は対物面に配置される。観測チャネルは、対物レンズを通過し得る。対物面は、物体距離の位置に配置され得る。対物面は、画像面と光学的に共役し得る。対物面は対物レンズの焦点面であり得る。本光学システムは、対物面におけるポイントから出射する観測チャネルの光束が、対物レンズにより、無限又は略無限に撮像されるように実施され得る。換言すれば、光束は、対物レンズの下流で平行又は略平行であり得る。可変光学組立体は、画像面において、対物面での物体領域の画像を生成するのに使用される光線を有さなくてもよい。特に、可変光学組立体は、顕微鏡システムの左側立体観測チャネル及び右側立体観測チャネルの外部に配置され得る。特に、測定ビーム及び/又は固視光の光ビームのみが可変光学組立体を通過し得る。
【0076】
物体面は物体距離に配置され、異なるデフォーカス状態は、可変光学組立体により物体距離において設定可能であるため、外科医は、目の前部及び目の後部の両方で、組織構造をOCTシステムにより検査可能でありながら、目の前部を引き続き観測し得る。特に、OCTシステムは、前部の領域が顕微鏡システムにより引き続き撮像可能でありながら、目の軸方向長さを測定し得る。これは、特に白内障手術を実行する場合に有利であることがわかっている。
【0077】
顕微鏡システムは、平面視顕微鏡システム又は立体視顕微鏡システムであり得る。立体視顕微鏡システムは、左側観測チャネル及び右側観測チャネルを備え得る。対物面に配置される物体領域の立体画像は、左側観測チャネル及び右側観測チャネルにより生成され得る。立体画像は、2つの立体部分画像を有し得る。各立体部分画像は、画像面での物体の領域の画像であり得る。左側観測チャネル及び右側観測チャネルは、対物レンズを貫通し得る。
【0078】
一実施形態によれば、複数の異なる焦点面位置は、可変光学組立体の作動により又は可変光学組立体の作動により生じる方法で、可変光学組立体の物体側ビーム出力の主面に対して制御可能に設定可能であり得る。測定フォーカスは、異なる焦点面位置により又は異なる焦点面位置により生じる方法で、目の角膜と網膜との間で調整可能である。
【0079】
可変光学組立体は、物体側ビーム出力の主面と、光源側ビーム入力の主面とを備え得る。焦点面は、各事例で主面に割り当てられ得る。2つの主面は、可変光学組立体に入射した測定ビームの部分を可変光学組立体から出射する測定ビームの部分に再整形する光学効果を表し得る。可変光学組立体の主面及びその各焦点距離は一緒に、測定ビームが通過する可変光学組立体の全ての光学的有効面を表し得る。別の表現では、測定ビームが通過する可変光学組立体の全ての光学的有効面の光学効果は、2つの主面及びそれぞれの焦点距離により近軸光学系の範囲内で記述され得る。
【0080】
主面の焦点面は、この主面の焦点を含む光軸に垂直な平面として定義され得る。焦点面は、現実の焦点面又は仮想焦点面であり得る。仮想焦点面は、仮想フォーカスを含む平面として定義され得る。
【0081】
光源側での可変光学組立体に入射する平行光束は、出射する光束が物体側ビーム出力の主面の焦点面に現実又は仮想フォーカスを有するように、可変光学組立体から出射する光束に可変光学組立体により再整形され得る。したがって、光源側ビーム入力の主面の焦点面に仮想又は現実焦点を有する光源側に入射する光束は、可変光学組立体により、物体側で可変光学組立体から出射する平行光束に再整形され得る。
【0082】
焦点面位置は、光軸に相対して測定される焦点面の軸方向位置であり得る。焦点面位置は、固定参照点に相対して測定され得る。主面の位置は、焦点面位置を変化させずに変更され得る。その結果、焦点面位置を変更させずに、主面の焦点距離を変更することも可能である。
【0083】
測定ビームのビーム軸に相対して測定される測定ビームの測定フォーカスの軸方向位置は、可変光学組立体の物体側ビーム出力の主面の焦点面位置に依存し得る。この焦点面は、測定フォーカス、特にビームウェストが、測定ビーム光学組立体の部分及び/又は目の光学的有効構成要素により配置される平面に撮像され得る。光学的有効構成要素は、目の角膜及び/又は水晶体を含み得る。物体距離、特にデフォーカスを表す物体距離からの現実又は仮想フォーカスの距離での測定ビームのデフォーカスは、可変光学組立体の物体側ビーム出力の主面の焦点面位置の制御可能な設定により又は焦点面位置の制御可能な設定により生じる方法で、制御可能に設定可能であり得る。代替又は追加として、これにより、測定フォーカスは物体距離に位置決め可能であることができる。特に、第1の状態、第2の状態、設定(a)、設定(b)、及び/又は物体距離での異なるデフォーカスを選択的に設定する可変光学組立体の作動は、焦点面位置の制御可能な設定を含み得る。
【0084】
更なる実施形態によれば、光学システムは、可変光学組立体の物体側ビーム出力の主面の焦点距離が、異なる値に制御可能に設定可能であるように構成され得る。焦点面の焦点面位置は、各値の焦点距離で同じ又は略同じであり得る。可変光学組立体は、可変ビーム拡張デバイスとして構成され得る。
【0085】
物体側ビーム出力の主面の同じ又は略同じ焦点面位置の場合、焦点距離の絶対値が小さいほど(すなわち、大きさが小さいほど)、物体側での可変光学組立体から出射する測定ビームの開口角を増大させ得る。この結果、測定フォーカスでの測定ビームはより大きい開口数を有し得る。その結果、開口数が大きいほど、測定フォーカスにおいてウェストの直径は低減され得る。OCTデータは、ビームウェストの直径が小さいほど、高い方位分解能で捕捉され得る。方位分解能は、測定ビームの軸に垂直な平面での分解能であり得る。
【0086】
更なる実施形態によれば、可変光学組立体は、複数の無限焦点又は実質的に無限焦点の構成に制御可能に設定可能であり得る。無限焦点構成は、様々な値の無限焦点ビーム拡張を有し得る。
【0087】
無限焦点ビーム拡張は、物体に向けられた光路に関連し得る。別の表現では、無限焦点ビーム拡張は、光源側で可変光学組立体に入射する平行光束の直径(d)に対する物体側で可変光学組立体から出射する平行光束の直径(D)の比率として定義され得る。すなわち、無限焦点ビーム拡張はD/dとして計算され得る。
【0088】
本光学システムは、無限焦点ビーム拡張が、4未満の値及び4.5を超える値を有する調整範囲にわたり連続して及び/又は離散的に設定可能であるように実施され得る。代替的には、調整範囲は、3未満の値及び4.5を超える値を有し得る。代替的には、調整範囲は、2.5未満の値及び4.5を超える値を有し得る。代替的には、調整範囲は、2未満の値及び5を超える値を有し得る。代替的には、調整範囲は、6未満の値及び7を超える値を有し得る。代替的には、調整範囲は、5未満の値及び8を超える値を有し得る。代替的には、調整範囲は、4.5未満の値及び9を超える値を有し得る。
【0089】
本光学システムは、可変光学組立体の作動により又は可変光学組立体の作動により生じる方法で、測定フォーカスに向けて延びる測定ビームの部分の開口数が、0.02以下の値及び0.03以上の値を有する調整範囲にわたり連続して及び/又は離散的に設定可能であるように構成され得る。代替的には、調整範囲は、0.01以下の値及び0.04以上の値を有し得る。代替的には、調整範囲は、0.005以下の値及び0.08以上の値を有し得る。
【0090】
