特許第6697029号(P6697029)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 瑞柯科技股▲ふん▼有限公司の特許一覧

特許6697029電源重畳同軸ケーブル機能を有する電子装置
<>
  • 特許6697029-電源重畳同軸ケーブル機能を有する電子装置 図000002
  • 特許6697029-電源重畳同軸ケーブル機能を有する電子装置 図000003
  • 特許6697029-電源重畳同軸ケーブル機能を有する電子装置 図000004
  • 特許6697029-電源重畳同軸ケーブル機能を有する電子装置 図000005
  • 特許6697029-電源重畳同軸ケーブル機能を有する電子装置 図000006
  • 特許6697029-電源重畳同軸ケーブル機能を有する電子装置 図000007
  • 特許6697029-電源重畳同軸ケーブル機能を有する電子装置 図000008
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6697029
(24)【登録日】2020年4月27日
(45)【発行日】2020年5月20日
(54)【発明の名称】電源重畳同軸ケーブル機能を有する電子装置
(51)【国際特許分類】
   H03H 11/34 20060101AFI20200511BHJP
   H02M 1/14 20060101ALI20200511BHJP
【FI】
   H03H11/34
   H02M1/14
【請求項の数】6
【外国語出願】
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2018-114103(P2018-114103)
(22)【出願日】2018年6月15日
(65)【公開番号】特開2019-54507(P2019-54507A)
(43)【公開日】2019年4月4日
【審査請求日】2018年6月15日
(31)【優先権主張番号】106131834
(32)【優先日】2017年9月15日
(33)【優先権主張国】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】517162666
【氏名又は名称】瑞柯科技股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100198568
【弁理士】
【氏名又は名称】君塚 絵美
(72)【発明者】
【氏名】陳 建名
【審査官】 ▲高▼橋 徳浩
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−142358(JP,A)
【文献】 特開平02−116283(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0187445(US,A1)
【文献】 特開2006−295470(JP,A)
【文献】 特開2007−104409(JP,A)
【文献】 国際公開第2016/136444(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03H11/00−H03H11/54
H02M1/00−H02M1/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
同軸ケーブルを有し電源重畳同軸ケーブル機能を有する電子装置であって、
前記同軸ケーブルに結合され、電源とデータの伝送を行う伝送ポートと、
前記伝送ポートに結合され、前記同軸ケーブルから混合信号を受信するとともに、前記混合信号をフィルタリングして、第1電源を取得するローパスフィルタと、
前記ローパスフィルタに結合され、前記第1電源を受信および保存するとともに、それに基づいて第2電源を提供する動作インピーダンス回路と、
前記動作インピーダンス回路に結合され、前記第2電源を受信するとともに、前記第2電源の電圧を変換して、前記電子装置の操作に必要な操作電源を生成するスイッチング電力変換器と、
を含み、前記動作インピーダンス回路が、前記第2電源の電流変化に反応して前記動作インピーダンス回路のインピーダンスを動的に変更し、前記スイッチング電力変換器のノイズが前記伝送ポートにフィードバックするのを防ぎ、
