(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、第1の実施形態につき、
図1ないし
図6を参照して説明する。
まず、
図2には冷蔵庫の全体を正面より見て示しており、
図3には冷蔵庫の全体を縦断面にて右側面より見て示している。これらの図で明らかなように、庫本体1は縦長の筐体から成るものであり、その周壁は断熱壁であって、内部の上側が冷蔵温度帯である冷蔵エリアR、下側が冷凍温度帯である冷凍エリアFとなっている。
【0011】
冷蔵エリアRには貯蔵室である冷蔵室2と野菜室3とが存在し、冷凍エリアFに同じく貯蔵室である冷凍室4が存在している。これらの貯蔵室につき、冷蔵室2と野菜室3との間は通常の仕切板5で仕切っており、野菜室3と冷凍室4との間(冷蔵エリアRと冷凍エリアFとの間)は庫本体1の断熱仕切壁6で仕切っている。
【0012】
上記貯蔵室2〜4は、いずれも
図3に示すように前面が開口するものであり、その各開口部を個々の扉7〜9で開閉するようにしている。
冷蔵室2の扉7の裏側にはポケット10を複数段設けており、冷蔵室2には棚11を同じく複数段設けている。更に、冷蔵室2には、最下部にチルド容器12を引出し可能に設けており、このチルド容器12の内部が貯蔵室であるチルドルーム13として機能するようになっている。
【0013】
野菜室3には、野菜容器14を、詳しくは図示しないが野菜室3の扉8の開閉と共に出し入れされるように設けている。
冷凍室4には、上部に、貯氷容器15を設ける共に、その貯氷容器15に貯留する氷を製造する製氷皿16aや、この製氷皿16aから氷を剥離させる離氷駆動部16b、及び貯氷容器15に貯留した氷の量(嵩)を検知する貯氷検知レバー16c等から成る製氷機構16を設けている。
【0014】
冷凍室4の下部には、冷凍貯蔵容器17を、これも詳しくは図示しないが冷凍室4の扉9の開閉と共に出し入れされるように設けている。
そして、冷凍室4から野菜室3及び冷蔵室2にかけての奥部には、冷却器室18を隔壁19で隔てて設けており、この冷却器室18に冷却器20とファン21とを配置している。冷却器20の詳細は後述するが、この冷却器20は、庫本体1外(庫外)後下部の機械室22に配置した圧縮機23や、図示しない凝縮器及び絞り器であるキャピラリチューブ等とで周知の冷凍サイクルを構成するもので、圧縮機23が作動することにより、該圧縮機23から、凝縮器、キャピラリチューブ、冷却器20、そして又圧縮機23の順に図示しない冷媒が流れて循環されるようになっている。
【0015】
冷却器20は冷却器室18を通る空気の冷却に供するものであり、この冷却器20の上方にファン21が位置し、更にその上方に空気の流通を制御する制御手段であるダンパ24が位置している。
【0016】
冷却器室18から上方には冷蔵室2奥部のほゞ最上部まで延びる冷気送りダクト25を設けており、この冷気送りダクト25からは、
図3及び
図2に矢印で示すように、冷蔵室2に向けて上下複数の箇所から給気するようにしている。又、冷却器室18から前記チルドルーム13には、
図3に矢印で示すように、直接的に給気するようにしている。
【0017】
そして、冷蔵室2からは、
図3及び
図2に矢印で示すように、前記仕切板5の後部に形成した連通口5aを通じて野菜室3に給気し、その後に、前記冷却器室18における冷却器20の側方に
図2に示すように設けた冷気戻りダクト26を通じて冷却器室18に還気するようにしている。なお、
図2に示す26aは、前記断熱仕切壁6の右側後部に設けた、冷気戻りダクト26の入口部であり、26bは同ダクト26の出口部である。
【0018】
