(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0008】
[本開示が解決しようとする課題]
上記従来のプリント配線板は、回路表面と回路間に露出するベースフィルム表面とのコントラストが十分に得られ難い。そして、このように回路表面とベースフィルム表面とのコントラストが不十分であると、自動光学検査装置によって回路を正確に認識し難くなり、その結果回路欠陥の誤検査率が高くなる。
【0009】
本発明は、このような事情に基づいてなされたものであり、回路欠陥の誤検査率を低減することができるプリント配線板及び回路欠陥の発生率を低減することができる電子部品を提供することを目的とする。
【0010】
[本開示の効果]
本発明の一態様に係るプリント配線板は、回路欠陥の誤検査率を低減することができる。また、本発明の電子部品は、回路欠陥の発生率を低減することができる。
【0011】
[本発明の実施形態の説明]
最初に本発明の実施態様を列記して説明する。
【0012】
本発明の一態様に係るプリント配線板は、絶縁性を有するベースフィルムと、このベースフィルムの少なくとも一方の面に積層される導電パターンとを備えるプリント配線板であって、上記導電パターンがベースフィルムに固着する銅粒子結合層を含み、上記ベースフィルムの導電パターン非積層領域の明度L
*が60以下である。
【0013】
当該プリント配線板は、ベースフィルムの導電パターン非積層領域の明度L
*が上記上限以下であるので、導電パターンの一方の面の明度L
*とベースフィルムの導電パターン非積層領域の明度L
*との差を大きくし易い。そのため、当該プリント配線板は、導電パターンの一方の面とベースフィルムの導電パターン非積層領域とのコントラストを十分に確保することで、回路欠陥検査装置から照射される光によって回路欠陥を高精度で検出し易い。従って、当該プリント配線板は、回路欠陥の誤検査率を低減することができる。
【0014】
上記ベースフィルムが一方の面側に改質層を有するとよい。このように、ベースフィルムが一方の面側に改質層を有することで、この改質層によってベースフィルムの導電パターン非積層領域の明度L
*を上記範囲に容易かつ確実に調整することができる。また、この改質層によってベースフィルムの導電パターン非積層領域の明度L
*を上記範囲に調整することで、この改質層以外の領域ではベースフィルムを形成する成分の材料特性を維持し易い。その結果、ベースフィルムの品質の劣化を抑制することができる。
【0015】
上記ベースフィルムが実質的に顔料を含有しないことが好ましい。このように、上記ベースフィルムが実質的に顔料を含有しないことによって、ベースフィルムの材料特性をより確実に維持しつつ、回路欠陥の誤検査率を低減することができる。
【0016】
上記ベースフィルムの主成分がポリイミドであるとよい。このように、ベースフィルムの主成分がポリイミドであることによって、ベースフィルムの品質の劣化を抑制しつつ、このベースフィルムの導電パターン非積層領域の明度L
*を上記範囲内に調整し易い。
【0017】
上記ベースフィルムの導電パターン非積層領域の色度b
*としては、60以下が好ましい。このように、ベースフィルムの導電パターン非積層領域の色度b
*が上記範囲内であることによって、回路欠陥の誤検査率をさらに低減することができる。
【0018】
上記導電パターンの一方の面の明度L
*と、ベースフィルムの導電パターン非積層領域の明度L
*との差の絶対値としては、10以上が好ましい。このように、上記導電パターンの一方の面の明度L
*と、ベースフィルムの導電パターン非積層領域の明度L
*との差の絶対値が上記下限以上であることによって、ベースフィルムの導電パターン非積層領域と導電パターンの一方の面とのコントラストを促進し、回路欠陥の誤検査率をさらに低減することができる。
【0019】
本発明の一態様に係る電子部品は、当該プリント配線板と、このプリント配線板に実装される素子とを備える。
【0020】
当該電子部品は、回路欠陥の誤検査率を低減可能な当該プリント配線板を備えるので、回路欠陥の発生率を低減することができる。
【0021】
なお、本発明において、「明度」及び「色度」とは、L
*a
*b
*で規定される明度及び色度を意味し、JIS−Z8781−4(2013)に準拠した値をいう。「銅粒子結合層」とは、複数の銅粒子が固着して結合する構造を含む層をいう。「実質的に顔料を含有しない」とは、不可避的に含まれる場合を除いて積極的に顔料が添加されていないことをいい、例えば顔料の含有量が1質量%以下であることをいい、好ましくは0.1質量%以下、より好ましくは0.01質量%以下であることをいう。「主成分」とは、最も含有量の多い成分をいい、例えば含有量が50質量%以上の成分をいい、好ましくは80質量%以上の成分をいう。
【0022】
[本発明の実施形態の詳細]
以下、適宜図面を参照しつつ、本発明の実施形態に係るプリント配線板について説明する。
【0023】
[第一実施形態]
<プリント配線板>
図1のプリント配線板1は、ベースフィルム2と、ベースフィルム2の一方の面に積層される導電パターン3とを備える。
図1のプリント配線板1は、可撓性を有するフレキシブルプリント配線板である。
【0024】
(ベースフィルム)
ベースフィルム2は、絶縁性及び可撓性を有する。ベースフィルム2は、合成樹脂を主成分とする単一の樹脂フィルムである。ベースフィルム2の主成分としては、例えばポリイミド、ポリエチレンテレフタレート、フッ素樹脂、液晶ポリマー等の合成樹脂が挙げられる。中でも、絶縁性、柔軟性、耐熱性等に優れるポリイミドが好ましい。また、ポリイミドは耐熱性が高いことから、後述するようにベースフィルム2の一方の面側を改質した場合でも、ベースフィルム2の熱変形等の品質の劣化を防止することができる。
【0025】