前記第2電源の電流が前記スイッチング電力変換器のスイッチ操作に反応して、参考電流値以上である時、前記動作インピーダンス回路が、前記インピーダンスを増やして、前記第1電源から取り込んだ電流を前記参考電流値内に維持し、前記スイッチング電力変換器のスイッチ操作中に生成された前記ノイズが前記伝送ポートにフィードバックするのを防ぐ電子装置。
【請求項2】
前記動作インピーダンス回路が、
前記ローパスフィルタと前記スイッチング電力変換器の間に結合され、前記第1電源を送信するとともに、前記第1電源から取り込まれた電流を制限する電流制限器と、
前記電流制限器と接地端子の間に結合され、前記第1電源に基づいてエネルギーを保存するとともに、前記電流制限器と協働して前記第2電源を提供するコンデンサと、
を含む請求項1に記載の電子装置。
【請求項3】
前記動作インピーダンス回路が、
バイポーラ接合トランジスタと、
前記バイポーラ接合トランジスタのコレクター端子と接地端子の間に結合され、前記第1電源に基づいてエネルギーを保存するとともに、前記バイポーラ接合トランジスタと協働して前記第2電源を提供するよう構成されたコンデンサと、
を含み、前記バイポーラ接合トランジスタのエミッター端子が、前記ローパスフィルタに結合され、前記バイポーラ接合トランジスタの前記コレクター端子が、前記スイッチング電力変換器に結合され、前記バイポーラ接合トランジスタのベース端子が、参考電圧を受信して、前記バイポーラ接合トランジスタをオン状態にする請求項1に記載の電子装置。
【請求項4】
前記動作インピーダンス回路が、
電界効果トランジスタと、
前記電界効果トランジスタのドレイン端子と接地端子の間に結合され、前記第1電源に基づいてエネルギーを保存するとともに、前記電界効果トランジスタと協働して前記第2電源を提供するよう構成されたコンデンサと、
を含み、前記電界効果トランジスタのソース端子が、前記ローパスフィルタに結合され、前記電界効果トランジスタの前記ドレイン端子が、前記スイッチング電力変換器に結合され、前記電界効果トランジスタのゲート端子が、参考電圧を受信して、前記電界効果トランジスタをオン状態にする請求項1に記載の電子装置。
【請求項5】
前記動作インピーダンス回路が、
前記ローパスフィルタと前記スイッチング電力変換器の間に結合され、前記第1電源を伝送するとともに、前記第1電源から取り込まれた電流を制限する低損失レギュレータと、
前記低損失レギュレータと接地端子の間に結合され、前記第1電源に基づいてエネルギーを保存するとともに、前記低損失レギュレータと協働して前記第2電源を提供するよう構成されたコンデンサと、
を含む請求項1に記載の電子装置。
【請求項6】
前記ローパスフィルタが、インダクタである請求項1〜のうちの1項に記載の電子装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子装置に関するものであり、特に、電源重畳同軸ケーブル機能を有する電子装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電源重畳同軸ケーブル(power over coax, PoC)システムにおいて、マスタデバイスは、内設された電源回路およびローパス回路を介して電源を供給することができ、且つ内設された送受信回路およびハイパス回路を介して通信データを提供することができる。マスタデバイスは、電源に通信データをロードし、同軸ケーブル(coaxial cable)を介して遠隔装置に送信することができる。遠隔装置は、内設されたローパス回路を介して同軸ケーブルから信号に対してローパスフィルタリング操作を行い、電源を取得することができるとともに、内設されたハイパス回路を介して同軸ケーブルから信号に対してハイパスフィルタリング操作を行い、通信データを取得する。このようにして、マスタデバイスは、同軸ケーブルを介して遠隔装置に電源を供給し、通信する目的を達成することができる。
【0003】
一般的に、マスタデバイスのローパス回路と遠隔装置のローパス回路は、複数の特定のRLC回路の直列組み合わせを用いて互いに一致させ、データ通信周波数帯域(高周波数帯域)のインピーダンス特性に影響を与えるのを防ぐことにより、電源のノイズがローパス回路を介して同軸ケーブルに伝送し、通信データの信号品質に影響を与えるのを回避する必要がある。一旦通信データの信号品質が影響を受けると、マスタデバイスと遠隔装置の間の通信が失敗する可能性がある。したがって、マスタデバイスのローパス回路と遠隔装置のローパス回路を一致させることは、非常に重要であり、マスタデバイスおよび遠隔装置の品質の決定的役割を果たす。
