(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
[第1実施形態]
図1(a)は、第1実施形態に係る撮像モジュール100に用いられるフレキシブル配線基板10および固体撮像素子4を示す平面図である。
図1(b)は、フレキシブル配線基板10および固体撮像素子4を示す側面図である。
図1(a)および
図1(b)には、屈曲されていない状態のフレキシブル配線基板10を示す。
図2は、撮像モジュール100、および内視鏡101の先端構造を示す斜視図である。
図3は、撮像モジュール100、および内視鏡101の先端構造を示す断面図である。
図4は、内視鏡101に用いられる外枠部材21を示す斜視図である。
【0014】
図3に示すように、素子実装部11におけるフレキシブル配線基板10の長さ方向をLという。
図3において上側、すなわち素子実装部11に対して固体撮像素子4側を前側といい、その反対方向(
図3において下側)を後側という。
【0015】
撮像モジュール100は、電気ケーブル1と、固体撮像素子4と、フレキシブル配線基板10(FPC)と、レンズユニット20とを備えている。
図1(b)に示すように、固体撮像素子4は、撮像部3を有する。撮像部3は、固体撮像素子4に形成された電気回路を介して、フレキシブル配線基板10の配線と電気的に接続される。固体撮像素子4としては、例えば、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor:相補型金属酸化膜半導体)、CCD(Charge Coupled Device:電荷結合デバイス)などを好適に用いることができる。
図1(b)および
図3において、固体撮像素子4の上面は受光面4aである。固体撮像素子4の下面は底面4bである。
【0016】
レンズユニット20は、固体撮像素子4に取り付けられている。レンズユニット20は、例えば、鏡筒20Aと、鏡筒20A内に組み込まれた対物レンズ(図示略)とを備える。レンズユニット20は、対物レンズを通して導かれた光を、固体撮像素子4の撮像部3に結像させる。
レンズユニット20は、先端面20a(前面)と、側面20cと、底面20b(後面)とを有する円柱状に形成されている。先端面20aおよび底面20bは円形状である。側面20cは、先端面20aの周縁から垂下し、底面20bの周縁に達する。円柱状のレンズユニット20の中心軸に沿う方向の寸法をレンズユニット20の高さH1という。レンズユニット20の底面20bは、素子実装部11の実装面11aに対面する(
図3参照)。底面20bは、固体撮像素子4の底面4bと同一の面内にある。
【0017】
図1(a)および
図1(b)に示すように、フレキシブル配線基板10は、フィルム状に形成された電気絶縁性の絶縁基材と、その一方または両方の面に形成された配線とを有する。フレキシブル配線基板10には、絶縁基材の一方の面のみに配線が形成されている片面配線を採用してもよいし、絶縁基材の両方の面に配線が形成されている両面配線を採用してもよい。第1実施形態では、フレキシブル配線基板10の外面10aのみに配線が形成されている片面配線が採用されている。絶縁基材は、例えばポリイミドで構成される。配線は、例えば銅または銅合金で構成される。配線は、電気絶縁性のレジスト膜(被覆層、例えばソルダーレジスト)によって覆われていてもよい。
【0018】
図3に示すように、フレキシブル配線基板10は、素子実装部11と、後片部12とを有する。素子実装部11は、例えば、フレキシブル配線基板10の長さ方向の一端部(第1端部11c)を含む部分、または前記一端部に近い部分である。素子実装部11の実装面11aには、固体撮像素子4がはんだ付け等により実装される。実装面11aは、電気ケーブル1の先端の軸線の方向(
図3の上下方向)と交差する面である。実装面11aは、電気ケーブル1の先端の軸線方向と直交(または略直交)する面であることが好ましい。
【0019】
フレキシブル配線基板10の一方および他方の面のうち、実装面11aを含む面を外面10aという。外面10aの反対の面を内面10bという。素子実装部11の、実装面11aと反対の面を内面11bという。12aは外面10aのうち後片部12の外面である。12bは内面10bのうち後片部12の内面(外面12aと反対の面)である。
【0020】
素子実装部11の長さ方向Lの一方の端部はフレキシブル配線基板10の先端部である。この端部を第1端部11cという。素子実装部11の長さ方向Lの他方の端部を第2端部11dという。第2端部11dから第1端部11cに向かう方向を第1方向L1という。第1方向L1と反対の方向を第2方向L2という。
【0021】
後片部12は、フレキシブル配線基板10が屈曲部10Aで屈曲されて後側(固体撮像素子4側とは反対側)へ延出された部分である。屈曲部10Aは、素子実装部11の両方の端部(第1端部11cおよび第2端部11d)のうち第2端部11dのみに形成されている。
【0022】
後片部12は、素子実装部11に対して屈曲されて形成された延出部12eと、延出部12eの延出端から後側に延びる接続片部12fと、を有する。