可変光学組立体の作動により又は可変光学組立体の作動により生じる方法で設定可能である、開口数の最小値(αmin)に対する開口数の最大値(αmax)の比率(すなわち、値αmax/αmin)は、1.5超、1.7超、1.8超、2超、又は4超であり得る。この比率は、10未満、20未満、又は30未満であり得る。
【0091】
更なる実施形態によれば、本光学システムは、測定ビームが、平行又は略平行として可変光学組立体に入射するように構成されるか、又は構成可能である。
【0092】
一実施形態によれば、可変光学組立体は第1の可動式光学ユニットを備える。第1の可動式光学ユニットは負の屈折力を有し得る。
【0093】
可変光学組立体の各可動式光学ユニットは、可変光学組立体の光軸に沿って及び/又は傾斜して移動を実行するように構成され得る。例として、可変光学組立体は1つ又は複数のアルバレスレンズを備え得る。代替的には、可動式光学ユニットの1つ又は複数は、測定ビームから選択的に導入され、測定ビームから選択的に除去されるように構成され得る。可動式光学ユニットは、各事例で、コントローラの制御信号に応じて移動可能であり得る。各可動式光学ユニットは、1つ又は複数のアクチュエータに駆動接続され得る。本光学システムは、アクチュエータに信号接続されたコントローラを備え得る。可動式光学ユニットは、コントローラから1つのアクチュエータ又は複数のアクチュエータに転送される制御信号に応じて移動可能であり得る。
【0094】
可動式光学ユニットは、特に、(a)可変光学組立体の物体側ビーム出力の主面の異なる焦点面位置を設定する場合、(b)この主面の焦点距離を設定する場合、及び/又は(c)可変光学組立体を無限焦点構成の1つに設定する場合に移動し得る。その際、複数の可動式光学ユニットは、互いに対する相対移動を実行し得る。
【0095】
代替又は追加として、可変光学組立体は、制御可能に変更可能な形態の屈折面若しくは反射面及び/又は制御可能に変更可能な屈折率を有する1つ又は複数の光学ユニットを備え得る。例として、光学ユニットは、レンズ、接合要素、及びミラーの1つ又は組合せであり得る。例として、可変光学組立体は、1つ又は複数の液体レンズを備え得る。
【0096】
更なる実施形態によれば、可変光学組立体は、第1の可動式光学ユニットと、第2の可動式光学ユニットとを備える。第1の可動式光学ユニット及び第2の可動式光学ユニットは、制御可能な方法で互いに相対して移動可能であり得る。
【0097】
更なる実施形態によれば、第1の可動式光学ユニットは負の屈折力を有し、第2の可動式光学ユニットは正の屈折力を有する。屈折力は、球面屈折力を意味するものとして理解し得る。
【0098】
更なる実施形態によれば、物体に向けられた光路での測定ビームは、第2の可動式光学ユニットを通して可変光学組立体に入る。別の表現では、第2の可動式光学ユニットは、測定ビームが可変光学組立体に入る光学的有効入射面を有する。
【0099】
更なる実施形態によれば、第1の可動式光学ユニットは、物体に向けられた測定ビームの光路に相対して見た場合、第2の可動式光学ユニットの下流に配置される。
【0100】
更なる実施形態によれば、可変光学組立体は第3の光学ユニットを備える。第3の光学ユニットは、物体に向けられた測定ビームの光路に相対して見た場合、第1の可動式光学ユニットの下流に配置され得る。第1の可動式光学ユニットは負の屈折力を有し得る。代替又は追加として、第3の光学ユニットは、第2の可動式光学ユニットの下流に配置され得る。第2の可動式光学ユニットは正の屈折力を有し得る。代替又は追加として、物体に向けられた光路に沿った測定ビームは、第3の光学ユニットを通して可変光学組立体から出射し得る。代替又は追加として、第3の光学ユニットは正の屈折力を有し得る。代替又は追加として、第3の光学ユニットの光源側ビーム出力の主面の焦点面の位置は、可変光学組立体内に配置され得る。第3の光学ユニットは、物体に向けられた光路での測定ビームが可変光学組立体から出射する光学的有効射出面を有し得る。
【0101】
可変光学組立体は第4の光学ユニットを備え得る。第4の光学ユニットは、第1の可動式光学ユニットと第3の光学ユニットとの間に配置され得る。第4の光学ユニットは、正又は負の屈折力を有し得る。第4の光学ユニットは視野レンズであり得る。
【0102】
更なる実施形態によれば、第2の可動式光学ユニットは、2つの別個の光学サブユニットを備える。別個のサブユニットはそれぞれ、正の光学屈折力を有し得る。サブユニットは互いに別個であり得る。
【0103】
例として、サブユニットは、レンズ、接合要素、又はミラーの1つ又は組合せであり得る。光源側光学サブユニットは、接合要素として実施され得る。物体側光学サブユニットはレンズとして実施され得る。
【0104】
上記特徴及び更なる有利な特徴は、添付図面を参照する以下の例示的な実施形態の詳細な説明からより明らかになる。可能な全ての実施形態が必ずしも、本明細書で特定される利点の全て又は幾つかを取得するわけではないことが強調される。
【図面の簡単な説明】
【0105】
図1】例示的な実施形態による光学システムの概略図である。
図2A図1に示される顕微鏡システムを通して前部を検査する場合の、対物面の領域における顕微鏡システムの観測チャネルを示す。
図2B図1に示される可変光学組立体を作動させることにより、OCTビームの測定フォーカスを対物面又は目の網膜にどのように選択的に位置決めし得るかを示す。
図3図1に示される光学システムのOCTシステムの測定フォーカスを示す。
図4A-4B】図1に示される可変光学組立体の物体側主面での一定焦点面位置の場合に、焦点距離を変更することにより、測定フォーカスでのOCT測定ビームの開口数をどのように設定可能であるかを示す。
図4C-4D】様々な値の無限焦点ビーム拡張を生成させるOCTシステムの図1に示される可変光学組立体の様々な構成を示す。
図5図1に示されるOCTシステムの可変光学組立体の設計を示す。
図6A-6B】様々な値の開口数を対物面において生成可能にする図1に示されるOCTシステムの可変光学組立体の様々な無限焦点構成を示す。
図7A-7C】OCT測定ビームの様々なデフォーカス状態を対物面で生成可能にする図1に示されるOCTシステムの可変光学組立体の様々な構成を示す。
図8図1に示されるコレクタ光学組立体の設計を示す。
図9A-9C】様々な直径の射出平行測定ビームを生成可能にする図8に示されるコレクタ光学組立体の様々な設定を示す。
図10A-10B】図1に示される光学システムを使用した、中心固視の状態での目の解剖学的パラメータの測定を示す。
図11A-11B】網膜により捕捉されたOCTデータに依存した中心固視の状態のチェックを示す。
【発明を実施するための形態】
【0106】
図1は、例示的な実施形態による光学システム1の概略図である。光学システム1は、OCTシステム2及び顕微鏡システム3を備える。顕微鏡システム3は、立体視顕微鏡として実施される。しかし、顕微鏡システム3が平面視顕微鏡として実施されることも考案可能であり得る。顕微鏡システム3は2つの観測チャネル19−1、19−2を生成するように構成され、観測チャネルの軸は、対物面40において立体角度βで交差する。立体観測チャネル19−1、19−2のそれぞれは、各観測チャネル19−1、19−2の画像面41−1、41−2において、顕微鏡システム3の対物面40に配置される物体領域の立体部分画像を生成する。