【0004】
しかしながら、マスタデバイスおよび遠隔装置において、ローパス回路に複数の特定のRLC回路を採用することにより、回路設計が複雑になる。また、遠隔装置を小型設計にしたい時、素子の密集した配置によって複数のRLC回路内の素子間において信号干渉が生じ、回路設計を困難にする。特に、遠隔装置がスイッチング電力変換器を採用して電源を処理する場合、依然として、スイッチング電力変換器のスイッチ操作中に生成されたノイズがRLC回路を介して同軸ケーブルにフィードバックし、通信データに干渉する可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、本発明は、電子装置のスイッチング電力変換器によって生成されたノイズが同軸ケーブルにフィードバックするのを防ぎ、同軸ケーブルの通信データに干渉するのを回避することのできる電源重畳同軸ケーブル機能を有する電子装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の電子装置は、伝送ポートと、ローパスフィルタと、動作インピーダンス回路と、スイッチング電力変換器とを含む。伝送ポートは、同軸ケーブルに結合され、電源とデータの伝送を行う。ローパスフィルタは、伝送ポートに結合され、同軸ケーブルから混合信号を受信するとともに、混合信号をフィルタリングして、第1電源を取得する。動作インピーダンス回路は、ローパスフィルタに結合され、第1電源を受信および保存するとともに、それに基づいて第2電源を提供する。スイッチング電力変換器は、動作インピーダンス回路に結合され、第2電源を受信するとともに、第2電源の電圧を電子装置の操作に必要な操作電源に変換する。動作インピーダンス回路は、第2電源の電流変化に反応してそのインピーダンスを動的に変更し、スイッチング電力変換器のノイズが伝送ポートにフィードバックするのを防ぐ。
【0007】
本発明の1つの実施形態において、第2電源の電流がスイッチング電力変換器のスイッチ操作に反応して、参考電流値以上である時、動作インピーダンス回路は、インピーダンスを増やして、第1電源から取り込んだ電流を参考電流値内に維持し、それにより、スイッチング電力変換器のスイッチ操作中に生成されたノイズが伝送ポートにフィードバックするのを防ぐ。
【0008】
本発明の1つの実施形態において、動作インピーダンス回路は、電流制限器と、コンデンサとを含む。電流制限器は、ローパスフィルタとスイッチング電力変換器の間に結合され、第1電源を送信するとともに、第1電源から取り込まれた電流を制限する。コンデンサは、電流制限器と接地端子の間に結合され、第1電源に基づいてエネルギーを保存するとともに、電流制限器と協働して第2電源を提供する。
【0009】
本発明の1つの実施形態において、第2電源の電流が参考電流値よりも小さい時、電流制限器は、第1電源を第2電源として使用して、コンデンサを充電するとともに、スイッチング電力変換器に電源を供給する。
【0010】
本発明の1つの実施形態において、第2電源の電流が参考電流値以上である時、電流制限器およびコンデンサは、第2電源を提供してスイッチング電力変換器に電源を供給し、電流制限器は、第1電源の電流を参考電流値内に制限する。
【0011】
本発明の1つの実施形態において、ローパスフィルタは、インダクタである。
【0012】
本発明の1つの実施形態において、動作インピーダンス回路は、バイポーラ接合トランジスタと、コンデンサとを含む。バイポーラ接合トランジスタのエミッター端子は、ローパスフィルタに結合される。バイポーラ接合トランジスタのコレクター端子は、スイッチング電力変換器に結合される。バイポーラ接合トランジスタのベース端子は、参考電圧を受信して、バイポーラ接合トランジスタをオン状態にする。コンデンサは、バイポーラ接合トランジスタのコレクター端子と接地端子の間に結合され、第1電源に基づいてエネルギーを保存するとともに、バイポーラ接合トランジスタと協働して第2電源を提供するよう構成される。
【0013】