又、冷却器室18からは、前記隔壁19の前記製氷機構16に臨む部分に形成した冷気供給口27から製氷機構16部分に給気するようにしており、冷却器室18からは又、前記隔壁19の前記冷凍貯蔵容器17に臨む部分に形成した冷気供給口28から冷凍貯蔵容器17部分に給気するようにしている。そして、冷凍室4からは、前記隔壁19の最下部に形成した冷気戻り口29から冷却器室18に還気するようにしている。
【0019】
さて、冷却器20は、前記冷凍サイクルにおける循環冷媒を気化させるエバポレータであり、詳細には
図4に示すように、上記冷媒を流通させるパイプすなわち冷媒流通パイプ30を上下多段の蛇行状に組成したものであって、その冷媒流通パイプ30には多数の伝熱フィン31を一体化している。更に詳細には、冷却器20の蛇行状形態の各段における冷媒流通パイプ30の直状部30a別に、伝熱フィン31をほゞ等間隔で多数並べ付けて一体化している。但し、伝熱フィン31の並び密度は、蛇行状形態の下二段以外の各段で高く、下二段ではそれより低くしていて、下二段でも、上段を高く、下段ではそれより更に低くしている。
【0020】
又、冷媒流通パイプ30の左右両側の端部には、それぞれ端板32を一体化している。この端板32は、冷却器20の上記蛇行状形態の各段における冷媒流通パイプ30の直状部30aの端部に全段共通に一体化したものであり、それによって、冷媒流通パイプ30を上記蛇行状の組成形態に保持している。冷媒流通パイプ30の蛇行のベンド部30bは、それぞれ端板32から外方に突出した形態となっている。
【0021】
ここで、
図1の(a)は本実施形態の端板32、特に
図4で右側(前記冷気戻りダクト26側)の主要部分を側面より見て表しており、同図の(b)は従来の端板32´の同部分を同じく側面より見て表している。これらの図から明らかなように、端板32,32´には長孔状の挿通孔33を必要数形成していて、この挿通孔33の各両端部に冷媒流通パイプ30を挿通させて、端板32,32´を冷媒流通パイプ30に一体化するようにしている。従って、挿通孔33は冷媒流通パイプ挿通部であって、冷媒流通パイプ結合部でもある。
【0022】
そして、本実施形態の上記端板32の下部には通風部34を形成している。この通風部34は、この場合、端板32に穿設した孔であって、端板32の下端縁に最も近い最下部のものは、冷却器20の蛇行状形態における最下段の挿通孔33から上方そして前後(
図1では左右)に延ばして形成し、それより上方のものは、冷却器20の蛇行状形態における下から二段目と三段目にわたる挿通孔33を前後につないで形成している。
【0023】
更に、本実施形態の端板32の前後の両側縁部には、それぞれヒータ取付部35を多数ずつ形成している。このヒータ取付部35は、この場合、端板32の前後の両側縁部からU字状に切り欠いた切欠部であり、このヒータ取付部35に、冷却器20の除霜を行う除霜ヒータ36を嵌合して取付けている。なお、ヒータ取付部35を切欠部としたのは除霜ヒータ36の取付けが端板32の前後から容易にできるからであるが、このヒータ取付部35は切欠部に限られず、孔であっても良い。又、前記通風部34は孔に限られず、切欠部であっても良いし、更には端板32の一部を折曲して構成するようにしても良い。
【0024】
図4には、上述のようにして冷却器20に取付けた除霜ヒータ36をも示しており、この除霜ヒータ36は、線条の電熱ヒータであって、上述のようにして端板32に取付けて一体化することにより、冷却器20に付設している。その付設形態は、この場合、冷媒流通パイプ30の蛇行状形態に主として半ピッチずつの段違いで沿う蛇行状であり、冷却器20の前面と背面すなわち正面側と背面側とに存在している。
【0025】
図4に加えて
図5には、前記伝熱フィン31の配置を詳細に示している。これらの図で明らかなように、伝熱フィン31は、端板32の前記通風部34の近辺Nを除いて設けており、
