特許第6697022号(P6697022)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ アプティブ・テクノロジーズ・リミテッドの特許一覧

<>
  • 特許6697022-導電性ハイブリッドポリマー材料 図000002
  • 特許6697022-導電性ハイブリッドポリマー材料 図000003
  • 特許6697022-導電性ハイブリッドポリマー材料 図000004
  • 特許6697022-導電性ハイブリッドポリマー材料 図000005
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6697022
(24)【登録日】2020年4月27日
(45)【発行日】2020年5月20日
(54)【発明の名称】導電性ハイブリッドポリマー材料
(51)【国際特許分類】
   H01B 7/18 20060101AFI20200511BHJP
   H01B 1/12 20060101ALI20200511BHJP
   H01B 1/24 20060101ALI20200511BHJP
   H01B 1/22 20060101ALI20200511BHJP
   C08L 101/00 20060101ALN20200511BHJP
   C08K 3/04 20060101ALN20200511BHJP
   C08K 7/04 20060101ALN20200511BHJP
【FI】
   H01B7/18 D
   H01B1/12 Z
   H01B1/24 E
   H01B1/22 Z
   !C08L101/00
   !C08K3/04
   !C08K7/04
【請求項の数】12
【外国語出願】
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2018-72051(P2018-72051)
(22)【出願日】2018年4月4日
(65)【公開番号】特開2018-197337(P2018-197337A)
(43)【公開日】2018年12月13日
【審査請求日】2018年8月16日
(31)【優先権主張番号】15/490,249
(32)【優先日】2017年4月18日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518405522
【氏名又は名称】アプティブ・テクノロジーズ・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100140109
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 新次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100120112
【弁理士】
【氏名又は名称】中西 基晴
(74)【代理人】
【識別番号】100167243
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 充
(72)【発明者】
【氏名】ザカリー・ジェイ・リッチモンド
(72)【発明者】
【氏名】エヴァンゲリア・ルビノ
(72)【発明者】
【氏名】アンシュマン・シュリバスタバ
【審査官】 藤本 保
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−224429(JP,A)
【文献】 特表2007−531802(JP,A)
【文献】 国際公開第2014/017658(WO,A1)
【文献】 特表2002−538272(JP,A)
【文献】 特開2015−145438(JP,A)
【文献】 国際公開第2014/196354(WO,A1)
【文献】 特開2015−176668(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01B7/00−7/42
H01B1/00−1/24
C08L1/00−101/16