【0107】
対物面40におけるポイントから出射する第1の観測チャネル19−1又は第2の観測チャネル19−2の光束は、顕微鏡システム3の対物レンズ29により、平行又は略平行の光束に変換される。顕微鏡システム3は、観測チャネル19−1、19−2のビーム路において対物レンズ29の下流に配置される可変光学組立体50を更に備える。可変光学組立体50は、2つのズーム構成要素50−1、50−2を備え、観測チャネル19−1、19−2のうちの一方のビームがこれらをそれぞれ通過する。2つのズーム構成要素50−1、50−2のそれぞれは、無限焦点光学システムとして実施し得る。
【0108】
各事例での顕微鏡システム3は、観測チャネル19−1、19−2のそれぞれ1つに結像光学組立体53−1、53−2を有する。観測チャネル19−1、19−2のそれぞれ1つに、結像光学組立体53−1、53−2は、対物面40におけるポイントにより発せられる各観測チャネル19−1、19−2の光束を画像面41−1、41−2におけるポイントに結像するように構成される。したがって、画像面41−1、41−2は、対物面40に光学的に共役する。
【0109】
更に、顕微鏡システム3は、観測チャネル19−1、19−2のそれぞれ1つに接眼レンズ52−1、52−2を備える。画像面41−1、41−2において生成される部分画像は、観測者の目54−1、54−2により接眼レンズ52−1、52−2を通して観測可能である。追加又は代替として、光学システム1が1つ又は複数の画像センサ(図1に示されず)を備えることも考案可能である。画像センサは、画像面41−1、41−2の1つ又は画像面と光学的に共役する平面に配置され得る。画像センサは、生成された部分画像の一方を捕捉するように構成され得る。
【0110】
OCTシステム2は、測定アーム及び参照アームを生成する干渉計を備える。干渉計は、測定アームを通過した光で参照アームを通過した光に干渉させる。
【0111】
OCTシステム2は、物体に向けられた光方向で測定アームに沿って目7に案内される測定ビーム9を生成する。測定ビーム9の散乱光は、逆方向で測定アームに沿って案内され、上記逆方向は、物体に向けられた光方向に関連して逆である。案内して戻された光で、参照アームを通過した光に干渉させる。
【0112】
OCTシステム2の測定ビーム光学組立体は、測定ビームが目7の測定フォーカス43を形成するように、測定ビーム9を整形する。測定ビーム9の光は、OCTユニット21において生成され、光ガイド23により測定ビーム光学組立体に輸送される。測定ビーム9の光は、光ガイド23の一端部に配置される光射出面25を通して測定ビーム光学組立体に放射される。したがって、光射出面25は、測定ビーム光学組立体への光入射部を形成する。測定ビーム光学組立体は、目7に入射する測定ビーム9の部分が、平行ビーム、略平行ビーム、収束ビーム、及び/又は発散ビームとして設定可能であるように構成された撮像光学組立体である。その結果、測定ビームの測定フォーカス43は、目の内部の選択された位置からのOCTデータを捕捉するために、目7の内部の選択された場所に生成し得る。測定フォーカスは、光入射部の画像である。
【0113】
特に、これにより、測定フォーカスを角膜と網膜との間の中間領域に位置決めし得ることが可能になる。次に、軸方向測定範囲が角膜から網膜に延びるように、軸方向測定範囲を設定することにより、OCTデータを捕捉し得る。検査する目の軸方向長さは、これらのOCTデータに応じて特定可能であり得る。
【0114】
代替的には、目の軸方向長さは、まず、捕捉中の目の前部のOCTデータにより特定され得る。次に、可変光学組立体の作動により生じる方法で、測定フォーカスは、前部から網膜に変位される。次に、網膜のOCTデータが捕捉される。次に、前部のOCTデータ、網膜のOCTデータ、及び更には測定フォーカスが変位された経路に応じて、目の軸方向長さを特定し得る。
【0115】
逆に、基底撮像システム又は接触レンズを使用した目の軸方向長さの精密な測定は、追加挿入された光学要素から出射する参照アームと測定アームとの経路差を考慮に入れる必要があるため、困難さを伴わずには可能ではない。更に、これらの要素の光学収差の結果として、より高い測定不正確性が生じ得る。
【0116】
前房深度が、OCTシステムを用いて高精度で測定可能な更なるパラメータであり、前房深度の特定は多くの場合、眼内レンズの特定に使用される。このパラメータも、測定フォーカスの軸方向変位可能性の結果として高精度で測定可能である。目7の網膜77上の測定フォーカス43の位置決め可能性により、収差測定を目的として、網膜77において散乱する測定光を使用可能であることが更に促進される。このために、光学システムは、収差測定システム(図1に示されない)を備え得る。
【0117】
測定ビーム光学組立体は、コレクタ光学組立体22、走査システム30、可変光学組立体10、偏向要素33、及び対物レンズ29を備える。コレクタ光学組立体22は、コレクタ光学組立体22からデータ測定ビームの部分10が平行又は略平行であるように構成されるか、又は制御可能に構成可能である。コレクタ光学組立体22は、コリメータレンズとして実施し得る。代替的には、コレクタ光学組立体22は、可変光学組立体として実施し得、ここで、コレクタ光学組立体22から出射する測定ビーム9の部分の収束又は発散は設定可能である。代替又は追加として、コレクタ光学組立体22は、コレクタ光学組立体22から出射する測定ビーム9の平行又は略平行部分が、測定ビーム9が直径変更前後で平行又は略平行であるようにコレクタ光学組立体22により制御可能に設定可能であるように構成され得る。コレクタ光学組立体22の設計について図8及び図9を参照して説明する。
【0118】
走査システム30は、二次元で測定フォーカス43を側方走査するように構成される。その結果、測定フォーカス43は走査面42において移動する。走査システム30は2つの走査ミラー31、32を備え、各走査ミラーは旋回可能に搭載される。ミラーは、圧電駆動装置及び/又はガルバノメータ駆動装置に駆動接続し得る。
【0119】
図1に示される光学システム1について、図2Aは、目7での顕微鏡システムの観測チャネル19−1及び19−2の広がりを示す。顕微鏡の対物面40は、角膜76の正面に配置される。対物面40は、対物レンズ29(図1に示される)の前焦点面に対応する。対物レンズ29の前焦点面は、物体により近い側に配置される焦点面である。観測チャネル19−1及び19−2の光束は対物面40から出射して、したがって、観測チャネル19−1及び19−2の軸は立体角度βをなす。
【0120】
以下の図を参照して詳細に説明するように、OCTシステムは、可変光学組立体10(図1に示される)の作動により生じる方法で、測定ビームの軸に相対して測定される測定ビームの測定フォーカスの軸方向位置及び測定フォーカスのビームウェスト直径が制御可能に変更可能であるように構成される。これは非常に有利であることがわかっている。第1に、これにより、顕微鏡システムの対物面の位置から独立して、測定フォーカスの軸方向位置及びビームウェスト直径の軸方向位置を設定することができる。その結果、OCTシステムは、目の特定の領域を検査するように構成され得、ここで、対物面は目の前部に留まり得る。特に、これにより、測定フォーカスを目の前部又は目の網膜に選択的に位置決めすることができる。これは、目の様々な領域の効率的な検査を促進し、ここで、目の前部は、医師による常時観測下に留まり得る。これが、特に白内障手術を行う場合に非常に有利であり得ることがわかっている。