図5にはその除いた分を二点鎖線で示している。この場合、伝熱フィン31はその該当分を完全に除いているが、それに限られず、例えば小さなものに変えるなど一部を残して除くようにしても良いもので、要するに、端板32の通風部34の近辺Nを実質的に除いて設けてあれば良い。
【0026】
更に、
図4に加えて
図6には、前記除霜ヒータ36の配置を詳細に示している。これらの図で明らかなように、除霜ヒータ36は、前記冷媒流通パイプ30の蛇行状形態の最下段(除霜ヒータ36の蛇行状形態の最下段でもある)では、複数条(この場合、特には
図6の(c)に示すように3条の奇数条)配置している。
【0027】
この除霜ヒータ36に対して、冷却器20の下方には、
図4に示すように、除霜水受け器37を設置している。従って、前記通風部34を形成した端板32の下部は、除霜水受け器37側の部分でもある。
【0028】
除霜水受け器37は、除霜ヒータ36による冷却器20の除霜を行うことによって発生する除霜水を受けるものであり、樋状を成していて、排水性を考慮し、左側寄りの部位に形成した排水口38に向かって左右両側端より漸次下降傾斜している。
【0029】
又、この除霜水受け器37は、本受け器37aと内受け器37bとから成る二重構造で、本受け器37aを例えばプラスチックにより作製し、内受け器37bを熱伝導材(例えばアルミニウム)により作製していて、内受け器37bの裏面(外下面)には凍結防止用のヒータ(図示せず)を添設するようにしている。
【0030】
このような除霜水受け器37に対して、除霜ヒータ36は、上記最下段の複数条のうちの一部である一条(この場合、
図6の(c)に示す3条のうちの中央のもの)36aを除霜水受け器37に沿わせて設けている。従って、この除霜ヒータ36の一条36aも、除霜水受け器37の排水口38に向かって左右両側端より漸次下降傾斜していて、全体に該除霜水受け器37に近接している。又、最下段の複数条の除霜ヒータ36のうちの残りの他の二条36b,36cは、冷却器20最下段の冷媒流通パイプ30に沿わせて設けている
更に、除霜水受け器37に沿って設けた除霜ヒータ36の一条36aは、
図6の(c)に示すように、冷却器20を下方から見て、冷媒流通パイプ30に沿って設けた他の二条36b,36cが冷却器20最下段の冷媒流通パイプ30と平行であるのに対して、斜めに配置(配線)している。
【0031】
加えて、冷却器20における前記冷媒流通パイプ30の蛇行状形態の最下段で奇数条(この場合、3条)配置した除霜ヒータ36は、それ以外の部分を
図6の(a)及び(b)に示すように冷却器20の正面側と背面側とに連続する上下多段の蛇行状に配置しており、その正面側と背面側とのいずれか一方側の除霜ヒータ36の段数を他方側より一段少なく又は一段多くしている(図示例では正面側を8段とし、背面側を7段としている)。
図6の(a)には除霜ヒータ36の一方の端末部36dを示し、同図の(b)には除霜ヒータ36の他方の端末部36eを示しており、これらの位置を、この場合、冷却器20の上部の正面より見て右側で合致させている。
【0032】
そして、
図4には、更に前述の冷気戻りダクト26を示しており、この冷気戻りダクト26に対して、除霜ヒータ36は、冷却器20の正面側と背面側の下部において、各一段のベンド部36f,36gを冷気戻りダクト26の出口部26bの近傍まで延長させている。
【0033】
加えて、その正面側一段のベンド部36fより一段上のベンド部36hにおいては、除霜ヒータ36を冷気戻りダクト26に接触させている。
次に、上記構成の冷蔵庫の作用を述べる。
【0034】