C08K3/00−13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワイヤケーブル(102)と、
前記ワイヤケーブル(102)を取り囲む、ハイブリッドポリマー材料(10)とを
備えるワイヤケーブルアセンブリ(100)であって、
前記ハイブリッドポリマー材料(10)は、
重量で0.01%以上、0.2%以下のカーボンナノ粒子(12)と、
重量で1%以上、10%以下の導電性ポリマー材料(14)と、
金属表面を有する、重量で11%以上、20%以下の導電性繊維(16)と、
重量で69%以上の非導電性ポリマー材料(18)と
を含有し、
前記非導電性ポリマー材料(18)は、ポリエチレン、ポリプロピレンおよびポリ塩化ビニルからなる群から選択される
ワイヤケーブルアセンブリ。
【請求項2】
請求項1に記載のワイヤケーブルアセンブリ(100)であって、
前記カーボンナノ粒子(12)は、カーボンナノチューブ、グラファイトナノ粒子、グラフェンナノ粒子およびフラーレンナノ粒子からなる群から選択される
ワイヤケーブルアセンブリ。
【請求項3】
請求項1に記載のワイヤケーブルアセンブリ(100)であって、
前記導電性ポリマー材料(14)は、導電性ポリマー、およびラジカルポリマーからなる群から選択される
ワイヤケーブルアセンブリ。
【請求項4】
請求項3に記載のワイヤケーブルアセンブリ(100)であって、
前記導電性ポリマーは、3,4−エチレンジオキシチオフェン、3,4−エチレンジオキシチオフェンポリスチレンスルホン酸および4,4−シクロペンタジチオフェンからなる群から選択される
ワイヤケーブルアセンブリ。
【請求項5】
請求項1に記載のワイヤケーブルアセンブリ(100)であって、
金属表面を有する前記導電性繊維(16)は、ステンレス鋼繊維、金属めっきカーボン繊維および金属ナノワイヤからなる群から選択される
ワイヤケーブルアセンブリ。
【請求項6】
ハイブリッドポリマー材料(10)から形成されたハウジング(208)を備える
電気アセンブリ(200)であって、
前記ハイブリッドポリマー材料(10)は、
重量で0.01%以上、0.2%以下のカーボンナノ粒子(12)と、
重量で1%以上、10%以下の導電性ポリマー材料(14)と、
金属表面を有する、重量で11%以上、20%以下の導電性繊維(16)と、
重量で69%以上の非導電性ポリマー材料(18)と
を含有し、
前記非導電性ポリマー材料(18)は、アクリル系ポリマー、ポリエステル、ポリブチレンテレフタレート、アクリロニトリルブタジエンスチレンおよびポリアミドからなる群から選択される
電気アセンブリ。
【請求項7】
ワイヤケーブル(102)と、
前記ワイヤケーブル(102)を取り囲む、ハイブリッドポリマー材料(10)とを
備えるワイヤケーブルアセンブリ(100)であって、
前記ハイブリッドポリマー材料(10)は、
重量で0.01%以上、0.2%以下のカーボンナノ粒子(12)と、
重量で1%以上、10%以下の導電性ポリマー材料(14)と、
金属表面を有する11%以上、20%以下の導電性ナノ繊維(16)と、
重量で残りの割合の非導電性ポリマー材料(18)と
から実質的になり、
前記非導電性ポリマー材料(18)は、ポリエチレン、ポリプロピレンおよびポリ塩化ビニルからなる群から選択される
ワイヤケーブルアセンブリ。
【請求項8】
請求項7に記載のワイヤケーブルアセンブリ(100)であって、
前記カーボンナノ粒子(12)は、カーボンナノチューブ、グラファイトナノ粒子、グラフェンナノ粒子およびフラーレンナノ粒子からなる群から選択される
ワイヤケーブルアセンブリ。
【請求項9】
請求項7に記載のワイヤケーブルアセンブリ(100)であって、
前記導電性ポリマー材料(14)は、導電性ポリマー、およびラジカルポリマーからなる群から選択される
ワイヤケーブルアセンブリ。
【請求項10】
請求項9に記載のワイヤケーブルアセンブリ(100)であって、
前記導電性ポリマーは、3,4−エチレンジオキシチオフェン、3,4−エチレンジオキシチオフェンポリスチレンスルホン酸および4,4−シクロペンタジチオフェンからなる群から選択される