ベースフィルム2の平均厚みの下限としては、5μmが好ましく、12μmがより好ましく、25μmがさらに好ましい。一方、ベースフィルム2の平均厚みの上限としては、2mmが好ましく、1.6mmがより好ましく、500μmがさらに好ましく、200μmが特に好ましい。ベースフィルム2の平均厚みが上記下限に満たないと、絶縁性及び機械的強度が不十分となるおそれがある。逆に、ベースフィルム2の平均厚みが上記上限を超えると、薄膜化の要請に反するおそれがある。これに対し、ベースフィルム2の平均厚みが上記範囲内であることで、ベースフィルム2の絶縁性及び機械的強度の低下を抑えつつ、薄膜化を促進することができる。また、当該プリント配線板1は、ベースフィルム2の平均厚みを上記範囲と薄くしても、表面側の改質によって導電パターン非積層領域X(以下、「非積層領域X」ともいう。)の明度L
*を十分に低くすることができる。なお、「平均厚み」とは、任意の10点での測定値の平均値をいう。
【0026】
ベースフィルム2は、一方の面側に改質層2aを有する。改質層2aは、非積層領域Xの明度L
*及び色度a
*b
*を調整する。改質層2aは、後述する銅粒子結合層3aがベースフィルム2の一方の面に固着される際にベースフィルム2の一方の面側が改質されることで形成される。改質層2aは、ベースフィルム2のその他の領域(非改質層2b)に対して組成が変化している。ベースフィルム2は、改質層2aと、非改質層2bとの2層体として構成されている。当該プリント配線板1は、ベースフィルム2が一方の面側に改質層2aを有するので、この改質層2aによってベースフィルム2の一方の面の明度L
*及び色度a
*b
*を容易かつ確実に調整することができる。また、当該プリント配線板1は、この改質層2aによってベースフィルム2の一方の面の明度L
*及び色度a
*b
*を調整するものであるため、非改質層2bではベースフィルム2を形成する成分の材料特性を維持し易い。その結果、当該プリント配線板1は、ベースフィルム2の品質の劣化を抑制することができる。
【0027】
改質層2aは、平面視におけるベースフィルム2の全領域に形成されている。また、改質層2aは、銅粒子結合層3aの固着面(ベースフィルム2の一方の面)を最表面として一定の厚みを有する。改質層2aの平均厚みの下限としては、5nmが好ましく、10nmがより好ましい。一方、改質層2aの平均厚みの上限としては、100nmが好ましく、50nmがより好ましい。改質層2aの平均厚みが上記下限に満たないと、ベースフィルム2の一方の面の明度L
*及び色度a
*b
*を十分に調整できないおそれがある。逆に、改質層2aの平均厚みが上記上限を超えると、ベースフィルム2の品質を維持する上で重要な非改質層2bの厚みが不要に小さくなるおそれがある。
【0028】
改質層2aは、ベースフィルム2の一方の面に親水化処理を施した上で形成されることが好ましい。つまり、ベースフィルム2の一方の面に親水化処理を施した上でこのベースフィルム2の一方の面に銅粒子結合層3aを固着することが好ましい。上記親水化処理としては、例えばプラズマを照射して固着面を親水化するプラズマ処理や、アルカリ溶液で固着面を親水化するアルカリ処理を採用することができる。ベースフィルム2の一方の面に親水化処理を施すことにより、この一方の面に対するインクの表面張力が小さくなるので、インクを均一に塗布することができる。中でも、上記親水化処理としてはプラズマ処理が好ましい。当該プリント配線板1は、上記親水化処理としてプラズマ処理を施した上で改質層2aを形成することによって、このベースフィルム2の一方の面の明度L
*及び色度a
*b
*をより的確に調整することができる。さらに、当該プリント配線板1は、上記プラズマ処理に加えて、ブラスト処理を行うことも好ましい。中でも、このブラスト処理としては、液中に無機粒子を分散させて行うウェットブラスト処理がより好ましい。
【0029】
ベースフィルム2は、実質的に顔料を含有しないことが好ましい。当該プリント配線板1は、ベースフィルム2が実質的に顔料を含有しないことによって、ベースフィルム2の材料特性をより確実に維持しつつ、回路欠陥の誤検査率を低減することができる。
【0030】
ベースフィルム2の非積層領域Xの明度L
*の上限としては、60であり、55がより好ましく、50がさらに好ましい。ベースフィルム2の非積層領域Xの明度L
*が上記上限を超えると、導電パターン3の一方の面とベースフィルム2の非積層領域Xとのコントラストが十分に得られないおそれがある。なお、ベースフィルム2の非積層領域Xの明度L
*の下限としては、特に限定されず、例えば30とすることができる。
【0031】
ベースフィルム2の非積層領域Xの色度b
*の上限としては、60が好ましく、45がより好ましく、37がさらに好ましい。ベースフィルム2の非積層領域Xの色度b
*が上記上限を超えると、ベースフィルム2の非積層領域Xと導電パターン3の一方の面とのコントラストが十分に得られないおそれがある。なお、ベースフィルム2の非積層領域Xの色度b
*の下限としては、特に限定されず、例えば20とすることができる。
【0032】
ベースフィルム2の非積層領域Xの色度a
*の上限としては、22が好ましく、20がより好ましい。ベースフィルム2の非積層領域Xの色度a
*が上記上限を超えると、ベースフィルム2の非積層領域Xと導電パターン3の一方の面とのコントラストが十分に得られないおそれがある。なお、ベースフィルム2の非積層領域Xの色度a
*の下限としては、特に限定されるものではなく、例えば10とすることができる。
【0033】
ベースフィルム2の非積層領域Xの波長500nmの外部透過率の上限としては、15%が好ましく、12%がより好ましく、10%がさらに好ましい。上記外部透過率が上記上限を超えると、回路欠陥検査装置から照射される光がベースフィルム2を透過し易くなり、検査精度が低下するおそれがある。一方、上記外部透過率は小さい方が好ましいため、この外部透過率の下限としては特に限定されるものではないが、例えば1%とすることができる。なお、上記外部透過率は、ベースフィルム2に改質層2aを形成することで調整可能であり、具体的には銅粒子結合層3aをベースフィルム2の一方の面に積層する際の焼成温度、焼成時間等により調整可能である。なお、「外部透過率」とは、表面反射を考慮した透過率をいい、具体的には入射光強度(I