上記構成の冷蔵庫においては、冷凍室4が存在する冷凍エリアFを冷却する場合、ダンパ24を閉塞した状態で、圧縮機23とファン21とが作動される。そのうち、圧縮機23の作動により冷却器20が冷却機能を奏し、ファン21の作動により冷凍エリアF(冷凍室4)の空気が、
図2及び
図3に矢印で示したように、冷気戻り口29から冷却器室18に吸入される。この冷却器室18に吸入された空気は、その後、冷却器20と接することにより冷気と化され、この冷気が、冷気供給口27から製氷機構16及び冷凍貯蔵容器17の存在する冷凍室4に供給される。そして、その冷凍室4に供給された冷気は、その後、上記冷気戻り口29から冷却器室18に吸入され、戻される。これを繰返す循環を行って、冷凍室4が冷却される。
【0035】
これに対して、冷蔵室2と野菜室3とが存在冷蔵エリアRを冷却する場合には、ダンパ24を開放した状態で、圧縮機23とファン21とが作動される。そのうち、圧縮機23の作動により冷却器20が冷却機能を奏するのは上述同様であるが、ファン21の作動により野菜室3の空気が、同じく
図2及び
図3に矢印で示したように、冷気戻りダクト26を通じて冷却器室18に吸入される。この冷却器室18に吸入された空気は、その後、冷却器20と接することにより冷気と化され、この冷気が、開放したダンパ24を通って冷気送りダクト25を通り、冷蔵室2に供給される。この冷蔵室2に供給された冷気は、その後、仕切板5に形成した連通口5aを通じて野菜室3に供給され、この野菜室3から上記冷気戻りダクト26を通って冷却器室18に吸入され、戻される。これを繰返す循環を行って、冷蔵室2が冷却される。
【0036】
又、この折り、冷却器室18からはチルドルーム13にも冷気が供給され、該チルドルーム13が冷却される。
要するに、本実施形態の冷蔵庫はファンクールタイプの冷蔵庫である。
【0037】
そして、そのように冷却が行われる状況で、冷却器20の伝熱フィン31並びに冷媒流通パイプ30には、扉7〜9の開放によって侵入する外気に含まれる水分や貯蔵品から発せられる水分が庫内の循環空気と循環されて触れることにより、着霜を生じる。
【0038】
これに対し、その付着した霜を除去する除霜を行う場合には、圧縮機23とファン21の作動を停止させた状態で、除霜ヒータ36に通電し、該除霜ヒータ36を発熱させる。これにより冷却器20の除霜が行われ、それによって発生した除霜水は冷却器20から滴下して下方の除霜水受け器37に受けられ、該除霜水受け器37の排水口38を通じ排出されて、庫外に設けた図示しない蒸発皿に受けられ、冷凍サイクルの凝縮器の熱等によって蒸発される。
【0039】
このように冷却器20の除霜並びに除霜水の排出処理が行われる状況で、冷却器20と除霜水受け器37との間では除霜水が氷結してつらら状に成長することが懸念される。これに対して、本実施形態においては、除霜ヒータ36の一部36aを除霜水受け器37に沿って設けており、それによって、除霜水受け器37には除霜ヒータ36の熱が伝わりやすくなり、冷却器から滴下する除霜水が氷結してつらら状に成長してしまうということがなくされる。
【0040】
そして、その場合、除霜ヒータ36の一部36aを除霜水受け器37に沿う形態としたことにより、本来、冷却器20に対して有効な除霜ヒータ36の一部が欠除するようであれば、それによって除霜ヒータ36による冷却器20の除霜効果が低下し、冷却器20の特には最下部の除霜が不充分となりやすくなる。この冷却器20の最下部中、特に端板32の下端縁から下方の除霜水受け器37までの空間は、
図4に示したように、循環空気(戻り冷気)の入口であり、ここで冷却器20の端板32の下端縁の除霜が充分にできなくなれば、循環空気の通りが悪くなって、冷却効率の低下を招くことが避けられない。
【0041】
