特許第6696979号(P6696979)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6696979容器の形成時にフィニッシュを冷却し、逆圧を印加する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6696979
(24)【登録日】2020年4月27日
(45)【発行日】2020年5月20日
(54)【発明の名称】容器の形成時にフィニッシュを冷却し、逆圧を印加する方法
(51)【国際特許分類】
   B29C 49/46 20060101AFI20200511BHJP
   B29C 49/64 20060101ALI20200511BHJP
【FI】
   B29C49/46
   B29C49/64
【請求項の数】20
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2017-515664(P2017-515664)
(86)(22)【出願日】2014年5月29日
(65)【公表番号】特表2017-520439(P2017-520439A)
(43)【公表日】2017年7月27日
(86)【国際出願番号】US2014039984
(87)【国際公開番号】WO2015183280
(87)【国際公開日】20151203
【審査請求日】2017年5月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】515121575
【氏名又は名称】ディスクマ アクチェンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】一色国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ボイアーレ,フレッデリック,シー.
(72)【発明者】
【氏名】リシュ,ジー.,デビッド,ジュニア.
(72)【発明者】
【氏名】シュタイ,リチャード
(72)【発明者】
【氏名】ハルチェンコ,セミョン
(72)【発明者】
【氏名】クマル,パンカジュ
【審査官】 祢屋 健太郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−132856(JP,A)
【文献】 特開2009−166482(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0164404(US,A1)
【文献】 特開2000−043129(JP,A)
【文献】 特開平06−144453(JP,A)
【文献】 特表2015−506288(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/145511(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 49/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プリフォーム(20)からプラスチック容器を形成し、当該容器を充填する方法であって、
プリフォーム(20)の一端にフィニッシュ(32)が画定された本体(30)を有す
る、前記プリフォーム(20)を準備する工程と、
前記フィニッシュ(32)に射出ノズル(14)を係合させて、前記射出ノズル(14)と前記フィニッシュ(32)との間に、前記フィニッシュの内側の空間を前記フィニッシュの外側と分離する第1の密着係合を形成する工程と、
前記プリフォーム(20)に液体ブロー媒体を注入して、金型(26)内で前記プリフォーム(20)の前記本体(30)を膨張させることで、容器を形成すると同時に前記容器に前記液体を充填する工程と、を含み、
前記フィニッシュ(32)の温度よりも低い温度で準備される冷却媒体を、前記フィニッシュ(32)の前記外側に当てることを含み、
前記冷却媒体を前記フィニッシュ(32)に当てることは、前記冷却媒体を前記射出ノズル(14)に供給し、前記冷却媒体を前記フィニッシュ(32)に亘って均一に、且つ連続的に向けることを特徴とする方法。
【請求項2】
前記冷却媒体を前記フィニッシュ(32)に当てる前記工程は、少なくとも、前記フィニッシュ(32)に前記射出ノズル(14)を係合させる前記工程の後に開始される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記冷却媒体を前記フィニッシュ(32)に当てる前記工程は、少なくとも、前記フィニッシュ(32)に前記射出ノズル(14)を係合させる前記工程の前に開始される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記冷却媒体を前記フィニッシュ(32)に当てる前記工程は、前記フィニッシュ(32)に前記射出ノズル(14)を係合させる前記工程の前と後の両方に行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記射出ノズルと、前記プリフォームおよび前記金型のうちの一方との間に、前記プリフォーム(20)の中心軸に沿って前記第1の密着係合から軸方向に離隔している第2の密着係合を形成する工程をさらに含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記第2の密着係合は、前記射出ノズル(14)と前記金型(26)の一部との間に形成される、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記第2の密着係合は、前記射出ノズル(14)と前記プリフォーム(20)の支持リング(92)との間に形成される、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記フィニッシュ(32)の周りに前記冷却媒体を分散させる工程をさらに含む、請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記冷却媒体を循環させる工程が、連続的または間欠的に行われる、