0)に対する透過光強度(I)の比(I/I
0)を意味する。また、「光強度」とは、単位面積当たりの入射光束をいう。
【0034】
(導電パターン)
導電パターン3は、ベースフィルム2に固着する銅粒子結合層3aを含む。特に本実施形態では、導電パターン3はこの銅粒子結合層3aのみから構成されている。導電パターン3は、ベースフィルム2の一方の面の全面に銅粒子結合層3aを積層した上、この銅粒子結合層3aをパターニングしたものである。銅粒子結合層3aの積層方法としては、後述するように、銅粒子を含むインクをベースフィルム2の一方の面に塗布して焼成する方法が挙げられる。また、この場合、銅粒子結合層3aは、銅粒子焼結層として構成される。導電パターン3のパターニング方法としては、例えばベースフィルム2の一方の面の全面に積層された銅粒子結合層3aにレジストパターン等のマスキングを施してエッチングする方法(サブトラクティブ法)を採用することができる。導電パターン3は、このような銅粒子結合層3aを含むことによって、製造コストを抑えつつ、導通性を向上することができる。また、導電パターン3がこのような銅粒子結合層3aを含むことで、ベースフィルム2の一方の面側に改質層2aを形成することができる。
【0035】
銅粒子結合層3aを構成する銅粒子の平均径の下限としては、1nmが好ましく、10nmがより好ましく、30nmがさらに好ましい。一方、上記銅粒子の平均粒子径の上限としては、500nmが好ましく、300nmがより好ましく、100nmがさらに好ましい。上記銅粒子の平均粒子径が上記下限に満たないと、銅粒子結合層3aを形成する際に用いられるインク中での銅粒子の分散性及び安定性が低下するおそれがある。逆に、上記銅粒子の平均粒子径が上記上限を超えると、銅粒子が沈殿し易くなるおそれがあると共にインクを塗布した際に銅粒子の密度が不均一になるおそれがある。なお、「平均粒子径」とは、分散液中の銅粒子の粒度分布の体積中心径D50で表される平均粒子径を指す。
【0036】
銅粒子結合層3aの平均厚みの下限としては、10nmが好ましく、50nmがより好ましく、100nmがさらに好ましい。一方、銅粒子結合層3aの平均厚みの上限としては、1μmが好ましく、700nmがより好ましく、500nmがさらに好ましい。銅粒子結合層3aの平均厚みが上記下限に満たないと、平面視において銅粒子結合層3aに切れ目が生じ、ベースフィルム2の表面の全領域に亘って改質層2aを形成するのが困難になるおそれがある。逆に、銅粒子結合層3aの平均厚みが上記上限を超えると、セミアディティブ法による配線形成に適用した際、導電パターン3間の銅粒子結合層3aの除去に時間を要し、生産性が低下するおそれがある。
【0037】
ベースフィルム2と銅粒子結合層3aとの間の剥離強度の下限としては、1N/cmが好ましく、1.5N/cmがより好ましく、2N/cmがさらに好ましく、5N/cmが特に好ましい。上記剥離強度を上記下限以上とすることで、電気的な接続信頼性の高いプリント配線板を製造できる。一方、上記剥離強度の上限としては、特に限定されないが、例えば20N/cm程度である。上記剥離強度は、例えばベースフィルム2に固着される銅粒子の量、後述するインク中の銅粒子のサイズ、後述する塗膜を焼成する際の焼成温度及び焼成時間等により制御できる。
【0038】
導電パターン3の一方の面の明度L
*の下限としては、40が好ましく、50がより好ましい。導電パターン3の一方の面の明度L
*が上記下限に満たないと、ベースフィルム2の非積層領域Xと導電パターン3の一方の面とのコントラストが十分に得られないおそれがある。なお、導電パターン3の一方の面の明度L
*の上限としては、特に限定されず、例えば90とすることができる。
【0039】
導電パターン3の一方の面の明度L
*と、ベースフィルム2の非積層領域Xの明度L
*との差の絶対値の下限としては、10が好ましく、15がより好ましく、20がさらに好ましい。上記明度L
*の差の絶対値が上記下限に満たないと、ベースフィルム2の非積層領域Xと導電パターン3の一方の面とのコントラストが十分に得られず、回路欠陥の検査精度を十分に向上できないおそれがある。なお、上記明度L
*の差の絶対値の上限としては、特に限定されるものではなく、例えば40とすることができる。
【0040】
<利点>
当該プリント配線板1は、ベースフィルム2の導電パターン非積層領域の明度L
*が上記上限以下であるので、導電パターン3の一方の面の明度L
*とベースフィルム2の導電パターン非積層領域の明度L
*との差を大きくし易い。そのため、当該プリント配線板1は、導電パターン3の一方の面とベースフィルム2の導電パターン非積層領域とのコントラストを十分に確保することで、回路欠陥検査装置から照射される光によって回路欠陥を高精度で検出し易い。従って、当該プリント配線板1は、回路欠陥の誤検査率を低減することができる。
【0041】
[第二実施形態]
<プリント配線板>
図2のプリント配線板11は、可撓性を有するフレキシブルプリント配線板である。
図2のプリント配線板11は、ベースフィルム2と、ベースフィルム2の一方の面に積層される導電パターン12とを備える。
図2のプリント配線板11は、導電パターン12が
図1のプリント配線板1の銅粒子結合層3aの外面に金属めっき層12aが形成された構成とされる以外、
図1のプリント配線板1と同様である。また、導電パターン12のパターニング方法としては、例えば
図1のプリント配線板1と同様、サブトラクティブ法を採用することができる。当該プリント配線板11におけるベースフィルム2及び銅粒子結合層3aは、
図1のプリント配線板1と同様のため、同一符号を付して説明を省略する。
【0042】
(金属めっき層)