それに対して、本実施形態においては、冷却器20の特に冷気戻りダクト26側の端板32の除霜水受け器37側の部分に通風部34を形成しており、それによって循環空気(戻り冷気)の通りを良くできるので、冷却効率の低下を招くことが避けられ、冷却効率を良好に確保することができる。
【0042】
なお、通風部34は、少なくとも冷却器20の端板32の除霜水受け器37側の部分に設けていれば良いもので、それ以外、例えば端板32の下半部や全部に設けていても良い。
【0043】
又、本実施形態においては、冷却器20が、冷媒流通パイプ30に多数の伝熱フィン31を一体化したものであって、その伝熱フィン31を、上記端板32の通風部34の近辺Nを実質的に除いて設けている。これにより、上記端板32の通風部34を通じての循環空気(戻り冷気)の通りを一層良く確保することができ、特に伝熱フィン31に着霜したときでも、その通風性を良好に確保することができて、冷却効率を一層良好に確保することができる。
【0044】
更に、本実施形態においては、冷却器20が、冷媒流通パイプ30を上下多段の蛇行状に組成したものであって、それの除霜をする除霜ヒータ36を冷媒流通パイプ30の蛇行最下段では複数条配置し、該最下段の除霜ヒータ36のうち、一部の除霜ヒータ36aを除霜水受け器37に沿って設け、他の除霜ヒータ36a,36cを冷媒流通パイプ30に沿って設けている。
【0045】
これにより、前述のように除霜水受け器37に除霜ヒータ36(一部36a)の熱が伝わりやすくなり、冷却器20から滴下する除霜水が氷結してつらら状に成長してしまうということをなくし得ると同時に、他の除霜ヒータ36a,36cにて、冷却器20に対し有効な除霜ヒータ36を確保でき、該除霜ヒータ36による冷却器20の除霜効果を良好に維持し、冷却器20の特には最下部の除霜を充分にすることができるので、これによっても、冷却器20の通風性を良好に確保することができて、冷却効率を一層良好に確保することができる。
【0046】
しかも、その場合、除霜水受け器37に沿って設ける除霜ヒータ36aを、冷却器20を下方から見て、冷媒流通パイプ30に沿って設けられた他の除霜ヒータ36b,36cに対し斜めに配置している。除霜ヒータ36aの曲げ径には限度があり、それを越えて曲げれば除霜ヒータ36aが折れてしまい、使用が不可能もしくは困難となる。又、限度一杯でも、除霜ヒータ36aを斜めに配置せず、他の除霜ヒータ36b,36cと平行となるように曲げれば、除霜ヒータ36の総前後幅が大きくなり、狭いスペースでの配置が困難となる。
【0047】
その点、本実施形態においては、除霜水受け器37に沿って設ける除霜ヒータ36aを、冷却器20を下方から見て、冷媒流通パイプ30に沿って設けられた他の除霜ヒータ36b,36cに対し斜めに配置していることにより、除霜ヒータ36aの限度一杯での径で曲げることができ、しかも、除霜ヒータ36の総前後幅を小さく留めることもできて、狭い例えば最小スペースでの配置を可能ならしめることができる。
【0048】
加えて、本実施形態においては、冷却器20が、冷媒流通パイプ30を上下多段の蛇行状に組成したものであって、除霜ヒータ36を、冷媒流通パイプ30の蛇行最下段では奇数条配置すると共に、冷却器20の正面側と背面側とに連続する上下多段の蛇行状に配置し、その正面側と背面側とのいずれか一方側の除霜ヒータ36の段数を他方側より一段少なく又は一段多くしている。
【0049】