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記冷却媒体を当てる前記工程が、前記冷却媒体を前記フィニッシュ(32)で方向づける工程を含む、請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記冷却媒体は、前記フィニッシュ(32)で、前記プリフォーム(20)の中心軸に対して垂直に方向づけられる、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記冷却媒体は、前記フィニッシュ(32)で、前記プリフォーム(20)の中心軸に対して斜めに方向づけられる、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記準備する工程の前に前記プリフォームを熱的に調整する工程をさらに含む、請求項1〜12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記冷却媒体は、前記射出ノズルを下げているときに当てられる、請求項1から13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記フィニッシュ(32)の周りに、前記ブロー媒体によって、前記フィニッシュ(32)に加わる圧力に反作用する逆圧を印加する工程をさらに含む、請求項1〜14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
前記逆圧は、前記フィニッシュの周りに位置する受け空間からの前記冷却媒体の排出を制限することによって印加される、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記冷却媒体の前記排出を制限する前記工程は、流入口通路またはポートの累積断面積よりも小さい断面積の排出用の隙間または流出口通路を設けることによって行われる、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記冷却媒体の前記排出を制限する前記工程は、前記冷却媒体用の流出口通路の可変絞りを制御することによって行われる、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記冷却媒体の前記排出を制限する前記工程は、前記冷却媒体を排出しないようにすることで行われる、請求項16に記載の方法。
【請求項20】
前記逆圧を印加する前記工程は、前記冷却媒体の連続した流れまたは間欠的な流れを与えることを含む、請求項15から17のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、広義には、最終製品すなわち液体をブロー成形媒体として用いる、プリフォームからの容器の流体圧ブロー成形に関する。特に、本発明は、流体圧ブロー成形プロセスにおけるプリフォームのフィニッシュの歪みおよび/または変形を防止することに関する。
【背景技術】
【0002】
液体用のプラスチック容器は、さまざまな異なる方法で製造される。ほとんどの方法では、プラスチックのプリフォームが成形に適した温度まで加熱され、金型内に配置された後、軸方向かつ半径方向に膨張されて容器となる。プロセスによっては、プリフォームを膨張させるためのブロー成形媒体として、空気が用いられる。他のプロセスでは、ブロー成形媒体として、液体製品が用いられる。この液体最終製品をブロー成形媒体として用いる後者のプロセスを、本明細書では流体圧ブロー成形という。
【0003】
流体圧ブロー成形では、ブロー成形媒体が、加圧下で、通常は非高温充填プロセスであれば約0℃から32℃(32°Fから90°F)の範囲の温度、高温充填プロセスでは約85℃から95℃(約185°Fから195°F)の温度で射出される。多くの場合、これらの温度範囲から明らかなように、ブロー成形媒体の温度は周囲温度よりも高い。
【0004】
プリフォームの本体は、流体圧ブロー成形プロセスの間、軸方向に長く伸ばされて半径方向に膨張されるが、プリフォームのネックまたはフィニッシュは、その最初に形成された形状を保つことが想定されている。フィニッシュには、クロージャーと係合しなければならないネジと密着面が含まれるため、フィニッシュが、その最初に形成された形状を保つことが重要である。流体圧ブロー成形時、特にブロー成形媒体がプリフォームの温度に比して高温であるとき、ブロー成形媒体の温度への暴露またはその射出圧力がゆえに、フィニッシュが歪むおよび/または変形する可能性がある。得られる容器の重量を軽くしようとしてフィニッシュの壁厚を薄くした場合に、これがなおさら起こりやすくなる。
【0005】
フィニッシュを保護するために、さまざまな戦略が提案されている。米国特許出願公開第2013/0164404号には、ブロー成形プロセスの間にフィニッシュの外側に逆圧が印可されるシステムが開示されている。WO2013/145511号にも、同様に、ブロー成形プロセスの間にフィニッシュの外側に逆圧が印可されるシステムが開示されている。
【0006】
上記に鑑みて、流体圧ブロー成形プロセスの間、フィニッシュの変形および歪みにつながる、このプロセスにおけるプリフォーム内の圧力のみならずブロー成形媒体の温度からも、プリフォームのフィニッシュが保護されるシステムに需要があるのは自明である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記の需要を満たすのみならず、従来技術の列挙した欠点および他の制限を克服するにあたり、本発明の一態様では、プリフォームからプラスチック容器を形成し、これを充填する方法が提供される。
【課題を解決するための手段】
【0008】