金属めっき層12aは、めっき金属が銅粒子結合層3aの空隙に充填され、かつ銅粒子結合層3aの一方の面に積層されることで形成されている。また、このめっき金属は、銅粒子結合層3aの全ての空隙に充填されている。当該プリント配線板11は、銅粒子結合層3aの空隙にめっき金属が充填されることで、銅粒子結合層3aの空隙部分が破壊起点となって導電パターン12がベースフィルム2から剥離するのを抑制することができる。また、当該プリント配線板11は、銅粒子結合層3aの空隙にめっき金属が充填されることで、めっき金属の充填後に熱処理を施すことによってベースフィルム2の改質をさらに促進することができる。
【0043】
金属めっき層12aを形成するためのめっき方法は、特に限定されず、無電解めっきであっても電気めっきであってもよい。銅粒子結合層3aを形成する銅粒子間の空隙をより的確に埋めることで、めっき金属の充填後に熱処理を施すことによってベースフィルム2の改質効果を向上し易い無電解めっきが好ましい。
【0044】
金属めっき層12aを構成する金属としては、導通性のよい銅、ニッケル、銀等を用いることができるが、上記銅粒子との密着力を考慮して、銅又はニッケルを用いることが好ましい。
【0045】
金属めっき層12aの平均厚みの下限としては、50nmが好ましく、100nmがより好ましく、200nmがさらに好ましい。一方、金属めっき層12aの平均厚みの上限としては、2μmが好ましく、1.5μmがより好ましく、1μmがさらに好ましい。金属めっき層12aの平均厚みが上記下限に満たないと、めっき金属が銅粒子結合層3aの空隙に十分に充填されないおそれがある。逆に、金属めっき層12aの平均厚みが上記上限を超えると、例えば無電解めっきによって金属めっき層12aを形成する場合、この無電解めっきに要する時間が長くなり生産性が低下するおそれがある。
【0046】
なお、本実施形態では、金属めっき層12aは、めっき金属が銅粒子結合層3aの空隙に充填され、かつ銅粒子結合層3aの一方の面に積層されることで形成されている。しかしながら、金属めっき層12aは、めっき金属が銅粒子結合層3aの空隙に充填される限り、必ずしも銅粒子結合層3aの一方の面にまで積層される必要はない。
【0047】
<利点>
当該プリント配線板11は、銅粒子結合層3aの外面に金属めっき層12aを有するので、めっき金属の充填後に熱処理を施すことによってベースフィルム2の改質を促進してベースフィルム2の明度L
*及び色度a
*b
*を調整し易い。
【0048】
[第三実施形態]
<プリント配線板>
図3のプリント配線板21は、可撓性を有するフレキシブルプリント配線板である。
図3のプリント配線板21は、ベースフィルム2と、ベースフィルム2の一方の面に積層される導電パターン23とを備える。
図3のプリント配線板21は、導電パターン23が
図1のプリント配線板1の銅粒子結合層3aの外面に金属めっき層が形成された構成とされる以外、
図1のプリント配線板1と同様である。また、導電パターン23のパターニング方法としては、例えば
図1のプリント配線板1と同様、サブトラクティブ法を採用することができる。当該プリント配線板21におけるベースフィルム2及び銅粒子結合層3aは、
図1のプリント配線板1と同様のため、同一符号を付して説明を省略する。
【0049】
(金属めっき層)
金属めっき層は、第1めっき層12aと、第2めっき層22aとを有する。第1めっき層12aは、
図2の金属めっき層12aと同様の構成とされる。
【0050】
(第2めっき層)
第2めっき層22aは、第1めっき層12aの一方の面に積層される。第2めっき層22aを形成するためのめっき方法は、特に限定されず、無電解めっきであっても電気めっきであってもよいが、厚みの調整を容易かつ正確に行うことができると共に、比較的短時間で第2めっき層22aを形成することができる電気めっきが好ましい。
【0051】
第2めっき層22aを構成する金属としては、例えば導通性のよい銅、ニッケル、銀等が挙げられる。
【0052】
第2めっき層22aの平均厚みは、どのようなプリント回路を作製するかによって設定されるもので特に限定されるものではないが、例えば1μm以上100μm以下とすることができる。
【0053】
<利点>
当該プリント配線板21は、金属めっき層が第1めっき層12a及び第2めっき層22aを有するので、導電パターン23の厚みを容易かつ確実に調整することができる。
【0054】
<プリント配線板の製造方法>
次に、
図4A〜4Dを参照しつつ、当該プリント配線板1,11,21の製造方法を説明する。
【0055】
まず、
図4A及び
図4Bを参照して、当該プリント配線板1の製造方法を説明する。当該プリント配線板1の製造方法は、ベースフィルム2の一方の面に銅粒子41を含むインクの塗布により塗膜42を形成する工程と、塗膜42の焼成により銅粒子結合層3a(銅粒子焼結層)を形成する工程と、銅粒子結合層3aをパターニングする工程とを備える。
【0056】
(塗膜形成工程)
上記塗膜形成工程では、
図4Aに示すように、ベースフィルム2の一方の面に銅粒子41を含むインクを塗布し、例えば乾燥することにより塗膜42を形成する。なお、塗膜42には、上記インクの分散媒等が含まれていてもよい。
【0057】
(銅粒子)
上記インクに分散させる銅粒子41は、高温処理法、液相還元法、気相法等で製造することができる。中でも、液相還元法によれば、製造コストをより低減できる上、水溶液中での攪拌等により、容易に銅粒子41の粒子径を均一にすることができる。
【0058】
液相還元法によって銅粒子41を製造するためには、例えば水に銅粒子41を形成する銅イオンのもとになる水溶性の銅化合物と分散剤とを溶解させると共に、還元剤を加えて一定時間銅イオンを還元反応させればよい。液相還元法で製造される銅粒子41は、形状が球状又は粒状で揃っており、しかも微細な粒子とすることができる。上記銅イオンのもとになる水溶性の銅化合物としては、硝酸銅(II)(Cu(NO
3)
2)、硫酸銅(II)五水和物(CuSO
4・5H
2O)等が挙げられる。
【0059】