この場合、除霜ヒータ36を冷媒流通パイプ30の蛇行最下段で偶数条配置したものでは、冷却器20の正面側と背面側とに連続する上下多段の蛇行状に配置する除霜ヒータ36は、その各段数を同一とすることにより、正面側と背面側とにおける端末部36d,36eの位置が合致し、それらの各接続処理が同位置でできるようになる。しかし、除霜ヒータ36を冷媒流通パイプ30の蛇行最下段で奇数条配置したものでは、冷却器20の正面側と背面側とに連続する上下多段の蛇行状に配置する除霜ヒータ36は、その各段数を同一とすると、正面側と背面側とにおける端末部36d,36eの位置が冷却器20の右側と左側とにずれ離れ、それらの各接続処理は別個の反対位置でしかできなくなって、困難になる。
【0050】
その点、本実施形態においては、除霜ヒータ36を、冷媒流通パイプ30の蛇行最下段では奇数条配置すると共に、冷却器20の正面側と背面側とに連続する上下多段の蛇行状に配置し、その正面側と背面側とのいずれか一方側の除霜ヒータ36の段数を他方側より一段少なく又は一段多くしていることにより、
図6の(a)及び(b)に示したように、正面側と背面側とにおける端末部36d,36eの位置を合致させ得るので、それらの各接続処理が同位置で容易できるようになる。
【0051】
そして、本実施形態においては、貯蔵室(冷蔵室2及び野菜室3)から冷却器室18への冷気の戻りがダクト(冷気戻りダクト26)を通じて行われるものであって、除霜ヒータ36をそのダクトの出口部26b近傍まで延長させている。これにより、出口部26b並びにダクト内部の着霜をその除霜ヒータ36の延長部(ベンド部36f,36g)により融解することができる。
【0052】
ことに、庫外の温度が冷蔵エリアR(冷蔵室2及び野菜室3)の温度より低いとき、該冷蔵エリアRの冷却は行われないので、温度が高くなり且つ前述のように扉7〜9の開放によって侵入する外気に含まれる水分や貯蔵品から発せられる水分を帯びた空気が冷気戻りダクト26内に滞留し、着霜を生じやすくなるが、それに対して、本実施形態においては、ダクト26内部の着霜を除霜ヒータ36の延長部(ベンド部36f,36g)により融解できるので、これにより冷却運転開始時の循環空気(戻り冷気)の通りを良好に確保することができて、冷却効率を良好に確保することができる。
【0053】
又、本実施形態においては、除霜ヒータ36をベンド部36hによりダクト(冷気戻りダクト26)に接触させており、これによっても、ダクト26内部の着霜を除霜ヒータ36により融解できるので、冷却運転開始時の循環空気の通りを良好に確保することができて、冷却効率を良好に確保することができる。
【0054】
以上に対して、
図7は第2の実施形態を示すもので、第1の実施形態と同一の部分には同一の符号を付して説明を省略し、異なる部分についてのみ述べる。
このものにおいては、上述の除霜ヒータ36が接触する冷気戻りダクト26の外面部から内面部にかけて熱伝導部材41を設けている。
【0055】
詳細には、冷気戻りダクト26は、断熱材(この場合、例えば発泡スチロール)により作製しており、この除霜ヒータ36側の外面全部から出口部26bの上面及びダクト内面全部にかけて、熱伝導部材41を貼り付けて設けている。この熱伝導部材41は特にはアルミ箔であり、前述の除霜ヒータ36のベンド部36hは、この熱伝導部材41に接触させている。
【0056】
このようにすることにより、除霜ヒータ36の熱を熱伝導部材41を介してダクト26内部に、より効果的に伝えることができて、ダクト26内部の着霜を除霜ヒータ36により確実に融解することができる。
【0057】
又、熱伝導部材41をアルミ箔としたことにより、安価で容易に実施できる効果もある。
なお、この熱伝導部材41は、除霜ヒータ36側の外面及び内面については、その各全部に限られず、出口部26b近傍にのみ設けるようにしても良い。
【0058】