本発明の1つの実施形態において、動作インピーダンス回路は、電界効果トランジスタと、コンデンサとを含む。電界効果トランジスタのソース端子は、ローパスフィルタに結合される。電界効果トランジスタのドレイン端子は、スイッチング電力変換器に結合される。電界効果トランジスタのゲート端子は、参考電圧を受信して、電界効果トランジスタをオン状態にする。コンデンサは、電界効果トランジスタのドレイン端子と接地端子の間に結合され、第1電源に基づいてエネルギーを保存するとともに、電界効果トランジスタと協働して第2電源を提供するよう構成される。
【0014】
本発明の1つの実施形態において、動作インピーダンス回路は、低損失レギュレータと、コンデンサとを含む。低損失レギュレータは、ローパスフィルタとスイッチング電力変換器の間に結合され、第1電源を伝送するとともに、第1電源から取り込まれた電流を制限する。コンデンサは、低損失レギュレータと接地端子の間に結合され、第1電源に基づいてエネルギーを保存するとともに、低損失レギュレータと協働して第2電源を提供するよう構成される。
【発明の効果】
【0015】
以上のように、本発明の実施形態が提供する電子装置において、動作インピーダンス回路は、スイッチング電力変換器のスイッチ操作中に生成されたノイズが同軸ケーブルからフィードバックするのを防ぎ、同軸ケーブルの通信データに干渉するのを回避することができる。そのため、電子装置内のローパスフィルタは、複数のRLC回路の直列組み合わせを採用して同軸ケーブルの別の一端にあるマスタデバイスのローパスフィルタと一致させる必要がない。このようにして、電子装置の回路設計の難度および複雑度を減らすことができるだけでなく、電子装置の小型化も実現することができる。
【0016】
本発明の上記および他の目的、特徴、および利点をより分かり易くするため、図面と併せた幾つかの実施形態を以下に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
添付図面は、本発明の原理がさらに理解されるために含まれており、本明細書に組み込まれかつその一部を構成するものである。図面は、本発明の実施形態を例示しており、説明とともに、本発明の原理を説明する役割を果たしている。
【0018】
図1】本発明の1つの実施形態に係る電源重畳同軸ケーブル機能を有する電子装置の実施の概略図および回路ブロック図である。
図2】本発明の1つの実施形態に係る動作インピーダンス回路の概略的回路ブロック図である。
図3図3(a)および図3(b)は、本発明の1つの実施形態に係る電源を受信する電子装置の概略的等価回路図である。
図4】本発明の別の実施形態に係る動作インピーダンス回路の概略的回路ブロック図である。
図5】本発明のさらに別の実施形態に係る動作インピーダンス回路の概略的回路ブロック図である。
図6】本発明のさらに別の実施形態に係る動作インピーダンス回路の概略的回路ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の内容をより理解できるようにするため、以下、本発明の実施形態を例として、詳しく説明する。また、同じ参照符合の素子/構成要素は、図面および実施形態において同じ、または類似する部品を示す。
【0020】
図1を参照すると、図1は、本発明の1つの実施形態に係る電源重畳同軸ケーブル機能を有する電子装置100の実施の概略図および回路ブロック図である。図1に示すように、マスタデバイス900は、同軸ケーブル500の一端に結合され、電子装置100は、同軸ケーブル500の別の一端に結合される。マスタデバイス900は、同軸ケーブル500を介して電子装置100に電源を供給することができる。また、マスタデバイス900は、同軸ケーブル500を介して電子装置100と通信する(または信号伝送を行う)ことができる。詳しく説明すると、マスタデバイス900は、データ信号と電源を混合して、混合信号MSを生成し、同軸ケーブル500に出力することができる。
【0021】
図1に示すように、電子装置100は、伝送ポート110と、ローパスフィルタ120と、動作インピーダンス回路130と、スイッチング電力変換器140と、ハイパスフィルタ150と、送受信回路160とを含むことができるが、本発明はこれに限定されない。伝送ポート110は、例えば、同軸ケーブル500に結合してマスタデバイス900と電源およびデータ伝送を行うための同軸ケーブルコネクタであってもよい。ローパスフィルタ120は、伝送ポート110に結合され、同軸ケーブル500から混合信号MSを受信するとともに、混合信号MSをフィルタリングして、第1電源PW1を取得する。