もうひとつの態様では、プリフォームからプラスチック容器を形成する方法は、プリフォームの一端にフィニッシュが画定された本体を有する、プリフォームを準備する工程と、フィニッシュに射出ノズルを係合させて、射出ノズルとフィニッシュとの間に、フィニッシュの内側の空間をフィニッシュの外側と分離する第1の密着係合を形成する工程と、プリフォームに液体ブロー媒体を注入して、金型内でプリフォームの本体を膨張させることで、容器を形成すると同時に容器に液体を充填する工程と、を含み、フィニッシュの温度よりも低い温度で準備される冷却媒体を、フィニッシュの外側に当てることを含む。成形過程でフィニッシュの外側に冷却媒体を当てることで、成形過程でフィニッシュに起こり得る変形が、都合よく軽減される。一工程での液体ブロー成形過程で成形されるがゆえに、容器の成形および充填時、プリフォームはすでに高温であるため、プリフォームが高圧および場合によっては高温に暴露されるときに冷却媒体がフィニッシュを冷却する一助となる。これによって、容器にクロージャーキャップが嵌められると、密封状態の完全性をさらに良くすることができる。
【0009】
別の態様では、冷却媒体をフィニッシュに当てる工程は、少なくとも、フィニッシュに射出ノズルを係合させる工程の後に開始される。射出ノズルとフィニッシュとの係合後に冷却媒体をフィニッシュに当てることで、製造サイクルの間に使用される冷却媒体の量が保たれ、より狭い空間での冷却で、より良いフィニッシュの冷却が実現される。
【0010】
追加の態様では、冷却媒体をフィニッシュに当てる工程は、少なくとも、フィニッシュに射出ノズルを係合させる工程の前に開始される。フィニッシュが射出ノズルによって係合される前に冷却媒体を当てることで、製造プロセスの早い段階で冷却が開始される、これによって、フィニッシュをより多く冷却することができる。
【0011】
さらにもうひとつの態様では、冷却媒体をフィニッシュに当てる工程は、フィニッシュに射出ノズルを係合させる工程の前と後の両方に行われる。射出ノズルとフィニッシュとの係合前と係合後の両方で冷却媒体を当てることで、フィニッシュに対する冷却効果が最大になる。
【0012】
さらに別の態様では、射出ノズルと、プリフォームおよび金型のうちの一方との間に、プリフォームに沿って第1の密着係合から軸方向に離隔している第2の密着係合を形成する工程をさらに含む。第1の密着係合から軸方向に離隔したものである、第2の密着係合を形成することで、フィニッシュの周りに閉じたチャンバが形成され、フィニッシュの周囲に冷却媒体を供給し、フィニッシュの周囲から冷却媒体を排出することに対して、より良い制御ができるようになる。
【0013】
本発明のさらにもうひとつの態様では、第2の密着係合は、射出ノズルと金型の一部との間に形成される。第2の密着係合を形成することで、冷却媒体の供給に対する一層精密な制御が可能になり、射出ノズルと金型の一部との間に第2の密着係合を形成することで、この方法を多岐にわたるプリフォームデザインで用いることが可能になる。
【0014】
さらに別の態様では、第2の密着係合は、射出ノズルとプリフォームの支持リングとの間に形成される。
【0015】
追加の態様では、この方法は、フィニッシュの周りに冷却媒体を分散させる工程をさらに含む。フィニッシュの周りに冷却媒体を分散させることで、フィニッシュの冷却が均一に達成され、フィニッシュの局所的な冷却に起因することのある歪みが防止される。
【0016】
本発明のもうひとつの態様では、冷却媒体を循環させる工程が、連続的または間欠的に行われる。冷却媒体を連続的に循環させると、製造サイクルの最初から最後までフィニッシュが一貫して冷却される。間欠的な冷却では、製造サイクルの一層重要な時間に的を絞って冷却媒体を当てることができる。
【0017】
本発明の別の態様では、冷却媒体を当てる工程が、冷却媒体をフィニッシュで方向づける工程を含む。冷却媒体をフィニッシュで方向づけることで、冷却効率が高まる。
【0018】
本発明の追加の態様では、冷却媒体は、フィニッシュで垂直に方向づけられる。冷却媒体をフィニッシュで垂直に方向づけることで、冷却媒体、冷却効果の強度が増加する。
【0019】
さらにもうひとつの態様では、冷却媒体は、フィニッシュで斜めに方向づけられる。冷却媒体を斜めに方向づけることで、フィニッシュが完全に射出ノズルに入ってしまう前に、冷却媒体をフィニッシュに当ててフィニッシュの冷却を開始できる。
【0020】
本発明のさらに別の態様では、プリフォームを熱的に調整する工程が位置決め工程の前に行われる。
【0021】
さらにもうひとつの態様では、冷却媒体は、射出ノズルを下げているときに当てられる。射出ノズルを下げながら冷却媒体を当てることで、製造サイクルの早い段階で冷却を開始できる。
【0022】
本発明のさらに別の態様では、フィニッシュの周りに逆圧を印加する。逆圧を印可することで、容器形成時にプリフォーム内の圧力が増すことで生じるフィニッシュの変形が軽減される。
【0023】
追加の態様では、逆圧は、フィニッシュの周りに位置する受け空間からの冷却媒体の排出を制限することによって印加される。もうひとつの態様では、冷却媒体の排出を制限する工程は、流入口通路またはポートの累積断面積よりも小さい断面積の排出用の隙間または流出口通路を設けることによって行われる。冷却媒体の排出を制限することで、フィニッシュの周囲に逆圧を選択的に発生させることができる。
【0024】
別の態様では、冷却媒体の排出を制限する工程は、冷却媒体用の流出口通路の可変絞りを制御することによって行われる。可変絞りを利用することで、フィニッシュに逆圧を印可する際に、一層精密な制御を用いることができる。
【0025】
追加の態様では、冷却媒体の排出を制限する工程は、冷却媒体を排出しないようにすることで行われる。冷却媒体を排出しないと、製造サイクルにおいて逆圧をすみやかに発生させることができる。
【0026】
追加の態様では、逆圧を印加する工程は、冷却媒体の連続した流れまたは間欠的な流れを与えることを含む。このため、逆圧を、特定の製造サイクルに合わせて効率的に印可することが可能である。
【0027】
本発明のさらなる目的、特徴、利点については、図面を参照して以下の説明を検討し、本明細書の一部を形成する添付の特許請求の範囲を検討することで、当業者には容易に理解できるようになろう。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】射出ノズルとプリフォームとの係合前の本発明の原理を例示している流体圧ブロー成形機の断面図である。
図2】射出ノズルとプリフォームとの係合後の図1に示す流体圧ブロー成形機の断面図であり、射出ノズルとプリフォームの支持リングとの間の空気の排出を示している。