以上のように、実施形態の冷蔵庫は、冷却器20が、冷媒流通パイプ30を有するエバポレータであり、このエバポレータに除霜ヒータ36が付設され、エバポレータの下方に、除霜ヒータ36によるエバポレータの除霜を行うことによって発生する除霜水を受ける除霜水受け器37が設置されていて、除霜ヒータ36が、冷媒流通パイプ30の最下段では複数条配置され、該最下段の除霜ヒータ36のうち、一部の除霜ヒータ36が除霜水受け器37に沿って設けられ、他の除霜ヒータ36がエバポレータの冷媒流通パイプ30に沿って設けられており、除霜水受け器37に沿って設けられた除霜ヒータ36は、エバポレータを下方から見て、冷媒流通パイプ30に沿って設けられた他の除霜ヒータ36に対し斜めに配置されている。これにより、狭いスペースに除霜ヒータ36を配置することができる。
【0059】
以上説明した冷蔵庫は、上記実施形態にのみ限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施し得る。
そのほか、本発明の実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。この実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0060】
また、本明細書には、以下の課題および発明が記載されている。
従来より、冷蔵庫においては、ファンクールタイプのものが供されている。このファンクールタイプの冷蔵庫は、庫内に、冷却器が位置する冷却器室と、冷蔵室や冷凍室といった貯蔵室と、ファンとを具備するものであり、そのファンが貯蔵室の空気を冷却器室を通して循環させることにより、冷却器で冷気を生成し、その冷気を貯蔵室に供給して、該貯蔵室から冷却器室に戻させるようになっている。この中で、上記冷却器は、一般に、冷媒流通パイプを上下多段の蛇行状に組成すると共に、該冷媒流通パイプに多数の伝熱フィンを一体化し、そして、冷媒流通パイプを上記蛇行状の組成形態に保持する端板を端部に有するエバポレータであり、このエバポレータに除霜ヒータが上記冷媒流通パイプと同様の上下多段の蛇行状に付設されている。又、エバポレータの下方には、例えば樋状の除霜水受け器が設置され、上記除霜ヒータによるエバポレータの除霜を行うことによって発生する除霜水をその除霜水受け器で受けるようになっている。
【0061】
上記ファンクールタイプの冷蔵庫における扉の開放によって侵入する外気に含まれる水分や貯蔵品(特には食品)から発せられる水分は、貯蔵室の空気が循環されることに伴い、冷却器(エバポレータ)の伝熱フィン並びに冷媒流通パイプに触れ、着霜を生じる。この着霜は、冷却器の伝熱フィン並びに冷媒流通パイプの循環空気からの吸熱を阻害すると共に、冷却器の伝熱フィン間並びに冷媒流通パイプ間の循環空気の通りを阻害することで、冷却効率の低下を招く。
【0062】
このために、上述のように、冷却器には除霜ヒータが付設され、この除霜ヒータの発熱により冷却器の除霜が行われるようになっている。
又、冷却器の除霜が行われると、除霜水が発生し、それが冷却器から滴下するため、冷却器の下方には除霜水を受ける除霜水受け器が設置されているのである。
【0063】
この除霜水受け器には除霜ヒータの熱が伝わるようにもなっているが、除霜水受け器と冷却器との間の空間が大きいと、除霜水受け器には除霜ヒータの熱が伝わりにくい。その結果、冷却器から滴下する除霜水が氷結してつらら状に成長してしまい、除霜水の排出が円滑にできなくなる事態が生じる。
【0064】
このため、従来は、除霜水受け器と冷却器との距離を縮め、且つ、除霜ヒータのうち、除霜水受け器に最も近い最下部のヒータの一部を除霜水受け器に沿う形態とする対策が採られている。
【0065】
この対策によれば、除霜水受け器には除霜ヒータの熱が伝わりやすく、それによって、冷却器から滴下する除霜水が氷結してつらら状に成長してしまうということがなくされ、除霜水の排出が円滑にできるようになる。