【0022】
動作インピーダンス回路130は、ローパスフィルタ120に結合され、第1電源PW1を受信および保存するとともに、それに基づいて第2電源PW2を提供する。スイッチング電力変換器140は、動作インピーダンス回路130に結合され、第2電源PW2を受信するとともに、第2電源PW2の電圧を変換して、電子装置100の操作に必要な操作電源PWSを生成する。
【0023】
ハイパスフィルタ150は、伝送ポート110に結合され、同軸ケーブル500から混合信号MSを受信するとともに、混合信号MSに対してハイパスフィルタリング操作を実行して、データ信号DSを取得する。送受信回路160は、ハイパスフィルタ150に結合され、データ信号DSを受信するとともに、データ信号DSを電子装置100の後端回路(図示せず)に送信して、後続の信号処理操作を実行する。
【0024】
詳しく説明すると、動作インピーダンス回路130は、第2電源PW2の電流変化に反応して動作インピーダンス回路130のインピーダンスを動的に変更することにより、スイッチング電力変換器140のノイズが伝送ポート110および同軸ケーブル500にフィードバックするのを防ぐことができる。このようにして、混合信号MS中のデータ信号DSに干渉するのを回避することができるため、マスタデバイス900と電子装置100の間の通信が失敗するのを防ぐことができる。
【0025】
さらに、スイッチング電力変換器140によって第2電源PW2から取り込んだ電流I2が参考電流値Irよりも小さい時、動作インピーダンス回路130のインピーダンスは、低インピーダンス状態にある。そのため、動作インピーダンス回路130は、第1電源PW1を第2電源PW2として使用し、スイッチング電力変換器140に電源を供給する。この時、第1電源PW1の電流I1は、参考電流値Irよりも小さい。
【0026】
スイッチング電力変換器140がスイッチ操作を行い、第2電源PW2から取り込んだ電流I2が参考電流値Ir以上である時、動作インピーダンス回路130は、その中のインピーダンスを増やして、第1電源PW1から取り込んだ電流I1を参考電流値Ir内に維持することにより、スイッチング電力変換器140のスイッチ操作中に生成されたノイズが伝送ポート110および同軸ケーブル500にフィードバックするのを防ぐことができる。つまり、スイッチング電力変換器140のスイッチを切り換えて、第2電源PW2から取り込んだ電流I2が劇的に変更された時、第1電源PW1の電流I1は、参考電流値Irを超過しない。このようにして、第1電源PW1の電流I1が劇的に変更するのを回避することができ、且つスプールノイズが伝送ポート110に生成されるのを防ぐことができる。
【0027】
本発明の1つの実施形態において、ローパスフィルタ120は、例えば、インダクタ、特に受動型インダクタ(passive inductor)、であってもよいが、本発明はこれに限定されない。
【0028】
本発明の1つの実施形態において、スイッチング電力変換器140は、例えば、昇圧型電源変換器または降圧型電源変換器であってもよい。上述した各電源変換器に関する構造および操作は、本分野において通常の知識を有する者にとって周知の技術に属するため、ここでは説明を省略する。
【0029】
本発明の1つの実施形態において、ハイパスフィルタ150は、一般のハイパスフィルタにより実現することができ、送受信回路160は、周知の送信/受信回路により実現することができるが、本発明はこれに限定されない。
【0030】
図1および図2を参照すると、図2は、本発明の1つの実施形態に係る動作インピーダンス回路130の概略的回路ブロック図である。動作インピーダンス回路130は、電流制限器232およびコンデンサ234を含むことができるが、本発明はこれに限定されない。電流制限器232は、ローパスフィルタ120(図1に示す)とスイッチング電力変換器140(図1に示す)の間に結合され、第1電源PW1をコンデンサ234に伝送し、第1電源PW1から取り込んだ電流I1を制限するよう構成される。コンデンサ234は、電流制限器232と接地端子GNDの間に結合され、第1電源PW1に基づいてエネルギーを保存し、電流制限器232と協働して第2電源PW2を提供するよう構成される。