図3A】ほぼ図2の線3−3で切った断面図であり、射出ノズルの一部内における分岐した流入口通路を示している。
図3B】ほぼ図2の線3−3で切った断面図であり、射出ノズルの一部内における2本以上の分岐した流入口通路を示している。
図4】第2の実施形態による流体圧ブロー成形機の断面図であり、射出ノズルの一部を介して画定される流出口通路を示している。
図5A】ほぼ図4の線5−5で切った断面図であり、流入口通路と流出口通路をどのように構成できるかということについての変形例を示している。
図5B図5Aと同様の断面図であり、流入口通路と流出口通路をどのように構成できるかということについての追加の変形例を示している。
図6】流体圧ブロー成形機の断面図であり、空気を受け空間から直接引き出すために流出口通路をどのように構成できるかということについての別の変形例を示している。
図7】ほぼ図6の線7−7で切った断面図であり、流入口通路と流出口通路の一部を示している。
図8】射出ノズルの下側の端に一体化された、本発明の原理を例示している冷却装置の分解側面図であり、冷却装置の一部に設けられたポートが一対の互いにずれた行で配置された状態で示されている。
図9】さらにもうひとつの実施形態による流体圧ブロー成形機の断面図である。
図10】本発明の原理を取り入れた、容器を形成して充填するための方法の工程を示すフローチャートである。
図11】射出ノズルとプリフォームとの係合前の、本発明の原理を取り入れた流体圧ブロー成形機の別の実施形態の断面図である。
図12】射出ノズルとプリフォームとの係合後の図11に示す流体圧ブロー成形機の断面図であり、射出ノズルとプリフォームの支持リングとの間の空気の排出を示している。
【発明を実施するための形態】
【0029】
ここで図面を参照すると、プリフォームから容器を形成するのに用いられ、本発明の原理を例示している流体圧ブロー成形機が図面に概略的に図示され、その全体が10で示されている。成形機の主な構成要素として、図1および図2において明らかなように、流体圧ブロー成形機10は、ハウジング12を有する射出ヘッド11を含み、このハウジングの中に、射出ノズル14、シールピン16、ストレッチロッド18が同軸に配置されている。
【0030】
射出ヘッド11は、ブロー媒体(形成された容器内に保持される最終製品でもある液体)の供給源22に連結されている。このブロー媒体は、20で示されるプリフォームを膨張させ、得られる容器の所望の形状に金型キャビティ28を画定している金型26の内面24と一致させるのに使用される。
【0031】
本発明で用いられるプリフォームは、通常、射出成形プロセスによって形成され、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)およびポリエチレンイミン(PEI)をはじめとするポリエステル、低密度ポリエチレンおよび高密度ポリエチレン(それぞれLDPEおよびHDPE)およびポリプロピレン(PP)をはじめとするポリオレフィン、ポリスチレン(PS)、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)をはじめとするスチレンベースの材料あるいは、ポリ塩化ビニル(PVC)をはじめとする他のポリマーなど、好適なプラスチック材料であれば、どのような材料で作られてもよい。上記にて列挙した材料は例示目的のものにすぎず、本発明の範囲または使用する材料を限定することを意図したものではない。
【0032】
プリフォーム20は、開放されたネックすなわちフィニッシュ32から、ほぼ中心軸Aに沿って閉じた端(図示せず)まで延在する中空の本体30を有する。プリフォーム20を容器に成形する際、アクチュエーター31によってストレッチロッド18が軸方向に伸びて本体30の長さを伸ばし、別のアクチュエーター33によって、シールピン16のヘッド36上に画定されたシールリング34が、射出ノズル14の一部として設けられたシールシート38との密着係合から係合解除されるように、シールピン16が後退される。シールリング34がシールシート36から係合解除され、シールピン16が十分に後退された状態で、ブロー媒体が、プリフォーム20の内側44に射出されるように射出ノズル14内の中央通路40から出口オリフィス42を通って流動する。上述したように、ブロー媒体によって加わる圧力は、プリフォーム20の本体30を金型26の内面24と一致するまで膨張させ、容器を形成する。
【0033】
プリフォーム20の本体30は、容器12の形成時に長く伸ばされて膨張されるが、フィニッシュ32は、その最終形態で提供され、一般に、クロージャーキャップ(図示せず)の対応するネジと係合するためのネジ46を含む。流体圧ブロー成形時、ブロー用媒体は、周囲温度よりも高い温度であってもよく、フィニッシュ32の内面に当たってもよい。容器全体の重量を減らすために容器のフィニッシュを次第に薄くしているとき、特にブロー媒体の射出圧力と連結される際に、ブロー用媒体の高温がゆえにフィニッシュの形状が歪んで変形できるようになることがあり、これによってクロージャーキャップによる適切な係合が妨げられるという懸念が生じる。本明細書に開示される流体圧ブロー成形機10、具体的には射出ノズル14には、フィニッシュ32に起こり得る変形および歪みに逆らって、これを軽減する特徴が備えられている。
【0034】
図1および図2に示されるように、射出ノズル14の端は、流体圧ブロー成形プロセスの間にフィニッシュ32を冷却するように構成されている。この点について、射出ノズル14と一体の部品として、冷却装置48が備えられている。ノズル本体ともいうことのできる冷却装置48は、ベルハウジング50とディフューザー52を含む。
【0035】