【0121】
特に、水晶体が除去された後且つ眼内レンズが挿入される前、白内障手術中に測定される目の解剖学的パラメータを使用して、挿入される眼内レンズの効果を高い信頼度で特定し得ることがわかっている。
【0122】
更に、光学システムは、接触レンズ及び基底撮像システムの使用を省くことを促進し、その結果、そのようなシステムの使用に付随する欠点が回避される。
【0123】
測定フォーカスの軸方向位置の調整について、図2Bを参照して説明する。OCTシステムは、可変光学組立体の作動により生じる方法で、第1の状態及び第2の状態になり得る。図2Bでは、測定ビームは、第1の状態では参照符号9−1で示され、測定フォーカスは、第1の状態では、参照符号43−1で示される。測定フォーカス43−1は、第1の状態では、対物面40に配置される。次に、測定フォーカス43−1は、対物レンズ29(図1に示される)の前焦点面に配置される。測定フォーカス43−1の焦点面42−1は、対物面40に配置される。このために、可変光学組立体は、測定ビームが平行ビーム又は略平行ビームとして対物レンズに入射するように構成されなければならない。可変光学組立体に入射する測定ビーム9の部分66(図1に示される)は、平行ビームとして構成されるため、可変光学組立体は、第1の状態において、共焦点システムとして構成されなければならない。例として、この第1の状態において、顕微鏡システムにより撮像された領域の部分のOCT測定を行うことが可能である。例として、これにより、角質の領域の断面を表すOCTデータを捕捉することができる。
【0124】
図2Bでは、測定ビームは、第2の状態において、参照符号9−2で示され、測定フォーカスは、第2の状態において、参照符号43−2で示される。測定ビーム9−2は、第2の状態において、対物面40においてデフォーカスを有する。デフォーカスは、対物面40からの仮想又は現実フォーカスの距離に対応する。仮想又は現実フォーカスの距離は、空気を通る経路として、すなわち、目が存在していない状態で測定される。図2bに示される第2の状態では、この距離は無限である。すなわち、測定ビーム9−2は、平行ビームとして対物面40に入射する。目7が正視であり、遠近調節していない場合、測定ビーム9−2は、目7の網膜77で結像する。これは、網膜77の領域のOCTデータの捕捉を促進する。プロセスにおいて、対物面40は角膜76に留まる。したがって、目7の前領域は、網膜77のOCTデータを捕捉する場合であっても、顕微鏡システムによる更なる常時観測下のままであり得る。
【0125】
測定ビームは、平行ビームとして可変光学組立体に入射するため、可変光学組立体10の物体側ビーム出力の主面の焦点面15(図1に示される)は、図2Bに示される第2の状態において、対物レンズ29の現実の焦点面に配置されなければならない。その結果、測定ビーム9は対物面40に平行に入射する。後焦点面は、目7から離れた側に配置される対物レンズ29の焦点面である。
【0126】
目7が屈折誤差を有する場合、又は適応されていない場合、対物面40における測定ビームは、対物面40からの現実又は仮想フォーカスの有限距離に対応するデフォーカスを有し得る。例として、目が屈折誤差+5dpt又は−5dptを有する場合、対物面40からの現実又は仮想フォーカスの距離は、20mmの値を有さなければならない。
【0127】
正視眼の検査のみならず、異なる屈折誤差を有する目の検査も促進するために、OCTシステムは、OCTシステムが、対物面40における平行ビームプロファイルと、対物面40におけるデフォーカスとの間で選択的に設定可能であるように実施され、デフォーカスは、300mm未満、200mm未満、180mm未満、150mm未満、130mm未満、100mm未満、80mm未満、又は70mm未満である、対物面40からの仮想又は現実フォーカスの距離に対応するデフォーカスである。検査される目の屈折誤差の大きさが大きいほど、対物面からの現実又は仮想フォーカスの距離は小さくなるはずである。
【0128】
白内障手術中、無水晶体眼の網膜からOCTデータを取得するために、OCTシステムは、対物レンズからの現実又は仮想フォーカスの距離が、50mm〜150mmの値だけ、対物レンズからの対物面の距離よりも大きくなるようにデフォーカスを設定するように更に実施される。次に、測定ビームの仮想又は現実フォーカスは、対物レンズから離れた対物面の側に配置される。このデフォーカスは、無水晶体眼の場合、測定フォーカスを網膜に配置するのに役立つ。無水晶体眼を測定することにより、挿入されるが眼内レンズをより高い信頼性で測定し得ることがわかっている。
【0129】
測定ビーム9の測定フォーカス43を図3に詳細に示す。測定フォーカス43が最も狭い狭窄を有する測定ビーム9の軸Aに相対する軸方向位置は、ビームウェスト13として定義される。測定ビーム9は、ビームウェスト13においてビームウェスト距離Wを含む。ビームウェスト13は、測定フォーカス43を側方走査することにより、走査面42において移動する。レーザビームは、遠視野において開口角αを有し、その場合、測定ビーム9は測定フォーカス43に向かって延びる。遠視野での開口角αは、測定フォーカスでの測定ビームの開口数の尺度である。測定フォーカス43、特にビームウェスト13は、OCTシステムの軸方向測定領域B内に配置され、その領域内で、散乱強度がOCTシステムにより捕捉される。
【0130】
図2Aに関して既に考察したように、可変光学組立体は、測定フォーカス43の軸方向位置が、測定ビーム9の軸Aに沿って制御可能に設定可能であるように構成される。その結果、測定フォーカス43を目内部内の所望の位置に配置することが可能である。
【0131】
測定ビーム光学組立体は、測定ビーム9の開口角αが、第1の状態及び第2の状態(図2Bに示される)に制御可能に設定可能であるように更に構成される。ビームウェスト直径Wは、遠視野での開口角αに依存する。その結果、OCTシステムの方位分解能が、目内部内の選択された測定位置でビームウェストに関して設定可能であることが可能である。図2Bにおいて識別し得るように、対物面40に入射する平行又は略平行測定ビーム9−2の直径dは、このために、第2の状態において変更する必要がある。開口角又はビーム直径の調整について、図4A及び図4Bを参照してより詳細に説明する。
【0132】
これにより、OCTシステムを用いて目の内部の広い構造を効率的に測定できるようになるため、これが特に有利であることがわかっている。特に、これにより、最初は小さい開口角αを用いて、目内部内の比較的大きい領域のOCTデータを捕捉することが促進される。遠視野での小さい開口角αは、ビームウェスト13からの距離が増大するにつれてのビーム直径の増大が、小さい開口角αの結果としてより小さいため、ビームウェストでの方位分解能を低減するが、大きい軸方向測定範囲の使用を促進する。
【0133】