【0031】
以下、電源を受信する際の電子装置100の操作について、詳しく説明する。図1図3(a)および図3(b)を参照すると、図3(a)および図3(b)は、本発明の1つの実施形態に係る電源を受信する電子装置100の概略的等価回路図である。マスタデバイス900(図1に示す)によって提供された電源は、直流(DC)電源または低周波交流電流(AC)電源であり、ハイパスフィルタ150を通過することができないため、電源の観点から見ると、ハイパスフィルタ150は、オフ状態にあるものとみなすことができる。それに対し、電源は、ローパスフィルタ120を通過して、第1電源PW1として使用することができる。そのため、電源の観点から見ると、ローパスフィルタ120は、オン状態にあるものとみなすことができる。また、電流制限器232は、制御可能な電流と同等であってもよく、提供された電流I1の最大値は、参考電流値Irである。
【0032】
図3(a)に示すように、第2電源PW2の電流I2が参考電流値Irよりも小さい時、電流制限器232は、第1電源PW1を第2電源PW2として使用し、(電流I3を介して)コンデンサ234を充電するとともに、同時に、(電流I2を介して)スイッチング電力変換器140に電源を供給することができる。
【0033】
反対に、図3(b)に示すように、第2電源PW2の電流I2が参考電流値Ir以上である時、電流制限器232は、第1電源PW1の電流I1が参考電流値Ir内になるよう制限するとともに、制限器232は、コンデンサ234と協働して第2電源PW2を提供し、スイッチング電力変換器140に電源を供給する。つまり、電流制限器232およびコンデンサ234は、それぞれ電流I1および電流I3’を介してスイッチング電力変換器140に並列電源供給を行う。理解すべきこととして、制限器232は、第1電源PW1から取り込んだ電流I1を制限するため、電流制限器232の電流制限特性は、実質的に、動作インピーダンス回路130のインピーダンスを増やすものとみなすことができる。
【0034】
図1および図4を参照すると、図4は、本発明の別の実施形態に係る動作インピーダンス回路430の概略的回路ブロック図である。動作インピーダンス回路430は、低損失レギュレータ(low dropout regulator, LDO)432およびコンデンサ434を含むことができるが、本発明はこれに限定されない。低ドロップアウトレギュレータは、ローパスフィルタ120(図1に示す)とスイッチング電力変換器140(図1に示す)の間に結合され、第1電源PW1を伝送し、第1電源PW1から取り込んだ電流I1を制限するよう構成される。コンデンサ434は、低ドロップアウトレギュレータ432と接地端子GNDの間に結合され、第1電源PW1に基づいてエネルギーを保存するとともに、低ドロップアウトレギュレータ432と協働して第2電源PW2を提供するよう構成される。低ドロップアウトレギュレータ432は、電流制限機能を有する周知の調整集積回路を採用することにより実現することができる。低ドロップアウトレギュレータ432は、電圧調整および電流制限機能を有するため、スイッチング電力変換器140のスイッチ操作中に生成されたノイズが同軸ケーブル500にフィードバックするのを回避することができる。
【0035】
図1および図5を参照すると、図5は、本発明のさらに別の実施形態に係る動作インピーダンス回路530の概略的回路ブロック図である。動作インピーダンス回路530は、バイポーラ接合トランジスタ(bipolar junction transistor, BJT)532およびコンデンサ534を含むことができるが、本発明はこれに限定されない。バイポーラ接合トランジスタ532のエミッター端子は、ローパスフィルタ120に結合される。バイポーラ接合トランジスタ532のコレクター端子は、スイッチング電力変換器140に結合される。バイポーラ接合トランジスタ532のベース端子は、参考電圧Vrefを受信して、バイポーラ接合トランジスタ532をオン状態にする。コンデンサ534は、バイポーラ接合トランジスタ532のコレクター端子と接地端子GNDの間に結合され、第1電源PW1に基づいてエネルギーを保存するとともに、バイポーラ接合トランジスタ532と協働して第2電源PW2を提供する。理解すべきこととして、バイポーラ接合トランジスタ532は、本質的に、動作インピーダンスおよび電流制限の特性を有するため、スイッチング電力変換器140のスイッチ操作中に生成されたノイズが同軸ケーブル500にフィードバックするのを回避することができる。言及すべきこととして、図5に示したバイポーラ接合トランジスタ532は、pnp型バイポーラ接合トランジスタであるが、本発明はこれに限定されない。本発明の別の実施形態において、図5のバイポーラ接合トランジスタ532は、npn型バイポーラ接合トランジスタを採用することにより実現してもよい。