図示のように、ベルハウジング50は、ベルハウジング50の外側のネジ54と射出ノズル14の内側のネジ56との係合によって、射出ノズル14の下側の端に固定されている。この目的で、ネジの付いたファスナーなどの他の固定手段を代わりに用いてもよかろう。同じく図示の構成において、ベルハウジング50は、シーリングベル58を、射出ノズル14と一体の部品としてこれに固定するのに用いられる。シーリングベル58は、上述した中央通路40とシールシート38を画定するのに協働する表面を含む。シーリングベル58を固定するために、シーリングベル58の下側の端は、ネジ54とほぼ隣接して、このネジの内側でベルハウジング50の上端に形成された、対応する形状の上側凹部60内に入る形状になっている。ベルハウジング50が射出ノズル14に固定されると、シーリングベル58の中央のオリフィス62がベルハウジング58の中央のオリフィス63と整列配置されて当該オリフィスから延在し、これら両方のオリフィスが、中央通路40および射出ノズル14の出口オリフィス42を画定する。
【0036】
上側凹部60と対向する、ベルハウジング50の下側の端において、ベルハウジング50は下側凹部64を含み、この中に、ディフューザー52の一部が入っている。ディフューザー52は円筒形の壁65を含み、この円筒形の壁65は、当該壁から外方向に延在するラジアルフランジ66および軸Aと同軸である。ディフューザー52をベルハウジング50に固定する際、ラジアルフランジ66の上側の表面が、ベルハウジング50の最下面または端面68と係合し、ラジアルフランジ66を介してベルハウジング50まで延在するネジ付きファスナー(図示せず)または他の手段によって固定される。上述したように、円筒形の壁65は、ベルハウジング50の下側凹部62内に入り、当該壁の遠位端が下側凹部64の底壁70と係合状態になるような長さである。また、円筒形の壁65は、外径すなわち幅が、下側凹部64の側壁72間に画定される幅すなわち内径より小さい。結果として、円筒形の壁64、ラジアルフランジ66、底壁70および側壁72の一部が協働して、マニホールド48内のキャビティ74が画定される。
【0037】
また、ここで、キャビティ74が、円筒形の壁64およびキャビティ74の両方に含まれて囲まれる受け空間80と流体連通するように、ディフューザー52に、ポート76,78が画定されていることに、注意されたい。後に詳しく説明する理由から、ポート76は軸Aに対して半径方向、ポート78は軸Aに対して斜めに、受け空間80の中まで方向づけられており、好ましくは、ディフューザー52の円筒形の壁65を貫通して画定されている。好ましい一実施形態では、ポート76,78は、円筒形の壁64の周りに2行以上配置されている。ポート76,78はさらに、1つの行のポートが他の行のポートに対して半径方向に整列配置されるか、あるいは、半径方向に離隔するように配置されていてもよい。ポート76,78が半径方向に離隔した行で配置された状態は図8に最もよく示されており、半径方向に整列配置された行は、他の図面に示されている。図8に示すディフューザー52は、本明細書で述べるすべての実施形態におけるディフューザーに代えて使用できることは、自明であろう。
【0038】
ベルハウジング50は、冷却媒体の加圧供給源84と連結され、供給源84からの冷却媒体をキャビティ74まで送る、流入口通路82をさらに含む。この媒体は、当該媒体が所望の特性を持ち、本明細書で述べる目的を果たすかぎりにおいて、好ましくは空気または別の気体状流体である。
【0039】
図3A図3B図5Aの変形例において明らかなように、流入口通路82は、多岐にわたる構成で設けることができる。ひとつの変形例では、図5Aにおいて明らかなように、流入口通路82はベルハウジング50の壁を貫通して真っ直ぐに延在し、キャビティ74内で終端する。もうひとつの変形例では、図3Aに示されるように、流入口通路82は、分岐(図面では86で示す)してベルハウジング50の周りに途中まで延在したあと、直径方向に対向する位置でキャビティ74に入って終端する。もうひとつの変形例では、流入口通路82は、真っ直ぐまたは分岐86状に延在(後者が図3Bに示されている)したあと、キャビティ74に入って終端する複数の通路82によって画定されてもよい。分岐86の場合、流入口通路82は、キャビティ74の周りで同じ距離だけ離れた位置でキャビティ74に入って終端すると好ましい。このように、冷却媒体は、キャビティ74の中に入っているときに、より均一に分散される。キャビティ74の中に入ると、冷却媒体はポート76,78を通過し、ポート76,78によって受け空間80の中まで方向づけられており、かつ、後述するように、キャビティの中にあるプリフォーム20のフィニッシュ32で方向づけられている。
【0040】
図1に示されるように、射出ヘッド11は、流体圧ブロー成形プロセスの開始時、最初はプリフォーム20および金型26から離れている。金型26の中に導入される前に、プリフォーム20の本体30は、ブロー媒体がプリフォーム20の内側44に射出される際に本体30がストレッチロッド18によって実際に延伸され、半径方向に膨張できるようにする温度まで、熱的に調整(加熱)される。流体圧ブロー成形において、ブロー媒体は液体であり、ここでは、この用語は気体ではない流動性の媒体を包含することを意図している。ブロー媒体は、(水またはアルコールのように)低粘度であってもよいし、(食用油またはスープのように)中程度の粘度または(ケチャップまたはヨーグルトのように)高粘度であってもよい。また、ブロー媒体は均質であっても非均質であってもよく、飲料または食料品に限定することは意図していない。使用できる他の液体の非限定的な例として、洗浄製品(身体、家屋または自動車の手入れ用)、医療用流体、工業用流体、自動車用流体、農業用流体があげられる。
【0041】
高温充填ではない用途では、ブロー媒体を約0℃から32℃(32°Fから90°F)の範囲の温度でプリフォームの中に送り込んでもよいが、一般に、周囲温度を超える温度および/または延伸および膨張時にプラスチック材料のフリージングを最小限に抑えるプリフォーム20の本体30の温度で送り込む。高温充填プロセスの間、ブロー用媒体22は、約85℃から95℃(約185°Fから195°F)の温度でプリフォーム20の中に送り込まれる。上記の高い温度のみならず、ブロー媒体を供給するときの圧力がゆえに、流体圧ブロー成形プロセスの間に、特に、フィニッシュの壁厚が薄い場合にプリフォーム20のフィニッシュ32が変形するか歪む可能性がある。
【0042】