ワイヤケーブルアセンブリ。
【請求項11】
請求項7に記載のワイヤケーブルアセンブリ(100)であって、
金属表面を有する前記導電性繊維(16)は、ステンレス鋼繊維、金属めっきカーボン繊維および金属ナノワイヤからなる群から選択される
ワイヤケーブルアセンブリ。
【請求項12】
ハイブリッドポリマー材料(10)から形成されたハウジング(208)を備える
電気アセンブリ(200)であって、
前記ハイブリッドポリマー材料(10)は、
重量で0.01%以上、0.2%以下のカーボンナノ粒子(12)と、
重量で1%以上、10%以下の導電性ポリマー材料(14)と、
金属表面を有する11%以上、20%以下の導電性ナノ繊維(16)と、
重量で残りの割合の非導電性ポリマー材料(18)と
から実質的になり、
前記非導電性ポリマー材料(18)は、アクリル系ポリマー、ポリエステル、ポリブチレンテレフタレート、アクリロニトリルブタジエンスチレンおよびポリアミドからなる群から選択される
電気アセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2017年4月18日に出願された米国特許出願第15/490,249号に対する優先権の利益を要求する。
【0002】
[0001]本発明は、概して、導電性ポリマー材料に関し、より詳細には、導電性を有するハイブリッドポリマー材料に関する。
【背景技術】
【0003】
[0002]導電性ポリマー材料は、電磁波干渉(EMI)遮蔽、無線周波数干渉(RFI)遮蔽および静電放電ESD保護のために、金属材料から次第に置き換わっている。典型的には、金属シールドは、部品点数を増加させ、組み立てるための余分な製造工程を必要とし、最終製品に対して重量を追加する。EMI,RFI,EDS遮蔽のために導電性ポリマーを使用することによって、重量の低減、製造工程(ひいてはコスト)の低減、および、設計自由度の向上がもたらされる。
【0004】
[0003]図1に示されるように、導電性ポリマー1は、非導電性ポリマー基材3内に埋め込まれた導電性充填材2(例えば、金属繊維)を有している。これらの導電性ポリマーは、良好な平面導電性を提供するが、大きな表面抵抗を有している。遮蔽用途のためには、内部の導電性充填材から、導電性ポリマー材料の表面に接続されるグランドまで電荷を運ぶ必要があるが、これは、大きな表面抵抗によって阻止される。導電性ポリマーの表面に低抵抗経路を形成するいくつかの方法が存在するが、それは、複雑性を増大させ、したがって、製造プロセスに対するコストを増大させる。
【0005】
[0004]さらに、導電性ポリマーの導電率は、導電性充填材粒子同士の間での相互接続の割合が低いことに起因して、小さい。組み込まれる金属の量を考慮すると、抵抗値は、実際に内部にある金属の量よりも何倍も大きい。金属充填材の相互接続を改良すれば、抵抗が低下し、複合材料の遮蔽特性が改善される。また、充填材間のこの相互接続を改善すれば、透過限界が低減され、あるいは、適切な導電性を達成するために必要な充填材の量が低減される。
【0006】
[0005]背景技術の欄に記載された主題は、背景技術の欄において記載されていることのみから先行技術であると推定されるべきではない。同様に、背景技術の欄で述べられる問題、または、背景技術の欄の主題に関連する問題は、先行技術において従前から認識されていたものとして推定されるべきではない。背景技術の欄の主題は、様々なアプローチを表しているに過ぎず、それら自体も発明になり得る。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
[0006]本発明の一実施形態によれば、導電性ハイブリッドポリマー材料が提供される。このハイブリッドポリマー材料は、重量で0.01%以上、1%以下のカーボンナノ粒子と、重量で1%以上、10%以下の導電性ポリマー材料と、金属表面を有する1%以上、20%以下の導電性繊維と、重量で69%以上の非導電性ポリマー材料と、を含有している。