【0036】
図1および図6を参照すると、図6は、本発明のさらに別の実施形態に係る動作インピーダンス回路630の概略的回路ブロック図である。動作インピーダンス回路630は、電界効果トランジスタ(field-effect transistor, FET)632およびコンデンサ634を含むことができるが、本発明はこれに限定されない。電界効果トランジスタ632のソース端子は、ローパスフィルタ120に結合される。電界効果トランジスタ632のドレイン端子は、スイッチング電力変換器140に結合される。電界効果トランジスタ632のゲート端子は、参考電圧Vrefを受信して、電界効果トランジスタ632をオン状態にする。コンデンサ634は、電界効果トランジスタ632のドレイン端子と接地端子GNDの間に結合され、第1電源PW1に基づいてエネルギーを保存するとともに、電界効果トランジスタ632と協働して第2電源PW2を提供するよう構成される。理解すべきこととして、電界効果トランジスタ632は、本質的に、動作インピーダンスおよび電流制限の特性(例えば、電界効果トランジスタの飽和領域の特性)を有するため、スイッチング電力変換器140のスイッチ操作中に生成されたノイズが同軸ケーブル500にフィードバックするのを回避することができる。言及すべきこととして、図6に示した電界効果トランジスタ632は、p型金属酸化物半導体電界効果トランジスタ(metal-oxide-semiconductor field-effect transistor, PMOS)であるが、本発明はこれに限定されない。本発明の別の実施形態において、図6の電界効果トランジスタ632は、他の異なる種類の電界効果トランジスタを採用することにより実現してもよい。
【0037】
以上のように、本発明の実施形態が提供する電子装置において、動作インピーダンス回路は、スイッチング電力変換器のスイッチ操作中に生成されたノイズが同軸ケーブルからフィードバックするのを防ぎ、それにより、同軸ケーブルの通信データに干渉するのを回避することができる。そのため、電子装置内のローパスフィルタは、複数のRLC回路の直列組み合わせを採用して同軸ケーブルの別の一端にあるマスタデバイスのローパスフィルタと一致させる必要がない。このようにして、電子装置の回路設計の難度および複雑度を減らすことができるだけでなく、電子装置の小型化も実現することができる。
【0038】
以上のごとく、この発明を実施形態により開示したが、もとより、この発明を限定するためのものではなく、当業者であれば容易に理解できるように、この発明の技術思想の範囲内において、適当な変更ならびに修正が当然なされうるものであるから、その特許権保護の範囲は、特許請求の範囲および、それと均等な領域を基準として定めなければならない。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明の実施形態が提供する電源重畳同軸ケーブル機能を有する電子装置は、電源重畳同軸ケーブル(PoC)システムにおいて使用することができる。
【符号の説明】
【0040】
100 電子装置
110 伝送ポート
120 ローパスフィルタ
130、430、530、630 動作インピーダンス回路
140 スイッチング電力変換器
150 ハイパスフィルタ
160 送受信回路
232 電流制限器
234、434、534、634 コンデンサ
432 低損失レギュレータ
500 同軸ケーブル
532 バイポーラ接合トランジスタ
632 電界効果トランジスタ
900 マスタデバイス
DS データ信号
GND 接地端子
MS 混合信号
I1、I2、I3、I3’ 電流
Ir 参考電流値
PW1 第1電源
PW2 第2電源
PWS 操作電源
Vref 参考電圧
図1
図2
図3a
図3b
図4
図5
図6