図3において、延出部12eは、屈曲部10Aから下方にいくほど第1方向L1側に移行するように傾斜している。接続片部12fは、素子実装部11に垂直な方向(下方)に延びている。
【0023】
後片部12の外面12a(詳しくは接続片部12fの外面)には、導体用端子部12c、12dが設けられている。導体用端子部12cには、電気ケーブル1から口出しされた導体2の内部導体2aが電気的に接続されている。導体用端子部12dには、導体2の外部導体2bが電気的に接続されている。後片部12には、導体接続部17aと、導体接続部17bとが形成されている。導体接続部17aは、導体用端子部12cに内部導体2aをはんだ付けすることにより形成されている。導体接続部17bは、導体用端子部12dに外部導体2bをはんだ付けすることにより形成されている。
【0024】
図1(a)に示すように、電気ケーブル1では、複数本の導体2が外被5によって一括被覆されることで、ケーブルユニットが構成されている。導体2は、内部導体2aと、内部導体2aを被覆する一次被覆層2cと、金属細線によって網状に形成され一次被覆層2cの周囲に設けられた外部導体2bと、この外部導体2bを被覆する二次被覆層2dとを有する。
【0025】
図3に示すように、フレキシブル配線基板10の配線は、素子実装部11から屈曲部10Aを通って後片部12に至り、導体用端子部12c、12dと電気的に接続されている。これによって、固体撮像素子4の電気回路と、電気ケーブル1の導体2とが配線を介して電気的に接続される。
【0026】
図2に示すように、内視鏡101は、撮像モジュール100と、外枠部材21とを備えている。
図4に示すように、外枠部材21は、例えば円柱状に形成されている。「C」は外枠部材21の中心軸である。以下、中心軸Cに沿う方向を上下方向(高さ方向)とし、外枠部材21の先端面21aが上面であると規定して、各構成の位置関係を説明する。
【0027】
外枠部材21には、中心軸Cに沿って挿通孔22〜25が形成されている。中心軸Cに直交する挿通孔22〜25の断面は、例えば円形状である。
図2に示すように、挿通孔22は、撮像モジュール100が挿通可能である。挿通孔22の内周面22a(内面)には、移動規制部26が形成されている。
図4に示すように、移動規制部26は板状とされ、内周面22aから中心軸Cに直交する方向に突出して形成されている。移動規制部26は、中心軸Cの方向から見て挿通孔22の中心に達する半円形状である。移動規制部26の上面26aは、中心軸Cに垂直な面である。
【0028】
図3に示すように、移動規制部26の上面26aには、レンズユニット20および固体撮像素子4の底面20b,4bを、素子実装部11を介して当接させる。これにより、レンズユニット20および固体撮像素子4の、下方(挿通孔22の深さ方向)への移動は規制される。そのため、レンズユニット20および固体撮像素子4を高さ方向(光軸方向)に高精度に位置決めすることができる。
【0029】
移動規制部26の上面26aには、レンズユニット20および固体撮像素子4の底面20b,4bを、素子実装部11を介して面的に当接させるのが好ましい。これによって、レンズユニット20および固体撮像素子4の傾動を規制し、レンズユニット20および固体撮像素子4の光軸方向を精度よく定めることができる。
【0030】
外枠部材21の先端面21aと、移動規制部26の上面26aとの高低差H2は、レンズユニット20の高さH1とほぼ等しいか、または高さH1よりやや大きいことが好ましい。これにより、レンズユニット20の先端面20aの高さ位置を先端面21aに合わせることができ、撮像モジュール100の光学特性を良好にできる。
【0031】
移動規制部26は、中心軸Cの方向から見て半円形状に形成されているため、撮像モジュール100の軸周り方向(電気ケーブル1の軸周り方向)の姿勢変化を規制できる。そのため、固体撮像素子4の軸周り方向の配置のずれを回避でき、光学特性を確保するために有利となる。
【0032】
挿通孔23〜25は、他の用途、例えば、照明用のライトガイドを挿通させるための挿通孔、注水のための注水孔、鉗子を通すための挿通孔などとして使用できる。
【0033】
レンズユニット20の外径と挿通孔22の内径の差が小さい場合には、移動規制部26がない場合でも、レンズユニット20を接着剤、摩擦力などにより挿通孔22の内周面22aに対して位置決めすることができる。そのため、外枠部材21は、移動規制部26がない構造であってもよい。レンズユニット20の外径と挿通孔22の内径との差が小さいと、内周面22aによってレンズユニット20および固体撮像素子4の傾動を規制し、レンズユニット20および固体撮像素子4の光軸方向を精度よく定めることができるという利点もある。
【0034】
撮像モジュール100は、素子実装部11の長さ方向Lの両方の端部(第1端部11cおよび第2端部11d)のうち第2端部11dのみにおいて屈曲部10Aで屈曲された後片部12を備える。撮像モジュール100は簡略な構成であるため、
図1(a)および
図1(b)に示すフレキシブル配線基板10の1箇所(
図3の屈曲部10A)に曲げを加えるとともに、外枠部材21の挿通孔22に挿入するだけで、