【0008】
[0007]カーボンナノ粒子は、カーボンナノチューブ、グラファイトナノ粒子、グラフェンナノ粒子および/またはフラーレンナノ粒子であってもよい。導電性ポリマー材料は、実質的に導電性ポリマー(例えば、ポリラニン、3,4−エチレンジオキシチオフェン、3,4−エチレンジオキシチオフェンポリスチレンスルホン酸、4,4−シクロペンタジチオフェン、ラジカルポリマーおよび/または電気活性ポリマー)であってもよい。金属表面を有する導電性繊維は、ステンレス鋼繊維、金属めっきカーボン繊維、金属ナノワイヤであってもよい。
【0009】
[0008]非導電性ポリマー材料は、ポリエチレン、ポリプロピレンおよび/またはポリ塩化ビニルであってもよい。これらの非導電性ポリマー材料を使用して製造されるハイブリッドポリマー材料は、−40℃以上、125℃以下の温度で実質的に成形しやすい。このハイブリッドポリマー材料は、ハイブリッドポリマー材料によって取り囲まれるワイヤケーブルを備えるワイヤケーブルアセンブリを形成するために使用されてもよい。
【0010】
[0009]非導電性ポリマー材料は、代替的に、アクリル、ポリエステル、ポリブチレンテレフタレート、アクリロニトリルブタジエンスチレンおよび/またはポリアミドであってもよい。これらの非導電性ポリマー材料を使用して製造されるハイブリッドポリマー材料は、−40℃以上、125℃以下の温度で実質的に剛性を有する。このハイブリッドポリマー材料は、ハイブリッドポリマー材料から形成されるハウジングを備える電気アセンブリを形成するのに使用されてもよい。
【0011】
[0010]本発明の他の実施形態によれば、導電性ハイブリッドポリマー材料が提供される。このハイブリッドポリマー材料は、重量で0.01%以上、1%以下のカーボンナノ粒子と、重量で1%以上、10%以下の導電性ポリマー材料と、金属表面を有する1%以上、20%以下の導電性繊維と、重量で残りの割合の非導電性ポリマー材料と、から実質的になる。
【0012】
[0011]カーボンナノ粒子は、カーボンナノチューブ、グラファイトナノ粒子、グラフェンナノ粒子および/またはフラーレンナノ粒子であってもよい。導電性ポリマー材料は、実質的に導電性ポリマー(例えば、ポリラニン、3,4−エチレンジオキシチオフェン、
3,4−エチレンジオキシチオフェンポリスチレンスルホン酸、4,4−シクロペンタジチオフェン、ラジカルポリマーおよび/または電気活性ポリマー)であってもよい。金属表面を有する導電性繊維は、ステンレス鋼繊維、金属めっきカーボン繊維、金属ナノワイヤであってもよい。
【0013】
[0012]非導電性ポリマー材料は、ポリエチレン、ポリプロピレンおよび/またはポリ塩化ビニルであってもよい。これらの非導電性ポリマー材料を使用して製造されるハイブリッドポリマー材料は、−40℃以上、125℃以下の温度で実質的に成形しやすい。このハイブリッドポリマー材料は、ハイブリッドポリマー材料によって取り囲まれるワイヤケーブルを備えるワイヤケーブルアセンブリを製造するために使用されてもよい。
【0014】
[0013]非導電性ポリマー材料は、代替的に、アクリル、ポリエステル、ポリブチレンテレフタレート、アクリロニトリルブタジエンスチレンおよび/またはポリアミドであってもよい。これらの非導電性ポリマー材料を使用して製造されるハイブリッドポリマー材料は、−40℃以上、125℃以下の温度で実質的に剛性を有する。このハイブリッドポリマー材料は、ハイブリッドポリマー材料から形成されるハウジングを備える電気アセンブリを製造するのに使用されてもよい。
【0015】
[0014]本発明が、例示目的で、添付の図面を参照して以下に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】[0015]従来技術による導電性ポリマー材料の拡大断面図である。
図2】[0016]本発明の一実施形態によるハイブリッド導電性ポリマー材料の拡大断面図である。
図3】[0017]本発明の一実施形態による図2のハイブリッド導電性ポリマー材料から形成されたシールドを有するシールドワイヤケーブルアセンブリの破断図である。