次に、ターゲット領域を大きい捕捉領域のOCTデータから特定し得、小さい軸方向測定領域B(図3に示される)を有するOCTデータは、小さいビームウェスト直径Wを有する、すなわち、ビームウェスト13において高い方位分解能を有する上記ターゲット領域から捕捉される。したがって、示される例示的な実施形態による光学システムは、測定ビーム9の軸Aに沿ってビームウェスト13を変位させずに、ビームウェストでの方位分解能を変更することを促進する。
【0134】
可変光学組立体10の設計及び機能について、図4A図7Cを参照して詳細に説明する。
【0135】
可変光学組立体10は、焦点面の複数の異なる位置が、可変光学組立体の物体側ビーム出力の主面に制御可能に設定可能であるように構成される。焦点面位置は、この場合、固定参照点に相対して測定される。
【0136】
図4Aに示されるように、焦点面は、可変光学組立体の構成の少なくとも幾つかでの仮想焦点面FPであり得る。図4Aに示される可変光学組立体10の構成では、平行入力光束60は、発散出力光束61を生成する。したがって、出力光束61は現実フォーカスで結像せず、物体側ビーム出力の主面の仮想焦点面FPに配置される仮想発散点DPから来るように見える。焦点面FPは、可変光学組立体10に入射する平行入射光束60の仮定下で特定される。
【0137】
可変光学組立体10に入射する測定ビーム66(図1に示される)の部分は、収束ビーム、発散ビーム、平行ビーム、又は略平行ビームとして構成され得る。したがって、可変光学組立体10から出射する測定ビーム67の射出部分の発散点は必ずしも、平行入射光束60の仮定下で出現する仮想発散点DP(図4Aに示される)に対応する必要はない。
【0138】
図4A図4Bとの比較により示されるように、可変光学組立体10は、関連する焦点距離が、複数の焦点面位置の少なくとも1つの異なる値に制御可能に設定可能であるように更に構成され、焦点面FPの焦点面位置は同じ又は略同じままである。図4A及び図4Bのそれぞれにおいて、可変光学組立体10は、焦点面FPが、静止参照点に相対して測定されるものと同じ位置を有するように構成される。しかし、関連する焦点距離f1及びf2は異なる。
【0139】
図4Bの構成では、物体側ビーム出力の主面PP2は、図4Aの構成と比較した場合、焦点面FPからより小さい距離を有する。更に、可動式光学ユニット11を動かすことにより、主面が変位し、これについては図5を参照して更に詳細に以下に説明する。焦点距離は、主面と焦点面FPとの間の距離から計算されるため、図4Aでの構成の焦点距離f1の絶対値は、図4Bの構成の焦点距離f2の絶対値よりも大きい。
【0140】
図4Aの構成と比較した場合の図4Bの構成での焦点距離の絶対値低減の結果として、平行入射光束60により生成される出力光束61は、図4Aの構成での開口角θ1と比較した場合、図4Bの構成ではより大きい開口角θ2を有する。しかし、両構成での出力光束61は、物体側主面の焦点距離に配置される同じ位置を有する発散点DPから来るように見えるようなものである。
【0141】
測定ビームに対するこの結果は、測定フォーカス43に近づく測定ビーム9の遠視野での開口角α(図3に示される)が変更されるが、軸方向測定焦点位置は同じままであるというものである。したがって、走査面42における方位分解能の変更は、焦点面FPの固定位置であるが、走査面42を測定ビーム9の軸Aに相対した軸方向位置に関して変位させない場合の焦点距離の異なる設定により引き起こし得る。これにより、外科医は、手術中、全体記録と細部記録とを容易且つ時間効率的に交互にすることができる。
【0142】
更に、OCTシステムは、可変光学組立体が、異なる値の無限焦点ビーム拡張を有する複数の無限焦点又は実質的に無限焦点の構成に制御可能に設定可能であるように構成される。これについて、図4C及び図4Dを参照して以下に説明する。
【0143】
無限焦点システムは、入射平行光束60からの射出平行光束61を整形する。したがって、無限焦点システムの焦点面は無限に配置される。無限焦点ビーム拡張は、物体に向けられた光路に相対して定義され得る。特に、ビーム拡張は、光源側平行光束の直径に対する物体側平行光束の直径の比率として定義され得る。
【0144】
図4C及び図4Dはそれぞれ、可変光学組立体10が制御可能に設定可能な無限焦点構成を示す。図4Dに示される第2の設計では、可変光学組立体10は、射出光束の直径D2と入射光束の直径d2との比率(すなわち、値D2/d2)が、図4Cに示される第1の構成の射出光束の直径D1と入射光束の直径d1との比率(すなわち、値D1/d1)よりも大きいように構成される。したがって、第2の構成での無限焦点ビーム拡張は、第1の構成よりも大きい。
【0145】
特に、可変光学組立体10に入射する測定ビーム66(図1に示される)の入力部分が、平行光ビームとして構成される場合、測定ビームが、遠視ではより大きい開口角αで測定フォーカス43に近づく(図3に示される)結果として、より大きい共焦点ビーム拡張は有する。その結果、測定ビームは、測定フォーカスにおいてより大きい開口数を有する。図1に示される光学システムでは、平行な対物レンズ29に入射する測定ビームは、対物レンズ29の対物面40で結像し、上記対物面は同時に、対物レンズ29の焦点面である。
【0146】
したがって、変更可能な共焦点ビーム拡張を使用して、測定ビーム9の軸に沿ってビームウェスト42(図3に示される)を変位させずに、対物レンズの焦点面における測定ビーム9の方位分解能を変更し得る。
【0147】
図5は、図1において再現される光学システム1の測定ビーム光学組立体の概略図である。説明を簡易にするために、測定ビーム9は、図5では直線ビーム軸を用いて示される。測定ビーム9は、光ファイバ23の端部に配置される光射出面25を通して測定ビーム光学組立体22内に放射される。光射出面25から出射する測定ビーム9の部分は、コリメータ光学組立体として構成されるコレクタ光学組立体22に入射する。測定ビーム9は、平行ビーム又は略平行ビームとしてコレクタ光学組立体22から出射する。コレクタ光学組立体22から出射する測定ビーム9の部分は、図5では非常に概略的にのみ再現される走査ミラー31及び32を備える走査システム30に入る。
【0148】
走査システム30から出射する測定ビーム9の部分は、第2の可動式光学ユニット11に入射する。可動式光学ユニットは、1つ又は複数の光学的有効面を有するように定義し得、ユニットの全ての光学的有効面は、互いとの配置を維持しながら、一体として移動可能である。換言すれば、光学的有効面は、可動式光学ユニットが移動する場合、互いに相対する移動を実行しない。第2の可動式光学ユニット11は、光学的有効面S1〜S5を含む。第2の可動式光学ユニット11は、第1の光学サブユニット26及び第2の光学サブユニット27を含み、各サブユニットは、正の光学屈折力を有し、互いからある距離に配置される。第1の光学サブユニット26は、接合要素として実施され、第2の光学サブユニット27はレンズとして実施される。
【0149】
第2の可動式光学ユニット11から出射する測定ビーム9の部分は、第1の可動式光学ユニット12に入射する。第1の可動式光学ユニット12は、両凸レンズとして実施され、光学的有効面S6及びS7を有する。
【0150】