図3に示す構造の撮像モジュール100が得られる。そのため、撮像モジュール100を外枠部材21への組み付けるのが容易である。したがって、内視鏡101の組み立て作業を容易にすることができる。また、撮像モジュール100では、組み立て工数を少なくしてコスト低減を図ることができる。
【0035】
撮像モジュール100は、フレキシブル配線基板10を用いるため、取り回しが容易であり、挿通孔22の内径が小さい場合でも容易に外枠部材21への組付けが可能である。したがって、内視鏡101の組み立て作業を容易にすることができる。
【0036】
例えば、フレキシブル配線基板に複雑な折り曲げ加工が必要となる場合(例えば、素子実装部の両方の端部で折り曲げ加工を行う場合)には、折り曲げ加工の都合上、撮像素子へのレンズユニット装着を折り曲げ加工より先に行うことは難しい。
これに対し、撮像モジュール100では、フレキシブル配線基板10への複雑な折り曲げ加工は必要ないため、固体撮像素子4をフレキシブル配線基板10に実装するに先だって、レンズユニット20を固体撮像素子4に装着することが可能となる。そのため、レンズユニット20の装着工程で不良が発生した場合に、フレキシブル配線基板10等が無駄になるのを回避できる。よって、不良損金を抑制し、コスト削減を図ることができる。
【0037】
撮像モジュール100では、固体撮像素子4をフレキシブル配線基板10に実装するに先だって、レンズユニット20を固体撮像素子4に装着することができるため、レンズユニット20の装着工程における、レンズユニット20および固体撮像素子4の取り回しが容易となる。したがって、内視鏡101の組み立て作業を容易にすることができる。
【0038】
撮像モジュール100では、片面配線のフレキシブル配線基板10が用いられているため、フレキシブル配線基板10の同じ面(外面10a)に固体撮像素子4とレンズユニット20と電気ケーブル1とが設けられる。したがって、はんだ付け等により固体撮像素子4、レンズユニット20および電気ケーブル1をフレキシブル配線基板10に取り付ける作業において、フレキシブル配線基板10の取り回しが容易となり、作業性が良好となる。
【0039】
[第2実施形態]
第2実施形態の撮像モジュールを、
図5および
図6を用いて説明する。なお、第1実施形態との共通構成については同じ符号を付して説明を省略する。
図5は、第2実施形態に係る撮像モジュール200に用いられるフレキシブル配線基板110、および固体撮像素子4を示す側面図である。
図6は、撮像モジュール200、および撮像モジュール200を用いて組み立てた内視鏡201の先端構造を示す断面図である。
【0040】
図5および
図6に示すように、撮像モジュール200では、両面配線のフレキシブル配線基板110が用いられている。フレキシブル配線基板110では、素子実装部11のうち固体撮像素子4が実装される部分においては、配線は実装面11a(外面110a)に形成されている。一方、屈曲部110Aを含む範囲および後片部112では、配線は内面110bに設けられている。そのため、電気ケーブル1は内面110bに接続されている。フレキシブル配線基板110の外面110aの配線と内面110bの配線とは、フレキシブル配線基板110に形成されたスルーホール(図示略)等を利用して互いに接続できる。
【0041】
撮像モジュール200では、屈曲部110Aを含む範囲において配線がフレキシブル配線基板110の内面110bに形成されているため、フレキシブル配線基板110の曲げにより配線に過大な力がかかるのを回避し、配線の破損を防ぐことができる。
撮像モジュール200では、電気ケーブル1が内面110bに接続されているため、電気ケーブル1の外径が大きい場合でも屈曲部110Aにおける曲げ角度を小さくできる。そのため、屈曲部110Aにおける配線の破損が起こりにくい。
【0042】
[変形例]
第1実施形態の撮像モジュールのフレキシブル配線基板10(
図1(a)参照)の変形例を、
図7を用いて説明する。なお、第1および第2実施形態との共通構成については同じ符号を付して説明を省略する。
図7は、第1実施形態の撮像モジュールのフレキシブル配線基板10の変形例を示す平面図である。
【0043】
図7に示すように、この例のフレキシブル配線基板210の側縁210c,210cにおいて屈曲部10A(
図3参照)に相当する箇所には、円弧状の切欠き13,13が形成されている。なお、切欠き13,13の形状は円弧状に限らず、矩形状、V字形状などとしてよい。
【0044】
この例のフレキシブル配線基板210では、切欠き13,13が形成された箇所において曲げ弾性を低くできるため、屈曲部10A(
図3参照)の形成が容易となる。また、正確な位置に屈曲部10Aを形成することができる。よって、撮像モジュールを外枠部材21に組み付けるのが容易となる。
【0045】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
図3に示す素子実装部11の実装面11aは、電気ケーブル1の先端の軸線方向と直交(または略直交)する面であるが、実装面は電気ケーブルの先端の軸線方向と直交する面でなくてもよい。