図4】[0018]本発明の一実施形態による図2のハイブリッド導電性ポリマー材料から形成されたハウジングを有する電気アセンブリの分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
[0019]本明細書において導電性ハイブリッドポリマー材料(以下、ハイブリッド導電性ポリマーと呼ぶ)が提示される。ハイブリッド導電性ポリマーは、非導電性ポリマー系材料(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリエステル、ポリブチレンテレフタレート、アクリロニトリルブタジエンスチレン、または、ポリアミド)と、導電性ポリマー材料(例えば、実質的に導電性を有するポリマー、ラジカルポリマー、または、電気活性ポリマー)と、導電性充填粒子(例えば、カーボンナノチューブ、グラファイトナノ粒子、グラフェンナノ粒子、フラーレンナノ粒子、ステンレス鋼繊維、金属ナノワイヤ、または、金属めっきカーボン繊維(例えば、銅めっきカーボン繊維またはニッケルめっきカーボン繊維))と、の結合体である。
【0018】
[0020]導電性充填材に導電性ポリマーを組み合わせることによって、導電性充填材粒子によって形成されるネットワーク間の改善された接続が可能になる。導電性充填材粒子の配置は、ポリマー基材を通して電荷を移送するために、ランダムかつ接触していなければならない。導電性ポリマーを追加することによって、それは、導電性充填材粒子間の隙間を橋渡しし、導電性領域の「ホットスポット」なしに、ハイブリッド導電性ポリマーにより均一な導電性が付与される。
【0019】
[0021]ハイブリッド導電性ポリマーに導電性ポリマーが含有されていることによって、表面抵抗が低減される。図1に示されるような従来技術の導電性ポリマーでは、非導電性ポリマーリッチ層が、導電性充填材粒子を分離している導電性ポリマーの表面を覆っている。これとは対照的に、ハイブリッド導電性ポリマーにおける導電性ポリマーは、絶縁層を介した導電性充填材粒子に対する面接触を提供する。
【0020】
[0022]ハイブリッド導電性ポリマー材料は、ESD/帯電防止保護に、または、EMI/RFI遮蔽用途に使用され得る。電気部品(例えば、コントローラ、モジュール、コネクタ)のEMI遮蔽が、ハイブリッド導電性ポリマー材料から形成されたハウジングを使用して行われてもよい。多くの用途における金属シールドが、モールドされたハイブリッド導電性ポリマー部品に置き換えられてもよい。また、ハイブリッド導電性ポリマー材料は、ホイルおよび編組EMIシールドに取って代わるために、ワイヤケーブル上に押出成形されてもよい。
【0021】
[0023]図2は、ハイブリッド導電性ポリマー10の1つの非限定的な例を示している。このハイブリッド導電性ポリマー10は、重量で0.01%以上、1%以下のカーボンナノ粒子12と、重量で1%以上、10%以下の導電性ポリマー材料14と、金属表面を有する1%以上、20%以下の導電性繊維16と、重量で69%以上の非導電性ポリマー系材料18と、を含む組成を有している。ハイブリッド導電性ポリマー10は、添加剤(例えば、ハイブリッド導電性ポリマー10の電気特性に影響を与えない着色剤、難燃剤、補強充填材)も含有していてもよい。
【0022】
[0024]カーボンナノ粒子12は、カーボンナノチューブ、グラファイトナノ粒子、グラフェンナノ粒子および/またはフラーレンナノ粒子であってもよい。カーボンナノ粒子12は、典型的には1〜100ナノメータの範囲のナノスケールに収まる少なくとも1つの寸法を有している。ナノ粒子の他の寸法はナノスケール外になってもよいことも理解されるべきである。例えば、ナノ粒子は、ナノスケール内の直径と、ナノスケールよりも長い長さと、を有するカーボンナノチューブであってもよい。
【0023】