上記還元剤としては、液相(水溶液)の反応系において、銅イオンを還元及び析出させることができる種々の還元剤を用いることができる。この還元剤としては、例えば水素化ホウ素ナトリウム、次亜リン酸ナトリウム、ヒドラジン、3価のチタンイオンや2価のコバルトイオン等の遷移金属のイオン、アスコルビン酸、グルコースやフルクトース等の還元性糖類、エチレングリコールやグリセリン等の多価アルコールなどが挙げられる。中でも、還元剤としては3価のチタンイオンが好ましい。なお、3価のチタンイオンを還元剤とする液相還元法は、チタンレドックス法という。チタンレドックス法では、3価のチタンイオンが4価に酸化される際の酸化還元作用によって銅イオンを還元し、銅粒子41を析出させる。チタンレドックス法で得られる銅粒子41は、粒子径が小さくかつ揃っているため、銅粒子41がより高密度に充填され、塗膜42をより緻密な膜に形成することができる。
【0060】
銅粒子41の粒子径を調整するには、銅化合物、分散剤及び還元剤の種類並びに配合割合を調整すると共に、銅化合物を還元反応させる際に、攪拌速度、温度、時間、pH等を調整すればよい。反応系のpHの下限としては7が好ましく、反応系のpHの上限としては13が好ましい。反応系のpHを上記範囲とすることで、微小な粒子径の銅粒子41を得ることができる。このときpH調整剤を用いることで、反応系のpHを上記範囲に容易に調整することができる。このpH調整剤としては、塩酸、硫酸、硝酸、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、アンモニア等の一般的な酸又はアルカリが使用できるが、特に周辺部材の劣化を防止するために、アルカリ金属、アルカリ土類金属、ハロゲン元素、硫黄、リン、ホウ素等の不純物を含まない硝酸及びアンモニアが好ましい。
【0061】
インク中の銅粒子41の含有割合の下限としては、5質量%が好ましく、10質量%がより好ましく、20質量%がさらに好ましい。また、インク中の銅粒子41の含有割合の上限としては、50質量%が好ましく、40質量%がより好ましく、30質量%がさらに好ましい。銅粒子41の含有割合を上記下限以上とすることで、塗膜42をより緻密な膜に形成することができる。一方、銅粒子41の含有割合が上記上限を超えると、塗膜42の膜厚が不均一になるおそれがある。
【0062】
(その他の成分)
上記インクには、銅粒子41以外に分散剤が含まれていてもよい。この分散剤としては、特に限定されず、銅粒子41を良好に分散させることができる種々の分散剤を用いることができる。分散剤の分子量の下限としては、2,000が好ましい。一方、分散剤の分子量の上限としては、30,000が好ましい。分子量が上記範囲の分散剤を用いることで、銅粒子41をインク中に良好に分散させることができ、塗膜42の膜質を緻密でかつ欠陥のないものにすることができる。上記分散剤の分子量が上記下限に満たないと、銅粒子41の凝集を防止して分散を維持する効果が十分に得られないおそれがある。一方、上記分散剤の分子量が上記上限を超えると、分散剤の嵩が大きすぎて、塗膜42の焼成時において、銅粒子41同士の焼結を阻害してボイドを生じさせるおそれがある。また、分散剤の嵩が大きすぎると、塗膜42の緻密さが低下したり、分散剤の分解残渣が導電性を低下させるおそれがある。
【0063】
上記分散剤は、周辺部材の劣化防止の観点より、硫黄、リン、ホウ素、ハロゲン及びアルカリを含まないものが好ましい。好ましい分散剤としては、分子量が上記範囲にあるもので、ポリエチレンイミン、ポリビニルピロリドン等のアミン系の高分子分散剤、ポリアクリル酸、カルボキシメチルセルロース等の分子中にカルボキシ基を有する炭化水素系の高分子分散剤、ポバール(ポリビニルアルコール)、スチレン−マレイン酸共重合体、オレフィン−マレイン酸共重合体、1分子中にポリエチレンイミン部分とポリエチレンオキサイド部分とを有する共重合体等の極性基を有する高分子分散剤などを挙げることができる。
【0064】
上記分散剤は、水又は水溶性有機溶媒に溶解させた溶液の状態でインクに配合することもできる。インクに分散剤を配合する場合、分散剤の含有割合の下限としては、100質量部の銅粒子41に対して1質量部が好ましい。一方、分散剤の含有割合の上限としては、100質量部の銅粒子41に対して60質量部が好ましい。上記分散剤の含有割合が上記下限に満たないと、銅粒子41の凝集防止効果が不十分となるおそれがある。逆に、上記分散剤の含有割合が上記上限を超えると、塗膜42の焼成時に過剰の分散剤が銅粒子41の焼結を阻害してボイドが発生するおそれがあり、また、分散剤の分解残渣が不純物として焼結体中に残存して導電性を低下させるおそれがある。
【0065】
上記インクにおける分散媒としては、例えば水が使用できる。水を分散媒とする場合、水の含有割合の下限としては、100質量部の銅粒子41に対して20質量部が好ましい。一方、水の含有割合の上限としては、100質量部の銅粒子41に対して1,900質量部が好ましい。分散媒である水は、例えば分散剤を十分に膨潤させて分散剤で囲まれた銅粒子41を良好に分散させる役割を果たすが、上記水の含有割合が上記下限に満たないと、この分散剤の膨潤効果が不十分となるおそれがある。逆に、上記水の含有割合が上記上限を超えると、インク中の銅粒子41の含有割合が少なくなり、必要な厚みと密度とを有する良好な焼結体を形成できないおそれがある。
【0066】
上記インクには、粘度調整や蒸気圧調整等のために必要に応じて有機溶媒を配合することができる。このような有機溶媒としては、水溶性である種々の有機溶媒が使用可能である。その具体例としては、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;エチレングリコール、グリセリン等の多価アルコールやその他のエステル類;エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル等のグリコールエーテル類などが挙げられる。
【0067】