【0066】
しかしながら、除霜水受け器と冷却器との距離を縮めたことにより、循環空気の通路が狭まり、冷却器に着霜したときの循環空気の通りが悪くなって、冷却効率の低下を招くことが避けられない。又、除霜ヒータの一部を除霜水受け器に沿う形態としたことにより、本来、冷却器に対して有効な除霜ヒータの一部がそれによって欠除し、除霜ヒータによる冷却器の除霜効果が低下する。そして、その除霜効果の低下により、冷却器の特には最下部の除霜が不充分となりやすく、中でも、冷却器端板下方の除霜水受け器との間の空間は、循環空気(戻り冷気)の入口であり、ここで冷却器端板の下端縁の除霜が充分にできなくなることにより、循環空気の通りが悪くなって、冷却効率の低下を招くことが避けられない。
【0067】
そこで、冷却器端板の下端縁の除霜が充分にできない場合でも、循環空気の通りを良くして、冷却効率を良好に確保できる冷蔵庫が求められる。
このような冷蔵庫として、本明細書には、庫内に、冷却器が位置する冷却器室と、貯蔵室と、この貯蔵室の空気を前記冷却器室を通して循環させることにより、前記冷却器で冷気を生成し、その冷気を前記貯蔵室に供給して、該貯蔵室から前記冷却器室に戻させるファンとを具備する冷蔵庫において、前記冷却器が、冷媒流通パイプの端部に端板を有するエバポレータであり、このエバポレータに除霜ヒータが付設され、エバポレータの下方に、前記除霜ヒータによるエバポレータの除霜を行うことによって発生する除霜水を受ける除霜水受け器が設置されていて、前記エバポレータの端板の少なくとも前記除霜水受け器側の部分に前記戻り冷気を通す通風部を形成したことを特徴とする冷蔵庫の発明が記載されている。
【0068】
また、前記エバポレータが、前記冷媒流通パイプに多数の伝熱フィンが一体化されたものであって、その伝熱フィンが、前記端板の通風部の近辺を実質的に除いて設けられていることを特徴とする冷蔵庫の発明が記載されている。
【0069】
また、前記エバポレータが、冷媒流通パイプを上下多段の蛇行状に組成したものであって、前記除霜ヒータが前記冷媒流通パイプの蛇行最下段では複数条配置され、該最下段の除霜ヒータのうち、一部の除霜ヒータが前記除霜水受け器に沿って設けられ、他の除霜ヒータが前記エバポレータの冷媒流通パイプに沿って設けられていることを特徴とする冷蔵庫の発明が記載されている。
【0070】
また、前記除霜水受け器に沿って設けられた除霜ヒータは、前記エバポレータを下方から見て、前記冷媒流通パイプに沿って設けられた他の除霜ヒータに対し斜めに配置されていることを特徴とする冷蔵庫の発明が記載されている。
【0071】
また、前記エバポレータが、冷媒流通パイプを上下多段の蛇行状に組成したものであって、前記除霜ヒータが、前記冷媒流通パイプの蛇行最下段では奇数条配置されると共に、前記エバポレータの正面側と背面側とに連続する上下多段の蛇行状に配置され、その正面側と背面側とのいずれか一方側の除霜ヒータの段数が他方側より一段少なく又は一段多くされていることを特徴とする冷蔵庫の発明が記載されている。
【0072】
また、前記貯蔵室から前記冷却器室への冷気の戻りがダクトを通じて行われるものであって、前記除霜ヒータが前記ダクトの出口部近傍まで延長されていることを特徴とする冷蔵庫の発明が記載されている。
【0073】
また、前記貯蔵室から前記冷却器室への冷気の戻りがダクトを通じて行われるものであって、前記除霜ヒータが前記ダクトに接触されていることを特徴とする冷蔵庫の発明が記載されている。
【0074】
また、前記除霜ヒータが接触される前記ダクトの外面部から内面部にかけて熱伝導部材が設けられていることを特徴とする冷蔵庫の発明が記載されている。
また、前記熱伝導部材がアルミ箔であることを特徴とする冷蔵庫の発明が記載されている。