[0025]導電性ポリマー材料14は、実質的に導電性ポリマー、例えば、ポリラニン3,ポリ3,4−エチレンジオキシチオフェン3(PEDOT)、3,4−エチレンジオキシチオフェン3ポリスチレンスルホン酸(PEDOT:PSS)、4,4−シクロペンタジチオフェン(CPDT)であってもよい。導電性ポリマー材料14は、追加的に、または、これに代えて、導電性ラジカルポリマー、例えば、ポリ(2,2,6,6−テトラメチルピペリジノオキシ−4−イルメタクリル(PTMA)であってもよい。導電性ポリマー材料14は、追加的に、または、これに代えて、電気活性ポリマーであってもよい。本明細書で使用される場合、電気活性ポリマーは、ポリマー鎖の主鎖に組み入れられるナノメタルを含む非導電性ポリマー(例えば、ポリエチレンまたはポリアミド)である。
【0024】
[0026]金属表面を有する導電性繊維16は、ステンレス鋼繊維、金属ナノワイヤ、または、金属めっきカーボン繊維(例えば、銅めっきカーボン繊維またはニッケルめっきカーボン繊維)であってもよい。これらの導電性繊維16は、ナノスケールであってもよい。すなわち、1〜100ナノメータの範囲に収まる少なくとも1つの寸法を有していてもよい。あるいは、これらの導電性繊維16は、マイクロスケールであってもよい。すなわち、1〜100ミクロンの範囲に収まる少なくとも1つの寸法を有していてもよい。
【0025】
[0027]カーボンナノ粒子12、特にカーボンナノチューブは、透過限界を大幅に低下させるとともに高周波において効果的なEMI遮蔽を提供する大きなアスペクト比を有している。金属繊維16は、高周波と低周波との両方において効果的なEMI遮蔽を提供する。導電性ポリマー材料14は、カーボンナノ粒子12と金属繊維16との間の隙間を橋渡しし、それによって、より均一な導電性を作り出し、全体の電気抵抗を低減させ、基材の表面抵抗を低減させ、それによって、EMI遮蔽の有効性を増大させる。
【0026】
[0028]非導電性ポリマー系材料18は、ハイブリッド導電性ポリマー10の用途に基づいて選択されるであろう。例えば、非導電性ポリマー系材料18は、標準的な自動車の動作範囲、すなわち、−40℃以上、125℃以下の温度で実質的に成形しやすい材料(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンおよび/またはポリ塩化ビニル)であってもよい。これらの非導電性ポリマー系材料を使用して製造されるハイブリッド導電性ポリマー10も、標準的な自動車の動作範囲内の温度で成形しやすく、また、図3に示されるようなシールドケーブルアセンブリにシールド106を提供するために使用されてもよい。
【0027】
[0029]図3に示されるシールドケーブルアセンブリ100の非限定的な例は、導電性材料(例えば、銅、アルミニウムまたはカーボンナノチューブ)から形成された幾つかのより線102を備えている。このより線は、より線のまわりに押出成形される非導電性(誘電)ポリマー(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンおよび/またはポリ塩化ビニル)から形成された内側絶縁層104によって取り囲まれている。シールド106は、内側絶縁層104のまわりに、上記の段落に記載されたハイブリッド導電性ポリマー10を押出成形することによって形成される。その結果、シールド106は内側絶縁層104を取り囲む。シールドワイヤケーブルアセンブリ100は、さらに、シールド106のまわりに押出成形される非導電性(誘電)ポリマー(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンおよび/またはポリ塩化ビニル)から形成された外側絶縁層108を備えているが、それに限定されない。
【0028】
[0030]他の用途のために、非導電性ポリマー材料は、代替的に、標準的な自動車の動作範囲、すなわち、−40℃以上、125℃以下の温度で実質的に剛性を有する材料(例えば、アクリル、ポリエステル、ポリブチレンテレフタレート、アクリロニトリルブタジエンスチレンおよび/またはポリアミド)であってもよい。また、これらの非導電性ポリマー系材料を使用して製造されるハイブリッド導電性ポリマー10は、標準的な自動車の動作範囲の温度で剛性を有しており、また、図4に示されるような電気アセンブリ用の電磁遮蔽ハウジングに使用されてもよい。