インクに有機溶媒を配合する場合、有機溶媒の含有割合の下限としては、100質量部の銅粒子41に対して30質量部が好ましい。一方、有機溶媒の含有割合の上限としては、100質量部の銅粒子41に対して900質量部が好ましい。有機溶媒の含有割合が上記下限に満たないと、インクの粘度調整及び蒸気圧調整の効果が十分に得られないおそれがある。逆に、有機溶媒の含有割合が上記上限を超えると、例えば水による分散剤の膨潤効果が不十分となり、インク中で銅粒子41の凝集が生じるおそれがある。
【0068】
なお、液相還元法で銅粒子41を製造する場合、液相(水溶液)の反応系で析出させた銅粒子41は、ろ別、洗浄、乾燥、解砕等の工程を経て、一旦粉末状としたものを用いてインクを調製することができる。この場合は、粉末状の銅粒子41と、水等の分散媒と、必要に応じて分散剤、有機溶媒等とを所定の割合で配合し、銅粒子41を含むインクとすることができる。このとき、銅粒子41を析出させた液相(水溶液)を出発原料としてインクを調製することが好ましい。具体的には、析出した銅粒子41を含む液相(水溶液)を限外ろ過、遠心分離、水洗、電気透析等の処理に供して不純物を除去し、必要に応じて濃縮して水を除去する。又は、逆に水を加えて銅粒子41の濃度を調整した後、さらに必要に応じて有機溶媒を所定の割合で配合することによって銅粒子41を含むインクを調製する。この方法では、銅粒子41の乾燥時の凝集による粗大で不定形な粒子の発生を防止することができ、緻密で均一な焼結体を形成し易い。
【0069】
銅粒子41を分散させたインクをベースフィルム2の一方の面に塗布する方法としては、スピンコート法、スプレーコート法、バーコート法、ダイコート法、スリットコート法、ロールコート法、ディップコート法等の従来公知の塗布法を用いることができる。また、スクリーン印刷、ディスペンサ等によりベースフィルム2の一方の面の一部のみにインクを塗布するようにしてもよい。インクの塗布後、例えば室温以上の温度で乾燥することにより塗膜42が形成される。乾燥温度の上限としては、100℃が好ましく、40℃がより好ましい。乾燥温度が上記上限を超えると、塗膜42の急激な乾燥により、塗膜42にクラックが発生するおそれがある。
【0070】
(銅粒子結合層形成工程)
上記銅粒子結合層形成工程では、塗膜42の焼成により銅粒子結合層3aを形成する。
【0071】
上記銅粒子結合層形成工程では、
図4Bに示すように、焼成によって銅粒子41同士を焼結すると共に、焼結体をベースフィルム2の一方の面に固着することで銅粒子結合層3aを形成する。なお、インクに含まれ得る分散剤やその他の有機物は、焼成によって揮発又は分解される。また、この焼成によって、ベースフィルム2の表層に銅粒子41に由来する金属酸化物、具体的には主に酸化銅が拡散し、ベースフィルム2の一方の面側に改質層2aが形成されると考えられる。
【0072】
上記焼成は、銅粒子結合層3aとベースフィルム2との界面近傍の銅粒子41の酸化を促進させてベースフィルム2の表層を確実に改質するため、一定量の酸素が含まれる雰囲気下で行うことが好ましい。この場合、焼成雰囲気の酸素濃度の下限としては、1体積ppmが好ましく、10体積ppmがより好ましい。また、上記酸素濃度の上限としては、10,000体積ppmが好ましく、1,000体積ppmがより好ましい。上記酸素濃度が上記下限に満たないと、銅粒子結合層3aとベースフィルム2との界面近傍における酸化銅の生成量が少なくなり、ベースフィルム2の表層を十分に改質できないおそれがある。逆に、上記酸素濃度が上記上限を超えると、銅粒子41の過度の酸化によって銅粒子結合層3aの導電性が低下するおそれがある。
【0073】
焼成温度の下限としては、250℃が好ましく、300℃がより好ましく、330℃がさらに好ましい。一方、焼成温度の上限としては、500℃が好ましく、400℃がより好ましい。焼成温度が上記下限に満たないと、銅粒子結合層3aとベースフィルム2との界面近傍における酸化銅等の生成量が少なくなり、ベースフィルム2の一方の面側を十分に改質できないおそれがある。逆に、焼成温度が上記上限を超えると、ベースフィルム2が変形するおそれがある。但し、上記焼成温度としては、銅粒子41の焼結体がベースフィルム2に固着される温度である限り限定されるものではなく、後述する焼成時間との組合せによって適宜設定可能であり、例えば100℃以下程度とすることもできる。
【0074】
焼成時間の下限としては、80分が好ましく、100分がより好ましい。一方、焼成時間の上限としては、180分が好ましく、150分がより好ましい。焼成時間が上記下限に満たないと、ベースフィルム2の一方の面側を十分に改質できないおそれがある。逆に、焼成温度が上記上限を超えると、ベースフィルム2が変形するおそれがある。なお、上記焼成温度及び焼成時間をいずれも上記範囲とすることが特に好ましい。これにより、ベースフィルム2の変形を防止しつつベースフィルム2の一方の面側を十分に改質し、このベースフィルム2の一方の面の明度L
*及び色度a
*b
*を所望の範囲に調整し易い。
【0075】
(パターニング工程)
上記パターニング工程では、上記銅粒子結合層形成工程で形成された銅粒子結合層3aのパターニングによりベースフィルム2の一方の面に導電パターンを形成する。このパターニング工程によって、
図1のプリント配線板1が得られる。上記パターニング工程におけるパターニングは、公知のエッチング手法によって行うことができる。
【0076】
次に、
図4A及び
図4Cを参照して、当該プリント配線板11の製造方法を説明する。当該プリント配線板11の製造方法は、ベースフィルム2の一方の面に銅粒子41を含むインクの塗布により塗膜42を形成する工程と、塗膜42の焼成により銅粒子結合層3a(銅粒子焼結層)を形成する工程と、銅粒子結合層3aの外面に金属めっき層12aを形成する工程と、銅粒子結合層3a及び金属めっき層12aからなる積層体をパターニングする工程とを備える。
【0077】
当該プリント配線板11の製造方法における塗膜形成工程及び銅粒子結合層形成工程は、上述のプリント配線板1の塗膜形成工程及び銅粒子結合層形成工程と同様である。また、当該プリント配線板11の製造方法のパターニング工程におけるパターニングは、上述のプリント配線板1と同様、公知のエッチング手法によって行うことができる。そのため、以下では、金属めっき層形成工程についてのみ説明する。