また、流体圧ブロー成形サイクルの開始時、プリフォーム20のフィニッシュ32が受け空間80に入り、射出ノズルがプリフォーム20と係合するまで、射出ノズル14が、そのアクチュエーター90によって下げられる。具体的には、ベルハウジング50の底壁70の表面(第1の密着面)は、フィニッシュ32の端面88と密着係合され、両者の間に第1のシールが形成される。射出ノズル14によって加わる下方向の力は、端面88と支持リング92との間でフィニッシュ32に圧縮荷重をかけ、このうち後者が、金型26の上面と係合される。後にさらに説明するように、この上からの荷重による圧縮力も、潜在的にフィニッシュ32の歪みおよび/または変形の一因となる可能性がある。
【0043】
フィニッシュ32の変形を相殺し、これに逆らうために、ポート76,78を通って供給される冷却媒体が、フィニッシュ32を冷却し、射出されるブロー媒体の温度の影響をなくすおよび/またはブロー媒体および/または上からの荷重によってフィニッシュ32に加わる圧力に反作用する逆圧を提供するように作用することがある。
【0044】
図1において明らかなように、ポート76,78を通しての空気の供給は、射出ノズル14が完全に下がってフィニッシュ32の端面88と係合する前に開始されてもよい。よって、射出ノズル14が下げられ、フィニッシュ32が受け空間80内に入ると、ポート76,78から供給される、94で示す空気の流れがフィニッシュ32に当たり、この空気の流れによってフィニッシュ32が冷却されることになる。いくつかのポート78が軸Aに対して、よってフィニッシュ32に対して斜めの向きになっているため、フィニッシュが完全に受け空間80の中に入ってしまう前に冷却媒体がフィニッシュ32の上を流れ始め、全体としての冷却効果をさらに高めている。冷却効果をさらに増すために、空気の流れ94は、周囲温度、フィニッシュ32、本体30またはブロー媒体の温度よりも低い温度で供給されてもよい。
【0045】
図1および図2に示す好ましい一実施形態では、主にフィニッシュ32の冷却を実現するために、空気の流れ94が供給される。同図から明らかなように、射出ノズル14が完全に下がると、ディフューザー52のラジアルフランジ66と支持リング92との間に、隙間96ができる。隙間96は排出路として現れ、これによって、空気の流れ94が実質的に制限なく受け空間80から外に出ることができる。結果として、この実施形態では、受け空間80内に最小限の逆圧が生じる。
【0046】
図4に示すもうひとつの好ましい実施形態では、軸Aの方向におけるマニホールド48の長さが、ディフューザー52のラジアルフランジ66の表面97(第2の密着面を画定)が支持リング92と密着係合し、フィニッシュ32に沿って軸方向に第1のシールから離隔した第2のシールを形成するような長さである。第2のシールが形成されると、受け空間80が閉じ込められ、フィニッシュ32上の空気の流れ94によって実現しようとすると、流出口通路98を必要とする。流出口通路98の異なる変形例を、図5A図5B図6図7に示す。
【0047】
図5Aにおいて明らかなように、流入口通路82および流出口通路98は、ベルハウジング50の壁を貫通して真っ直ぐに延在している。流入口通路82は、キャビティ74で終端するが、流出口通路98は、受け空間80と連通して、この空間から直接に引き出されるように画定されている。この点について、流出口通路98をキャビティ74の残りの部分から封止し、ポート76,78のうちの1つ以上を経由して流出口通路98を直接受け空間80と連通させるような形で、側壁72と円筒形の壁65との間のキャビティ74内に、シール、壁または障害物100が設けられている。流入口通路82は、図5Aにおいてベルハウジング50の壁を貫通して真っ直ぐに延在するものとして図示されているが、そのような形にする代わりに、図3Aおよび図5Bに見られる変形例の流入口通路82と同様に、流入口通路82が分岐86されてもよいことは、自明であろう。
【0048】
また、流出口通路98は、図5Aに見られるものとは別の構成によって画定されてもよい。図5Bに示すように、流出口通路98は、ベルハウジング50、キャビティ74、ディフューザー52の円筒形の壁64を介して半径方向に延在し、受け空間80で終端する管または導管102によって画定されてもよい。また、流出口通路98は、上述した流入口通路82の分岐構成と同様の分岐構成で設けられていてもよい。
【0049】
さらにもうひとつの構成では、流出口通路98は、ベルハウジング50とディフューザー52の両方を貫通するポートを介して延在してもよい。図6および図7の実施形態では、流出口通路98は、部分的に、受け空間80から延在する円周方向に離隔した一連のポート104(1つを図示する)によって画定される。このポートは、半径方向にラジアルフランジ66を通った後、ベルハウジング50に画定されたチャネル106とポート104が連通するラジアルフランジ66の上側の表面を軸方向に通る。図7において明らかなように、チャネル106は円周方向に延在し、少なくともある程度はベルハウジング50の周りを通って、出口ポート108からベルハウジング50を出る。これは、流入口通路82およびそれに関連する分岐86に幾分似ている。チャネル106をこのように設けると、単純な機械加工を可能にすることで製造が容易になり、特に、ポート104がディフューザー52のラジアルフランジ66に間隔をあけて配置されているときに、流出口通路98を分散的に受け空間80から引き出すことが確実になる。
【0050】
図7から明らかなように、流入口通路82は、図3Bに示す実施形態と同様に構成されており、分岐86を含む。しかしながら、図7に示す流出口通路98に流入口通路82の他の実施形態を採用してもよいことは、自明であろう。
【0051】