第2の可動式光学ユニット11は、正の光学屈折力を有する。第1の可動式光学ユニット12は、負の光学屈折力を有する。図5に示される可変光学組立体10の無限焦点構成では、第1の可動式光学ユニット12から出射する測定ビーム14の部分は現実フォーカス14を形成する。現実フォーカス14は、第1の可動式光学ユニット12と第3の光学ユニット13との間に配置される。現実フォーカス14から発散する測定ビーム9の部分は、第3の光学ユニット13に入射する。第3の光学ユニット13は、光学的有効面S8〜S10を備える。第3の光学ユニット13は、静止光学ユニットである。しかし、第3の光学ユニット13が可動式光学ユニットであることも考案可能である。第3の光学ユニット13から出射する測定ビームの部分は偏向要素33に入射し、これも同様に、図5では非常に概略的にのみ再現されている。偏向要素33から出射する測定ビームの部分は対物レンズ29に入射する。対物レンズ29は、光学的有効面S11〜S13を備える。特に、可変光学組立体10の無限焦点構成では、第3の光学ユニット13の焦点距離は、第1の可動式光学ユニット12及び第2の可動式光学ユニット11により形成される光学構成要素の焦点距離よりも大きく、1.5倍大きく、2倍大きく、又は3倍大きい。
【0151】
図6A図7Cはそれぞれ、測定ビーム光学組立体の部分を示し、可変光学組立体10は、制御可能に設定可能な異なる構成で示されている。図6A及び図6Bは、測定ビーム9の測定フォーカス43(図3に示される)が顕微鏡システムの対物面40に結像される構成での可変光学組立体10を示す。次に、ビームウェスト13(図3に示される)が対物面40に配置される。対物レンズ29の下流のビーム路は、顕微鏡システムの各観測チャネル19−1及び19−2(図1に示される)で平行又は略平行である。したがって、対物レンズ29に入射する測定ビーム9の部分も、測定ビーム9のビームウェストが対物面40に配置されるように、平行又は略平行でなければならない。
【0152】
図6A及び図6Bに示される構成では、可変光学組立体10は、各事例で、測定ビームの平行又は略平行入射部分66を測定ビームの平行又は略平行射出部分67に再整形する無限焦点システムとして構成される。射出部分67の直径は、入射部分66の直径よりも大きい。これにより、対物面40に向かって延びる測定ビーム9の部分の開口数が増大する。測定ビーム9の射出部分67は、対物レンズ29に入射し、同時に、顕微鏡システムの対物面40である対物レンズの焦点面に結像される。
【0153】
可変光学組立体の両無限焦点構成において、第1の可動式光学ユニット12及び第2の可動式光学ユニット11からなる第1の光学構成要素は、測定ビーム9の入射部分66から可変光学組立体内に現実フォーカス14を生成する。したがって、この第1の光学構成要素の物体側ビーム出力の主面の焦点面位置は、可変光学組立体内に配置される。更に、第1の光学構成要素のこの焦点面は、第3の光学ユニット13からなる第2の光学構成要素の光源側ビーム入力の主面の焦点面に配置される。第2の光学構成要素の焦点面は、両構成で、第3の光学ユニット13の光源側ビーム入力の主面から距離f3を有する。
【0154】
図6Bの構成では、可変光学組立体10は、図6Aの構成と比較してより小さいビーム拡張を有する。その結果、測定ビーム9が対物面40に向かって延びる測定ビームの開口角α2は、図6Aの構成での対応する開口角α1よりも小さい。開口角α1及びα2は、測定ビーム9の遠視野に関連する。測定フォーカスに向かって延びる測定ビームの部分の開口数は、開口角α1及びα2に応じて決定される。図6Aの構成では、これは、開口数0.04を生じさせ、図6Bの構成では、これは開口数0.02を生じさせる。したがって、図6Bの構成と比較した場合、図6Aの構成により、ビームウェストでのより高い方位分解能を得ることができる。しかし、代わりに、開口数が小さいことの結果として、図6Bの構成を使用して、大きい走査深度を有するOCT走査を実行し得、その理由は、図6Aの構成と比較した場合、開口角α2が小さいことの結果として、ビームウェストからの距離の増大に伴うビーム直径の増大がより小さいためである。
【0155】
図7A図7Cは、測定ビーム9の測定フォーカスが目の網膜内で生成される構成を示す。図7Aの構成では、可変光学組立体10は、平行又は略平行である可変光学組立体10に入射する測定ビームの部分66が、対物レンズ29から出射する測定ビームの部分68を生成するように構成され、この射出部分68は平行又は略平行である。その結果、可変光学組立体10及び対物レンズ29は一緒に、無限焦点又は実質的に無限焦点のシステムを形成する。したがって、測定ビーム光学組立体に入った光は、測定ビーム光学組立体により無限又は実質的に無限に撮像される。したがって、測定ビーム9は、平行又は略平行ビームとして対物面40に入射し、正視非非遠近調節眼の場合、網膜に測定フォーカスを生成する。
【0156】
図7Bの構成では、可変光学組立体10に入射する、平行又は略平行であるように構成される測定ビームの部分66は、発散ビームとして対物面40に入射する測定ビーム9に繋がる。図7Bに示される構成では、現実フォーカス16は、対物レンズ29と対物面40との間の領域で生成される。現実フォーカス16は発散点であり、ここから、測定ビーム9は自由に対物面40に伝搬する。その結果、対物面40における測定ビームは、現実フォーカス16と対物面40との間の焦点距離s1に対応するデフォーカスを有する。
【0157】
図7Bに示される構成では、焦点距離s1は200mmの長さを有する。したがって、対物面40における測定ビーム9の発散は、測定ビームが、非遠近調節屈折異常眼の場合、屈折誤差−5dptで網膜で結像するようなものである。0dpt〜−5dptの範囲の屈折誤差を有する目の場合、網膜への結像を促進するために、可変光学組立体は、測定ビーム9が対物面40においてより小さい発散を有するように、すなわち、対物面40からの現実又は仮想フォーカスの対応する距離が図7Bの構成の距離s1よりも大きくなるようにも制御可能に構成可能である。このために、測定ビームの現実フォーカスはまた、物体に向けられた光路に相対して見た場合、対物レンズ29に配置されるか、又は対物レンズ29の上流に配置され得る。この場合、測定ビーム9はもはや、現実フォーカスと対物面40との間で自由に伝搬しない。その結果、現実フォーカスと対物面40との間の距離はもはや、対物面におけるデフォーカスを表す対応する仮想フォーカスの距離と同一ではない。別の表現では、対物面40でのデフォーカスは、離間された仮想フォーカスに対応する。平行ビームとして構成される測定ビーム9の入射部分66の場合、この仮想焦点は、可変光学組立体10及び対物レンズ29により形成される光学システムの物体側ビーム出力の主面の仮想フォーカスに対応する。
【0158】
図7Cの構成では、測定ビーム9は、収束して対物面40に入射する。測定ビーム9は、非遠近調節屈折異常眼の場合、測定フォーカスが球面屈折誤差+6dptで網膜に配置されるように構成される。目7が存在しない状態で、収束測定ビームは、対物レンズ29から離れた対物面40の側にフォーカスを生成し、上記フォーカスは対物面40から焦点距離s2を有する。屈折誤差+6dptに対応して、焦点距離は長さ160mmを有する。焦点距離s2は、図7Cに示される破線矢印により概略的にのみ示されている。したがって、図7Cの測定ビームのデフォーカスは、絶対値s2を有する対物面40からの現実フォーカスの距離に対応する。