【0078】
(金属めっき層形成工程)
上記金属めっき層形成工程では、銅粒子結合層3aの空隙をめっき金属で充填すると共に、このめっき金属を銅粒子結合層3aの一方の面に積層する。
【0079】
金属めっき層12aを形成するためのめっき方法は、特に限定されず、無電解めっきであっても電気めっきであってもよい。銅粒子結合層3aを形成する銅粒子間の空隙をより的確に埋めることで、めっき金属の充填後に熱処理を施すことによってベースフィルム2の改質効果を向上し易い無電解めっきが好ましい。
【0080】
上記無電解めっきを採用する場合の手順は特に限定されず、例えばクリーナ工程、水洗工程、酸処理工程、水洗工程、プレディップ工程、アクチベータ工程、水洗工程、還元工程、水洗工程等の処理と共に、公知の手段で無電解めっきを行えばよい。
【0081】
上記電気めっきを採用する場合についても、手順は特に限定されず、例えば公知の電解めっき浴及びめっき条件から適宜選択すればよい。
【0082】
また、銅粒子結合層3aの空隙をめっき金属で充填した後、さらに熱処理を行うことが好ましい。この熱処理により、銅粒子結合層3aとベースフィルム2との界面近傍における酸化銅がさらに増加するため、ベースフィルム2の一方の面の改質をさらに促進することができる。なお、この熱処理温度及び熱処理時間としては、上述のプリント配線板1の銅粒子結合層形成工程における焼成温度及び焼成時間と同様とすることができる。
【0083】
続いて、
図4A及び
図4Dを参照して、当該プリント配線板21の製造方法を説明する。当該プリント配線板21の製造方法は、ベースフィルム2の一方の面に銅粒子41を含むインクの塗布により塗膜42を形成する工程と、塗膜42の焼成により銅粒子結合層3a(銅粒子焼結層)を形成する工程と、銅粒子結合層3aの外面に金属めっき層を形成する工程と、銅粒子結合層3a及び金属めっき層からなる積層体をパターニングする工程とを備える。
【0084】
当該プリント配線板21の製造方法における塗膜形成工程及び銅粒子結合層形成工程は、上述のプリント配線板1の塗膜形成工程及び銅粒子結合層形成工程と同様である。また、当該プリント配線板21の製造方法のパターニング工程におけるパターニングは、上述のプリント配線板1と同様、公知のエッチング手法によって行うことができる。そのため、以下では、金属めっき層形成工程についてのみ説明する。
【0085】
(金属めっき層形成工程)
上記金属めっき層形成工程では、上記金属めっき層12aと同様の第1めっき層12aを形成する工程と、第1めっき層12aの表面に第2めっき層22aを形成する工程とを有する。第1めっき層形成工程は、上述の金属めっき層12aを形成する工程と同様のため、説明を省略する。
【0086】
第2めっき層22aを形成するためのめっき方法は、特に限定されるものではなく、無電解めっきであっても電気めっきであってもよいが、厚みの調整を容易かつ正確に行うことができると共に、比較的短時間で第2めっき層22aを形成することができる電気めっきが好ましい。
【0087】
上記無電解めっきを採用する場合の手順は特に限定されず、上述の金属めっき層12aを形成する場合と同様の手順で行うことができる。また、上記電気めっきを採用する場合についても、手順は特に限定されず、上述の金属めっき層12aを形成する場合と同様の手順で行うことができる。
【0088】
<利点>
当該プリント配線板の製造方法は、当該プリント配線板を容易かつ確実に製造することができる。また、当該プリント配線板の製造方法は、金属めっき層形成工程においてめっき金属の充填後に熱処理を施すことによって、ベースフィルム2の一方の面側の改質を促進してベースフィルム2の一方の面の明度L
*及び色度a
*b
*をより確実に調整することができる。
【0089】
[その他の実施形態]
今回開示された実施の形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記実施形態の構成に限定されるものではなく、請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【0090】
例えば、当該プリント配線板は、必ずしも可撓性を有しなくてもよい。また、当該プリント配線板は、ベースフィルムの一方の面のみに銅粒子結合層を含む導電パターンを有する必要はなく、この導電パターンをベースフィルムの両面に有していてもよい。また、当該プリント配線板は、ベースフィルムの両面に上記導電パターンを有する場合、この両方の銅粒子結合層の外面に金属めっき層を有していてもよい。当該プリント配線板は、ベースフィルムの両面に上記導電パターンを有する場合、ベースフィルムの両面側を改質することができ、両面の明度L
*及び色度a
*b
*を容易に調整することができる。これにより、回路欠陥の誤検出率の抑制効果を促進することができる。
【0091】
上記ベースフィルムは、必ずしも一方の面側に改質層を有しなくてもよい。当該プリント配線板は、例えば上記ベースフィルムが複数の樹脂フィルムの積層体として構成され、最表面に積層されるフィルムによって明度L
*を上記範囲に調整してもよい。
【0092】
当該プリント配線板は、必ずしもサブトラクティブ法によって形成される必要はなく、セミアディティブ法によって形成してもよい。
【0093】
また、本発明は当該プリント配線板を用いた電子部品も対象とする。具体的には、本発明においては、例えば上記実施形態のような当該プリント配線板と、半導体デバイスやチップ抵抗器等の素子が電気的に接続される電子部品も意図する範囲内である。当該電子部品は、回路欠陥の誤検査率を低減可能な当該プリント配線板を備えるので、回路欠陥の発生率を低減することができる。
【実施例】
【0094】
以下、実施例によって本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0095】
[No.1〜No.3]