さまざまな実施形態において、冷却用の空気の流れ94が、媒体供給源84から、ベルハウジング50に画定された流入口通路82を通って運ばれる。上述したように、空気の流れ94は、流入口通路82から、ベルハウジング50とディフューザー52との間に画定されたキャビティ74に入る。キャビティ74は通常、ディフューザー52を囲んでいるため、空気の流れ94は、実質的に完全にディフューザー52の周囲に分散され、フィニッシュ32を実質的に均一に冷却する。これは、空気の流れ94が(図4および図5Aのように)単一の流入口を通ってキャビティ74に供給されるか、(図1図3B図5B図6図7図9に見られるように分岐した複数の流入口を通って供給されるかとは関係なく、起こる。しかしながら、後者の場合のほうが、より均一である。空気の流れ94は、キャビティ74から、空気の流れ94をフィニッシュ32で垂直方向または斜めに方向づける、ディフューザー52の円筒形の壁64に画定されたポート76,78を通る。ディフューザー52のラジアルフランジ66とプリフォーム20の支持リング92との間に隙間96のある実施形態を提供するのであれば、必要な冷却量とするために、隙間96を介して空気の流れ94を連続的に排出してもよい。
【0052】
プリフォーム20のフィニッシュ32に加わる内部の圧力および力に抗することが望ましいのであれば、流出口通路98を含む実施形態のうちの1つを利用して、冷却および/または逆圧の両方を提供してもよい。図4から図7に見られるこれらの実施形態では、流出口通路98は、単一のユニットに統合されていてもよい、バルブ110および可変絞り112と連結される。バルブ110および可変絞り112は、最初にフィニッシュ32の周りの自由な空気の流れ94が冷却を実現できるように、適当なコントローラー(図示せず)によって制御可能である。射出ノズル14がフィニッシュ32の端面88と係合し、ブロー媒体の射出が開始されたら、バルブ110および可変絞り112を使用して、流出口通路98を通る空気の流れ94を部分的に制限および制御することで、フィニッシュ32の外側の周りに所望の逆圧を発生させてもよい。この逆圧を発生させている間に、空気の流れ94が完全に停止するかもしれないことも有り得る。しかしながら、空気の流れ94が停止したら、フィニッシュ32の冷却も止まることになる。可変絞り112が完全に閉じないと、空気の流れ94も完全には遮断されることがなく、限られた量の循環が許されることから、逆圧と冷却の両方を制御した状態で、フィニッシュ32に逆圧を印可し、これを冷却することができる。好ましくは、逆圧が、圧力の大きさとその時間の両方の点で流体圧ブロー成形プロセスのピーク圧および保持圧と対応してこれらの圧力に合うように、可変絞り112によって逆圧の印可を制御する。プリフォーム20内の射出圧力は短時間で生じるため、実際のピーク圧に達する前にプリフォーム20の形成および膨張の最初から逆圧を大きくしはじめるようにして、その後、この逆圧をピーク圧および保持圧に合わせてもよい。
【0053】
ここで図9を参照すると、図1および図2で見られるものと実質的に同じ構成で、射出ヘッド11の実施形態が示されている。図9の実施形態は、ベルハウジング50が、軸方向に延在して出口オリフィス42の一部を画定しているカラー114を含む点で、前述の実施形態のものとは異なる。射出ノズル14がプリフォーム20と係合すると、カラー114は、フィニッシュ32にすぐ隣接するプリフォーム20の内側44まで延在する。このようにして、カラー114は、フィニッシュ32を内側から支持し、フィニッシュ32が射出されたブロー媒体の温度に暴露されるのを制限する。カラー114は、本明細書にて述べるどの実施形態に取り入れられてもよいことは、自明であろう。
【0054】
上記にて提示した説明から明らかなように、もうひとつの態様において、本発明は、プリフォーム20のフィニッシュ32を、フィニッシュ32の外側の周りと上にある空気の流れ94で冷却しながらプリフォーム20から容器を形成する方法を提供する。本発明の原理を例示する方法を示すフローチャートを、図10に概略的に示す。
【0055】
ここで図10を参照すると、この方法は、ブロック120で、まずプリフォーム20を準備することから開始される。上記にて概説したように、プリフォーム20は、閉じた端と開放端とを有し、この開放端にフィニッシュ32が画定された本体30を含む。容器用に金型26に挿入される前に、ブロック124に示されるように、プリフォーム20が最初、容器の成形に適した温度で準備されるわけではない場合には、成形に適した温度まで、プリフォーム20を熱的に処理/加熱してもよい。これは、ブロック122に示されている。
【0056】
金型26内にプリフォーム20を適切に配置し、その本体30を金型26のキャビティ28内に吊した状態で、ブロック126に示されるように、射出ノズル14を下げる。射出ノズル14が下がる際(ブロック128)、任意に、供給源84から冷却媒体の流れ94を供給し、受け空間80,180の中に送るとともに、フィニッシュ32で方向づける。ポート76,78の向きに応じて、フィニッシュ32が受け空間80,180に入るときに、冷却媒体が軸Aに対して斜めおよび/または垂直に流れて受け空間80に入り、プリフォーム20に沿うように、冷却媒体を方向づけてもよい。冷却媒体を斜め方向に供給することで、フィニッシュ32が完全に受け空間80,180に入ってしまう前に、冷却媒体がフィニッシュ32に当たって冷却を開始できる。
【0057】
次に、ブロック130に示されるように、ノズル本体48,148あるいは、具体的にはベルハウジング50,150がプリフォーム20と係合するまで、射出ノズル14が下がり続ける。射出ノズル14を下げることで、ノズル14とプリフォーム20との間に、少なくとも1つの密着係合が作られる。密着係合は、少なくとも端面88とノズル本体48,148との間には形成される。あるいは、端面88から軸方向に離隔した位置で、たとえば支持リング92などのフィニッシュの別の部分または金型26の一部との間に、第2の密着係合が形成されてもよい。
【0058】
まだ冷却媒体が当てられていないのであれば、ブロック132に示されるように、この目的で設けられたポート76,78を介して、ここで冷却媒体をフィニッシュに当てる。ブロック128のように、冷却媒体がすでに当てられているのであれば、射出ノズル14とプリフォーム20との係合後もフィニッシュ32に冷却媒体を当てつづける。さまざまな図面から明らかなように、冷却媒体は、ノズル本体48,148とプリフォーム20との間の隙間96を通って排出されてもよいし、ノズル本体489,148と金型26との間の隙間96を通って排出されてもよい。あるいは、冷却媒体は、ノズル本体48,148に画定された流出口通路98を通って排出されてもよい。いずれの場合も、冷却媒体は、連続的に供給されてもよいし、間欠的に供給されてもよい。