【0159】
0dpt〜+6dptの範囲の屈折誤差を有する目の場合、網膜への結像を促進するためにも、可変光学組立体は、測定ビーム9が対物面40においてより小さい収束を有する、すなわち、対応する焦点距離s2がより大きいように制御可能に変更可能である。
【0160】
【表1】
【0161】
図6A図7Cにおいて再現される構成の光学的有効面は、表1に再現される曲率半径及び距離を有する。図5を参照して提示されたように、第2の可動式光学ユニット11は、光学的有効面S1〜S5を備える。第1の可動式光学ユニットは、光学的有効面S6及びS7を備える。第3の光学ユニットは、光学的有効面S8〜S10を備える。対物レンズは、光学的有効面S11〜S13を備える。
【0162】
【表2】
【0163】
光学的有効面の直径、光学要素の材料、及びこれらの材料が測定ビームの波長1060ナノメートルで有する屈折率が表2に再現される。
【0164】
図7Bの構成では、第1の可動式光学ユニット11及び第2の可動式光学ユニット12からなる第1の光学構成要素は、可変光学組立体内に現実フォーカスも仮想フォーカスも生成しない。図7Bの構成では、可変光学組立体は、第1の光学構成要素の物体側ビーム出力の主面の焦点面位置が、可変光学組立体外に配置されるように構成される。逆に、この焦点面は、図7A図6A図6B図7A、及び図7Cの構成では、可変光学組立体内に配置される。
【0165】
焦点面位置のこの大きい変位可能性は、対物面40における測定ビーム9のデフォーカスの目の大きい範囲の屈折誤差への適合を促進する。特に、これにより、対物面40における、図7Bに示される発散測定ビームの生成を可能にし、上記発散測定ビームは、屈折誤差−5dptを有する目の検査を可能にする。
【0166】
図8は、図1に示される光学システム1のOCTシステムのコレクタ光学組立体22の設計を示す。コレクタ光学組立体22は、変更可能な焦点距離を有する。コレクタ光学組立体22の焦点距離は、コレクタ光学組立体22から出射する測定ビーム9の部分69が、様々な値の焦点距離のそれぞれの場合で平行であるように、制御可能に変更可能である。部分69の直径は、異なる値の焦点距離のそれぞれの場合で異なる。したがって、コレクタ光学組立体の様々な値の焦点距離は、測定フォーカス43に向かって延びる測定ビーム9の部分の様々な値の開口数を生じさせる。
【0167】
コレクタ光学組立体22のこの実施形態は、可変光学組立体がもはや、開口数を設定する機能を担う必要がないため、実際の測定フォーカス位置を変更する機能に可変光学組立体を最適化することを促進する。次に、測定ビームの軸に沿った測定フォーカスの変位が、可変光学組立体の作動により生じるが、測定フォーカスにおける測定ビームの開口数は、コレクタ光学組立体を作動させることにより設定される。2つの別個の光学システム間にこれらの2つの機能を分けることにより、軸方向測定フォーカス位置及び/又は開口数に広い設定範囲を得ることが可能である。更に、これにより、可変光学組立体のよりコンパクトな設計が促進され、対物レンズの周囲領域でのスペースを節減させる。更に、この結果として、測定ビーム9は、収束ビーム又は発散ビームではなく、平行ビームとして走査システム30を通して案内される。これは、走査ミラーが互いと完全には位置合わせされない場合、OCTデータの画質がドップラー効果により妨げられることを回避する。更に、これは、走査位置とミラーの回転角との関係が走査ミラーで異なることを回避する。
【0168】
図8は、コレクタ光学組立体22の設計を示す。コレクタ光学組立体22は、光ファイバ23の光射出面25から出射する測定ビームの部分を測定ビーム9の部分69に再整形し、測定ビーム9の部分69は、コレクタ光学組立体22から出射して、コレクタ光学組立体22の様々な値の設定可能な焦点距離で平行である。
【0169】
図8に示されるように、コレクタ光学組立体22は、第1の可動式光学ユニット72及び第2の可動式光学ユニット73を備える。第1の可動式光学ユニット72は、負の屈折力を有する。第2の可動式光学ユニット73は、正の屈折力を有する。第2の可動式光学ユニット73は、物体に向けられた測定ビーム9の光路に相対して見た場合、第1の可動式光学ユニット72の下流に配置される。測定ビーム9は、第2の可動式ユニット73を通してコレクタ光学組立体22から出射する。射出測定ビーム9の部分69は、コレクタ光学組立体22の様々な値の設定可能な焦点距離のそれぞれの場合で平行である。
【0170】
コレクタ光学組立体22は第3の光学ユニット71を備え、第3の光学ユニット71は、第1の可動式ユニット72の上流に配置される。第3の光学ユニット71は、正の屈折力を有する。更に、コレクタ光学組立体22は、第4の光学ユニット70を備える。第4の光学ユニット70は、第3の光学ユニット71の上流に配置され、同様に、正の屈折力を有する。測定ビーム9は、第4の光学ユニット70を通してコレクタ光学組立体22に入る。第4の光学ユニット70から出射する測定ビーム9の部分75は平行である。ストップ74が、第4の光学ユニット70と第3の光学ユニット71との間に配置される。
【0171】
コレクタ光学組立体22は、コレクタ光学組立体の様々な値の焦点距離で、コレクタ光学組立体22から出射する測定ビーム9の部分69の直径が、様々な値に制御可能に設定可能であるように構成される。様々な値の直径で、コレクタ光学組立体22からデータ測定ビーム9は平行である。その結果、様々な値の開口数は測定フォーカスにおいて設定可能であり、測定ビームは、様々な値のそれぞれで、平行ビームとして走査デバイス30(図1に示される)を通る。
【0172】
【表3】
【0173】
図8に再現されるコレクタ光学組立体22の光学的有効面は、表1に再現される曲率半径、距離、及び直径を有する。更に、表1は、光学要素の材料と、これらの光学要素が測定ビーム波長1060nmで有する屈折率とを再現する。第1の可動式光学ユニット72は、光学的有効面S20及びS21を備える。第2の可動式光学ユニット73は、光学的有効面S22及びS23を備える。第3の光学ユニット71は、光学的有効面S18及びS19を備える。第4の光学ユニット70は、光学的有効面S15、S16、及びS17を備える。第4の光学ユニット70は、接合要素として実施し得る。
【0174】
図9A図9Cは、測定ビームの様々な直径の平行射出部分69を生成するコレクタ光学組立体22の3つの構成を示す。図9Aに示されるコレクタ光学組立体22の構成は、0.36mmの値を有する直径p1を生成する。図9Bに示されるコレクタ光学組立体22の構成は、0.72mmの値を有する直径p2を生成する。図9Cに示されるコレクタ光学組立体22の構成は、1.44mmの値を有する直径p3を生成する。
【0175】
図1に示されるように、光学システム1は、目の現実又は仮想固定点を生成する固視光デバイス87を備える。検査される目7を有する患者は、特に目が、角膜が対物面40に配置されるように位置決めされる場合、現実又は仮想固視点を見得る。固視点を見ることにより、目7は固視点を中心に固視する。中心固視の場合、固視点の画像は、目7の小窩の中央に配置される。目の微小な動きは、ここでは無視される。小窩とは、窩内の視覚が最も鮮鋭な領域である。小窩の直径は約0.33mmである。