液相還元法によって得られた平均粒子径60nmの銅粒子を溶媒の水に分散させ、銅濃度が26質量%のインクを調製した。次に、ベースフィルムとして平均厚み25μmのポリイミドフィルムを用い、このポリイミドフィルムの一方の面にウェットブラスト処理及びプラズマ処理をこの順で施した(以下、このウェットブラスト処理及びプラズマ処理をまとめて「表面処理」ともいう。)。さらに、上記インクをポリイミドフィルムの一方の面に塗布し、大気中で乾燥して塗膜を形成した。そして、酸素濃度が100体積ppmの窒素雰囲気中で120分間、350℃で上記塗膜を焼成し、ポリイミドフィルムに固着された銅粒子結合層(平均厚み150nm)を備えたNo.1〜No.3のプリント配線板用基材を得た。
【0096】
続いて、No.1〜No.3のプリント配線板用基材の銅粒子結合層の一方の面に銅の無電解めっきを行い平均厚み1μmの第1めっき層を形成した。さらに銅の電気めっきを行い平均厚み25μmの第2めっき層を形成した。この第1めっき層及び第2めっき層が形成されたプリント配線板用基材を、酸素濃度が100体積ppmの窒素雰囲気中で120分間、350℃で熱処理した上、サブトラクティブ法を用いてNo.1〜Mo.3のプリント配線板を製造した。なお、上記サブトラクティブ法におけるエッチング液としては、苛性ソーダ水溶液を用いた。また、No.1〜No.3のベースフィルムの厚み方向の断面を走査型電子顕微鏡(SEM)によって観察したところ、銅粒子結合層が固着した面から10nmまでの領域にベースフィルムの他の領域とは異なる組成の絶縁層が形成されており、このことからこの組成が異なった領域が改質されている(つまり、改質層である)と考えられる。
【0097】
[No.4]
ベースフィルムとして平均厚み25μmのポリイミドフィルムを用い、このポリイミドフィルムの一方の面にNo.1〜No.3と同様の表面処理を施した。さらに、ポリイミドフィルムの一方の面に接着剤を用いて圧延銅箔(平均厚み12μm)を積層し、No.4のプリント配線板用基材を得た。また、このプリント配線板用基材を、酸素濃度が100体積ppmの窒素雰囲気中で120分間、350℃で熱処理した。その後、サブトラクティブ法を用いてNo.4のプリント配線板を製造した。なお、上記サブトラクティブ法におけるエッチング液としては、苛性ソーダ水溶液を用いた。なお、No.4のプリント配線板では銅粒子結合層が存在せず、上述のような改質層は観察されない。
【0098】
[プリント配線板用基材の品質]
<明度及び色度>
上記No.1〜No.4のプリント配線板用基材について、表面処理前におけるベースフィルムの一方の面の明度L
*及び色度a
*b
*を測定した。この明度L
*及び色度a
*b
*は、色差計(コニカミノルタ株式会社製の「CR−400」)を用い、JIS−Z8781−4(2013)に準拠して測定した。この明度L
*及び色度a
*b
*の測定結果を表1に示す。
【0099】
<外部透過率>
上記No.1〜No.4のプリント配線板用基材について、表面処理前におけるベースフィルムの波長500nmの外部透過率を測定した。この外部透過率は、朝日分光株式会社製の「TLV−304−BP」を用いて測定した。この外部透過率の測定結果を表1に示す。
【0100】
【表1】
【0101】
[プリント配線板の品質及び評価]
<明度及び色度>
No.1〜No.4のプリント配線板について、導電パターンの一方の面の明度L
*を上記と同様の測定方法によって測定した。また、No.1〜No.4のプリント配線板について、ベースフィルムの導電パターン非積層領域の明度L
*及び色度a
*b
*を上記と同様の測定方法によって測定した。この測定結果を表2に示す。
【0102】
<外部透過率>
No.1〜No.4のプリント配線板について、ベースフィルムの導電パターン非積層領域の波長500nmの外部透過率を上記と同様の測定装置を用いて測定した。この測定結果を表2に示す。
【0103】
<明度差>
No.1〜No.4のプリント配線板について、導電パターンの一方の面の明度L
*から、ベースフィルムの導電パターン非積層領域の明度L
*を引いた差の絶対値(明度L
*差)を算出した。この算出結果を表2に示す。
【0104】
<回路欠陥の誤検出率>
No.1〜No.4のプリント配線板をそれぞれ複数用意し、これら複数のプリント配線板について自動光学検査装置(AOI:Automated Optical Inspection system)を用いて回路欠陥を検出した。次に、AOIで回路欠陥が検出されたNo.1〜No.4それぞれ100個のプリント配線板について、正確な回路欠陥の有無を光学顕微鏡を用いて目視にて検査した。上記光学顕微鏡を用いて回路欠陥が検出されたプリント配線板の数をAとし、No.1〜No.4のプリント配線板のそれぞれの回路欠陥の誤検出率を(100−A)/100×100[%]によって算出した。この算出結果を表2に示す。
【0105】
【表2】
【0106】
[評価結果]
表1,2に示すように、No.1〜No.3のプリント配線板は、導電パターン非積層領域の明度L
*が44.1〜46.6で、いずれも60以下となっていることが分かる。またこれは、導電パターン非積層領域の明度L
*が、プリント配線板用基材における表面処理前のベースフィルムの明度L
*よりも23以上も低くなっていることに基づいていることが分かる。一方、No.4のプリント配線板では、導電パターン非積層領域の明度L
*が62.0で、60より大きくなっている。さらに、表2に示すように、No.1〜No.3のプリント配線板では、導電パターンの一方の面の明度L
*と、ベースフィルムの導電パターン非積層領域の明度L
*との差が25.3〜27.3で、10以上となっていることが分かる。これに対して、No.4のプリント配線板は、上記の明度L
*差は9.1と低い。そのため、No.1〜No.3のプリント配線板は、ベースフィルムの導電パターン非積層領域と導電パターンの一方の面とのコントラストが十分に得られており、その結果、No.4のプリント配線板に比べて回路欠陥の検査精度が向上していることが分かる。