【0029】
[0031]図4に示される電気アセンブリ200の非限定的な例は、複数の電気部品204と、取り付けられた端子206と、を有するプリント基板(PCB)202を備えている。PCB202、電気部品204および端子206は、ハウジング208内に収容されている。ハウジング208は、例えば射出成形プロセスによって、上記の段落に記載されたハイブリッド導電性ポリマー10から形成されている。また、電気アセンブリ200は、端子206とインタフェース接続するコネクタ210を備えている。コネクタ210のコネクタハウジング212も上記の段落に記載されたハイブリッド導電性ポリマー10から形成されていてもよい。
【0030】
[0032]このように、ハイブリッド導電性ポリマー10が提供される。カーボンナノ粒子12の含有は、金属繊維16の含有によって高周波と低周波との両方において効果的なEMI遮蔽を提供しつつ、透過限界を低下させ、高周波での効果的なEMI遮蔽を提供する。導電性ポリマー材料14は、カーボンナノ粒子12と金属繊維16との間の隙間を橋渡しし、それによって、より均一な導電性を作り出し、全体の電気抵抗を低減し、基材の表面抵抗を低下させ、それによって、EMI遮蔽の有効性を増大させる。非導電性のベースポリマーを選択することによって、結果として得られるハイブリッド導電性ポリマー10は、ワイヤケーブルの遮蔽に使用するのに適した成形しやすい材料、または、電気アセンブリ(例えば、コントローラ、モジュール、コネクタ)用の遮蔽ハウジングを製造するに適した剛性を有する材料になり得る。
【0031】
[0033]本明細書に記載された例は、自動車用途を対象としているが、このハイブリッド導電性ポリマー10は、導電性特性が有益となる他の用途で使用されてもよい。
【0032】
[0034]本発明が、その好ましい実施形態について説明されたが、それは、そのように限定されることを目的としておらず、次の特許請求の範囲で提示される範囲によってのみ限定されることを意図している。さらに、第1、第2などの用語の使用は、重要性の順序を示すものではなく、1つの要素を他の要素と区別するために使用される。さらに、a、anなどの用語の使用は、量の限定を示すものではなく、言及される物の少なくとも1つの存在を示している。さらに、方向用語、例えば、上部、下部などは、特定の向きを示すものではなく、1つの要素を他の要素から区別し、さまざまな要素間の位置的な関係を規定するために使用される。
本明細書は以下の発明の開示を包含する。
[1]
導電性のハイブリッドポリマー材料(10)であって、
重量で0.01%以上、0.2%以下のカーボンナノ粒子(12)と、
重量で1%以上、10%以下の導電性ポリマー材料(14)と、
金属表面を有する、重量で11%以上、20%以下の導電性繊維(16)と、
重量で69%以上の非導電性ポリマー材料(18)と
を含有するハイブリッドポリマー材料。
[2]
[1]に記載のハイブリッドポリマー材料(10)であって、
前記カーボンナノ粒子(12)は、カーボンナノチューブ、グラファイトナノ粒子、グラフェンナノ粒子およびフラーレンナノ粒子からなる群から選択される
ハイブリッドポリマー材料。
[3]
[1]に記載のハイブリッドポリマー材料(10)であって、
前記導電性ポリマー材料(14)は、実質的に導電性を有するポリマー、ラジカルポリマーおよび電気活性ポリマーからなる群から選択される
ハイブリッドポリマー材料。
[4]
[3]に記載のハイブリッドポリマー材料(10)であって、
前記実質的に導電性を有するポリマーは、ポリラニン、3,4−エチレンジオキシチオフェン、3,4−エチレンジオキシチオフェンポリスチレンスルホン酸および4,4−シクロペンタジチオフェンからなる群から選択される
ハイブリッドポリマー材料。
[5]
[1]に記載のハイブリッドポリマー材料(10)であって、