【0176】
固視点は、固視光デバイス87により生成される現実又は仮想画像により定義され得る。例として、現実又は仮想画像は、十字線又は円であり得る。次に、例えば、固視点は、十字線の中心又は円の中心であり得る。
【0177】
固視光デバイス87は固視光ユニット80を備える。固視光ユニット80は、偏向要素82により対物レンズ29に偏向される固視光81を生成する固視光源を備える。固視光81は、対物レンズ29を通過する。固視光が可変光学組立体10を通ることも考案可能である。例として、固視光源はLED及び/又はレーザを含み得る。固視光81は、可視スペクトル内の光波長を有し得、それにより、患者は、光学システム1の対物面照明(図1に示されない)の照明光から固視光81を容易に区別し得る。例として、この光波長は緑スペクトル範囲にあり得る。代替又は追加として、光学システム1は、固視光81の強度が、時間パターンに従って変化するように構成され得る。例として、固視光81の強度は、時間的に周期的に増減してもよく、及び/又は固視光81は一時的にトリガーされてもよい。例として、一時的にトリガーされる固視光は、明滅固視光であり得る。
【0178】
固視光デバイス87により生成される現実又は仮想固視点は、対物面40から大きい距離を有する。したがって、目7の視軸は、定義される視軸方向に沿って、正確に言えば、固視点の中心固視の場合、視軸方向に垂直な方向において目の位置から略独立して位置合わせされる。
【0179】
図1に示される光学システム1では、固視光81は、この定義された視軸方向が対物レンズ29の光軸OAに平行して延びるように構成される。更に、OCTシステム2は、測定ビーム9の軸が対物レンズ29の光軸OAに沿って延びるように構成される。
【0180】
これにより、目の前房深度、水晶体厚及び軸方向長さを精密に測定することができる。これについて図10A及び図10Bを参照して以下に説明する。
【0181】
図10Aは、固視点が中心に固視される状態の目7を示す。目の固視軸、すなわち、中心固視の状態での目の視軸は、参照符号FAで示される。この状態では、固視点の画像79は、小窩78の中心に配置される。固視軸FAは、小窩78の中心と、目が中心固視の状態である場合の固視点とを結ぶ線として定義される。
【0182】
目は、走査システムの走査設定の場合、測定ビーム9の入射部分の軸が固視軸FAに沿って又は実質的に沿って延びるように、光学システムに対して位置決めされる。これは、例えば前房深度82、水晶体厚83、後水晶体嚢85と網膜77との間の距離84、及び目7の軸方向長さ86等のOCT測定により、複数の解剖学的パラメータを高精度で突き止めることを促進する。
【0183】
図10Aと比較して、図10Bは、固視点が中心固視されない状態の目を示す。その場合、固視点の画像79は小窩78の中心から離れて配置される。図10Bに基づいて識別し得るように、測定ビーム9の軸に沿って測定される長さ88a、89a、90a、及び86aは、目7の前房深度82、水晶体厚83、後水晶体嚢85と網膜77との間の距離84、及び軸方向長さ86の、図10Aに示される解剖学的パラメータからずれる。
【0184】
図11A及び図11Bに関連して説明されるように、光学システムは、網膜の捕捉OCTデータに応じて、中心固視の状態をチェックし得るように実施される。
【0185】
図11Aは、網膜の上層91、92、93、94を通る断面を再現する第1のB走査を示す。図11AのOCTデータは、図10Aにおいて再現される状態、すなわち、固視点が目により中心固視される状態で捕捉された。B走査は、ボリューム走査の部分を表し得る。断面は、小窩中心の画像を含むように構成される。したがって、小窩を表す窩の窪み95は、B走査で識別され得る。窩の中心は走査位置SPに配置される。
【0186】
図11Bは、図11Aと同じ走査位置での第2のB走査を示す。しかし、図11BでのOCTデータは、固視点が目により中心固視されていない、図11Bに再現される目の状態で捕捉された。
【0187】
したがって、小窩の中心は、図11Bで再現されたOCTデータでは、図11AでのOCTデータで再現されるように走査位置SPに現れない。その結果、目が、固視点が中心固視される状態であるか否かについて、OCTデータに基づいてチェックを実行し得る。
【0188】
光学システムは、OCTデータに応じて、小窩の中心の画像が走査位置SPにあるか否か及び/又は走査位置SPからの小窩の中心の画像のずれが所定の閾値以内であるか否かを判断するように実施される。その結果、目の測定により捕捉されたパラメータが所要制度内であるか否かを判断することが可能である。OCTデータは、二次元走査又はボリューム走査を表し得る。
【0189】
例として、走査位置SPは、固視光がアクティブ化されている間、比較的長時間にわたり捕捉される網膜のOCTデータにより特定され得る。固視光がアクティブ化されると、目は主に中心固視の状態である。目が正視眼であり、遠近調節されない場合、走査位置SPは、目に入射する測定ビームの部分の軸が固視軸に平行して延びる位置である。図1に示されるシステムでは、これは、測定ビーム9が光軸に沿って延びる走査位置である。
【0190】
したがって、光学システムは、網膜の捕捉OCTデータに応じて中心固視の状態のチェックを容易に促進する。特に、これにより、白内障手術中、図10Aに示される解剖学的パラメータを確実に測定することができる。
【0191】
OCTデータに応じて中心固視の状態をチェックする場合、測定フォーカスは必ずしも網膜の領域にある必要はない。網膜のOCTデータと同時に、目内の測定すべき解剖学的構造のOCTデータを捕捉することが考案可能である。例として、そのような解剖学的構造は水晶体であり得る。ここで、測定フォーカスは、網膜から離れて、例えば、水晶体内又は水晶体と網膜との間の領域に配置され得るが、軸方向測定領域は網膜まで延びる。
【0192】
次に、OCTデータに応じて、まず、解剖学的構造を測定し、次に、目が中心固視であるか否かをチェックすることが可能である。ここで、例示的な実施形態による光学システムでは、可変光学組立体を作動させることにより、及び/又はコレクタ光学組立体を作動させることにより、測定フォーカスでの軸方向位置及び/又は測定フォーカスの開口数を適宜構成することができる。
【0193】
目の長さを測定するために、代替的には、データが目の異なる状態を表すように、異なる時間でOCTデータを捕捉することも考案可能である。
【0194】
異なる時間の数及び時間間隔が適宜選択される場合、測定値は、中心固視86の状態での軸方向長さ86(図10Aに示される)を表し、次に、測定値は、測定値86a(図10Bに示される)のように、中心固視からずれた状態での軸方向長さを表す。測定値が中心固視の状態で最大であることがわかっている。したがって、測定値が比較的長い時間期間にわたって捕捉される場合、最大値は目の軸方向長さを表す。固視光をオフに切り替えて、目が中心固視の状態ではない比較値を捕捉し得る。
図1
図2A
図2B
図3
図4A
図4B
図4C
図4D
図5
図6A
図6B
図7A
図7B
図7C
図8
図9A
図9B
図9C
図10A
図10B
図11A
図11B