【0059】
フィニッシュ32に冷却媒体を当てはじめるのと同時(ブロック135)またはその後(ブロック132に従って冷却が生じるとき)のいずれかで、ブロー媒体がプリフォーム20に射出される(ブロック134)。ブロー媒体の射出によって、プリフォーム20の半径方向の膨張と容器の形成が引き起こされる。成形されたら、ブロック138で、得られた容器を金型26から取り出す。
【0060】
任意に、この方法は、フィニッシュの外側への逆圧の印可を含んでもよい。これは、ブロック136で示されている。逆圧を与えるにあたり、冷却媒体の排出を自由に発生させるのではなく、これを制御する。排出の制御は、所望の逆圧を達成するように行われ、さまざまな技術で行うことができる。たとえば、冷却媒体の排出を制御するためのひとつの技術は、冷却媒体用の1本以上の流入口通路/ポート82,76,78に対する排出用の隙間96または1本以上の流出口通路98の総面積を制限することである。排出用の隙間96または1本以上の流出口通路98の累積面積が、1本以上の流入口通路/ポート82,76,78の累積面積より小さい場合、プリフォーム20のフィニッシュ32の周りに逆圧が生じることになる。これらの累積面積間の差を、ブロー媒体を供給する際の圧力とともに制御することで、フィニッシュに印可される逆圧を制御することが可能である。あるいは、同じ効果を達成するために、流出口通路は、冷却媒体の排出を制御するのに用いられるバルブ110および/または可変絞り112を含んでもよい。もうひとつの例では、冷却媒体は、どのような手段でも排出されない。この後者の技術では、フィニッシュ32に印可される逆圧は、冷却媒体が供給されるときの圧力である。
【0061】
上述の説明は、射出ノズル14がマニホールド形のノズル本体48を採用したシステム10に、本方法を取り入れることを詳細に説明したものである。しかしながら、この方法は、ノズル本体48がマニホールド形ではないシステム100で用いることもできる。そのようなシステムを、図11および図12に示す。これらの図面中、前述の実施形態と共通の要素には同様の参照符合を付し、これらの要素は、上述したものと同じように動作/機能する。したがって、これらの共通の要素については、図11および図12ではそれ以上説明しない。代わりに、図11および図12の異なる特徴についてのみ、ここで説明する。
【0062】
図11および図12に示されるように、射出ノズル14の端は、流体圧ブロー成形プロセスの際に、フィニッシュ32を冷却できるように構成されている。前述の実施形態同様に、冷却装置またはノズル本体148は、射出ノズル14と一体の部分として設けられている。前述の実施形態とは異なり、ノズル本体148は、マニホールドとしては設けられていないが、ベルハウジング150およびエンドプレート152は含む。
【0063】
図示のように、ベルハウジング150は、ベルハウジング150の外側のネジ54と射出ノズル14の内側のネジ56との係合によって、射出ノズル14の下側の端に固定されている。ネジの付いたファスナーなどの他の固定手段を、この目的で代わりに用いてもよかろう。前述の実施形態で説明したものと同様に、ベルハウジング150は、シーリングベル58を、射出ノズル14と一体の部品としてこれに固定するのに用いられる。
【0064】
上側凹部60と対向する、ベルハウジング150の下側の端において、ベルハウジング150は、底壁170および底壁170から延在して軸Aと同軸の円筒形の壁172によって形成された下側凹部164を含む。底壁170および円筒形の壁172は、一緒になって、プリフォームが入る受け空間180を画定するよう協働する。
【0065】
円筒形の壁172に形成されているのは、それぞれ軸Aに対して半径方向および斜めに方向づけられた、ポート176,178である。ポート176,178は、図8に見られるのと同じ前述の実施形態と同様に、円筒形の壁172の周りに2行以上で配置され、さらに、1つの行のポートが他の行のポートと半径方向に整列されるか半径方向に互いにずれるように配置されていてもよい。
【0066】
ベルハウジング150は、さらに、冷却媒体84の加圧供給源に連結された流入口通路182を含む。上述したように、媒体は、好ましくは空気または別の気体状流体である。流入口通路182は、さまざまな構成で設けることができる。図示の変形例では、流入口通路182は、ベルハウジング150の壁を通って真っ直ぐに延在し、分岐して、円筒形の壁172の周りに延在する円周方向の通路184と受け空間180に入る。上述したポート176,178は、円筒形の壁172を通って延在し、受け空間180を円周方向のキャビティ186と連通する。円周方向の通路184に入る空気は、ポート76,78を通ってこれによって方向づけられ、受け空間80に入り、上述したように、その中に位置するプリフォーム20のフィニッシュ32で方向づけられる。
【0067】
製造目的で、円周方向の通路184は、少なくとも一部分が、ベルハウジング150に形成された円周方向の開溝で形成されてもよい。この溝は、ベルハウジング150の端面68の端を通って開放されている。円周方向の通路186を形成して溝を閉じるために、上述したエンドプレート152が端面68と同一空間に広がり、溝の上でベルハウジング150に取り付けられてもよい。
【0068】
当業者であれば容易に理解できるように、上記の説明は本発明の原理の実施を例示するためのものである。この説明は、以下の特許請求の範囲に規定された本発明の主旨を逸脱することなく、本発明に改変や変更、修正をほどこすことができるという点で、本発明の範囲または用途を限定することを意図したものではない。
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5A
図5B
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12