金属表面を有する前記導電性繊維(16)は、ステンレス鋼繊維、金属めっきカーボン繊維および金属ナノワイヤからなる群から選択される
ハイブリッドポリマー材料。
[6]
[1]に記載のハイブリッドポリマー材料(10)であって、
前記非導電性ポリマー材料(18)は、ポリエチレン、ポリプロピレンおよびポリ塩化ビニルからなる群から選択される
ハイブリッドポリマー材料。
[7]
[6]に記載のハイブリッドポリマー材料(10)であって、
前記ハイブリッドポリマー材料(10)は、−40℃以上、125℃以下の温度で実質的に成形しやすい
ハイブリッドポリマー材料。
[8]
ワイヤケーブルアセンブリ(100)であって、
ワイヤケーブル(102)と、
前記ワイヤケーブル(102)を取り囲む、[6]に記載のハイブリッドポリマー材料(10)と
を備えるワイヤケーブルアセンブリ。
[9]
[1]に記載のハイブリッドポリマー材料(10)であって、
前記非導電性ポリマー材料(18)は、アクリル、ポリエステル、ポリブチレンテレフタレート、アクリロニトリルブタジエンスチレンおよびポリアミドからなる群から選択される
ハイブリッドポリマー材料。
[10]
[9]に記載のハイブリッドポリマー材料(10)であって、
前記ハイブリッドポリマー材料(10)は、−40℃以上、125℃以下の温度で実質的に剛性を有する
ハイブリッドポリマー材料。
[11]
電気アセンブリ(200)であって、
[9]に記載のハイブリッドポリマー材料(10)から形成されたハウジング(208)を備える
電気アセンブリ。
[12]
導電性のハイブリッドポリマー材料(10)であって、
重量で0.01%以上、0.2%以下のカーボンナノ粒子(12)と、
重量で1%以上、10%以下の導電性ポリマー材料(14)と、
金属表面を有する11%以上、20%以下の導電性ナノ繊維(16)と、
重量で残りの割合の非導電性ポリマー材料(18)と
から実質的になるハイブリッドポリマー材料。
[13]
[12]に記載のハイブリッドポリマー材料(10)であって、
前記カーボンナノ粒子(12)は、カーボンナノチューブ、グラファイトナノ粒子、グラフェンナノ粒子およびフラーレンナノ粒子からなる群から選択される
ハイブリッドポリマー材料。
[14]
[12]に記載のハイブリッドポリマー材料(10)であって、
前記導電性ポリマー材料(14)は、実質的に導電性を有するポリマー、ラジカルポリマーおよび電気活性ポリマーからなる群から選択される
ハイブリッドポリマー材料。
[15]
[14]に記載のハイブリッドポリマー材料(10)であって、
前記実質的に導電性を有するポリマーは、ポリラニン、3,4−エチレンジオキシチオフェン、3,4−エチレンジオキシチオフェンポリスチレンスルホン酸および4,4−シクロペンタジチオフェンからなる群から選択される
ハイブリッドポリマー材料。
[16]
[12]に記載のハイブリッドポリマー材料(10)であって、
金属表面を有する前記導電性繊維(16)は、ステンレス鋼繊維、金属めっきカーボン繊維および金属ナノワイヤからなる群から選択される
ハイブリッドポリマー材料。
[17]
[12]に記載のハイブリッドポリマー材料(10)であって、
前記非導電性ポリマー材料(18)は、ポリエチレン、ポリプロピレンおよびポリ塩化ビニルからなる群から選択される
ハイブリッドポリマー材料。
[18]
ワイヤケーブルアセンブリ(100)であって、
ワイヤケーブル(102)と、
前記ワイヤケーブル(102)を取り囲む、[17]に記載のハイブリッドポリマー材料(10)と
を備えるワイヤケーブルアセンブリ。
[19]
[12]に記載のハイブリッドポリマー材料(10)であって、
前記非導電性ポリマー材料(18)は、アクリル、ポリエステル、ポリブチレンテレフタレート、アクリロニトリルブタジエンスチレンおよびポリアミドからなる群から選択される
ハイブリッドポリマー材料。
[20]
電気アセンブリ(200)であって、
[19]に記載のハイブリッドポリマー材料(10)から形成されたハウジング(208)を備える
電気アセンブリ。
図1
図2
図3
図4